○保険医療機関等の不正請求等に係る返還金の回収状況の把握について
(平成30年4月27日)
(/保保発0427第1号/保国発0427第1号/保高発0427第1号/)
(都道府県民生主管部(局)国民健康保険主管課(部)長・後期高齢者医療主管課(部)長・都道府県後期高齢者医療広域連合事務局長・全国健康保険協会理事長・健康保険組合理事長あて厚生労働省保険局保険課長・厚生労働省保険局国民健康保険課長・厚生労働省保険局高齢者医療課長通知)
(公印省略)
保険医療機関及び保険薬局(以下「保険医療機関等」という。)の不正請求又は不当請求(以下「不正請求等」という。)に係る返還金については、保険者(後期高齢者医療広域連合を含む。以下同じ。)が有する債権として、適切な管理が求められるところであるが、その管理状況が保険者毎に異なることが確認されたところである。
今般、当該返還金の把握及び回収状況について、適切な管理を実施する観点から、下記のとおり取り扱うこととしたので通知する。
なお、都道府県国民健康保険主管課(部)においては、管内の保険者等に対して、都道府県後期高齢者医療主管課(部)においては、管内の市町村後期高齢者医療主管課(部)に対して、ご周知いただきたい。
記
1.当該債権の法的整理及び時効
保険医療機関等における不正請求等に係る返還金については、民法上の債権として同法の時効の規定を踏まえ、適切に管理すること。
なお、返還請求権の時効期間及び起算日については、次に示す事由により異なることに留意すること。
(1) 過払いが保険医療機関等の不当利得によって生じたものである場合(不当請求の場合)
不当請求の場合、返還請求権は民法第167条に規定される請求権に該当するため、当該請求権の時効期間は10年であること。
その起算日は支払の行われた日の翌日、すなわち審査支払機関から保険医療機関等に支払を行った日の翌日となること。なお、保険医療機関等から返還同意書が提出された場合には、当該明細は債務の承認(民法第147条第3号)に当たるため、当該明細が地方厚生(支)局に到達した日の翌日が起算日となること。
(2) 過払いが保険医療機関等の不法行為によって生じたものである場合(不正請求の場合)
不正請求の場合、返還請求権(その加算金に係る請求権も含む。)は民法第724条に規定される請求権に該当するため、当該請求権の時効期間は3年であること。
その起算日は、損害及び加害者を知ったとき、すなわち地方厚生(支)局から返還に係る通知を受けた日の翌日となること。なお、保険医療機関等から返還同意書が提出された場合については、上記(1)と同様であること。
2.返還金の把握及び回収状況の管理について
返還金の把握及び回収状況については、様式例「診療報酬に係る債権管理簿」(以下「管理簿」という。)を参考に適切な管理に努めること。
なお、当該管理に当たっては、次の点に留意すること。
(1) 年度単位の管理
返還金の把握及び回収状況は、地方厚生(支)局における指導や監査等による返還金及び会計検査院による検査による返還金を対象とし、保険医療機関等への請求年月日を基準として、年度を単位として管理すること。
なお、年度末時点において未収額が生じている事案については、引き続き、当該年度の管理簿にて管理すること。
(2) 管理する返還金の範囲
返還金については、債権の調定、未調定に関わらず管理の対象とする。
よって、審査支払機関において控除処理を行うものについても管理の対象となること。なお、債権の調定を行った債権については、調定額にて管理すること。
(3) 債権調定した事案
債権調定した事案において、不当請求については、上記1(1)のとおり、返還請求権の時効の起算日が、保険医療機関等に支払が行われた日によって異なることから、時効起算日に留意して管理すること。
(4) その他
指定訪問看護事業者及び柔道整復師に関する不正請求等に係る返還金についても、保険医療機関等の不正請求等に準じて管理すること。
3.返還金の回収実績等の報告について
(1) 全国健康保険協会及び健康保険組合
前年度の返還金の回収実績については、報告様式1「診療報酬に係る債権管理状況報告」により、前々年度までの未収額の回収状況については、報告様式2「過年度未収金に係る債権管理状況報告」により、毎年6月20日までに厚生労働省主管課宛て報告すること。(報告方法及び報告媒体については、別途、主管課より連絡する。)
なお、返還金の回収実績については、必要に応じ、随時での報告を求める場合が想定されることから、適時の管理に努めること。
(2) 市町村国保、国民健康保険組合
前年度の返還金の回収実績等については、毎年6月頃に「国民健康保険事業の実施状況報告」により報告を求める予定としており、詳細については別途主管課より連絡すること。
なお、返還金の回収実績については、必要に応じ、随時での報告を求める場合が想定されることから、適時の管理に努めること。
(3) 後期高齢者医療広域連合
前年度の返還金の回収実績等については、毎年7月頃に「後期高齢者医療制度実施状況報告」により報告を求める予定としており、詳細については別途主管課より連絡すること。
なお、返還金の回収実績については、必要に応じ、随時での報告を求める場合が想定されることから、適時の管理に努めること。
様式例
報告様式1
報告様式2
様式例
報告様式1
報告様式2