添付一覧
○「承認申請時の電子データ提出に関する実務的事項について」の一部改正について
(平成31年1月24日)
(薬生薬審発0124第4号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)
(公印省略)
医薬品の製造販売についての承認の申請(以下「承認申請」という。)時の電子データ提出に関しては、平成28年度以降に電子データ受付を開始するべく、その基本的な考え方を「承認申請時の電子データ提出に関する基本的考え方について」(平成26年6月20日付け薬食審査発0620第6号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知。以下「基本的通知」という。)及び「「承認申請時の電子データ提出に関する基本的考え方について」に関する質疑応答集(Q&A)について」(平成26年6月20日付け厚生労働省医薬食品局審査管理課事務連絡)により示しています。また、承認申請時の電子データ提出に関する実務的事項については、「承認申請時の電子データ提出に関する実務的事項について」(平成27年4月27日付け薬食審査発0427第1号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知。以下「実務的通知」という。)により示しています。
今般、承認申請時の電子データの受付の実績を踏まえ、実務的通知を別紙新旧対照表のとおり改正することとしましたので、貴管下製造販売業者等の業務に活用するよう、周知をお願いします。
なお、改正後の実務的通知を添付しますので、御参照ください。
(別紙)
[(参考)一部改正後]
○承認申請時の電子データ提出に関する実務的事項について
(平成27年4月27日)
(薬食審査発0427第1号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
(公印省略)
承認申請時の電子データ提出に関しては、平成28年度以降に電子データ受付を開始するべく、その基本的な考え方を「承認申請時の電子データ提出に関する基本的考え方について」(平成26年6月20日付け薬食審査発0620第6号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知。以下「基本的通知」という。)及び「「承認申請時の電子データ提出に関する基本的考え方について」に関する質疑応答集(Q&A)について」(平成26年6月20日付け厚生労働省医薬食品局審査管理課事務連絡)により示してきたところである。今般、承認申請時の電子データ提出について、実務的な事項を下記のとおり取りまとめたので、貴管下製造販売業者等の業務に活用するよう、周知方お願いする。
なお、承認申請時の電子データ提出に関するさらなる詳細事項、注意事項等については、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)が「承認申請時の電子データ提出等に関する技術的ガイドについて」(平成27年4月27日付け薬機次発第0427001号独立行政法人医薬品医療機器総合機構次世代審査等推進室長通知。以下「技術的ガイド」という。)等において別途定めるので、それらについても併せてご留意願いたい。
記
1.電子データの提出対象となる臨床試験データ等の取扱いについて
(1) 電子データの提出対象となる資料の範囲について
原則として、承認申請時に電子データの提出を求める資料は基本的通知において示したとおり、有効性、安全性及び用法・用量の主要な根拠となると考えられる評価資料である。
すなわち、概ね、第Ⅱ相試験及び第Ⅲ相試験(長期投与試験を含む。)の成績に関する資料が該当する。第Ⅱ相試験が複数実施されている場合には、そのうち用法・用量の設定に関する根拠となる試験が相当する。
これらのほか、用法・用量の設定の一部と考えられ、試験ごとに有効性、安全性又は薬物動態の評価が重要となる試験については、第Ⅱ相試験及び第Ⅲ相試験と同様に電子データを用いた検討を行う場合がある。例えば、基本的通知2.(2)イに掲げる抗悪性腫瘍剤での第Ⅰ相試験及びQT/QTc評価試験については、CDISC標準に準拠したデータ(SDTM及びADaMデータセット)の提出を求める。また、国際共同治験やブリッジング試験等を実施するに当たって国内外の薬物動態の比較に用いられた、日本人と外国人の双方に対して実施された第Ⅰ相試験も、用法・用量の設定に関する重要な根拠となる。この場合、当該第Ⅰ相試験が国際共同治験として実施されたか、又は各地域で個々に実施されたかにかかわらず、電子データを提出すること。その他、第Ⅰ相試験、臨床薬理試験等の成績及び臨床薬理領域の解析(母集団解析やモデルに基づくシミュレーション等を含む。)に関して、薬物動態又は薬力学の評価が用法・用量の主要な根拠になると考えられる資料についても、電子データを提出すること。また、用法・用量の主要な根拠となると考えられる参考資料についても、電子データを提出すること。
(2) 統合解析(ISS/ISE)に関する電子データの提出について
特別な集団の評価やまれな有害事象の特徴の把握といった特定の有効性、安全性の評価のために、複数の臨床試験の統合解析が実施されている場合には、その解析データセットの提出を求めることがある。また、統合解析で検討されている内容によっては、日本人データが含まれない場合も対象となり得る。個々の統合解析の目的を踏まえた電子データの提出の要否の詳細等については個別にPMDAに相談すること。
(3) 承認事項一部変更承認申請の電子データの提出について
承認事項一部変更承認申請の際に評価資料として提出される臨床試験等については、原則として電子データを提出すること。ただし、承認取得時に既に電子データを提出済みの臨床試験等について改めて提出する必要はない。
なお、既に電子データを提出済みの場合であっても、承認事項一部変更承認申請に関連して当該臨床試験成績が統合解析の一部とされている場合や、新たな解析が追加で実施されている場合には、対応する解析データセット及びプログラムの提出を求める場合がある。
(4) 製造販売後臨床試験データに関する取扱いについて
再審査の申請に際して提出される製造販売後臨床試験の成績についても、再審査申請時に電子データの提出を求める場合がある。平成32年4月1日以降に電子データを添付して承認申請された品目であって、その審査の過程で実施することを求められた製造販売後臨床試験の場合は、原則として、再審査申請時に電子データの提出を求めることとする。なお、当該製造販売後臨床試験の結果に基づき、再審査申請前に医薬品添付文書改訂相談、承認条件解除の要望等を行う場合は、可能な限り、当該時点で電子データを提出することが望ましい。また、提出する電子データはCDISC標準に準拠すること。
なお、当面の間、製造販売後調査のデータについては電子データの提出対象としない。
(5) 承認申請前に実質的な試験結果の評価が行われる品目の取扱いについて
承認申請より前に実質的な試験結果の評価が行なわれる品目(先駆け審査指定制度対象品目、HIV感染症治療薬等)については、可能な限り、実質的な試験結果の評価を行う段階で電子データを提出することが望ましい。
2.電子データ等の提出形式、提出方法等について
(1) 電子データの提出形式について
承認申請時に提出を求める電子データについては、基本的通知に示したとおり、承認申請添付資料の一部として提出すること。電子データの提出の際に使用可能なファイル形式及びフォルダ構造については、技術的ガイド等を参照すること。
(2) 電子データ等の提出方法について
電子データの提出に際しては、申請者及びPMDA間の情報処理の効率化、情報の共有化、審査事務の進行管理等のため、原則として、アで示すゲートウェイシステムによる方法で提出すること。ただし、やむを得ない事情によりゲートウェイシステムの利用が困難な場合は、イで示す記録媒体によるPMDA窓口提出でも差し支えない。ゲートウェイシステムにより提出を求める電子的なファイル(以下「電子ファイル」という。)は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則により定められた承認申請書等の様式データ(様式第22及び様式第23に係るFD申請データ。以下「FD申請データ」という。)に加え、eCTD(電子データを除く。)、電子データ(プログラム及び3.にて定める文書を含む。)とする。その他、関連文書ファイル(例:申請資料作成関与委員リスト、原薬等登録原簿登録証(写))、当該品目に係る審査段階での照会回答(回答に添付される文書を含む。)の電子ファイルもゲートウェイシステムにより提出することができる。ゲートウェイシステムの詳細についてはPMDAのウェブサイト(http://www.pmda.go.jp/)で公開される「申請電子データ ポータルサイトに関する情報」を参照すること。
ア ゲートウェイシステムによる提出
ゲートウェイシステムによる提出は、PMDAがインターネット上に提供する「申請電子データ ポータルサイト」(以下「ポータルサイト」という。)を用いる。
ポータルサイトのユーザ登録及び電子ファイル提出には電子証明書が必要となる。利用可能な電子証明書等、ポータルサイト利用にあたっての推奨環境については、技術的ガイド等を参照すること。
イ 記録媒体によるPMDA窓口提出
記録媒体によるPMDA窓口提出は、承認申請に併せて提出すべき全ての電子ファイルを記録した媒体を持参又は郵送にて提出すること。使用可能な記録媒体等については、技術的ガイド等を参照すること。
(3) 承認申請日等の取扱いについて
承認申請添付資料として電子ファイルをゲートウェイシステムにより提出した場合、各電子ファイルがゲートウェイシステム内サーバに到着後、ウイルスチェックにより当該ファイルに感染等の問題がないことをPMDAが確認した日を各電子ファイルが到着した日とする。
承認申請添付資料として必要な全ての電子ファイルが到着した日以降に、従来同様、手数料金額に相当する収入印紙を貼付した承認申請書をPMDAが受領し、当該申請書の記載内容、収入印紙の金額等書類上の記載、及び承認申請書等の様式データに不備がないことを確認した日を「承認申請受付日」とする。
なお、承認申請書等の様式データ以外の電子ファイルに対するバリデーション結果は、2.(4)において述べる電子データの受け入れ可否に係るバリデーションも含め、承認申請受付の可否の判断には利用しないものとする。
また、承認申請書(FD申請データ含む。)及びeCTD内にあらかじめ記載される申請日の取扱いは従来どおりとする。
(4) 電子データの受け入れ可否に係るバリデーションについて
ア バリデーションルールの基本的考え方
PMDAは提出された全ての電子データに対してバリデーションを実施する。なお、CDISC標準への準拠状況のバリデーションに関しては、ツールとしてPinnacle21 Enterpriseを用いる。
バリデーションにおいて、PMDAが提出データの受け入れ可否にかかわると考える重大なエラーが認められ、かつ当該エラーについて事前の相談や説明がなかった場合には、PMDAは速やかにその旨を申請者に指摘する。指摘を受けた場合は、申請者はデータを修正して再度提出すること。また、指摘したエラーが是正されるまでは審査は開始されず、「新医薬品の承認の予見性向上等に向けた承認申請の取扱い及び総審査期間の考え方について」(平成26年10月6日付け薬食審査発1006第1号・薬食監麻発1006第1号医薬食品局審査管理課長・監視指導・麻薬対策課長連名通知)において定めるとおり、エラーが是正されるまでの期間は総審査期間に含めないこととするので留意すること。なお、PMDAによるエラーの重大性の考え方、バリデーションの実施環境の詳細及び使用する個々のルールについては、技術的ガイド等を参照すること。
イ 申請者による事前の適合性確認方法
CDISC標準に準拠したデータに関する適合性については、公開されているルール及びPMDAにおけるバリデーションの実施環境等の情報を参考に、事前に申請者が確認すること。その結果、技術的ガイドに示すPMDAが重大と考えるエラーが認められるが修正が不可能な場合には、その内容及び理由について申請前に「申請電子データ提出確認相談」等を利用して事前にPMDAに相談し、加えてデータガイド(Study Data Reviewer's Guide及びAnalysis Data Reviewer's Guide)(3.(1)ア④参照)において説明すること。また、その他のエラーについては、データガイドにおいてその内容を説明すること。
(5) 電子データとeCTDとの関連について
ア 電子データ提出開始に伴う承認申請添付資料の提出
基本的通知4.で述べたとおり、今般の電子データ提出の開始に伴い、対象品目の承認申請添付資料の提出については、原則としてeCTDによるものとすること。
イ 電子データとeCTDの提出方法に関する留意点
基本的通知及び本通知で提出対象とする電子データは、承認申請書に添付すべき資料の一部であることから、原則eCTDに含めること。
ただし、「コモン・テクニカル・ドキュメントの電子化仕様について」(平成15年6月4日付け医薬審発第0604001号厚生労働省医薬局審査管理課長通知)及び「コモン・テクニカル・ドキュメントの電子化仕様の取扱いについて」(平成16年5月27日付け薬食審査発第0527004号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)に示す方法によりeCTDを提出する場合は、電子データをeCTDに含めず別途提出すること。また、当該電子データがどのeCTDに含まれるべきものであり、かつどの試験報告書に関連するものであるか等の情報を付して提出すること。付す情報の種類や具体的な方法については、技術的ガイド等を参照すること。
ウ eCTD改訂時に電子データを追加、置換又は削除する場合の対応
審査中の照会等での指示により、eCTD改訂時に電子データを追加、置換又は削除する場合は、eCTDにおけるその他の文書と同様に、変更対象及び意図を付して提出し、eCTDを改訂すること。付す情報の種類や具体的な方法については、技術的ガイド等を参照すること。なお、添付資料一覧や変更願に電子データの各ファイルの名称を記載する必要はないが、関連する電子データの提出の有無を報告書ごとに記載すること。
エ 照会に対する回答の添付資料として提出する電子データの取扱い
審査中の照会に対する回答の添付資料として提出する電子データは、eCTDの一部ではないため、これらを提出する際にeCTDを改訂する必要はない。また、電子データは原則ゲートウェイシステムを介して、又はそれが不可能な場合は記録媒体等により、担当審査部に提出すること。なお、電子データには関連する回答の情報を付すこと。付す情報の種類や具体的な方法については、技術的ガイド等を参照すること。
(6) 承認申請後に追加で電子データの提出が必要となる場合の対応について
承認申請時に提出を求める電子データについては、対面助言を活用するなどして、PMDAと事前に合意し、必要な全ての資料を承認申請時に提出すること。ただし、長期投与試験の実施中に承認申請される場合、中間解析結果に基づき承認申請される場合等には、承認申請後に提出される当該臨床試験のデータは、既に提出されたデータに追加分のデータを含む形で提出すること。
なお、承認審査の過程で新たに、これまで電子データが提出されていない臨床試験の電子データや、既に電子データが提出されている臨床試験に関する追加のデータセットやプログラムの提出が必要となる場合も例外的にありえるが、その場合であっても、データセットについては基本的にCDISC標準に準拠したデータの提出を求める。提出する電子データ、提出時期等については、PMDAと相談して決定すること。
承認審査の過程で新たに提出されることとなった臨床試験の電子データに関しても、当該試験で事前に計画された解析等、有効性及び安全性の評価に必要な解析については申請者が実施し、その結果を提出する必要がある。
3.提出すべき電子データのデータセット等に関する詳細事項について
(1) CDISC標準に準拠した電子データ等について
ア 提出を求めるデータセット及び定義書について
① SDTM及びADaMデータセットの提出の必要性について
1.(1)で示した電子データの提出対象となる資料については、SDTMデータセット及び主な解析に用いられたADaMデータセットを提出すること(ただし、3.(2)に示す第Ⅰ相試験、臨床薬理試験等の成績及び臨床薬理領域の解析に関する資料の場合を除く。)。
SDTMデータセットには原則として、症例報告書(以下「CRF」という。)等により収集されたデータを、対応するSDTM及びSDTMの実装ガイド(Implementation Guide:IG)において指定された変数により、各ドメインに可能な限り格納して提出すること。また、SDTM中の、実施された臨床試験の計画に関する情報を格納するドメイン(Trial Design Model)のデータセットも含めること。解析データセットは個々の解析の特徴に応じて様々な変数の構成を取り得るが、ADaM及びADaM IGに従い構成されたデータセットを提出すること。
統合解析(ISS/ISE)の電子データを提出する場合には、原則としてADaMによる解析データセットを提出すること。ただし、SDTMデータセットを解析に用いている場合にはその提出で差し支えない。必ずしも個々の試験のSDTMデータセットも提出される必要はないが、統合解析に関するSDTMデータセットが存在する場合には、提出を求める場合がある。
② データセットの定義書の提出について
SDTM及びADaMデータセットに関する変数等の定義(以下「メタデータ」という。)はそれぞれ、CDISCで定めるDefine―XML形式によりまとめた上で、スタイルシートとともに提出すること。メタデータとして必要な内容については、技術的ガイド等を参照すること。
③ データセット及び定義書のファイル形式について
CDISC標準に準拠したデータセット及び定義書のファイル形式については、技術的ガイド等を参照すること。なお、データセット内で英語を用いる場合はASCIIで規定されている文字セット(character set)を使用すること。英語以外の言語(日本語を含む。)を用いる場合は、使用した文字セット及び符号化方式についてデータガイドで説明すること。
④ データセットに付随して提出すべき文書について
データセットの定義書に加え、CRFにより収集されたデータの各項目とデータセットに含まれる変数との関係を示す注釈付きCRF(Annotated CRF)及びデータガイドを提出すること。
データガイドの内容としては、CDISC標準への準拠程度(バリデーション結果)等の説明、特に、データの受け入れ自体は許容されるもののデータ利用時に問題となり得る点等、承認審査にあたり明確にすべきと考えられる点に関する説明を含めること。データガイドについては、日本語による記載であっても差し支えない。
なお、データセットに付随して提出すべきこれら文書の詳細及びファイル形式については、技術的ガイド等を参照すること。
⑤ データ間のトレーサビリティについて
CRF等により臨床試験において収集されたデータから評価される試験成績までのトレーサビリティを確保するため、CRF等により収集されたデータをSDTM形式のデータセットにまとめ、それを元にADaM形式の解析データセットを作成することが推奨される。
SDTM以外の形式でまとめられたデータベースから、SDTM及びADaMデータセットをそれぞれ作成している場合等、ADaMデータセットがSDTMデータセットから作成されていない場合には、提出されるデータ間のトレーサビリティに関する事項(両データセットの作成手順、作成に用いたデータベースとSDTM及びADaMデータセットとの変数間の関係、ADaMデータセット作成時に利用したSDTMデータセットに含まれていない情報の有無等)をデータガイド等で説明すること。
なお、当面の間は、既にSDTM以外の形式でまとめられている臨床試験データを、承認申請時提出用にSDTM形式に変換することが想定されるが、この場合、変換されたデータである旨をデータガイドに記載すること。また、可能な限りSDTMで規定されている標準に従う形に変換する必要があるが、例えばデータ取得時の設定により推奨されるControlled Terminology(以下「統制用語」という。)に合わせて変換できないデータがあるなど、部分的に困難な箇所がある場合には、対面助言を利用して事前にPMDAに相談した上で、データガイド等で説明すること。
⑥ 日本語データの取扱いについて
PMDAにおいて電子データを取扱うシステムは、基本的に英語で記載された電子データを取扱うことを前提としている。よって、電子データの内容はCDISC標準において推奨される統制用語及びコードリストに従って記載することとし、これらの設定がない場合であっても可能な限り英語で記載されたデータが提出されることが望ましい。
日本語によりデータが収集されている場合には、適切な英語に変換したデータセットを提出するが、英語に変換した場合に一定の情報が損なわれる恐れのある変数については、日本語によりデータを提出することが可能である。この場合、同一データセットについて英数字のみで構成されたデータセット及び日本語を用いた変数を含むデータセットの2種類を提出すること。日本語によりデータを提出することが可能となる変数及び各データセットの内容については、技術的ガイド等を参照すること。
イ プログラムの提出について
臨床試験に関連するデータセットに加え、データセットの作成及び解析の過程を把握するため、ADaMデータセット作成用プログラム及び解析用プログラムを提出すること。
ただし、各プログラムの主な利用目的を踏まえ、必ずしもPMDAにおいてそのまま実行することが可能な形式及び内容として提出する必要はない。また、特定のソフトウエアやバージョンに限定するものではないが、プログラムを作成及び実行した環境(使用したオペレーションシステム、ソフトウエア及びそのバージョン)に関する情報をデータガイド及び「独立行政法人医薬品医療機器総合機構が行う対面助言、証明確認調査等の実施要綱等について」(平成24年3月2日付け薬機発第0302070号独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事長通知)の別紙8付録「申請電子データ提出確認相談資料 様式」により併せて提供すること。マクロを利用したプログラムを使用している場合、マクロプログラムも併せて提出することが望ましいが、マクロプログラムの提供が困難な場合や、データセットやプログラムの作成を外部機関に委託しておりプログラム自体の提供が困難な場合等には、解析アルゴリズムの分かる仕様書等を提供することで差し支えない。
ウ 推奨される統制用語、コードリスト及び単位について
データのコーディング時に使用することの可能なコードとしては、CDISCの統制用語、MedDRA等がある。使用可能なコードのリストについては、PMDAのWEBサイト(http://www.pmda.go.jp/)を参照すること。また、薬剤コードとしてはthe WHO Drug Dictionaries Drug Code(WHO DDs)を利用すること。
基本的には、推奨される標準のコードが存在する場合には、独自に定義したコードを用いるべきではない。ただし、やむを得ない事情により臨床試験のデータ収集時に、推奨されるコード以外のコードを使用していた場合や、推奨される統制用語が存在しない場合には、申請者により定義された慣例用語を使用してデータセットを構成しても差し支えない。その場合、原則として同様の変数については、同一承認申請内で一貫したコードを使用すること。また、独自に定義したコードや標準のコードからの拡張を行った場合は、データセットの定義書及びデータガイドにその旨を説明すること。
単位についてはSI単位を使用することが推奨される。各種疾患の診断、治療、薬効評価等のガイドラインで用いられる、慣例的に使用されている単位によりデータが取得されている場合には、SI単位への変換が可能なものについては、SDTMデータセット内に標準単位による値としてSI単位に変換後の値を別途格納して提出すること。なお、申請資料の作成においては、慣例的に使用されている単位の結果を用いて差し支えない。ADaMデータセットには申請資料の作成において用いた単位を含めること。
エ CDISC標準等のバージョンについて
データセットの作成に用いる各種標準については、複数のバージョンが受け入れ可能であり、受け入れ可能なバージョンはリストとしてPMDAのWEBサイト(http://www.pmda.go.jp/)で公開される「申請電子データ提出に際して利用可能な規格一覧」を参照すること。受け入れ可能なバージョンは、各種標準の改定を踏まえて更新される可能性があることから、データ作成時において可能な限り新しいバージョンを使用することが望ましい。
なお、承認申請時に受け入れ不可とされているバージョンで作成されたデータセットについては、受け入れ可能なバージョンへの変換が必要となるので留意すること。
用いるCDISC標準のバージョンについて、同一承認申請内で臨床試験ごとにバージョンが異なることは差し支えないが、同一臨床試験内では統一したバージョンを用いること。同一臨床試験内において他のバージョンを用いている部分がある場合には、対面助言を利用して事前にPMDAに相談した上で、データガイドにおいて、その使用の理由とともに説明すること。
(2) 第Ⅰ相試験、臨床薬理試験等の成績及び臨床薬理領域の解析に関する電子データについて
ア 提出時のデータ標準
電子データの提出対象となる第Ⅰ相試験、臨床薬理試験等の成績及び臨床薬理領域の解析に関する資料のうち、基本的通知2.(2)イに掲げる資料に関する電子データについては、原則として、CDISC標準に準拠した形式でデータを提出すること。一方、基本的通知2.(2)ウの資料に関する電子データについては、以下に掲げる規格に準拠した形式でデータを提出すること。
① 標準的な薬物動態解析が実施された臨床試験
個別の臨床試験データについては、SDTM形式で提出すること。薬物動態又は薬物動態/薬力学に関する解析データセットについては、ADaM形式で提出することが望ましいが、ADaM以外の形式で提出することでも差し支えない。有効性及び安全性に関する解析データセットは、ADaM形式で提出すること。
② 母集団解析(モデルに基づくシミュレーションを含む。)
CDISC標準以外の形式で提出することで差し支えない。
③ 生理学的薬物速度論モデル解析(モデルに基づくシミュレーションを含む。)
CDISC標準以外の形式で提出することで差し支えない。
イ 提出すべき電子データの種類
第Ⅰ相試験、臨床薬理試験等の成績及び臨床薬理領域の解析に関する電子データを提出する場合は、臨床薬理領域の電子データに関する全てのファイルの情報を記載した「臨床薬理領域の電子データパッケージ説明書」を提出すること。「臨床薬理領域の電子データパッケージ説明書」に記載すべき内容の詳細については、技術的ガイド等を参照すること。
電子データの提出対象となる第Ⅰ相試験、臨床薬理試験等の成績及び臨床薬理領域の解析に関する資料のうち、基本的通知2.(2)イに掲げる資料については、3.(1)アの項にしたがって、必要な電子データを提出すること。一方、基本的通知2.(2)ウの資料については、以下に掲げる電子データを提出すること。
なお、提出すべき電子データの詳細については、技術的ガイド等を参照すること。
① 標準的な薬物動態解析が実施された臨床試験
原則として、SDTMデータセット及び解析データセットを提出する必要がある。解析データセットは、原則として、薬物動態又は薬物動態/薬力学に関する解析データセットだけでなく、有効性及び安全性に関する解析データセットについても提出する必要がある。
SDTMデータセットに関して、3.(1)アの項にしたがって、必要な電子データを提出すること。
解析データセットに関して、ADaM形式で提出する場合は、3.(1)アの項にしたがって、必要な電子データを提出すること。一方、薬物動態又は薬物動態/薬力学に関する解析データセットをADaM以外の形式で提出する場合は、解析データセットとともにデータセット定義書を提出すること。
② 母集団解析(モデルに基づくシミュレーションを含む。)
解析データセット及びデータセット定義書を提出すること。
③ 生理学的薬物速度論モデル解析(モデルに基づくシミュレーションを含む。)
解析に用いたモデルの構造、設定した薬物及び生理パラメータの値、解析手順や結果の感度分析等の情報が含まれるファイルを提出すること。また、必要に応じて、解析に使用した血中濃度データ等を含む臨床試験のデータセット及びデータセット定義書を提出すること。
また、解析データセットについては、以下の点に留意すること。
・ 解析計画書に定めた除外理由以外の理由で解析から除外したデータ(例えば、解析時に外れ値であると判断して除外したデータ等)については、フラグにより特定できるようにする等、解析における取扱いが明確になるよう配慮すること。
・ 日本人と外国人の比較やアジア地域での民族間の比較等の解析目的を踏まえ、必要な場合は、人種や地域等を特定できるよう配慮すること。
ウ プログラム等の提出
電子データの提出対象となる第Ⅰ相試験、臨床薬理試験等の成績及び臨床薬理領域の解析に関する資料のうち、基本的通知2.(2)イに掲げる資料については、3.(1)イの項にしたがって、必要なプログラム等を提出すること。また、併せて薬物動態又は薬物動態/薬力学に関する解析仕様書等を提出することが望ましい。一方、基本的通知2.(2)ウの資料については、以下に掲げるプログラム等を提出すること。
なお、薬物動態又は薬物動態/薬力学に関する解析仕様書、母集団解析のプログラム等の詳細については、技術的ガイド等を参照すること。
① 標準的な薬物動態解析が実施された臨床試験
解析データセットをADaM形式で提出する場合は、3.(1)イの項にしたがって、必要なプログラムを提出すること。また、併せて薬物動態又は薬物動態/薬力学に関する解析仕様書等を提出することが望ましい。
薬物動態又は薬物動態/薬力学に関する解析データセットをADaM以外の形式で提出する場合は、基本的にプログラムの提出は不要であるが、薬物動態又は薬物動態/薬力学に関する解析仕様書等を提出することが望ましい。
② 母集団解析(モデルに基づくシミュレーションを含む。)
原則として、モデル構築過程における主要なモデル(基本モデル、最終モデル等)のプログラム及び主要な結果が出力されたファイルを提出すること。モデルに基づくシミュレーションを実施している場合は、シミュレーションに用いたプログラムをプログラム手順書とともに提出することが望ましい。また、プログラム自体の提供が困難な場合等には、解析アルゴリズムの分かる仕様書等を提供することで差し支えない。
③ 生理学的薬物速度論モデル解析(モデルに基づくシミュレーションを含む。)
基本的にプログラムの提出は不要であるが、解析に用いたソフトウエアを明示すること。
4.電子データに関する相談プロセス
電子データの提出対象となる評価資料の範囲に関しては、PMDAにおける既存の治験相談枠を活用し確認すること。また、電子データの具体的な提出内容に関しては、「申請電子データ提出確認相談」等を活用すること。
5.電子データ提出開始時期及び経過措置について
平成28年10月1日以降の承認申請品目から、本通知を適用するものとする。
また、これに合わせ、対象品目の承認申請添付資料については原則eCTDによるものとし、さらに、これらeCTD及び電子データの提出は、原則、ゲートウェイシステムによる提出とする。
本来電子データの提出が必要となる資料は、その全てについて電子データの提出を求めるものであるが、平成32年3月31日までは経過措置期間とし、経過措置期間中においては、資料の一部について電子データの提出が可能な場合には、一部のみの電子データ提出を受け入れるものとする。ただし、この場合には、承認審査の過程では原則従前どおりの取扱いとなることに留意するとともに、対面助言を活用し事前にPMDAと相談すること。
また、経過措置期間中においては、eCTDのみ又は電子データのみのゲートウェイシステムによる提出も受け入れるものとする。eCTD又は電子データの記録媒体によるPMDA窓口への提出や、承認申請書に添付すべき資料の正本を紙媒体として申請することでも差し支えない。
なお、電子データ提出対象の申請区分であるにも関わらず、承認申請書添付資料に電子データが含まれない場合にあっては、経過措置期間後であっても、ゲートウェイシステムによるeCTDの提出を受け入れるものとする。
6.その他
(1) 関連通知の改正
関連の通知等を別紙のとおり改める。
(2) 用語の解説等について
本通知に使用した用語の解説及び承認申請時の電子データ提出に関するさらなる詳細事項、注意事項等については、PMDAが技術的ガイド等において別途定めるので、それらについても併せてご留意願いたい。
別紙