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○生活保護の医療扶助における後発医薬品の使用促進について

(平成30年9月28日)

(社援保発0928第6号)

(各都道府県・各指定都市・各中核市民生主管部(局)長あて厚生労働省社会・援護局保護課長通知)

(公印省略)

後発医薬品は、先発医薬品と品質、有効性及び安全性が同等であるものとして厚生労働大臣が製造販売の承認を行っている医薬品である。

後発医薬品は、一般的に開発費用が安く抑えられていることから、先発医薬品に比べて薬価が低くなっており、政府においては、患者負担の軽減や医療保険財政の改善の観点等から後発医薬品の使用促進を行っている。

生活保護の医療扶助においても、従来から、「生活保護の医療扶助における後発医薬品に関する取扱いについて」(平成25年5月16日社援保発0516第1号厚生労働省社会・援護局保護課長通知)等により、後発医薬品の使用促進に努めてきたところであるが、生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律(平成30年法律第44号。以下「改正法」という。)の一部が平成30年10月1日から施行され、後発医薬品の使用が原則化されることとなる。

これに伴い、医療扶助における後発医薬品の使用に係る運用方法ついては、「生活保護法による医療扶助運営要領について」(昭和36年9月30日社発第727号厚生省社会局長通知)及び「生活保護法による医療扶助運営要領に関する疑義について」(昭和48年5月1日社保第87号厚生省社会局保護課長通知)を改正し、お示ししたところであるが、引き続き、後発医薬品の使用促進を図る必要があることから、下記の取組について、管内福祉事務所及び関係機関に対し周知徹底を図られたい。

なお、本通知の施行をもって、「生活保護の医療扶助における後発医薬品に関する取扱いについて」(平成25年5月16日社援保発0516第1号厚生労働省社会・援護局保護課長通知)については廃止する。

1 後発医薬品の使用促進について

(1) 国全体の取組

後発医薬品(ジェネリック医薬品)の普及は、患者の負担軽減及び医療保険財政の改善に資すること等から、厚生労働省では、「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」を策定し、後発医薬品の使用促進に取り組んでいる。

さらに、累次の診療報酬改定において、引き続き後発医薬品の使用促進のための環境整備を行っているところである。

(2) 今般の法改正について

行政や各医療保険者など国全体で後発医薬品の使用促進に取り組んでいる中、生活保護制度においては、平成25年の法改正により、医療機関等の関係者が生活保護受給者に対し、後発医薬品の使用を促すことを法律上明確化したこと等により、着実に使用促進を進めてきた。

しかしながら、後発医薬品の使用をさらに促進するため、今般、改正法により、医師又は歯科医師が医学的知見に基づき後発医薬品を使用することができると認めた場合に、後発医薬品の使用を原則とすることとした。これにより、患者の希望のみを理由として先発医薬品が使用されることはなくなるため、先発医薬品の使用を希望する者に対し、先発医薬品を一旦調剤した上で、福祉事務所から服薬指導を含む健康管理指導の対象とすることにより後発医薬品の使用を促進するという、従来の取組は不要となる。ただし、医療機関や薬局に対し、在庫の確保などの後発医薬品使用促進の要請を行うことや、被保護者に対し制度について説明し、周知徹底を図ること等、後発医薬品の使用促進の取組は引き続き必要である。

(3) 経済・財政再生計画改革工程表の策定について

なお、政府においては、「経済財政運営と改革の基本方針2015」(骨太の方針2015)に盛り込まれた「経済・財政再生計画」を着実に実行するため、主要歳出分野ごとにKPIを設定した改革工程表を平成27年12月に策定し、平成29年12月には当該工程表を改訂したところである。

後発医薬品については、「経済財政運営と改革の基本方針2017」(骨太の方針2017)において、2020年(平成32年)9月までに、医療全体での後発医薬品の使用割合を80%とする目標を掲ており、これを踏まえ、改革工程表においては、生活保護における後発医薬品の使用割合について、2018年度(平成30年度)までに80%とする目標を設定したところである。

2 生活保護受給者に対する周知

福祉事務所は、生活保護受給者に対して、リーフレットの送付や、家庭訪問の際に改めて説明する等により、後発医薬品は先発医薬品と同じ成分を同じ量含む医薬品であり、品質及び有効性、安全性が同等であることを厳正に審査したものであることや、医師または歯科医師により後発医薬品の使用が可能であると判断された場合は、原則として後発医薬品が調剤されることとなったことについて周知徹底を図ること。

なお、周知に当たっては、現に医療扶助が適用されているか否かにかかわらず広く行うこと。

3 指定医療機関及び指定薬局に対する取組

(1) 基本的な考え方

ア 後発医薬品は、先発医薬品と品質、有効性及び安全性が同等であると認められた医薬品であり、国全体で後発医薬品の使用促進に取り組んでいる。

イ 生活保護制度においては、処方医が一般名処方を行っている場合又は銘柄名処方であって後発医薬品への変更を不可としていない場合には、後発医薬品を使用することとする((2)のイの場合を除く。)。

(2) 指定薬局に対する取組

生活保護法の指定を受けている薬局(以下「指定薬局」という。)に対して、リーフレットの送付や、訪問して説明する等により、本取扱い及び以下の事項について理解、協力を求めるとともに、当該福祉事務所における生活保護受給者に対する本取組の周知の状況についても説明すること。

ア 指定薬局は、一般名処方による処方せん又は銘柄名処方であって後発医薬品への変更を不可としていない処方せんが発行された生活保護受給者に対して、後発医薬品を調剤することとする(イの場合を除く。)。

イ ただし、一般名処方による処方せん又は銘柄名処方であって後発医薬品への変更を不可としていない処方せんが発行された生活保護受給者に対して、その時点で後発医薬品の在庫がない場合や、薬剤師による処方医への疑義照会により、先発医薬品を調剤することとなった場合等はこの限りでないこと。なお、指定薬局の在庫の都合によりやむを得ず先発医薬品を調剤した場合は、以後は、後発医薬品を調剤できるよう体制整備に努めるものとすること。

こうした場合には、指定薬局は別添1の様式を参考に、先発医薬品を調剤した事情等を記録すること。

ウ 指定薬局は、上記イで記録した先発医薬品を調剤した事情等について、定期的に福祉事務所へ送付すること。なお、平成26年度診療報酬改定により、一般名処方が行われた医薬品について後発医薬品を調剤しなかった場合は、その理由について、「患者の意向」、「保険薬局の備蓄」、「後発医薬品なし」又は「その他」から最も当てはまる理由を調剤報酬明細書の摘要欄に記載することとされていることから、福祉事務所においてこれを確認し、先発医薬品を調剤した事情等について把握することは差し支えなく、当該情報については、生活保護等版電子レセプト管理システムによる把握が可能であるので、使用促進の取組に積極的に活用すること。

この場合、指定薬局による別添1の福祉事務所への送付は必要ないこと。

なお、薬剤師法(昭和35年法律第146号)第24条に基づく疑義照会の結果、先発医薬品が調剤された場合は、上記の「その他」に分類される点に留意されたい。

(3) 指定医療機関に対する取組

生活保護法(昭和25年法律第144号。以下「法」という。)の指定を受けている病院、診療所(以下「指定医療機関」という。)に対して、リーフレットの送付や、訪問して説明する等により、本取扱いについて理解を求めるとともに、福祉事務所における生活保護受給者に対する本取組の周知の状況についても説明すること。

なお、従来から、院内処方における後発医薬品の数量シェアが別に定める割合に満たない指定医療機関に対して、一般指導や個別訪問等により、その使用促進の要請を実施することとしていたが、これについても引き続き実施すること。

(4) 後発医薬品使用促進計画の策定

後発医薬品の使用割合が一定以下である都道府県、市及び福祉事務所を設置する町村(以下「都道府県等」という。)においては、取組を計画的に進めるため、別添2の様式例を参考として、後発医薬品の使用促進が低調である原因の分析や、対応方針の検討を行い、後発医薬品使用促進計画の策定を行うこと。

ア 原因分析については、3の(2)のウに定める先発医薬品を調剤した事情を活用する等、実態把握を行った上で対応すること。

イ 対応方針については、関係機関への説明方法を明記するとともに、都道府県の本庁(以下「都道府県本庁」という。)において、管内自治体(指定都市及び中核市を除く。)の策定した後発医薬品使用促進計画を確認し、必要に応じて助言を行うこと。

ウ 後発医薬品使用促進計画については、定期的に取組の結果を確認し、適宜計画の見直しを行うこと。

エ 後発医薬品の使用促進について、都道府県等の取組状況を踏まえ、一定の基準を満たす都道府県等に対しては、医療扶助適正化等事業の補助に際し取組の評価を行うものであること。

オ 後発医薬品使用促進計画の策定を行うものとする後発医薬品の使用割合の水準、自治体ごとの使用割合及びエに定める評価の基準については、別に定めるとともに、自治体における後発医薬品の使用促進に係る取組事例について情報提供を行うので、参考とされたい。

カ 計画については、毎年度見直すこととし、直近の使用割合をもとに、取組とその効果の状況を踏まえ、必要な見直しを行うこと。

キ 計画の進捗状況の把握については、生活保護等版電子レセプト管理システムを活用して、任意の月の使用割合を算出することが可能であるので、取組に関する進捗状況の管理に活用すること。

ク 毎年度の計画については、各年度4月末までに策定するとともに、策定後、各自治体において適宜公表すること。

ケ 都道府県本庁は管内自治体の策定状況について、別紙により毎年5月末までに厚生労働省社会・援護局保護課あて情報提供すること。

4 留意事項

(1) 都道府県等本庁は、本取組について、地域の職能団体に対し、説明を行い、協力を依頼すること。また、その際、要請の計画について予め協議することが望ましい。なお、管内自治体(指定都市及び中核市を除く。)については、必要に応じて都道府県等本庁と連携すること。

(2) 国全体での後発医薬品の使用促進においては、各都道府県で後発医薬品安心使用促進協議会(以下「都道府県協議会」という。)が設置されており、指定医療機関及び指定薬局や職能団体への説明については、都道府県協議会の場の活用が可能であること。

(3) 生活保護適正実施推進事業にかかる国庫補助金では、後発医薬品の使用促進など医療扶助の適正実施に係る取組を推進するため医療扶助相談・指導員を配置できるようにしているところであり、また、平成25年度より、地方交付税において、福祉事務所における健康面に関して専門的に対応できる体制を強化できるようにしていること。

(4) 後発医薬品は、医師又は歯科医師が医学的知見に基づき使用が可能と認めた場合に使用されるものであり、被保護者の同意の有無により処方が変更されるものではないため、法第27条に基づく指導指示の対象とはなり得ないこと。

(別添1 様式例)

(別添2 様式例)

(別添4 様式例)