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○核酸医薬品の品質の担保と評価において考慮すべき事項について

(平成30年9月27日)

(薬生薬審発0927第3号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)

(公印省略)

厚生労働省では、革新的な医薬品、医療機器及び再生医療等製品の実用化を促進するため、平成24年度から、最先端の技術を研究・開発している大学・研究機関等において、レギュラトリーサイエンスを基盤とした安全性と有効性の評価方法の確立を図り、ガイドラインの作成を行うとともに、大学・研究機関等と独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)及び国立医薬品食品衛生研究所の間で人材交流を実施する事業を実施しました。

今般、大阪大学大学院薬学研究科における検討を踏まえ、下記の核酸医薬品の品質に関する考慮事項を別添のとおり策定しましたので、製造販売承認申請に当たって参考とするよう、貴管内関係事業者に対して周知方御配慮願います。

核酸医薬の品質の担保と評価における考慮事項

1.この考慮事項は、現時点で考えられる核酸医薬品の品質の担保と評価において考慮すべき事項の一例を示したものであり、核酸医薬品の製造販売承認申請において必要となる試験方法の選択等については、必要に応じてPMDAの対面助言を活用すること。

2.革新的医薬品・医療機器・再生医療製品実用化促進事業におけるロードマップ等においてはPMDAのホームページ(https://www.pmda.go.jp/rs-std-jp/facilitate-developments/0001.html)を参照されたい。

[別添]

核酸医薬品の品質の担保と評価において考慮すべき事項

目次

はじめに

適用対象

用語・略語の定義

1.原薬

1.1.製造

1.2.特性

1.3.原薬の管理

1.4.原薬の安定性

2.製剤

2.1.製造

2.2.製剤の管理

2.3.製剤の安定性

はじめに

核酸医薬の品質管理に関して、不純物の管理や規格及び試験方法に関する既存のICHガイドライン(ICHガイドラインQ3A(R2)、Q3B(R2)、Q6A、M7)はオリゴヌクレオチドを対象外としている。化学合成されるオリゴヌクレオチドについて、化学合成医薬品を対象とした既存のガイドラインに示されている原則を部分的に適用することが可能であるが、たとえば不純物の安全性の確認に関する考え方や薬理学的な活性の発現に高次構造の形成が重要となる核酸医薬の管理については、既存の化学合成医薬品を対象としたガイドラインが適用できない場合や不十分な場合がある。

本文書は、既存のガイドラインにおいて対象外とされている核酸医薬の製造、不純物の管理、規格及び試験方法に関連する部分に特化している。核酸医薬の製造販売承認申請に際して提出すべき添付資料等の作成にあたって留意すべき事項については、他の最新のガイドライン等も合わせて参照することが推奨される。

なお、本文書は作成時点の科学的な水準に基づいて策定しており、ここで述べられていることと異なる考え方であっても、科学的な根拠に基づいて個別に規制当局と議論することができる。

適用対象

本文書は、化学合成されるオリゴヌクレオチドを有効成分とする医薬品及び化学合成品とコンジュゲートされたオリゴヌクレオチドを有効成分とする医薬品を対象とする。これらには、一本鎖だけでなく、二重鎖や高次構造を形成しているオリゴヌクレオチドも含まれる。生物由来あるいはバイオテクノロジーを応用して作られる抗体、ペプチド又はその他のタンパク質とコンジュゲートされるオリゴヌクレオチド及びDDSなど複雑な製剤学的な特性を有する核酸医薬製剤には適用されないが、それらの中間体や原薬となるオリゴヌクレオチドの管理においては、本文書を参考にできる。なお、mRNAのような酵素学的な方法で製造される長鎖のポリヌクレオチドを有効成分とする製品には適用されない。

用語・略語の定義

<用語の定義>

アニーリング

一般に、加熱と冷却を伴う操作。相補鎖と塩基対を形成させるために行う操作はアニーリングの一種。

カウンターイオン

塩からなる有効成分における対イオン。たとえば、オリゴヌクレオチドと塩を形成しているナトリウムイオン。

核酸医薬

化学合成されるオリゴヌクレオチド(DNA、RNA及びそれらの誘導体)及びそのコンジュゲートが有効成分となる医薬品。

コンジュゲート

何らかの機能性の獲得を期待して他の分子と共有結合により結合させること、又は結合された医薬品。

ホスホロチオアート

ホスホジエステル結合を有するオリゴヌクレオチドのリン酸エステルの一つの非架橋酸素原子が硫黄原子によって置換された化合物。

オリゴヌクレオチド類縁物質

原薬又は製剤中に含まれる有効成分以外のオリゴヌクレオチド。

オリゴヌクレオチド類縁物質群

HPLCやLC/MSなどを用いた分析において技術的に個々に管理することが現実的ではなく、単一のピークとして観察されるなど物理的化学的性質が類似した一群のオリゴヌクレオチド類縁物質。

モルフォリノ核酸

DNA及びRNAの糖をモルフォリン環およびその誘導体に置き換えた非天然型オリゴヌクレオチドの一種。

<略語の定義>

DDS

薬物送達システム(drug delivery system)。

HPLC又はLC

液体クロマトグラフィー(liquid chromatography)。

ICH

医薬品規制調和国際会議(The International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use)。

MS

質量分析法(Mass spectrometry)。

1.原薬

1.1.製造

<製造方法及びプロセスコントロール>

オリゴヌクレオチドの伸長反応は多段階の合成により行われ、不純物を適切に管理する観点から反応の終点をどのように管理及び監視するかについて、説明する必要がある。自動合成機を用いて製造される場合には、使用する自動合成システムに基づいて各合成工程がどのようにモニタリングされ、管理されるのかについて説明する必要がある。

二重鎖のオリゴヌクレオチドを有効成分とする核酸医薬では、最終的な精製工程の後にアニーリングを行うことが多く、このような工程は原薬の品質に与える影響が大きいため適切な管理が必要である。また、有効成分がコンジュゲートオリゴヌクレオチド又は二重鎖である場合の製造におけるコンジュゲート前中間体やアニーリング前中間体など最終製品の重要な品質特性との関連性が高い工程や中間体については、最終製品を用いた場合の分析と比較して、類縁物質のプロファイルを評価しやすい場合がある。このような品質管理において重要な中間体については、適切な管理項目と管理値の設定が必要となるだろう。これら工程管理として設定されるモニタリングや試験の方法及びその適切性、管理値及びその設定根拠について、説明する必要がある。なお、適切に管理された製造プロセスのモニタリング結果は、原薬の構造特性(例えば、塩基配列)を支持する根拠の一つとして用いることができる。

多数の立体異性体の混合物となるホスホロチオアート修飾が施されたオリゴヌクレオチド(非架橋酸素原子が硫黄原子によって置換されている場合)やモルフォリノ核酸において、有効成分の立体異性体の分布を評価することが技術的に困難である場合には、リン原子の立体化学に影響を与える製造工程やパラメータを明らかにした上で、当該製造工程及びパラメータを的確に規定し、有効成分の立体異性体分布の恒常性を説明すべきである。

<出発物質の管理>

原薬に組み込まれるような出発物質に含まれる不純物はリスクが高いと考えられることから、出発物質の不純物プロファイルについては十分な検討が必要である。その上で出発物質の管理は、低分子量の化学合成医薬品と比較してオリゴヌクレオチドの製造において精製の機会が限られていること、及び最終製品においてオリゴヌクレオチド類縁物質の分離・検出に限界があることを踏まえた上で、不純物の管理戦略の中で適切に位置づけられる必要がある。

出発物質の管理戦略を理解する上で有用であることから、出発物質の製造方法の概略を示すことが推奨される。

<製造工程の開発の経緯>

原薬の製造方法を検討した経緯や開発段階における製造方法の変更について説明し、開発段階の経験がどのように製造方法の開発に活用されているのかについて明確に説明する必要がある。

開発段階で製造方法の変更が行われる場合には、品質の一貫性について注意深く評価し、データに基づいて説明できるようにしておく必要がある。製造方法の変更に伴う同等性/同質性の評価に際しては、ICHガイドラインQ5Eに示されている考え方を参考にすることが適切な場合がある。特に、不純物については、詳細な特性解析や製造工程中に得られる重要な中間体の分析データを取得した上で評価し、不純物のプロファイルが製造方法の変更前後で一貫していることを確認するべきである。

1.2.特性

<構造特性>

有効成分の構造特性を評価するために検討した内容が提示されるべきである。また、有効成分の構造特性を特徴付けることができる分析法については、詳細に説明されるべきである。以下の①~④の要素はオリゴヌクレオチドの構造特性として特に重要であり、構造特性の評価に際して考慮される必要があろう。

① 組成及び配列:

有効成分となるオリゴヌクレオチドの配列は標的分子の認識に関わる重要な特性である。

② リン酸骨格:

リン酸骨格が化学的に修飾されたオリゴヌクレオチドについて、意図した化学修飾が適切に導入されていることは重要な特性である。

③ カウンターイオン:

有効成分がカウンターイオンを伴っている場合は、カウンターイオンの組成と含量は、有効成分を特徴付ける上で重要な特性である。

④ 高次構造及び複合体:

高次構造又は複合体の形成は、品質に影響を与える可能性のある重要な特性である。オリゴヌクレオチドは、塩濃度や温度などの条件やオリゴヌクレオチドの塩基配列に依存して高次構造や複合体を形成する可能性があり、二重鎖などの複合体が有効成分である場合や薬理作用の発現に高次構造の形成が必要なタイプの核酸医薬においては、それぞれの構造特性を評価することが特に重要となる。

<不純物>

不純物特性として、化学的特性によって以下のように分類した不純物のプロファイルについて、適切な解析及び検討結果を提示する必要がある。

① オリゴヌクレオチド類縁物質:

オリゴヌクレオチド類縁物質は、類似した物理的化学的性質を示し、すべてのオリゴヌクレオチド類縁物質を分離する分析方法を開発することはしばしば困難であるが、類縁物質のプロファイルをより適切に評価できる分析法を開発するために行われた検討内容について説明する必要がある。

一つの類縁物質群を構成する個々の類縁物質は生物学的な特性が互いに異なる可能性があることを踏まえた上で、適切である場合には、一群のオリゴヌクレオチド類縁物質を一つのオリゴヌクレオチド類縁物質群として管理することができる。この場合、各オリゴヌクレオチド類縁物質群にどのような類縁物質が含まれるか(類縁物質の詳細なプロファイル)について、多角的に検討した結果を説明する必要がある。類縁物質群に含まれる個々の類縁物質すべてを同定することを求めるものではないが、開発段階からの品質の一貫性並びに、有効性及び安全性の確認された主要な臨床試験に用いられた原薬及び製剤と市販製品との同等性/同質性を説明する上で十分な特性解析がなされていなければならない。必要である場合には、製造工程の中間体における類縁物質のプロファイルを取得し、最終製品のオリゴヌクレオチド類縁物質のプロファイルへの影響について十分に説明する必要がある。

類縁物質の構造から一定程度の薬理学的な活性が期待され、有効性を保証する上で意味のある量が原薬中に含まれる場合には、必要に応じて当該類縁物質について生物学的な活性を含む特性解析を実施し、有効性への影響について検討しておくべきである。

オリゴヌクレオチドの特性等を踏まえると、オリゴヌクレオチド類縁物質について、ICHガイドラインM7を適用する意義は乏しいと考えられる。ただし、有効成分と異なる部分構造を有するオリゴヌクレオチド類縁物質が生じる場合には、当該部分構造の懸念の程度に応じて、遺伝毒性リスクについて検討した結果を説明する必要がある。

② 有機低分子不純物:

ICHガイドラインQ3A(R2)及びM7を参照する。なお、ICHガイドラインM7はオリゴヌクレオチドを有効成分とする医薬品を対象外としているが、核酸医薬品が化学合成により製造されることを踏まえると、残留するリスクのある遺伝毒性不純物(有機低分子不純物)について当該ガイドラインを参考に検討しておくべきである。

③ 残留溶媒:

ICHガイドラインQ3C(R5)を参照する。

④ 元素不純物:

ICHガイドラインQ3Dを参照する。

<生物学的/生化学的特性>

有効性に関連した特性として、標的分子に対する結合親和性などに関して説明する必要がある。物理的化学的な手法において、有効性と関連する品質特性を十分に明らかにできない場合には、生物学的あるいは生化学的評価などが必要になる。特に、薬理学的作用の発現に高次構造の形成が必要な核酸医薬においては、生物学的活性や標的分子に対する結合性などと物理的化学的特性との関連性について検討が必要になる。

<その他の物理的化学的特性>

その他、他の医薬品と同様に各作用機序の観点から、あるいは有効成分を特徴付ける上で重要な特性があれば、その特性及び評価方法について説明する必要がある。

1.3.原薬の管理

<規格及び試験方法>

ICHガイドラインQ6Aに示されている一般的な規格及び試験方法に関する考え方については、核酸医薬にも適用される。しかしながら、例えば、薬理学的活性を発現するために高次構造の形成が必要な核酸医薬における物理的化学的な手法の限界、薬理作用や副作用の動物種特異性などを考慮すると、規格及び試験方法の設定に際しては、必ずしも化学合成医薬品を対象とした既存のガイドラインは十分ではない。具体的に設定するべき規格及び試験方法については、原薬の重要な品質特性、特性解析、開発段階における経験や知識、並びに製造工程における管理などを考慮した上で原薬の本質を踏まえて設定すべきである。

核酸医薬における原薬の規格として、下記の項目を参考にされたい。「通常必要と考えられる項目(無印)」と「必要に応じて検討するべき項目(※印)」について、核酸医薬に特有の留意点を併記した。なお、「通常必要と考えられる項目」を規格に設定しない場合は、その科学的妥当性を説明しなければならない。

規格及び試験方法として原薬に対して適用される分析法は、他の医薬品の場合と同様、適切にバリデーションが実施されている必要がある。なお、分析法バリデーションについては、ICHガイドラインQ2(R1)を参照する。

規格及び試験方法の記載項目の例

(1) 名称

(2) 構造式又は示性式

(3) 分子式及び分子量

(4) 性状

(5) 確認試験

単一の分析法によって有効成分であることを確認し、担保することが難しい場合には、複数の試験を組み合わせることを考慮する必要があるだろう。

薬理学的作用の発現に高次構造の形成が必要な核酸医薬では、標的分子との結合性等を確認するための試験を設定することが必要な場合がある。

(6) 純度試験

不純物の化学的特性によって以下のように複数の項目に分類できる。

① オリゴヌクレオチド類縁物質:

試験方法

オリゴヌクレオチド類縁物質では、類似した物理的化学的性質を示し、複数のオリゴヌクレオチド類縁物質を個々に分離できないことがある。このように個々の類縁物質を分離することが困難な場合であっても、不純物の特性に関する解析結果に基づいて、オリゴヌクレオチド類縁物質のプロファイルをより詳細に評価できるような試験方法を設定するよう努めるべきである。なお、類縁物質のプロファイルがよりよく把握できるなど、有用である場合には、複数の分析方法を設定するべきである。

オリゴヌクレオチド類縁物質の規格

ICHガイドラインQ3A(R2)で示されている報告、構造決定及び安全性確認の閾値をオリゴヌクレオチド類縁物質に対して適用することは現実的ではない。

オリゴヌクレオチド類縁物質又はオリゴヌクレオチド類縁物質群(ただし、オリゴヌクレオチド類縁物質群として管理することが適切な場合に限る)については、可能な限り分析及び分類を行った上で、主要な臨床試験及び非臨床試験に用いられた原薬及び製剤中に含まれるそれぞれの類縁物質のレベルに基づいて安全性を評価し、適切に限度値を設定する必要がある。

既に安全性試験や臨床試験で十分に安全であることが確かめられている原薬中に存在しているすべてのオリゴヌクレオチド類縁物質については、試験に用いられた試料中に存在するレベルまでは安全性が確認されたものと考えることができる。オリゴヌクレオチド類縁物質が、動物やヒトでの試験で認められた主要な代謝物と同一である場合についても、一般に安全性が確認されたものと考えることができる。

安全性試験や臨床試験に用いられた原薬又は製剤のロット中に存在するよりも高いレベルの類縁物質を含む場合についても、既に行った適切な安全性試験において実際に投与された類縁物質の量を求め、それに基づいて考察を行うことにより安全性の確認を行うことができる。

ある類縁物質について、規格に設定しようとする判定基準のレベルにおける安全性を確認できるデータがない場合には、安全性を確認するための試験を行う必要があろう。

なお、原薬に含まれる可能性のある類縁物質について、生体内における分布特性を考慮した上で、副次的な薬理活性を示さないことが説明可能な閾値を科学的な考察に基づいて設定できる場合には、ICHガイドラインQ3A(R2)を参考に、安全性に十分配慮して、報告・構造決定・安全性の確認が必要な各閾値を個別の製品ごとに設定することも許容される。その場合には、オリゴヌクレオチド類縁物質の特性、開発段階における経験や科学的な知見、投与量や対象疾患、並びに対象患者集団等を踏まえ、患者にとって受容可能なリスクに対応したレベルを勘案し、不純物の安全性確認の必要な閾値を根拠に基づいて設定する必要がある。

以上に述べた規格設定及び安全性の確認にいたるプロセスについては、科学的根拠に基づいて詳細に説明すべきである。種特異的な薬理活性を示す可能性があることから、オリゴヌクレオチド類縁物質の安全性評価を行う上で、非臨床試験の有用性には限界があることを考慮する必要がある。

② 有機低分子不純物

ICHガイドラインQ3A(R2)及びM7を参照する。

③ 残留溶媒

ICHガイドラインQ3C(R5)を参照する。

④ 元素不純物

ICHガイドラインQ3Dを参照する。

⑤ その他

安全性や有効性に及ぼしうる影響に基づいて検討する。

(7) 示性値

特性解析に基づいて、原薬の品質を担保する観点から必要な物理的化学的特性について検討する必要がある。

(8) 水分含量

(9) カウンターイオン

(10) 定量法(含量)

ICHガイドラインQ6Aに述べられているように、不純物の影響を受けないような特異性の高い定量法が設定されるべきである。オリゴヌクレオチド類縁物質プロファイルの複雑性を鑑みれば、適切な場合には、試験方法全体として原薬に対して特異的なものとなるように複数の分析方法を組み合わせることもできる。

(11) 生物学的活性試験

オリゴヌクレオチドの構造や機能の複雑性が高く、その他の手段に基づいて有効性を十分に担保できない場合には、生物学的活性に係る試験を設定すべきである。

(12) その他

微生物限度試験やエンドトキシン試験等は、剤形や製剤化プロセスを考慮して検討するべきである。

その他、それぞれの原薬の特性に応じて別に品質を担保するための試験が必要となる場合がある。

1.4.原薬の安定性

核酸医薬原薬の安定性については、ICHガイドラインQ1を参照すべきである。

2.製剤

本文書の対象となる核酸医薬の製剤においては、製剤の重要な特性は原薬の重要品質特性と重なる部分が多いことから、原薬の項も合わせて参照すべきである。

2.1.製造

製剤の剤形と関連する重要な品質特性や期待する製剤学的特性を担保するために、必要な製造の管理がなされなければならない。また、製剤の製造プロセスが有効成分の重要な品質特性に影響を与える可能性がある場合には、適切に管理される必要がある。また、オリゴヌクレオチドは、塩濃度、温度などの条件および粉末、溶液などの性状およびオリゴヌクレオチドの塩基配列に依存し、高次構造や複合体を形成する可能性がある。したがって薬理学的作用の発現に高次構造の形成が必要な核酸医薬においては特に、製剤の製造プロセスが高次構造に影響を与える可能性について注意深く評価する必要がある。

2.2.製剤の管理

<規格及び試験方法>

原薬の場合と同様、ICHガイドラインQ6Aに示されている基本的な考え方は、核酸医薬の製剤に対しても適用される。

核酸医薬の製剤の規格として、下記の項目を参考にされたい。「通常必要と考えられる項目(無印)」と「必要に応じて検討するべき試験(※印)」について、核酸医薬に特有の留意点を併記した。なお、「通常必要と考えられる項目」を規格に設定しない場合は、その科学的妥当性を説明しなければならない。

規格及び試験方法としてオリゴヌクレオチド製剤に対して適用される分析法は、他の医薬品の場合と同様、適切にバリデーションが実施されている必要がある。なお、分析法バリデーションについては、ICHガイドラインQ2(R1)を参照する。

規格及び試験方法の記載項目の例

(1) 名称

(2) 性状

(3) 確認試験

1.3.原薬の管理を参照する。

(4) 純度試験

① オリゴヌクレオチド類縁物質:

1.3.原薬の管理を参照する。なお、分解生成物でないことが示された不純物については、通常、製剤で試験を行う必要はないと考えられる。

② 有機低分子不純物

ICHガイドラインQ3B(R2)及びM7を参照する。

③ 残留溶媒

ICHガイドラインQ3C(R5)を参照する。

④ 元素不純物

ICHガイドラインQ3Dを参照する。

⑤ その他の不純物

安全性や有効性に及ぼしうる影響に基づいて検討する。

(5) 定量法(含量)

1.3.原薬の管理を参照する。

(6) 生物学的活性試験

原薬及び製剤の特性を考慮した上で、その他の手段に基づいて有効性を十分に担保できない場合は、生物学的活性に係る試験を設定すべきである。

(7) その他(製剤試験など)

日本薬局方を参照し、剤形に応じて必要な試験を設定する必要がある。

2.3.製剤の安定性

原薬と同様、核酸医薬製剤の安定性については、ICHガイドラインQ1を参照すべきである。