添付一覧
○医薬部外品の製造販売承認申請及び化粧品基準改正要請に添付する資料に関する質疑応答集(Q&A)について
(平成30年3月29日)
(事務連絡)
(各都道府県衛生主管部(局)薬務主管課あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課通知)
医薬部外品の安全性評価の実施に当たり留意すべき事項については、これまで「医薬部外品の製造販売承認申請及び化粧品基準改正要請に添付する資料に関する質疑応答集(Q&A)について」(平成18年7月19日付け厚生労働省医薬食品局審査管理課事務連絡。以下「平成18年事務連絡」という。)、「化粧品基準及び医薬部外品の製造販売承認申請に関する質疑応答集(Q&A)について」(平成26年6月13日付け厚生労働省医薬食品局審査管理課事務連絡。)及び「医薬部外品の製造販売承認申請に関する質疑応答集(Q&A)について(その1)」(平成26年11月25日付け厚生労働省医薬食品局審査管理課事務連絡。以下「平成26年11月事務連絡」という。)において示してきたところです。
今般、「医薬部外品の製造販売承認申請及び化粧品基準改正要請に添付する資料に関する質疑応答集(Q&A)について」を別添のとおりまとめましたので、貴管下関係業者に周知方よろしくお願いいたします。
なお、本事務連絡の発出に伴い、平成18年事務連絡を廃止するとともに、平成26年11月事務連絡のQ18、Q19及びQ21を削除します。
別添
1.医薬部外品の製造販売承認申請について
(1) 安全性に関する資料について
Q1 安全性試験の評価に関する基本的な考え方について示して欲しい。 |
A1 安全性試験における投与経路は実使用時の適用経路に準じて選択することが望ましい。ただし、実使用時の適用経路では適切な曝露がなされないため、有害性の確認が十分にできない場合には、他の経路での安全性試験の実施も検討すべきである。
投与濃度や用量については、有害性が確認できるレベルを設定する必要があるが、投与可能な最大濃度や最大用量でも有害性が認められない場合には、必ずしも実使用時を想定した濃度や用量での試験を実施する必要はない。一方、例えば、高濃度において有害性が認められたとしても、無毒性量(No observed adverse effect level:NOAEL)と実使用時の濃度や曝露量を比較し、この比が十分に大きければ、安全と評価することもできる。また、既に医薬部外品として相当の使用実績があり、十分に安全性が確認されている類似物質との比較又は追加データ等から総合的に評価を行うことも可能である。
Q2 どのような毒性試験法に従えばよいか。 |
A2 原則として、以下の関係通知又はOECD1等により公的なガイドラインとして示された毒性試験法により実施する。試験実施に当たっては、GLP2条件下で実施するか、科学的に質の高い水準で実施され、かつデータの収集記録を容易に確認できるなど十分に信頼性が確保された条件下で実施すること。
また、動物実験の実施に際しては、「厚生労働省の所管する実施機関における動物実験等の実施に関する基本指針について」(平成18年6月1日付け科発第0601001号大臣官房厚生科学課長通知)、その他の動物実験等に関する法令等の規定を遵守し、実施機関における動物実験等の実施に関する基本指針に準拠する必要がある。
被験物質の物理的化学的性質、類似物質の情報又はin vitro試験の結果等から、動物に苦痛を与えることが予想される場合には、被験物質を希釈するなどして苦痛を軽減するよう努めるべきである。また、いずれの試験についても、結果を評価するために十分な陰性対照等の背景データを保有していなければならない。
【関係通知】
・医薬品の製造(輸入)承認申請に必要な毒性試験のガイドラインについて(平成元年9月11日付け薬新1第24号厚生省薬務局審査第一課長、同審査第二課長、同生物製剤課長通知。以下「医薬品毒性試験法ガイドライン」という。)
・医薬品のがん原性試験に関するガイドラインの改正について(平成20年11月27日付け薬食審査発第1127001号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知。以下「がん原性試験ガイドライン」という。)
・医薬品の遺伝毒性試験及び解釈に関するガイダンスについて(平成24年9月20日付け薬食審査発0920第2号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知。以下「遺伝毒性試験ガイダンス」という。)
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1 Organisation for Economic Co-operation and Development:経済協力開発機構
2 Good Laboratory Practice
Q3 動物実験代替試験法による試験成績を申請資料として用いることは可能か |
A3 OECD等により採用された代替試験法あるいは適切なバリデーションでそれらと同等と評価された方法に従った試験成績であれば差し支えない。ただし、通知等で代替法に関するガイダンスが示されている場合は、その方法を優先して用いるべきである。
Q4 添付が必要とされている安全性試験について、既に承認された品目から類推できる場合、あるいは関係文献等からみて医学薬学上公知と認められる場合等においては、添付を省略することは可能であるか。 |
A4 科学的に妥当であると判断される場合、その根拠を示した資料の提出により安全性試験を省略することが可能であるが、有効成分の特性(作用機序や物理化学的性質等)や類似物質における知見から生体への特異的な影響が想定される場合は、適切な試験法による追加の評価の実施を検討すべきである。
(2) 安全性試験の評価に関する資料に係る試験方法について
Q5 【単回投与毒性試験】 単回投与毒性試験について、どのような方法が適当であるか。 |
A5 単回投与毒性試験の実施に当たっては、「医薬品毒性試験法ガイドライン」別添の[1]単回投与毒性試験及び「単回及び反復投与毒性試験ガイドラインの改正について」(平成5年8月10日付け薬新薬第88号厚生省薬務局新医薬品課長、審査課長通知)を参照すること。他に参考となるガイドラインとしてはOECDテストガイドライン420,423,425が挙げられる。
被験物質としては医薬部外品の有効成分又は新添加物(以下「原体」という。)を用い、通常、1種のげっ歯類を用いて経口投与する。反復投与毒性試験を経口投与で実施しており、当該試験成績から急性毒性を評価できる場合は単回投与毒性試験を省略することができる。
また、経口投与における概略の致死量が2,000mg/kg未満の場合、製剤についても単回投与毒性試験を実施すること。ただし、配合量等から考慮して安全と推定される場合には省略できる。
Q6 【反復投与毒性試験】 反復投与毒性試験について、どのような方法が適当であるか。 |
A6 反復投与毒性試験の実施に当たっては、「医薬品毒性試験法ガイドライン」別添の[2]反復投与毒性試験を参照すること。他に参考となるガイドラインとしてはOECDテストガイドライン407~411が挙げられる。
被験物質としては原体を用い、通常、1種のげっ歯類を用いる。投与経路は原則として実使用時の適用経路とし、投与局所に対する影響を評価する。恒常的な全身曝露の懸念がある場合には、全身毒性についての評価も必要となる。なお、投与期間は90日以上とするが、試験成績から慢性毒性を有する可能性が示唆された場合には、より長期の反復投与毒性試験等の追加試験の実施を考慮する必要がある。
Q7 【遺伝毒性試験】 遺伝毒性試験について、どのような方法が適当であるか。 |
A7 遺伝毒性試験の実施に当たっては、「遺伝毒性試験ガイダンス」に示された方法を参照すること。他に参考となるガイドラインとしてはOECDテストガイドライン471,473,476,487及び490が挙げられる。
被験物質としては原体を用い、最高用量は、ガイドライン等を参考にすると共に、製剤中濃度を踏まえた実使用における適用部位での曝露量も考慮した上で、十分な曝露が得られる用量を選択すること。原則として、変異原性を評価するための細菌を用いる復帰突然変異試験の実施及び、染色体傷害を検出するための細胞遺伝学的試験(in vitro分裂中期での染色体異常試験又はin vitro小核試験)又はマウスリンフォーマTk試験の実施が必要である。なお、これらの試験で陽性結果が示された場合には、製剤中濃度を踏まえた実使用における適用部位での曝露量を十分に上回る曝露が得られる用量でのin vivo遺伝毒性試験の実施を考慮する。他に参考となるガイドラインとしてはOECDテストガイドライン474,475,488及び489などが挙げられる。
Q8 【がん原性試験】 がん原性試験はどのような場合に必要となるのか。また、どのような方法が適当であるのか。 |
A8 反復投与毒性試験において前がん病変が認められる等、がん原性の懸念がある場合にはがん原性試験の実施が必要となる。
がん原性試験の実施に当たっては、「がん原性試験ガイドライン」を参照すること。他に参考となるガイドラインとしては、OECDテストガイドライン451が挙げられる。
Q9 【生殖発生毒性試験】 生殖発生毒性試験は、どのような方法に基づき実施することが適当であるか。 |
A9 生殖発生毒性試験の実施に当たっては、「医薬品毒性試験法ガイドライン」別添の[3]生殖発生毒性試験を参照すること。他に参考となるガイドラインとしてはOECDテストガイドライン414,416,421,422,426,443が挙げられる。
被験物質としては原体を用い、投与経路は経口、又は十分な全身曝露が得られる場合には実使用時の適用経路を選択する。
①生殖機能に及ぼす影響、②受胎能及び着床までの初期胚発生に及ぼす影響、③器官形成期における胚・胎児発生に及ぼす影響並びに④出生前及び出生後の発生並びに母体の機能に及ぼす影響を検討する。通常、三試験計画法を用いるが、単一試験計画法及び二試験計画法を選択することも可能である。
実使用時の適用経路での吸収性が低い等の理由により、恒常的な全身曝露の懸念が低いことを説明できる場合には、少なくとも、胚が着床してから硬口蓋閉鎖するまでの期間、妊娠動物に被験物質を経口投与し、胚・胎児発生に対する影響(死亡の有無、成長の変化、形態学的変化)を検討する。
Q10 【皮膚一次刺激性試験】 皮膚一次刺激性試験は、どのような方法に基づき実施することが適当であるか。 |
A10 皮膚一次刺激性試験の実施に当たっては、OECDテストガイドライン404を参照するが、適用時間は24時間とし、必要に応じて損傷皮膚に対する影響も検討する。
投与濃度の設定については、十分に高い濃度における刺激性が軽度以下の場合であって、製剤の配合濃度における安全性が推測できるときは、必ずしも製剤の配合濃度を皮膚一次刺激性試験の投与濃度として設定する必要はない。比較対照としてすでに医薬部外品として相当の使用実績があり、十分に安全性が確認されている原料等を用い、相対評価が可能な濃度で試験を実施することにより、製剤の配合濃度を投与濃度として設定せず安全性を確認する方法もある。
Q11 【皮膚連続刺激性試験】 皮膚連続刺激性試験は、どのような方法に基づき実施することが適当であるか。 |
A11 皮膚連続刺激性試験の実施に当たっては、下表に示す方法を参照すること。
投与濃度の設定については、十分に高い濃度における刺激性が軽度以下の場合であって、製剤の配合濃度の安全性が推測できる場合には、必ずしも製剤の配合濃度を皮膚連続刺激性試験の投与濃度として設定する必要はない。比較対照としてすでに医薬部外品として相当の使用実績があり、十分に安全性が確認されている原料等を用い、相対評価が可能な濃度で試験を実施することにより、製剤の配合濃度を投与濃度として設定せず安全性を確認する方法もある。特段の懸念がある場合には、製剤を用いた試験を追加で実施する。なお、反復経皮投与毒性試験を経皮投与で実施しており、当該試験成績から皮膚連続刺激性を評価できる場合には試験を省略することができる。
試験動物 |
若齢成熟白色ウサギ等 |
動物数 |
原則として1群3匹以上 |
適用部位 |
除毛健常皮膚 |
投与面積及び用量 |
皮膚刺激性を適切に評価し得る面積及び用量 (通常、開放塗布の場合は流れ落ちない程度である0.03mL/2cm×2cmとし、さらに投与面積に応じて投与量を増減する。) |
投与濃度 |
原則として皮膚刺激性を適切に評価するため、無刺激性を示す濃度が含まれるよう数段階設定する。 |
投与方法 |
原則として開放塗布 |
投与期間 |
原則として1日1回、2週間反復投与 |
投与後の処置 |
原則として無処置とするが、必要に応じて洗浄等の操作を行ってもよい。 |
観察 |
原則として投与期間中の毎日投与前、及び最終投与24時間後に投与部位の肉眼的観察を行う。 |
Q12 【眼粘膜一次刺激性試験】 眼粘膜一次刺激性試験は、どのような方法に基づき実施することが適当であるか。 |
A12 眼粘膜一次刺激性試験の実施に当たっては、「「眼刺激性試験代替法としての牛摘出角膜の混濁および透過性試験法(BCOP)を化粧品・医薬部外品の安全性評価に資するためのガイダンス」について」(平成26年2月4日付け薬食審査発0204第1号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)、「「眼刺激性試験代替法としてのニワトリ摘出眼球を用いた眼刺激性試験法(ICE)を化粧品・医薬部外品の安全性評価に資するためのガイダンス」について」(平成27年11月16日付け薬食審査発1116第3号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)又はOECDテストガイドライン437,438を参照すること。他に参考となるガイドラインとしてはOECDテストガイドライン491,492が挙げられる。動物実験を行う場合には、「眼刺激性試験を化粧品・医薬部外品の安全性評価に活用するための留意事項について」(平成27年2月27日付け厚生労働省医薬食品局審査管理課長事務連絡)又はOECDテストガイドライン405を参照し、必ず動物を用いない代替法によって被験物質の強刺激性がないことを確認した後、麻酔薬を併用して動物に苦痛を与えない方法で試験を行う。
原体を使用した試験において角膜、虹彩の刺激反応が認められた場合又は使用時に眼に入る可能性のある製剤については、製剤でも試験を実施する。
なお、製剤の配合濃度に対して十分に高い濃度において角膜、虹彩の刺激反応が認められない場合には、必ずしも製剤についての試験を実施する必要はない。
製剤の配合濃度又は製剤でこのような刺激反応が認められる場合、あるいは洗い流す用法の製剤で反応が認められる場合には、使用時の濃度での評価、既存の医薬部外品との相対評価あるいは洗眼条件での試験を実施し、安全性を確認する方法もある。
Q13 【眼刺激性試験】 眼刺激性試験について、「ポジティブリスト収載要領について(平成13年3月29日付け医薬審発第325号)」別添の別表注意)※4に「当該成分に角膜、虹彩の刺激反応が認められた場合又は粘膜に使用されることがある化粧品に配合する場合には、試験製剤についても実施すること。」と記載されているが、製剤の配合濃度に対して十分に高い濃度で角膜、虹彩の刺激反応が認められないことを確認すれば、製剤についての試験は省略してよいか。 |
A13 差し支えない。
Q14 【眼粘膜連続刺激性試験】 眼粘膜連続刺激性試験は、どのような方法に基づき実施することが適当であるか。 |
A14 眼粘膜連続刺激性試験の実施に当たっては、「眼刺激性試験を化粧品・医薬部外品の安全性評価に活用するための留意事項について」(平成27年2月27日付け厚生労働省医薬食品局審査管理課長事務連絡)を参照すること。他に参考となるガイドラインとしてはOECDテストガイドライン405が挙げられる。
Q15 【口腔粘膜一次刺激性試験】 口腔粘膜一次刺激性試験は、どのような方法に基づき実施することが適当であるか。 |
A15 口腔粘膜一次刺激性試験の実施に当たっては、下表に示す方法を参照すること。口腔粘膜連続刺激性試験を実施する場合においても、本法を参照すること。
試験動物 |
ラット、モルモット等 |
動物数 |
原則として1群3匹以上 |
適用部位 |
前歯部歯肉および下唇部粘膜等 |
投与方法と用量 |
露出させた適用部位に被験物質を定量(0.1mL)滴下しながら、30秒間絵筆で塗り広げ投与する。 |
投与濃度 |
原則として口腔粘膜刺激性を適切に評価するため、無刺激性を示す濃度が含まれるよう数段階設定する。 |
観察 |
CTFA1)の判定基準2)に従い、肉眼的観察を行う。 |
1) Cosmetic Toiletry and Fragrance Association
2) Evaluation of Skin Absorption Potential, “CTFA Safety Evaluation Guideline”, CTFA, (2007)
Q16 【皮膚感作性試験】 皮膚感作性試験は、どのような方法に基づき実施することが適当であるか。 |
A16 皮膚感作性試験の実施に当たっては、「皮膚感作性試験代替法及び光毒性試験代替法を化粧品・医薬部外品の安全性評価に活用するためのガイダンスについて」(平成24年4月26日付け厚生労働省医薬食品局審査管理課事務連絡)、「皮膚感作性試験代替法(LLNA:DA、LLNA:BrdU―ELISA)を化粧品・医薬部外品の安全性評価に活用するためのガイダンスについて」(平成25年5月30日付け厚生労働省医薬食品局審査管理課事務連絡)、「医薬部外品・化粧品の安全性評価のための複数の皮膚感作性試験代替法を組合せた評価体系に関するガイダンスについて」(平成30年1月11日付け厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)及び「医薬品毒性試験法ガイドライン」を参照すること。他に参考となるガイドラインとしてはOECDテストガイドライン406,429,442A,442B,442C,442D,442Eが挙げられる。
Q17 【光安全性試験】 光安全性試験は、どのような方法に基づき実施することが適当であるか。 |
A17 光安全性試験の実施に当たっては、「皮膚感作性試験代替法及び光毒性試験代替法を化粧品・医薬部外品の安全性評価に活用するためのガイダンスについて」(平成24年4月26日付け厚生労働省医薬食品局審査管理課事務連絡)、「医薬品の光安全性評価ガイドラインについて」(平成26年5月21日付け薬食審査発0521第1号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)及び「医薬品毒性試験法ガイドライン」を参照すること。
医薬部外品は日常的な使用による紫外・可視光への長時間・長期間の曝露等が想定されることから、原則として光感作性試験も必要である。光感作性を動物実験で確認する場合には、「医薬品毒性試験法ガイドライン」を参照すること。
光毒性を動物実験で確認する場合には、下表を参考にする。
試験動物 |
ウサギ、モルモット等 |
動物数 |
原則として1群5匹以上 |
試験群 |
原則として被験物質光照射群、及び適切な対照群(陽性対照、溶媒光照射対照等)を設ける。 |
光源 |
上記「医薬品の光安全性評価ガイドラインについて」を参考に、標準的な太陽光の照射条件となるような適切な光源を選択する。 |
判定基準 |
投与部位の肉眼的観察を行う。 |
Q18 「医薬部外品の承認申請に際し留意すべき事項について」(平成26年11月21日付け薬食審査発1121第15号審査管理課長通知)の記1(3)によれば光安全性試験の省略が可能な条件が、「モル吸光係数が1,000Lmol-1cm-1(290~700nm)を超えない場合」とあるが、植物抽出エキスなどのように複数の成分から構成されるものであってモル吸光係数が算出出来ない場合は、どのように考えれば良いか。 |
A18 光安全性試験の省略が可能な条件には該当しないため、光安全性試験を実施する必要がある。
Q19 【吸収・分布・代謝・排泄試験】 吸収・分布・代謝・排泄試験は、どのような方法に基づき実施することが適当であるか。 |
A19 吸収・分布・代謝・排泄試験の実施に当たっては、OECDテストガイドライン427,428,SCCS/1358/10を参照すること。
原則として、実使用時の適用経路が経皮である場合には、経皮吸収に関する資料が必要である。
吸収性が高い場合、Margin of Safety(MOS:安全係数)が十分でない場合、吸収性・全身への移行性を高める化合物が含有されている場合等については、必要に応じて分布・代謝・排泄について試験を実施する。また、蓄積性が認められるものについては、遅発毒性が発現する懸念があるため、特定の組織や器官への蓄積性について評価することが必要である。新添加物についても、同様の対応が求められるが、全身への移行が微量である、反復投与試験における検討等、科学的根拠に基づいてその安全性を示せる場合には、分布・代謝・排泄の資料を省略することは可能である。
Q20 【ヒト長期投与(安全性)試験】 ヒトにおける使用成績に関する資料を、ヒト長期投与(安全性)試験に関する資料として用いることはできるか。 |
A20 当該資料からヒト長期投与時の安全性を評価できる場合、差し支えない。
Q21 【ヒト長期投与(安全性)試験】 複数の施設でヒト長期投与(安全性)試験を実施してよいか。 |
A21 差し支えない。ただし、皮膚科専門医の指導のもと、同じ試験条件、評価基準で行い、結果をまとめて解析すること。また、複数の施設において試験を実施する場合には、施設間誤差、測定者間誤差が生じないことをあらかじめ確認しておくこと。
Q22 【ヒト長期投与(安全性)試験】 ヒト長期投与(安全性)試験において、被験者は男性でも女性でもよいか。 |
A22 実使用時の使用者を想定した上で適切な対象を選択する必要がある。なお、被験者については、試験計画書において、適切な選択基準、除外基準を試験開始前に規定する必要がある。
Q23 【ヒト長期投与(安全性)試験】 ヒト長期投与(安全性)試験において、皮膚中濃度測定にはどのような試験が必要か。 |
A23 例えば、OECDテストガイドライン427,428,SCCS/1358/10等が参考になる。
Q24 【ヒト長期投与(安全性)試験】 ヒト長期投与(安全性)試験が終了しなければ、承認申請することはできないか。 |
Q24 「医薬部外品に関する臨床評価ガイドラインについて」(平成29年4月13日付け薬生薬審発0413第1号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)の別添(以下「臨床評価ガイドライン」という。)の3.(2)表2の試験デザインで当該試験を実施する場合、評価対象100例以上、投与期間6か月以上の試験成績をもって、承認申請して差し支えない。ただし、試験終了後、速やかに当該試験成績を提出すること。
Q25 【ヒト長期投与(安全性)試験】 臨床評価ガイドラインにおける重ね使用及び同時使用の定義を示されたい。 |
A25 重ね使用とは、短時間の間に、同製剤を同様の部位に繰り返し使用することであり、例えば、製品を肌に使用して、肌になじんだ後、再度同じ部位に使用することを指す。同時使用とは、同一の有効成分を含有し種類の異なる製品を同様の部位に続けて使用することであり、例えば、同一の有効成分を含有する化粧水、乳液・クリーム、パック等を同様の部位に続けて使用することを指す。
Q26 【ヒト長期投与(安全性)試験】 同一の有効成分を含有する化粧水、乳液・クリーム、パック等の同時使用を想定し、同時使用する製剤を用いてヒト長期投与(安全性)試験を行う場合、当該製剤の安全性や安定性等に関する資料を添付する必要はあるか。 |
A26 ヒト長期投与(安全性)試験において同時使用する他の製剤に関しては、原則として、安定性や安全性に関する資料を添付する必要はない。ただし、倫理及び信頼性確保の観点から、安全性及び安定性が担保された製剤を試験試料として用いる必要があるため、試験試料の選択理由を資料概要等において説明すること。
Q27 【ヒト長期投与(安全性)試験】 開発時に想定していない使用方法を新たに追加する場合であっても、既に実施されたヒト長期投与(安全性)試験から安全性が担保できる場合や、従来の使用方法と比較して実使用部位における皮膚内濃度が上昇しないと考えられる場合等においては、ヒト長期投与(安全性)試験を省略することは可能であるか。 |
A27 可能である。なお、省略する場合にはその理由を具体的に説明した資料の添付が必要である。
Q28 【ヒト長期投与(安全性)試験】 ヒト長期投与(安全性)試験において、同一製剤の重ね使用及び同一の有効成分を含有する化粧水、乳液・クリーム、パック等の同時使用を想定した試験デザインは、どのように考えればよいか。 |
A28 重ね使用については、1日の使用回数を多くする方法が考えられる。同時使用については、同時使用が想定される複数の試験試料を使用する方法が考えられる。なお、想定される重ね使用及び同時使用における有効成分の皮膚内濃度を経皮吸収性試験により求め、有効成分の皮膚内濃度がそれと同等以上となるような試験方法でも差し支えない。例えば、当該有効成分を高濃度に配合した試験試料を用いる方法でも認められる場合もある。
Q29 【ヒト長期投与(安全性)試験】 臨床評価ガイドラインにおいて、ヒト長期投与(安全性)試験は、原則、同製剤の重ね使用や同一有効成分を含有する化粧水、乳液・クリーム等の同時使用を想定した試験デザインにて実施する必要があるとされている。同時使用を想定する場合、同一成分を添加物として配合する化粧水、乳液・クリーム等の同時使用を想定する必要はあるか。 |
A29 同一成分を添加物として配合する化粧水、乳液・クリーム等の同時使用も含めて想定する必要がある。
Q30 【ヒト長期投与(安全性)試験】 ヒト長期投与(安全性)試験が必要とされる場合、対象製剤の有効成分と同一の添加物を配合した既存の医薬部外品や化粧品で十分な使用実績が確認できれば、ヒト長期投与(安全性)試験を省略することはできるか。もしくは、何らかの追加調査等を行うことをもって、ヒト長期投与(安全性)試験の実施に代えることはできないか。 |
A30 添加物としての使用実績や調査等に基づきヒト長期投与(安全性)試験と同等の安全性評価を行うことは困難であるため、ヒト長期投与(安全性)試験を実施する必要がある。
(3) 添加物等の安全性に関する資料について
Q31 既承認添加物について、承認前例を上回る量を配合する場合に、安全性に関する資料として、どのような資料が必要であるか。 |
A31 承認前例を上回る配合濃度における安全性を確認するため、原則、局所刺激性及び感作性に関する資料(皮膚一次刺激性試験、皮膚連続刺激性試験、皮膚感作性試験、光毒性試験、光感作性試験、眼刺激性試験、ヒトパッチテスト。以下「局所刺激性試験等」という。)が必要である。ただし、既に実施した試験(局所刺激性試験等)に基づき説明が可能な場合は、既に実施した試験の資料で差し支えないが、その理由を資料概要において説明すること。
(4) 効能及び効果に関する資料について
Q32 効能又は効果を裏付ける基礎試験について、有効性を確認するため陰性対照に加え、陽性対照(既承認有効成分等)との比較が必要か。 |
A32 原則、必要である。なお、既承認有効成分との比較は、作用の強さが医薬部外品たる作用緩和な範囲内であるかの判断指標ともなる。
(5) 有効成分の配合量等の変更に要する資料について
Q33 既承認有効成分について、承認前例を上回る量を配合する場合、どのような資料が必要であるか。 |
A33 承認前例を上回る量を配合することの必要性及び妥当性を示す資料が必要である。例えば、承認前例の配合量でも効果はあるが、さらに効果を増大したい場合には、効果を増大する必要性(特に前例の品目とどの程度有効性に差があるのかを明らかにすること)、及びその効果が医薬部外品たる作用緩和な範囲内であることについての説明とそれらを裏付ける資料が必要である。
安全性については、承認前例を上回る配合濃度における安全性を確認するため、既に実施した試験(局所刺激性試験等)に基づいた説明が必要である。なお、安全性を確認するためのデータ等が不足している場合には、追加試験の実施を考慮する。
Q34 既承認有効成分について、承認前例を下回る量を配合する場合、どのような資料が必要であるか。 |
A34 承認前例を下回る量を配合しても実使用時に十分に効力を有することを裏付ける資料が必要である。
Q35 区分(2)―4「新配合医薬部外品」における添付資料のうち安全性に関する資料について、省略することが可能な資料はあるか。 |
A35 原則として、新たに組み合わせる有効成分同士において相互作用がないと科学的に説明可能な場合には、省略可能である。ただし、省略する資料ごとに省略可能と判断した理由を資料概要において説明すること。
Q36 洗い流す用法の既承認有効成分又は添加物について、洗い流さない用法で配合する場合、安全性に関する資料として、どのような資料が必要であるか。 |
A36 成分の経皮吸収性等を考慮し洗い流さない用法での安全性を確認するため、既に実施した試験(局所刺激性試験等)に基づいた説明が必要である。なお、安全性を確認するためのデータ等が不足している場合には、追加試験の実施を考慮する。
Q37 既承認有効成分又は添加物を前例とは異なる適用部位に使用する医薬部外品に新たに配合する場合、安全性に関する資料として、どのような資料が必要であるか。 |
A37 新たな適用部位における安全性を確認するため、既に実施した試験(局所刺激性試験等)に基づいた説明が必要である。なお、安全性を確認するためのデータ等が不足している場合には、追加試験の実施を考慮する。
Q38 浴用剤以外の既承認有効成分又は添加物を浴用剤に新たに配合する場合、安全性に関する資料として、どのような資料が必要であるか。 |
A38 実使用時の経皮吸収性等を考慮した安全性を確認するために、既に実施した試験(局所刺激性試験等)に基づいた説明が必要である。なお、安全性を確認するためのデータ等が不足している場合には、追加試験の実施を考慮する。
(6) その他
Q39 医薬部外品に配合する有効成分又は添加物の規格を別紙規格とする場合、どの程度の規格及び試験方法を設定すればよいか。 |
A39 最新の日本薬局方原案作成要領を参考に、必要な範囲において規格及び試験方法を設定すること。
(日本薬局方ホームページ参照:http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/yakkyoku/index.html)
ただし、添加物については、医薬部外品原料規格別記Ⅱに関する通則、一般試験法等も参考に規格及び試験方法を設定すること。
Q40 既承認有効成分又は添加物をマイクロカプセル技術などの特殊な製剤技術を用いて配合する場合、どのような資料が必要であるか。 |
A40 当該技術の経皮吸収性等への影響を考慮し、有効性又は安全性に対する影響を評価する必要がある。例えば、経皮吸収性が高くなると考えられる場合、本Q&A37に準じた資料が必要である。
2.化粧品基準改正要請について
Q41 化粧品基準改正要請に添付する安全性に関する資料については、どのような試験法に従えばよいか。 |
Q41 Q&A1~19に準じて資料を作成すること。