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○医療法人の計算に関する事項について

(平成28年4月20日)

(医政発0420第7号)

(各都道府県知事あて厚生労働省医政局長通知)

(公印省略)

平成27年9月28日に公布された「医療法の一部を改正する法律」(平成27年法律第74号。以下「改正法」という。)及び本日公布された「医療法施行規則及び厚生労働省の所管する法令の規則に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令の一部を改正する省令」(平成28年厚生労働省令第96号。以下「改正規則」という。)により、医療法(昭和23年法律第205号。以下「法」という。)及び医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号。以下「規則」という。)が改正され、医療法人の計算に関する規定が整備され、いずれも平成29年4月2日から施行されるところである。

また、「医療法人会計基準」(平成28年厚生労働省令第95号。以下「会計基準」という。)についても本日公布され、同じく平成29年4月2日から施行されるところとなり、同日以後に開始する会計年度に係る会計について適用される。

これらの施行にあたって、医療法人の計算に関する事項の留意事項について下記のとおり整理し、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言として通知するので、御了知のうえ、適正な運用に努めるとともに、所管の医療法人に対して周知されるようお願いしたい。

第1 会計基準、外部監査及び公告について

1 会計基準の適用及び外部監査の実施が義務付けられる医療法人の基準について(法第51条第2項及び第5項関係)

(1) 法第51条第2項の「厚生労働省令で定める基準」とは規則第33条の2であり、具体的には次のとおりであること。

① 医療法人(社会医療法人を除く。)について

貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が50億円以上又は損益計算書の事業収益の部に計上した額の合計額が70億円以上であること。

② 社会医療法人について

イ 貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が20億円以上又は損益計算書の事業収益の部に計上した額の合計額が10億円以上であること

ロ 社会医療法人債を発行していること。

(2) (1)の①及び②ともに、最終会計年度(当該会計年度に係る法第51条第1項に規定する事業報告書等につき同条第6項の承認を受けた場合における直近の会計年度のうち最も遅いもの)に係る合計額をいうこと。

(3) 会計基準を適用する医療法人が作成する書類は、別紙「作成及び公告が必要な書類について」により確認すること。

2 監査について(法第51条第5項及び第6項、規則第33条の2の3及び第33条の2の5関係)

(1) 監事の監査報告書について

① 監事の監査報告書の内容について

イ 監事の監査の方法及びその内容

ロ 事業報告書等が法令に準拠して作成されているかどうかについての意見

ハ 監査のために必要な調査ができなかったときは、その旨及びその理由

ニ 監事の監査報告書を作成した日

② 監査報告書の通知期限

監事は次に掲げる日のいずれか遅い日までに理事に対し、監事の監査報告書の内容を通知しなければならないこと。

イ 事業報告書等を受領した日から4週間を経過した日

ロ 理事及び監事が合意により定めた日があるときは、その日

(2) 公認会計士等の監査報告書について

① 公認会計士等の監査報告書の内容について

イ 公認会計士等の監査の方法及びその内容

ロ 財産目録、貸借対照表及び損益計算書が法令に準拠して作成されているかどうかについての意見

ハ ロの意見がないときは、その旨及びその理由

ニ 追記情報

追記情報とは、次の事項その他の事項のうち、公認会計士等の判断に関して説明を付す必要がある事項又は財産目録、貸借対照表及び損益計算書の内容のうち強調する必要がある事項

・正当な理由による会計方針の変更

・重要な偶発事象

・重要な後発事象

ホ 公認会計士等の監査報告書を作成した日

② 公認会計士等の監査報告書の通知期限

公認会計士等は、次に掲げる日のいずれか遅い日までに、理事及び監事に対し、監査報告書の内容を通知しなければならないこと。

イ 財産目録、貸借対照表及び損益計算書を受領した日から4週間を経過した日

ロ 理事、監事及び公認会計士等が合意により定めた日があるときは、その日

財産目録、貸借対照表及び損益計算書については、理事及び監事が公認会計士等の監査報告書の内容の通知を受けた日に、公認会計士等の監査を受けたものとすること。

また、公認会計士等が通知をすべき日までに監査報告書の内容の通知をしない場合には、当該通知をすべき日に、財産目録、貸借対照表及び損益計算書については、公認会計士等の監査を受けたものとすること。

(3) 監査を受けた事業報告書等は理事会の承認を受けなければならないこと。また、理事会の承認を受けた事業報告書等は社員総会又は評議員会に提出し、その承認を受けなければならないこと。

3 事業報告書等の公告について(法第51条の3関係)

(1) 法第51条の3の規定に基づく事業報告書等(貸借対照表及び損益計算書に限る。)を公告しなければならない医療法人とは、1の(1)の①の医療法人及び全ての社会医療法人であること。

(2) 公告を義務付けられる事業報告書等とは、施行日以降に開始する会計年度に係る貸借対照表及び損益計算書(会計基準を適用している場合は注記も含む。)に限ること。

(3) 公告の方法は、次のいずれかの方法によること。

① 官報に掲載する方法

② 日刊新聞紙に掲載する方法

③ 電子公告(ホームページ)

(4) ③の方法により公告をする場合には、貸借対照表及び損益計算書を承認した社員総会又は評議員会の終結の日後3年を経過する日までの間、継続して公告する必要があること。

第2 関係事業者に関する事項について

1 関係事業者について(法第51条第1項関係)

法第51条第1項に定める関係事業者とは、当該医療法人と(2)に掲げる取引を行う場合における(1)に掲げる者をいうこと。

(1) (2)に掲げる取引を行う者

① 当該医療法人の役員又はその近親者(配偶者又は二親等内の親族)

② 当該医療法人の役員又はその近親者が代表者である法人

③ 当該医療法人の役員又はその近親者が株主総会、社員総会、評議員会、取締役会、理事会の議決権の過半数を占めている法人

④ 他の法人の役員が当該医療法人の社員総会、評議員会、理事会の議決権の過半数を占めている場合の他の法人

⑤ ③の法人の役員が他の法人(当該医療法人を除く。)の株主総会、社員総会、評議員会、取締役会、理事会の議決権の過半数を占めている場合の他の法人

(2) 当該医療法人と行う取引

① 事業収益又は事業費用の額が、1千万円以上であり、かつ当該医療法人の当該会計年度における事業収益の総額(本来業務事業収益、附帯業務事業収益及び収益業務事業収益の総額)又は事業費用の総額(本来業務事業費用、附帯業務事業費用及び収益業務事業費用の総額)の10パーセント以上を占める取引

② 事業外収益又は事業外費用の額が、1千万円以上であり、かつ当該医療法人の当該会計年度における事業外収益又は事業外費用の総額の10パーセント以上を占める取引

③ 特別利益又は特別損失の額が、1千万円以上である取引

④ 資産又は負債の総額が、当該医療法人の当該会計年度の末日における総資産の1パーセント以上を占め、かつ1千万円を超える残高になる取引

⑤ 資金貸借、有形固定資産及び有価証券の売買その他の取引の総額が、1千万円以上であり、かつ当該医療法人の当該会計年度の末日における総資産の1パーセント以上を占める取引

⑥ 事業の譲受又は譲渡の場合、資産又は負債の総額のいずれか大きい額が、1千万円以上であり、かつ当該医療法人の当該会計年度の末日における総資産の1パーセント以上を占める取引

2 関係事業者との取引に関する報告について

(1) 報告内容について

関係事業者との取引に関する報告については、次に掲げる事項を関係事業者ごとに記載しなければならない。

① 当該関係事業者が法人の場合には、その名称、所在地、直近の会計期末における総資産額及び事業の内容

② 当該関係事業者が個人の場合には、その氏名及び職業

③ 当該医療法人と関係事業者との関係

④ 取引の内容

⑤ 取引の種類別の取引金額

⑥ 取引条件及び取引条件の決定方針

⑦ 取引により発生した債権債務に係る主な科目別の期末残高

⑧ 取引条件の変更があった場合には、その旨、変更の内容及び当該変更が計算書類に与えている影響の内容

ただし、関係事業者との間の取引のうち、次に定める取引については、報告を要しない。

イ 一般競争入札による取引並びに預金利息及び配当金の受取りその他取引の性格からみて取引条件が一般の取引と同様であることが明白な取引

ロ 役員に対する報酬、賞与及び退職慰労金の支払い

「医療法人における事業報告書等の様式について」(平成19年3月30日医政指発第0330003号)において示されている様式に沿って報告すること。なお、会計基準を適用している場合については、「医療法人会計基準適用上の留意事項並びに財産目録、純資産変動計算書及び附属明細表の作成方法に関する運用指針」(平成28年4月20日医政発0420第5号)の関係事業者に関する注記例と同一の様式であることを申し添える。

(2) 報告期限について

関係事業者との取引の状況に関する報告書は法第51条で定める事業報告書等に含まれることから、会計年度終了後3月以内に所管の都道府県知事に届け出ること。

第3 関連する既往通知の改正について

○「病院又は老人保健施設等を開設する医療法人の運営管理指導要綱の制定について」(平成2年3月1日健政発第110号) 別添1

○「「医療機関債」発行等のガイドラインについて」(平成16年10月25日医政発第1025003号) 別添2

○「医療法人の国際展開に関する業務について」(平成26年3月19日医政発0319第5号) 別添3

(別紙)

作成及び公告が必要な書類について


法第51条第2項に該当する医療法人・社会医療法人

左記以外の社会医療法人

左記以外の医療法人

貸借対照表

作成及び公告義務

(注1)

作成及び公告義務

(注3)

作成義務

(注3)

※法改正前と同じ

損益計算書

作成及び公告義務

(注1)

作成及び公告義務

(注3)

作成義務

(注3)

※法改正前と同じ

財産目録

作成義務

(注2)

作成義務

(注3)

作成義務

(注3)

※法改正前と同じ

附属明細表

作成義務

(注2)

任意

任意

純資産変動計算書

作成義務

(注2)

任意

任意

関係事業者との取引に関する報告書

規則に定める基準に該当する場合は作成

(注3)

規則に定める基準に該当する場合は作成

(注3)

規則に定める基準に該当する場合は作成

(注3)

(注1) 医療法人会計基準(平成28年厚生労働省令第95号)で定める貸借対照表及び損益計算書の作成及び公告には注記も含むこと。

(注2) 医療法人会計基準適用上の留意事項並びに財産目録、純資産変動計算書及び附属明細表の作成方法に関する運用指針(平成28年4月20日医政発0420第5号)で定める様式を使用すること。

(注3) 医療法人における事業報告書等の様式について(平成19年3月30日医政指発第0330003号)で定める様式を使用すること。

(注4) (注1)(注2)に関わらず、社会医療法人債発行法人については、社会医療法人債を発行する社会医療法人の財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(平成19年厚生労働省令第38号)で定める様式を使用すること。

(別添1)

(別添2)

(別添3)