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○養子縁組あっせん事業の許可等の適正な実施について

(平成30年3月9日)

(子家発0309第1号)

(各都道府県・各指定都市・各児童相談所設置市民生主管部(局)長あて厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課長通知)

(公印省略)

平成30年4月より、民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律(平成28年法律第110号。以下「法」という。)が施行される。

暴力団員(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第6号に規定する暴力団員をいう。以下同じ。)と関係を有する事業者等は、法に基づく養子縁組あっせん事業の担い手としては極めて不適当であることから、そのような事業者等の養子縁組あっせん事業からの排除を徹底する必要がある。また、法第26条に規定する事由に該当する養親希望者に対し、養子縁組のあっせんが行われることのないようにする必要がある。このため、下記に留意の上、養子縁組あっせん事業の許可等の適正な実施に努めていただくようお願いしたい。

なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言であることを申し添える。

また、本通知の記1(1)及び(2)の内容は、警察庁とも協議済みであり、また同庁刑事局組織犯罪対策部暴力団対策課長から警視庁組織犯罪対策部長及び各道府県警察本部長等宛ての別添「民間あっせん機関による養子縁組あっせん事業からの暴力団排除の推進について」(平成30年3月9日付け警察庁丁暴発第70号)が発出されているので、本通知と併せて参考とされたい。

1 養子縁組あっせん事業の許可の適正な実施

(1) 暴力団員に対する対応について

養子縁組あっせん事業の許可については、法第7条第1項第2号において、社会的信望を有することが許可基準の一つとされている。このため、養子縁組あっせん事業の許可を受けようとする者が次のいずれかに該当する場合は、社会的信望を有するとは言えないことから、許可をしてはならない。

① 役員が、暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(以下「暴力団員等」という。)に該当する法人

② 役員が、営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者で、その法定代理人が暴力団員等に該当する法人

③ 暴力団員等がその事業活動を支配する法人

④ 暴力団員等をその業務に従事させ、又はその業務の補助者として使用するおそれのある法人

なお、「事業活動を支配する法人」とは、以下のいずれかに該当する法人をいう。

・ 暴力団員等の親族(事実上の婚姻関係にある者を含む。)又は暴力団若しくは暴力団員と密接な関係を有する者が、事業主であることのほか、多額の出資又は融資を行い、事業活動に相当程度の影響力を有している法人。

・ 暴力団員等が、事業活動への相当程度の影響力を背景にして、名目のいかんを問わず、多額の金品その他財産上の利益供与を受けていること又は売買、請負、委任その他の有償契約を締結している法人。

(2) 暴力団員等該当性に関する警察への情報提供依頼及び申請への対応について

養子縁組あっせん事業の許可申請を受けた都道府県等(都道府県、指定都市及び児童相談所設置市をいう。以下同じ。)は、許可を受けようとする法人の役員(以下この1において「申請者」という。)が(1)の①から④までのいずれにも該当しないことを「宣誓書」(参考様式1。以下この1において同じ。)により確認した上で、暴力団員等該当性について、警察に対して「照会書」(参考様式2)により情報提供を求めること。

警察に対し、暴力団員等該当性の情報を求めるに当たっては、警視庁、道府県警察本部の暴力団対策担当課を窓口とすることとし、以下の点に留意すること。

① 法第7条第1項に規定する許可基準が同項第2号を除いて満たされ、かつ、法第8条に掲げる欠格事由のいずれにも該当しないことが確認された段階で、「宣誓書」の写しを添付するとともに、申請者の人定事項(住所、氏名、ふりがな、生年月日、性別)を明らかにして行うこと。

② 警察に対して情報提供依頼を行うことについて、申請者から同意を得ること。その際、許可の申請事項ではない申請者の生年月日及び性別について、提供を求めること。

③ ②の同意又は提供を得られない場合は、申請に係る許可基準を満たすことの確認ができないため、許可ができないことを丁寧に説明すること。

④ それでもなお②の同意又は提供を得られない場合は、許可基準を満たすことの確認ができないことを理由に当該申請を拒否すること。

警察からの情報提供により、申請者が暴力団員等と関係を有すると判明した場合は、許可基準に該当しないことを理由に、養子縁組あっせん事業の許可をしない旨を申請者に示すこと。

また、許可を受けた後、民間あっせん機関が暴力団員等と関係を有することが疑われる場合も、上記と同様の方法により警察に対して情報提供を依頼することが可能である。それにより、民間あっせん機関が暴力団員等と関係を有すると判明した場合は、許可基準に該当しないことから、速やかな是正を求めること。

(3) 禁錮以上の刑に処せられた者等への対応について

法第8条(同条第3号から第5号までに係る部分に限る。)の規定により、申請者が以下のいずれかに該当する場合は、養子縁組あっせん事業の許可をしてはならない。

① 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者(法第8条第3号)

② 法、児童福祉法(昭和22年法律第164号)、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号。2(2)において「児童ポルノ規制法」という。)その他国民の福祉に関する法律(民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律施行令(平成29年政令第290号。2(2)において「令」という。)第1条各号に掲げる法律に限る。)の規定により罰金刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者(法第8条第4号)

③ 児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第82号)第2条に規定する児童虐待又は児童福祉法第33条の10に規定する被措置児童等虐待を行った者その他児童の福祉に関し著しく不適当な行為をした者(法第8条第5号)

(4) 犯歴情報の確認について

養子縁組あっせん事業の許可の申請を受けた都道府県等は、申請者が(3)の①から③までのいずれにも該当しないことを「宣誓書」により確認した上で、当該申請者の本籍地の市町村に対して、法第8条の規定により必要な照会である旨を添えて、「刑罰証明書の交付について(依頼)」(参考様式3)により犯歴情報の照会を行うこと。

なお、犯歴情報の照会に当たっては、「宣誓書」の写しを添付し、申請者の人定事項(氏名、生年月日、本籍地等)を明らかにして行うとともに、(2)の②から④までを準用すること。

市町村からの情報提供により、申請者が欠格事由に該当すると判明した場合は、欠格事由に該当することを理由に、養子縁組あっせん事業の許可をしない旨を申請者に示すこと。

また、許可を受けた後、民間あっせん機関が欠格事由に該当することが疑われる場合も、上記と同様の方法により市町村に対して犯歴情報の照会をすること。それにより、民間あっせん機関が欠格事由に該当すると判明した場合は、法第16条第1項の規定に基づく許可の取消しや同条第2項の規定に基づく事業の停止命令等の必要な措置を講ずること。

(5) 児童虐待及び被措置児童等虐待の確認について

養子縁組あっせん事業の許可の申請を受けた都道府県等は、申請者が(3)の③に該当しないことを確認するため、「宣誓書」による確認を基本としつつ、(4)による確認に加え、必要に応じて申請者の居住地等の都道府県等に対して、「照会書」(参考様式4)により、

・ 申請者の里親としての登録状況

・ 申請者に関し、児童相談所が相談を受け付け、判定会議・援助方針会議等の結果、相談種別を「児童虐待相談」と決定した事案の有無

・ 申請者が被措置児童等虐待を行ったことの有無

について照会を行うなど、適宜確認を行うこと。

なお、照会に当たっては、「宣誓書」の写しを添付するとともに、(2)の②から④までを準用すること。

また、都道府県等からの情報提供により、申請者が欠格事由に該当すると判明した場合、又は、許可を受けた後、民間あっせん機関が欠格事由に該当することが疑われる場合の対応については、(4)を準用すること。

2 養親希望者に対する養子縁組のあっせんの適正な実施

(1) 暴力団員に対する対応について

民間あっせん機関が養子縁組のあっせんを行ってはならない養親希望者については、法第26条において規定されているが、養子縁組あっせん事業の許可基準とは異なり、養親希望者が社会的信望を有しないことをもって一律に排除することとはされていない。

しかしながら、養親希望者又はその同居人(以下この2において「養親希望者等」という。)が暴力団員等と関係を有する場合には、当該養親希望者に対する養子縁組のあっせんは極めて慎重に行うべきである。そのため、民間あっせん機関は、養親希望者等が暴力団員等と関係を有しないことを「宣誓書」(参考様式5。以下この2において同じ。)により確認するとともに、養親希望者等との面会や家庭訪問等により暴力団員等と関係を有することが疑われる場合には、児童の最善の利益を図る観点から、当該養親希望者に対する養子縁組のあっせんについては慎重に検討を行うこと。

(2) 禁錮以上の刑に処せられた者等への対応について

民間あっせん機関は、法第26条(同条第1号から第3号までに係る部分に限る。)の規定により、養親希望者等が以下のいずれかに該当する場合は、養子縁組のあっせんを行ってはならない。

① 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者(法第26条第1号)

② 法、児童福祉法、児童ポルノ規制法その他国民の福祉に関する法律(令第2条各号に掲げる法律に限る。)の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者(法第26条第2号)

③ 児童虐待の防止等に関する法律第2条に規定する児童虐待又は児童福祉法第33条の10に規定する被措置児童等虐待を行った者その他児童の福祉に関し著しく不適当な行為をした者(法第26条第3号)

なお、このような法第26条の規定の趣旨を踏まえれば、養親希望者等が①から③までに該当するか否かの確認を行うことは、民間あっせん機関に対する法律上の要請であると解すべきである。

(3) 犯歴情報の確認について

民間あっせん機関は養子縁組のあっせんを行うに当たり、養親希望者等が(2)の①から③までのいずれにも該当しないことを「宣誓書」により確認した上で、養親希望者等が里親として登録されている場合を除き、当該養親希望者等の本籍地の市町村に対して、「刑罰証明書の交付について(依頼)」(参考様式6)により犯歴情報の照会を行うこと。

犯歴情報の照会に当たっては、以下の点に留意すること。

① 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)における第三者提供に関する規定に照らして、本籍地の市町村に対して、養親希望者等の個人情報を提供して犯歴情報の照会を行うことについて、養親希望者等から同意を得ること。当該同意が得られない場合は、養親希望者等が(2)の①から③までのいずれにも該当しないことの確認ができないため、養子縁組のあっせんが行えないことを丁寧に説明すること。

② それでもなお①の同意が得られない場合は、養親希望者等が(2)の①から③までのいずれにも該当しないことの確認に協力が得られないことを理由に、当該養親希望者への養子縁組のあっせんを行わないこと。

③ 「宣誓書」及び「あっせん許可証」(民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律施行規則(平成29年厚生労働省令第125号)第4条第1項に規定するあっせん許可証をいう。)の写しを添付すること。

④ 本籍地の市町村においては、各市町村の個人情報保護条例における第三者提供に関する規定の下で犯歴情報の提供を行うものであるが、本通知を照会先の市町村に示し、養親希望者等の犯罪歴を確認する必要性について説明すること。

市町村からの情報提供により、養親希望者等が(2)の①から③までのいずれかに該当すると判明した場合、民間あっせん機関は、法第26条の規定に基づき、養子縁組のあっせんを行ってはならない。

(4) 児童虐待及び被措置児童等虐待の確認について

民間あっせん機関は、養親希望者等が(2)の③に該当しないことを確認するため、「宣誓書」による確認を基本としつつ、(3)による確認に加え、必要に応じてこれらの者の居住地等の都道府県等に対して、「照会書」(参考様式7)により、

・ 養親希望者等の里親としての登録状況

・ 養親希望者等に関し、児童相談所が相談を受け付け、判定会議・援助方針会議等の結果、相談種別を「児童虐待相談」と決定した事案の有無

・ 養親希望者等が被措置児童等虐待を行ったことの有無

について照会を行うなど、適宜確認を行うこと。

なお、照会に当たっては、(3)の①から④までを準用するとともに、都道府県等からの情報提供により養親希望者等が(2)の③に該当すると判明した場合、民間あっせん機関は、法第26条の規定に基づき、養子縁組のあっせんを行ってはならない。

(5) 民間あっせん機関による確認に係る周知及び協力について

管内の民間あっせん機関に対して、本通知の内容を周知すること。

また、民間あっせん機関が(3)及び(4)の確認を適正に行えるよう、都道府県等は、管内市町村に対して本通知の内容を周知するとともに、民間あっせん機関から(4)の照会があったときは必要な協力を行うこと。

3 留意事項

本通知に基づき行われる情報交換に係る情報については、目的以外には利用しないものとし、紛失及び漏えいの防止その他の情報管理に万全を期すこと。

また、参考様式については、所定の事項が記載されていれば、適宜変更して用いても差し支えない。

(参考様式1)

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(参考様式2)

(参考様式3)

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(参考様式4)

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(参考様式5)

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(参考様式6)

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(参考様式7)

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