添付一覧
○労災補償業務の運営に当たって留意すべき事項について
(平成31年2月19日)
(労災発0219第1号)
(都道府県労働局長あて厚生労働省大臣官房審議官(労災、建設・自動車運送分野担当)通知)
(公印省略)
平成31年度における労災補償業務の運営に当たっては、特に下記に示したところに留意の上、実効ある行政の展開に遺憾なきを期されたい。
記
第1 労災補償行政を巡る状況への対応
労災補償行政を巡る状況をみると、過労死等に係る労災請求件数は2,500件以上に上り、石綿関連疾患に係る労災請求件数も1,100件以上に上るなど、多くの複雑困難事案の処理を求められている状況にある。
過労死等を巡る国民の関心は高く、とりわけ過労死等の発生を防止するための取組強化に対する社会的要請が強まっており、長時間労働の是正を大きな柱として、政府を挙げて推進する「働き方改革」に労働基準行政として実施することが求められている中、労災補償行政においては、過労死等の労災請求事案に引き続き適切に対応していくことが肝要である。
また、「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」が成立し、本年4月から施行されることに伴い、今後外国人労働者の増加が見込まれることから、これまで以上に外国人労働者に対する労災保険制度の周知、請求勧奨等の取組について的確に実施する必要がある。
加えて、今般、厚生労働省の毎月勤労統計調査において、全数調査するとしたところを一部抽出調査で行っていたことにより、平成16年度以降の同調査における賃金額が低めに出ていたことから、同調査の平均給与額の変動を基礎としてスライド率等を活用している労災保険制度等の給付額に影響が生じたところである。これに伴う労災保険等の追加給付については、厚生労働行政全体にわたる大きな問題であり、追加給付に関する対応そのものも国民が厳しく注視をしていることから、対応によって国民の不信を招くこととならないよう、その対応に万全を期す必要がある。
一方で、厳しい定員事情や行政経費に係る予算事情など、行政を取り巻く環境は厳しさを増しており、このような中で、労災補償行政に対する国民の期待に応え、労災請求事案に適切に対応するためには、厚生労働本省、都道府県労働局(以下「局」という。)及び労働基準監督署(以下「署」という。)が、より一層連携して効率的な業務運営に取り組み、的確な事務処理の実施に必要な人材育成を行うことが重要となっている。
このため、平成31年度においては、特に次の事項を重点的に推進することとする。
① 過労死等事案などの的確な労災認定
② 迅速かつ公正な保険給付を行うための事務処理等の徹底
③ 労災補償業務の効率化と人材育成
第2 過労死等事案に係る的確な労災認定
1 的確な労災認定に向けた調査上の留意点
(1) 労働時間の的確な把握
脳・心臓疾患における業務による過重負荷や精神障害における業務による心理的負荷の評価に当たっては、労働者の労働時間を的確に把握することは必要不可欠な調査である。
労災認定のための労働時間は、労働基準法第32条で定める労働時間と同義であり、その把握に当たっては、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであることに留意の上、当該労働者の労働時間の把握に当たっては、使用者の指揮命令下にあることが認められる時間を的確に把握すること。そのためには、タイムカード、事業場への入退場記録、パソコンの使用時間の記録等の客観的な資料を可能な限り収集するとともに、上司・同僚等事業場関係者からの聴取等を踏まえて事実関係を整理・確認し、始業・終業時刻及び休憩時間を詳細に特定した上で、当該労働者が実際に労働していると合理的に認められる時間を的確に把握すること。その際、事業場において休憩時間とされている時間であっても、黙示を含む使用者の指揮命令に基づき労働者が業務に従事している、又は手待時間と同様の実態が認められるなど労働からの解放が保障されていない場合には、労働時間として算入すべきことに留意すること。
また、高度プロフェッショナル制が適用される労働者については、健康管理時間を把握することが事業主に義務づけられていることから、労働時間の特定に当たっては、健康管理時間の記録も参考とすること。
なお、平成30年3月30日付け基監発0330第6号、基補発0330第5号「過労死等事案に係る監督担当部署と労災担当部署間の連携について」において指示したとおり、労災請求を端緒とする監督指導の対象となる事案については、監督担当部署において事業場から入手した労働時間集計表及び疎明資料を労災担当部署に提供することとされていることから、それらの資料を活用しつつ、必要な調査を行い、監督担当部署と協議を行った上で、労働時間を特定すること。
(2) 労災認定基準の適切な運用
ア 脳・心臓疾患
(ア) 対象疾病以外の疾病
脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準に掲げる対象疾病以外の疾病については、一般的に過重負荷に関連して発症するとは考えがたいことから、業務による過重負荷に関連して、これらの疾病が発症したとして労災請求された事案については、専門医等に対し、対象疾病に該当するか否か等の医学意見を徴した上で、対象疾病に該当しない場合は、本省に相談すること。
(イ) 業務の過重性の評価
過重負荷の評価に当たっては、脳・心臓疾患を発症した労働者と同程度の年齢、経験等を有する健康な状態にある者のほか、基礎疾患を有していても日常業務を支障なく遂行できる同僚又は同種労働者にとっても、特に過重な業務であったか否かという観点からの検討を行うこと。
イ 精神障害
(ア) 専門家意見の収集
心理的負荷による精神障害の認定基準においては、認定要件を満たすか否かについて、主治医意見により判断すべき事案、専門医意見により判断すべき事案及び専門部会意見により判断すべき事案を示しているところであり、局においては、署に対して当該認定基準に基づく医学意見の収集方法について、適切な指導を行うこと。
(イ) 嫌がらせ、いじめの事実認定
精神障害事案については、上司、同僚等からの聴取等の調査を尽くした上で、業務による出来事の事実認定を行っているところであるが、特に、請求人が嫌がらせ、いじめを主張する事案については、関係者が相反する主張をする場合がある。このため、当事者の事業場内における役割、指揮命令系統を把握した上で、できる限り客観的な第三者から聴取等を行い、業務指導の範囲を逸脱した言動等の有無につき、確認を行った上で、嫌がらせ、いじめに該当するか否かの判断を行うこと。
2 過労死等事案に係る関係部署との連携
過労死等事案については、上記第1のとおり、その発生を防止するための対策が労働基準行政における重要な課題となっていることを踏まえ、局及び署においては、引き続き労災担当部署と監督・安全衛生担当部署との緊密な連携を図るとともに、本省とも情報の共有を図る必要がある。
このため、署管理者は、労災担当部署と監督・安全衛生担当部署における情報共有を徹底すること。局管理者は、過労死等事案に係る調査の進捗及び労災担当部署と監督・安全衛生担当部署における情報共有等の状況について的確に把握し、労災担当部署において把握した情報が監督・安全衛生担当部署に共有されるよう、また、必要に応じ、監督担当部署と協議を行うよう、署管理者に対し必要な指示を行うとともに、社会的に注目を集める可能性の高い事案については、本省への所要の報告を確実に行うこと。
具体的には、監督担当部署との連携は、平成30年3月30日付け基監発0330第6号、基補発0330第5号「過労死等事案に係る監督担当部署と労災担当部署間の連携について」において、安全衛生担当部署との連携は、平成29年3月31日付け基監発0331第1号・基補発0331第6号・基勤発0331第1号・基安労発0331第1号「『過労死等ゼロ』緊急対策を踏まえたメンタルヘルス対策の推進に当たっての具体的手法について」において指示しているところであり、今後も監督・安全衛生担当部署と密接に連携すること。
第3 石綿関連疾患に係る的確な労災認定
1 的確な労災認定に向けた調査上の留意点
(1) 石綿関連疾患に係る医学意見の的確な徴取
石綿関連疾患においては、認定基準に定められた疾病に該当するか否か、胸膜プラーク等の所見が認められるか否か等の医学的所見が労災認定の重要な要件であることから、その判断に当たっては、主治医の意見だけでなく、地方労災医員等の意見を徴すること。
また、主治医と地方労災医員等の見解が異なる場合等については、石綿確定診断委員会に対して確定診断の依頼を行うこと。
なお、良性石綿胸水の事案については、全数確定診断の依頼が必要であることから、地方労災医員等の意見を徴することなく、速やかに石綿確定診断委員会に対して確定診断の依頼を行うこと。
(2) 本省協議等
上記(1)によってもなお確定診断に至らなかった事案や死亡原因などの医学的判断に疑義が生じたもの等については、必ず本省に協議又は相談すること。
また、傷病年月日については、現実に療養が必要となった日であり、主治医から石綿関連疾患の診断がなされる前から自覚症状を訴え、別の医療機関で治療している場合には、主治医や地方労災医員等に対して、当該疾患の症状の経過等を確認し判断すること。
(3) 石綿ばく露作業の的確な把握
石綿ばく露作業従事歴は、労災認定を行う上で重要な調査事項であるとともに、その的確な把握は、迅速な認定にも資するものである。このため、石綿ばく露作業の調査に当たっては、平成17年7月27日付け基労補発第0727001号「石綿による疾病に係る事務処理の迅速化等について」及び平成24年9月20日付け基労補発0920第2号「石綿による疾病の業務上外の認定のための調査実施要領について」に基づき、効率的な調査を実施すること。その際、石綿ばく露作業に最後に従事した事業場は公表の対象となることを踏まえ、最終石綿ばく露事業場の確認は慎重に行うこと。
なお、石綿ばく露作業の有無や期間、最終ばく露事業場の判断等に疑義が生じたもの等については、必ず本省に協議又は相談すること。
2 石綿関連疾患に関する労災補償制度等の周知
(1) 石綿労災認定等事業場の公表
石綿労災認定等事業場の公表に当たっては、公表データを管理するシステムへの入力等を確実に実施することが、効率的な公表作業に資するものである。このため、例えば、石綿関連疾患にり患して労災保険により療養している者が死亡し、当該死亡について遺族補償給付の支給決定を行った場合には、該当する保険給付の種別ごとに請求・決定年月日を入力するとともに、死亡年月日も漏れなく入力するなど、局において日頃から適正なデータ入力・管理を徹底すること。
また、平成31年度の石綿労災認定事業場の公表についても、引き続き、複数名での確認体制を整備した上で、システムに入力したデータは調査結果復命書により確認し、誤入力、入力漏れがないようにすること。
なお、公表対象事業場に対する公表の趣旨の説明等に当たっては、毎年「事業場対応マニュアル(Q&A)」(以下「マニュアル」という。)を全局に配布し、これを活用の上実施してきたところであるが、今後、公表事業場からの理解が得られやすい特記事項の記載例も盛り込んだ事例集を作成し、マニュアルと併せて配布する予定としているので説明等に活用すること。
(2) 労災保険指定医療機関等への周知
石綿関連疾患については、がん診療連携拠点病院をはじめとした労災保険指定医療機関等に対して、平成29年12月に労災補償制度等に関するパンフレットや石綿ばく露歴などのチェック表(以下「周知用資料」という。)を配布し、医療機関を通じた制度の周知を行ったところである。引き続き、新規の労災保険指定医療機関に対しては周知用資料等を活用することにより、制度周知を確実に実施すること。また、石綿労災認定等事業場に対しては、引き続き、退職労働者等への労災補償制度の周知を実施するよう依頼すること。
第4 その他の職業性疾病事案に係る的確な労災認定
1 電離放射線障害事案に係る調査上の留意点
認定基準において本省にりん伺することとされている事案については、認定基準別添の調査実施要領に基づき調査することとされているところであるが、特に、医療従事者に係る電離放射線障害の調査に当たっては、当該労働者のすべての業務経歴における作業内容や放射線業務従事の有無、被ばく線量、安全防護の状況等が具体的に分かるよう、可能な限り把握すること。
2 その他の職業性疾病事案に係る関係部署との連携
特に、職業がんや有害物質による中毒、有機粉じんによる肺疾患等の新しい疾病の労災認定に当たっては、原因物質の特定、当該物質のばく露状況等を詳細に把握する必要があるが、より一層効率的な調査を行うため、監督・安全衛生担当部署と情報共有するなど緊密な連携を図ること。
また、新しい疾病に関する請求事案については、本省報告を確実に行うこと。
3 業務上疾病の範囲の見直し
平成30年11月30日に労働基準法施行規則第35条専門検討会による報告書がとりまとめられ、「オルト―トルイジンによる膀胱がん」を労働基準法施行規則別表第1の2で定める業務上疾病の範囲に追加することが適当であるとされた。
これを受け、省令及び関係通達の改正を行う予定であり、これらの周知広報等について別途指示する予定であるので留意すること。
なお、オルト―トルイジンを取り扱う業務によって、膀胱以外の尿路に腫瘍が発症したとする事案については、昭和51年8月4日付け基発第565号「芳香族化合物のニトロ又はアミノ誘導体による疾病の認定基準について」の記の3(2)のなお書きに基づき、本省にりん伺すること。
第5 迅速かつ公正な保険給付を行うための事務処理の徹底
労災保険制度は、被災労働者及びそのご遺族に対し、必要な保険給付を行うことにより、迅速かつ公正な保護を図ることを目的としている(労働者災害補償保険法第1条)。この目的を実現するため、遵守すべき事務処理手順を定め全国斉一的な運用を行っているところであるが、平成31年度における事務処理については、特に次の事項に留意して取り組むこと。
1 毎月勤労統計に係る事案への対応について
毎月勤労統計に係る事案への対応については、今後、追加給付事務の準備状況などを厚生労働省ホームページに公表することとしていることから、公表資料等の各種情報に留意の上、被災労働者等からの電話相談、窓口相談に懇切・丁寧に対応すること。
また、局署で処理が必要になる追加給付に係る事務処理については、別途通知するところにより、適切に対応すること。
2 迅速処理に向けた的確な進行管理及び適正な事務処理の徹底
長期未決事案については、署長管理事案、局管理事案による管理など、長期未決事案の発生防止のために取り組んでいるところであるが、平成30年10月9日付け基発1009第2号「今後の保険給付の迅速処理に当たって留意すべき事項について」に基づき的確な進行管理を行うこと。
労災保険給付事務処理については、「労災保険給付事務取扱手引」や平成30年5月21日付け基発0521第2号「今後の労災保険給付等の適正な事務処理に当たって留意すべき事項について」により指示しているところであるが、今後とも適正な給付のための調査を徹底すること。
また、調査に当たっては、保険給付の決定のために真に必要な調査を行うことを基本とし、決定に不要な資料の収集や必要な資料の不足など過不足のないよう調査を行うこと。
さらに、関係書類を収集する際、被災労働者やそのご遺族等から同意書等を徴する場合は、機微な個人情報を収集することに特に留意の上、保険給付決定に当たり明らかに不必要な資料に係る同意書等を徴することがないよう徹底すること。
3 請求人等への懇切・丁寧な対応
被災労働者及びそのご遺族の請求人等に対する丁寧で分かりやすい説明の実施については、平成23年3月25日付け基労発0325第2号「今後における労災保険の窓口業務等の改善の取組について」(以下「窓口改善通達」という。)により指示しているところであるが、引き続き、これを徹底するとともに、相談等の段階で、調査が困難であることや業務上外の見込み等について言及することは厳に慎むこと。また、請求人等に対しては、窓口改善通達に基づき定期的な処理状況の説明を徹底し、懇切・丁寧に対応すること。
4 報道機関に対する的確な対応
過労死等事案など労災認定された個別の事案について社会的関心が高まっていることを背景に、局署において報道機関等から個別事案について取材を受ける機会が増えていることから、対応に当たっては、被災労働者及びそのご遺族等の個人情報保護の観点に十分留意すること。
なお、取材等を受けた場合は、必ず当日中に取材応答記録を作成し、速やかに本省へ報告すること。
5 不正受給防止に対する的確な対応
労災保険に係る不正受給事件が社会に与える影響は大きく、労災保険制度に対する不信を招来し、制度の適正な運営を大きく阻害することにもなりかねないことから、「労災保険給付事務取扱手引」に基づき、請求書審査等の事務処理を行うこと。
特に、特別加入者に係る不正受給防止対策については、平成29年12月7日付け基補発1207第1号「労災保険の特別加入者に係る不正受給防止対策の徹底について」に基づき、不正受給防止の徹底を図ること。
6 労災かくしの排除に係る対策の一層の推進
全国健康保険協会(協会けんぽ)の各都道府県支部から健康保険法の保険給付について不支給(返還)決定を受けた者の情報を得た場合において、被災労働者に対して、労災請求の勧奨を行うとともに、①労災かくしが疑われる場合、②新規の休業補償給付支給請求書の受付に際し、労働者死傷病報告の提出年月日の記載がない場合には、速やかに監督・安全衛生担当部署に対して情報の提供を行うこと。
7 労働者性の判断に当たっての留意点
労働者性の判断のうち、一般的に問題になることが多い法人の役員、請負制の大工、委託契約の外務員等判断が困難な事案については、適宜、監督担当部署に協議しつつ必要な調査を行い、的確に労働者性を判断すること。
8 給付基礎日額の算定に当たっての留意点
給付基礎日額の算定に当たっては、これまでも指示しているとおり、割増賃金の算定基礎に算入すべき手当が含まれているかどうかについて、就業規則等により確認することに加え、事業場に対して手当の算定根拠について詳細な確認を行うこと。
また、被災労働者の勤務実態等を踏まえ、適用される労働時間制度について疑義が生じる場合には、適宜、監督担当部署に協議しつつ必要な調査を行い、的確に給付基礎日額を算定すること。
9 一時金等の外国送金による支払手続の留意点
一時金等(前払一時金、葬祭料、定額の特別支給金等)の外国送金については、平成25年5月24日付け地発0524第1号、基発0524第7号「労災保険給付費等の支払事務の都道府県労働局への集中化及び労働基準監督署資金前渡官吏の廃止について」により、局官署支出官による支払となっているので、支払手続に漏れがないよう再度周知徹底を図ること。
10 第三者行為災害に係る事務処理の留意点
求償事案については、納入告知を行わずに当該債権を時効により消滅させることがないよう、災害発生から3年以内に納入告知を行うことを従前より指示してきたところであり、引き続きその事務処理の徹底を図ること。
納入督励及び債権回収に係る外部委託事業については、平成31年度においても弁護士又は弁護士法人を受託者として実施する予定であり、事務処理に係る留意点等については別途通知するので、より一層積極的に活用すること。
また、第三者行為災害事案に係る支給調整等事務については、平成31年8月より外部委託化することを予定しているが、外部委託化後における事務処理方法等については別途通知する。
11 特別加入制度の周知・広報等の積極的かつ効果的な実施
平成29年度より、本省において作成した一人親方等に係るリーフレットを関係行政機関や関係団体等を通じて送付し、厚生労働省ホームページ上の特別加入制度関係の紹介ページを掲載する等により、特別加入制度の積極的な周知・広報を実施しているところである。このため、関係省庁の出先機関や業界団体から労災保険制度の照会等が行われた場合は、引き続き適切に対応すること。
12 日本年金機構との情報連携
労災年金ではマイナンバー制度を活用し、日本年金機構へ厚生年金の金額等の情報照会を行うことにより、労災年金の請求書等への改定通知書等の添付を省略することを予定しているところである。
年金関係の情報連携の今後のスケジュールについては、日本年金機構及び3共済から地方公共団体等への情報照会については平成31年4月以降試行運用を開始し、地方公共団体等から日本年金機構及び3共済への情報照会については平成31年6月以降試行運用を開始することを想定しているところであるが、この対応の詳細については別途通知する予定である。
13 労災診療費に係る事務処理の留意点
(1) 労災診療費の的確な審査の実施等
労災診療費については、労災診療費算定マニュアル(平成30年度版)及び平成21年2月20日付け基労補発第0220003号「労災診療費に係る重点審査について」等に基づき、的確な審査を実施すること。
また、会計検査院の指摘等も踏まえ、労災保険指定医療機関等に対して、関係団体と連携しあらゆる機会を活用するなどにより、算定基準の周知に努めること。
審査においては、平成25年4月8日付け基労発0408第1号「地方厚生局等から提供された診療報酬返還等に関する情報提供の労災診療費審査業務への活用等について」及び平成25年4月8日付け基労補発0408第1号「地方厚生局等から提供された診療報酬返還等に関する情報の労災診療費審査業務への活用等における留意事項について」に基づき、提供を受けた情報について積極的に活用すること。
また、柔道整復、はり・きゅう及びマッサージについても同様に、それぞれ施術料金算定基準等に基づき的確な審査を実施すること。
(2) 労災レセプトオンライン化の普及促進について
労災レセプトオンライン化の普及促進については、平成29年5月12日付け労災発0512第1号「労災レセプト電算処理システムの普及促進に向けた取組について」に基づき、平成29年5月から平成32年3月末までの間を普及促進強化期間(第2期)として実施しているところである。
今般、平成31年1月7日付け基保発0107第1号「労災レセプトのオンライン化に向けた取組状況について」により、今年度の委託事業で実施した個別訪問や説明会の状況等について情報提供したところであるが、今後においても、委託事業の内容や実施状況等について、必要な情報提供を行っていく予定であるので、各局において取組を進めるに当たっては、これらを参考とされたい。
また、平成31年度においても引き続き労災保険指定医療機関(病院、診療所)及び労災保険指定薬局を対象として、レセプトのオンライン化を促進する委託事業を実施する予定である。
14 社会復帰促進等事業の留意点
(1) アフターケア通院費の支給範囲の拡大
アフターケア通院費については、平成31年1月8日付け基発0108第7号「アフターケア通院費支給要綱の一部改正について」及び同日付け基補発0108第1号「アフターケア通院費の支給に当たっての留意事項について」により、平成31年2月1日以降の通院より、アフターケア通院費を「移送」と同様の範囲に見直したところであるので、これらの通達等に基づき、事務処理について徹底を図ること。
また、平成31年1月に、本省よりアフターケア健康管理手帳の交付対象者あてにリーフレットを送付しているので、引き続き照会等に適切に対応すること。
さらに、新規にアフターケアを希望する者などについても、本省より送付しているリーフレット等により必要な説明を行うこと。
(2) 社会復帰支援に向けた適切な症状把握等
精神障害を発病したとして労災認定を受けた被災労働者については、社会復帰が難しく長期間にわたる療養を余儀なくされている傾向にある。今後、本省においてこれらの者に対する早期社会復帰に向けた支援策について検討を開始することを予定しているので、引き続き適切な症状把握等に努めること。
15 行政上の争訟に当たっての的確な対応
(1) 行政事件訴訟の的確な追行
平成30年度の訴訟追行状況をみると、対人関係のトラブル等の具体的な内容を裏付ける証拠や医学的証拠の収集が十分に行われなかったため、適切な主張ができずに敗訴した事例が認められた。
このため、訴訟追行に当たっては、平成22年8月4日付け事務連絡(最終改正平成29年3月29日)「労災保険に係る訴訟に関する対応の強化について」に基づく的確な訟務の追行の徹底を図ることとし、新件協議結果等に基づく指示を踏まえ、国側の主張を補強するため、関係者からの補充調査及び医学意見書の依頼等を確実に実施することにより、客観的な証拠に基づく裁判所を説得し得る主張・立証を的確に行うこと。
(2) 審査請求事案の公正・迅速な処理審査
請求受理後6か月以上経過した長期未決事案が増加傾向にあることから、局管理者は、「労災保険審査請求事務取扱手引」第3部のⅢ「局管理者における取組み」に基づき、毎月、事案ごとに処理状況を把握した上で助言や組織的支援を行うことにより、迅速処理に努めること。
また、労働者災害補償保険審査官は、的確に争点整理を行った上で審理に必要な資料の収集等を確実に実施することにより、公正・迅速な審査決定を行うこと。
(3) 不服申立て及び訴訟における取消事案の情報共有
局管理者は、訴訟等行政争訟における取消事案に係る原処分との判断が異なった事項等について、各種会議や職員研修において、署管理者をはじめとする職員に対して説明し、情報共有を図ること。
(4) 文書提出命令への的確な対応
文書提出命令の申立てが行われた場合の対応については、平成30年3月26日付け事務連絡「文書提出命令等に係る業務参考資料の送付について」において指示しているところであるが、的確な対応を行うため、裁判所より文書提出命令に係る文書が送達されたときは、署から局、局から本省への速やかな報告を徹底し、本省と連携を図りつつ対応すること。
16 地方監察の的確な実施等
地方監察は、地方労災補償監察官監察指針を踏まえ、計画的かつ効果的に実施すること。
特に、地方監察結果と併せ、平成30年度中央監察結果と自局の取組状況を検証し、改善すべき事務処理等について、翌年度の業務実施計画、監察計画等に反映させるとともに、会議等のあらゆる機会を通じてすべての労災担当職員に周知・徹底し、適正な事務処理を定着させること。
17 個人情報等の厳正な管理
(1) 特定個人情報の適切な取扱いの徹底
労災年金たる保険給付に関する事務における特定個人情報等の取扱いについては、平成29年4月25日付け基発0425第3号「労災保険給付個人番号利用事務処理手引の改定について」(以下「個人番号事務処理手引」という。)において指示しているところである。
個人番号事務処理手引においては、管理者による特定個人情報ファイルのアクセス記録の確認を毎月1回定期的に行うよう指示しているところであり、定期的に通知している「個人番号関係機械処理件数一覧」を活用し、アクセス記録の確認の実施を徹底すること。
(2) 個人情報の漏えい防止
個人情報の漏えい防止については、平成28年3月28日付け地発0328第5号「都道府県労働局における保有個人情報漏えい防止及び発生時の対応について」により指示されているところであるが、平成30年度においても、多くの情報漏えい事案が生じており、いずれの事案も、基本的事務処理が徹底されていないことによるものであったことから、改めて基本的事務処理を確認し、個人情報の管理を徹底すること。
また、石綿関連文書の保存については、平成27年12月18日付け地発1218第4号・基総発1218第1号「石綿関連文書の保存について」に基づく保存がなされるよう、引き続き管理を徹底すること。
第6 外国人労働者への懇切丁寧な対応
1 外国人労働者に対する労災保険制度の周知及び請求勧奨の取組
外国人労働者については、我が国の労災保険制度について知識が十分でない場合も多い上、労働災害に遭われ亡くなった労働者のご遺族にあっては、母国にあって我が国の労災保険制度を不知であることから、機会を捉えて母国語等による周知等を行い、制度不知による請求漏れのないよう、きめ細やかな対応を図る必要がある。
外国人労働者に対する労災保険制度については、従前、「(日本で働く外国人向け)労災保険請求のためのガイドブック」等を活用するなど労災保険制度の説明を行っているところであるが、今後は、監督・安全衛生担当部署との情報共有を図ることとしているので、別途通知するところにより一層的確に対応すること。
また、外国人技能実習生に対する労災保険制度の周知については、監督・安全衛生担当部署からの情報に加えて、平成29年10月27日付け基補発1027第2号「今後の技能実習生の死亡災害に関する労災保険給付の請求勧奨等について」に基づき、外国人技能実習機構等から情報提供を受けた際には、実習実施者に対して外国人労働者のご遺族に労災保険制度の周知を依頼するなど、引き続き請求勧奨に努めること。
2 外国人労働者からの相談対応について
外国人労働者、外国人労働者を使用する使用者等からの窓口相談に対しては、局労働基準部監督課又は署に設置している「外国人労働者相談コーナー」において労災請求等に関する相談も受け付けており、平成31年度から対応言語を6言語から8言語(※)に増やすこととしているため、適宜活用すること。また、外国人労働者等の電話相談に対応する「外国人労働者向け相談ダイヤル」や、局署の閉庁後や土日の電話相談に対応する「労働条件相談ほっとライン」についても、同様に8言語に増やすこととしているため、適切に案内を行うこと。
※英語、中国語、ポルトガル語、スペイン語、タガログ語、ベトナム語、ネパール語、ミャンマー語
第7 労災補償業務の効率化と人材育成
上記第1のとおり、様々な行政需要がある一方で厳しい定員事情や行政経費に係る予算事情など、行政を取り巻く環境は厳しさを増している中で、労災補償行政に対する国民の期待に応え、労災請求事案に的確に対応するためには、日々業務の効率化を行いつつ、非常勤職員の活用、人材育成のための研修・業務支援の充実、外部委託化等様々な手法を用いながら業務運営を行う必要がある。
平成31年度においては、特に次の事項について、各局の実情に応じ効率的な業務運営を行うこと。
1 非常勤職員の活用と研修・業務支援等の活用
(1) 非常勤職員等の積極的活用
非常勤職員については、近年の変化する労災保険業務の状況等を踏まえ、局署の実情に応じて効果的・効率的な配置・業務遂行を行えるよう、業務による区分を廃止することとし、業務レベルに応じて3類型に大括り化した非常勤職員を新設することとしている。
これらの非常勤職員を積極的に活用するとともに、労災補償業務を熟知した再任用職員を有効に配置し、職員と一体的に事務処理を行うこと。
(2) 労災保険給付事務に係る研修・業務支援の活用
新規非常勤職員等を対象に、第1四半期に本省において労災保険給付事務に係る基本的事項に係る研修を実施する予定であることから、局署の管理者は新規に採用した相談員等に研修を受講させること。
また、本省における研修の実施以外にも、労災業務OJTマニュアルや労災補償業務担当者コースの初任者ブロック研修資料といった既存の資料を活用することに加え、業務に必要な研修資料を本省において作成・配布するので、これらを活用し、業務に必要な知識を付与し更なる活用を図ること。
特に、職員の育成については、各局における取組事例を収集した上で、好取組事例等を情報提供するので活用すること。
さらに、局から支援の要望があった場合には、要望内容に応じ、非常勤職員を含めた職員の能力向上のための研修の実施や、事務処理の習熟に効果的な資料やノウハウの提供等必要な支援を引き続き行うこととしている。
(3) コールセンターの拡充とテレビ会議機能等を有するWEB端末の活用
コールセンターについては、平成30年7月から対象を全国81署に拡充し、より一層、職員の電話対応等の効率化を図ることとしている。コールセンターにおいては、署で開催する説明会の出欠連絡等のとりまとめ対応も行っているので、適宜活用すること。
また、昨年度導入したテレビ会議機能がついたWEB端末については、平成31年度から5年契約で引き続き配置するので、各種会議や研修等に活用すること。
2 労災補償業務の効率的な事務処理の実施
各局においては、療養の給付請求書の審査、複雑困難事案の事務処理の効率化等の取組を実施しているところであるが、あくまでも効率的な事務処理に資する見直しを行うことに留意の上実施すること。
なお、業務見直しを実施するにあたり、疑義等が生じた場合は適宜本省に相談すること。
