アクセシビリティ閲覧支援ツール

○「相互承認に関する日本国と欧州共同体との間の協定の運用について」の一部改正について

(平成30年7月18日)

(薬生監麻発0718第1号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長通知)

(公印省略)

相互承認に関する日本国と欧州共同体との間の協定(以下「日欧MRA」という。)の「医薬品に係る優良製造所基準(GMP)に関する分野別附属書」(以下「医薬品GMP附属書」という。)に関連する規定及び医薬品GMP附属書の規定の適用にあたり特に留意すべき事項の詳細に関しては、平成28年4月26日付け薬生監麻発0426第3号厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長通知「相互承認に関する日本国と欧州共同体との間の協定の運用について」(以下「旧通知」という。)により通知しているところです。

今般、日本国と欧州連合との間で、日欧MRAの規定に基づく、医薬品に係る優良製造所基準に関する合同委員会の決定が行われ、本年7月17日から、相互承認の対象医薬品の範囲が拡大することとなりました。これを踏まえ、旧通知を別添1のとおり改めますので、御了知の上、貴管下の関係業者等に対して周知方御願いします。

1.改正の趣旨

今般、日本国と欧州連合との間で、日欧MRAに基づくGMP相互承認の対象医薬品の拡大が合意されたことを受けて、所要の改正を行うものであること。

2.改正内容

(1) 対象医薬品に以下を含めること。

① 化学的医薬品

原薬及び無菌製剤について、新たに対象医薬品とする。

② 生物学的医薬品

原薬および無菌製剤(ワクチン等)を含め、新たに対象医薬品とする。ただし、適用されるGMPの同等性が再確認されていない以下のものを除く。

ア 不特定多数のドナーから採取されたヒト血液・組織・細胞に由来する医薬品

イ トランスジェニック動物・植物に由来する医薬品

※生物学的医薬品には、免疫学的製剤(immunologicals)及びワクチン類(vaccines)が含まれ、また、微生物、動物又は植物に由来する医薬品のほか、我が国でいう「遺伝子組換え技術応用医薬品」、「細胞培養技術応用医薬品」も含まれる。

(2) その他文言の整理等所要の改正を行うこと。

(別添1)

画像2 (42KB)別ウィンドウが開きます

画像3 (51KB)別ウィンドウが開きます

画像4 (48KB)別ウィンドウが開きます

画像5 (34KB)別ウィンドウが開きます

画像6 (42KB)別ウィンドウが開きます

○相互承認に関する日本国と欧州共同体との間の協定の運用について

(平成28年4月26日)

(薬生監麻発0426第3号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長通知)

改正 平成30年7月18日薬生監麻発0718第1号

(公印省略)

相互承認に関する日本国と欧州共同体との間の協定(以下「日欧MRA」という。)の「医薬品に係る優良製造所基準(GMP)に関する分野別附属書」(以下「医薬品GMP附属書」という。)に関連する規定及び医薬品GMP附属書の規定の適用にあたり特に留意すべき事項の詳細に関しては、平成16年5月28日付け薬食監麻発第0528001号医薬食品局監視指導・麻薬対策課長通知「相互承認に関する日本国と欧州共同体との間の協定の運用について」(以下「旧通知」という。)により通知しているところです。

今般、日本国と欧州連合との間で、医薬品GMP附属書を改正する外交上の公文が交換されました。これにより、本年4月22日から、欧州連合側の権限のある当局がすべての欧州連合加盟国に拡大することを踏まえ、日欧MRAの運用について、下記のとおり改めますので、御了知の上、貴管下の関係業者等に対して周知方御願いします。

なお、本通知の発出に伴って、旧通知及び平成23年8月25日付け薬食監麻発0825第12号医薬食品局監視指導・麻薬対策課長通知「「相互承認に関する日本国と欧州共同体との間の協定の運用について」の一部改正について」は廃止します。

1.相互承認の対象について(日欧MRA第2条及び医薬品GMP附属書第A部1関係)

日欧MRA第2条

1 各締約者は、関連の分野別附属書に特定する当該締約者の関係法令及び運用規則によって要求される適合性評価手続であって、他方の締約者の登録を受けた適合性評価機関が実施するものの結果(当該結果の証明書及び表示を含む。)を、この協定の規定に従って受け入れる。

2 各締約者は、この協定の規定に従って次のものを受け入れる。

(a) 他方の締約者の権限のある当局が検証の結果に基づき、関連の分野別附属書に特定する当該他方の締約者の関係法令及び運用規則に定める確認基準に則して行う施設の確認

(b) 他方の締約者の確認を受けた施設が作成するデータ

医薬品GMP附属書第A部1

この分野別附属書は、次のものに適用する。

(a) 第B部第1節に特定する各締約者の関係法令及び運用規則に従い両締約者の優良製造所基準(以下「GMP」という。)要件が適用される医薬品を製造する施設が当該GMP要件を満たしていることの確認

(b) 確認を受けた製造施設が作成するデータ(確認を受けた製造施設がこの第A部の規定に従って発行する証明書をいう。)の受入れ

我が国及び欧州連合は、他方の権限のある当局が検証の結果に基づき医薬品GMP附属書第B部第1節に示されている関係法令及び運用規則に従って実施したGMP要件適用医薬品製造施設が当該GMP要件を満たしていることの確認並びに確認を受けた製造施設が作成するデータ(実施した適合性評価手続の結果及び確認を受けた輸出側締約者の施設が作成したデータ(確認を受けた製造施設がこの第A部の規定に従って発行する証明書をいう。))を受け入れることとなること。

医薬品GMP附属書において、「権限のある当局」とは、医薬品GMP附属書第B部第2節に特定される当局であり、欧州連合側においてはオーストリア、ベルギー、ブルガリア、クロアチア、キプロス、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、英国(以下「欧州28カ国」という。)及び欧州連合の当局が特定されているものであること。

2.対象医薬品の範囲について(医薬品GMP附属書第A部2(a)関係)

医薬品GMP附属書第A部2(a)

(この分野別附属書の適用上、)「医薬品」とは、第B部第1節に特定する日本国の関係法令及び運用規則に定める人用に業として製造される医薬品並びに同節に特定する欧州共同体の関係法令及び運用規則に定める人用に業として製造される医薬品及び中間生成物をいう。

この「医薬品」には、治験薬、有効成分、化学的及び生物学的医薬品、免疫学的製剤、放射性医薬品、人の血液又は血漿しょうから生成される安定的な医薬品並びに適切な場合にはビタミン、ミネラル及び薬草を含めることができる。

現時点において、適用されるGMPの同等性が我が国と欧州連合との間で再確認されているものとして、医薬品GMP附属書による相互承認の対象となる医薬品は、化学的医薬品(chemical pharmaceuticals)、生物学的医薬品(biological pharmaceuticals)並びにこれらの有効成分(原薬)及び無菌製品(sterile products)であり、次の(1)から(4)に留意すること。

(1) 生物学的医薬品には、免疫学的製剤(immunologicals)及びワクチン類(vaccines)が含まれ、また、微生物、動物又は植物に由来する医薬品のほか、我が国でいう「遺伝子組換え技術応用医薬品」、「細胞培養技術応用医薬品」も含まれる。

(2) ビタミン、ミネラル又は薬草のうち、それらが我が国及び欧州連合の双方において「医薬品」として扱われ、かつ、双方においてGMPが適用されるものについては、医薬品GMP附属書による相互承認の対象となるものであること。

(3) 欧州連合でいう「ホメオパシー製品(homeopathic medicinal product)」については、今後、我が国及び欧州連合の双方において「医薬品」として扱われ、かつ、双方においてGMPが適用されるものについては、医薬品GMP附属書による相互承認の対象となるものであること。

(4) 次に掲げる場合のいずれかに該当するとき、医薬品GMP附属書による相互承認の対象から除外されるものであること。

ア 我が国又は欧州連合において「医薬品」とされていないもの:我が国でいう「医薬部外品」、「体外診断用医薬品」、「再生医療等製品」及び「治験の対象とされる薬物」、欧州連合でいう「ヒト由来の全血、血漿又は血球(whole blood, plasma or blood cells of human origin)」

イ 我が国又は欧州連合においてGMPが適用されていない医薬品:我が国でいう「医療用ガス類」のうち厚生労働大臣が指定するもの及び「殺虫剤」等の人の身体に直接使用されることのない医薬品

ウ 適用されるGMPの同等性が我が国と欧州連合との間で再確認されていない医薬品:生物学的医薬品のうち、不特定多数のドナーから採取されたヒト血液、細胞又は組織等に由来するもの、及びトランスジェニック動物又は植物に由来するもの

3.検定の取扱いについて(医薬品GMP附属書第A部3関係)

医薬品GMP附属書第A部3

この協定は、日本国の薬事法(昭和35年法律第145号)第43条に規定する検定並びに欧州共同体の1989年5月3日付けの閣僚理事会指令89/342/EEC第4条及び1989年6月14日付けの閣僚理事会指令89/381/EEC第4条に規定するバッチの出荷管理についての相互承認を対象とするものではない。

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第43条に規定する検定の結果は、医薬品GMP附属書による相互承認の対象とされていないものであること。

また、現時点においては、国家検定医薬品のうち不特定多数のドナーから採取されたヒト血液、細胞又は組織等に由来するものは、医薬品GMP附属書による相互承認の対象から除外されているため、平成25年6月11日付け薬食監麻発0611第11号により一部改正された昭和45年10月8日薬監第465号厚生省薬務局監視・細菌製剤課長連名通知「検定医薬品の自家試験成績書について」における「日本のGMP又はこれと同等以上のGMPに適合していると確認した場合」とはならないこと。

4.バッチ証明書等について(医薬品GMP附属書第A部4及び5関係)

医薬品GMP附属書第A部4

協定第2条2に関し、各締約者は、両締約者のGMP要件が相互に同等であることを考慮して、その製造についての承認又はその仕様が発出されている医薬品について、他方の締約者の権限のある当局による製造施設の確認を受け入れるとともに、第B部第1節に特定する自己の関係法令及び運用規則に従って、医薬品が当該承認又は当該仕様に適合していることについて当該製造施設がバッチごとに発行する証明書を受け入れるものとし、輸入業者がバッチごとに行うべき試験については、これを免除する。ただし、次の(a)から(c)までの規定に従うことを条件とする。

(a) 当該証明書が、当該確認を受けた製造施設により、完全な品質分析、すべての有効成分の量的な分析その他すべての試験又は点検の結果に基づいて発行されたものであること。

(b) 当該医薬品がGMP要件を満たして製造された旨の陳述書を当該証明書が伴っていること。

(c) 当該証明書の対象である医薬品に関して、両締約者が相互に同等のGMP要件を適用していること。

医薬品GMP附属書第A部5

確認を受けた製造施設が輸出用医薬品の各バッチごとに発行する4の証明書においては、第B部第1節に特定する各締約者の関係法令及び運用規則により当該医薬品の製造のために必要とされる試験を実施し、その結果、当該バッチが輸入側締約者の当該医薬品の製造についての承認又はその仕様における要件に即して製造されたことが証明される旨を記載するものとする。

医薬品GMP附属書第A部4の規定に基づき、医薬品GMP附属書第B部第1節に特定する我が国の関係法令及び運用規則に従って、欧州28カ国に所在する製造施設で製造された医薬品が、その製造についての承認又はその仕様に適合していることについて、当該製造施設がバッチごとに発行する証明書を受け入れるものとし、我が国の輸入業者が行うべき試験検査については、医薬品GMP付属書第A部4(a)から4(c)までの規定を満たしていることを条件に免除されるものであること。なお、この「バッチごとに発行する証明書」(以下「バッチ証明書」という。)とは、輸出側の製造施設が、その輸出する医薬品について、その製造ロットごとにそれぞれ発行する証明書を指すものであること。

このため、製造業者として、証明書に記載された試験検査結果をもって、当該試験検査の実施の免除を受けようとするときは、少なくとも医薬品GMP附属書第A部4(a)及び4(b)の各条件が満たされていることを責任をもって確保すること。

バッチ証明書には、医薬品GMP附属書第B部第1節に特定する我が国の関係法令及び運用規則により医薬品の製造のために必要とされる試験を実施し、その結果、輸入側締約者の当該医薬品の製造についての承認又はその仕様における要件に即して製造されたことが証明される旨を記載することとされていること。

このため、医薬品GMP附属書第A部4(a)から(c)までの規定を踏まえ、日欧MRAの適用を受けるものとして我が国に輸入される製品のバッチ証明書には、次の事項が記載されていること。

① 製品の名称(Name of product)

我が国における当該製品の名称が記載されていること。

② 輸入先国の名称(Importing Country)

我が国に輸入される製品については、「Japan」と記載されていること。

③ 承認番号(Marketing Authorization Number)

我が国における当該製品の承認番号が記載されていること。

④ 分量(Strength/Potency)

有効成分のすべてについて、その名称及び分量が記載されていること。

⑤ 剤形(Dosage form or pharmaceutical form, e.g. tablets, capsules, ointments)

⑥ 包装サイズ及び形態(Package size and type)

容器の内容及びバイアル、瓶、ブリスター包装等が記載されていること。

⑦ バッチ番号(Batch number)

製品によっては、製造ロット番号又は記号。製造及び流通過程が識別できるバッチ番号が記載されていること。

⑧ 製造年月日(Date of manufacture)

⑨ 有効期限(Expiry date)

製品に記載される有効期限は、輸入国において承認された条件における有効期限が記載されていること。

⑩ 製造施設及び試験検査施設の名称、所在地及び許可番号(Name, address and authorisation number of all manufacturing and quality control sites)

製造に関わった施設(包装、表示又は保管のみを行う施設、試験検査施設を含む。)の全てについて、その名称、所在地及び許可番号(我が国における承認書の記載内容と一致していること)が記載されていること。

⑪ ⑩に記載された全ての製造施設及び試験検査施設のGMP証明書番号又はEudraGMP参照番号(Number of Certificate of GMP Compliance of all sites listed under 10 or, when available, EudraGMP reference numbers)

⑩に記載された全ての製造施設及び試験検査施設について証明書番号が記載されていること(証明書の添付は不要)。

⑫ 試験検査結果(Results of analysis)

我が国における承認内容に係るものについては、その結果と試験検査方法(該当する承認事項を引用すること)について記載されていること。別途試験検査施設による試験検査結果証明書を添付することでも差し支えないが、その場合、証明書には発行年月日及び証明者の署名が記載されていること。

⑬ 特記事項(Comments)

その他我が国の製造販売業者、製造業者及びGMP調査権者がバッチの適合性を確認するために有用な情報(特殊な保管・運搬方法等)があれば記載されていること。

⑭ 陳述(Certification statement)

この陳述は、包装/表示と品質管理を含む製造を包括するものであり、原則として以下の陳述が記載されていること。

ただし、陳述は欧州連合と相互承認を結ぶすべての国で通用するようなものであり、我が国と欧州連合の間では、

・ 各極監査当局は両者(日本と欧州連合)に特定されること

・ 治験薬は対象でないこと

・ 保管についても包装/表示に含まれること

から、我が国としてはこれらについて必要な修正をしたものであっても、受け入れてよい。

陳述:「上記情報が真正であり正確なものであることを証明する。この製品バッチは、各極監査当局のGMP要件及び輸入国の承認の内容(治験薬は製品仕様書)に完全に適合して製造(包装/表示及び試験検査を含む)されたものである。当該バッチの生産、包装及び試験検査の記録については慎重に調査及び確認を行い、GMPに適合しているものと認められる。」(I hereby certify that the above information is authentic and accurate. This batch of product has been manufactured, including packaging/labelling and quality control at the above mentioned site(s) in full compliance with the GMP requirements of the local Regulatory Authority and with the specifications in the Marketing Authorisation of the importing country or product specification file for Investigational Medicinal Products. The batch processing, packaging and analysis records were reviewed and found to be in compliance with GMP.)

⑮ バッチ出荷判定責任者の氏名及び職名(Name and position/title of person authorizing the batch release)

⑩において複数の製造施設が記載されている場合には、当該責任者が所属する製造施設の名称及び所在地も記載されていること。

⑯ ⑮に記載されたバッチ出荷判定者の署名(Signature of person authorizing the batch release)

⑰ ⑯の署名がなされた年月日(Date of signature)

我が国から欧州28カ国に輸出する場合には、欧州委員会の定めるバッチ証明書様式に従うこと。

5.信頼性の維持等について(日欧MRA第5条第2から4まで関係)

日欧MRA第5条2

各締約者は、確認を受けた施設が関連の分野別附属書に特定する当該締約者の関係法令及び運用規則に定める確認基準を満たすことを、当該締約者の関係法令及び運用規則に従い、かつ、試験の監査、検査、監視その他適切な方法を通じて確保する。

日欧MRA第5条3

各締約者は、他方の締約者に対し、登録を受けた適合性評価機関又は確認を受けた施設が関連の分野別附属書に特定する関係法令及び運用規則に定める指定基準又は確認基準をそれぞれ満たしているかどうかについて理由を示した疑義を書面により提示することにより、適合性評価機関又は施設に対する検証を当該他方の締約者の法令及び運用規則に従って実施するよう要請することができる。

日欧MRA第5条4

各締約者は、他方の締約者の要請により、当該他方の締約者の検証手続についての継続的な理解を維持するために、当該他方の締約者の指定当局が行う適合性評価機関の検証又は権限のある当局が行う施設の検証に当該適合性評価機関又は当該施設のそれぞれの事前の同意を得てオブザーバーとして参加することができる。

輸出側締約者は確認を受けた自己の施設が、自己の確認基準を満たすことを適切な方法を通じて確保すること、輸入側締約者は、一定の場合に輸出側締約者に対して検査等を実施するよう要請することができること、同意を得て検査等にオブザーバー参加することができること等が規定されていること。

欧州連合側からGMP調査の実施要請があったときは、8.の要領に準じて、監視指導・麻薬対策課から照会等を行うこと。また、欧州連合側から、我が国の調査権者が実施するGMP調査へのオブザーバー参加希望があったときについても、同様に照会等を行う予定であること。

6.不利益処分に係る情報の交換について(医薬品GMP附属書第A部7(a)(iv)関係)

医薬品GMP附属書第A部7(a)(iv)

(両締約者は、特に次の事項について情報を交換する。)製造についての承認の効力の停止又はその取消し

他の締約者による適合確認の結果を受け入れることとされていることから、製造業許可の取消等、適合確認結果に変更があった場合については、相手側締約者に情報提供することが定められているものであり、欧州28カ国に輸出された医薬品の製造業者の許可を取り消すとき又は期間を定めてその業務の全部若しくは一部の停止を命ずるとき並びに当該医薬品に相当する品目の国内製造販売承認を取り消すときは、平成26年12月17日付け薬食発1217第3号医薬食品局長通知「「薬事監視指導要領」及び「薬局、医薬品販売業等監視指導ガイドライン」の改正について」により、監視指導・麻薬対策課あて報告すること。

7.緊急通報手続きについて(医薬品GMP附属書第A部7(b)関係)

医薬品GMP附属書第A部7(b)

両締約者は、この分野別附属書に特有の目的を実現するため、詳細な緊急通報手続を合同委員会の小委員会を通じて作成する。

医薬品GMP附属書第A部7(b)の規定に基づき、欧州委員会との間で、日欧MRAの対象医薬品の品質欠陥及び回収に係る情報交換を行うこととなったこと。このための手続きについては、平成30年2月8日付け薬生発0208第1号医薬・生活衛生局長通知により一部改正された平成26年11月21日付け薬食発1121第10号医薬食品局長通知「医薬品・医療機器等の回収について」によること。

8.検査報告書の写しの提供等について(医薬品GMP附属書第A部7(e)関係)

医薬品GMP附属書第A部7(e)

各締約者は、他方の締約者からの理由を示した要請に応じ、確認を受けた製造施設に関する最新の検査報告書の写しを、当該要請の日から30日以内に当該他方の締約者に提供する。当該要請を受けた締約者は、追加的な検査を実施する場合には、この追加的な検査報告の写しを、当該要請の日から60日以内に当該要請を行った締約者に提供する。各締約者は、検査報告の提供を受けた後においても他方の締約者の製造施設がGMP要件を満たしているかどうかについて引き続き重大な懸念を有する場合には、当該製造施設に対する検査を更に実施するよう当該他方の締約者に要請することができる。

他の締約者からの求めに応じて、最新の検査報告書の写しを30日以内に提供すること等が定められていること。

我が国から提供するGMP調査結果報告書の写しに記載された情報は、日欧MRA第13条の規定に基づき保護されることとなるが、欧州連合側に提供した報告書の写しが欧州連合の法令により欧州連合として開示が義務づけられる場合には、一般の者へ開示がなされる可能性があること。このため、各GMP調査権者においては、必要に応じてGMP調査を受けた製造所の企業と相談の上、開示されることを前提としてGMP調査結果報告書を作成するよう努めること。

欧州連合側から本条に基づく調査結果報告書の写しの提供要請があったときは、監視指導・麻薬対策課から照会等を行うこととし、同課から当該照会等を受けたGMP調査権者は、原則として30日以内に、又は新たにGMP調査を行う場合には60日以内に、当該依頼に係るGMP調査結果報告書を同課あて送付するものとするが、この期限内の送付が困難な場合にはその理由を速やかに同課あて連絡すること。

なお、GMP調査結果報告書の提供先は、原則として欧州連合側の権限のある当局に限り、かつ対象は、製造される医薬品が相互承認の適用条件を満たしているものに限ること。

9.GMP証明書発給要請等について(医薬品GMP附属書第A部7(f)関係)

医薬品GMP附属書第A部7(f)

一方の締約者の権限のある当局は、輸出業者、輸入業者又は他方の締約者の権限のある当局の要請に応じ、当該一方の締約者の領域に所在する製造施設について次の事項を確認するものとする。

(i) 第B部第1節に特定する当該一方の締約者の関係法令及び運用規則に従って医薬品を製造するための適切な許可を受けていること。

(ii) 権限のある当局により定期的に検査を受けていること。

(iii) 当該一方の締約者のGMP要件であって、両締約者が相互に同等であると認めるものを満たしていること。

権限のある当局は、輸出業者、輸入業者又は他の締約者の権限のある当局の求めに応じ、製造業者が関係法令に基づき医薬品の製造の許可を受けていること、権限当局が定期的に検査を実施していること、GMPに適合していること等を確認することが定められているが、業務の効率性維持等の観点から、当面は、従前どおり、証明書の要請は輸出業者(製造業者及び製造販売業者)及び当局からのみ受け付けることとし、欧州連合側の輸入業者が証明書の入手を希望する場合には、我が国の製造業者又は製造販売業者が証明書の発給要請を行うこと。

この規定に基づいて製造業者又は製造販売業者が証明書の発給を要請する場合の手続は、平成29年7月11日付け事務連絡「組織再編等に伴い変更となる様式について」等により一部改正された平成26年11月25日付け薬食発1125第12号医薬食品局長通知「輸出用医薬品、輸出用医療機器等の証明書の発給について」によること。

10.定期的な検査の実施(医薬品GMP附属書第A部8関係)

医薬品GMP附属書第A部8

協定第5条2に関し、輸出側締約者は、製造施設が第B部第1節に特定する自己の関係法令及び運用規則に定めるGMP要件を満たしていることを確保するため、自己の関係法令及び運用規則に従って製造施設に対し定期的に検査を実施する。

輸出側締約者は、製造施設に対し定期的に検査を行うことが定められていること。このため、我が国のGMP調査権者においては、各製造所につき、原則として2年に一度はGMP調査を実施し、5年ごとに概ね工程全般に関してGMP調査が実施されていることを確保されたいこと。

11.欧州連合側当局による我が国の製造施設の訪問について(日欧MRA第10条2関係)

日欧MRA第10条2

(a) 一方の締約者の権限のある当局は、(b)の規定により決定される緊急の必要性が生じた場合において、他方の締約者の製造施設の確認及び当該製造施設が作成したデータを引き続き第2条2の規定により受け入れるかどうかを決定する目的で、かつ、当該他方の締約者及び当該製造施設の同意を得ること並びに当該他方の締約者の求めがあるときには当該他方の締約者の権限のある当局の職員が同行することを条件として、当該製造施設を訪問することができる。この訪問は、当該他方の締約者の法令に反しない形式において、かつ、(b)の規定により決定される態様により行われる。当該一方の締約者は、自己の権限のある当局がこの訪問を通じて入手した情報については、この(a)に規定する目的に限ってこれを使用する。

(b) 合同委員会は、関連分野別附属書に規定する準備作業として、(a)に規定する緊急の必要性の定義及び訪問の態様を決定する。

日欧MRA第10条2(a)に基づき、欧州連合側の権限のある当局は、緊急の必要性が生じた場合において、我が国の製造施設の確認及び当該製造施設が作成したデータを引き続き第2条2の規定により受け入れるかどうかを決定する目的で、かつ、我が国の厚生労働省及び当該製造施設の同意を得ること並びに我が国の厚生労働省の求めがあるときには厚生労働省職員が同行することを条件として、当該製造施設を訪問することができるとされていること。

日欧MRA第10条2(b)に基づき、合同委員会が決定した、緊急の必要性の定義及び訪問の態様は、別紙のとおりであること。

別紙

相互承認に関する日本国と欧州共同体との協定

医薬品に係る優良製造所基準(GMP)に関する分野別附属書

緊急の必要性の定義及び訪問の態様

Ⅰ.「緊急の必要性」の定義

1.「協定」とは、「相互承認に関する日本国と欧州共同体との間の協定」を意味する。

2.「訪問」とは、協定第10条(2)(a)に基づき、締約国の権限のある当局により実施される、他の締約国の領域における医薬品製造施設への訪問を意味する。

3.協定第10条(2)(a)に規定される「緊急の必要性」とは、ある締約国から他の締約国に輸入された医薬品が、輸入側締約者の公衆の健康及び安全に影響を及ぼし又は影響を及ぼしうる場合であって、さらに輸入側締約国の権限のある当局が、懸念される医薬品製造施設において、当該製造施設の関連GMPへの適合状況を含め当該医薬品の製造について、迅速に情報を収集する必要性があると決定した場合における状況を意味する。

4.「訪問当局」とは、輸入側締約者の権限ある当局を意味する。

5.「被訪問当局」とは、輸出側締約者の権限ある当局を意味する。

Ⅱ.訪問の態様

1.訪問は、上記により定義される緊急の必要性が生じた場合に限り行われるものとする。

2.訪問は、被訪問当局及び懸念される関連製造施設がその訪問に同意することを条件に行うことができる。

3.訪問当局は、被訪問当局に対し、下記により指定されたコンタクトポイントを通じて、事前に、書面により訪問を要請するものとする。

4.この要請は、当該製造施設の名称及び所在地、懸念される医薬品の名称、当該訪問を行う専門家の氏名及び職名といった情報を含むものとする。

5.被訪問当局は、当該要請に対し、コンタクトポイントを通じ、書面により、遅滞なく回答するものとする。

6.訪問当局は、懸念される医薬品の製造施設に対し、事前に、書面により当該訪問を要請するものとし、その旨被訪問当局に情報提供するものとする。

7.訪問の間、訪問当局は、懸念される医薬品の製造施設において、協定第2条(2)に基づき当該製造施設の確認及び当該製造施設により作成されたデータを引き続き受け入れるかどうかを決定することを目的として、当該製造施設による関連GMPへの適合状況を含め当該医薬品の製造に係る情報を収集することができる。

8.被訪問当局の職員は、自己の費用を負担して、当該製造施設の訪問に参加することができる。

9.訪問当局は、その訪問の経費を負担するものとする。

10.当該訪問のためのコンタクトポイントは、日本側は厚生労働省、欧州連合側はEMAとする。

Ⅲ.秘密保持

訪問当局は、訪問の間に得られたいかなる情報も協定第10条(2)(a)に規定される以外の目的に使用しないものとし、協定第13条により拘束される。

(了)