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○水道事業ビジョンの作成について

(平成26年3月19日)

(健水発0319第4号)

(各厚生労働大臣認可水道事業者・各厚生労働大臣認可水道用水供給事業者あて厚生労働省健康局水道課長通知)

(公印省略)

厚生労働省では、「水道ビジョン」を平成16年に策定(平成20年改訂)し、「地域水道ビジョンの作成について」(平成17年10月17日付け健水発第1017001号厚生労働省健康局水道課長通知)により、水道事業者及び水道用水供給事業者(以下「水道事業者等」という。)による「地域水道ビジョン」の作成を奨励してきたところです。

また、平成25年3月には、人口減少社会の到来や東日本大震災の経験など、水道を取り巻く環境の大きな変化に対応するため、これまでの「水道ビジョン」を全面的に見直し、50年、100年後の将来を見据え、水道の理想像を明示するとともに、取り組みの目指すべき方向性やその実現方策、関係者の役割分担を提示した「新水道ビジョン」を策定しました。「新水道ビジョン」では、水道事業者等が自らの水道事業ビジョンを作成し、その内容の実現に向けた取り組みを積極的に推進することが必要であるとしています。

ついては、「新水道ビジョン」を踏まえ、これまで水道事業者等による作成を推奨してきた「地域水道ビジョン」を「水道事業ビジョン」に改めます。未だ自らのビジョンを作成していない水道事業者等においては、早急に「水道事業ビジョン」を作成することにより、また、既に作成済みの水道事業者等においては、現状との乖離がある場合や「新水道ビジョン」を踏まえて見直しが必要な場合等必要に応じて自らのビジョンを改定することにより、「新水道ビジョン」に基づいた各種施策のより一層の推進を図るようお願いします。

さらに、上述のような水道事業者等の取り組みを推進するため、「新水道ビジョン」に対応した「「水道事業ビジョン」作成の手引き」(別添)をとりまとめましたので、策定又は改定する際には、活用いただくようお願いします。

なお、「地域水道ビジョンの作成について」(平成17年10月17日付け健水発第1017001号厚生労働省健康局水道課長通知)は廃止します。

○水道事業ビジョンの作成について

(平成26年3月19日)

(健水発0319第5号)

(各都道府県水道行政主管部(局)長あて厚生労働省健康局水道課長通知)

(公印省略)

厚生労働省では、平成25年3月に「新水道ビジョン」を策定し、それを踏まえて、各都道府県において「都道府県水道ビジョン」を策定するよう、「広域的水道整備計画及び都道府県水道ビジョンについて」(平成26年3月19日付け健水発0319第3号厚生労働省健康局水道課長通知)により当職より要請したところですが、「新水道ビジョン」では、水道事業者等が自らの水道事業ビジョンを作成し、その内容の実現に向けた取り組みを積極的に推進することが必要であるとしています。

ついては、「新水道ビジョン」を踏まえ、これまで水道事業者等による作成を推奨してきた「地域水道ビジョン」を「水道事業ビジョン」に改めた上で、未だ自らのビジョンを作成していない水道事業者等においては、早急に「水道事業ビジョン」を作成することにより、また、既に作成済みの水道事業者等においては、現状との乖離がある場合や「新水道ビジョン」を踏まえて見直しが必要な場合等必要に応じて自らのビジョンを改定することにより、「新水道ビジョン」に基づいた各種施策をより一層推進するよう厚生労働大臣認可水道事業者等に要請したところですので、その旨承知されるとともに、貴認可の管内水道事業者等に周知及び要請をするようお願いします。

さらに、上述のような水道事業者等の取り組みを推進するため、「新水道ビジョン」に対応した「「水道事業ビジョン」作成の手引き」(別添)をとりまとめましたので、策定又は改定する際には、活用いただくよう管内水道事業者等に周知いただくようお願いします。

なお、「地域水道ビジョンの作成について」(平成17年10月17日付け健水発第1017002号厚生労働省健康局水道課長通知)は廃止します。

[別添]

「水道事業ビジョン」作成の手引き

1.目的

平成25年3月に、厚生労働省は「新水道ビジョン」を策定・公表した。この新水道ビジョンは、平成16年の水道ビジョン策定から約9年が経過し、水道を取り巻く環境が大きく変化していることから、これまで国民の生活や経済活動を支えてきた水道の恩恵を、今後も全ての国民が継続的に享受し続けることができるよう、50年、100年後の将来を見据え、水道の理想像を明示するとともに、その理想像を具現化するため、今後、当面の間に取り組むべき事項、方策を提示しているものである。

水道事業者及び水道用水供給事業者(以下「水道事業者等」という。)にあっては、「地域水道ビジョン作成の手引き」(平成17年10月17日付け水道課長通知)において示した事項を地域水道ビジョンとして作成又は検討していただいているところであるが、本手引きは、新水道ビジョンの考え方を水道事業ビジョンに反映する際の記載事項や検討手法等を示すことによって、実効性の高い水道事業ビジョン策定の促進を図り、もって安全で強靱な水道の持続に資することを目的とするものである。

2.水道事業ビジョンの位置づけ

我が国の水道事業は、経営主体が水道法第6条に基づく事業認可を受けることで経営することができるものであり、事業認可申請の際には、水道法第7条に基づき、事業計画書等を作成し、それらの計画に基づいて施設整備や事業運営が遂行されている。現状における水道普及率は、高度経済成長期の急速な新設、拡張により一定の水準に到達し、現在においては、施設の整備は更新・改良等が中心となっている。そうした成熟期にある水道事業においては、特に長期的視点を踏まえた戦略的な水道事業の計画立案が必要であり、また給水区域の住民に対して事業の安定性や持続性を示していく責任があり、最低限必要と考えられる経営上の事業計画について、水道事業のマスタープランとして、策定、公表していくことが重要である。

なお、平成17年10月17日付けの水道課長通知による「地域水道ビジョン作成の手引き」における「地域水道ビジョン」は、別途都道府県の水道行政に作成を依頼している「都道府県水道ビジョン」と水道事業者等が自らの事業ビジョンとして作成すべきとする「水道事業ビジョン」の両方を指したものとすることとする。

今後についても、水道事業ビジョン及び都道府県水道ビジョンの総称を地域水道ビジョンとし、各水道事業者等が作成するビジョンを水道事業ビジョンとして位置づけ、厚生労働省において策定状況を把握していくこととする。

また、水道事業ビジョンに類する水道事業のマスタープランや中長期計画等を既に策定・公表している場合、その基本的記載事項に、現状評価・課題、将来の事業環境、地域の水道の理想像と目標設定、推進する実現方策、検討の手法とフォローアップに関する項目が盛り込まれているものであれば、当該マスタープラン等を水道事業ビジョンとして位置づけて差し支えない。

水道事業ビジョンの作成に当たっては、都道府県と調整の上、都道府県水道ビジョンとの整合についても留意することが望ましい。

3.水道事業ビジョンの作成主体

水道事業ビジョンの作成は、水道事業者等が当該水道事業ビジョンを自ら作成することを基本とする。また、複数の水道事業を有する市町村においては、それらを包含して市町村単位で水道事業ビジョンを作成することを基本とする。また、複数の市町村が事業統合する予定がある場合などにおいては、関係市町村が共同して当該水道事業ビジョンを作成することが望ましい。

4.水道事業ビジョンの設定期間

水道事業ビジョンは、当面の目標点を策定から概ね10年後とし、50年、100年先の将来を見据えた当該水道事業の理想像を明示することを基本とする。

5.基本的な記載事項

水道事業ビジョンの作成にあたっては、新水道ビジョンで示す50年、100年先の水道の理想像を踏まえたうえで、「持続」「安全」「強靱」の観点からの課題抽出や推進方策を具体的に示すとともに、その取り組みの推進を図るための体制を確保することが望ましい。地域の実情に応じ、課題や方策の重点化が異なることも想定されるので、水道事業ビジョンに掲げる課題や方策は弾力的に整理されるべきである。

本手引きにおいて例示した事項等を参考に、当該水道事業者等の状況や取り巻く環境などに応じて記載内容を整理することとする。

水道事業ビジョンに記載すべき基本的な事項として想定される内容は、以下のとおりである。

① 水道事業の現状評価・課題

② 将来の事業環境

③ 地域の水道の理想像と目標設定

④ 推進する実現方策

⑤ 検討の進め方とフォローアップ

上記の基本的な事項の検討に関する視点として、当該水道事業におけるビジョンは、地域の人口分布、産業構造、施設配置、経営環境等の事業特性や地域特性を踏まえ、作成主体が創意工夫しつつ作成すべきである。したがって、大規模水道事業者及び水道用水供給事業者にあっては、積極的に近隣の水道事業を牽引する内容となるよう留意する必要がある。

中小規模水道事業者は、近隣の大規模水道事業者又は水道用水供給事業者におけるビジョンの内容等に配慮しつつ、地域的に連携できるブロック単位で共有可能な目標設定や広域化検討に発展する構成や記載内容も含むこととし、発展的広域化の枠組みでの協力体制の構築により共同して作成するなど、柔軟な内容とすることが望ましい。

6.作成要領

6.1 水道事業の現状評価・課題

それぞれの地域における水道事業ビジョンの策定にあたっては、まず、地域行政の実情や水道事業の沿革といった基本事項を整理しておく必要がある。また、当該市町村の実情にとどまらず、周辺市町村(又は水道事業)との関係性も踏まえた現況を整理するとともに、水道事業の歴史を再認識し、地域と水の関わりを確認しておくことは、水道事業の将来像を設定するうえで、有効であるといえる。

水道事業の歴史、沿革は、各地域の普及状況等により様々であるが、これまで辿ってきた経過を踏まえて、定量的分析も加えつつ現状評価を行うことが望ましい。

このような現状評価を行ったうえで、地域で信頼されるための「安全」で「強靱」な水道の「持続」に向けた現状における課題を明確に表現することが適切である。

(定量的分析には、「水道事業ガイドライン JWWA Q100」に基づく業務指標(PI)の活用等が有効であるが、算出が困難な指標についてもその根拠を研究する等の配慮が必要。)

現状評価とそれに基づく課題についての概略的な記載内容、項目の例は別表1のとおりである。

6.2 将来の事業環境

水道事業における将来の事業環境を認識することは、新水道ビジョンの考え方においても非常に重要である。したがって、少なくとも以下の項目について、各水道事業における現状の評価と課題から将来の事業環境を予測し、将来像を認識することを基本とする。

(1) 外部環境

① 人口減少

我が国の総人口は2010年頃から減少に転じ、少子化傾向により今後も減少傾向が継続する見込みである。そのため、ごく一部の地域を除き、将来の人口増加を見込めない中での事業運営を余儀なくされる。これは、今後の事業規模を縮小していく方向性に繋がるものであり、現実を直視しつつ事業環境を明記することとする。

② 施設の効率性低下

ほとんどの場合、将来の水需要は現状と比較して減少傾向を示すと考えられる。今後の施設更新等に当たって、これまでと同様の施設配置でよいかどうか、事業環境を踏まえた方向性を示すこととする。

③ 水源の汚染

水源の汚染リスクを想定した将来の対応、クリプトスポリジウム等の対策、ゲリラ豪雨等に備えた高濁度原水対策等、当該水道事業における水源環境を踏まえた適切な対策を実施することの必要性を示すこととする。

④ 利水の安全性低下

近年の少雨化や降雨量の大幅な変動によって、渇水の影響を受けるなど利水の安全性を踏まえ、水源確保に関する事業環境を示すこととする。

(2) 内部環境

① 施設の老朽化

将来に向けての当該水道事業における施設の老朽化の動向や必要となる施設整備等を再認識し、計画的な施設整備に関する見通しを示すこととする。

② 資金の確保

水道事業の経営を維持していくために必要となる資金は、基本的に料金収入によって確保されるものであるが、将来の料金収入の動向を再認識したうえで、財政基盤の見通しを示すこととする。

③ 職員数の減少

水道事業を支えるためには、組織体制を維持し、人材を確保しておく必要があり、一定数の職員数を確保しておくことが不可欠であるため、組織体制維持のための将来の見通しを示すこととする。

6.3 地域の水道の理想像と目標設定

水道の理想像は、人口減少による事業の非効率化や施設の老朽化の進展など、水道を取り巻く時代や環境の変化に対し的確に対応しつつ、水質基準に適合した水が、必要な量、いつでも、どこでも、誰でも、合理的な対価をもって、安心して利用可能であり続けるということであり、このような水道を実現するために、当該水道事業の実情に応じた水道の理想像と、理想像を具現化するための目標設定を行う。

(1) 理想像

新水道ビジョンに示した「持続」「安全」「強靱」の観点に留意しつつ、50年、100年先を見据えた地域の水道の基本理念及び理想像を示す。

新水道ビジョンに掲げた基本理念「地域とともに、信頼を未来につなぐ日本の水道」を踏まえ、当該水道事業において、必要に応じて基本理念を設定するものとする。

また、地域の水道の理想像としては、「安全」で「強靱」な水道の「持続」に関する、あるべき姿を以下のように端的に表記するなど、公表した際に需要者である住民等に親しみ易い理想の姿を表現することが望ましい。

持続:いつまでも皆様の近くにありつづける水道

安全:いつでも安心して飲める、安全で信頼される水道

強靱:災害に強く、たくましい水道

(2) 目標設定

当該水道事業において設定した理想像を具現化するため、「持続」「安全」「強靱」のそれぞれの観点から地域の実情を踏まえた施策に関する目標の設定を示すこととする。

定量的な目標設定については、引き続き業務指標を活用した設定が参考になると考えられる。業務指標に設定の無いものであっても例えば重要給水施設配水管の耐震化など、新水道ビジョンを踏まえた目標設定の例と、目標毎の指標案を整理したものを別表1に示す。当該水道事業において取り組む施策については積極的に数値化し、達成期限を明記することが望ましい。

6.4 推進する実現方策

設定した目標を達成するためには、具体的な各種方策を推進していく必要がある。新水道ビジョンに示す「重点的な実現方策」を参考にしつつ、当該水道事業において推進すべき方策を取り上げるとともに、当該水道事業において、取り組むことが適切であると判断される内容を採用して具体的方策を記載することとする。6.1で示した現状評価・課題毎に考えられる目標設定の例と、それぞれに対応する実現方策(課題解決策)の例を別表2に示す。

単独で行うことが困難であって、近隣事業体との連携により実施すべき事項がある場合には、その旨記載されることが望ましい。

特に水道用水供給事業と受水水道事業、又は近隣の複数の水道事業が共同して行う実現方策については積極的に記載することとし、少なくとも、実施予定の実現方策について、相互了解のもとに推進されることにより、効率的かつ現実的な内容とする必要がある。

(1) 戦略的アプローチによる方策推進

方策の推進にあたっては、「持続」「安全」「強靱」のそれぞれについて、課題解決のための基本的な取り組みとして、施設の再構築等を考慮した「アセットマネジメント」の実施並びに「水安全計画」及び「耐震化計画」の策定を必須事項とする。これらを戦略的アプローチとして、水道事業における体制強化を図ることとする。戦略的アプローチによる取り組みについて、未実施の水道事業にあっては具体的な時期を明示することとし、既に実施済みの水道事業にあっては適切な活用による実施方針や具体的な実現方策について記載することとする。

①戦略的アプローチによる基本的な取り組みが未実施の場合

(i) 持続:アセットマネジメント(タイプ2C(注)又は「簡易支援ツール」のステップ2)(注)を平成○○年までに実施し、施設の再構築や規模の適正化を考慮したアセットマネジメント(タイプ4D(注)又は「簡易支援ツール」のステップ3)(注)を平成○○年までに実施する。

(ii) 安全:水安全計画を平成○○年までに策定し、水源から給水栓に至る水質管理体制の徹底を図る。

(iii) 強靱:耐震化計画策定指針に基づき、平成○○年までに施設耐震化計画を策定する。また、アセットマネジメントの結果を参考に、平成○○年までに施設の再構築に関する計画を策定する。

②戦略的アプローチによる基本的な取り組みを策定済みの場合又は策定後の目標を設定する場合

(i) 持続:施設の再構築や規模の適正化を考慮したアセットマネジメント(タイプ4D(注))は平成○○年に実施済みであること、今後は設定した財源確保策のための料金改定を平成○○年頃から検討し、浄水場の統廃合等の施設の再構築に関する計画を推進すること等、具体的な目標の達成方策について記載すること。

(ii) 安全:水安全計画は平成○○年までに策定済みであること、今後毎年度検証を実施しつつ、近隣水道事業とも連携した水質管理体制(協議会等)を平成○○年までに構築すること等、具体的な目標の達成方策について記載すること。

(iii) 強靱:平成○○年に施設耐震化計画を策定済みであること、施設耐震化の着実な推進を図り、当面、重要給水施設配水管の耐震化を図り、○年後に耐震化を完了させること、平成○○年までに基幹施設耐震化○○%とすること等、具体的な目標の達成方策について記載すること。また、施設再構築計画をもとにした更新事業を推進し、管路更新率を○%程度で、今後20年程度の施設投資を平準化する。

(注)アセットマネジメントのタイプについては「水道事業におけるアセットマネジメント(資産管理)に関する手引き」(厚生労働省健康局水道課 平成21年7月)のⅠ―24ページを、簡易支援ツールのステップについては「簡易支援ツールを使用したアセットマネジメントの実施マニュアル」の【参考資料】4.手引きの“タイプ”との関係を参照のこと。

(2) 連携と挑戦の姿勢

推進する実現方策の検討においては、各水道事業の規模や地域における役割に応じ、以下の点についても検討を加え、今後の方針や具体的な取り組み内容について記載することが望ましい。

① 連携

(i) 地域の核となる水道事業者

当該水道事業者は、相応の組織力と技術力を有することから、近隣の水道事業者、特に財政的・技術的基盤が十分でないような中小規模の水道事業者を支援する役割を担うことが期待される。地域ごとの連携を深め、発展的広域化の推進に寄与する枠組みを設定の上、連携体制の構築に当たっては地域の水道事業者の牽引役としてリーダーシップを発揮することが重要であり、どのように当該連携体制の構築やリーダーシップを発揮していくか。

(ii) 中小規模水道事業

当該水道事業において、単独では解決の方向性が見出せない課題が少なからず存在すると考えられる。そのような状況において、近隣水道事業との連携による広域化や民間連携は課題解決の方策の選択肢となる。今後の厳しい事業環境の中、新水道ビジョンで示す水道の理想像の具現化のため、広域化や官民連携を視野に入れつつ、人材の確保や施設の効率的な配置、経営の効率化など事業の運営基盤をどのように強化していくか。

(iii) 水道用水供給事業者

水道事業の理想は、水源から給水栓までの一貫した運営管理である。しかし、各地域に偏在する水源を広域的に確保する必要性など、一定の役割をもって水道用水供給事業が実施されてきた。特に、中小規模水道事業への供給を行う水道用水供給事業者にあっては、受水水道事業の持続的な運営基盤を配慮した統廃合も踏まえた将来への対応を検討する必要がある。従来の「広域水道」としての水源整備の観点から、一定の役割を果たした水道用水供給事業者については、受水市町村等に対して、自己水源量と受水水量のバランスを見直す協議等を先導し、給水の実態に適合した事業規模の設定や効率的な施設運用を検討する役割が求められ、どのように当該役割を果たしていくか。

② 挑戦

(i) 大規模水道事業者

世界トップレベルの日本の水道技術を維持・発展するためには、さらなる技術開発や調査研究を充実させるとともに、国際展開による諸外国との情報交換や技術支援等も有効である。我が国全体の水道技術の維持・発展に貢献するため、どのような役割を果たしていくのか、挑戦の姿勢を示すことが望ましい。

また国等と連携し、国際展開による諸外国との情報交換や技術支援等を行うことで職員の資質向上を図り、より高いレベルの技術を確保するため、どのような取り組みを進めていくか。

(ii) 中小規模水道事業者

近隣水道事業との連携は、行政的な繋がりや歴史的経緯等から短期的な対応が困難な場合も想定されるが、持続可能な水道サービスを確保するため、積極的な挑戦の姿勢で連携体制の構築をビジョンに示すことが必要である。

これを実現するため、近隣水道事業者や水道用水供給事業者と連携して課題等を共有するとともに、その課題解決のため、関係者の内部的な利害得失を克服し、実施可能な方策をどのように講じていくか。

また多角的な視点から、事業の根本的な見直しを含めた検討や近隣水道事業者との連携にどのように着手していくか。

(iii) 水道用水供給事業者

受水水道事業との連携を図る取り組みを推進することとし、施設の共同利用、相互の専門性を活かした人材交流、経営の統合、のそれぞれについて、関係者との調整を行うことを前提に、将来の合理的な水道の運営に関する検討をどのように進めていくか。

6.5 検討の進め方とフォローアップ

(1) 検討の手法

① 都道府県が作成する都道府県水道ビジョンとの整合について議論する場を設ける。

② 水道事業ビジョンの策定又は改定にあたっては、地域の水事情に精通した学識経験者、水道利用者である住民等、第三者の参加を得た検討会等を設置するとともに、パブリックコメント等の活用を通じて広く意見を聴取・反映することが望ましい。

(2) スケジュール

これまでに地域水道ビジョンを策定していない水道事業者等においては、速やかに策定作業に着手する必要がある。

これまでに既に地域水道ビジョンを策定した水道事業者等においては、新水道ビジョンの内容、特に上記の6.4に記載した「持続」「安全」「強靭」に関する基本的な取り組みの実施状況を勘案し、またそれぞれの水道事業を取り巻く事業環境の変化等を考慮のうえ、適切な時期に新たな考え方に基づくビジョンの改定、修正を行うことが望ましい。

(3) 公表・送付

水道事業ビジョンを策定した際には、ホームページ等を活用して公表し、広く周知を図ることとする。また、厚生労働省健康局水道課に送付することとする。

(4) フォローアップ

水道事業者等は、水道事業ビジョンに掲げる実現方策等を着実に推進する体制の構築に努める。また、目標の達成状況、実現方策の実施状況について、定期的に評価し、関係者の意見を聴取しつつ、必要に応じて改定することが望ましい。

別表1 新水道ビジョンを踏まえた目標設定例及び指標例

分類

理想像

目標設定

指標案

持続

いつまでも皆様の近くにありつづける水道

【施設の再構築等を考慮したアセットマネジメント(タイプ4D)が実施されていること。】

基本:中長期的な財源確保の見込みをつける。


・近隣水道事業者等と広域化の検討を開始する。

・実現可能な範囲から発展的広域化を推進する。

各業務部門に関する共同化の実施の有無

近隣水道事業等との人事交流数

・効率的で持続可能な事業運営のための民間活用の導入

民間連携・民間活用の実現の有無

・未普及地域を解消する。

普及率(JWWAQ100 指標No.2006)

・水道施設の更新に合わせ、将来の水需要を見据えた効率的な施設の配置と再構築を行う。

施設利用率(JWWAQ100 指標No.3019)施設最大稼働率(JWWAQ100 指標No.3020)

・適正な料金収入を確保する。

計画的な自己資金確保の有無

将来を見据えた料金設定の有無

・より一層の経費縮減を実現する。

各分野ごとの新技術導入による経費縮減率

・省エネルギー対策を推進する。

配水量1m3当たり電力消費量(JWWAQ100 指標No.4001)

配水量1m3当たり消費エネルギー(JWWAQ100 指標No.4002)

・専門性のある人材育成の手法を確立する。

職員資格取得度(JWWAQ100 指標No.3101)

民間資格取得度(JWWAQ100 指標No.3102)

外部研修時間(JWWAQ100 指標No.3103)

内部研修時間(JWWAQ100 指標No.3104)

技術職員率(JWWAQ100 指標No.3105)

水道業務経験年数度(JWWAQ100 指標No.3106)

技術開発職員率(JWWAQ100 指標No.3107)

国際技術等協力度(JWWAQ100 指標No.6001)

・職員の技術力、組織力を強化する。

・地域の中核的水道事業との間に必要な連携体制を構築する。

近隣事業体との人事交流数

・渇水時にも安定供給が可能な水源を確保する。

水源余裕率(JWWAQ100 指標No.1002)

自己保有水源率(JWWAQ100 指標No.1004)

・渇水時を想定した給水体制を構築する。

渇水対策マニュアルの有無

・水道サービスに関する新しい知見及び情報の収集、整理を行う。

モニタ割合(JWWAQ100 指標No.3202)

アンケート情報収集割合(JWWAQ100 指標No.3203)

安全

いつ飲んでも安全な信頼される水道

【水安全計画が策定され、管理されていること。】

基本:水質汚染事故等に備えた水質管理体制を構築し、安全でおいしい水の安定供給を継続する。


・より一層原水水質に適した浄水処理を行う。

水質基準不適合率(JWWAQ100 指標No.1104)

カビ臭から見たおいしい水達成率(JWWAQ100 指標No.1105)

塩素臭から見たおいしい水達成率(JWWAQ100 指標No.1106)

総トリハロメタン濃度水質基準比(JWWAQ100 指標No.1107)

有機物(TOC)

濃度水質基準比(JWWAQ100 指標No.1108)

農薬濃度水質管理目標比(JWWAQ100 指標No.1119)

重金属濃度水質基準比(JWWAQ100 指標No.1110)

無機物質濃度水質基準比(JWWAQ100 指標No.1111)

有機物質濃度水質基準比(JWWAQ100 指標No.1112)

有機塩素化学物質濃度水質基準比(JWWAQ100 指標No.1113)

・原水水質及びその特徴を詳細に把握する。

・水源周辺地域における水源汚染リスクの監視、管理を強化する。

原水水質監視度(JWWAQ100 指標No.1101)

連続自動水質監視度(JWWAQ100 指標No.1103)

・水源汚染リスク軽減させる。

配水池貯留能力(JWWAQ100 指標No.2004)

系統間の原水融通率(JWWAQ100 指標No.2206)

水源水質に応じた水質検査項目および頻度の設定

粉末活性炭の保有度

・水質改善や水質監視・水質異常時の対応などの流域関係者等との連携した取り組みを推進する。

各水系ごとの関係水道事業者等との相互通報連絡体制構築の有無

・適切な水質検査の実施、または適切な水質検査機関への委託と検査結果の確認を実施する。

水質検査箇所密度(JWWAQ100 指標No.1102)

委託先の選定基準の有無

・全ての小規模貯水槽水道の設置者に対する適切な指導を実施する。

貯水槽水道指導率(JWWAQ100 指標No.5115)

・給水装置に対する安全性を高め、給水工事の事故を減少させる。

給水管の事故割合(JWWAQ100 指標No.5106)

指定給水装置工事業者への指導率

・鉛製給水管を解消する。

鉛製給水管率(JWWAQ100 指標No.1117)

鉛給水管更新計画の有無

鉛給水管布設状況の把握の有無

鉛管使用者への個別周知の有無

・安全性に関する情報公開を積極的に行う。

水安全計画の公表の有無

水質検査結果の公表頻度

強靭

災害に強く、たくましい水道

【施設耐震化計画及び再構築計画が策定されていること。】

基本:水道施設の必要な耐震性を出来るだけ速やかに確保する。


・災害時の応急活動体制を構築する。

給水拠点密度(JWWAQ100 指標No.2205)

系統間の原水融通率(JWWAQ100 指標No.2206)

薬品備蓄日数(JWWAQ100 指標No.2211)

燃料備蓄日数(JWWAQ100 指標No.2212)

給水車保有度(JWWAQ100 指標No.2213)

可搬ポリタンク・ポリパック保有度(JWWAQ100 指標No.2214)

車載用の給水タンク保有度(JWWAQ100 指標No.2215)

自家用発電設備容量率(JWWAQ100 指標No.2216)

警報施設率(JWWAQ100 指標No.2217)

各危機事象に関するマニュアルの有無

耐震性貯水槽設置数

防災訓練の実施頻度

応急給水・応急復旧協定締結の有無

・全ての基幹施設の必要な耐震性を確保する、または必要な耐震性の確保に向けた取り組みを計画的に実施する。

浄水施設耐震率(JWWA2207)、ポンプ所耐震施設率(JWWA2208)

配水池耐震施設率(JWWA2209)、管路の耐震化率(JWWA2210)

耐震化計画の達成度(耐震化率(実績)/計画値)

・具体的な応急給水体制を構築する。

給水拠点密度(JWWAQ100 指標No.2205)薬品備蓄日数(JWWAQ100 指標No.2211)

燃料備蓄日数、(JWWAQ100 指標No.2212)給水車保有度(JWWAQ100 指標No.2213)

可搬ポリタンク・ポリパック保有度(JWWAQ100 指標No.2214)

車載用の給水タンク保有度(JWWAQ100 指標No.2215)

各危機事象に関するマニュアルの有無

耐震性貯水槽設置数

訓練の実施頻度

・重要給水施設を把握し、重要給水施設配水管の耐震性を確保する。

重要給水施設の設定の有無

重要給水施設配水管の耐震化率

・組織内で災害時の指揮命令系統の理解度を向上させる。

各危機事象に関するマニュアルの有無

・近隣の水道事業者や業者との連携により、災害時においても資機材の調達が可能な体制を構築する。

薬品備蓄日数(JWWAQ100 指標No.2211)

燃料備蓄日数、(JWWAQ100 指標No.2212)

給水車保有度(JWWAQ100 指標No.2213)

可搬ポリタンク・ポリパック保有度(JWWAQ100 指標No.2214)

車載用の給水タンク保有度(JWWAQ100 指標No.2215)

他の事業体等との応急給水・応急復旧に関する協定の有無

共同防災訓練の有無

・耐震化事業の必要性、応急給水拠点や給水方法に関する需要者の理解度を向上させる。

住民への情報提供の有無

別表2 新水道ビジョンを踏まえた課題、目標設定及び実現方策の抽出と対応関係の例

分類

理想像

現状評価の結果又は将来の事業環境を踏まえた課題の整理

目標設定

実現方策(課題解決策)

持続

いつまでも皆様の近くにありつづける水道

基本:水道施設の計画的な更新のために必要な財源を確保できるか。

基本:中長期的な財源確保の見込みをつける。

基本:施設の再構築等を考慮したアセットマネジメント(タイプ4D)の実施。

・広域化の取り組みは進んでいるか。

・近隣水道事業者等と広域化の検討を開始する。

・実現可能な範囲から発展的広域化を推進する。

・広域化の検討を行う場の設定、またはそうした場への参加。

・近隣水道事業等とのソフトな連携の検討に着手。

・下記の各業務部門に関する共同化の検討、実施。

1)料金徴収

2)施設の維持管理

3)水質管理

4)研修プログラム

・近隣水道事業等との施設の共同化、施設の共同整備等の検討に着手。

・近隣水道事業等との人事交流の実施。

【関係者間の連携方策】

・官民連携やPPP(Public Private Partnership)の検討は進んでいるか。

・効率的で持続可能な事業運営のための民間活用の導入を検討する。

・先進事業、類似事業の調査実施。

・水道事業の現状に応じた適切な官民連携の形態の検討実施。

・実現可能性調査の実施。

【関係者間の連携方策】

・水道未普及地域は解消されているか。

・未普及地域を解消する。

・多様な手法による水供給の検討の実施。

【新たな発想で取り組むべき方策】

・水需要の減少を見据えた効率的な施設配置、施設稼働率となっているか。

・効率的に水道施設の再構築を進めているか。

・水道施設の更新に合わせ、将来の水需要を見据えた効率的な施設の配置と再構築を行う。

・将来の水需要に応じてダウンサイジングを考慮した施設再構築計画の策定と実施。

【関係者の内部方策】

・累積欠損等の経営事情は改善しているか。

・適正な料金収入を確保する。

・より一層の経費縮減を実現する。

・省エネルギー対策を推進する。

・水道料金の最適化に関する検討。

【新たな発想で取り組むべき方策】

・技術開発、調査・研究の拡充等様々な業務分野において、最新技術の導入検討の実施。(スマートメータ等)

【関係者間の連携方策】

・再生エネルギーの活用。

【関係者の内部方策】

・業務に応じて適切に人材を確保しているか。

・専門性のある人材育成の手法を確立する。

・職員の技術力、組織力を強化する。

・地域の中核的水道事業との間に必要な連携体制を構築する。

・官民連携の検討。

【関係者の内部方策】

・国際展開、国際貢献に関する検討。

【関係者間の連携方策】

・近隣水道事業者への連携の働きかけの実施。

【関係者の内部方策】

・渇水時を想定して水源を確保しているか。

・渇水時にも安定供給が可能な水源を確保する。

・渇水時を想定した給水体制を構築する。

・利用可能水源(予備水源)の調査実施。

【関係者の内部方策】

・渇水対策マニュアルの充実化。

・水源環境保全活動の実施

【関係者間の連携方策】

・水道サービスの向上に向けた情報収集に積極的に取り組んでいるか。

・水道サービスに関する新しい知見及び情報の収集、整理を行う。

・国、県、近隣水道事業者との連携体制の構築。

【関係者間の連携方策】

・住民との連携の強化。

【関係者間の連携方策】

安全

いつ飲んでも安全な信頼される水道

基本:水質管理体制を構築しているか。

基本:水質汚染事故等に備えた水質管理体制を構築し、安全でおいしい水の安定供給を継続する。

基本:水安全計画の策定と実践。

・通常時において適正な水質管理の実施が可能な体制を構築しているか。

・原水水質及びその特徴を詳細に把握する。

・より一層原水水質に適した浄水処理を行う。

・水質検査結果の評価及び必要な対策の検討と実施。

【関係者の内部方策】

・水質汚染事故発生時等の危機時において適正な水質管理の実施が可能な体制を構築しているか。

・水源周辺地域における水源汚染リスクの監視、管理を強化する。

・水源汚染リスク軽減させる。

・具体的な水質汚染事故を想定した対策の検討と実施。

【関係者の内部方策】

・定期的な流域連携会議の実施。

【関係者間の連携方策】

・水源保全のための取り組みを実施しているか。

・水質改善や水質監視・水質異常時の対応などの流域関係者等との連携した取り組みを推進する。

・定期的な流域連携会議の実施。

【関係者間の連携方策】

・水質検査の信頼性を確保しているか。

・適切な水質検査の実施、または適切な水質検査機関への委託と検査結果の確認を実施する。

・水質検査の精度管理の実施。

【関係者の内部方策】

・貯水槽水道の適切な衛生管理を行っているか。

・全ての小規模貯水槽水道の設置者に対する適切な指導を実施する。

・小規模貯水槽対策の検討と実施。

【新たな発想で取り組むべき方策】

・給水装置の安全性及び給水装置工事業者の資質は確保できているか。

・給水装置に対する安全性を高め、給水工事の事故を減少させる。

・指定給水装置工事業者に対する指導の実施。

【関係者間の連携方策】

・鉛製給水管は残存しているか。

・鉛製給水管を解消する。

・鉛製給水管更新計画の策定と実施。

【関係者の内部方策】

・需要者への安全性に関する説明責任を果たしているか。

・安全性に関する情報公開を積極的に行う。

・水安全計画(概要版)の公表。

【関係者の内部方策】

強靭

災害に強く、たくましい水道

基本:水道施設の耐震化を計画的に実施しているか。

基本:水道施設の必要な耐震性を出来るだけ速やかに確保する。

基本:水道施設耐震化計画の策定と実施。

・災害時の応急活動体制は構築できているか。

・災害時の応急活動体制を構築する。

・実働的な災害対策マニュアルの策定、充実化。

【関係者の内部方策】

・他の水道事業者等との応援協定の締結及び共同防災訓練等の実施。

【関係者間の連携方策】

・基幹施設は必要な耐震性を確保できているか。

・全ての基幹施設の必要な耐震性を確保する、または必要な耐震性の確保に向けた取り組みを計画的に実施する。

・基幹施設耐震化計画の策定と実施。

【関係者の内部方策】

・応急給水体制及び他の水道事業者等との応援体制を構築できているか。

・具体的な応急給水体制を構築する。

・応急給水拠点の整備、応急給水栓の設置。

【関係者の内部方策】

・他の水道事業者等との応援協定の締結及び共同防災訓練等の実施。

【関係者間の連携方策】

・他の水道事業者間での緊急時用連絡管の整備。

【関係者間の連携方策】

・重要給水施設を把握しているか。

・災害時にも重要給水施設への給水を確保できるか。

・重要給水施設を把握し、重要給水施設配水管の耐震性を確保する。

・重要給水施設配水管の耐震化の優先実施。

【関係者の内部方策】

・災害時の指揮命令系統は明確になっているか。

・組織内で災害時の指揮命令系統の理解度を向上させる。

・実働的な災害対策マニュアルの策定、充実化。

【関係者の内部方策】

・災害時においても資機材の調達が可能か。

・近隣の水道事業者や業者との連携により、災害時においても資機材の調達が可能な体制を構築する。

・資機材等の流通経路に関する調査の実施。

【関係者の内部方策】

・他の水道事業者等との応援協定の締結及び共同防災訓練等の実施。

・需要者への災害対策に関する情報の周知は十分にできているか。

・災害時における住民との連携体制を構築できているか。

・耐震化事業の必要性、応急給水拠点や給水方法に関する需要者の理解度を向上させる。

・各種メディアを活用した効果的な広報の実施。

・地域住民との共同防災訓練の実施。

【関係者間の連携方策】