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○「「健康保険法及び厚生年金保険法における標準報酬月額の定時決定及び随時改定の取扱いについて」の一部改正に伴う事務処理について」に関するQ&Aについて〔健康保険法〕

(平成30年3月1日)

(事務連絡)

(日本年金機構事業企画部門担当理事・事業推進部門(統括担当)担当理事あて厚生労働省保険局保険課長・厚生労働省年金局事業管理課長通知)

随時改定における保険者算定を行う際の基準の見直しについては、「「健康保険法及び厚生年金保険法における標準報酬月額の定時決定及び随時改定の取扱いについて」の一部改正について」(平成30年3月1日付け保発0301第8号・年管発0301第1号)及び「「健康保険法及び厚生年金保険法における標準報酬月額の定時決定及び随時改定の取扱いについて」の一部改正に伴う事務処理について」(平成30年3月1日付け保保発0301第1号・年管管発0301第4号)でお示ししたところですが、この通知に関連して、取扱いの詳細についてのQ&Aを別紙1のとおり作成するとともに、平成23年7月1日付け事務連絡「「「健康保険法及び厚生年金保険法における標準報酬月額の定時決定及び随時改定の取扱いについて」の一部改正等に伴う事務処理等について」に関するQ&Aについて(その2)」を別紙2のとおり改正したので、事務の実施に当たってご留意いただきたい。

別紙1

随時改定の場合に行う保険者算定の基準の見直しに関するQ&A

1.概要

Q1 今回の保険者算定の基準見直しの趣旨はどのようなものか。

A.今回、国民の皆様からの御意見、社会保険審査会の裁決、総務省からのあっせん等を踏まえ、より実態に即した取扱いとなるよう、定時決定と同様に、随時改定においても、報酬の月平均額と、年間の報酬の月平均額とが著しく乖離する場合、保険者算定を行うこととした。

具体的には、これまでの随時改定と同様に3か月間の報酬の平均から算出した標準報酬月額(A)と従前の標準報酬月額に2等級以上の差があった場合において、Aと、昇給月又は降給月以後の継続した3か月の間に受けた固定的賃金の月平均額に昇給月又は降給月前の継続した9か月及び昇給月又は降給月以後の継続した3か月の間に受けた非固定的賃金の月平均額を加えた額から算出した標準報酬月額(B)との間に2等級以上の差があり、当該差が業務の性質上例年発生することが見込まれる場合、年間の報酬の月平均額で保険者算定を行うことができるというものである。

ただし、本取扱いは、例年特定の時期に残業が多くあるなど非固定的賃金が通常の時期より多く支払われた場合に固定的賃金が増加した場合等について措置するものであり、単に固定的賃金が大きく増減し、その結果、AとBで2等級以上の差が生じる場合は、本取扱いの対象外となる。

なお、健康保険組合及び日本年金機構は、この保険者算定の見直しに対応する必要があるが、健康保険組合と日本年金機構との間で見解が分かれた場合は、業種の実態や、従業員の労務の実態により適合した取扱いとなるよう相互に調整を行うこと。調整がつかない場合は厚生労働省本省に照会すること。

2.要件

Q2 「業務の性質上例年発生することが見込まれる」の意味は。

A.業種や職種の特性上、基本的に特定の3か月が繁忙期に当たるため、当該期間中の残業手当等が、他の期間と比べて多く支給されることなどを理由として、例年季節的な報酬変動の起こることが想定されることをいう。

例えば、定期昇給とは別の単年度のみの特別な昇給による改定、例年発生しないが業務の一時的な繁忙と昇給時期との重複による改定や、転居に伴う通勤手当の支給による改定等は、随時改定における年間平均を計算の基礎とした保険者算定の特例の対象外である。

なお、産前産後休業や育児休業を終了した際の月額変更も対象外である。

Q3 四半期ごと(又は上半期ごと)に繁忙期が訪れるため、N月からN+2月のうち、N月だけが突出して報酬が多く支給される場合は対象となるか。

A.繁忙期が1年間に複数回あったとしても、N~N+2月までの報酬月額の平均と、昇給月前の継続した9か月及び昇給月以後の継続した3か月の間に受けた報酬の月平均額から算出した標準報酬月額との間に、標準報酬月額等級区分で2等級以上の差があれば対象とする。

Q4 例年特定の時期に非固定的賃金に係る報酬の変動が予想される業種等は、具体的にどのようなものが考えられるのか。

A.例えば、

① 特定の時期が繁忙期となる業種

・ 収穫期を迎える農産物の加工の業種

・ 取り扱う魚種の漁期により加工作業が生じる水産加工業等の業種

・ 夏・冬季に繁忙期を迎えるホテル等の業種

② 特定の時期が繁忙期となる部署

・ 業種を問わず、人事異動や決算など特定の時期が繁忙期となり残業代が増加する総務、会計等の部署

③ 特定の時期の報酬平均が年間の報酬平均よりも低くなる業種

・ 夏・冬季に閑散期を迎えるホテル等の業種

等の様々な業種等が考えられる。

Q5 今回追加した保険者算定の対象になるかどうかは、事業所のどの単位で判断するのか。同じ事業所の中でも、決算業務など、特定の時期が繁忙期に当たる部署と当たらない部署がある場合は、繁忙期に当たる部署のみが対象となるのか。

A.特定の時期に報酬変動が起こる部署や役職を単位として対象とする。適用事業所全体について報酬変動が起こる場合は、適用事業所に勤務する従業員全体が判断対象となるが、本問の事例では、従業員全体ではなく、繁忙期に当たる部署のみを判断対象とする。

Q6 一時的な報酬変動と、例年起こる季節的な報酬変動とを区別するための審査基準はあるか。

A.例年起こるかどうかは、様式例1及び様式例2を参考に業種、該当する理由及び1年間の報酬を記載いただき確認することになるが、疑義がある場合は、更に複数年分の報酬月額の平均を確認する等の手段を用いて審査されたい。

3.報酬月額の平均の取扱い

Q7 「昇給月前の継続した9か月及び昇給月以後の継続した3か月の間に受けた非固定的賃金の月平均額」とはどのように算定するのか。

A.年間平均の対象となる月に受けた非固定的賃金を対象月数で除して算定する。

Q8 昇給月又は降給月前の継続した9か月及び昇給月又は降給月以後の継続した3か月の間に受けた報酬の月平均額を計算する際、計算対象に含める月の基準は。

A.支払基礎日数が17日以上の月を対象として報酬月額の平均を計算する。また、短時間被保険者は、支払基礎日数が11日以上の月を対象として計算する。

なお、低額の休職給を受けた月、ストライキによる賃金カットを受けた月及び一時帰休に伴う休業手当等を受けた月は計算対象から除外する(一時帰休者に関する取扱いはQ14を参照)。また、月の途中に入社した場合の入社月や再雇用により資格の得喪が生じた月以前の月については、計算の対象とならない。

Q9 昇給月又は降給月前の継続した9か月及び昇給月又は降給月以後の継続した3か月の中で、一般の被保険者(支払基礎日数17日)と短時間被保険者(支払基礎日数11日)の期間が混在した場合の年間平均の取扱いについてどのように取り扱えばよいか。

A.各月の被保険者の区分(短時間被保険者であるかないか)に応じた支払基礎日数により、各月が算定の対象月となるかならないかを判断する。

なお、月の途中に区分変更があった場合は、当該月の報酬の給与計算期間の末日における被保険者区分に応じた支払基礎日数により、当該月が算定の対象になるかならないかを判断する。

Q10 昇給月又は降給月前の継続した9か月及び昇給月又は降給月以後の継続した3か月までの間に複数回、固定的賃金の変動が起こった場合はどのように取り扱えばよいか。

A.複数回、固定的賃金の変動が起こった場合でも、報酬月額の平均の計算対象となる月であれば、当該固定的賃金の変動が反映された報酬も含めて報酬月額の平均を計算する。

なお、それぞれの固定的賃金の変動ごとに保険者算定を行うこととなる。

Q11 今回追加した保険者算定の取扱いを適用するためには、固定的賃金の変動が生じた昇給月又は降給月以後の継続した3か月以外に報酬月額の年間平均の計算対象となる月は何か月以上必要か。

A.少なくとも1か月以上必要である。

なお、入社して1年未満の者についても対象となる。

Q12 昇給月又は降給月前の継続した9か月及び昇給月又は降給月以後の継続した3か月までの間に、今回追加した保険者算定の要件を満たす部署に異動した被保険者は、どのように取り扱えばよいか。

A.昇給月又は降給月前の継続した9か月及び昇給月又は降給月以後の継続した3か月までの間に、今回追加した保険者算定の要件を満たす部署に異動した場合でも、報酬月額の平均の計算対象となる月であれば、異動前の部署で受けた報酬も含めて報酬月額の平均を計算する。

Q13 昇給月又は降給月前の継続した9か月及び昇給月又は降給月以後の継続した3か月までの間に、例えば前月までの6か月分の給与の遅配分を受けたり、さかのぼった昇給により数月分の差額を一括で受けたりする等の事情があった場合はどのように取り扱えばよいか。

A.報酬月額の年間平均を計算するに当たっては、具体的には、それぞれ以下のように取り扱う。

① 昇給月又は降給月前の継続した9か月以前に支払うべきであった給与の遅配分を年間平均の計算対象月に受けた場合

その遅配分に当たる報酬の額を除いて、報酬月額の平均を計算する。

② 昇給月又は降給月前の継続した9か月までの間に本来支払うはずの報酬の一部が昇給月又は降給月から4か月目以降に支払われることになった場合

その本来支払うはずだった月を計算対象から除外して、報酬月額の平均を計算する。

Q14 一時帰休中の者に対し、今回追加した保険者算定の取扱いは適用できるのか。

A.一時帰休に伴う低額な休業手当等が支払われたことによる随時改定の場合は適用されない。その他の場合は適用する。(Q8参照)

Q15 標準報酬月額等級区分に2等級以上の差が生じない場合でも、今回追加した保険者算定の取扱いを適用すべき場合はあるか。

A.今回追加した取扱いは、3か月間の報酬の平均から算出した標準報酬月額(A)と従前の標準報酬月額に2等級以上の差があった場合において、Aと、年間平均額から算出した標準報酬月額(B)との間に2等級以上の差があり、当該差が業務の性質上例年発生することが見込まれる場合に、年間の報酬の月平均額で保険者算定を行うことを可能とするものであるが、当該保険者算定を行う場合は、従前の標準報酬月額とBが1等級差であっても本取扱いに基づく随時改定を可能とする。

なお、以下の事例に該当する場合は、AとBが1等級差でも今回追加した保険者算定の対象とする。

<健康保険>

① 特定の3か月の報酬月額の平均と昇給月又は降級月前の継続した9か月及び昇給月又は降級月以後の継続した3か月までの報酬月額の平均の、いずれか片方の月額が141.5万円以上、もう片方の月額が129.5万円以上135.5万円未満の場合

② 特定の3か月の報酬月額の平均と昇給月又は降級月前の継続した9か月及び昇給月又は降級月以後の継続した3か月までの報酬月額の平均の、いずれか片方の月額が5.3万円未満、もう片方の月額が6.3万円以上7.3万円未満の場合

<厚生年金保険>

① 特定の3か月の報酬月額の平均と昇給月又は降級月前の継続した9か月及び昇給月又は降級月以後の継続した3か月までの報酬月額の平均の、いずれか片方の月額が63.5万円以上、もう片方の月額が57.5万円以上60.5万円未満の場合

② 特定の3か月の報酬月額の平均と昇給月又は降級月前の継続した9か月及び昇給月又は降級月以後の継続した3か月までの報酬月額の平均の、いずれか片方の月額が8.3万円未満、もう片方の月額が9.3万円以上10.1万円未満の場合

Q16 報酬月額の年間平均が従前と同じ等級区分に該当する場合、本取扱いは適用されるのか。

A.昇給時の年間平均額から算出した標準報酬月額による等級が現在の等級と同等級又は下回る場合は、現在の等級のままとし、随時改定は行わない。

また、降給時の年間平均額から算出した標準報酬月額による等級が現在の等級と同等級又は上回る場合は、現在の等級のままとし、随時改定は行わない。

4.手続

Q17 季節的報酬変動の結果、特定の3か月の報酬月額の平均と、昇給月又は降給月前の継続した9か月及び昇給月又は降給月以後の継続した3か月までの報酬月額の平均を用いてそれぞれ算定した標準報酬月額等級区分に2等級以上の差が生じた場合、必ず事業主から保険者算定を行うことについて申立書を提出させることになるのか。

A.必ずしも申立書を提出させる必要はない。申立てがない場合は通常の報酬月額の改定のルールに基づいて標準報酬月額を決定することになる。

Q18 被保険者の同意が必要となっているのはなぜか。同意がなければ通常の方法により算定されるのか。

A.今回追加した事由に基づく保険者算定に関する申立てを事業主が行うことによって、被保険者に不利益が生じることのないよう、被保険者の同意を必要としている。被保険者の同意がない場合は、その同意がなかった被保険者の標準報酬月額についてのみ、通常の報酬月額の算定方法に基づき標準報酬月額を決定する。

Q19 今回追加した保険者算定を行うためには、どのような手続が必要になるのか。既存の様式に変更はあるか。

A.今回追加した保険者算定を行うべき事由に当てはまる場合、事業主は、被保険者報酬月額変更届の備考欄に「年間平均」と記載した上で、健康保険組合及び日本年金機構(協会けんぽ被保険者の場合は日本年金機構のみ)に提出する。

月額変更届自体の様式変更はない。

Q20 申立書と被保険者の同意書の記載内容に関し、健康保険と厚生年金保険との間で異なる内容とすることは認められるか。

A.認められない。

Q21 申立書と被保険者の同意書は任意の様式でよいか。

A.申立書については様式例1を、同意書については様式例2を参考としていただきたい。

ただし、健康保険用と厚生年金保険用の申立書と同意書は、それぞれまとめてよい。

また、様式例2を電子媒体により提出させる場合は、被保険者本人が同意したという事実を確認できる仕組みを構築していることが必要である。

Q22 申立書と同意書の被保険者氏名を自署した場合に押印は必要か。

A.記名押印でも自署でも差し支え無い。

Q23 被保険者の同意書は、健康保険組合の被保険者であれば、日本年金機構及び健康保険組合あてに各々2セット作成する必要があるか。また、本人と事業主との間で原本2通を作成する必要があるか。

A 各々2セット作成する必要は無く、例えば原本を事業主が保管し、写しを日本年金機構及び健康保険組合に提出する取扱いとして差し支えない。ただし、日本年金機構及び健康保険組合に提出する同意書は同じ内容とすること。

Q24 被保険者の同意書は毎回提出する必要があるのか。

A.被保険者が毎回同意するとは限らないので、その都度提出いただくこと。

Q25 年間の報酬を確認できる書類とは何か。

A.原則として、様式例2を参考に1年間の報酬を記載いただき、例年の状況、標準報酬月額の比較等を確認されたい。

なお、保険者等の必要に応じて、様式例2に代えて賃金台帳を利用したり、様式例を変更したりしてもよいが、日本年金機構及び健康保険組合に提出する書類に記載する内容は同じ内容とすること。

Q26 今回追加した保険者算定について、遡って本来の月額変更届から年間平均の保険者算定への訂正や年間平均の保険者算定から本来の月額変更届への訂正は可能か。可能である場合の手続方法は。

A.本来の月額変更届から年間平均の保険者算定への訂正は可能である。年間平均の保険者算定から本来の月額変更届への訂正については、保険者算定が、健康保険法第43条第1項及び厚生年金保険法第23条第1項の規定により算定した額が著しく不当であるときに健康保険法第43条第1項及び厚生年金保険法第23条第1項の規定にかかわらず、保険者が算定するものであり、遡って訂正することはできない。

ただし、被保険者が年間保険者算定の説明を十分に聞いていない場合等については、理由書等の提出を求め、状況を十分確認のうえ、対応されたい。

Q27 今回の取扱いの変更はいつから適用されるのか。

A.平成30年10月改定以降の随時改定について適用する。

(別紙1 様式例1 記載例)

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別紙2

定時決定の場合に行う保険者算定の基準の見直しに関するQ&A

1.概要

Q1 今回の保険者算定の基準見直しの趣旨はどのようなものか。

A.被保険者の報酬月額の保険者算定は、定時決定や随時改定の方法等によって報酬月額を算定することが困難又は著しく不当である場合に、保険者が算定する額を報酬月額とするものであり、このうち、「著しく不当である場合」は、従来、原則として①給与の遅配や遡り昇給、②休職、③ストライキの3つの場合に認められてきたものである。

今回、国民の皆様からの御意見、社会保険審査会の裁決、総務省からのあっせん等を踏まえ、より実態に即した取扱いとなるよう、定時決定においては、上記の3つの要件に加え、業種や職種の特性から、4月~6月までの報酬額がその他の時期と比較して著しく変動するような場合も、保険者算定を行うこととした。

なお、健康保険組合及び日本年金機構は、この保険者算定の見直しに対応する必要があるが、健康保険組合と日本年金機構との間で見解が分かれた場合は、業種の実態や、従業員の労務の実態により適合した取扱いとなるよう相互に調整を行うこと。調整がつかない場合は厚生労働省本省に照会すること。

2.要件

Q2 「業務の性質上例年発生することが見込まれる」の意味は。

A.業種や職種の特性上、基本的に毎年4月~6月が繁忙期に当たるため、4月~6月までの期間中の残業手当等が、他の期間と比べて多く支給されることなどを理由として、例年季節的な報酬変動の起こることが想定されることをいう。

例えば単年度のみなど、業務の一時的な繁忙による報酬の増加等は対象外である。

Q3 四半期ごと(又は上半期ごと)に繁忙期が訪れるため、4月から6月のうち、6月だけが突出して報酬が多く支給される場合は対象となるか。

A.繁忙期が1年間に複数回あったとしても、4月~6月までの報酬月額の平均と、前年7月~当年6月までの報酬月額の平均との間に、標準報酬月額等級区分で2等級以上の差があれば対象とする。

Q4 例年4月から6月に報酬の変動が予想される業種等は、具体的にどのようなものが考えられるのか。

A.例えば、

① 4月~6月が繁忙期になる業種

・ 4月~6月の時期に収穫期を迎える農産物の加工の業種

・ 夏に売り上げが上昇する商品の製造が4月~6月に増加する業種

・ 取り扱う魚種の漁期により加工作業が4月~6月に生じる水産加工業等の業種

・ ビルメンテナンス等が年度末(3月~5月)に集中する清掃・設備点検の業種

・ 田植え時期の準備等で4月~6月残業が増加する農業関係の業種(農業法人等)

・ 4月の転勤、入社、入学に合わせて業務が増加する引越し、不動産、学生服販売等の業種

② 4月~6月が繁忙期になる部署

・ 業種を問わず、人事異動や決算のため4月が繁忙期となり残業代が増加する総務、会計等の部署

③ 4月~6月の報酬平均が年間の報酬平均よりも低くなる業種

・ 冬季に限定される杜氏、寒天製作業、測量関係等の業種

・ 夏・冬季に繁忙期を迎えるホテル等の業種

等の様々な業種等が考えられる。

Q5 今回追加した保険者算定の対象になるかどうかは、事業所のどの単位で判断するのか。同じ事業所の中でも、決算業務など、4月~6月が繁忙期に当たる部署と当たらない部署がある場合は、繁忙期に当たる部署のみが対象となるのか。

A.特定の時期に報酬変動が起こる部署や役職を単位として対象とする。適用事業所全体について報酬変動が起こる場合は、適用事業所に勤務する従業員全体が判断対象となるが、本問の事例では、従業員全体ではなく、繁忙期に当たる部署のみを判断対象とする。

Q6 一時的な報酬変動と、例年起こる季節的な報酬変動とを区別するための審査基準はあるか。

A.例年起こるかどうかは、様式例1及び様式例2を参考に業種、該当する理由及び1年間の報酬を記載いただき確認することになるが、疑義がある場合は、更に複数年分の報酬月額の平均を確認する等の手段を用いて審査されたい。

3.報酬月額の平均の取扱い

Q7 前年7月~当年6月までの間の報酬月額の平均を計算する際、計算対象に含める月の基準は。

A.支払基礎日数が17日以上の月を対象として報酬月額の平均を計算する。パートやアルバイトの方で、当年4月~6月のうちに支払基礎日数が17日以上の月がないために、支払基礎日数が15日以上17日未満の月で報酬月額の平均を計算した場合は、支払基礎日数が15日以上の月を対象として、前年7月~当年6月の報酬月額の平均を計算する。また、短時間被保険者は、支払基礎日数が11日以上の月を対象として計算する。

なお、低額の休職給を受けた月、ストライキによる賃金カットを受けた月及び一時帰休に伴う休業手当等を受けた月は計算対象から除外する(一時帰休者に関する取扱いはQ14を参照)。

Q8 4月から6月までの支払基礎日数が全て17日未満である等の事情により、従来は、従前の標準報酬月額を用いて定時決定を行っていた場合は、今回追加した保険者算定の対象となるか。

A.4月から6月までの支払基礎日数が全て17日未満である場合は、定時決定の方法によって報酬月額を算定することが困難な場合に当たるため、今回追加した保険者算定の対象とはせず、従前の標準報酬月額を用いることとなる。なお、従前の標準報酬月額を用いて定時決定を行う場合は、他に以下のような場合が考えられる。

① 4月から6月までの全ての月で定額の休職給を受けた場合

② 4月から6月までの全ての月でストライキによる賃金カットを受けた場合

③ 休業などにより、4月から6月までの全ての月で報酬を全く受けなかった場合

④ パート・アルバイトの方で、4月から6月までの支払基礎日数が全て15日未満である場合

Q9 前年7月~当年6月までの間に一般の被保険者(支払基礎日数17日)と短時間被保険者(支払基礎日数11日)の期間が混在した場合の年間平均の取扱いについてどのように取り扱えばよいか。

A.各月の被保険者の区分(短時間被保険者であるかないか)に応じた支払基礎日数により、各月が算定の対象月となるかならないかを判断する。

なお、月の途中に区分変更があった場合は、当該月の報酬の給与計算期間の末日における被保険者区分に応じた支払基礎日数により、当該月が算定の対象になるかならないかを判断する。

Q10 前年7月~当年6月までの間に固定的賃金の変動が起こった場合はどのように取り扱えばよいか。

A.前年7月~当年6月までの間に固定的賃金の変動が起こった場合でも、報酬月額の平均の計算対象となる月であれば、当該固定的賃金の変動が反映された報酬も含めて報酬月額の平均を計算する。

Q11 前年7月~当年6月までの間に、今回追加した保険者算定の要件を満たす部署に異動した被保険者は、どのように取り扱えばよいか。

A.前年7月~当年6月までの間に、今回追加した保険者算定の要件を満たす部署に異動した場合でも、報酬月額の平均の計算対象となる月であれば、異動前の部署で受けた報酬も含めて報酬月額の平均を計算する。

Q12 今回追加した保険者算定の取扱いを適用するためには、4~6月以外に報酬月額の年間平均の計算対象となる月は何ヶ月以上必要か。

A.前年7月~当年3月までの間に、少なくとも1か月以上必要である。

なお、入社して1年未満の者についても対象となる。

Q13 前年7月~当年6月までの間に、例えば前年6月分以前の給与の遅配分を受けたり、さかのぼった昇給により数月分の差額を一括で受けたりする等の事情があった場合はどのように取り扱えばよいか。

A.4月~6月までの間の報酬月額の平均を計算するに当たっては、定時決定を行う際の従来からの取扱いと同様である。

前年7月~当年6月までの間の報酬月額の平均を計算するに当たっては、具体的には、それぞれ以下のように取り扱う。

① 前年6月分以前に支払うべきであった給与の遅配分を前年7月~当年6月までに受けた場合

その遅配分に当たる報酬の額を除いて、報酬月額の平均を計算する。

② 前年7月~当年6月までの間に本来支払うはずの報酬の一部が当年7月以降に支払われることになった場合

その本来支払うはずだった月を計算対象から除外して、報酬月額の平均を計算する。

Q14 一時帰休中の者に対し、今回追加した保険者算定の取扱いは適用できるのか。

A.当年7月1日時点で一時帰休が解消される見込みがあるかどうかによって判断する。

① 当年7月1日時点で一時帰休が解消される見込みがある場合

今回追加した保険者算定のルールを適用する。4月~6月までのうち、一時帰休に伴う休業手当等が支払われなかった月における報酬月額の平均と、前年7月~当年6月(一時帰休に伴う休業手当等を受けた月は除く。)までの報酬月額の平均を比較して、標準報酬月額等級区分に2等級以上の差が生じれば対象とする。

なお、4月~6月の全ての月で、一時帰休に伴う休業手当等が支払われた場合は、今回追加した保険者算定の対象外となる。

② 当年7月1日時点で一時帰休が解消される見込みがない場合

今回追加した保険者算定のルールを適用しない。

Q15 被保険者資格を取得した月によって、取扱いに違いはあるか。

A.当年3月までに資格取得した者は対象となるが、当年4月~5月までに資格取得した者は、当年3月までの間に、一年間の報酬月額の平均の計算対象となる月が一月も確保されていないため、対象とならない。

なお、当年6月に資格取得した場合は、当年度の定時決定の対象外となる(報酬月額の年間平均の対象となる月の基準を満たす月数の下限については、Q12参照。)。また、月の途中に入社した場合の入社月や再雇用により資格の得喪が生じた月については、計算の対象とならない。

Q16 標準報酬月額等級区分に2等級以上の差が生じない場合でも、今回追加した保険者算定の取扱いを適用すべき場合はあるか。

A.随時改定と同様に、以下の事例に該当する場合は、1等級差でも今回追加した保険者算定の対象とする。

<健康保険>

① 4~6月の報酬月額の平均と前年7月~当年6月までの報酬月額の平均の、いずれか片方の月額が141.5万円以上、もう片方の月額が129.5万円以上135.5万円未満の場合

② 4~6月の報酬月額の平均と前年7月~当年6月までの報酬月額の平均の、いずれか片方の月額が5.3万円未満、もう片方の月額が6.3万円以上7.3万円未満の場合

<厚生年金保険>

① 4~6月の報酬月額の平均と前年7月~当年6月までの報酬月額の平均の、いずれか片方の月額が63.5万円以上、もう片方の月額が57.5万円以上60.5万円未満の場合

② 4~6月の報酬月額の平均と前年7月~当年6月までの報酬月額の平均の、いずれか片方の月額が8.3万円未満、もう片方の月額が9.3万円以上10.1万円未満の場合

Q17 4月に定期昇給を行い、それにより7月に随時改定の要件を満たす従業員がいるが、その従業員についても1年間の報酬月額の平均による保険者算定を行えるのか。

A 4月から6月までの期間に、定期昇給等により固定的賃金変動が起こり、従前の標準報酬月額等級と比較し2等級以上の差が生じた結果、7月から9月までのいずれかの月を改定月とする随時改定が行われる場合は、随時改定が定時決定に優先することから、1年間の報酬月額の平均による保険者算定を行うことはできない。

4.手続

Q18 季節的報酬変動の結果、4~6月の報酬月額の平均と、前年7月~当年6月までの報酬月額の平均を用いてそれぞれ算定した標準報酬月額等級区分に2等級以上の差が生じた場合、必ず事業主から保険者算定を行うことについて申立書を提出させることになるのか。

A.必ずしも申立書を提出させる必要はない。申立てがない場合は通常の報酬月額の算定のルールに基づいて標準報酬月額を決定することになる。

Q19 被保険者の同意が必要となっているのはなぜか。同意がなければ通常の方法により算定されるのか。

A.今回追加した事由に基づく保険者算定に関する申立てを事業主が行うことによって、被保険者に不利益が生じることのないよう、被保険者の同意を必要としている。被保険者の同意がない場合は、その同意がなかった被保険者の標準報酬月額についてのみ、通常の報酬月額の算定方法に基づき標準報酬月額を決定する。

Q20 今回追加した保険者算定を行うためには、どのような手続が必要になるのか。既存の様式に変更はあるか。

A.今回追加した保険者算定を行うべき事由に当てはまる場合、事業主は、被保険者報酬月額算定基礎届の備考欄に「年間平均」と記載した上で、健康保険組合及び日本年金機構(協会けんぽ被保険者の場合は日本年金機構のみ)に提出する。

算定基礎届自体の様式変更はない。

Q21 申立書と被保険者の同意書の記載内容に関し、健康保険と厚生年金保険との間で異なる内容とすることは認められるか。

A.認められない。

Q22 申立書と被保険者の同意書は任意の様式でよいか。

A.申立書については様式例1を、同意書については様式例2を参考としていただきたい。

ただし、健康保険用と厚生年金保険用の申立書と同意書は、それぞれまとめてよい。

また、様式例2を電子媒体により提出させる場合は、被保険者本人が同意したという事実を確認できる仕組みを構築していることが必要である。

Q23 申立書と同意書の被保険者氏名を自署した場合に押印は必要か。

A.記名押印でも自署でも差し支え無い。

Q24 被保険者の同意書は、健康保険組合の被保険者であれば、日本年金機構及び健康保険組合あてに各々2セット作成する必要があるか。また、本人と事業主との間で原本2通を作成する必要があるか。

A.各々2セット作成する必要は無く、例えば原本を事業主が保管し、写しを日本年金機構及び健康保険組合に提出する取扱いとして差し支えない。ただし、日本年金機構及び健康保険組合に提出する同意書は同じ内容とすること。

Q25 被保険者の同意書は毎年提出する必要があるのか。

A.被保険者が毎年同意するとは限らないので、毎年提出いただくこと。

Q26 年間の報酬を確認できる書類とは何か。

A.原則として、様式例2を参考に1年間の報酬を記載いただき、例年の状況、標準報酬月額の比較等を確認されたい。

なお、保険者等の必要に応じて、様式例2に代えて賃金台帳を利用したり、様式例を変更したりしてもよいが、日本年金機構及び健康保険組合に提出する書類に記載する内容は同じ内容とすること。

Q27 今回追加した保険者算定について、遡って本来の算定基礎届から年間平均の保険者算定への訂正や年間平均の保険者算定から本来の算定基礎届への訂正は可能か。可能である場合の手続方法は。

A.本来の算定基礎届から年間平均の保険者算定への訂正は可能である。年間平均の保険者算定から本来の算定基礎届への訂正については、保険者算定が、健康保険法第41条第1項及び厚生年金保険法第21条第1項の規定により算定した額が著しく不当であるときに健康保険法第41条第1項及び厚生年金保険法第21条第1項の規定にかかわらず、保険者が算定するものであり、遡って訂正することはできない。

ただし、被保険者が年間保険者算定の説明を十分に聞いていない場合等については、理由書等の提出を求め、状況を十分確認のうえ、対応されたい。

Q28 今回の取扱いの変更はいつから適用されるのか。

A.平成23年度の定時決定から適用される。

(別紙2 様式例1 記載例)

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