添付一覧
○国民健康保険制度の改正に伴う財務の取扱について
(平成29年10月30日)
(保国発1030第1号)
(都道府県民生主管部(局)国民健康保険主管課(部)長あて厚生労働省保険局国民健康保険課長通知)
(公印省略)
平成30年度から、都道府県も国民健康保険の保険者となり、財政運営の責任主体となることに伴い、改正後の国民健康保険法(昭和33年法律第192号)第10条に基づき、都道府県は、新たに国民健康保険特別会計を創設するとされたところである。
また、市町村も国民健康保険の保険者として、引き続き、資格管理、保険給付、保険料の賦課・徴収等の被保険者に身近な保険者業務を担うが、医療給付等に必要な資金は都道府県から保険給付費等交付金の交付を受ける一方で、徴収した保険料(税)は基本的に都道府県に国民健康保険事業費納付金として納付することとなるため、新たな制度に対応した国民健康保険特別会計の改正を行う必要がある。
今般、別添のとおり保険者における財務の取扱をまとめたことから、都道府県において留意いただくとともに、貴管下保険者に対する財務上の指導にあっては、遺漏のないよう留意されたい。
本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項に基づく技術的助言であることを申し添える。
(別添)
国民健康保険制度の改正に伴う財務の取扱について
第1 都道府県における財務
都道府県においては、地方自治法(昭和22年法律第67号)並びに地方財政法(昭和23年法律第109号)の規定に基づいてこれを取り扱うべきであるが、予算編成を行う際は別紙について参照のうえ予算計上すること。また、予算科目例については、別表(1)の例によることするが、予算の科目設定について地方自治法の規定に基づき、適宜組み直して差し支えない。
第2 市町村における財務
市町村においては、地方自治法並びに地方財政法の規定に基づいてこれを取り扱うべきであるが、予算編成を行う際は別紙について参照のうえ予算計上すること。また、予算科目例については、別表(2)の例によることするが、歳出の目を予算の科目設定について地方自治法の規定に基づき、適宜組み直して差し支えない。
なお、市町村は予算計上する際、事業勘定関係と直営診療施設勘定関係を区別して計上すること。
第3 国民健康保険組合における財務
国民健康保険組合においては、法令に別段の規定あるもののほか、以下の通りに取り扱うこと。
Ⅰ.予算の編成
1 保険料その他一切の収入を歳入とし、一切の支出を歳出とし、歳入歳出は、これを予算に計上すること。
2 収入特に補助金、繰越金、過年度収入は過大に見積らず、確実な基礎によりこれを計上すること。
3 事務所費は、なるべく当該年度の初日における療養の給付に要する費用の見込額の100分の10以内に止めることが適当であること。
4 保険給付費については、実績を基礎とし、かつ、将来の増減を正確に見積もりこれを計上すること。
5 予備費については、療養の給付に要する費用の見込額の100分の5以上を計上することが適当であること。
6 予算の更正又は追加は年度経過後においては、これを行わないこと。
7 予算の様式は、地方自治法施行規則第14条に規定する様式に準ずること。
8 予算科目の概目は別表(3)の例によること。特に必要がある場合には概目に掲げるもののほかに適宜設けることができること。
Ⅱ.予算の執行
1 収入は、納入告知書を発し、これにより収入すること。
2 収入の所属年度は、次によること。
イ 法令をもって、納期を定めてある収入は、その納期末日の属する年度
ロ 随時の収入で納入告知書を発する者は、その納入告知書を発した日の属する年度
ハ 随時の収入で納入告知書を発しないものは、領収した日の属する年度。ただし、組合債補助金及び寄附金の類にあっては、その収入を予算計上した年度
ニ 一部負担金については、前二号にかかわらず、その収入すべき事実の生じた日の属する年度。ただし、請求書に二年度にわたる事実の記載があることにより、所属年度を区分し難い場合においては、その後位の年度の属する年度
3 支出の所属年度は、次によること。
イ 職員給、旅費その他の給与の類は、その支給すべき事実の日の生じた日の属する年度。ただし、別に定まった支払期日があるときは、その支払期日の属する年度
ロ 物件の購入代金の類は、契約した日の属する年度。ただし、契約により定めた支払期日のあるときは、その支払期日の属する年度
ハ 保険給付費は、その支給すべき日の生じた日の属する年度。ただし、請求書に二年度にわたる事実の記載があるために、所属年度を区分し難い場合にあっては、その後位の年度の属する年度
ニ 組合債の元利金の類で、支払期日の定まっているものはその支払年度の属する年度
ホ 積立金、負担金、寄附金の類は、積立又は支払を予算した年度
ヘ 前各号に掲げるものを除く外は、すべて支払命令を発した日の属する年度
4 歳計剰余金は、なるべく多額を準備金に積立てること。この場合は、翌年度の収入予算に編入することなく、決算残金処分により、直ちにこれを積立てること。
5 年度始めにおいて、その年度に属する支払上の現金に不足のある場合においては、前年度の収支残金を以て、支払いにあてることができること。ただし、右は前年度の支払に支障のない限度においてこれをなすこと。
6 一時借入金をすることのできる限度は、毎年度組合会の議決を経ること。
7 費目流用又は予備費充当は、必要の都度必要額に限り、出納閉鎖期日までこれをすることができること。
8 遠隔の地において支払をなす経費、旅費、訴訟費用、前金支払でなければ、購入又は借入の契約をすることが困難なものについては、概算払をすることができること。
9 誤収入又は過収入は、これを収入した科目から払い戻すこと。
10 誤払若しくは過度又は概算払は、これを支出した科目に戻入すること。
11 出納閉鎖期日後の収入支出は、これを現年度の収入支出とすること。
前項の戻入金で出納閉鎖期日後に処理することになったものも、また、同様であること。
Ⅲ.決算の調整
1 決算は出納閉鎖期日を経過したときは、なるべく速やかにこれを調整すること。
2 決算は、予算と同一の区分により、これを調整すること。
3 歳計剰余金の処分は、決算とは別個の議案として議決を経ること。
4 会計年度経過後において、収入を以て支出にあてるに不足のあるときは、翌年度の収入を繰上げ、これに充当できること。ただし、この場合においては、その充当に要する額を次により、これを翌年度予算に計上すべきこと。なお、充当に関する一切の措置は、出納閉鎖期日までに終了すべきであること。
イ 必ず追加予算として計上すること。
ロ 収入は、適当な財源を求め計上すること。
ハ 支出は、その繰上充当額を予算概目の諸支出金中「前年度支出繰上充当額」の項及び目を設け計上すること。
Ⅳ.財源
1 準備金の積立については、国民健康保険法施行令(昭和33年政令第362号)第20条に基づき、決算剰余金が発生した場合は、過去3ヶ年の保険給付費の単年度平均の額から、過去3ヶ年における国保法第73条第1項の規定による補助額の単年度平均の額を控除した額の12分の1相当の額を積み立てること。
2 準備金を有価証券をもって保有する場合、その積立金額は、額面金額をもって計算すること。
3 重要な財産の処分方法につき、認可を受けた後、これを実行したときは、速やかにその結果を報告すること。
4 準備金、土地、建物、機械器具等のような主要な財産に関する台帳を備えること。
Ⅴ.会計事務
1 収支の命令者と現金出納者とは、同一人に兼務させないこと。
現金出納を事務員に行わせる場合においても、収支の命令及び通帳、印鑑等の保管は、理事がこれに当ること。
2 支払余裕金は、日常の支払に必要なものを除く外、金融機関等に預入しておくこと。
3 歳入簿、歳出簿及び現金出納簿の記入は、即日これをして、かつ、その記入を誤らないよう注意すること。
4 歳入簿、歳出簿及び現金出納簿には、月計及び通計を記載すること。
5 現金出納簿には、準備金その他の財産に属する出納を記載しないこと。ただし、準備金を繰替使用する場合及びその戻入をする場合においては、その受払につき記載すること。
6 国民健康保険法施行規則第22条の規定による歳入簿、歳出簿及び現金出納簿の外、左の帳簿を備えること。
イ 収入原簿
ロ 収入調定簿
ハ 過誤納金整理簿及び過誤払金整理簿
ニ 費目流用簿及び予備費充当簿
ホ 物品購入簿
ヘ 備品台帳
7 会計事務の整理に遺漏のないようにするため「別紙2」の規定例により、会計事務規程を定めること。この場合において、特別の事由ある組合は、その実情によりこの規程例の規定の一部を変更して、これを定めてもよいこと。
8 証拠書類は、種目毎に整理編綴し、文書保存に関する規定に定める期間これを保存すること。
別表(1)
別表(2)
別表(3)
「別紙2」
何国民健康保険組合会計事務規程例
「何」国民健康保険組合会計事務規程
第一条 この組合の会計事務は、法令その他別段の規定のある場合を除く外、この規程によりこれを処理しなければならない。
第二条 この組合に左の帳簿を備える。
一 歳入簿 第一号様式
二 歳出簿 第二号様式
三 現金出納簿 第三号様式
四 収入原簿 第四号様式
五 収入調定簿 第五号様式
六 過誤納金整理簿・過誤払金整理簿 第六号様式
七 費目流用簿・予備費充当簿 第七号様式
八 物品購入簿 第八号様式
九 財産台帳 第九号様式
十 備品台帳 第十号様式
2 前項第一号から第八号の帳簿は、会計年度毎にこれを調整する。
第三条 収入は、第十一号様式による納入告知書によってこれをしなければならない。ただし、納入告知書を発することのできないものについては、第十二号様式による収入調書を作成しなければならない。
第四条 収入した納入告知書及び前条但書の規定による収入調書は、即日これを種目毎に区分し第十三号様式による収入集計表を附さなければならない。
第五条 督促状は、第十四号様式によらなければならない。
第六条 支出を要するときは、理事長(常務理事)は、その請求書に、請求書のないものは第十五号様式による支出調書を作成し、これに款項種目を朱書し調印しなければならない。ただし、請求書で種目の同じものにあってはこれを集合し支出調書により支出してもよい。
第七条 支出をしたときは領収書を徴しなければならない。ただし、郵便切手、収入印紙等の類で領収書を徴することのできないものについては、この限りでない。
2 前項の場合にあっては、理事長(常務理事)が支出証明をしなければならない。
第八条 仮払いは、精算書を徴しなければならない。
第九条 収入中誤納又は過納のあるときは、第十六号様式による還付告知書により還付しなければならない。
2 支出中誤払又は過払のあるときは、第十七号様式による返納告知書によりこれを返納させなければならない。
第十条 会計に関する諸帳簿書類の記載事項につき、訂正、挿入又は削除をしようとするときは、二線を劃してその右側又は上位に正書し、その削除にかかる文字は明に読むことができる字体を残さなければならない。
第十一条 歳入簿、歳出簿、現金出納簿その他、計算の連続する帳簿に誤記を発見したときは、最終記帳の次にその事由を記載して計算を更正し、その誤記の箇所には計算を更正した年月日を朱書しなければならない。
附 則
この規程は平成 年 月 日よりこれを施行する。
第一号様式
第二号様式
第三号様式
第四号様式
第五号様式
第六号様式
第七号様式
第八号様式
第九号様式
第十号様式
第十一号様式(甲)
第十一号様式(乙)
第十二号様式
第十三号様式
第十四号様式(甲)
第十四号様式(乙)
第十五号様式(甲)
第十五号様式(乙)
第十六号様式
第十七号様式