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○「承認申請時の電子データ提出に関する基本的考え方について」の一部改正について

(平成31年1月24日)

(薬生薬審発0124第1号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)

(公印省略)

医薬品の製造販売についての承認のための審査(以下「承認審査」という。)に関しては、「日本再興戦略―JAPAN is BACK―」(平成25年6月14日閣議決定)において独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)の体制強化の必要性が指摘され、さらに、「健康・医療戦略」(平成25年6月14日関係大臣申合せ)において、PMDA自らが臨床データ等を活用した解析や研究を進めることとされています。

厚生労働省では、平成26年度からPMDAが実施する「希少疾病用医薬品等実用化促進事業」について補助金を交付し、希少疾病用医薬品等の開発が効率的に進むよう、PMDAにおける臨床試験データの集積、分析、解析等に関するシステム構築への支援を行っています。また、PMDAにおいて、承認申請データを一層活用した承認審査や相談の実施が進められています。

医薬品の製造販売についての承認の申請時の電子データ提出に関しては、平成28年度以降に電子データの受付を開始するべく、その基本的な考え方を「承認申請時の電子データ提出に関する基本的考え方について」(平成26年6月20日付け薬食審査発0620第6号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知。以下「基本的通知」という。)により示しています。

今般、承認申請時の電子データの受付の実績を踏まえ、基本的通知を別紙新旧対照表のとおり改正することとしましたので、貴管下製造販売業者等の業務に活用するよう、周知をお願いします。

なお、改正後の基本的通知を添付しますので、御参照ください。

(別紙)

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[(参考)一部改正後]

○承認申請時の電子データ提出に関する基本的考え方について

(平成26年6月20日)

(薬食審査発0620第6号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)

(公印省略)

医薬品の承認審査に関しては、「日本再興戦略」(平成25年6月14日閣議決定)において独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)の強化の必要性が指摘され、さらに、「健康・医療戦略」(平成25年6月14日関係大臣申合せ)において、PMDA自らが臨床データ等を審査等に活用することとされている。

そのような中、厚生労働省では、平成26年度から「希少疾病用医薬品等実用化促進事業」において、希少疾病用医薬品等の開発が効率的に進むよう、PMDAにおける臨床試験データの集積・分析・解析等に関するシステム構築への支援を開始したところである。また、PMDAにおいても、平成25年9月1日に「次世代審査・相談体制準備室」が設置され、さらに、平成26年4月1日に「次世代審査等推進室」へ改組の上、承認申請データを一層活用した承認審査や相談の実施について具体的な検討が進められている。

今般、これまでの検討結果を踏まえて、平成28年度以降、電子データの受付を開始するべく、現時点での考え方を、「承認申請時の電子データ提出に関する基本的考え方」として別添のとおり取りまとめたので、貴管下製造販売業者等の業務に活用するよう、周知方お願いする。

なお、本通知は一般的な原則を示すものであり、承認申請時の電子データ提出に関する詳細事項については、今後、別途通知する予定であるので留意されたい。

また、本通知の写しを日本製薬団体連合会他関連団体宛てに発出していることを申し添える。

(別添)

承認申請時の電子データ提出に関する基本的考え方

1.承認申請時に電子データ提出を求める背景

医薬品の承認審査に関しては、「日本再興戦略」(平成25年6月14日閣議決定)において独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)の強化の必要性が指摘され、さらに、「健康・医療戦略」(平成25年6月14日関係大臣申合せ)では、「PMDA自らが臨床データ等を活用した解析や研究を進め、審査・相談において、より合理的で効率的な評価・判断プロセスの構築を進める」こととされている。

PMDA自らがデータを活用した解析や研究を実施するためには、まず、PMDAに提出される臨床試験成績が電子データとして提出されることが重要となる。臨床試験成績を電子データとして収集することで、個々の品目の承認審査において様々な解析が可能となり、より客観的で科学的な意思決定につながり、承認審査の質の更なる向上に資するものと考えられる。また、様々な品目に関する試験データを同様に集積することで、品目横断的な検討が可能となるとともに、近年注目されているModeling&Simulation等の活用にもつながるものと考えられる。例えば、薬物動態と臨床効果との関連、臨床効果の用量反応性、疾患の経過や予後等について、より精度の高い予測が可能になると期待されている。特に、希少疾病用医薬品や小児用の医薬品の開発については、患者数が少なくデータ集積が困難であることや、適切な評価方法が未確立であることにより困難を伴う場合が多いが、集積した電子データを用いた研究を進めることで、その効率化に寄与すると考えられる。

一方、承認申請時に電子データを提出することは、申請者側にも多くの利点があると考えられる。第一に、PMDAで実施した様々な解析の結果を承認審査、対面助言等に役立てることで、申請者における医薬品開発の効率化、開発成功率の向上等に寄与すると考えられる。第二に、承認申請時の申請者側の負担が軽減されると考えられる。例えば、従来の承認審査におけるPMDAからの照会事項では、申請者に臨床試験データに関する再解析を求める場合も多かったが、PMDAが自ら解析を実施することにより、照会事項の減少又はその内容の明確化につながることが期待される。さらに、国際的に広く使用されている電子フォーマットに基づく臨床試験データの収集が我が国で定着すれば、PMDA及び申請者の両者において、国際連携を視野に入れたより適切かつ最先端の解析・評価等を実施できるようになり、国際共同研究及び開発の推進にもつながるものと考えられる。

2.電子データの提出対象となる品目と資料の範囲

(1) 対象となる品目

原則として、「医薬品の承認申請について」(平成26年11月21日付け薬食発1121第2号厚生労働省医薬食品局長通知)の別表2―(1)に掲げる(1)から(7)まで、(9)及び(9の2)の医療用医薬品とする。

(2) 対象となる資料の範囲

原則として、承認申請時に、申請者が評価資料として提出する資料のうち次に掲げる資料について、被験者ごとの電子データでの提出を求めることとする。

ア 一般的に有効性、安全性及び用法・用量の主要な根拠となると考えられる全ての第Ⅱ相試験及び第Ⅲ相試験(長期投与試験を含む)の成績に関する資料

イ 第Ⅰ相試験及び臨床薬理試験のうち、次に掲げる試験の成績に関する資料

・抗悪性腫瘍剤での第Ⅰ相試験

・日本人と外国人の双方に対して実施された第Ⅰ相試験(国際共同試験やブリッジング試験の場合など)

・ICH E14ガイドラインに基づくQT/QTc試験

ウ その他

・その他の第Ⅰ相試験及び臨床薬理試験並びに参考資料等

これらの試験・解析に関する電子データ(母集団解析に用いたデータセットを含む。)については、一律に提出を求めるものではないが、PMDAが必要と判断したものについては提出を求めることがある。

・有効性又は安全性に関する統合解析

有効性又は安全性について複数の試験結果を統合して解析している場合には、その解析結果(いわゆるIntegrated Summary of Safety(ISS)/Integrated Summary of Effectiveness(ISE))のデータセットについて、電子データでの提出を求めることがある。

・製造販売後臨床試験

電子データを添付して承認申請された品目については、製造販売後臨床試験に関する電子データの提出を求めることがある。

ただし、過去に実施した試験等でデータが電子的に保存されていない等、電子データを準備することが困難な特段の状況がある試験については、電子データの提出を不要とする場合がある。

なお、臨床試験以外の試験(非臨床試験等)等に関する電子データの活用についても並行して検討を進めており、将来的には、電子データで提出すべき資料の範囲が変更となる可能性があることに留意すること。

3.電子データの提出方法とその種類

(1) 提出時のデータ標準

対象となる臨床試験のデータについては、Clinical Data Interchange Standards Consortiumの規格(以下「CDISC標準」という。)に準拠した形式で提出すること。提出する電子データのCDISC標準への適合性については、申請者の責任で担保する必要がある。

ただし、希少疾病用医薬品等について、平成26年6月20日より前に開始した試験については、その限りではない。

また、臨床薬理領域の解析用データについては、申請者の解析データ作成における実態を踏まえ、CDISC標準以外の規格に基づく提出も可能な場合がある。詳細は「承認申請時の電子データ提出に関する実務的事項について」(平成27年4月27日付け薬食審査発0427第1号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知。以下「実務的通知」という。)を参照すること。

(2) 提出すべき電子データの種類

個別の試験データについては、Study Data Tabulation Model(SDTM)を用い、変数等の定義ファイル(Define.XML等)とともに提出すること。また、解析データセットとしてAnalysis Data Model(ADaM)に基づくデータセット及びその定義ファイル(Define.XML等)並びにADaMデータセット作成用のプログラムを提出すること。

ISSやISEに関する電子データについては、PMDAが必要と判断した場合に、原則としてADaMに基づくデータ、定義ファイル(Define.XML等)及びADaM作成用のプログラムの提出を求めるが、具体的な提出内容は、提出前に個別にPMDAに確認することが望ましい。

なお、解析データセットがADaM以外の他の形式で作成されているデータでも例外的に提出を受け入れる場合があるが、提出内容(定義ファイルや解析データセット作成用プログラムを含む)について、提出前に個別にPMDAに確認すること。

PMDAにおいて電子データを取扱うシステムの開発に当たっては、CDISC標準において推奨される統制用語(Controlled Terminology)及びコードリストが設定されている項目の電子データを、英語のみで記載されることを前提として設計している。CDISC標準において推奨される統制用語(Controlled Terminology)及びコードリストの設定がない場合も、可能な限り英語での記載を求めることとするが、日本語での記載が必要かつ適切と考えられる項目(例:各症例の経過等に関する文章での説明、医師のコメント等)においては、日本語での記載も可能とする。

提出すべき具体的な電子データ項目、日本語の情報の記載可能箇所や提出方法等については、実務的通知を参照すること。

(3) 解析用プログラムの提出

PMDAにおいて、申請者が実施した解析結果を確認するため、電子データを提出する場合は、原則として、同時に検証的試験の主要評価項目に対する主要解析のプログラムを提出すること。その他の解析プログラム(副次解析のプログラム、主要評価項目以外の項目に対する解析プログラム又は検証的試験以外の試験の解析プログラム)の提出の必要性については、承認審査における試験及び評価項目の重要性を考慮して個別に判断するため、具体的な提出内容は提出前に個別にPMDAに確認することが望ましい。また、承認申請後であっても、審査の過程で更なる検討が必要と判断した場合には、追加でプログラムの提出を求める場合がある。

解析プログラムについては、原則として、ADaMデータセットを基データとする解析プログラムを提出すること。ただし、例外的に、解析データセットがADaMと異なる形式で作成されている場合には、解析データセット及び解析プログラムの提出について、提出前に個別にPMDAに確認すること。

また、申請者による解析時に使用された解析システムの性質等から、PMDAの環境において当該解析プログラムの利用が困難な場合又は解析結果が再現できない場合には、解析内容等の説明を別途個別に求める場合がある。

(4) 電子データの作成と使用するコード

電子データの作成にあたって使用するCDISC標準やMedDRAのバージョンについては、試験の実施時期あるいはデータセット作成時期の違いも考慮し、最新バージョンだけではなく旧バージョンも含めて複数のバージョンを受け入れることとする。詳細は実務的通知を参照すること。

また、電子データを作成する際のデータのコード化については、CDISCにおいて推奨される統制用語(Controlled Terminology)及びコードリストを使用し、単位についてはSI単位を使用することを原則とするが、具体的に使用するコード化や単位については、実務的通知を参照すること。

4.電子データ提出とeCTDとの関連

臨床試験のデータの電子的提出を求めることに伴い、添付資料の提出方法については、eCTDによることを原則とする。eCTDでの提出を求める対象や範囲、提出方法及びその時期、個別の電子データをeCTDのどのフォルダに格納するかなどの具体的事項等については、実務的通知を参照すること。なお、臨床試験のデータをCDISC標準に基づく電子データとして提出する場合には、承認申請に際してeCTDにおける症例一覧表の提出を不要とする方向で検討を進めている。

また、eCTDでの提出に伴い、承認審査過程の電子化を推進し、紙媒体での資料の提出を簡略化する方向で検討を進めているが、その具体的な対象、範囲及び時期等については、今後の検討を踏まえて別途通知する予定である。

5.電子データに関する相談プロセス

承認申請時の電子データ提出に関しては、個々に判断すべき事項も多く、承認審査を円滑に進めるため、PMDAの対面助言を活用するなどして、承認申請予定の個別品目ごとに、承認申請前の段階で相談を行うことが望ましい。具体的な相談内容、プロセス等の詳細については、「独立行政法人医薬品医療機器総合機構が行う対面助言、証明確認調査等の実施要綱等について」(平成24年3月2日付け薬機発第0302070号独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事長通知)を参照すること。

6.電子データ提出に関する情報管理

電子データについては、承認申請資料の一部として提出を求めるものであり、その行政文書としての公開に関しては、これまでの承認申請資料と同様に、情報公開法上の考え方、手続に基づき対応することとなる。したがって、提出された電子データの内容が、開示が可能であることの確認を申請者にとることなく、第三者に閲覧されるようなことはない。ただし、秘密保持契約に基づき、海外の薬事規制当局との情報共有が行われる場合はある。

また、提出された被験者ごとの電子データに直接アクセスするのは、PMDA及び厚生労働省医薬・生活衛生局の関係者(PMDA及び厚生労働省医薬・生活衛生局の職員の他、秘密保持契約締結の下、PMDA内に常駐するシステム担当者等を含む。)に限定され、PMDA外への漏洩、紛失等がないよう適切に保管・管理される。

7.電子データ提出と信頼性適合性調査との関連

承認申請資料の信頼性適合性調査については、今後、電子症例報告書におけるデータの収集段階からCDASH(Clinical Data Acquisition Standards Harmonization)等のCDISC標準を利用し、その電子データに基づき治験総括報告書でのデータが作成されているような試験成績を対象とする場合の調査については、「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」(平成24年3月30日付け文部科学省・厚生労働省)において、「IT技術の更なる活用等」としてCDISC標準等の導入を検討するとされていることを踏まえ、承認申請者等の負担軽減を考慮した、より効率的な実施方法を検討する。

なお、当面の間は、承認申請時に試験データを電子的に提出した場合であっても、症例一覧表等の提出も含め、従前どおり「医薬品の承認申請資料に係る適合性書面調査及びGCP実地調査の実施手続きについて」(平成24年10月12日付け薬機発第1012063号独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事長通知)に基づき実施される。

8.電子データの提出開始時期

実務的通知で定める経過措置期間中においては、従前どおり、電子データの提出を必ずしも求めるものではない。

また、経過措置期間等において、電子データの提出が必要と判断された試験の全部について、CDISC標準でのデータを提出することができない場合には、従前どおり、審査の過程では、PMDAからの照会事項に対して必要な解析を実施した上で回答することが求められる。

9.用語解説

・ Clinical Data Interchange Standards Consortium(CDISC)

臨床研究データ等の相互運用を促進するため、データの収集、交換、申請及び保存のための国際規格を開発している学際的な非営利団体。CDISCで開発された標準規格は、米国FDA等においても承認申請データの受入規格として採用されている。詳細は、CDISCのウェブサイト(http://www.cdisc.org/)を参照すること。

・ Study Data Tabulation Model(SDTM)

CDISCで開発された標準規格の一つで、治験における個々の患者データについて、薬事規制当局への電子データ申請を推進するために開発されたもの。

・ Analysis Data Model(ADaM)

CDISCで開発された標準規格の一つで、治験データに基づく統計解析を実施するために必要なデータセットに関し、薬事規制当局への電子データ申請を推進するために開発されたもの。

・ Clinical Data Acquisition Standards Harmonization(CDASH)

CDISCで開発された標準規格の一つで、治験実施医療機関で症例報告書におけるデータ項目を電子的に統一するために開発されたもの。