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○「特別児童扶養手当等の支給に関する法律施行令別表第3における障害の認定について」の一部改正について

(平成29年12月21日)

(障発1221第1号)

(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)

(公印省略)

特別児童扶養手当の障害程度の認定については、「特別児童扶養手当等の支給に関する法律施行令別表第3における障害の認定について」(昭和50年9月5日児発第576号厚生省児童家庭局長通知。以下「本通知」という。)により実施されているところであるが、今般、血液・造血器疾患等について近年の医学的知見等を踏まえ、別紙のとおり本通知の一部を改正し、平成30年4月1日から適用することとしたので、通知する。

ついては、貴管内の市町村(指定都市を除く。)及び関係機関に対して周知をお願いする。

なお、平成30年4月1日以降においては、本通知により改正された特別児童扶養手当認定診断書に基づき障害程度の認定を行う必要があるので、その取扱いに遺漏なきようお願いする。

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【改正後全文】

○特別児童扶養手当等の支給に関する法律施行令別表第3における障害の認定について

(昭和50年9月5日)

(児発第576号)

(各都道府県知事あて厚生省児童家庭局長通知)

改正 昭和57年    児発  第    824号     

平成11年    障発  第    216号     

同 13年 7月31日/雇児第502号/障発第325号/

同 14年 3月28日障発  第0328009号     

同 15年 8月27日同   第0827009号     

同 22年11月22日障発1122第      2号     

同 23年 8月 9日障発0809第      2号     

同 24年 8月 9日同   第      3号     

同 25年 5月10日障発0510第      2号     

同 26年 5月20日障発0520第      2号     

同 27年 4月 1日障発0401第      9号     

同 27年 6月19日障発0619第      4号     

同 28年 4月14日障発0414第      1号     

同 29年12月21日障発1221第      1号     

今般、特別児童扶養手当等の支給に関する法律等の一部を改正する法律が公布され、昭和50年10月1日から障害の程度が特別児童扶養手当等の支給に関する法律(昭和39年7月2日法律第134号。以下「法」という。)別表第1に定める二級に該当する障害児を新たに特別児童扶養手当の支給対象障害児としたことに伴い、標記の認定要領等を別紙のとおり改正し、昭和50年10月1日から適用することとしたので、この取扱いについて遺憾のないようにされたい。

なお、「重度精神薄弱児扶養手当支給事務に係る児童相談所における判定について」(昭和39年9月8日児発第793号各指定都市の市長あて本職通知)は、昭和50年9月30日限りで廃止する。

おって、管内市町村に対し、周知方お願いする。

別紙

特別児童扶養手当等の支給に関する法律施行令別表第3における障害の認定要領

1 この要領は、特別児童扶養手当等の支給に関する法律施行令(昭和50年7月4日政令第207号。以下「令」という。)別表第3に該当する程度の障害の認定基準を定めたものであること。

2 障害の認定については、次によること。

(1) 法第2条第1項にいう「障害の状態」とは、精神又は身体に令別表第3に該当する程度の障害があり、障害の原因となつた傷病がなおつた状態又は症状が固定した状態をいうものであること。

なお、「傷病がなおつた」については、器質的欠損若しくは変形又は後遺症を残していても、医学的にその傷病がなおれば、そのときをもつて「なおつた」ものとし、「症状が固定した」については、症状が安定するか若しくは回復する可能性が少なくなつたとき又は傷病にかかわりなく障害の状態が固定したときをいうものであり、慢性疾患等で障害の原因となつた傷病がなおらないものについては、その症状が安静を必要とし、当面医療効果が少なくなつたときをいうものであること。

(2) 障害の程度は、令別表第3に定めるとおりであり、国民年金法(昭和34年法律第141号)による障害程度の1級及び2級に相当するものであること。

(3) 内科的疾患に基づく身体の障害及び精神の障害の程度の判定にあたつては、現在の状態、医学的な原因及び経過、予後等並びに日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度等を十分勘案し、総合的に認定を行うこと。

ア 1級

令別表第3に定める「日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度」とは、精神上若しくは身体上の能力が欠けているか又は未発達であるため、日常生活において常に他人の介助、保護を受けなければほとんど自己の用を弁ずることができない程度のものをいうものであること。

例えば、身のまわりのことはかろうじてできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、すなわち、病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲が就床病室内に限られるものであること。

イ 2級

令別表第3に定める「日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度」とは、他人の助けをかりる必要はないが、日常生活は極めて困難であるものをいうものであること。

例えば、家庭内の極めて温和な活動はできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、すなわち、病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるものである。

(4) 障害の認定は、特別児童扶養手当認定診断書(特別児童扶養手当等の支給に関する法律施行規則に定める様式第2号)及び特定の傷病に係るエックス線直接撮影写真(以下「診断書等」という。)によつて行うが、これらのみでは認定が困難な場合には必要に応じ療養の経過若しくは日常生活状況等の調査又は必要な検診等を実施したうえ適正な認定を行うこと。

(5) 障害の程度について、その認定の適正を期するため、必要な場合には期間を定めて認定を行うこと。

ア 障害の程度について、その状態の変動することが予測されるものについては、その予測される状態を勘案して認定を行うこと。

イ 精神疾患(知的障害を含む)、慢性疾患等で障害の原因となつた傷病がなおらないものについては、原則として当該認定を行つた日からおおむね2年後に再認定を行うこと。

ウ その他必要な場合には、イにかかわらず適宜必要な期間を定め再認定を行うこと。

なお、この場合は、過去の判定経歴、年齢、育成医療等の受療状況など、障害程度の変動の可能性等を十分に勘案して再認定期間を定めること。

エ 再認定を行う場合は、昭和42年12月9日児発第765号各都道府県知事あて本職通知「児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法における有期認定の取扱いについて」により行うこと。

(6) 各傷病についての障害の認定は、別添1「障害程度認定基準」により行うこと。

なお、ヒト免疫不全ウイルス感染症に係る障害認定については、「特別児童扶養手当及び特別障害者手当等におけるヒト免疫不全ウイルス感染症に係る障害認定について」(平成10年3月27日障企第24号通知)に定める事項に留意して認定を行うこと。

3 障害の状態を審査する医師について

(1) 都道府県又は指定都市においては、児童の障害の状態を審査するために必要な医師を置くこと。

(2) 障害児の廃疾の状態は、令別表第3の内容からみて、複雑多岐にわたるものであるので、障害の状態を審査する医師には、少なくとも内科、小児科、整形外科及び精神科の診療を担当する医師を加えること。

なお、内科、整形外科及び精神科の診療を担当する医師は、児童扶養手当制度における児童又は児童の父の障害の状態を審査する医師に兼務させても差しつかえないものであること。

4 障害の認定に係る診断書等について

(1) 各傷病についての特別児童扶養手当認定請求書に添付する診断書は、別添2「特別児童扶養手当認定診断書」によること。

(2) 障害児が身体障害者福祉法第15条第4項の規定により身体障害者手帳(以下「手帳」という。)の交付を受けているときは、当該手帳に記載されている障害名及び等級表による級別によつて障害の程度が令別表第3の各号のいずれかに該当することが明らかと判定できる場合は、診断書を添付させることに代えて、特別児童扶養手当認定請求書に手帳に記載されている障害名及び等級表による級別並びに手帳番号を記入せしめ、これによつて認定しても差しつかえないものであること。

なお、認定にあたつて障害の内容等について承知する必要がある場合には、都道府県又は指定都市の手帳関係事務主管課で保管する「身体障害者診断書」によること。

(3) 障害児が療育手帳制度要綱(昭和48年9月27日厚生省発児第156号各都道府県知事、指定都市市長あて厚生事務次官通知の別紙)による療育手帳の交付を受けているときの取扱いについては、障害の程度が「A」と記載されているものは令別表第3の1級に該当するものとして認定してさしつかえないこと。

また、療育手帳に「A」の記載がない場合においても、診断書を作成する医師は、診断書に記載すべき項目の一部が療育手帳取得の際に児童相談所の長が判定に用いた資料(以下「療育手帳取得の際の資料」という。)により明らかである場合は、当該療育手帳取得の際の資料を当該診断書に添付することをもって当該診断書の該当項目の記載を省略することができる。

なお、これらの場合には、特別児童扶養手当認定請求書の備考欄にその旨記入すること。

(4) 提出された診断書等だけでは、認定の可否を決定することができないため、法第36条第2項による再診を必要とする場合には、昭和37年7月9日児発第752号各都道府県知事あて本職通知「児童扶養手当の障害認定にかかる再診の取扱いについて」に準じて行うこと。

(5) 精神の障害に係る認定診断書は、できる限り精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に規定する精神保健指定医、精神保健福祉センターの医師、児童相談所若しくは知的障害者更生相談所の医師又は精神科の診療に経験を有する医師の作成したものとするよう指導されたいこと。

別添1

特別児童扶養手当 障害程度認定基準

第1節/眼の障害

眼の障害による障害の程度は、次により認定する。

1 認定基準

施行令別表第3に定める障害の程度は、次のとおりである。

障害の程度

障害の状態

1級

両眼の視力の和が0.04以下のもの

2級

両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの

身体の機能の障害が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

2 認定要領

眼の障害は、視力障害と視野障害に区分する。

(1) 視力障害

ア 視力の測定は、万国式試視力表又はそれと同一原理によって作成された試視力表による。

イ 試視力表の標準照度は、200ルクスとする。

ウ 屈折異常のあるものについては、矯正視力により認定する。

矯正視力とは、眼科的に最も適正な常用し得る矯正眼鏡又はコンタクトレンズによって得られた視力をいう。

なお、眼内レンズを挿入したものについては、挿入後の矯正視力により認定する。

エ 両眼の視力とは、それぞれの視力を別々に測定した数値であり、両眼の視力の和とは、それぞれの測定値を合算したものをいう。両眼の視力の和が0.04とは、左右各眼の視力がそれぞれ0.01及び0.03、0.02及び0.02、一眼全盲他眼0.04等の場合をいう。

オ 屈折異常のあるものであっても次のいずれかに該当するものは、裸眼視力により認定する。

(ア) 矯正が不能のもの

(イ) 矯正により不等像視を生じ、両眼視が困難となることが医学的に認められるもの

(ウ) 矯正に耐えられないもの

カ 視力が0.01に満たないもののうち、明暗弁のもの又は手動弁のものは視力0として計算し、指数弁のものは0.01として計算する。

(2) 視野障害

ア 視野の測定は、ゴールドマン視野計及び自動視野計又これらに準ずるものによる。

イ ゴールドマン視野計による場合、中心視野についてはⅠ/2の視標を用い、周辺視野についてはⅠ/4の視標を用いる。

なお、それ以外の測定方法による場合は、これに相当する視標を用いることとする。

ウ 「身体の機能の障害が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」とは、求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて、次のいずれかに該当するものをいう。

(ア) Ⅰ/2の指標で両眼の視野がそれぞれ5度以内におさまるもの

(イ) 両眼の視野がそれぞれⅠ/4の指標で中心10度以内におさまるもので、かつ、Ⅰ/2の指標で中心10度以内の8方向の残存視野の角度の合計が56度以下のもの

この場合、左右別々に8方向の視野の角度を求め、いずれか大きい方の合計が56度以下のものとする。

なお、ゴールドマン視野計のⅠ/4の指標での測定が不能の場合は、求心性視野狭窄の症状を有していれば、同等のものとして認定する。

(注) 求心性視野狭窄は、網膜色素変性症や緑内障等により、視野の周辺部分から欠損が始まり見えない部分が中心部に向かって進行するものである。

(3) 視力障害と視野障害が併存する場合には、併合認定の取扱いを行う。

第2節/聴覚の障害

聴覚の障害による障害の程度は、次により認定する。

1 認定基準

施行令別表第3に定める障害の程度は、次のとおりである。

障害の程度

障害の状態

1級

両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの

2級

両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの

身体の機能の障害が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

2 認定要領

聴覚の障害による障害の程度は、純音による聴力レベル値(純音聴力レベル値)及び語音による聴力検査値(語音明瞭度)により認定する。

(1) 聴力レベルは、オージオメータ(JIS規格又はこれに準ずる標準オージオメータ)によって測定するものとする。

ただし、聴覚の障害により特別児童扶養手当を受給しておらず、かつ、身体障害者手帳を取得していない障害児に対し、1級に該当する診断を行う場合には、オージオメータによる検査に加えて、ABR検査(聴性脳幹反応検査)等の他覚的聴力検査又はそれに相当する検査を実施する。また、その結果(実施した検査方法及び検査所見)を診断書に記載し、記録データのコピー等を提出(添付)するものとする。

(2) 聴力レベルのデシベル値は、話声域すなわち周波数500、1000、2000ヘルツにおける純音の各デシベル値をa,b,cとした場合、次式により算出する。

なお、この算式により得た値が境界値に近い場合には

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の算式により得た値を参考とする。

a:周波数500ヘルツの音に対する純音聴力レベル値

b:周波数1000ヘルツの音に対する純音聴力レベル値

c:周波数2000ヘルツの音に対する純音聴力レベル値

d:周波数4000ヘルツの音に対する純音聴力レベル値

(注) 聴力が純音聴力損失値によって算出されているときは、10デシベルを加算した数値を聴力デシベルにおけるデシベル値として認定する。

(3) 最良語音明瞭度の算出は、次によるものとする。

ア 検査は、録音器又はマイク付オージオメータにより、通常の会話の強さで発声し、オージオメータの音量を適当に強めたり、弱めたりして最も適した状態で行う。

イ 検査語は、語音弁別能力測定用語音集により、2秒から3秒に1語の割合で発声し語音明瞭度を検査する。

なお、語音聴力表は、「57s式語表」あるいは「67s式語表」とする。

ウ 語音明瞭度は、次式により算出し、語音明瞭度の最も高い値を最良語音明瞭度(語音弁別能)とする。

語音明瞭度=正答語音数/検査語数×100(%)

(4) 「身体の機能の障害が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」とは、両耳の平均純音聴力レベル値が80デシベル以上で、かつ、最良語音明瞭度が30%以下のものをいう。

(5) 聴覚の障害により特別児童扶養手当を受給しておらず、かつ、身体障害者手帳を取得していない障害児の障害の状態が1級に該当する場合は、オージオメータによる検査結果のほか、ABR検査(聴性脳幹反応検査)等の他覚的聴力検査又はそれに相当する検査結果を把握して、総合的に認定する。

(6) オージオメータにより聴力レベルを測定できない乳幼児の聴力の障害による認定については、ABR検査(聴性脳幹反応検査)又はASSR検査(聴性定常反応検査)及びCOR検査(条件詮索反応検査)を組み合わせて実施するものとする。

ア ABR検査(聴性脳幹反応検査)又はASSR検査(聴性定常反応検査)の聴力レベルのデシベル値が両耳とも100デシベル以上、COR検査(条件詮索反応検査)の聴力レベルのデシベル値が100デシベル以上の場合は1級と認定する。

イ ABR検査(聴性脳幹反応検査)又はASSR検査(聴性定常反応検査)の聴力レベルのデシベル値が両耳とも90デシベル以上、COR検査(条件詮索反応検査)の聴力レベルのデシベル値が90デシベル以上の場合は2級と認定する。

なお、ア及びイにより認定した場合は、原則として当該認定を行った日からおおむね2年後に再認定を行うこととする。

第3節/平衡機能の障害

平衡機能の障害による障害の程度は、次により認定する。

1 認定基準

施行令別表第3に定める障害の程度は、次のとおりである。

障害の程度

障害の状態

2級

平衡機能に著しい障害を有するもの

2 認定要領

(1) 平衡機能の障害には、その原因が内耳性のもののみならず、脳性のものも含まれる。

(2) 「平衡機能に著しい障害を有するもの」とは、四肢体幹に器質的異常がない場合に閉眼で起立・立位保持が不能又は開眼で直線を歩行中に10メートル以内に転倒あるいは著しくよろめいて歩行を中断せざるを得ない程度のものをいう。

第4節/そしゃく・嚥下機能の障害

そしゃく機能・嚥下機能の障害による障害の程度は、次により認定する。

1 認定基準

施行令別表第3に定める障害の程度は、次のとおりである。

障害の程度

障害の状態

2級

そしゃくの機能を欠くもの

2 認定要領

(1) そしゃく・嚥下機能の障害は、歯、顎(顎関節も含む。)、口腔(舌、口唇、硬口蓋、頬、そしゃく筋等)咽頭、喉頭、食道等の器質的、機能的障害(外傷や手術による変形、障害も含む)により食物の摂取が困難なもの、あるいは誤嚥の危険が大きいものである。

(2) そしゃく・嚥下機能の障害の程度は、摂取できる食物の内容、摂取方法によって次のように区分するが、関与する器官、臓器の形態・機能、栄養状態等も十分考慮して総合的に認定する。

ア 「そしゃく・嚥下の機能を欠くもの」とは、流動食以外は摂取できないもの、経口的に食物を摂取することができないもの、及び経口的に食物を摂取することが極めて困難なもの(食餌が口からこぼれ出るため常に手、器物等でそれを防がなければならないもの、または一日の大半を食事に費やさなければならない程度のもの)をいう。

(3) そしゃく機能の障害と嚥下機能の障害は、併合認定の取扱いを行わない。

第5節/音声又は言語機能の障害

音声又は言語機能の障害による障害の程度は、次により認定する。

1 認定基準

施行令別表第3に定める障害の程度は、次のとおりである。

障害の程度

障害の状態

2級

音声又は言語機能に著しい障害を有するもの

2 認定要領

(1) 音声又は言語機能の障害とは、発音に関わる機能又は音声言語の理解と表出に関わる機能の障害をいい、構音障害又は音声障害、失語症及び聴覚障害による障害が含まれる。

ア 構音障害又は音声障害

歯、顎、口腔(舌、口唇、口蓋等)、咽頭、喉頭、気管等の発声器官の形態異常や運動機能障害により、発音に関わる機能に障害が生じた状態のものをいう。

イ 失語症

大脳の言語野の後天性脳損傷(脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷や脳炎など)により、一旦獲得された言語機能に障害が生じた状態のものをいう。

ウ 聴覚障害による障害

先天的な聴覚障害により音声言語の表出ができないものや、中途の聴覚障害によって発音に障害が生じた状態のものをいう。

(2) 「音声又は言語機能に著しい障害を有するもの」とは、発音に関わる機能を喪失するか、話すことや聞いて理解することのどちらか又は両方がほとんどできないため、日常会話が誰とも成立しないものをいう。

(3) 構音障害、音声障害又は聴覚障害による障害については、発音不能な語音を評価の参考とする。発音不能な語音は、次の4種について確認するほか、語音発語明瞭度検査等が行われた場合はその結果を確認する。

ア 口唇音(ま行音、ぱ行音、ば行音等)

イ 歯音、歯茎音(さ行、た行、ら行等)

ウ 歯茎硬口蓋音(しゃ、ちゃ、じゃ等)

エ 軟口蓋音(か行音、が行音等)

(4) 失語症については、失語症の障害の程度を評価の参考とする。失語症の障害の程度は、音声言語の表出及び理解の程度について確認するほか、標準失語症検査等が行われた場合はその結果を確認する。

(5) 失語症が、音声言語の障害の程度と比較して、文字言語(読み書き)の障害の程度が重い場合には、その症状も勘案し、総合的に認定する。

(6) 喉頭全摘出手術を施した結果、発音に関わる機能を喪失したものについては、2級と認定する。

(7) 歯のみの障害による場合は、補綴等の治療を行った結果により認定を行う。

(8) 音声又は言語機能の障害(特に構音障害)とそしゃく・嚥下機能の障害とは併存することが多いが、この場合には、併合認定の取扱いを行う。また、音声又は言語機能の障害(特に失語症)と肢体の障害又は精神の障害とは併存することが多いが、この場合についても、併合認定の取扱いを行う。

第6節/肢体の障害

肢体の障害による障害の程度は、上肢の障害、下肢の障害、体幹の障害及び肢体の機能の障害に区分し、次により認定する。

第1 上肢の障害

1 認定基準

上肢の障害については、次のとおりである。

障害の程度

障害の状態

1級

両上肢の機能に著しい障害を有するもの

両上肢のすべての指を欠くもの

両上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの

2級

両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を欠くもの

両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の機能に著しい障害を有するもの

一上肢の機能に著しい障害を有するもの

一上肢のすべての指を欠くもの

一上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とするもの

2 認定要領

上肢の障害は、機能障害、欠損障害に区分する。

(1) 機能障害

ア 「両上肢の機能に著しい障害を有するもの」すなわち「両上肢の用を全く廃したもの」とは、両上肢の3大関節中それぞれ2関節以上の関節が全く用を廃したもの、すなわち、次のいずれかに該当する程度のものをいう。

(ア) 不良肢位で強直しているもの

(イ) 関節の他動可動域が、別紙「肢体の障害関係の測定方法」による参考可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの

(ウ) 筋力が著減又は消失しているもの

なお、認定に当たっては、一上肢のみに障害がある場合に比して日常生活における動作に制約が加わることから、その動作を考慮して総合的に認定する。

イ 「一上肢の機能に著しい障害を有するもの」すなわち「一上肢の用を全く廃したもの」とは、一上肢の3大関節中いずれか2関節以上の関節が全く用を廃したもの、すなわち、次のいずれかに該当する程度のものをいう。

(ア) 不良肢位で強直しているもの

(イ) 関節の他動可動域が、健側の他動可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの

(ウ) 筋力が著減又は消失しているもの

ウ 「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」とは、両上肢の機能に相当程度の障害を残すもの(例えば、両上肢の3大関節中それぞれ1関節の他動可動域が、別紙「肢体の障害関係の測定方法」による参考可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの)をいう。

なお、認定に当たっては、一上肢のみに障害がある場合に比して日常生活における動作に制約が加わることから、その動作を考慮して総合的に認定する。

エ 「上肢の指の機能に著しい障害を有するもの」すなわち「上肢の指の用を全く廃したもの」とは、指の著しい変形、麻痺による高度の脱力、関節の不良肢位強直、瘢痕による指の埋没又は不良肢位拘縮等により、指があってもそれがないのとほとんど同程度の機能障害があるものをいう。

オ 「両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の機能に著しい障害を有するもの」すなわち「両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の用を全く廃したもの」とは、両上肢のおや指の用を全く廃した程度の障害があり、それに加えて、両上肢のひとさし指又は中指の用を全く廃した程度の障害があり、そのため両手とも指間に物をはさむことはできても、一指を他指に対立させて物をつまむことができない程度の障害をいう。

カ 「指の用を廃したもの」とは、次のいずれかに該当するものをいう。

(ア) 指の末節骨の長さの2分の1以上を欠くもの

(イ) 中手指関節(MP)又は近位指節間関節(PIP)(おや指にあっては、指節間関節(IP)に著しい運動障害(他動可動域が健側の他動可動域の2分の1以下に制限されたもの)を残すもの

キ 日常生活における動作は、おおむね次のとおりである。

(ア) さじで食事をする

(イ) 顔を洗う(顔に手のひらをつける)

(ウ) 用便の処置をする(ズボンの前のところに手をやる)

(エ) 用便の処置をする(尻のところに手をやる)

(オ) 上衣の着脱(かぶりシャツを着て脱ぐ)

(カ) 上衣の着脱(ワイシャツを着てボタンをとめる)

(2) 欠損障害

ア 「上肢の指を欠くもの」とは、基節骨の基部から欠き、その有効長が0のものをいう。

「両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を欠くもの」とは、必ず両上肢のおや指を基部から欠き、それに加えて、両上肢のひとさし指又は中指を基部から欠くものである。

イ 「指を失ったもの」とは、おや指については指節間関節(IP)、その他の指については、近位指節間関節(PIP)以上で欠くものをいう。

(3) 関節可動域の測定方法、関節の運動及び関節可動域等の評価

測定方法については、別紙「肢体の障害関係の測定方法」による。

ア 関節の運動に関する評価については、各関節の主要な運動を重視し、他の運動については、参考とする。

なお、各関節の主要な運動は次のとおりである。

部位

主要な運動

肩関節

屈曲・外転

肘関節

屈曲・伸展

手関節

背屈・掌屈

前腕

回内・回外

手指

屈曲・伸展

イ 関節可動域の評価は、原則として、健側の関節可動域と比較して患側の障害の程度を評価する。

ただし、両側に障害を有する場合にあっては、別紙「肢体の障害関係の測定方法」による参考可動域を参考とする。

ウ 各関節の評価に当たっては、単に関節可動域のみでなく、次の諸点を考慮した上で評価する。

(ア) 筋力 (イ) 巧緻性 (ウ) 速さ (エ) 耐久性

なお、他動可動域による評価が適切ではないもの(例えば、末梢神経損傷を原因として関節を可動させる筋が弛緩性の麻痺となっているもの)については、上記諸点を考慮し、日常生活における動作の状態から上肢の障害を総合的に認定する。

(4) 人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものは、そう入置換した状態で認定を行うものとする。

第2 下肢の障害

1 認定基準

下肢の障害については、次のとおりである。

障害の程度

障害の状態

1級

両下肢の機能に著しい障害を有するもの

両下肢を足関節以上で欠くもの

2級

両下肢のすべての指を欠くもの

一下肢の機能に著しい障害を有するもの

一下肢を足関節以上で欠くもの

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

2 認定要領

下肢の障害は、機能障害、欠損障害に区分する。

(1) 機能障害

ア 「両下肢の機能に著しい障害を有するもの」すなわち「両下肢の用を全く廃したもの」とは、両下肢の3大関節中それぞれ2関節以上の関節が全く用を廃したもの、すなわち、次のいずれかに該当する程度のものをいう。

(ア) 不良肢位で強直しているもの

(イ) 関節の他動可動域が、別紙「肢体の障害関係の測定方法」による参考可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの

(ウ) 筋力が著減又は消失しているもの

ただし、両下肢それぞれの膝関節のみが100度屈曲位の強直である場合のように、両下肢の3大関節中単に1関節の用を全く廃するにすぎない場合であっても、その両下肢を歩行時に使用することができない場合には、「両下肢の用を全く廃したもの」と認定する。

なお、認定に当たっては、一下肢のみに障害がある場合に比して日常生活における動作に制約が加わることから、その動作を考慮して総合的に認定する。

イ 「一下肢の機能に著しい障害を有するもの」すなわち「一下肢の用を全く廃したもの」とは、一下肢の3大関節中いずれか2関節以上の関節が全く用を廃したもの、すなわち、次のいずれかに該当する程度のものをいう。

(ア) 不良肢位で強直しているもの

(イ) 関節の他動可動域が、健側の他動可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの

(ウ) 筋力が著減又は消失しているもの

ただし、膝関節のみが100度屈曲位の強直である場合のように、単に1関節の用を全く廃するにすぎない場合であっても、その下肢を歩行時に使用することができない場合には、「一下肢の用を全く廃したもの」と認定する。

ウ 「身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」とは、両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの(例えば、両下肢の3大関節中それぞれ1関節の他動可動域が、別紙「肢体の障害関係の測定方法」による参考可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの)をいう。

なお、認定に当たっては、一下肢のみに障害がある場合に比して日常生活における動作に制約が加わることから、その動作を考慮して総合的に認定する。

エ 「関節の用を廃したもの」とは、関節の他動可動域が健側の他動可動域の2分の1以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すもの(例えば、常時(起床より就寝まで)固定装具を必要とする程度の動揺関節)をいう。

オ 日常生活における動作は、おおむね次のとおりである。

(ア) 片足で立つ

(イ) 歩く(屋内)

(ウ) 歩く(屋外)

(エ) 立ち上がる

(オ) 階段を上る

(カ) 階段を下りる

(2) 欠損障害

ア 「足関節以上で欠くもの」とは、ショパール関節以上で欠くものをいう。

イ 「趾を欠くもの」とは、中足趾節関節(MP)から欠くものをいう。

(3) 関節可動域の測定方法、関節の運動及び関節可動域等の評価

測定方法については、別紙「肢体の障害関係の測定方法」による。

ア 関節の運動に関する評価については、各関節の主要な運動を重視し、他の運動については、参考とする。

なお、各関節の主要な運動は次のとおりである。

部位

主要な運動

股関節

屈曲・伸展

膝関節

屈曲・伸展

足関節

背屈・底屈

足指

屈曲・伸展

イ 関節可動域の評価は、原則として、健側の関節可動域と比較して患側の障害の程度を評価する。

ただし、両側に障害を有する場合にあっては、別紙「肢体の障害関係の測定方法」による参考可動域を参考とする。

ウ 各関節の評価に当たっては、単に関節可動域のみでなく、次の諸点を考慮した上で評価する。

(ア) 筋力 (イ) 巧緻性 (ウ) 速さ (エ) 耐久性

なお、他動可動域による評価が適切ではないもの(例えば、末梢神経損傷を原因として関節を可動させる筋が弛緩性の麻痺となっているもの)については、上記諸点を考慮し、日常生活における動作の状態から下肢の障害を総合的に認定する。

(4) 人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものは、そう入置換した状態で認定を行うものとする。

第3 体幹の障害

1 認定基準

体幹の障害については、次のとおりである。

障害の程度

障害の状態

1級

体幹の機能に座っていることができない程度又は立ち上がることができない程度の障害を有するもの

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの

2級

体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

2 認定要領

(1) 体幹の障害

体幹の機能障害は、高度体幹麻痺を後遺した脊髄性小児麻痺、脳性麻痺などによって生じるものである。

ア 「体幹の機能に座っていることができない程度の障害を有するもの」とは、腰掛、正座、あぐら、横すわりのいずれもができないものをいい、「体幹の機能に立ち上ることができない程度の障害を有するもの」とは、臥位又は坐位から自力のみで立ち上れず、他人、柱、杖、その他の器物の介護又は補助によりはじめて立ち上ることができる程度の障害をいう。

イ 「体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの」とは、室内においては、杖、松葉杖、その他の補助用具を必要とせず、起立移動が可能であるが、野外ではこれらの補助用具の助けをかりる必要がある程度の障害をいう。

第4 肢体の機能の障害

1 認定基準

肢体の機能の障害については、次のとおりである。