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○働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法関係の解釈について

(平成30年12月28日)

(基発1228第15号)

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

(公印省略)

働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号。以下「整備法」という。)第1条の規定による改正後の労働基準法(昭和22年法律第49号。以下「法」という。)、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令(平成30年厚生労働省令第112号)第1条及び労働基準法施行規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令(平成31年厚生労働省令第29号)第1条の規定による改正後の労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号。以下「則」という。)、労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針(平成30年厚生労働省告示第323号。以下「指針」という。)及び労働基準法第41条の2第1項の規定により同項第1号の業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針(平成31年厚生労働省告示第88号。以下「高プロ指針」という。)の内容等については、平成30年9月7日付け基発0907第1号「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法の施行について」及び平成31年3月25日付け基発0325第1号「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法及び労働安全衛生法の施行について(新労基法第41条の2及び新安衛法第66条の8の4関係)」により通知したところであるが、これらの解釈については下記によることとするので、了知の上、取扱いに遺漏なきを期されたい。

第1 フレックスタイム制(法第32条の3関係)

<時間外・休日労働協定及び割増賃金との関係>

問1

清算期間が1箇月を超える場合において、清算期間を1箇月ごとに区分した各期間を平均して1週間当たり50時間を超えて労働させた場合、法第36条第1項の協定(以下「時間外・休日労働協定」という。)の締結と割増賃金の支払は必要か。

答1

清算期間が1箇月を超える場合において、清算期間を1箇月ごとに区分した各期間を平均して1週間当たり50時間を超えて労働させた場合は時間外労働に該当するものであり、時間外・休日労働協定の締結及び届出を要し、清算期間の途中であっても、当該各期間に対応した賃金支払日に割増賃金を支払わなければならない。

<時間外・休日労働協定における協定事項>

問2

フレックスタイム制において時間外・休日労働協定を締結する際、現行の取扱いでは1日について延長することができる時間を協定する必要はなく、清算期間を通算して時間外労働をすることができる時間を協定すれば足りるとしているが、今回の法改正後における取扱い如何。

答2

1日について延長することができる時間を協定する必要はなく、1箇月及び1年について協定すれば足りる。

<月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の適用>

問3

法第37条第1項ただし書により、月60時間を超える時間外労働に対しては5割以上の率で計算した割増賃金を支払う必要があるが、清算期間が1箇月を超えるフレックスタイム制に対してはどのように適用するのか。

答3

清算期間を1箇月ごとに区分した各期間を平均して1週間当たり50時間を超えて労働させた時間については、清算期間の途中であっても、時間外労働としてその都度割増賃金を支払わなければならず、当該時間が月60時間を超える場合は法第37条第1項ただし書により5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

また、清算期間を1箇月ごとに区分した各期間の最終の期間においては、当該最終の期間を平均して1週間当たり50時間を超えて労働させた時間に加えて、当該清算期間における総実労働時間から、①当該清算期間の法定労働時間の総枠及び②当該清算期間中のその他の期間において時間外労働として取り扱った時間を控除した時間が時間外労働時間として算定されるものであり、この時間が60時間を超える場合には法第37条第1項ただし書により5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

<法第36条第6項第2号及び第3号の適用>

問4

法第36条第6項第2号及び第3号は、清算期間が1箇月を超えるフレックスタイム制に対してはどのように適用するのか。

答4

清算期間が1箇月を超える場合のフレックスタイム制においては、法第36条第6項第2号及び第3号は、清算期間を1箇月ごとに区分した各期間について、当該各期間(最終の期間を除く。)を平均して1週間当たり50時間を超えて労働させた時間に対して適用される。

また、清算期間を1箇月ごとに区分した各期間の最終の期間においては、当該最終の期間を平均して1週間当たり50時間を超えて労働させた時間に加えて、当該清算期間における総実労働時間から、①当該清算期間の法定労働時間の総枠及び②当該清算期間中のその他の期間において時間外労働として取り扱った時間を控除した時間が時間外労働時間として算定されるものであり、この時間について法第36条第6項第2号及び第3号が適用される。

なお、フレックスタイム制は、労働者があらかじめ定められた総労働時間の範囲内で始業及び終業の時刻を選択し、仕事と生活の調和を図りながら働くための制度であり、長時間の時間外労働を行わせることは、フレックスタイム制の趣旨に合致しないことに留意すること。

第2 時間外労働の上限規制(法第36条及び第139条から第142条まで関係)

<時間外・休日労働協定の対象期間と有効期間>

問1

時間外・休日労働協定の対象期間と有効期間の違い如何。

答1

時間外・休日労働協定における対象期間とは、法第36条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる期間をいい、1年間に限るものであり、時間外・休日労働協定においてその起算日を定めることによって期間が特定される。

これに対して、時間外・休日労働協定の有効期間とは、当該協定が効力を有する期間をいうものであり、対象期間が1年間に限られることから、有効期間は最も短い場合でも原則として1年間となる。また、時間外・休日労働協定について定期的に見直しを行う必要があると考えられることから、有効期間は1年間とすることが望ましい。

なお、時間外・休日労働協定において1年間を超える有効期間を定めた場合の対象期間は、当該有効期間の範囲内において、当該時間外・休日労働協定で定める対象期間の起算日から1年ごとに区分した各期間となる。

<1日、1箇月及び1年以外の期間についての協定>

問2

時間外・休日労働協定において、1日、1箇月及び1年以外の期間について延長時間を定めることはできるか。定めることができる場合、当該延長時間を超えて労働させた場合は法違反となるか。

答2

1日、1箇月及び1年に加えて、これ以外の期間について延長時間を定めることも可能である。この場合において、当該期間に係る延長時間を超えて労働させた場合は、法第32条違反となる。

<1年単位の変形労働時間制の対象期間の一部が含まれる場合>

問3

対象期間とする1年間の中に、対象期間が3箇月を超える1年単位の変形労働時間制の対象期間の一部が含まれている場合の限度時間は、月42時間かつ年320時間か。

答3

時間外・休日労働協定で対象期間として定められた1年間の中に、対象期間が3箇月を超える1年単位の変形労働時間制の対象期間が3箇月を超えて含まれている場合には、限度時間は月42時間及び年320時間となる。

<限度時間等を超える協定の効力>

問4

法第36条第4項に規定する限度時間又は同条第5項に規定する1箇月及び1年についての延長時間の上限(1箇月について休日労働を含んで100時間未満、1年について720時間)若しくは月数の上限(6箇月)を超えている時間外・休日労働協定の効力如何。

答4

設問の事項は、いずれも法律において定められた要件であり、これらの要件を満たしていない時間外・休日労働協定は全体として無効である。

<対象期間の途中における破棄・再締結>

問5

対象期間の途中で時間外・休日労働協定を破棄・再締結し、対象期間の起算日を当初の時間外・休日労働協定から変更することはできるか。

答5

時間外労働の上限規制の実効性を確保する観点から、法第36条第4項の1年についての限度時間及び同条第5項の月数は厳格に適用すべきものであり、設問のように対象期間の起算日を変更することは原則として認められない。

なお、複数の事業場を有する企業において、対象期間を全社的に統一する場合のように、やむを得ず対象期間の起算日を変更する場合は、時間外・休日労働協定を再締結した後の期間においても、再締結後の時間外・休日労働協定を遵守することに加えて、当初の時間外・休日労働協定の対象期間における1年の延長時間及び限度時間を超えて労働させることができる月数を引き続き遵守しなければならない。

<限度時間を超えて労働させる必要がある場合>

問6

法第36条第5項に規定する「通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に第三項の限度時間を超えて労働させる必要がある場合」とは具体的にどのような状態をいうのか。

答6

「通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に第三項の限度時間を超えて労働させる必要がある場合」とは、全体として1年の半分を超えない一定の限られた時期において一時的・突発的に業務量が増える状況等により限度時間を超えて労働させる必要がある場合をいうものであり、「通常予見することのできない業務量の増加」とは、こうした状況の一つの例として規定されたものである。

その上で、具体的にどのような場合を協定するかについては、労使当事者が事業又は業務の態様等に即して自主的に協議し、可能な限り具体的に定める必要があること。

なお、法第33条の非常災害時等の時間外労働に該当する場合はこれに含まれないこと。

<転勤の場合>

問7

同一企業内のA事業場からB事業場へ転勤した労働者について、①法第36条第4項に規定する限度時間、②同条第5項に規定する1年についての延長時間の上限、③同条第6項第2号及び第3号の時間数の上限は、両事業場における当該労働者の時間外労働時間数を通算して適用するのか。

答7

①法第36条第4項に規定する限度時間及び②同条第5項に規定する1年についての延長時間の上限は、事業場における時間外・休日労働協定の内容を規制するものであり、特定の労働者が転勤した場合は通算されない。

これに対して、③同条第6項第2号及び第3号の時間数の上限は、労働者個人の実労働時間を規制するものであり、特定の労働者が転勤した場合は法第38条第1項の規定により通算して適用される。

<法第36条第6項第3号の適用範囲>

問8

法第36条第6項第3号に規定する要件は、改正法施行前の期間や経過措置の期間も含めて満たす必要があるのか。

また、複数の時間外・休日労働協定の対象期間をまたぐ場合にも適用されるものであるか。

答8

法第36条第6項第3号の要件については、同号の適用がない期間(整備法の施行前の期間、整備法附則第2条の規定によりなお従前の例によることとされている期間及び法第139条から第142条までの規定により法第36条第6項の規定が適用されない期間)の労働時間は算定対象とならない。

また、法第36条第6項第3号の規定は、複数の時間外・休日労働協定の対象期間をまたぐ場合にも適用されるものである。

<指針に適合しない時間外・休日労働協定の効力>

問9

指針に適合しない時間外・休日労働協定の効力如何。

答9

指針は、時間外・休日労働を適正なものとするために留意すべき事項等を定めたものであり、法定要件を満たしているが、指針に適合しない時間外・休日労働協定は直ちには無効とはならない。

なお、指針に適合しない時間外・休日労働協定は、法第36条第9項の規定に基づく助言及び指導の対象となるものである。

<適用猶予・除外業務等に係る届出様式の取扱い>

問10

適用猶予・除外業務等について上限規制の枠内の時間外・休日労働協定を届け出る場合に、則様式第9号又は第9号の2を使用することは差し支えないか。

答10

法第36条の適用が猶予・除外される対象であっても、同条に適合した時間外・休日労働協定を締結することが望ましい。

この場合において、則様式第9号又は第9号の2を使用することも差し支えない。

<中小事業主に係る届出様式の取扱い>

問11

改正前の労働基準法施行規則様式第9号(以下「旧様式」という。)により届け出るべき時間外・休日労働協定を則様式第9号(以下「新様式」という。)により届け出ることは可能か。

また、その際、チェックボックスへのチェックを要するか。

答11

新様式の記載項目は、旧様式における記載項目を包含しており、旧様式により届け出るべき時間外・休日労働協定を新様式により届け出ることは差し支えない。

旧様式により届け出るべき時間外・休日労働協定が新様式で届け出られた際は、改正前の法及び則並びに労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準(平成10年労働省告示第154号)に適合していれば足り、法第36条第6項第2号及び第3号に定める要件を満たすことについて協定しない場合には、チェックボックスへのチェックは要しない。

<指針第8条第2号の深夜業の回数制限>

問12

指針第8条第2号に規定する健康確保措置の対象には、所定労働時間内の深夜業の回数も含まれるのか。

また、目安となる回数はあるか。

答12

指針第8条第2号に規定する健康確保措置の対象には、所定労働時間内の深夜業の回数制限も含まれるものである。なお、交替制勤務など所定労働時間に深夜業を含んでいる場合には、事業場の実情に合わせ、その他の健康確保措置を講ずることが考えられる。

また、指針は、限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置として望ましい内容を規定しているものであり、深夜業を制限する回数の設定を含め、その具体的な取扱いについては、労働者の健康及び福祉を確保するため、各事業場の業務の実態等を踏まえて、必要な内容を労使間で協定すべきものである。

例えば、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第66条の2の規定に基づく自発的健康診断の要件として、1月当たり4回以上深夜業に従事したこととされていることを参考として協定することも考えられる。

<指針第8条第3号の休息時間>

問13

指針第8条第3号の「休息時間」とはどのような時間か。目安となる時間数はあるか。

答13

指針第8条第3号の「休息時間」は、使用者の拘束を受けない時間をいうものであるが、限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置として望ましい内容を規定しているものであり、休息時間の時間数を含め、その具体的な取扱いについては、労働者の健康及び福祉を確保するため、各事業場の業務の実態等を踏まえて、必要な内容を労使間で協定すべきものである。

<法第36条第11項に規定する業務の範囲>

問14

法第36条第11項に規定する「新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務」の具体的な範囲如何。

答14

法第36条第11項に規定する「新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務」は、専門的、科学的な知識、技術を有する者が従事する新技術、新商品等の研究開発の業務をいい、既存の商品やサービスにとどまるものや、商品を専ら製造する業務などはここに含まれないこと。

<則第69条第1項第3号の対象となる範囲>

問15

則第69条第1項第3号の対象となる範囲如何。

答15

建設現場における交通誘導警備の業務を主たる業務とする労働者を指すものである。

<自動車の運転の業務の範囲>

問16

法第140条及び則第69条第2項に規定する自動車の運転の業務の範囲如何。

答16

法第140条及び則第69条第2項に規定する「自動車の運転の業務」に従事する者は、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(平成元年労働省告示第7号。以下「改善基準告示」という。)第1条の自動車運転者と範囲を同じくするものである。

すなわち、改善基準告示第1条の「自動車の運転に主として従事する者」が対象となるものであり、物品又は人を運搬するために自動車を運転することが労働契約上の主として従事する業務となっている者は原則として該当する。(ただし、物品又は人を運搬するために自動車を運転することが労働契約上の主として従事する業務となっていない者についても、実態として物品又は人を運搬するために自動車を運転する時間が現に労働時間の半分を超えており、かつ、当該業務に従事する時間が年間総労働時間の半分を超えることが見込まれる場合には、「自動車の運転に主として従事する者」として取り扱うこと。)

そのため、自動車の運転が労働契約上の主として従事する業務でない者、例えば、事業場外において物品等の販売や役務の提供、取引契約の締結・勧誘等を行うための手段として自動車を運転する者は原則として該当しない。

なお、労働契約上、主として自動車の運転に従事することとなっている者であっても、実態として、主として自動車の運転に従事することがなければ該当しないものである。

<「医業に従事する医師」の範囲>

問17

法第141条に規定する「医業に従事する医師」の範囲如何。

答17

労働者として使用され、医行為を行う医師をいう。なお、医行為とは、当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為をいうものである。

<労働者派遣事業の場合>

問18

労働者派遣事業を営む事業主が、法第139条から第142条までに規定する事業又は業務に労働者を派遣する場合、これらの規定は適用されるのか。

また、事業場の規模により法第36条の適用が開始される日が異なるが、派遣元又は派遣先のいずれの事業場の規模について判断すればよいか。

答18

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という。)第44条第2項前段の規定により、派遣中の労働者の派遣就業に係る法第36条の規定は派遣先の使用者について適用され、同項後段の規定により、時間外・休日労働協定の締結・届出は派遣元の使用者が行うこととなる。

このため、法第139条から第142条までの規定は派遣先の事業又は業務について適用されることとなり、派遣元の使用者においては、派遣先における事業・業務の内容を踏まえて時間外・休日労働協定を締結する必要がある。

また、事業場の規模についても、労働者派遣法第44条第2項前段の規定により、派遣先の事業場の規模によって判断することとなる。

時間外・休日労働協定の届出様式については、派遣先の企業規模や事業内容、業務内容に応じて適切なものを使用することとなる。

<一般則適用業務と適用除外・猶予業務等との間で転換した場合>

問19

法第36条の規定が全面的に適用される業務(以下「一般則適用業務」という。)と法第36条の適用除外・猶予業務等との間で業務転換した場合や出向した場合の取扱い如何。

答19

【業務転換の場合】

同一の時間外・休日労働協定によって時間外労働を行わせる場合は、対象期間の途中で業務を転換した場合においても、対象期間の起算日からの当該労働者の時間外労働の総計を当該時間外・休日労働協定で定める延長時間の範囲内としなければならない。したがって、例えば法第36条の適用除外・猶予業務から一般則適用業務に転換した場合、当該協定における一般則適用業務の延長時間(最大1年720時間)から、適用除外・猶予業務において行った時間外労働時間数を差し引いた時間数まで時間外労働を行わせることができ、適用除外・猶予業務において既に年720時間を超える時間外労働を行っていた場合は、一般則適用業務への転換後に時間外労働を行わせることはできない。

なお、法第36条第6項第2号及び第3号の規定は、時間外・休日労働協定の内容にかかわらず、一般則適用業務に従事する期間における実労働時間についてのみ適用されるものである。

【出向の場合】

出向先において出向元とは別の時間外・休日労働協定の適用を受けることとなる場合は、出向元と出向先との間において特段の取決めがない限り、出向元における時間外労働の実績にかかわらず、出向先の時間外・休日労働協定で定める範囲内で時間外・休日労働を行わせることができる。

ただし、一般則適用業務の実労働時間については、法第36条第6項第2号及び第3号の要件を満たす必要があり、法第38条第1項により出向の前後で通算される。

第3 年5日以上の年次有給休暇の確実な取得(法第39条第7項及び第8項関係)

<使用者による時季指定>

問1

法第39条第7項に規定する使用者による時季指定は、いつ行うのか。

答1

法第39条第7項に規定する使用者による時季指定は、必ずしも基準日からの1年間の期首に限られず、当該期間の途中に行うことも可能である。

<使用者による時季指定の対象となる労働者>

問2

法第39条第7項に規定する「有給休暇の日数が十労働日以上である労働者」には、同条第3項の比例付与の対象となる労働者であって、前年度繰越分の有給休暇と当年度付与分の有給休暇とを合算して初めて10労働日以上となる者も含まれるのか。

答2

法第39条第7項の「有給休暇の日数が十労働日以上である労働者」は、基準日に付与される年次有給休暇の日数が10労働日以上である労働者を規定したものであり、同条第3項の比例付与の対象となる労働者であって、今年度の基準日に付与される年次有給休暇の日数が10労働日未満であるものについては、仮に、前年度繰越分の年次有給休暇も合算すれば10労働日以上となったとしても、「有給休暇の日数が十労働日以上である労働者」には含まれない。

<半日単位・時間単位による時季指定の可否>

問3

法第39条第7項の規定による時季指定を半日単位や時間単位で行うことはできるか。

答3

則第24条の6第1項の規定により労働者の意見を聴いた際に半日単位の年次有給休暇の取得の希望があった場合においては、使用者が法第39条第7項の年次有給休暇の時季指定を半日単位で行うことは差し支えない。この場合において、半日の年次有給休暇の日数は0.5日として取り扱うこと。

また、法第39条第7項の規定による時季指定を時間単位年休で行うことは認められない。

<前年度から繰り越された年次有給休暇の取扱い>

問4

前年度からの繰越分の年次有給休暇を取得した場合は、その日数分を法第39条第7項の規定により使用者が時季指定すべき5日の年次有給休暇から控除することができるか。

答4

前年度からの繰越分の年次有給休暇を取得した場合は、その日数分を法第39条第7項の規定により使用者が時季指定すべき5日の年次有給休暇から控除することとなる。

なお、法第39条第7項及び第8項は、労働者が実際に取得した年次有給休暇が、前年度からの繰越分の年次有給休暇であるか当年度の基準日に付与された年次有給休暇であるかについては問わないものである。

<事後における時季変更の可否>

問5

労働基準法第39条第7項の規定により指定した時季を、使用者又は労働者が事後に変更することはできるか。

答5

法第39条第7項の規定により指定した時季について、使用者が則第24条の6に基づく意見聴取の手続を再度行い、その意見を尊重することによって変更することは可能である。

また、使用者が指定した時季について、労働者が変更することはできないが、使用者が指定した後に労働者に変更の希望があれば、使用者は再度意見を聴取し、その意見を尊重することが望ましい。

<義務の履行が不可能な場合>

問6

基準日から1年間の期間(以下「付与期間」という。)の途中に育児休業が終了した労働者等についても、5日の年次有給休暇を確実に取得させなければならないか。

答6

付与期間の途中に育児休業から復帰した労働者等についても、法第39条第7項の規定により5日間の年次有給休暇を取得させなければならない。

ただし、残りの期間における労働日が、使用者が時季指定すべき年次有給休暇の残日数より少なく、5日の年次有給休暇を取得させることが不可能な場合には、その限りではない。

<年5日を超える時季指定の可否>

問7

使用者は、5日を超える日数について法第39条第7項による時季指定を行うことができるか。

答7

労働者の個人的事由による取得のために労働者の指定した時季に与えられるものとして一定の日数を留保する観点から、法第39条第7項の規定による時季指定として5日を超える日数を指定することはできない。

また、使用者が時季指定を行うよりも前に、労働者自ら請求し、又は計画的付与により具体的な年次有給休暇日が特定されている場合には、当該特定されている日数について使用者が時季指定することはできない(法第39条第8項)。

<時季指定後に労働者が自ら年次有給休暇を取得した場合>

問8

法第39条第7項の規定によりあらかじめ使用者が時季指定した年次有給休暇日が到来するより前に、労働者が自ら年次有給休暇を取得した場合は、当初使用者が時季指定した日に労働者が年次有給休暇を取得しなくても、法第39条第7項違反とはならないか。

答8

設問の場合は労働者が自ら年次有給休暇を5日取得しており、法第39条第7項違反とはならない。なお、この場合において、当初使用者が行った時季指定は、使用者と労働者との間において特段の取決めがない限り、当然に無効とはならない。

<端数の取扱い>

問9

則第24条の5第2項においては、基準日又は第一基準日を始期として、第二基準日から1年を経過する日を終期とする期間の月数を12で除した数に5を乗じた日数について時季指定する旨が規定されているが、この「月数」に端数が生じた場合の取扱い如何。また、同規定により算定した日数に1日未満の端数が生じた場合の取扱い如何。

答9

則第24条の5第2項を適用するに当たっての端数については原則として下記のとおり取り扱うこととするが、この方法によらず、月数について1箇月未満の端数をすべて1箇月に切り上げ、かつ、使用者が時季指定すべき日数について1日未満の端数をすべて1日に切り上げることでも差し支えない。

【端数処理の方法】

① 基準日から翌月の応答日の前日までを1箇月と考え、月数及び端数となる日数を算出する。ただし、基準日の翌月に応答日がない場合は、翌月の末日をもって1箇月とする。

② 当該端数となる日数を、最終月の暦日数で除し、上記①で算出した月数を加える。

③ 上記②で算出した月数を12で除した数に5を乗じた日数について時季指定する。なお、当該日数に1日未満の端数が生じている場合は、これを1日に切り上げる。

(例)第一基準日が10月22日、第二基準日が翌年4月1日の場合

① 10月22日から11月21日までを1箇月とすると、翌々年3月31日までの月数及び端数は17箇月と10日(翌々年3月22日から3月31日まで)と算出される。

② 上記①の端数10日について、最終月(翌々年3月22日から4月21日まで)の暦日数31日で除し、17箇月を加えると、17.32…箇月となる。

③ 17.32…箇月を12で除し、5を乗じると、時季指定すべき年次有給休暇の日数は、7.21…日となり、労働者に意見聴取した結果、半日単位の取得を希望した場合には7.5日、希望しない場合には8日について時季指定を行う。

<意見聴取の具体的な内容>

問10

則第24条の6の意見聴取やその尊重の具体的な内容如何。

答10

則第24条の6第1項の意見聴取の内容としては、法第39条第7項の基準日から1年を経過する日までの間の適時に、労働者から年次有給休暇の取得を希望する時季を申告させることが考えられる。

また、則第24条の6第2項の尊重の内容としては、できる限り労働者の希望に沿った時季を指定するよう努めることが求められるものである。

<労働者自ら取得した半日年休・時間単位年休の取扱い>

問11

労働者自らが半日単位又は時間単位で取得した年次有給休暇の日数分については、法第39条第8項が適用されるか。

答11

労働者が半日単位で年次有給休暇を取得した日数分については、0.5日として法第39条第8項の「日数」に含まれ、当該日数分について使用者は時季指定を要しない。なお、労働者が時間単位で年次有給休暇を取得した日数分については、法第39条第8項の「日数」には含まれない。

<事業場が独自に設けている特別休暇の取扱い>

問12

事業場が独自に設けている法定の年次有給休暇と異なる特別休暇を労働者が取得した日数分については、法第39条第8項が適用されるか。

答12

法定の年次有給休暇とは別に設けられた特別休暇(たとえば、法第115条の時効が経過した後においても、取得の事由及び時季を限定せず、法定の年次有給休暇を引き続き取得可能としている場合のように、法定の年次有給休暇日数を上乗せするものとして付与されるものを除く。以下同じ。)を取得した日数分については、法第39条第8項の「日数」には含まれない。

なお、法定の年次有給休暇とは別に設けられた特別休暇について、今回の改正を契機に廃止し、年次有給休暇に振り替えることは法改正の趣旨に沿わないものであるとともに、労働者と合意をすることなく就業規則を変更することにより特別休暇を年次有給休暇に振り替えた後の要件・効果が労働者にとって不利益と認められる場合は、就業規則の不利益変更法理に照らして合理的なものである必要がある。

<年次有給休暇管理簿の作成>

問13

年次有給休暇管理簿に記載すべき「日数」とは何を記載すべきか。

また、電子機器を用いて磁気ディスク、磁気テープ、光ディスク等により年次有給休暇管理簿を調整することはできるか。

答13

年次有給休暇管理簿に記載すべき「日数」としては、労働者が自ら請求し取得したもの、使用者が時季を指定し取得したもの又は計画的付与により取得したものにかかわらず、実際に労働者が年次有給休暇を取得した日数(半日単位で取得した回数及び時間単位で取得した時間数を含む。)を記載する必要がある。

また、労働者名簿、賃金台帳と同様の要件を満たした上で、電子機器を用いて磁気ディスク、磁気テープ、光ディスク等により調整することは差し支えない。

<就業規則への記載>

問14

法第39条第7項の規定による時季指定について、就業規則に記載する必要はあるか。

答14

休暇に関する事項は就業規則の絶対的必要記載事項であるため、使用者が法第39条第7項による時季指定を実施する場合は、時季指定の対象となる労働者の範囲及び時季指定の方法等について、就業規則に記載する必要がある。

第4 高度プロフェッショナル制度(法第41条の2関係)

<労使委員会の決議を変更する場合>

問1

法第41条の2第1項に規定する委員会(以下「労使委員会」という。)の決議について、決議内容の変更のため再決議する場合、再度、所轄労働基準監督署長に届け出る必要があるか。また、再決議で決議内容が変更されず同内容だった場合、再度、所轄労働基準監督署長に届け出る必要があるか。

答1

再度、届出が必要である。決議の届出が高度プロフェッショナル制度の効力の発生要件であることから、再決議をして決議内容が変更された場合や再決議で決議内容が変更されず同内容だった場合にも、当該決議を所轄労働基準監督署長に届け出なければ、当該決議に基づく高度プロフェッショナル制度の効力が発生しないこととなる。

<再決議した場合の本人同意>

問2

労使委員会の決議について、その有効期間中に内容を変更するため再決議した場合、改めて対象労働者(法第41条の2第1項に規定する対象労働者をいう。以下同じ。)の同意(以下「本人同意」という。)を得る必要があるか。

答2

再決議における決議の内容の変更点が、則第34条の2第2項に規定する「同意を得るための書面」(以下この答において「同意書面」という。)又は則第34条の2第4項に規定する「合意するための書面」(以下この答において「合意書面」という。)において、個々の対象労働者が同意又は合意した事項に係るものである場合は、対象労働者本人の同意又は合意を取り直す必要がある。再決議における決議の内容の変更点が、同意書面又は合意書面において、個々の対象労働者が同意又は合意した事項に係るもの以外の事項にとどまる場合には、当該個々の対象労働者について同意又は合意を取り直す必要はないが、変更した決議の内容について当該個々の対象労働者に書面で明示するとともに、対象労働者は本人同意の撤回ができる旨を周知することが適当である。なお、決議の内容が変更されたことにより、対象業務や対象労働者の範囲の対象外となった場合には、同意の問題ではなく、高度プロフェッショナル制度の適用から外れることとなる。

<労使委員会の労働者代表委員>

問3

労使委員会の構成員のうち、当該事業場の労働者を代表する者(以下「労働者代表委員」という。)に高度プロフェッショナル制度の対象労働者になり得る労働者やその上司(法第41条第2号に規定する監督若しくは管理の地位にある者を除く。以下同じ。)を指名することは可能か。

答3

可能である。ただし、これらの者が労働者代表委員になったことが、当該対象労働者になり得る労働者の本人同意の判断に影響させてはならない。

<本社事業場以外の事業場に係る決議>

問4

本社事業場以外の事業場で高度プロフェッショナル制度を導入する場合において、本社事業場における労使委員会で本社事業場以外の事業場に係る決議をすることは可能か。

答4

労使委員会の決議は、高度プロフェッショナル制度を導入しようとする事業場ごとに行わなければならない。

<労使委員会の運営規程>

問5

労使委員会の運営規程は必ず作成しなければならないか。また、運営規程についての同意を得るために労使委員会を開催しなければならないか。

答5

則第34条の2の3において準用する則第24条の2の4第4項の規定により、労使委員会の招集、定足数、議事その他労使委員会の運営について必要な事項に関する規程(運営規程)を定めなければならない。

また、同条第5項の規定により、使用者は運営規程の作成又は変更について労使委員会の同意を得なければならない。

<決議の有効期間と本人同意の対象となる期間>

問6

決議の有効期間と本人同意の対象となる期間が一致していない場合、決議の有効期間満了時に再決議を行えば、本人同意は有効のままか。

答6

決議の有効期間満了時に再決議され、決議の有効期間が継続される場合であっても、対象労働者の本人同意を取り直す必要がある。

なお、本人同意の対象となる期間中であっても、決議の有効期間満了時に再決議を行わない場合は、当該決議の有効期間満了をもって、高度プロフェッショナル制度は適用されなくなる。

<「職務」に関する事前チェックの可否>

問7

労使委員会において、使用者が個別の対象労働者について定めた職務(法第41条の2第1項第2号イの職務をいう。以下同じ。)の内容を事前にチェックすることはできるか。

答7

職務については、法第41条の2第1項第2号イの規定により、労使委員会の決議の後に、使用者と対象労働者との間で個別に合意するものである。なお、事業場独自の取組として、使用者が労働者に提示する則第34条の2第4項に規定する「合意するための書面」の案について、労使委員会において、業務量が適切か等について事前にチェックすることは可能である。

<決議の有効期間中の廃止・再決議>

問8

決議の有効期間の途中で労使委員会において決議の上、前の決議を無効にし、有効期間を新たに定めて決議することは可能か。(例えば、10月1日から1年間の有効期間を定めて決議を行ったが、事業年度が翌年の4月1日からとなるので、そちらに合わせる場合)

答8

労使委員会の委員の5分の4以上の決議により、決議を廃止することは可能である。その上で、決議を廃止した日以降の新たな有効期間を定めて決議することも可能である。

この場合、再決議における決議の内容の変更点が、則第34条の2第2項に規定する同意書面(以下この答において「同意書面」という。)又は則第34条の2第4項に規定する合意書面(以下この答において「合意書面」という。)において、個々の対象労働者が同意又は合意した事項に係るものである場合は、対象労働者本人の同意又は合意を取り直す必要がある。再決議における決議の内容の変更点が、同意書面又は合意書面において、個々の対象労働者が同意又は合意した事項に係るもの以外の事項にとどまる場合には、当該個々の対象労働者について同意又は合意を取り直す必要はないが、変更した決議の内容について当該個々の対象労働者に書面で明示するとともに、対象労働者は本人同意の撤回ができる旨を周知することが適当である。

<本人同意と職務の合意に用いる書面の併用>

問9

則第34条の2第2項に規定する「同意を得るための書面」と、則第34条の2第4項に規定する「合意するための書面」を一つの書面にまとめることは可能か。

答9

則第34条の2第4項に規定する「合意するための書面」は、使用者と対象労働者との間で、具体的な業務内容等について合意するものである。一方、則第34条の2第2項に規定する「同意を得るための書面」は、使用者が対象労働者に対し、高度プロフェッショナル制度が適用された場合には、法第4章で定める労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定が適用されないこと等について同意を得るものである。

これらは紛れることのないように別個の書面とすることが望ましいが、一つの書面にまとめる場合でも、則第34条の2第2項各号に掲げる事項について対象労働者が同意し、かつ、同条第4項各号に掲げる事項について対象労働者と合意したことがそれぞれ明らかとなっていれば差し支えない。

<本人同意を得るに当たっての時間的余裕の確保>

問10

高プロ指針の第2の2において、本人同意を得るに当たっては、あらかじめ当該指針に掲げる事項を書面で明示することが適当であるとされているが、「あらかじめ」の定義如何。

答10

「あらかじめ」とは、対象労働者が制度の適用について同意するかどうか判断するのに十分な時間的余裕を確保することをいう。

<制度が無効と判断された場合の再適用>

問11

高度プロフェッショナル制度が法第41条の2第1項第3号から第5号までに規定するいずれかの措置を講じていないことにより、制度の法律上の効果が生じないと判断された場合、決議の有効期間中であれば、再度、対象労働者の同意を得て、高度プロフェッショナル制度を適用することは可能か。

答11

使用者が法第41条の2第1項第3号に規定する健康管理時間を把握する措置又は法第41条の2第1項第5号に規定する選択的措置を講じておらず、高度プロフェッショナル制度の法律上の効果が生じないと判断された場合には、決議の有効期間中であれば、使用者による健康管理時間を把握する措置又は選択的措置の実施を確保できるよう、必要な措置を検討し、当該効果が生じないと判断された労働者に対し、当該効果が生じないと判断された事実の内容を具体的に十分に説明した上で本人同意を取り直し、当該措置を使用者が講ずる場合には高度プロフェッショナル制度を適用することは可能である。この場合において、必要な措置を検討した結果、決議の内容を変更するため再決議した場合には、問2に記載のとおり、本人同意等の手続をとることとなる。

なお、適用の効果は将来に向けてのみ有効であり、無効であった期間を遡及して有効にするものではない。

しかしながら、法第41条の2第1項第4号に規定する年間104日の休日を取得できないことが確定した場合には、決議の有効期間の残りの期間において、再度高度プロフェッショナル制度を適用することはできない。

<本人同意及び職務に関する電磁的記録の提供の方法>

問12

則第34条の2第2項及び第4項の「当該書面に記載すべき事項を記録した電磁的記録の提供を受ける方法」とは何か。

答12

「当該書面に記載すべき事項を記録した電磁的記録の提供を受ける方法」とは、当該書面に対象労働者本人が署名その他必要事項を記載したものをPDFファイルに読み込み、電子メール等に添付し送信させる方法をいう。

<職務の明確性の程度>

問13

高プロ指針第3の2(1)イ(イ)においては、職務の明確性として「当該対象労働者の業務の内容、責任の程度及び職務において求められる成果その他の職務を遂行するに当たって求められる水準」が具体的に定められていることを求めているが、どの程度の具体性が求められるのか。

答13

職務については、労使当事者において可能な限り具体的に定めるものであり、対象労働者の職務の内容とそれ以外の職務の内容との区別が客観的になされている必要がある。したがって、業務の内容が抽象的に定められており、使用者の一方的な指示により業務を追加することができるものは、職務が明確に定められているとはいえない。また、職務を定めるに当たり、働き方の裁量を失わせるような業務量や成果を求めるものではないことが必要である。

<職務の範囲の変更>

問14

法第41条の2第1項第1号の規定により労使委員会で決議した業務(以下「対象業務」という。)の範囲内であれば、対象労働者と職務の範囲について合意し直すことは可能か。

答14

可能である。

<対象業務の適否の判断>

問15

個々の事業場で行われる対象業務について、何をもって法第41条の2第1項第1号及び則第34条の2第3項の要件を満たすと判断するのか。

答15

高プロ指針第3の1に示された対象業務の解釈・具体例に照らし、個別の業務の実態をみて判断するものである。

<対象業務に付随する業務の取扱い>

問16

対象業務に常態として従事しているが、これに付随して対象業務とならないその他の業務を行うことがあるが、その場合、高度プロフェッショナル制度の適用対象となるか。

答16

対象業務に関連する情報・資料の収集、整理、加工等のように、対象業務を遂行する上で当然に付随する業務は、それらも含めて全体が対象業務となるものである。なお、対象労働者は、対象業務に常態として従事していることが必要であり、対象業務に加え、対象業務以外の業務に常態として従事している者は、対象労働者には該当しない。

<複数の対象業務に該当する場合>

問17

対象労働者が従事する業務の内容が則第34条の2第3項の対象業務の複数に該当する場合でも、高度プロフェッショナル制度の適用対象となるか。

答17

則第34条の2第3項の対象業務に該当する限り、対象労働者が従事する業務の内容が複数の対象業務に該当する場合であっても、決議の内容及び職務に関する合意を前提に、高度プロフェッショナル制度を適用することは可能である。

<対象業務以外の業務をともに行う場合>

問18

則第34条の2第3項は、対象業務を限定列挙したものか。対象業務と対象業務以外の業務をともに行っている場合の取扱い如何。

答18

則第34条の2第3項は、高度プロフェッショナル制度の対象業務を限定列挙したものである。

対象労働者は、対象業務に常態として従事していることが必要であり、対象業務に加え、対象業務以外の業務に常態として従事している者は、対象労働者には該当しない。

<出勤日に関する指示の可否>

問19

使用者は、対象労働者に対して出勤日について指示を行うことができるか。

答19

対象労働者には、働く時間帯の選択や時間配分について自らが決定できる広範な裁量が認められている必要があり、使用者は、対象労働者に対し、一定の日に業務に従事するよう指示を行うことはできない。ただし、休日を確実に取得させるため、対象労働者に対し、働く時間帯の選択や時間配分についての裁量を阻害しない範囲において一定の日に休日を取得するよう求めることとしては可能である。また、使用者が、全社的な所定労働日などを参考として伝えることは妨げられないが、対象労働者はそれに従う必要はない。

<年収要件に算入される手当>

問20

法第41条の2第1項第2号ロの「労働契約により使用者から支払われると見込まれる賃金」には、具体的にどのような手当が含まれるのか。

答20

名称の如何にかかわらず、労働契約において「月○万円」など一定の具体的な額をもって支払うことが定められている手当は含まれるが、「1か月の定期券代相当の額」など一定の具体的な額や最低保障額が定められておらず、労働契約締結後の事情の変化等により支給額が変動し得る手当は含まれない。

<業績給の取扱い>

問21

法第41条の2第1項第2号ロの「労働契約により使用者から支払われると見込まれる賃金」について、業績給(業績に応じて支給額が変動する賃金をいう。)の取扱い如何。

答21

業績給の業績連動部分などその支給額があらかじめ確定されていない賃金は含まれないが、業績にかかわらず支払われる最低保障額が定められている場合には、その最低保障額は含まれることとなる。

<制度の適用を受ける期間が1年未満の場合の年収要件の考え方>

問22

高度プロフェッショナル制度の適用を受ける期間が1年未満の対象労働者の場合、法第41条の2第1項第2号ロの要件(年間1,075万円以上)を満たしているかどうかはどのように判断するのか。

答22

高度プロフェッショナル制度が適用される期間に確実に支払われることが見込まれる賃金を1年間当たりの賃金の額に換算し、その額が1,075万円以上となるか否かによって判断することとなる。

なお、換算の計算は、按分により行う。例えば、高度プロフェッショナル制度の適用対象としようとする期間が6か月であり、確実に支払われる賃金が500万円である場合には、500万円×12/6=1,000万円となり、要件を満たさない。なお、按分した結果1円未満の端数が生じた場合は、すべて切り捨てなければならない。

<制度適用前後の賃金額>

問23

高プロ指針第2の5において、「賃金の額が対象となる前の賃金の額から減ることにならないようにすること」と明記されているが、この対象となる前の賃金の額には、割増賃金も含まれるか。

答23

割増賃金も含めて、高度プロフェッショナル制度の対象となる前の賃金の額から減ることにならないようにすることが必要である。このことは、従前の賃金が割増賃金を含まずに年間1,075万円を上回っている場合も同様である。

<休憩時間を把握していない場合>

問24

健康管理時間について、労使委員会で休憩時間を除くことを決議していたが、実際には始業時刻と終業時刻しか把握しておらず、休憩時間を把握していなかった場合は、決議に違反することとなるため、高度プロフェッショナル制度の法律上の効果は生じないこととなるか。

答24

健康管理時間が把握されていないこととなり、高度プロフェッショナル制度の法律上の効果は生じない。

なお、休憩時間を除くことを決議していないにもかかわらず、休憩時間を除いた時間を健康管理時間としていた場合にも、健康管理時間の把握が適切になされているとはいえない。

<健康管理時間を把握していない場合>

問25

高度プロフェッショナル制度の対象労働者が複数いる場合において、このうち一人の対象労働者の健康管理時間が把握されていなかった場合には、その他の対象労働者についても高度プロフェッショナル制度は適用されなくなるか。

答25

法第41条の2第1項第3号から第5号までの措置を講じているかどうかは、対象労働者ごとに判断されるものである。一人の対象労働者に対してこれらの措置が講じられていない場合であっても、他の対象労働者に対してはこれらの措置が講じられているのであれば、それらの対象労働者については高度プロフェッショナル制度の適用は否定されない。

<本人同意の対象となる期間が1年未満の場合における休日の付与>

問26

本人同意の対象となる期間が1年未満の場合、年間104日以上の休日の与え方はどうなるか。

答26

本人同意の対象となる期間に応じて、104日を按分した日数について休日を与えなければならない。例えば、本人同意の対象となる期間が6か月の場合には、104×6/12=52日となる。なお、按分した結果1日未満の端数が生じた場合は、端数は1日に繰り上げなければならない。

<4週間を通じ4日以上の休日を確保できなかった場合>

問27

指針第3の4(1)ロにおいて、「1年間を通じ104日以上の休日について、対象労働者に与えることができないことが確定した時点から、高度プロフェッショナル制度の法律上の効果は生じない。」とされているが、4週間を通じ4日以上の休日を確保できなかった場合も同じか。

答27

4週間を通じ4日以上の休日を確保できなかった場合は、確保できなくなることが確定した時点から高度プロフェッショナル制度の法律上の効果が生じないこととなる。

なお、4週間を通じ4日以上の休日を確保できなかった場合については、当該4週間の期間中には、再度、本人同意を得ることはできない。

<予定と異なる日に休日を取得した場合>

問28

対象労働者が年間の休日の取得予定とは異なる日に休日を取得する場合の取扱い如何。特に、法第41条の2第1項第4号の104日以上の休日確保と①取得予定日と異なる日に休日を取得した場合、②年次有給休暇(法第39条の規定による有給休暇をいう。以下同じ。)を取得した場合、③事業場において独自に設けられた特別休暇を取得した場合との関係如何。

答28

①高度プロフェッショナル制度の対象労働者は、休日の取得についても使用者の具体的な指示を受けないものであり、取得予定日と異なる日に休日を取得したとしても、法第41条の2第1項第4号の要件を満たす限り高度プロフェッショナル制度は有効である。②年次有給休暇は、法第41条の2第1項第4号の休日には含まれない。③事業場において独自に設けられた特別休暇についても、年次有給休暇と同様に、法第41条の2第1項第4号の休日には含まれない。

<選択的措置の考え方>

問29

法第41条の2第1項第5号に規定する措置(以下「選択的措置」という。)について、対象労働者ごとに別々の措置を講じることは可能か。また、対象労働者に対し、複数選択して実施することは可能か。

答29

決議において定めれば可能である。

<複数の選択的措置を決議した場合>

問30

選択的措置を複数選択して実施することを決議した場合、決議した措置のうち1つでも実施できなかったときは、高度プロフェッショナル制度の法律上の効果が生じないこととなるのか。

答30

選択的措置を複数選択して実施することを決議した場合、決議した措置のうち1つでも実施できなければ、法第41条の2第1項第5号に違反することとなり、当該措置が実施されなかった対象労働者については、当該措置が実施されなかった時点から、高度プロフェッショナル制度の法律上の効果は生じないこととなる。

<本人同意の対象となる期間が1年未満の場合の2週間の連続休暇>

問31

本人同意の対象となる期間が1年未満の場合、選択的措置について、2週間の連続休日(法第41条の2第1項第5号ハ)を決議したときは、当該休日について按分して与えることとしてよいか。

答31

本人同意の対象となる期間が1年未満の場合であっても、当該措置を選択した場合には、2週間連続の休日を確実に取得させなければならない。

<2週間の連続休暇における有給休暇の取扱い>

問32

法第41条の2第1項第5号ハの2週間連続の休日には、年次有給休暇を取得した日もカウントしてよいか。

答32

法第41条の2第1項第5号ハは、年次有給休暇を取得した日も含めて、連続2週間について休日を確保することを規定したものである。なお、条文において「使用者が当該期間において、第三十九条の規定による有給休暇を与えたときは、当該有給休暇を与えた日を除く。」とあるのは、年次有給休暇を与えた日については休日を与える必要はない旨を規定したものである。

<臨時の健康診断の実施時期>

問33

選択的措置について、臨時の健康診断(法第41条の2第1項第5号ニに規定する健康診断をいう。以下同じ。)を決議した場合、当該措置はいつまでに実施すればよいか。

答33

臨時の健康診断を実施すべき時期については、決議及び就業規則その他これに準ずるもので定めるところによる。なお、1か月の健康管理時間を算定した日又は労働者からの申出があった日から1か月以内に実施することが適当である。

<臨時の健康診断に係る項目の省略>

問34

本人同意の対象となる期間中に臨時の健康診断を実施している場合、当月に実施する臨時の健康診断の項目については省略できるか。

答34

労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第44条第1項第3号及び第8号から第12号までに掲げる項目(同項第3号に掲げる項目にあっては、身長の検査に限る。)について、本人同意の対象となる期間中に当該項目に係る臨時の健康診断を実施している場合には、当該事業場で選任した産業医又は労働者の健康管理等を行うのに必要な知識を有する医師の判断により、対象労働者の健康状態に応じて、項目ごとに実施を省略することとしても差し支えない。

<選択的措置を講じていない場合の制度の効力>

問35

選択的措置について、それぞれ措置を実施していなかった場合、どの時点から高度プロフェッショナル制度の法律上の効果が生じないこととなるか。

答35

<法第41条の2第1項第5号イの措置を実施していなかった場合>

休息時間の確保がなされていないと判断される時点及び深夜業の回数制限については決議で定められた回数を超えた日から、高度プロフェッショナル制度の法律上の効果が生じない。

なお、決議で定めた深夜業の回数制限を超えた場合については、当該回数を超えた月中は、再度、本人同意を得ることはできない。

<法第41条の2第1項第5号ロの措置を実施していなかった場合>

1週間当たりの健康管理時間が40時間を超えた場合におけるその超えた時間について、1か月又は3か月について決議で定めた上限を超えたときから、高度プロフェッショナル制度の法律上の効果は生じない。

なお、決議で定めた1か月又は3か月の上限を超えた場合については、当該1か月又は3か月の期間中は、再度、本人同意を得ることはできない。

<法第41条の2第1項第5号ハの措置を実施していなかった場合>

連続2週間について休日を確保できないことが確定した日から高度プロフェッショナル制度の法律上の効果は生じない。

なお、この場合については、本人同意の対象となる期間中に再度、本人同意を得ることはできない。

<法第41条の2第1項第5号ニの措置を実施していなかった場合>

臨時の健康診断については、1か月の健康管理時間を算定した日又は労働者からの申出があった日から決議及び就業規則その他これに準ずるもので定める期間内に実施していなかったときから、高度プロフェッショナル制度の法律上の効果が生じない。

なお、臨時の健康診断を実施するまでは、再度、本人同意を得ることはできない。

<選択的措置として決議しなかった措置を健康・福祉確保措置として決議した場合>

問36

法第41条の2第1項第5号に規定する措置のうち、労使委員会において選択的措置として決議したもの以外の措置について、健康・福祉確保措置(同項第6号に規定する措置をいう。以下同じ。)として決議した場合に、当該健康・福祉確保措置を実施しなかった場合は、高度プロフェッショナル制度の法律上の効果は生じないこととなるか。

答36

法第41条の2第1項第6号に基づく健康・福祉確保措置は、労使委員会における決議事項であり、その実施の有無は、高度プロフェッショナル制度の法律上の効果に影響しないが、法令及び決議に基づき、労使委員会における決議事項である健康・福祉確保措置が適切に講じられる必要がある。

<健康・福祉確保措置として実施する面接指導の要件>

問37

則第34条の2第14項第2号において「健康管理時間が一定時間を超える」と規定されているが、「一定時間」とは具体的に何時間のことか。

答37

則第34条の2第14項第2号の措置を決議する場合においては、対象労働者の健康管理時間をどのような期間について評価し、どのような要件に該当した対象労働者を当該措置の対象とするかも含め、事業場の実情に応じ、労使委員会で決議することとなる。なお、「一定時間」の時間数について、整備法による改正後の労働安全衛生法第66条の8の4に規定する時間数を超えることは法の趣旨から認められない。

<産業医の意見と対象労働者の裁量>

問38

則第34条の2第14項第2号の面接指導の事後措置について、産業医から健康管理時間を短縮するように意見が出された場合には、対象労働者について、時間に関する裁量が失われることとなり、高度プロフェッショナル制度の法律上の効果が生じなくなるのではないか。

答38

健康・福祉確保措置として実施した面接指導の事後措置について、産業医から健康管理時間を短縮するように意見が出され、必要な措置が実施された場合においても、そのことをもって直ちに時間に関する裁量が失われるものではなく、個別の事案に応じて判断される必要がある。

<健康・福祉確保措置として付与する代償休日>

問39

則第34条の2第14項第3号の代償休日とはどのようなものか。

答39

則第34条の2第14項第3号の代償休日とは、長時間にわたって労働したことに対する代償措置として、年次有給休暇、法第41条の2第1項第4号の休日、同項第5号ハの休日とは別に付与することが求められるものである。また、代償休日を付与したことを理由に対象労働者の賃金を減額することは認められない。

<心とからだの健康問題についての相談窓口の設置>

問40

健康・福祉確保措置について、心とからだの健康問題についての相談窓口を設置すること(則第34条の2第14項第4号)を決議した場合おいて、労働者の相談がなかったときでも措置を実施したことになるか。

答40

心とからだの健康問題についての相談窓口は、これを設置していれば、実際に相談がなかったとしても措置を実施したこととなる。

<健康・福祉確保措置として実施する保健指導>

問41

則第34条の2第14項第6号の「保健指導」とはどのようなものか。

答41

則第34条の2第14項第6号の保健指導とは、医師又は保健師により実施されるものである。

保健指導の方法としては、面談による個別指導、文書による指導等の方法があること。また、保健指導の内容としては、日常生活面での指導、健康管理に関する情報の提供、再検査又は精密検査の受診の勧奨、医療機関で治療を受けることの勧奨等があること。

<産業医等による助言・指導>

問42

則第34条の2第14項第6号の「産業医等による助言若しくは指導」とはどのようなものか。

答42

「産業医等による助言若しくは指導」とは、産業医等が使用者又は衛生管理者等に対し、対象労働者の健康管理等について、助言・指導を行うことをいう。

<産業医等への情報提供>

問43

臨時の健康診断の結果や面接指導(則第34条の2第14項2号に規定する面接指導をいう。以下同じ。)の結果に基づく医師の意見を勘案した当該対象労働者への措置の内容について、当該事業場で選任した産業医又は労働者の健康管理等を行うのに必要な知識を有する医師(以下「選任された医師」という。)に情報提供する必要があるか。

答43

臨時の健康診断や面接指導の結果に基づく医師の意見を勘案した当該対象労働者への措置の内容については、労働安全衛生法に基づく定期健康診断や医師による面接指導の場合に準じて、選任された医師に情報提供することが望ましい。

<同意の撤回及び苦情処理措置における「担当者」の考え方>

問44

同意の撤回に関する手続及び苦情処置措置に関して、決議に当たり定めることとされている事項のうち、申出先となる「担当者」とは個人名まで特定する必要があるのか。

答44

同意の撤回に関する手続及び苦情処理措置において申出先となる「担当者」を決議するに当たっては、当該担当者を特定できる職名を決議することで足りる。

<罰則との関係>

問45

高度プロフェッショナル制度と罰則の関係如何。

答45

<制度の法律上の効果が生じなくなった場合>

高度プロフェッショナル制度の要件を満たさず、制度の法律上の効果が生じなくなったときは、一般の労働時間制度が適用されることとなり、法第32条、第37条等の規定に違反する場合には、それらの規定に係る罰則の対象となる。

<労使委員会の決議を周知していない場合>

法第106条の規定に違反し、法第120条第1号の罰則の対象となる。

<労使委員会の決議を3年間保存していない場合>

労使委員会の決議は、法第109条に規定する「その他労働関係に関する重要な書類」に該当し、これを3年間保存していない場合は、同条に違反することとなり、法第120条第1号の罰則の対象となる。

<対象労働者数が0人の場合の定期報告>

問46

労使委員会で決議を行ったが、決議の有効期間中に高度プロフェッショナル制度の適用を受けた労働者数が0人の場合であっても、所轄労働基準監督署長に対して法第41条の2第2項の報告をする必要はあるか。

答46

則第34条の2の2第1項において、定期報告は、決議が行われた日から起算して6か月以内ごとにしなければならないとされており、決議の有効期間中であれば、対象期間中に高度プロフェッショナル制度の適用を受けた労働者の有無にかかわらず、報告が必要である。

<繁忙期のみに制度を適用することの可否>

問47

毎年、1年間を通じて繁忙期の数か月間についてのみ、労働者に高度プロフェッショナル制度を適用して、対象業務に就かせることは可能か。

答47

対象業務は、働く時間帯の選択や時間配分について自らが決定できる広範な裁量が労働者に認められている業務でなければならず、当該特定の繁忙期が生じる業務がそもそも対象業務となりうるかについては、業務の実情に応じて慎重な判断が必要である。仮に、法令の要件を満たしたとしても、設問のような事例は、望ましくない。

<有期労働契約を締結している労働者への適用>

問48

有期労働契約を締結している者に高度プロフェッショナル制度を適用できるか。

答48

指針第2の4において、「本人同意の対象となる期間を1か月未満とすることは、労働者が対象業務に従事する時間に関する裁量を発揮しがたいこととなるため認められない。」とされており、1か月未満の有期労働契約(契約を反復更新して1か月を超える場合を除く)を締結する労働者に適用することは認められない。

<派遣労働者への適用>

問49

派遣労働者に高度プロフェッショナル制度を適用できるか。

答49

労働者派遣法第44条第5項において、法第41条の2の規定について、派遣先の使用者が対象労働者を対象業務に就かせた場合も含めて適用する旨の規定は設けておらず、派遣労働者に高度プロフェッショナル制度を適用することはできない。

<新卒者への適用>

問50

新卒者に高度プロフェッショナル制度を適用できるか。

答50

法令の要件を満たす限り、新卒者について高度プロフェッショナル制度を適用することは可能である。ただし、高プロ指針第3の2に定められているとおり、対象労働者の範囲を一定の職務経験年数を有する労働者に限ることを決議で定めることも可能であり、仮に決議で新卒者には適用しないこととしている場合には、適用することはできない。

<制度の効果が生じなくなった場合の割増賃金の計算方法>

問51

選択的措置を実施しなかったこと等により、高度プロフェッショナル制度の法律上の効果が生じなくなった場合における法第37条の割増賃金の計算方法如何。

答51

高度プロフェッショナル制度の法律上の効果が生じなくなった月に支払われる賃金(法第37条第5項及び則第21条に規定する割増賃金の基礎となる賃金に算入しないものを除く。)及び一般労働者の所定労働時間を基礎として算定する。

<年次有給休暇に係る使用者による時季指定の取扱い>

問52

高度プロフェッショナル制度の対象労働者についても法第39条第7項の規定(使用者による年次有給休暇の時季指定義務)は適用されるか。

答52

高度プロフェッショナル制度の対象労働者についても、法第39条第7項の規定は適用される。なお、対象労働者があらかじめ年間の休日の取得予定を決定するときに、併せて年次有給休暇の取得時季があらかじめ予定されていることが望ましい。

<母性保護規定との関係>

問53

法の母性保護関係の規定について、対象労働者はどのように取り扱うのか。

答53

法第66条第1項(変形労働時間制の適用制限)及び第2項(時間外労働及び休日労働の制限)並びに第67条(育児時間)の規定は適用されないが、それ以外の規定については適用される。