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○歯科衛生士養成所指導ガイドラインについて

(平成27年3月31日)

(医政発0331第61号)

(各都道府県知事あて厚生労働省医政局長通知)

(公印省略)

「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」(平成26年法律第51号)、「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う厚生労働省関係政令等の整備等に関する政令」(平成27年政令第128号)及び「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う文部科学省・厚生労働省関係省令の整備に関する省令」(平成27年文部科学省・厚生労働省令第2号)により、歯科衛生士法(昭和23年法律第204号)等の一部が改正され、平成27年4月1日から、歯科衛生士養成所の指定・監督権限が厚生労働大臣から都道府県知事に移譲されることになる。

これに伴い、別紙のとおり、新たに「歯科衛生士養成所指導ガイドライン」を定めたので、貴管下の関係機関に対し周知徹底を図られるとともに、貴管下の養成所に対する指導方よろしくお願いする。

なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言であることを申し添える。

また、「歯科衛生士養成所の指導要領について」(平成16年9月29日医政発0929005各都道府県知事あて本職通知)は、本年3月31日をもって廃止する。

(別紙)

歯科衛生士養成所指導ガイドライン

第一 指定申請書等に関する事項

1 養成所を設置しようとする者(既に指定を受けた養成所であって校舎を全面変更しようとする者又は学級数の増加をしようとする者を含む。)は、様式1による養成所設置計画書(校舎を全面変更又は学級数の増加をしようとする場合は校舎変更計画書。)を授業開始予定日の1年前までに、養成所の設置予定地(校舎を全面変更又は学級数の増加をしようとする場合は、養成所の所在地)の都道府県知事に提出すること。

2 養成所設置計画書又は校舎変更計画書の審査により設置計画の承認を受けた者は、歯科衛生士法施行令(平成3年政令第226号。以下「施行令」という。)第3条に基づき、歯科衛生士学校養成所指定規則(昭和25年文部省・厚生省令第1号。以下「指定規則」という。)第3条第1項の指定の申請は、養成所指定申請書を遅くとも授業を開始しようとする日の6か月前までに、当該養成所の所在地の都道府県知事に提出すること。

3 施行令第4条第1項に基づき、指定規則第4条第1項の変更の承認の申請(学級数を増加しようとする場合を除く。)は、様式2による変更承認申請書を変更予定日の6か月前までに、当該養成所の所在地の都道府県知事に提出すること。

4 施行令第4条第2項に基づき、指定規則第4条第2項の変更の届出は、様式2による変更届出書を変更後1月以内に、当該養成所の所在地の都道府県知事に提出すること。

第二 一般的事項

1 養成所の設置者は、国又は地方公共団体が設置者である場合のほか、営利を目的としない法人であることを原則とすること。

2 土地、建物の位置及び環境は教育上適切であること。

3 養成所の経理が他と明確に区分されていること。

4 会計帳簿、決算書類等収支状態を明らかにする書類が整備されていること。

5 入学検定料、入学金、授業料及び実習費等は、学則に定める額であり、寄付金等の名目で不当な金額を徴収しないこと。

6 指定規則第3条第2項の届出及び第5条の報告は、確実、かつ、遅滞なく行うこと。

第三 学則に関する事項

1 学則は養成所ごとに定めること。

2 学則の中には、次の事項を記載すること。

(1) 設置の目的

(2) 名称

(3) 位置

(4) 定員及び学級数に関する事項

(5) 修業年限、学期及び授業を行わない日に関する事項

(6) 教育課程及び単位数に関する事項

(7) 成績の評価に関する事項

(8) 入学、退学、転学、休学及び卒業に関する事項

(9) 教職員の組織に関する事項

(10) 運営を行うための会議に関する事項

(11) 学生の健康管理に関する事項

(12) 入学検定料、入学金、授業料、実習費、その他費用徴収に関する事項

3 学則に記載した事項の細部については、必要に応じ細則を定めること。

第四 学生に関する事項

1 学則に定められた学生の定員が守られていること。

2 入学資格の審査及び入学の選考が適正に行われていること。

3 入学は学年の初めに、転学は学年又は学期の初めに行うこととし、その手続は、学則の定めるところにより厳正に行うこと。

4 学生の出席状況が確実に把握されており、特に出席状況の不良な者については、進級又は卒業を認めないものとすること。

5 入学、進級、卒業、成績及び出席状況等に関する諸記録が、確実に保存されていること。

6 入学時の健康状態の把握、入学後の健康診断の実施及び疾病の予防措置等学生の保健衛生に必要な措置を講ぜられていること。

第五 教員及び事務職員に関する事項

1 専任教員は各学級ごとに配置し、学生の指導に支障をきたさないようにすること。

2 専任教員である教育に関する主任者(教務主任)を1名置くこと。

3 教育上必要な教員数を確保すること。実習には、必要に応じ、教員に加えて適当な数の実習指導員又は実習助手を配置すること。

4 1教員の担当授業時間数は、過重にならないよう1人1週間あたり15時間を標準とすること。

5 教員は、その担当科目に応じ、それぞれ相当の学識経験を有する歯科医師、歯科衛生士又はこれと同等以上の学識を有する者であること。

6 原則として、専任の事務職員を置くこと。

第六 授業に関する事項

1 指定規則別表に定める各教育分野は、別添1に掲げる事項を修得させることを目的とした教育内容とすること。

2 指定規則別表に定める選択必修分野の教育内容については基礎分野、専門基礎分野又は専門分野を中心に教授するものとし、その選択にあたってはそれぞれの養成所の特色が明らかになるよう特に配慮すること。

3 単位制について

歯科衛生士養成所に係る単位の計算方法等については、次のとおりであること。

(1) 単位の計算方法

ア 基本的計算方法

1単位の授業科目を45時間の学修を必要とする内容をもって構成することを標準とし、授業の方法に応じ、当該授業による教育効果、授業時間外に必要な学修等を考慮して、1単位の授業時間数は、講義及び演習については15時間から30時間、実習、実技及び実技については30時間から45時間の範囲で定めること。

イ 臨地実習(臨床実習を含む。)

臨地実習については、1単位を45時間の実習をもって構成することとし、実習時間の3分の2以上は病院、診療所、歯科診療所において行うこと。

ウ 時間数

時間数は、実際に講義、実習等が行われる時間をもって計算すること。

(2) 単位の認定

ア 単位を認定するに当たっては、講義、実習等を必要な時間数以上受けているとともに、当該科目の内容を修得していることを確認する必要があること。

イ 指定規則別表の備考に定める大学、高等専門学校、養成施設に在学していた者の係る単位の認定については、本人からの申請に基づき、個々の既修の学習内容を評価し、養成所における教育内容に該当すると認められる場合には、総取得単位数の2分の1を超えない範囲で当該養成所における履修に替えることができること。

4 教育実施上の留意事項

(1) 臨地実習は、実践活動の場において行う実習のみを指すものであること。

(2) 臨地実習は、原則として昼間に行うこと。

第七 施設設備に関する事項

1 土地及び建物の所有等

(1) 土地及び建物は、設置者の所有であることを原則とすること。ただし、賃借契約が長期にわたるものであり、恒久的に養成所運営ができる場合は、この限りではないこと。

(2) 校舎は独立した建物であることが望ましい。ただし、やむを得ず、他施設と併設する場合は、養成所の運営上の制約を受けることがないよう配慮すること。

2 教室等

(1) 普通教室、基礎実習室及び実験室は専用とし、普通教室は、学級数に見合う数を有すること。

(2) 普通教室の面積は、学生1人につき、1.65m2以上であり、かつ、1教室の総面積は、24.75m2以上であること。

(3) 基礎実習室及び実験室の面積は、学生1人につき、2.31m2以上であり、かつ、1室の総面積は34.65m2以上であって、電気、ガス、水道及び換気等の設備が設けられていること。

(4) 教室、基礎実習室及び実験室の広さは、内法で測定されたものであること。

(5) 図書室を有すること。図書室の面積は、学生の図書閲覧に必要な閲覧机の配置及び図書の格納のために十分な広さを有すること。図書室の効果を確保するためには、他施設と兼用することは望ましくないこと。

(6) 教員室、保健室、専用の更衣室(ロッカー室)、標本・機械・器具・材料等を保管する室、実習に関する準備室及び視聴覚室を有することが望ましいこと。

(7) エックス線を扱う実習(実験)室には、関係法令に定める障害防止の措置を講ずるとともに、所定の手続きを行うこと。

3 機械器具等

(1) 教育上必要な機械器具、標本及び模型等は、別添2に掲げるものを標準として有すること。また、その他の教育上必要な機械器具、標本及び模型等は、教育内容に応じ、適宜整備すること。

(2) 教員は、その担当科目に応じ、教育上必要な標本及び模型等の教材を適宜整備すること。

(3) 図書は、1000冊以上備え、このうち半数以上は専門図書であること。ただし、雑誌は1巻を1冊として算定すること。

(4) 機械器具、標本、模型及び図書は、学生定員数に応じ、適宜補充し更新すること。

第八 実習施設に関する事項

1 実習施設としては、臨床実習施設としての病院、診療所、歯科診療所以外に、臨床実習施設以外の実習施設としての介護老人保健施設、介護老人福祉施設、保健所、保育所その他の社会福祉施設等を適宜含めること。

2 臨床実習施設は、歯科臨床や地域保健等の実習を行うにふさわしい施設であり、以下の要件を備えていること。

(1) 臨床実習施設における指導教員は、歯科衛生に関し相当の経験を有する歯科医師又は歯科衛生士とし、そのうち少なくとも1人は免許を受けた後4年以上業務に従事し、十分な指導能力を有する者であること。

(2) 臨床実習施設における指導教員数は、少なくとも歯科医師及び歯科衛生士各1名以上であって、1施設当たりの学生数は2名以上とすること。なお、歯科医師及び歯科衛生士各1名の場合の学生数は、3名を標準とすること。

(3) 臨床実習施設には、診療室のほか、学生控室を有し、別添3を標準として、必要な設備、機械器具を備えていること。ただし、学生控室は他の適当な室と共用してもよいこと。

3 臨床実習施設以外の実習施設については、医療法、介護保険法等で定められている基準を満たし、実習を行うにふさわしい施設であること。

第九 その他

養成所の新設の場合、地域歯科関係者との協力体制を勘案すること。

別添1

 

教育内容

単位数

教育の目標

基礎分野

科学的思考の基盤

人間と生活

10

「専門基礎分野」及び「専門分野」の基礎となる科目を設定し、併せて、科学的・論理的思考力を育て、感性を磨き、自由で主体的な判断と行動を促す内容とする。

人間を幅広く理解できる内容とし、人間関係論、カウンセリング論と技法等を含む内容とする。

国際化及び情報化社会に対応しうる能力を育成する。

生命科学等の分野の理解を深める内容を含むことが望ましい。

職務の特性に鑑み、人権の重要性について十分理解させ、人権意識の普及・高揚が図られるような内容を含むことが望ましい。

小計

10

専門基礎分野

 

 

 

 

人体(歯・口腔を除く。)の構造と機能

歯・口腔の構造と機能

疾病の成り立ち及び回復過程の促進

 

15

人体並びに歯・口腔の構造と機能及び心身の発達を系統だてて理解し、健康・疾病について、その予防と回復過程に関する知識を習得し、併せて観察力、判断力を培う内容とし、解剖学、生理学、病理学、微生物学、薬理学等を含むものとする。

 

 

 

 

歯・口腔の健康と予防に関わる人間と社会の仕組み

7

人々の歯・口腔の健康に関するセルフケア能力を高めるために必要な教育的役割や、地域における関係諸機関等との調整能力を培う内容とし、口腔衛生学、公衆衛生学、衛生行政・社会福祉及び関係法規等を含むものとする。

小計

22

専門分野

歯科衛生士概論

2

歯科衛生士の意義、業務の枠組みと理論を理解し、職業倫理を高める態度を養う内容とする。

臨床歯科医学

8

歯科医療の概要とその診療補助の基礎的理論や基礎的技術を学ぶ内容とする。

高齢者や要介護者、障害者等を対象とした歯科医療における診療補助の能力を養えるような内容とする。

歯科予防処置論

8

生涯を通じた継続的な口腔保健管理について十分に理解させ、疾患やライフステージ別の予防法や予防システムの構築を学ぶとともに、業務記録の記載法や記録の必要性の理解を深める内容とする。

歯科保健指導論

7

ライフステージ毎に多様な生活環境・健康状態にある個人および集団に対して、専門的な立場から歯科保健指導・教育の支援ができる能力を養えるような内容とする。

歯科診療補助論

9

チーム医療の一員として歯科診療補助業務の基礎的理論や基礎的技術を習得する内容とする。

臨地実習(臨床実習を含む。)

20

知識・技術を歯科臨床や地域保健等の実践の場面に適用し、理論と実践を結びつけて理解できる能力を養う内容とする。

小計

54

選択必修分野

 

7

各養成所において独自に編成し、職務の特性に鑑みた内容とする。

 

合計

93

 

別添2

品名

数量

(1 機械器具等)

 

高圧滅菌器

一以上

乾熱滅菌器

一以上

血圧計

学生数の五分の一以上

冷凍冷蔵庫

一以上

ユニット(歯科用吸引器を含む。)

学生数の五分の一以上

電気エンジン(ユニットとは別途)

学生数の五分の一以上

歯科用タービン

二以上

超音波歯石除去器

学生数の五分の一以上

超音波洗浄器

一以上

紫外線器具保管箱

適当数

歯科用エックス線装置

一以上

エックス線フィルム自動現像器

一以上

歯科用シャーカステン

一以上

ファントーム

学生数

酸素吸入器

一以上

口腔外科処置用器具一式

一以上

矯正処置用器具一式

一以上

補綴処置用器具一式

一以上

保存処置用器具一式(歯髄診断器・電気的根長測定器・電動式アマルガム練和器等を含む)

一以上

予防処置器具一式(各種フッ化物塗布器等を含む)

一以上

歯科保健指導器具(顕微鏡・う蝕活動性試験装置等)

学生数の五分の一以上

(2 標本及び模型)

 

人体骨格模型

一以上

人体解剖模型

一以上

頭蓋骨模型

一以上

歯牙着脱顎模型(乳歯列及び永久歯列用)

学生数の二分の一以上

歯列発育顎模型

適当数

歯科保健指導器具(歯磨指導用顎模型・病態図、模型等)

学生数の五分の一以上

救急蘇生法実習モデル

一以上

(3 その他)

 

プロジェクター

適当数

VTR装置一式(ビデオテープレコーダー・モニター装置・カメラを含む。)

一以上

口腔内撮影用カメラ(付属品も含む。)

一以上

 

(注)学生数とは、同時に実習を行う学生の数をいう。

別添3

品名

数量

ユニット(歯科用タービン・歯科用吸引器を含む。)

三台以上であって学生数の二分の一以上

歯科用エックス線装置

一以上

パノラマエックス線撮影装置

一以上

超音波歯石除去器

一以上

フッ化物塗布器具

適当数

超音波洗浄器

一以上

高圧滅菌器

一以上

紫外線器具保管箱

適当数

歯科保健指導器具(顕微鏡・歯磨指導用顎模型・病態図、模型等)

適当数

学生用ロッカー

学生数

 

(注)学生数とは、同時に実習を行う学生の数をいう。