アクセシビリティ閲覧支援ツール

○「障害児福祉手当及び特別障害者手当の障害程度認定基準について」の一部改正について

(平成29年12月21日)

(障発1221第2号)

(各都道府県知事あて厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)

(公印省略)

障害児福祉手当及び特別障害者手当の障害程度の認定については、「障害児福祉手当及び特別障害者手当の障害程度認定基準について」(昭和60年12月28日社更第162号厚生省社会局長通知。以下「本通知」という。)により実施されているところであるが、今般、血液器疾患等について近年の医学的知見等を踏まえ、別紙のとおり本通知の一部を改正し、平成30年4月1日から適用することとしたので、通知する。

ついては、貴管内の市町村及び関係機関に対して周知をお願いする。

なお、平成30年4月1日以降においては、本通知により改正された障害児福祉手当認定診断書及び特別障害者手当認定診断書に基づき障害程度の認定を行う必要があるので、その取扱いに遺漏なきようお願いする。

[様式ダウンロード]

画像2 (76KB)別ウィンドウが開きます

[様式ダウンロード]

画像4 (27KB)別ウィンドウが開きます

画像5 (32KB)別ウィンドウが開きます

[様式ダウンロード]

画像7 (22KB)別ウィンドウが開きます

[様式ダウンロード]

画像9 (30KB)別ウィンドウが開きます

画像10 (32KB)別ウィンドウが開きます

【改正後全文】

○障害児福祉手当及び特別障害者手当の障害程度認定基準について

(昭和60年12月28日)

(社更第162号)

(各都道府県知事あて厚生省社会局長通知)

改正 平成11年    障発  第216号        

同 13年 7月31日/雇児発第502号/障発第325号/

同 23年 1月11日障発0111第  1号        

同 23年 8月 9日障発0809第  3号        

同 25年 5月10日障発0510第  3号        

同 26年 5月20日障発0520第  3号        

同 27年 6月19日障発0619第  3号        

同 28年 4月14日障発0414第  2号        

同 29年12月21日障発1221第  2号        

先般、国民年金法等の一部を改正する法律(昭和60年5月1日法律第34号)により、特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部が改正され、福祉手当制度が再編されるとともに、新たに特別障害者手当制度が創設され、昭和61年4月1日から実施されることに伴い、標記の手当の支給対象となる障害の程度に関する認定の基準を別紙のとおり定めたので、その運用について遺憾のないよう取り計らわれたい。

なお、これに伴い、昭和50年8月13日社更第114号本職通知「福祉手当の障害認定基準について」は、昭和61年3月31日で廃止する。

別紙

障害児福祉手当及び特別障害者手当の障害程度認定基準

第一 共通的一般事項

1 この認定基準は、特別児童扶養手当等の支給に関する法律施行令(以下「令」という。第1条第1項及び第2項に該当する程度の障害の認定基準を定めたものであること。

2 特別児童扶養手当等の支給に関する法律(以下「法」という。)第2条第2項及び第3項にいう障害の状態とは、精神又は身体に令第1条第1項及び第2項に該当する程度の障害があり、かつ、その障害が永続性を有するか、又は長期にわたって回復しない状態をいうものであること。

3 障害程度の認定は、原則として、別添に定める障害児福祉手当認定診断書及び特別障害者手当認定診断書(以下「認定診断書」という。)によって行うこと。

なお、精神障害その他の疾患で当該認定診断書のみでは認定が困難な場合にあっては必要に応じ療養の経過、日常生活の状況の調査、検診等を実施した結果に基づき認定すること。

4 認定診断書は、身体障害者福祉法に規定する指定医師等該当する障害又は病状に係る専門医の作成したものとするよう指導すること。

5 視覚の測定及び聴覚等の測定においては、その障害程度の認定が、実際上極めて困難な場合があるので、偽病に注意して慎重に行うものとし、必要に応じて複数の医療機関等での判定に委ねることが望ましいこと。

6 肢体不自由についての障害の程度に当たっては一時的に得られる瞬間的能力をもって判定するものではなく、当該機能障害全般を総合した上で判定するものとし、個々の障害の程度について認定することが不可能な場合は、認定基準及び認定診断書の内容に基づき、日常生活動作の困難度等について、総合的に判断するものとする。

なお、疼痛による機能障害を有するものについては、その疼痛が認定診断書により客観的に立証しうるものであれば機能障害として取り扱うものとする。

7 実施機関において、障害程度の認定に関し疑義を生ずる場合においては当該障害程度の認定について都道府県知事に必要に応じて照会すること。

8 障害の程度についての認定の適正を期すため、必要に応じ期間を定めて認定すること。

第二 障害児福祉手当の個別基準

令別表第1に該当する障害の程度とは次によるものとする。

1 視覚障害

(1) 両眼の視力の和が0.02以下のもの

ア 試視力表の標準照度は、200ルクスとする。

イ 屈折異常のある者については、矯正視力によって測定するが、矯正視力とは、眼科的に最も適当な常用しうる矯正眼鏡(コンタクトレンズを含む。)によって得られた視力をいう。

ウ 両眼の視力の和とは、両眼視によって累加された視力ではなく、両眼のそれぞれの視力を別々に測定した数値の和をいう。

(2) 両眼の視力の和が0.03又は0.04であり、かつ、視野障害が全視野の2分の1以上に及ぶ障害のため、令別表第1第1号と同程度以上と認められ、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものであるときは、令別表第1第8号に該当するものとする。

ア 視野は、フェルステル氏視野計若しくは平面視野計又はこれに準ずるものを用いて測定する。

イ 視野障害が全視野の2分の1以上に及ぶものとは、白色視標による合同視野の生理的限界の面積が2分の1以上欠損している場合をいう。

なお、この際の面積は数量的に厳格に計算しなくてもよいが、視野表に関する診断書の記載が必要である。

2 聴覚障害

(1) 両耳の聴力が補聴器を用いても音声を識別することができない程度のもの

ア 聴力レベルは、オージオメータ(JIS規格又はこれに準ずるオージオメータ)及び言語音によって測定するものとする。

ただし、聴覚の障害により特別児童扶養手当を受給しておらず、かつ、身体障害者手帳を取得していない児童等に対し、令別表第1に該当する診断を行う場合には、オージオメータによる検査に加えて、ABR検査(聴性脳幹反応検査)等の他覚的聴力検査又はそれに相当する検査を実施する。また、その結果(実施した検査方法及び検査所見)を診断書に記載し、記録データのコピー等を提出(添付)するものとする。

イ 両耳の聴力が補聴器を用いても音声を識別できないものとは、両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもので、全ろうを意味し、重度難聴用の補聴器を用いても、全く音声を識別できない程度のものをいう。

ウ 聴覚の障害により特別児童扶養手当を受給しておらず、かつ、身体障害者手帳を取得していない児童等に対し、令別表第1に該当する場合は、オージオメータによる検査結果のほか、ABR検査(聴性脳幹反応検査)等の他覚的聴力検査又はそれに相当する検査結果を把握して、総合的に認定する。

エ オージオメータにより聴力レベルを測定できない乳幼児の聴力の障害による認定については、ABR検査(聴性脳幹反応検査)又はASSR検査(聴性定常反応検査)及びCOR検査(条件詮索反応検査)を組み合わせて実施するものとする。

(ア) ABR検査(聴性脳幹反応検査)又はASSR検査(聴性定常反応検査)の聴力レベルのデシベル値が両耳とも100デシベル以上、COR検査(条件詮索反応検査)の聴力レベルのデシベル値が100デシベル以上のもので、全ろうを意味し、重度難聴用の補聴器を用いても、全く音声を識別できない程度のものをいう。

なお、エにより認定した場合は、原則として当該認定を行った日からおおむね2年後に再認定を行うこととする。

3 肢体不自由

(1) 両上肢の機能障害

ア 両上肢の機能に著しい障害を有するもの

(ア) 両上肢の機能を全廃したもの又は両上肢を手関節以上で欠くものについては、令別表第1第3号に該当するものとする。

なお、両上肢の機能全廃とは、各々の関節が強直若しくは、それに近い状態(可動域5度以内)にあるか又は関節に目的運動を起こさせる能力が欠如(筋力著減以下に相当するもの)していることで、日常生活動作に必要な運動を起こし得ない程度の障害をいう。

(イ) 両上肢の機能に著しい障害を有するものとはおおむね、両上肢のそれぞれについて肩、肘及び手の3大関節中いずれか2関節以上が全く用を廃する程度の障害を有するものをいう。

なお、この場合肩関節については、前方及び側方の可動域が30度未満のものは、その用を全く廃する程度の障害に該当するものとする。

イ 両上肢のすべての指を欠くもの

すべての指を欠くとは、それぞれの指を近位節(指)骨の基部から欠き、その有効長が0のものをいう。

ウ 両上肢の機能障害により、次の全ての動作が介護なしでは自立できない状態にあり、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度と認められるものについては、令別表第1第8号に該当するものとする。

なお、介護なしでは自立できない状態とは、次の((ア))から((エ))に掲げる動作について左右の上肢を用いてもその用を弁ずることができないものをいい、診断書に記載のその他の日常動作、つまむ、にぎる等の個々の基本動作が可能であっても、自助具を含む補装具等を自ら装着使用して他の総合動作を行うことができないものについては、個々の基本動作不能に該当するものとする。

((ア)) 食事

((イ)) 洗面

((ウ)) 便所の処理

((エ)) 衣服の着脱

(2) 両下肢の機能障害

ア 両下肢の用を全く廃したもの

両下肢の機能の用を全く廃したものとは、各々の関節が強直若しくはそれに近い状態にあるか又は下肢に運動を起こさせる能力が欠如(筋力著減以下に相当するもの)し、起立歩行に必要な動作を起こし得ない程度の障害をいう。

イ 両大腿を2分の1以上失ったもの

切断を判定する場合、切断肢の骨の突出、瘢痕拘縮神経腫等が存するときは、これらの部分を除いた実用長により判定するものとする。したがって、実用長が計測値より短い場合がある。

ウ 両下肢の著しい機能障害により、次のすべての動作について介護なしでは自立できない状態にあり、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度と認められるものについては、令別表第1第8号に該当するものとする。

((ア)) 階段の昇降

((イ)) 室内の歩行

エ 両下肢に障害を有する場合で、自己の最大限の努力により室内の歩行が可能な場合であっても、その歩行が身体又は障害そのものに悪影響を与えるものであるときは、歩行可能とはせず、歩行不能に該当するものとする。

(3) 体幹の機能障害

ア 体幹の機能に座っていることができない程度の障害を有するもの。

(ア) 体幹の機能障害は、高度体幹麻痺等を後遺した脊髄性小児麻痺、脳性麻痺、脊髄損傷、強直性脊椎炎等によって生ずるが、四肢の機能障害を伴っている場合が多いので、両者を総合して障害の程度を判定するものとする。

(イ) 座っていることができないとは、腰掛、正座、横座り、長座位及びあぐらのいずれもできないものをいう。

イ 体幹の機能障害により、次の全ての動作について介護なしでは自立できない状態にあり、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度と認められるものについては、令別表第1第8号に該当するものとする。

((ア)) 座位の保持

((イ)) 起立保持

((ウ)) 立ち上り

4 内部障害

(1) 心臓の機能障害

ア 心臓の機能障害については、永続する機能障害(将来とも回復する可能性がないか極めて少ないものをいう。以下同じ。)をいうものとする。

イ 心臓の機能障害の程度についての判定は、呼吸困難、心悸亢進、チアノーゼ、浮腫等の臨床症状、X線、心電図等の検査成績、一般状態、治療及び病状の経過等により行うものとし、自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される状態にあるものについては、令別表第1第8号に該当するものとする。

ウ 令別表第1第8号に該当すると思われる病状には、次のようなものがある。

次のうちいずれか2以上の所見があり、かつ、安静時又は自己の身辺の日常生活活動でも心不全症状又は狭心症症状が起こるもの。

(ア) 心胸比が60%以上のもの

(イ) 心電図で陳旧性心筋梗塞所見があるもの

(ウ) 心電図で脚ブロック所見があるもの

(エ) 心電図で完全房室ブロック所見があるもの

(オ) 心電図で第2度の房室ブロック所見があるもの

(カ) 心電図で心房細動又は粗動所見があり、心拍数に対する脈拍数の欠損が1分間10以上のもの

(キ) 心電図でSTの低下が0.2mv以上の所見があるもの

(ク) 心電図で第1誘導、第2誘導及び胸部誘導(ただしV1を除く。)のいずれかのT波が逆転した所見があるもの

エ 前記ウのほか小児の心臓機能障害で令別表第1第8号に該当するものと思われる病状には、次のようなものがある。

原則として重い心不全症状、低酸素血症又はアダムス・ストークス発作のため継続的医療を必要とするもので、次のうち6以上の所見があるもの

(臨床所見)

1 著しい発育障害

2 心音心雑音の異常

3 多呼吸又は呼吸困難

4 運動制限

5 チアノーゼ

6 肝腫大

7 浮腫

(胸部X線所見)

8 心胸比56%以上

9 肺血流量の増加又は減少

10 肺静脈のうっ血像

(心電図所見)

11 心室負荷像

12 心房負荷像

13 病的不整脈

14 心筋障害像

(2) 呼吸器(呼吸器系結核及び換気機能)の機能障害

ア 呼吸器の機能障害については、永続する機能障害をいうものとする。

イ 呼吸器の機能障害の程度についての判定は、予測肺活量1秒率(以下「指数」という。)及び臨床症状によるものとする。ここでいう指数とは、1秒量(最大努力下の最初の1秒間の呼気量)の予測肺活量(性別、年齢、身長の組合せで正常な状態ならば当然あると予測される肺活量の値)に対する100分率である。

ウ 次に掲げる状態のいずれかに該当するため、自己の身辺の日常生活活動が極度に制限されるものについては、令別表第1第8号に該当するものとする。

(ア) 呼吸困難が強いため歩行がほとんどできないもの

(イ) 指数の測定ができないもの又は指数が20以下のもの

(3) 腎臓の機能障害

ア 腎臓の機能障害については、永続する腎機能不全、尿生成異常をいうものとする。

イ 腎臓の機能障害の程度は、慢性透析療法を行う必要があるものについては、当該療法実施前の状態で判定するものとする。

ウ 腎臓の機能障害の程度についての判定は、臨床症状、腎臓機能検査成績、尿所見、血球算定検査、血液生化学検査(血清尿素毒素、血清クレアチニン、血清電解質、血清シスタチンC等)、血液ガス分析、推算糸球体濾過値(eGFR)、腎生検、一般状態、治療及び病状の経過等により行うものとし、自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される状態にあるものについては、令別表第1第8号に該当するものとする。

エ 令別表第1第8号に該当すると思われる病状には次のようなものがある。

(ア) 腎臓機能検査において、内因性クレアチニンクリアランスが15ml/分未満又は推算糸球体濾過値(eGFR)が15未満であって、かつ、自己の身辺の日常生活活動が著しく制限されるか又は次のいずれかの所見があるもの

((ア)) 尿毒症性心包炎

((イ)) 尿毒症性出血傾向

((ウ)) 尿毒症性中枢神経症状

(イ) 次表に掲げる検査成績のうちアが異常を示し、かつ、イ又はウのいずれかが異常を示すもので、ネフローゼ症候群と診断されるもの。

区分

検査項目

単位

異常

血清アルブミン

g/dl

2.5以下

早朝尿蛋白量/クレアチニン比

g/gクレアチニン

2.0以上

夜間尿蓄尿蛋白量

mg/hr/m2

40以上

オ 腎機能検査成績は、その性質上変動しやすいものと思われるので、腎臓疾患による病状の程度の判定に当たっては、診断書作成日前3か月間において最も適切に症状をあらわしていると思われる検査成績に基づいて行うものとする。

(4) 肝臓疾患

ア 肝臓疾患による病状の程度についての判定は、おおむね3か月以上の療養を必要とし、悪心、黄疸、腹水、肝萎縮、肝性脳症、出血傾向等の臨床症状、肝機能検査成績、一般状態、治療及び病状の経過等により行うものとし、自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される状態にあるものについては、令別表第1第8号に該当するものとする。

イ 令別表第1第8号に該当すると思われる病状は次の(ア)に定める検査成績を示すものをいう。

(ア) 次表に掲げる肝機能異常度指表の検査成績のうち高度異常を3つ以上示すもの又は高度異常を2つ及び中等度の異常を2つ以上示すもの

肝機能異常度指表

検査項目/臨床所見

基準値

中等度の異常

高度異常

血清総ビリルビン

(mg/dl)

0.3~1.2

2.0以上3.0以下

3.0超

血清アルブミン

(g/dl)(BCG法)

4.2~5.1

3.0以上3.5以下

3.0未満

血小板数

(万/μl)

13~35

5以上10未満

5未満

プロトロビン時間(PT)

(%)

70超~130

40以上70以下

40未満

腹水

腹水あり

難治性腹水あり

脳症(表1)

Ⅰ度

Ⅱ度

ウ 肝機能検査成績は、その性質上変動しやすいものと思われるので、肝臓疾患による病状の程度の判定に当たっては、診断書作成日前3か月における1か月以上の間隔をおいた2回の検査成績に基づいて行うものとする。

表1昏睡度分類

昏睡度

精神症状

参考事項

睡眠―覚醒リズムの逆転

多幸気分ときに抑うつ状態

だらしなく、気にとめない状態

あとでふり返ってみて判定できる

指南力(時、場所)障害、物をとり違える(confusion)

異常行動

ときに傾眠状態(普通のよびかけで開眼し会話ができる)

無礼な言動があったりするが、他人の指示に従う態度をみせる

興奮状態がない

尿便失禁がない

羽ばたき振戦あり

しばしば興奮状態またはせん妄状態を伴い、反抗的態度をみせる

嗜眠状態(ほとんど眠っている)

外的刺激で開眼しうるが、他人の指示に従わない、または従えない(簡単な命令には応じえる)

羽ばたき振戦あり

(患者の協力がえられる場合)

指南力は高度に障害

昏睡(完全な意識の消失)

痛み刺激に反応する

刺激に対して、払いのける動作、顔をしかめるなどがみられる

深昏睡

痛み刺激にも全く反応しない

 

(5) 血液疾患

ア 血液疾患による病状の程度についての判定は、おおむね3か月以上の療養を必要とする者につき、一般状態特に治療及び病状の経過に重点をおき、立ちくらみ、動悸、息切れ等の臨床症状、血液学的検査成績等により行うものとし、自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される状態にあるものについては、令別表第1第8号に該当するものとする。

イ 令別表第1第8号に該当すると思われる病状には、次のようなものがある。

貧血、感染、発熱、各種臓器組織での出血性病変等の病状が継続するものであって、かつ、次表に掲げる血液異常度指表3系列のうち2系列以上の検査成績が高度異常を示すもの。

血液異常度指表

区分

系列

検査項目

単位

高度異常

末梢血液像

赤血球系

ヘモグロビン濃度

g/dL

7未満

網赤血球

/μL

20,000未満

白血球系

白血球数

/μL

1,000未満

好中球数

/μL

500未満

血小板系

血小板数

/μL

20,000未満

ウ 血液検査成績は、その性質上変動しやすいものと思われるので、血液疾患による病状の程度の判定に当たっては、最も適切に病状をあらわしていると思われる検査成績に基づいて行うものとする。

5 その他の疾患

(1) 前各項に掲げるもののほか、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状がある場合においては、その状態が令別表第1第1号から第7号までと同程度以上と認められるものであって、日常生活において常時の介護を必要とする程度のものであるときは、令別表第1第8号に該当するものとする。

(2) (1)の機能の障害又は病状の程度の判定については、1から4に準じて行うものとする。

6 精神の障害

(1) 精神の障害は、統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害、気分(感情)障害、症状性を含む器質性精神障害、てんかん、知的障害、発達障害に区分し、その傷病及び状態像が令別表第1第9号に該当すると思われる症状等には、次のようなものがある。

ア 統合失調症によるものにあっては、高度の残遺状態又は高度の病状があるため、高度の人格変化、思考障害、その他妄想、幻覚等の異常体験が著明なもの

イ 統合失調症型障害及び妄想性障害によるものにあっては、残遺状態又は病状が前記アに準ずるもの

ウ 気分(感情)障害によるものにあっては、高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり頻繁にくりかえしたりするもの

エ 症状性を含む器質性精神障害(高次脳機能障害を含む。)によるものにあっては、高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なもの

なお、アルコール、薬物等の精神作用物質の使用による精神及び行動の障害についてもこの項に含める

(注1) 高次脳機能障害とは、脳損傷に起因する認知障害全般を指し、日常生活又は社会生活に制約があるものが認定の対象となる。その障害の主な症状としては、失行、失認のほか記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などがある。

なお、障害の状態は、代償機能やリハビリテーションにより好転も見られることから療養及び症状の経過を十分考慮すること。

オ てんかんによるものにあっては、十分な治療にかかわらず、てんかん性発作を極めてひんぱんに繰り返すもの

なお、てんかん発作については、抗てんかん薬の服用や、外科的治療によって抑制される場合にあっては、原則として認定の対象としない

カ 知的障害によるものにあっては、食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が不可能か著しく困難なもの

(注1) 知的障害の認定に当たっては、知能指数のみに着眼することなく、日常生活のさまざまな場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断する。

(注2) 日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮のうえ、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。

キ 発達障害によるものにあっては、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動が見られるもの

(注1) 発達障害とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものをいう。

(注2) 発達障害については、たとえ知能指数が高くても、社会行動やコミュニケーション能力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うことができないために日常生活に著しい制限を受けることに着目して行う。

(注3) 日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮のうえ、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。

ク アからキまでの認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定する。

(2) 精神の障害の程度については、日常生活において常時の介護又は援助を必要とする程度以上のものとする。

(3) 知的障害の程度については、知的機能の発達程度のほか、適応行動上の障害を十分勘案のうえ、別表に掲げる知的機能の程度により判定するものとし、年齢階層別の障害の程度が最重度とされるものについては令別表第1第9号に該当するものとする。

なお、この場合における知的障害の程度は、標準化された知能検査による知能指数がおおむね20以下に相当する。

7 令別表第1第10号による障害

身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が重複する場合の障害の程度の認定は次によるものとする。

(1) 病状と機能障害が重複する場合又は病状が重複する場合若しくは機能障害が重複する場合の障害の程度の判定に当たっては、一般状態、医学的な原因及び経過等を総合的に勘案することとし、その状態が日常生活において常時の介護を必要とする程度のものであるときは、令別表第1第10号に該当するものとする。

(2) 知的障害と他の病状又は機能障害が重複する場合における知的障害の程度については、別表に掲げる年齢階層別の障害の程度が重度とされたものとする。

なお、この場合における知的障害の程度は標準化された知能検査による知能指数がおおむね35以下に相当する。

(3) 前記(1)及び(2)における機能障害の程度については、次に掲げる程度のものとする。

ア 両眼の視力の和が0.03又は0.04のもの

イ 両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの

ウ 両上肢の機能障害により、次に掲げる動作の2分の1以上について介助が必要なもの

((ア)) 食事

((イ)) 洗面

((ウ)) 便所の処理

((エ)) 衣服の着脱

エ 両下肢の機能障害により、次に掲げる動作の2分の1以上について介助が必要なもの

((ア)) 階段の昇降

((イ)) 室内の歩行

オ 体幹の機能障害により、次に掲げる動作の2分の1以上について介助が必要なもの

((ア)) 座位の保持

((イ)) 起立保持

((ウ)) 立ち上り

第三 特別障害者手当の個別基準

1 令第1条第2項第1号に該当する障害

令第1条第2項第1号に該当する障害の程度とは、令別表第2各号に掲げる障害が重複するものとし、令別表第2各号に該当する障害の程度とは次によるものとする。

(1) 視覚障害

両眼の視力の和が0.04以下のもの

ア 試視力表の標準照度は、200ルクスとする。

イ 屈折異常のある者については、矯正視力によって測定するが、矯正視力とは、眼科的に最も適当な常用しうる矯正眼鏡(コンタクトレンズを含む。)によって得られた視力をいう。

ウ 両眼の視力の和とは、両眼視によって累加された視力ではなく、両眼のそれぞれの視力を別々に測定した数値の和をいう。

(2) 聴覚障害

両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの

ア 聴力レベルは、オージオメータ(JIS規格又はこれに準ずるオージオメータ)によって測定するものとする。

ただし、聴覚の障害により、障害年金を受給しておらず、かつ、身体障害者手帳も取得していない者に対し、令第1条第2項に該当する診断を行う場合には、オージオメータによる検査に加えて、ABR検査(聴性脳幹反応検査)等の他覚的聴力検査又はそれに相当する検査を実施する。また、その結果(実施した検査方法及び検査所見)を診断書に記載し、記録データのコピー等を提出(添付)するものとする。

イ 聴力レベルのデシベル値は、会話音域すなわち周波数500、1000、2000ヘルツの純音のデシベル値の平均値とする。平均値は周波数500、1000、2000ヘルツにおける純音の各々のデシベル値をa、b、cとした場合、次の算式により算出する。

なお、この場合、a、b、cのうちいずれか1又は2が測定不能のとき(100デシベルの音も聴取できない場合)は、当該部分のデシベル値を105デシベルとし上記算式に計上し聴力レベルを算定する。

ウ 聴覚の障害により、障害年金を受給しておらず、かつ、身体障害者手帳も取得していない者に対し、令第1条第2項に該当する場合は、オージオメータによる検査結果のほか、ABR検査(聴性脳幹反応検査)等の他覚的聴力検査又はそれに相当する検査結果を把握して、総合的に認定する。

(3) 両上肢の機能障害

両上肢の機能に著しい障害を有するもの又は両上肢のすべての指を欠くもの若しくは両上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの

ア 両上肢の機能に著しい障害を有するものとは、おおむね両上肢のそれぞれについて肩、肘及び手の3大関節中いずれか2関節以上が用を廃する程度の障害を有するものをいう。この場合において、関節が用を廃する程度の障害を有するとは、各々の関節が強直若しくはそれに近い状態(可動域10度以下)にある場合又は関節に目的運動を起こさせる筋力が著減(徒手筋力テスト2以下)している場合で日常生活動作に必要な運動を起こし得ない程度の障害をいう。

ただし、肩関節については、前方及び側方の可動域が30度以下のものは、その用を廃する程度の障害に該当するものとする。

なお、この場合には上肢装具等の補装具を使用しない状態で、日常生活において次のいずれの動作も行うことができないものである。

((ア)) かぶりシャツの着脱(1分以内に行う)

((イ)) ワイシャツのボタンをとめる(1分以内に行う)

イ 両上肢のすべての指を欠くものとは、それぞれの指を近位節(指)骨の基部から欠き、その有効長が0のものをいう。

ウ 両上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するものとは、指の著しい変形、麻痺による高度の脱力、関節の強直、瘢痕による指の埋没又は拘縮等により指があってもそれがないのとほとんど同程度の機能障害があるものをいう。

なお、この場合には日常生活において次のいずれの動作も行うことができないものである。

((ア)) タオルをしぼる(水を切れる程度)

((イ)) とじひもを結ぶ(10秒以内に行う)

(4) 両下肢の機能障害

両下肢の機能に著しい障害を有するもの又は両下肢を足関節以上で欠くもの

ア 両下肢の機能に著しい障害を有するものとは、おおむね両下肢のそれぞれについて股、膝及び足の3大関節中いずれか2関節以上が用を廃する程度の障害を有するものをいう。この場合において、関節が用を廃する程度の障害を有するとは、各々の関節が強直若しくはそれに近い状態(可動域10度以下。なお、足関節の場合は5度以下。)にある場合又は下肢に運動を起こさせる筋力が著減(徒手筋力テスト2以下)している場合で、起立歩行に必要な動作を起こし得ない程度の障害をいう。ただし、膝関節のみが100度屈位の強直である場合のように単に1関節が用を廃するにすぎない場合であっても、その下肢は歩行する場合に使用することができないため、その下肢の機能に著しい障害を有するものとする。

なお、この場合にはつえ、松葉づえ、下肢装具等の補助具を使用しない状態で、日常生活において次のいずれの動作も行うことができないものである。

((ア)) 片足で立つ

((イ)) 階段の昇降

イ 両下肢を足関節以上で欠くものとは、ショパール関節以上で欠くものをいう。

ウ 人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものについては、そう入置換した状態で認定を行うものとする。

(5) 体幹の機能障害

体幹の機能に座っていることができない程度又は立ち上がることができない程度の障害を有するもの

ア 体幹の機能障害は、高度体幹麻痺等を後遺した脊髄性小児麻痺、脳性麻痺、脊髄損傷、強直性脊椎炎等によって生ずるが、これらの多くのものは障害が単に体幹のみならず四肢に及ぶものが多い。このような症例における体幹の機能障害とは四肢の機能障害を一応切り離して、体幹のみの障害の場合を想定して判定したものをいう。従ってこのような症例の場合は体幹と四肢の障害の程度を総合して判定するものであるが、この際体幹と下肢の重複障害として認定するときは慎重に行うこと。例えば脊髄損傷又は臀筋麻痺で起立困難の症例を体幹と下肢の両者の機能障害として重複障害として認定することは適当ではない。

イ 座っていることができないとは、腰掛、正座、横座り、長座位及びあぐらのいずれもできないものをいい、立ち上がることができないとは、臥位又は座位から自力のみで立ち上がれず、他人、柱、つえ、その他の器物の介護又は補助によりはじめて立ち上ることができるものをいう。

(6) 内部障害

ア 心臓の機能障害

(ア) 心臓の機能障害については、永続する機能障害(将来とも回復する可能性がないか極めて少ないものをいう。以下同じ。)をいうものとする。

(イ) 心臓の機能障害の程度についての判定は、呼吸困難、心悸亢進、チアノーゼ、浮腫等の臨床症状、X線、心電図等の検査成績、一般状態、治療及び病状の経過等により行うものとし、自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される状態にあるものについては、令別表第2第6号に該当するものとする。

(ウ) 令別表第2第6号に該当すると思われる症状には、次のようなものがある。

次のうちいずれか2以上の所見があり、かつ、自己の身辺の日常生活活動でも心不全症状又は狭心症症状が起こるもの。

((ア)) 心胸比が60%以上のもの

((イ)) 心電図で陳旧性心筋梗塞所見があるもの

((ウ)) 心電図で脚ブロック所見があるもの

((エ)) 心電図で完全房室ブロック所見があるもの

((オ)) 心電図で第2度の房室ブロック所見があるもの

((カ)) 心電図で心房細動又は粗動所見があり、心拍数に対する脈拍数の欠損が1分間10以上のもの

((キ)) 心電図でSTの低下が0.2mV以上の所見があるもの

((ク)) 心電図で第1誘導、第2誘導及び胸部誘導(ただしV1を除く。)のいずれかのT波が逆転した所見があるもの

((ケ)) 心臓ペースメーカーを装着したもの

((コ)) 人工弁を装着したもの

(エ) 心臓ペースメーカー及び人工弁を装着したものについては装着した状態で認定を行うものとする。

イ 呼吸器(呼吸器系結核及び換気機能)の機能障害

(ア) 呼吸器の機能障害については、永続する機能障害をいうものとする。

(イ) 呼吸器の機能障害の程度についての判定は、予測肺活量1秒率(以下「指数」という。)、動脈血ガス分析値及び臨床症状によるものとする。ここでいう指数とは、1秒量(最大努力下の最初の1秒間の呼気量)の予測肺活量(性別、年齢、身長の組合せで正常な状態ならば当然あると予測される肺活量の値)に対する百分率である。

(ウ) 令別表第2第6号に該当すると思われる機能障害の状態とは次の((イ))又は((ウ))の所見があり、((ア))の症状を有するものとする。

((ア)) 呼吸困難が強いため歩行がほとんどできないもの

((イ)) 指数の測定ができないもの又は指数が20以下のもの

((ウ)) 動脈血ガス分析値が、動脈血O2分圧で55mmHg以下のもの又は動脈血CO2分圧で60mmHg以上のもの

ウ じん臓の機能障害

(ア) じん臓の機能障害については、永続するじん機能不全、尿生成異常をいうものとする。

(イ) 腎臓の機能障害の程度についての判定は、臨床症状、腎臓機能検査成績、尿所見、血球算定検査、血液生化学検査(血清尿素毒素、血清クレアチニン、血清電解質等)、動脈血ガス分析、腎生検、一般状態、治療及び病状の経過等により行うものとし、自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される状態にあるものについては、令別表第2第6号に該当するものとする。

(ウ) 慢性透析療法を行う必要があるものにかかるじん機能検査は当該療法実施前の成績によるものとする。

(エ) 令別表第2第6号に該当すると思われる病状には次のようなものがある。

じん臓機能検査において、内因性クレアチニンクリアランスが10ml/分未満、血清クレアチニンが8.0mg/dl以上又は血液尿素窒素が80mg/dl以上であってかつ、自己の身辺の日常生活活動が著しく制限されるか又は次のいずれかの所見があるもの

((ア)) 尿毒症性心包炎

((イ)) 尿毒症性出血傾向

((ウ)) 尿毒症性中枢神経症状

じん機能検査成績は、その性質上変動しやすいものと思われるので、じん臓疾患による病状の程度の判定に当たっては、診断書作成日前3か月間において最も適切に症状をあらわしていると思われる検査成績に基づいて行うものとする。

エ 肝臓疾患

(ア) 肝臓疾患による病状の程度についての判定は、おおむね3か月以上の療養を必要とし、悪心、黄疸、腹水、肝萎縮、肝性脳症、出血傾向等の臨床症状、肝機能検査成績、一般状態、治療及び病状の経過等により行うものとし、自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される状態にあるものについては、令別表第2第6号に該当するものとする。

(イ) 令別表第2第6号に該当すると思われる病状は次の((ア))に定める検査成績を示すものをいう。

((ア)) 次表に掲げる肝機能異常度指表の検査成績のうち高度異常を3つ以上示すもの又は高度異常を2つ及び中等度の異常を2つ以上示すもの

肝機能異常度指表

検査項目/臨床所見

基準値

中等度の異常

高度異常

血清総ビリルビン

(mg/dl)

0.3~1.2

2.0以上3.0以下

3.0超

血清アルブミン

(g/dl)(BCG法)

4.2~5.1

3.0以上3.5以下

3.0未満

血小板数(万/μl)

13~35

5以上10未満

5未満

プロトロビン時間(PT)

(%)

70超~130

40以上70以下

40未満

腹水

腹水あり

難治性腹水あり

脳症(表1)

Ⅰ度

Ⅱ度