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○国民健康保険保険者の赤字削減・解消計画の策定等について

(平成30年1月29日)

(保国発0129第2号)

(都道府県民生主管部(局)国民健康保険主管課(部)長あて厚生労働省保険局国民健康保険課長通知)

(公印省略)

平成30年度から、都道府県も国民健康保険の保険者となり、財政運営の責任主体となることに伴い、改正後の国民健康保険法(昭和33年法律第192号)第82条の2に基づき、都道府県は、国民健康保険の安定的な財政運営を図るため、「都道府県国民健康保険運営方針」(以下「国保運営方針」という。)を定めるものとされたところである。

国民健康保険の財政を安定的に運営していくためには、原則として、必要な支出を保険料や国庫支出金等により賄うことにより、国民健康保険特別会計の財政収支が均衡することが重要である。しかしながら実際には、決算補填等を目的とした法定外の一般会計繰入や前年度繰上充用が行われている現状がある。

このため、「都道府県国民健康保険運営方針の策定等について」(平成28年4月28日保発0428第16号厚生労働省保険局長通知)では、都道府県及び市町村(特別区を含む。以下同じ。)において財政収支の改善等について検討を行うとともに、市町村は、赤字についての要因分析(医療費水準、保険料設定、保険料収納率等)を行い必要な対策について整理すること、都道府県は、国保運営方針に市町村ごとの赤字の解消又は削減の目標年次及び赤字解消に向けた取組を定めることとしている。

一方、国保運営方針には都道府県の全体的な赤字解消等の方向性を定めたうえで、市町村ごとの取組を国保運営方針とは別に定めることも可能としている。このため別に定める場合については、下記により細則をお示しするのでこれに基づき取り扱われたい。

また、国民健康保険組合については、療養給付費等補助金の補助率が段階的に低減されること等に鑑み安定的な財政運営が行われるよう、法令に基づく適切な予算、決算について指導、助言をお願いする。

なお、本通知に伴い、昭和46年11月25日保発第36号通知は廃止する。

本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項に基づく技術的助言であることを申し添える。

1.市町村赤字削減・解消計画

(1) 削減・解消すべき赤字の定義

市町村において削減・解消すべき赤字(以下単に「赤字」という。)は、市町村の国民健康保険特別会計(事業勘定)における「決算補填等目的の法定外一般会計繰入金(以下「法定外繰入金」という。)」及び「繰上充用金の新規増加分」とする。

(ア) 法定外繰入金について

法定外繰入金とは、毎年度、国民健康保険特別会計の収支決算における法定外の一般会計繰入金のうち、「収入不足に伴う決算補填目的のもの」、「保険者の政策によるもの」及び「過年度の赤字によるもの」に該当するものである。なお、その額は厚生労働省保険局国民健康保険課が実施する『国民健康保険事業の実施状況報告』における様式5「国民健康保険事業における一般会計繰入金の繰入理由別状況表(法定外繰入)」の決算補填等目的欄に計上される金額である。

(イ) 繰上充用金の新規増加分について

繰上充用金の新規増加分とは、「平成28年度以降に行った繰上充用金額のうち、平成27年度決算における平成28年度からの繰上充用金相当額を超過する額」及び「累積赤字のうち削減・解消された繰上充用金を除く前年度増加分」とする。

(2) 赤字削減・解消計画の対象範囲について

赤字削減・解消計画の対象は(1)(ア)及び(イ)である。ただし、具体的な計画の策定に当たっては、療養給付費負担金、療養給付費等交付金に係る前年度精算額を反映した上で、前期高齢者交付金、後期高齢者支援金、前期高齢者納付金及び介護納付金の前々年度精算額を踏まえつつ、都道府県から示される国民健康保険事業費納付金額を勘案して算出される予算ベースの集めるべき保険料額に基づき見込まれる翌年度の赤字額を特定するものとする。また、単年度実質収支額が黒字である場合には、その点も勘案するものとする。なお、平成30年度以降は、保険給付費等交付金の追加交付による精算分は赤字に含まれない。

(3) 繰上充用金の累積分の取扱いについて

累積赤字とは、「平成27年度決算における平成28年度からの繰上充用金相当額」である。すなわち、平成28年度以降の新規増加分を除く繰上充用金相当額である。

国民健康保険財政の健全化のためには累積赤字の可及的速やかな解消が望ましいが、本通知で定義する赤字の削減・解消を優先し、次いで累積赤字の削減等について実情に応じた計画を任意に策定する。

(4) 計画の策定

市町村は、計画的に赤字の削減・解消を図るため、赤字の削減・解消に向けた基本方針、目標設定、取組等について都道府県と協議を行ったうえで、赤字削減・解消計画を定める。

(ア) 対象市町村

計画を策定すべき対象市町村は、決算において赤字が生じ、赤字が生じた年度の翌々年度までに予算ベースで赤字の解消が見込まれない市町村とする。(2)の整理及び保険料率の改正等により、赤字の発生年度から翌々年度までに赤字の解消が確実に見込まれる場合には、計画の策定は不要とする。

(イ) 計画の内容

赤字の原因を分析した上で、赤字削減・解消のための基本方針、具体的な取組内容(保険料率の改定、医療費適正化、収納率向上対策の取組等)を定めるとともに、赤字削減の目標年次及び年次毎の計画を定める。計画年次については、その年次の赤字の削減予定額又は削減予定率(削減すべき赤字額全体に対する削減予定額の占める割合をいう。以下同じ。)を定める。また、複数年次単位で計画を定めることも可能とする。

なお、赤字の削減・解消に当たっては、被保険者の負担水準に激変が生じないような時間軸を置きつつ、実現可能な削減目標値と具体策を十分に検討するものとする。

(ウ) 計画期間

計画期間は国保運営方針の期間との調和を図り、原則6年以内とし、計画の第1年次は平成30年度以降とする。

(エ) 計画の変更

市町村は、計画策定後、赤字削減・解消計画の基本方針を変更する場合又は計画の実現が困難と見込まれる場合、あるいは前倒しで計画の実現が見込まれる場合等においては、都道府県と協議の上で、赤字削減・解消計画を変更し、表題を「赤字削減・解消変更計画書」として都道府県に提出する。

(5) 赤字の削減・解消に向けた取組

市町村は、策定した計画に基づき、保険料(税)率の適正な設定や、医療費適正化、国民健康保険料(税)の収納率の向上等の具体的な取組を進めるものとする。

(6) 赤字削減・解消計画実施状況の報告

赤字削減・解消計画を策定した市町村は、翌年度以降、計画期間内の各年度における実施状況及び実施予定について都道府県に報告する。

2.都道府県赤字削減・解消計画の策定

(1) 対象都道府県

計画を策定すべき都道府県は、赤字削減・解消計画を策定する市町村が属する都道府県とする。

(2) 計画の内容

都道府県は、赤字削減・解消のための都道府県の基本方針や目標年次及び具体的な取組内容について定めるものとする。なお、基本方針については国保運営方針を転記したもの、具体的な取組内容については赤字市町村の取組内容を総括したものを記載することとして差し支えない。

さらに、赤字市町村の赤字削減・解消計画における計画年次の赤字の削減予定額又は予定率を記載するとともに、市町村の主な取組内容を記載する。

(3) 計画期間

計画期間は国保運営方針の期間との調和を図り、原則6年以内とし、計画の第1年次は平成30年度以降とする。

(4) 計画の変更

計画策定後、市町村赤字削減・解消計画が変更された場合等においては、都道府県赤字削減・解消計画を変更する。

3 赤字削減・解消計画書及び赤字削減・解消実施状況報告書等の提出

(1) 計画書の提出

市町村が策定した赤字削減・解消計画書は、毎年度3月末までに都道府県に提出する。都道府県は、都道府県赤字削減・解消計画書とともに翌年度4月末までに厚生労働省(各地方厚生(支)局)へ報告する。

(2) 実施状況報告書及び変更計画書の提出

市町村は計画策定後、毎年度決算後に実施状況報告書を作成するとともに、必要に応じて都道府県と協議し変更計画書を作成する。都道府県は、毎年度9月末日までに厚生労働省(各地方厚生(支)局)へ報告する。

(3) 計画書等の取り扱い

都道府県は、市町村が作成した赤字削減・解消計画書及び実施状況報告書並びに変更計画書について、計画期間内において実施状況等が明らかになるよう保険者ごとにファイルする等により保管する。

4 国民健康保険組合赤字削減・解消計画

(1) 計画の策定

国民健康保険組合は、計画的に赤字を削減・解消するため、赤字の削減・解消に向けた目標設定、取組等について都道府県と協議を行ったうえで、赤字削減・解消計画を定める。

(ア) 対象国民健康保険組合

国民健康保険の毎年度収入支出の決算において、実質収支が2年継続して赤字の国民健康保険組合は、その翌年度以降を第1年次とする赤字削減・解消計画を策定する。

(イ) 計画期間

計画の期間は、原則として6年以内とする。

(ウ) 計画の変更

計画策定後、赤字削減・解消計画の基本方針を変更する場合又は計画の実現が困難と見込まれる場合、あるいは前倒しで計画の実現が見込まれる場合等においては、都道府県と協議の上で、赤字削減・解消計画を変更し、表題を「赤字削減・解消変更計画書」として都道府県に提出する。

(エ) 計画の内容等

計画の内容、赤字の削減・解消に向けた取組、実施状況の報告については、上記1.市町村赤字解消・削減計画に準じて取り扱われたいが、各組合の実情に応じて取り組まれたい。

(2) 計画書等の提出

赤字削減・解消計画書及び赤字削減・解消計画実施状況報告書並びに変更計画書については、上記3と同様に取り扱うこととする。

別紙

各計画書等の様式について

〈様式第1〉赤字削減・解消計画書(市町村)記入上の注意

1.「①赤字の発生状況」欄は、次により記入すること。

(1) 「赤字発生年度」欄は、平成28年度以降の決算補填等目的の一般会計法定外繰入金(以下「法定外繰入」という。)又は繰上充用金の新規増加分が生じた年度とその額を記入する。

(2) 「赤字の原因」欄は、赤字発生初年度の原因と、その後赤字額が増加した場合はその原因を列記する。

2.「②赤字削減計画」欄は、次により記入すること。

(1) 「赤字削減・解消のための基本方針」欄は、赤字削減・解消手段の主要事項を簡潔に記入する。

(2) 「赤字削減・解消のための具体的取組内容」欄は、数字を入れて簡潔に列記する。

(3) 「計画年次」欄は、この計画の初年度を第1年次として記入する。

(4) 「年度別の赤字削減予定額(率)」欄の数値は、法定外繰入及び繰上充用金の新規増加分の削減予定額又は削減すべき赤字額全体に占める削減額の割合(率)を記入する。

〈様式第2〉赤字削減・解消計画実施状況報告書(市町村)記入上の注意

1.「①赤字の発生状況」欄は次によること。

赤字削減・解消計画書と同様のものを記入する。

2.「②赤字削減計画実施(予定)状況」欄は次によること。

(1) 「年度別赤字削減予定額(率)」欄については、計画書と同様のものを記入する。ただし、計画を変更した場合は、変更後の予定を記入する。

(2) 「赤字削減額」欄は、各年度の実績に基づく法定外繰入、繰上充用金の新規増加分の削減額又は削減すべき赤字額全体に占める削減予定額の割合(率)を記入する。

なお、法定外繰入金及び繰上充用金の新規増加分を予定どおり削減できず前年度の赤字額よりもさらに増加した場合は、その増加額(増加割合)に△印を付けて記入する。その場合、計画の変更を検討することとし、必要に応じて変更計画書を別途作成すること。

(3) 「実施状況の詳細」欄は、計画の具体的な取組内容に沿って、数字を入れて簡潔に列記する。また、計画どおり実施できなかった場合には、その理由等について記入する。

(4) 「今後の取組」欄は、実施状況を踏まえて計画書の内容を記入するか、更に取り組むべき内容があればそれらについても記入する。

〈様式第3〉都道府県赤字削減・解消計画書記入上の注意

1.「赤字削減・解消のための都道府県の基本方針」欄は次によること。

基本方針については、都道府県の国民健康保険運営方針との整合を図り記入する。また、国民健康保険運営方針をそのまま転記することとしても良い。

2.「赤字削減・解消のための具体的取組内容」欄は次によること。

取組内容については、都道府県標準保険料率や標準的な収納率等の設定等について具体的な数値を記入する。また、市町村の取組を総括して記入することとしても良い。

3.市町村ごとの「赤字額」及び「赤字削減予定額(率)」欄は次によること。

市町村から提出された様式第1を基に、市町村毎の赤字額(合計)及び赤字削減予定額又は予定率を記入する。

4.「市町村の主な取組内容」欄は次によること。

市町村から提出された様式第1を基に、主な取組内容を簡潔に記入する。

〈様式第4〉赤字削減・解消基本計画書(国民健康保険組合)記入上の注意

1.「①赤字の発生状況」欄は、次により記入すること。

(1) 「赤字発生年度」欄は、平成28年度以降の決算における実質収支が2年継続して赤字となった場合の年度とその額及び歳入額、歳出額を記入する。

(2) 「赤字の原因」欄は、赤字が発生した初年度及び継続して赤字となった2年度目の原因を列記する。

2.「②赤字削減計画」欄は、次により記入すること。

(1) 「赤字削減・解消のための基本方針」欄は、赤字削減・解消手段の主要事項を簡潔に記入する。

(2) 「赤字削減・解消のための具体的取組内容」欄は、数字を入れて簡潔に列記する。

(3) 「計画年次」欄は、この計画の初年度を第1年次として記入する。

(4) 「年度別の赤字削減予定額(率)」欄の数値は、赤字額の削減予定額又は削減すべき赤字額全体に占める削減予定額の割合(率)を記入する。

様式第1

様式第2

様式第3

様式第4