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○介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱いについて

(平成30年9月28日)

(/老推発0928第1号/老高発0928第1号/老振発0928第1号/老老発0928第1号/)

(各都道府県介護保険主管部(局)長あて厚生労働省老健局総務課認知症施策推進室長・高齢者支援課長・振興課長・老人保健課長通知)

(公印省略)

高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるためには、地域包括ケアシステムを構築し、高齢者が抱える多様なニーズに対応したサービスを充実させることが必要である。そのためには、介護保険制度に基づくサービス(以下「介護保険サービス」という。)の充実に加え、介護保険給付の対象とはならないものの、高齢者のニーズに対応するサービス(以下「保険外サービス」という。)の充実を図ることも重要である。

介護保険制度では、高齢者が抱える多様なニーズに柔軟に対応できるよう、一定の条件の下で、介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供することを認めているが、その具体的な運用については、地方自治体間で差異が見られ、そのことが事業者が両サービスを柔軟に組み合わせて提供する際の障壁になっているとの指摘がある。そのため、規制改革実施計画(平成29年6月9日閣議決定。以下「規制改革実施計画」という。)において、「訪問介護における、両サービスの組合せに係る現行のルールの整理」等について、平成29年度に検討・結論、平成30年度上期中に、一覧性や明確性を持たせた通知を発出し、周知を図ることとされた。

これを受けて、平成29年度厚生労働省老人保健健康増進等事業「介護保険サービスと保険外サービスの組合せ等に関する調査研究事業」において、介護保険サービスと保険外サービスの柔軟な組合せの実現を図る観点から、訪問介護における、介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供することに関する現行ルールの整理や、通所介護における、サービス提供中の利用者に対し保険外サービスを提供する際のルールの在り方の検討・整理等を行った。

これを踏まえ、介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱いを下記のとおり示すので、管内市町村等へ周知するとともに、適切な運用に努められたい。

なお、介護保険サービスと保険外サービスを同時一体的に提供することや、特定の介護職員による介護サービスを受けるための指名料や、繁忙期・繁忙時間帯に介護サービスを受けるための時間指定料として利用者の自費負担による上乗せ料金を徴収することについては、単に生活支援の利便性の観点から、自立支援・重度化防止という介護保険の目的にそぐわないサービスの提供を助長するおそれがあることや、家族への生活支援サービスを目的として介護保険を利用しようとするなど、利用者本人のニーズにかかわらず家族の意向によってサービス提供が左右されるおそれがあること、指名料・時間指定料を支払える利用者へのサービス提供が優先され、社会保険制度として求められる公平性を確保できなくなるおそれがあること等が指摘されており、認めていない。厚生労働省においては、規制改革実施計画に基づき、引き続き上記の課題の整理等を行うこととしている。

本通知の内容については、国土交通省自動車局並びに厚生労働省医政局、保険局及び健康局と協議済みであることを申し添える。

なお、通所介護事業所への送迎の前後又は送迎と一体的な保険外サービスの提供については、国土交通省自動車局旅客課より「通所介護に係る送迎に関する道路運送法上の取扱いについて」(平成30年9月28日付事務連絡)(別添)が発出されているので、併せて参照されたい。

また、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項に規定する技術的な助言である。

第一 共通事項

保険外サービスについては、「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について」(平成11年9月17日老企第25号。以下「基準解釈通知」という。)等において、介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱いを示しており、例えば訪問介護については以下のとおりである。

「介護保険給付の対象となる指定訪問介護のサービスと明確に区分されるサービスについては、次のような方法により別の料金設定をして差し支えない。

イ 利用者に、当該事業が指定訪問介護の事業とは別事業であり、当該サービスが介護保険給付の対象とならないサービスであることを説明し、理解を得ること。

ロ 当該事業の目的、運営方針、利用料等が、指定訪問介護事業所の運営規程とは別に定められていること。

ハ 会計が指定訪問介護の事業の会計と区分されていること。」

本通知は、事業者が介護保険サービスと保険外サービスを柔軟に組み合わせて提供できるよう、介護保険サービスと保険外サービスの組み合わせとして想定される事例ごとに、上記の基準に基づく具体的な取扱いを示すものである。

第二 訪問介護と保険外サービスを組み合わせて提供する場合について

1.これまでの取扱い

訪問介護については、前述の基準解釈通知に加え、「指定訪問介護事業所の事業運営の取扱等について」(平成12年11月16日老振発第76号)において、「保険給付の範囲外のサービスについて、利用者と事業者の間の契約に基づき、保険外のサービスとして、保険給付対象サービスと明確に区分し、利用者の自己負担によってサービスを提供することは、当然、可能である」旨示しているところである。

2.訪問介護と保険外サービスを組み合わせて提供する場合の例

訪問介護と保険外サービスを組み合わせて提供する場合としては、訪問介護の前後に連続して保険外サービスを提供する場合と、訪問介護の提供中に、一旦、訪問介護の提供を中断した上で保険外サービスを提供し、その後に訪問介護を提供する場合がある。例えば以下のようなサービスの提供が可能である。

① 訪問介護の対象とはならないサービスを利用者本人に提供

・ 訪問介護の提供の前後や提供時間の合間に、草むしり、ペットの世話のサービスを提供すること

・ 訪問介護として外出支援をした後、引き続き、利用者が趣味や娯楽のために立ち寄る場所に同行すること

・ 訪問介護の通院等乗降介助として受診等の手続を提供した後に、引き続き、介護報酬の算定対象とならない院内介助を提供すること

※ 介護報酬の算定対象となる、訪問介護における院内介助の範囲については、「訪問介護における院内介助の取扱いについて」(平成22年4月28日付事務連絡)を参照すること

② 同居家族に対するサービスの提供

・ 訪問介護の提供の前後や提供時間の合間に、同居家族の部屋の掃除、同居家族のための買い物のサービスを提供すること

※ 利用者本人分の料理と同居家族分の料理を同時に調理するといった、訪問介護と保険外サービスを同時一体的に提供することは認めない。

3.訪問介護と保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱い

訪問介護と保険外サービスを組み合わせて提供する場合には、1.で示したとおり、保険外サービスを訪問介護と明確に区分することが必要であり、その具体的取扱いとして、事業者は以下の事項を遵守すること。

① 保険外サービスの事業の目的、運営方針、利用料等を、指定訪問介護事業所の運営規程とは別に定めること

② 契約の締結に当たり、利用者に対し、上記①の概要その他の利用者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を記した文書をもって丁寧に説明を行い、保険外サービスの内容、提供時間、利用料等について、利用者の同意を得ること。なお、保険外サービスの提供時間は、訪問介護の提供時間には含めないこと

③ 契約の締結前後に、利用者の担当の介護支援専門員に対し、サービスの内容や提供時間等を報告すること。その際、当該介護支援専門員は、必要に応じて事業者から提供されたサービスの内容や提供時間等の保険外サービスに関する情報を居宅サービス計画(週間サービス計画表)に記載すること

④ 利用者の認知機能が低下しているおそれがあることを十分に踏まえ、保険外サービスの提供時に、利用者の状況に応じ、別サービスであることを理解しやすくなるような配慮を行うこと。例えば、訪問介護と保険外サービスを切り替えるタイミングを丁寧に説明する等、利用者が別サービスであることを認識できるような工夫を行うこと

⑤ 訪問介護の利用料とは別に費用請求すること。また、訪問介護の事業の会計と保険外サービスの会計を区分すること

また、利用者保護の観点から、提供した保険外サービスに関する利用者等からの苦情に対応するため、苦情を受け付ける窓口の設置等必要な措置を講じること。なお、指定訪問介護事業者は、訪問介護を提供する事業者の責務として、訪問介護に係る苦情に対応するための措置を既に講じていることから、当該措置を保険外サービスに活用することが考えられる。

なお、(介護予防)訪問入浴介護、(介護予防)訪問看護、(介護予防)訪問リハビリテーション、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護をペットの世話など、2.①②に記載されているような保険外サービスと組み合わせて提供する場合も同様の取扱いである。

4.サービス提供責任者について

サービス提供責任者については、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号。以下「指定居宅サービス等基準」という。)第5条第4項に規定されているとおり、専ら指定訪問介護に従事することが求められているが、業務に支障がない範囲で保険外サービスにも従事することは可能である。

第三 通所介護を提供中の利用者に対し、保険外サービスを提供する場合について

1.これまでの取扱い

通所介護については、介護保険法(平成9年法律第123号)第8条第7項及び介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)第10条に規定するとおり、入浴、排せつ、食事等の介護、生活等に関する相談及び助言、健康状態の確認その他の居宅要介護者に必要な日常生活上の世話並びに機能訓練を行うサービスであり、様々なサービスが介護保険サービスとして提供可能である。このため、通所介護事業所内において利用者に対して提供されるサービスについては、通所介護としての内容と保険外サービスとしての内容を区分することは、基本的には困難である。

ただし、理美容サービスについては、通所介護と明確に区分可能であることから、「通所サービス利用時の理美容サービスの利用について」(平成14年5月14日付事務連絡)において、デイサービスセンター等において、通所サービスとは別に、利用者の自己負担により理美容サービスを受けることは可能である旨を示しているところである。また、併設医療機関の受診については、「介護報酬に係るQ&Aについて」(平成15年5月30日付事務連絡)において、通所サービスのサービス提供時間帯における併設医療機関の受診は緊急やむを得ない場合に限り認められることとしている。なお、通所サービスの提供時間には、理美容サービスに要した時間や緊急時の併設医療機関の受診に要した時間は含めないこととしている。

2.通所介護と組み合わせて提供することが可能なサービス

1.で示したとおり、通所介護事業所内において利用者に対して提供されるサービスについては、通所介護としての内容と保険外サービスとしての内容を区分することが基本的には困難であることから、保険外サービスとして利用者から保険給付とは別に費用を徴収することは、基本的には適当でなく、仮に特別な器具や外部事業者等を活用する場合であっても、あくまで通所介護として実施し、必要に応じて実費等を追加徴収することが適当である。

ただし、以下の①~④の保険外サービスについては、通所介護と明確に区分することが可能であり、事業者が3.の事項を遵守している場合には、通所介護を提供中の利用者に対し、通所介護を一旦中断したうえで保険外サービスを提供し、その後引き続いて通所介護を提供することが可能である。

① 事業所内において、理美容サービス又は健康診断、予防接種若しくは採血(以下「巡回健診等」という。)を行うこと

② 利用者個人の希望により通所介護事業所から外出する際に、保険外サービスとして個別に同行支援を行うこと

※ 機能訓練の一環として通所介護計画に位置づけられた外出以外に、利用者個人の希望により、保険外サービスとして、個別に通所介護事業所からの外出を支援するものである。外出中には、利用者の希望に応じた多様な分野の活動に参加することが可能である。

③ 物販・移動販売やレンタルサービス

④ 買い物等代行サービス

3.通所介護サービスを提供中の利用者に対し、保険外サービスを提供する場合の取扱い

(1) 共通事項

① 通所介護と保険外サービスを明確に区分する方法

・ 保険外サービスの事業の目的、運営方針、利用料等を、指定通所介護事業所の運営規程とは別に定めること

・ 利用者に対して上記の概要その他の利用者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を記した文書をもって丁寧に説明を行い、保険外サービスの内容、提供時間、利用料等について、利用者の同意を得ること

・ 契約の締結前後に、利用者の担当の介護支援専門員に対し、サービスの内容や提供時間等を報告すること。その際、当該介護支援専門員は、必要に応じて事業者から提供されたサービスの内容や提供時間等の保険外サービスに関する情報を居宅サービス計画(週間サービス計画表)に記載すること

・ 通所介護の利用料とは別に費用請求すること。また、通所介護の事業の会計と保険外サービスの会計を区分すること

・ 通所介護の提供時間の算定に当たっては、通所介護の提供時間には保険外サービスの提供時間を含めず、かつ、その前後に提供した通所介護の提供時間を合算し、1回の通所介護の提供として取り扱うこと

② 利用者保護の観点からの留意事項

・ 通所介護事業所の職員以外が保険外サービスを提供する場合には、利用者の安全を確保する観点から、当該提供主体との間で、事故発生時における対応方法を明確にすること

・ 提供した保険外サービスに関する利用者等からの苦情に対応するため、苦情を受け付ける窓口の設置等必要な措置を講じること。なお、指定通所介護事業者は、通所介護を提供する事業者の責務として、通所介護に係る苦情に対応するための措置を既に講じていることから、当該措置を保険外サービスに活用することが考えられる。

・ 通所介護事業者は、利用者に対して特定の事業者によるサービスを利用させることの対償として、当該事業者から金品その他の財産上の収益を収受してはならないこと

(2) 事業所内において、巡回健診等の保険外サービスを行う場合

医療法(昭和23年法律第205号)等の関係法規を遵守すること。

なお、通所介護事業所内において巡回健診等を行う場合は「医療機関外の場所で行う健康診断の取扱いについて」(平成27年3月31日医政発0331第11号)を遵守すること。

また、鍼灸や柔道整復等の施術を行うことはできず、無資格者によるマッサージの提供は禁止されている。

(3) 利用者個人の希望により通所介護事業所から外出する際に、保険外サービスとして個別に同行支援を行う場合

通所介護事業所の職員が同行支援等の保険外サービスを提供する場合には、当該保険外サービスの提供に要した時間を当該職員が通所介護に従事する時間には含めないこととした上で、通所介護事業所の人員配置基準を満たすこと。

道路運送法(昭和26年法律第183号)や医療法等の関係法規を遵守すること。例えば、

・ 医療機関への受診同行については、健康保険法(大正11年法律第70号)及び保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和32年厚生省令第15号)の趣旨を踏まえると、あくまでも利用者個人の希望により、個別に行うものであり、利用者個人のニーズにかかわらず、複数の利用者を一律にまとめて同行支援をするようなサービスを提供することは、適当ではない。

・ 通所介護事業所の保有する車両を利用して行う送迎については、通所介護の一環として行う、機能訓練等として提供するサービスではなく、利用者個人の希望により有償で提供するサービスに付随して送迎を行う場合には、道路運送法に基づく許可・登録が必要である。

(4) 物販・移動販売やレンタルサービスを行う場合

利用者にとって不要なサービスが提供されることを防ぐ観点から、利用者の日常生活に必要な日用品や食料品・食材ではなく、例えば高額な商品を販売しようとする場合には、あらかじめその旨を利用者の家族や介護支援専門員に対して連絡すること。認知機能が低下している利用者に対しては、高額な商品等の販売は行わないこと。

また、食品衛生法(昭和22年法律第233号)等の関係法規を遵守すること。

なお、2.及び3.(1)から(4)までの取扱いは(介護予防)通所リハビリテーション、地域密着型通所介護、(介護予防)認知症対応型通所介護についても同様である。

第四 通所介護を提供していない休日や夜間等に、事業所の人員や設備を活用して、保険外サービスを提供する場合について

1.通所介護を提供していない休日や夜間等に、事業所の人員や設備を活用して、保険外サービスを提供する場合の取扱い

指定居宅サービス等基準第95条第3項において、通所介護事業所の設備は、専ら当該指定通所介護の事業の用に供するものでなければならないが、利用者に対し支障がない場合は、この限りでないとしている。また、通所介護を提供していない休日や夜間等に、事業所の人員や設備を活用して、保険外サービスを提供する場合においても、第三の場合と同様、通所介護と保険外サービスを明確に区分する必要がある。

さらに、夜間及び深夜に宿泊サービスを提供することについては、利用者保護や、サービスの質を担保する観点から、指定居宅サービス等基準第95条第4号及び「指定通所介護事業所等の設備を利用し夜間及び深夜に指定通所介護等以外のサービスを提供する場合の事業の人員、設備及び運営に関する指針について」(平成27年4月30日老振発0430第1号・老老発0430第1号・老推発0430第1号)において、その基準を定めている。

※ 上記においては、例えば以下のような内容を定めている。

・ 通所介護事業者は、宿泊サービスの内容を当該宿泊サービスの提供開始前に当該指定通所介護事業者に係る指定を行った都道府県知事、指定都市又は中核市の市長に届け出ること

・ 通所介護事業者は宿泊サービスの届出内容に係る介護サービス情報を都道府県に報告し、都道府県は介護サービス情報公表制度を活用し当該宿泊サービスの内容を公表すること

・ 宿泊サービスの提供時間帯を通じて、夜勤職員として介護職員又は看護職員を常時1人以上確保すること

・ 宿泊室の床面積は、1室当たり7.43m2以上とすること

・ 消防法その他の法令等に規定された設備を確実に設置しなければならないこと 等

上記に加え、通所介護を提供していない休日や夜間等に、通所介護以外の目的で通所介護事業所の人員・設備を活用する場合は、通所介護と保険外サービスを明確に区分する観点から、保険外サービスに関する情報(当該保険外サービスを提供する事業者名、サービス提供時間等)を記録すること。

なお、この取扱いは(介護予防)通所リハビリテーション、地域密着型通所介護、(介護予防)認知症対応型通所介護についても同様である。

2.通所介護を提供していない休日や夜間等に、事業所の人員や設備を活用して、保険外サービスを提供する場合の例

通所介護を提供していない休日や夜間等に、事業所の人員や設備を活用して、保険外サービスを提供する場合として、例えば以下のようなサービスの提供が可能である。

① 通所介護事業所の設備を、通所介護サービスを提供していない時間帯に、地域交流会や住民向け説明会等に活用すること。

② 通所介護事業所の人員・設備を、通所介護サービスを提供していない夜間及び深夜に、宿泊サービスに活用すること。

第五 通所介護の利用者と保険外サービスの利用者の双方に対してサービスを提供する場合について

1.これまでの取扱い

指定居宅サービス等基準第95条第3項において、通所介護事業所の設備は、専ら当該指定通所介護の事業の用に供するものでなければならないが、利用者に対し支障がない場合は、この限りでないとしている。また、第三及び第四の場合と同様、通所介護と保険外サービスを明確に区分する必要がある。

2.通所介護の利用者と保険外サービスの利用者の双方に対してサービスを提供する場合の例

通所介護の利用者と保険外サービスの利用者の双方に対してサービスを提供する場合として、例えば以下のようなサービスの提供が可能である。

① 両サービスの利用者が混在する場合

通所介護事業所において、通所介護の利用者とそれ以外の地域住民が混在している状況下で、体操教室等を実施すること

② 通所介護と保険外サービスの利用者が混在せず、通所介護とは別の時間帯や、別の場所・人員により、保険外サービスを提供する場合

通所介護事業所において、通所介護とは別室で、通所介護に従事する職員とは別の人員が、地域住民向けのサービスを提供すること

3.通所介護の利用者と保険外サービスの利用者の双方に対してサービスを提供する場合の取扱い

(1) 共通事項

通所介護の利用者と保険外サービスの利用者の双方に対してサービスを提供する場合は、通所介護と保険外サービスを明確に区分するため、保険外サービスに関する情報(当該保険外サービスを提供する事業者名、サービス提供時間等)を記録すること。

(2) 通所介護の利用者と保険外サービスの利用者に対して一体的にサービスを提供する場合

通所介護事業所において、通所介護の利用者と保険外サービスの利用者が混在する状態で通所介護と保険外サービスを提供することについては、通所介護の利用者に対し支障がない場合に可能であるところ、具体的には、通所介護事業所の人員・設備の基準を担保する観点から、

① 同時一体的に利用する通所介護の利用者と保険外サービスの利用者の合計数に対し、通所介護事業所の人員基準を満たすように職員が配置されており、かつ、

② 通所介護の利用者と保険外サービスの利用者の合計数が、通所介護事業所の利用定員を超えない

場合には、通所介護の利用者と保険外サービスの利用者が混在する状態で通所介護と保険外サービスと提供することが可能である。

なお、通所介護事業者は、地域住民が通所介護事業所において行われる行事に参加する等の場合、①及び②によらず、あくまでも通所介護の利用者数を基に、通所介護事業所の人員基準や定員を遵守すること。

(3) 通所介護と保険外サービスの利用者が混在せず、通所介護とは別の時間帯や、別の場所・人員により、保険外サービスを提供する場合

通所介護事業所において通所介護と保険外サービスの利用者が混在せず、通所介護とは別の時間帯や、別の場所・人員により保険外サービスを提供することについては、基本的に通所介護の利用者に対し支障がないと考えられることから、(2)①及び②に従う必要はない。

なお、(1)から(3)までの取扱いは(介護予防)通所リハビリテーション、地域密着型通所介護、(介護予防)認知症対応型通所介護についても同様である。

第六 区分支給限度額を超過している利用者に対し、超過分のサービスを提供する場合について

1.これまでの取扱い

指定居宅サービス等基準第20条第2項等において、法定代理受領サービスに該当しない指定サービスを提供した際にその利用者から支払を受ける利用料の額と、指定サービスに係る居宅介護サービス費用基準額との間に、不合理な差額が生じないようにしなければならないこととしている。介護保険制度は、高齢者が尊厳を保持し、その有する能力に応じた日常生活を営むことができるよう、必要なサービスを提供することを目的とするものであり、介護支援専門員は、区分支給限度額を超過する居宅サービス計画を作成しようとする場合には、利用者の心身の状況や置かれている環境等に応じた適切なサービスであるかどうか、アセスメント等を通じ十分に検討しなければならない。

2.区分支給限度額を超過している利用者に対し、超過分のサービスを提供する場合の取扱い

区分支給限度額を超えてなお介護保険サービスと同等のサービスを提供する場合、その価格については、サービス内容が介護保険サービスと同等であることを踏まえ、介護保険サービスにおいて事業者に支払われる費用額と同水準とすることが望ましい。ただし、利用者等に対し、介護保険サービスと保険外サービスの違いを文書によって丁寧に説明し、同意を得ることにより、介護保険サービスにおいて事業者に支払われる費用額とは別の価格設定が可能である。

第七 保険外サービスを提供する場合の個人情報の取扱いについて

保険外サービスの提供にあたり取得した個人情報の取扱いについては、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)及び「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(平成29年4月14日個情第534号・医政発0414第6号・薬生発0414第1号・老発0414第1号個人情報保護委員会事務局長、厚生労働省医政局長、医薬・生活衛生局長及び老健局長連名通知別紙。以下「ガイダンス」という。)を遵守すること。

なお、介護保険サービスの提供にあたり利用者から取得した個人情報を、保険外サービスの提供に利用するには、取得に際しあらかじめ、その利用目的を公表する等の措置を講ずる必要があることに留意されたい。

【別添】

○通所介護等に係る送迎に関する道路運送法上の取扱いについて

(平成30年9月28日)

(事務連絡)

(各地方運輸局自動車交通部長・沖縄総合事務局運輸部長あて自動車局旅客課長通知)

規制改革実施計画(平成29年6月9日閣議決定)において、介護保険サービスと保険外サービスの柔軟な組合せが適切に行われるようにするため、「通所介護における、介護保険サービスと保険外サービスの柔軟な組合せに係るルールの整備」等について、地方自治体や介護事業者にとって分かりやすくなるよう、厚生労働省において、一覧性や明確性を持たせた通知を発出し、周知を図ることとされており、また、国土交通省において、「事業所への送迎の前後又は送迎と一体的な保険外サービスの提供に係る関係法令の解釈の明確化」について検討し、結論を得るとされたところである。

このため、先般通知した「道路運送法の許可又は登録を要しない運送の態様について」(平成30年3月30日付け国自旅第338号)1.(4)【具体例②】について、以下のとおり取扱いを明確化するので、その旨了知するとともに、自治体及び通所介護事業所等からの相談等に対し適切に対応されたい。

なお、厚生労働省老健局より「介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱いについて」(平成30年9月28日付け、老推発0928第1号、老高発0928第1号、老振発0928第1号、老老発0928第1号)(別添)が発出されているので、併せて参照されたい。

1.通所介護事業者等が、通所介護等の利用を目的とする送迎に併せて、利用者からの依頼に応じてスーパーや病院における支援(以下「買物等支援」という。)を保険外サービスとして行う場合は、以下①及び②に該当することにより、買物等支援の利用者負担に運送の対価が含まれないことが明らかである場合には、道路運送法の許可又は登録を要しない。

① 送迎の途中で、送迎の一環として、商店等へ立ち寄る場合であること(商店等へ立ち寄らない送迎の場合に通常選択されると考えられる一般的な経路を逸脱しない範囲で行われるもの)

② 以下のすべてに該当することにより、買物等支援が送迎とは独立したサービスであると認められる場合

・買物等支援における利用者負担は、当該支援を利用する場合のみに発生すること

・買物等支援を利用するか否かは、利用者が選択するものであること

・買物等支援の利用者負担について、移動する距離や時間等で差を設けていないこと

2.上記を踏まえ、事例ごとに整理すると、以下のとおりである。

(1) 送迎の途中で買物等支援を行わない場合(以下「通常の送迎」という。)

① 介護報酬とは別に送迎の対価を得ている場合

・送迎が独立した1つの事業とみなされ、許可又は登録が必要である。

② 介護報酬とは別に送迎の対価を得ていない場合(送迎の対価が介護報酬に包括されている場合)

・送迎は自己の生業と密接不可分な輸送と解され、許可又は登録を要しない。

(2) 送迎の途中で買物等支援を行う場合

① 通常の送迎の場合に通常選択されると考えられる一般的な経路を逸脱しない場合

ア 買物等支援を無償で行う(対価を得ていない)場合

・送迎は自己の生業と密接不可分な輸送と解され、許可又は登録を要しない。

イ 買物等支援の対価を得ている場合

a) 買物等支援が送迎とは独立しており、送迎の対価を得ていない場合(上記1.②に該当する場合)

・送迎は自己の生業と密接不可分な輸送と解され、許可又は登録を要しない。

b) 買物等支援が送迎とは独立しているとは言えない場合(上記1.②に該当しない場合)

・介護報酬とは別に送迎の対価を得ているとみなされ、許可又は登録が必要である。

② 通常の送迎の場合に通常選択されると考えられる一般的な経路を逸脱する場合

・送迎が独立した1つの事業とみなされ、許可又は登録が必要である。

(3) 通所介護等を提供中の利用者に対し、外出支援のサービスを提供する場合

① 機能訓練の一環として通所介護計画に位置づけられた外出支援の場合

・自己の生業と密接不可分な輸送と解され、許可又は登録を要しない。

② 利用者個人の希望により、保険外サービスとして、個別に通所介護事業所からの外出を支援する場合

ア 保険外サービスを無償で行う場合

・送迎は無償による運送と解され、許可又は登録を要しない。

イ 保険外サービスの対価を得ている場合

・送迎が独立した1つの事業とみなされ、許可又は登録が必要である。