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○「遺伝子治療等臨床研究に関する指針」の全部改正について(通知)

(平成31年2月28日)

(科発0228第2号)

(関係大学の長・関係施設等機関等の長・関係各国立研究開発法人の長・都道府県知事・特別区の長・保健所設置市の長・各関係団体の長あて厚生労働省大臣官房厚生科学課長通知)

(公印省略)

遺伝子治療等臨床研究(以下「研究」という。)については、遺伝子治療等臨床研究に関する指針(平成27年厚生労働省告示第344号)により、その適正な実施を図ってきたところです。

今般、ゲノム編集技術の進歩により外部から遺伝子を導入せずに効率よく遺伝子を改変することが可能となっていること及び臨床研究法(平成29年法律第16号)等が施行されたことに伴い、同指針の見直しを行い、本日付けで、遺伝子治療等臨床研究に関する指針の全部を改正する件(平成31年厚生労働省告示第48号。以下「改正告示」という。)を告示しましたので、下記のとおり通知します。

改正の趣旨は下記1、主な改正点は下記2のとおりです。また、本改正に伴い、遺伝子治療等臨床研究指針について(平成29年4月7日付け科発0407第1号厚生労働省大臣官房厚生科学課長通知)は廃止します。

改正告示による改正後の遺伝子治療等臨床研究に関する指針(以下「新指針」という。)については、厚生労働省の補助金等の交付を受けて研究を行う場合に、これを遵守せず研究事業を実施した場合は、補助金の交付決定の取消し、返還等の処分を行うことがあるなど、引き続き厳格な運用を行う方針ですので、新指針が遵守されるよう、研究者等に周知徹底をお願いします。

1.改正の趣旨について

近年のゲノム編集技術の進歩により、外部から遺伝子を導入せずに効率よく遺伝子を改変することが可能となっている。このため、ゲノム編集技術を用いた研究についてその適正な実施を確保すること、及び臨床研究法等の施行に伴い、同法の適用を受ける研究について、研究の特性に応じて実施を求めてきた手続を明確にすることを目的として、平成29年4月より、「遺伝子治療等臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会」において、指針等の見直しについて検討を行ってきた。今般、その検討結果及びパブリック・コメントにおける意見等を踏まえ、平成31年2月28日に改正告示を告示するとともに、同年4月1日から適用することとした。

2.主な改正点について

(1) 用語の定義の見直し

「遺伝子治療等」の定義について、ゲノム編集技術を用いた研究も指針の適用範囲とするため、疾病の治療又は予防を目的とした以下のいずれかに該当する行為とした。

①遺伝子又は遺伝子を導入した細胞を人の体内に投与すること。

②特定の塩基配列を標的として人の遺伝子を改変すること。

③遺伝子を改変した細胞を人の体内に投与すること。

臨床研究法との整合性を取るために、「重篤な有害事象」の定義を改正した。

(2) 生殖細胞等の遺伝的改変の禁止

これまでも人の生殖細胞又は胚を対象とした研究については、これを禁止していたが、「遺伝子治療等」の定義にゲノム編集技術を用いた研究を追加したことに併せて、その趣旨を明確化した。

(3) 研究計画書の記載事項

「遺伝子治療等」の定義の改正に伴い、研究計画書に記載する事項について、ゲノム編集技術を用いた研究に対応するため、遺伝子の改変に用いるタンパク質又は核酸等の情報についての項目を追加した。

(4) 厚生労働大臣に意見を求める手続

厚生労働大臣が研究の実施又は研究計画書の重大な変更に関し意見を求められた際に、研究の医療上の有用性及び倫理性について厚生科学審議会に意見を求める場合として、ゲノム編集技術を用いている場合を追加した。

(5) 臨床研究法に定める臨床研究に該当する研究に関し遵守すべき事項等の明確化

臨床研究法に定める臨床研究に該当する研究を実施する際に、臨床研究法の規定に加えて遵守すべき事項を、新指針第3章に規定した。遵守すべき事項は以下のとおりである。

1) 研究中の手続

研究責任者は、研究の実施に伴う有害事象の発生状況等について、倫理審査委員会に意見を求め、その意見を尊重し、有害事象の発生状況、改善事項等に関して必要な措置を講じるとともに、厚生労働大臣に報告しなければならないこと等とした。

2) 重篤な有害事象発生時の手続

臨床研究法においては、研究の実施に起因する「疾病等」が発生した場合には、その事象を厚生労働大臣等へ報告する手続が規定されているが、新指針では引き続き、「疾病等」のみならず、因果関係の有無を問わず、全ての好ましくない若しくは意図しない傷病又はその徴候についても厚生労働大臣への報告対象とした。

3) 審査に係る資料、被験者から取得した試料及び情報等の保管

臨床研究法では、臨床研究に関する記録を5年間保管することとされているが、新指針においては、倫理審査委員会における研究に関する審査資料の保管や、被験者から取得した資料及び情報等の保管期間を、引き続き10年間とした。

4) 厚生労働大臣へ意見を求める手続等

研究の実施又は研究計画書の重大な変更を行うに当たっては、研究機関の長から厚生労働大臣に意見を求めなければならないこととした。

5) インフォームド・コンセントを受ける手続等

外国にある者に研究に用いる試料・情報を提供する場合には、被験者等適切なインフォームド・コンセントを受けなければならないこと等とした。

3.Q&A等の作成について

新指針の各規定の解釈や具体的な手続の留意点等については、追ってQ&Aや様式例等を作成し、厚生労働省ホームページに掲載するので、適宜参照願いたい。

4.指針運用窓口について

新指針の運用に関する疑義照会等については、下記に掲げる指針運用窓口において受け付けることとする。

なお、医学的又は技術的に専門的な事項にわたる内容については、必要に応じ専門家の意見も踏まえて対応する。

【指針運用窓口】

○厚生労働省大臣官房厚生科学課

住所:〒100―8916 東京都千代田区霞が関1―2―2

電話:03―5253―1111(代表)

03―3595―2171(直通)

FAX:03―3503―0183

ホームページ:研究に関する指針について

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/kenkyujigyou/i-kenkyu/index.html