アクセシビリティ閲覧支援ツール

添付一覧

添付画像はありません

○民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律等の施行について(通知)

(平成29年11月27日)

(子発1127第4号)

(各都道府県知事・各指定都市市長・各児童相談所設置市市長あて厚生労働省子ども家庭局長通知)

(公印省略)

「民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律」(平成28年法律第110号。以下「法」という。)については、昨年12月9日に議員立法として成立し、同月16日に公布された。また、法に基づく、「民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律の施行期日を定める政令」(平成29年政令第289号。以下「施行期日令」という。)、「民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律施行令」(平成29年政令290号。以下「令」という。)、「民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律施行規則」(平成29年厚生労働省令第125号。以下「規則」という。)、「民間あっせん機関が適切に養子縁組のあっせんに係る業務を行うための指針」(平成29年厚生労働大臣告示第341号。以下「指針」という。)及び「民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律施行規則第十二条の厚生労働大臣が定める基準」(平成29年厚生労働大臣告示第342号。以下「養親希望者研修告示」という。)が11月27日に公布又は告示され、一部の規定を除き、平成30年4月1日から施行又は適用されることとなった。

法、施行期日令、令、規則、指針及び養親希望者研修告示の趣旨及び概要は下記のとおりであり、十分御了知の上、管内市町村(特別区を含む。以下同じ。)をはじめ、社会福祉法(昭和26年法律第45号)第69条第1項の規定による届出をして養子縁組あっせん事業を行っている者その他の関係者、関係団体等に対し、その周知徹底をお願いする。

なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言である。

第1 趣旨

児童が心身共に健やかに養育されるためには、家庭や家庭と同様の環境での養育の推進を図ることが必要である。実親による養育が困難な児童に対し、養育者との永続的な関係に基づいて行われる家庭における養育を確保する養子縁組は、児童の健全な育成を図る上で重要な役割を果たすことが期待されている。

平成28年の児童福祉法(昭和22年法律第164号)の改正(第2のⅢの5において「平成28年改正」という。)により、全ての児童は、適切な養育を受け、心身の健やかな成長及び発達、自立等が保障される権利を有する旨が規定され、また、国及び地方公共団体の責務として、家庭における養育が困難な児童に対する家庭と同様の養育環境における養育の推進等が明記された。あわせて、養子縁組に関する相談支援が都道府県の業務として位置付けられた。

これまで、養子縁組に際し、民間の養子縁組あっせん事業を行う者が大きな役割を果たしている一方で、一部の事業者が不当に営利を図り、若しくは適正に養子縁組のあっせんを行わないなど、不当な行為をする事案が生じている。

法は、これらの状況を踏まえ、民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護を図るとともに、あわせて民間あっせん機関による適正な養子縁組のあっせんの促進を図り、もって児童の福祉の増進に資するため、養子縁組あっせん事業を行う者について許可制度を実施し、その業務の適正な運営を確保するための措置を講ずるものである。

第2 概要

Ⅰ 総則

1 目的(法第1条)

この法律の目的として、養育者との永続的な関係に基づいて行われる家庭における養育を児童に確保する上で養子縁組あっせん事業が果たす役割の重要性に鑑み、養子縁組あっせん事業を行う者について許可制度を実施し、その業務の適正な運営を確保するための措置を講ずることにより、民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護を図るとともに、あわせて民間あっせん機関による適正な養子縁組のあっせんの促進を図り、もって児童の福祉の増進に資することを定めるものであること。

2 定義(法第2条)

(1) この法律において、「児童」とは、18歳に満たない者をいうこと。

(2) この法律において、「養親希望者」とは、養子縁組によって養親となることを希望する者をいうこと。

(3) この法律において、「養子縁組のあっせん」とは、養親希望者と児童との間の養子縁組をあっせんすることをいうこと。

なお、「あっせん」とは、「養親希望者と児童との間をとりもって養子縁組の成立が円滑に行われるように第三者として世話すること」をいい、養子縁組の成立を要件とするものではないこと。

また、養親希望者と児童又はその父若しくは母(児童の出生により当該児童の父又は母となるべき者を含むものであること。以下「児童の父母」という。)若しくは児童の父母以外の者であって児童についての監護の権利を有するもの(児童の出生により当該児童についての監護の権利を有する者となるべき者を含む。)(以下Ⅲ5の題名を除き「児童の父母等」という。)との間の両者の情報に係る連絡を行う場合は、養子縁組のあっせんに該当すること。

(4) この法律において、「養子縁組あっせん事業」とは、養子縁組のあっせんを業として行うことをいうこと。

なお、「業として行う」とは、一定の目的をもって同種の行為を反復継続的に遂行することをいい、1回限りの行為であったとしても反復継続の意思を持って行えば事業性があること。事業性があるものと判断すべき例としては、養子縁組のあっせんを行う旨宣伝広告している場合や、事務所を構え養子縁組のあっせんを行う旨看板を掲げている場合等が挙げられること。

(5) この法律において、「民間あっせん機関」とは、Ⅱ1(1)の許可を受けて養子縁組あっせん事業を行う者をいうこと。

なお、養子縁組あっせん事業を行う国、都道府県及び市町村は民間あっせん機関には含まれず、法の規制に服するものではないが、養子縁組のあっせんに係る児童の保護を図るという法の趣旨を踏まえ、これらの者が養子縁組あっせん事業を行うに当たっては、民間あっせん機関と同様の適正性が求められるものであること。

3 児童の最善の利益等(法第3条)

(1) 児童の最善の利益(法第3条第1項)

児童福祉における養子縁組の制度の意義は、保護者のない児童又は家庭に恵まれない児童に温かい家庭を与え、かつその児童の養育に法的安定性を与えることにより、児童の健全な育成を図ることであり、養子縁組は、専ら児童の福祉の観点に立って行われなければならないものであること。(指針第1の1)

このため、民間あっせん機関は、児童の福祉に関する専門的な知識及び技術に基づき、個別の事案ごとに、児童の最善の利益を最大限に考慮しながら、丁寧に養子縁組のあっせんを行わなければならないこと。

例えば、養親希望者の選定を、児童の父母等の意見のみによって行うことや、養親希望者に一切の選択の余地を認めない形で行うことは、結果として、児童の最善の利益の観点から望ましくないものと考えられること。また、養子縁組のあっせんに係る児童に兄弟姉妹がいる場合は可能な限り同一の家庭又は家庭における養育環境と同様の養育環境において養育がなされるようにするなど、配慮が必要であること。

(2) 国内におけるあっせんの優先(法第3条第2項及び指針第1の3)

児童の権利に関する条約(平成6年条約第2号)第21条(b)において、児童がその出身国内において里親若しくは養家に託され又は適切な方法で監護を受けることができない場合には、これに代わる児童の監護の手段として国際的な養子縁組を考慮することが認められている。

これを踏まえ、民間あっせん機関による養子縁組のあっせんは、可能な限り日本国内において児童が養育されることとなるよう行われなければならないこと。具体的には、児童相談所や他の民間あっせん機関と連携して日本国内在住の養親希望者を探すなど、日本国内における養子縁組の可能性を十分に模索し、それでもなお日本国内における養子縁組が見込めない場合に限り、国際的な養子縁組が認められるものであること。

なお、「国際的な養子縁組」とは、児童及び養親希望者の双方が日本国籍を有し、かつ日本国内に在住している養子縁組以外の養子縁組を指すものであること。

4 民間あっせん機関及び児童相談所の連携及び協力(法第4条)

民間あっせん機関による養子縁組のあっせんについては、当該民間あっせん機関並びに他の民間あっせん機関及び児童相談所は、児童の最善の利益に資する観点から、養子縁組のあっせんに必要な情報を共有すること等により相互に連携を図りながら協力するように努めなければならないこと。

具体的には、児童相談所については、養子縁組のあっせんの必要性があると認める要保護児童(児童福祉法第6条の3第8項に規定する要保護児童をいう。以下同じ。)について民間あっせん機関にあっせんを依頼することや、民間あっせん機関が養親希望者に対して行う研修に関しノウハウを提供すること(研修カリキュラムやテキスト、実習先の紹介等)などが求められること。また、民間あっせん機関については、養子縁組のあっせんの申込みがあった児童について、児童の父母等が児童を残して失踪した場合、児童が児童虐待(児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第82号)第2条に規定する児童虐待をいう。以下同じ。)を受けたと思われる場合等、当該児童が要保護児童又は児童虐待を受けたと思われる児童に当たる可能性がある場合には、児童福祉法第25条第1項又は児童虐待の防止等に関する法律第6条第1項の規定に基づき、これを児童相談所等に通告することが求められること。(指針第7の1)

また、年齢が高い児童について養子縁組のあっせんを行う場合には、新生児期の養子縁組とは異なる支援が必要であることから、必要に応じて児童相談所等の関係機関との連携・協力を図ること。

さらに、法第4条の規定の対象ではないが、地方公共団体の福祉部局や保健所等の関係機関についても、児童の最善の利益に資する観点から、広く相互に連携・協力を図ることが求められること。

5 児童等の個人情報の取扱い(法第5条)

(1) 民間あっせん機関は、その業務に関し、児童、児童の父母、養親希望者その他の関係者の個人情報(以下この5において「児童等の個人情報」という。)を収集し、保管し、又は使用するに当たっては、その業務の目的の達成に必要な範囲内で児童等の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならないこと。ただし、本人の同意がある場合その他正当な理由がある場合は、この限りでないこと。

(2) 民間あっせん機関は、児童等の個人情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならないこと。

Ⅱ 民間あっせん機関の許可等

1 許可(法第6条)

(1) 国、都道府県及び市町村以外の者は、養子縁組あっせん事業を行おうとするときは、当該養子縁組あっせん事業を行おうとする事業所の所在地を管轄する都道府県知事(指定都市にあっては指定都市市長、児童相談所設置市にあっては児童相談所設置市市長を含む。以下同じ。)の許可を受けなければならないこと。(法第6条第1項)

具体的には、養子縁組のあっせんの申込みの受理や同意の確認等、養子縁組あっせん事業の全部又は一部を行おうとする場合には、当該許可を受けなければならないこと。

なお、自ら養親希望者又は児童の父母等からの養子縁組のあっせんの申込みを受理せず、申込みを勧誘する業務のみを行う者や、民間あっせん機関に対して養親希望者又は児童の父母等による養子縁組のあっせんの申込みを全件送付する業務のみを行う者(以下「取次機関」という。)については、当該許可は不要であること。ただし、取次機関を利用する民間あっせん機関は、(3)⑤vのとおり、当該取次機関の名称、住所及び事業内容を都道府県知事に対して申告する必要があること。

(2) (1)の許可を受けないで養子縁組あっせん事業を行った者又は偽りその他不正の行為により(1)の許可を受けた者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられるものであること。(法第44条)

(3) (1)の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書(規則様式第1号)を都道府県知事に提出しなければならないこと。(法第6条第2項)

① 法人の名称及び住所並びその代表者の氏名

② 法人の役員の氏名及び住所

③ 養子縁組あっせん事業を行う事業所の名称及び所在地

④ Ⅲ14(1)により選任する養子縁組あっせん責任者の氏名及び住所並びに経歴

⑤ その他次に掲げる事項(規則第1条第2項)

i) 養子縁組あっせん事業を行う事業所の建物その他の設備の状況

ii) Ⅲ14(1)により選任する養子縁組あっせん責任者の勤務形態

iii) 役員及び養子縁組あっせん責任者の精神の機能の障害の有無

iv) 他に事業を行っている場合にあっては当該事業の種類及び内容

v) 取次機関を利用する場合にあっては当該取次機関の名称、住所及び事業内容

(4) (3)の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならないこと。(法第6条第3項)

① 定款その他の基本約款を記載した書類

② 養子縁組あっせん事業の実施方法を記載した書類(以下「業務方法書」という。)

なお、業務方法書は、次に掲げる事項を記載するものであること。

i) 養子縁組の成立前の児童の父母等への対応

・児童の父母等への相談援助(Ⅲ1の相談に応じ、必要な情報の提供、助言その他の援助を行うことをいう。以下同じ。)の体制及び実施方法

・児童の父母等の意思確認の実施方法

・児童の健康状況、家庭環境等の調査方法

ii) 養親希望者への対応

・養親希望者への相談援助の体制及び実施方法

・養親希望者への研修方法

・養親希望者の経済状況、健康状況及び家庭環境等の調査方法

・海外在住の養親希望者に係る上記事項(海外在住の養親希望者への養子縁組のあっせんを行う場合に限る。)

iii) 児童と養親希望者の選定の実施

・児童と養親希望者との選定に当たっての検討体制及び検討項目

・国内における監護の可能性についての検討体制及び検討項目(海外在住の養親希望者への養子縁組のあっせんを行う場合に限る。)

iv) 養親希望者の養育開始後から養子縁組の成立までの相談援助の実施方法

・養親希望者に引き渡すまでの間の児童の一時的な養育の実施方法

・定期的な面接指導その他養子縁組の成立までの間の養親希望者及び児童に対する相談援助の実施方法

・地域の子育て情報の提供

v) 養子縁組の成立後の対応

>・定期的な面接指導その他養子縁組の成立後の親子に対する支援の実施

・成長した児童からの出自に対する問い合わせに係る対応方法

・児童の出自に係る記録を含む帳簿の保管方法

vi) 養親希望者等から徴収する手数料の取扱い

・養親希望者等から徴収する手数料の種類及び額並びに徴収方法等

vii) 養子縁組の成立後の児童の父母等への相談援助の実施方法

viii) 個人情報の保護その他適切な事業運営のために必要な事項

③ 養子縁組あっせん事業を行う事業所ごとの当該養子縁組あっせん事業に係る事業計画書

なお、事業計画書は、収支計画に関する内容も含むものであること。

④ 申請者の当該申請に係る養子縁組あっせん事業を行うのに必要な経理的基礎を有することを明らかにする書類として、財産目録、貸借対照表及び収支計算書又は損益計算書(規則第1条第3項)

⑤ 養子縁組のあっせんに関し手数料を徴収する場合にあっては、当該手数料の算定の基準を記載した手数料表(規則第1条第4項及び様式第2号)

⑥ 次に掲げる書類(規則第1条第5項)

a) 登記事項証明書

b) 役員の履歴書

具体的には、職歴、賞罰及び役職員への就任解任状況を明らかにし、本人の記名押印又は署名のあるものであること。また、写真の貼付は不要であること。(cにおいて同じ。)

c) Ⅲ14(1)により選任する養子縁組あっせん責任者の履歴書及びⅢ14(2)の資格又は経験を有することを証する書類(以下「資格証明書」という。)

d) 事業所ごとの施設の概要を記載した書面

具体的には、以下のものとすること。

・建物の図面

・養子縁組あっせん事業を行う事業所ごとの当該事業に係る建物の登記事項証明書(申請者の所有に係る場合のみ)

・養子縁組あっせん事業を行う事業所ごとの当該事業に係る建物の賃貸借又は使用貸借契約書(他人の所有に係る場合のみ)

e) 国際的な養子縁組のあっせんを行おうとするときは、当該国際的な養子縁組のあっせんの相手先国に関する書類

具体的には、以下のものとすること。

・相手先国の養子縁組及び養子縁組のあっせんに係る関係法令(州ごとに法令が定められている場合には、当該州ごとの法令を含む。)及びその日本語訳

・相手先国において、国際的な養子縁組のあっせんについて申請者の活動が認められていることを証明する書類(相手先国において許可等が必要である場合に限る。)及び当該書類が外国語で記載されている場合にあってはその日本語訳

また、許可の申請時点において具体的に想定されている相手先国に関する書類を添付することとし、当該相手先国以外の国の養親希望者に対して養子縁組のあっせんを行うこととなった場合は、8(1)④のとおり、当該養親希望者が児童の養育を開始する前に、都道府県知事に対して相手先国に関する書類を提出しなければならないこと。

f) 国際的な養子縁組のあっせんを行おうとする場合であって、取次機関を利用しようとするときは、当該取次機関に関する書類

具体的には、以下のものとする。

・当該取次機関との業務分担について記載した契約書その他事業の運営に関する書類及び当該書類が外国語で記載されている場合にあってはその日本語訳

・相手先国において、当該取次機関の活動について許可が必要である場合には、当該取次機関が当該許可を受けていることを証明する書類及び当該書類が外国語で記載されている場合にあってはその日本語訳

なお、許可の申請時点において具体的に想定されている取次機関に関する書類を添付することとし、当該取次機関以外の取次機関を利用することとなった場合は、8(1)の変更の届出を行うとともに、8(1)③の後段のとおり、当該取次機関に関する書類を提出しなければならないこと。

g) 役員又は養子縁組あっせん責任者の精神の機能の障害に関する医師の診断書(当該役員又は養子縁組あっせん責任者が精神の機能の障害を有する場合に限る。診断書には、その病名、障害の程度、病因その他参考となる所見等を記載すること。)

(5) (3)の申請書又は(4)の書類に虚偽の記載をして提出した者は、30万円以下の罰金に処せられるものであること。(法第46条)

2 許可の基準等(法第7条)

(1) 都道府県知事は、1(1)の許可の申請が次に掲げる基準に適合していると認めるときは、許可をしなければならない。

① 養子縁組あっせん事業を行うのに必要な経理的基礎を有すること

具体的には、申請者から提出された1(4)③及び1(4)④の書類等から判断して、養子縁組あっせん事業を安定的に遂行するに足りる財産的基礎を有していると認められること。

② 養子縁組あっせん事業を行う者(その者が法人である場合にあっては、その経営を担当する役員)が社会的信望を有すること

なお、申請者が暴力団員等の反社会的勢力の者又は反社会的勢力の者と関わりを持っている者である場合は、当該申請者は社会的信望を有するとは言えないものであること。

③ 帳簿を長期間保存しなければならないことや事業の継続性等に鑑み、申請者が社会福祉法人、医療法人、公益社団法人、公益財団法人、一般社団法人、一般財団法人又は特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条第2項の規定に基づき設立された特定非営利活動法人であること(法第7条第1項第3号及び規則第2条第1項)

④ 養子縁組あっせん事業の経理が他の経理と分離できる等その性格が社会福祉法人に準ずるものであること

⑤ 営利を目的として養子縁組あっせん事業を行おうとするものでないこと

なお、「営利を目的として」とは、あっせん行為の対価として金銭その他の利益を受け取る意図をもってという意味であること。また、養子縁組あっせん事業は、一度でもこのような意図をもって養子縁組のあっせんを行った場合、現に金銭その他の物品を受け取ったか否かを問わず、営利を目的とするものとみなされるものであること。

⑥ 脱税その他不正の目的で養子縁組あっせん事業を行おうとするものでないこと

⑦ 個人情報を適正に管理し、及び児童、児童の父母、養親希望者その他の関係者の秘密を守るために必要な措置が講じられていること

なお、個人情報を適正に管理するために必要な措置として、13(1)の帳簿の保存に関し、必要なバックアップをとるなどの措置が講じられていなければならない。

⑧ ①から⑦までに定めるもののほか、申請者が、養子縁組あっせん事業を適正に遂行することができる能力を有すること

具体的には、

・法及び法に基づく命令等に適合した業務方法書を作成し、それに従って適正に運営されることが期待できること

・養子縁組のあっせんのみならず、児童、児童の父母等及び養親希望者に対して的確な支援を行うことができる能力を有すること

・11(1)により養子縁組あっせん事業の許可を取り消された者にあっては、取消しの日から起算して5年を経過するとともに、当該取消しの事由が解消されていること

・国際的な養子縁組のあっせんを行おうとする場合にあっては、相手先国の法制度について把握するとともに、児童、児童の父母等及び養親希望者と的確な意思の疎通を図るに足る能力を有する者であること

・養子縁組あっせん責任者について、なり得る者の名義を借用して許可を得るものでないこと

等が求められる。

(2) 都道府県知事は、1(1)の許可のための審査に当たっては、申請に係る養子縁組あっせん事業の実施に係る体制について申請者に対し説明を求め、及び実地の調査を行うものとする。

なお、当該調査は、職員2人以上によって行うものとする。(規則第2条第2項)

3 許可の欠格事由(法第8条)

都道府県知事は、2(1)にかかわらず、次のいずれかに該当する者に対しては、1(1)の許可をしてはならない。①については、必要に応じて医師の診断書等により個別的、実質的に確認すること。なお、成年被後見人又は被保佐人であることのみをもって当該欠格事由に当たるとすることはできないことに留意すること。

① 精神の機能の障害により養子縁組あっせん事業の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者

② 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

③ 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者

④ 法、児童福祉法、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)その他国民の福祉に関する法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者

なお、「国民の福祉に関する法律」は次に掲げるものとすること。(令第1条)

・ 生活保護法(昭和25年法律第144号)

・ 社会福祉法

・ 社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年法律第30号)

・ 介護保険法(平成9年法律第123号)

・ 児童虐待の防止等に関する法律

・ 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)

・ 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77号。以下「認定こども園法」という。)

・ 障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(平成23年法律第79号)

・ 子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)

・ 国家戦略特別区域法(平成25年法律第107号。第12条の5第15項及び第17項から第19項までの規定に限る。)

⑤ 児童虐待又は児童福祉法第33条の10に規定する被措置児童等虐待を行った者その他児童の福祉に関し著しく不適当な行為をした者

なお、その他児童の福祉に関し著しく不適当な行為をした者には、例えば、刑法(明治40年法律第45号)第22章(同法第184条を除く。)の罪を犯した者その他これらに準ずる行為をした者が該当するものであること。

⑥ 11(1)により養子縁組あっせん事業の許可を取り消され、その取消しの日から起算して5年を経過しない者

⑦ 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者であって、その法定代理人が①から⑥まで又は⑧のいずれかに該当するもの

⑧ 法人であって、その役員のうちに①から⑦までのいずれかに該当する者があるもの

4 手数料(法第9条)

(1) 民間あっせん機関は、次の手数料を徴収する場合を除き、養子縁組のあっせんに関し、いかなる名義でも、実費その他の手数料又は報酬を受けてはならないこと。

①手数料の種類(規則第3条第1項)

i) 第1号手数料

特定の養親希望者(養子縁組の成立後の養親を含む。以下このi及びiii、②i並びに③において同じ。)に係る相談援助その他の養子縁組のあっせんに係る業務(以下このi、②i及び②iiiにおいて「特定の養親希望者に係る業務」という。)に要した費用(特定の養親希望者に係る業務に要した費用として金額を示すことができるものに限る。)として、当該特定の養親希望者から徴収する手数料

ii) 第2号手数料

特定の児童又はその父母等に係る相談援助その他の養子縁組のあっせんに係る業務(以下このii、②ii及び②iiiにおいて「特定の児童等に係る業務」という。)に要した費用(特定の児童等に係る業務に要した費用として金額を示すことができるものに限る。)として、当該特定の児童の父母等から徴収する手数料

iii) 第3号手数料

養子縁組あっせん事業に要する費用の合計額からi又はiiの手数料として徴収する費用の額を控除した額を限度として、養親希望者又は児童の父母等から徴収する手数料

②手数料の額(規則第3条第2項)

民間あっせん機関が徴収することができる手数料の額は、手数料の種類に応じ、それぞれ次に定める金額の範囲内であって必要な額とすること。

i) 第1号手数料の額

次に掲げる費用(特定の養親希望者に係る業務に現に要した費用として金額を示すことができるものに限る。)の額の全部又は一部を合計した額

・養親希望者に対する相談援助、養親希望者による養子縁組のあっせんの申込みの確認に要する調査その他の特定の養親希望者に係る業務に要する交通費又は通信費(他に含まれるものを除く。)

・養親希望者に対する研修に要する費用

・養親希望者に対する養子縁組のあっせんに係る児童(以下このiにおいて「あっせん児童」という。)及びその父母等(以下このiにおいて「あっせん児童の父母等」という。)に対する相談援助、当該あっせん児童の父母等による養子縁組のあっせんの申込みの確認に要する調査その他の当該あっせん児童及びその父母等に係る養子縁組のあっせんに係る業務に要する交通費又は通信費

・あっせん児童に係る出産に要する費用(妊産婦に対する健康診査に要する費用を含み、当該出産及び健康診査を取り扱う医療機関その他の機関が通常の分娩及び健康診査の際に請求する額を超えない部分に係るものとし、あっせん児童の父母等が出産育児一時金その他の給付金を利用して支払う場合には当該給付金の額を控除した額に係るものに限る。)

・養親希望者にあっせん児童を委託するまでの間の当該あっせん児童の養育等に要する費用

・養親希望者にあっせん児童を委託した場合における養親希望者への相談援助に要する交通費又は通信費

・裁判所に提出する書類の作成に要する費用

・国際的な養子縁組を行う場合にあっては、それに係る文書の翻訳及び査証を受けるために必要な書類の作成に要する費用

・養子縁組の成立後の児童及び養親に対する相談援助に要する交通費又は通信費及びその相談援助に必要な養子縁組のあっせんに係る文書の保存に要する費用

・その他特定の養親希望者から手数料として徴収することが社会通念上適切と認められる費用

ii) 第2号手数料の額

次に掲げる費用(特定の児童等に係る業務に現に要した費用として金額を示すことができるものに限る。)の額の全部又は一部を合計した額

・児童の父母等に対する相談援助、児童の父母等による養子縁組のあっせんの申込みの確認に要する調査その他の特定の児童等に係る業務に要する交通費又は通信費

・養子縁組のあっせんに係る特定の児童の出産に要する費用(妊産婦に対する健康診査に要する費用を含み、当該出産及び健康診査を取り扱う医療機関その他の機関が通常の分娩及び健康診査の際に請求する額を超えない部分に係るものとし、児童の父母等が出産育児一時金その他の給付金を利用して支払う場合には当該給付金の額を控除した額に係るものに限る。)

・養親希望者が児童を引き取るまでの間の当該児童の養育等に要する費用

iii) 第3号手数料の額

次に掲げる額の全部又は一部を合計した額について当該事業年度の養親希望者数で按分する方法その他の適切な方法により算定した額

a) i又はiiに掲げる費用(特定の養親希望者に係る業務又は特定の児童等に係る業務に現に要した費用として金額を示すことができるものに限る。)の合計額から第1号手数料又は第2号手数料として徴収する額を控除した額

b) 人件費、事務費その他の養子縁組あっせん事業の運営に通常要する費用(i又はiiに掲げる費用を除く。)の額

③ 個別の養子縁組のあっせんに係る費用に相当する額を養親希望者又は児童の父母等からの手数料として徴収した民間あっせん機関は、同一の費用について、重ねて他の者からの手数料として徴収することができないこと。(規則第3条第3項)

(2) (1)に違反した者は、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられるものであること。(法第45条)

(3) 営利を目的として行う養子縁組のあっせんは、児童福祉法第34条第1項第8号の規定により厳に禁止されていること。営利を目的としているかどうかについては、それぞれの事案ごとに民間あっせん機関が養親希望者等から受け取った金品の金額や支払われた状況、趣旨等を踏まえて個別的に判断する必要があるが、判断の際には次の事項を勘案するものとすること。(指針第6の1)

なお、民間あっせん機関は、養子縁組あっせん事業が専ら児童の福祉のために行われるものであり、当該事業の運営に当たっては社会福祉事業としての公益性や透明性を求められていることを十分に理解し、外形的に営利を目的としていると疑われるような事業運営を行ってはならないこと。

また、(1)の手数料について、実際に養子縁組のあっせんに要した費用の額以下の額とすることは差し支えないこと。(指針第6の1)

① 養子縁組のあっせんに関し、民間あっせん機関が徴収することができるのは、(1)の手数料に限られ、それ以外の金品はいかなる名義であっても受け取ることができないものであること。

② 養親希望者又は児童の父母等が、手数料として請求される金額がいずれの費用に充当されるかを容易に理解できるものとするとともに、その内訳をあらかじめ養親希望者又は児童の父母等に説明すること。

③ 公的支援の積極的な活用や効率的な事業運営により、事業の運営に要する費用の抑制に努めること。

④ 人件費や事務費等については、安定的な事業運営のため真に必要な費用に限定されるものであり、役員報酬や顧問料、過大な人件費等は認められないものであること。

⑤ 第3号手数料を徴収する場合には、その手数料の総額が養子縁組あっせん事業に実際に要する費用の総額を上回ることがないよう、当該手数料の額を設定すること。また、第3号手数料の算定に用いる人件費、物件費等の個別に金額を計上することが困難な費用については、前事業年度の費用や養親希望者の延べ数を参考に、当該事業年度の養親希望者の数の推計で按分するなど、適切な方法によってあらかじめ算定すること。

(4) 民間あっせん機関は、養子縁組のあっせんに関する手数料の額その他養子縁組のあっせんに係る業務に関しあらかじめ関係者に対して知らせることが適当である事項に関し、情報の提供を行わなければならないこと。

具体的には、民間あっせん機関は、インターネットを利用する方法その他の適切な方法により、あらかじめ1(3)に掲げる事項及び1(4)に掲げる書類の内容に関する事項について、関係者に広く情報の提供を行うものとすること。(規則第3条第4項)

併せて、民間あっせん機関は、電子メールの送信その他のインターネットを利用する方法又は書面を交付する方法により、あらかじめ1(3)に掲げる事項並びに1(4)②及び1(4)⑤に掲げる書類の内容に関する事項について、養子縁組のあっせんを申し込もうとする養親希望者及び児童の父母等に情報の提供を行うものとすること。(規則第3条第5項)

なお、これらの情報の提供に当たっては、養子縁組のあっせんを希望する養親希望者及び児童の父母等が手数料の額を具体的に想定できるよう、前年度実績等に基づき、標準的な養子縁組のあっせん1件当たりの徴収見込み額及びその内訳を示すべきであること。併せて、養子縁組のあっせんを中止した場合の費用負担の取扱い等についても、養親希望者及び児童の父母等に対して、事前に丁寧に説明すべきであること。

また、養子縁組あっせん責任者の住所など、個人の権利利益が害されるおそれがある情報については、公表しなくても差し支えないこと。(規則第3条第4項及び第5項)

(5) 刑法第226条の2において、人身売買に係る刑罰について規定されているとともに、児童福祉法第34条第1項第8号において、営利を目的として児童の養育をあっせんする行為の禁止について規定されている。これらを踏まえ、民間あっせん機関は、人身売買又は営利を目的とした養子縁組のあっせんを行うことはもとより、それらを示唆するような宣伝広告又は説明を行ってはならないこと。(指針第1の4)

5 許可証(法第10条)

(1) 都道府県知事は、1(1)の許可をしたときは、養子縁組あっせん事業を行う事業所の数に応じ、規則に定める養子縁組あっせん事業許可証(規則様式第3号。以下「あっせん許可証」という。)を交付しなければならない。(法第10条第1項及び規則第4条第1項)

(2) あっせん許可証の交付を受けた者は、当該許可証を、養子縁組あっせん事業を行う事業所ごとに備え付けるとともに、関係者から請求があったときは提示しなければならないこと。(法第10条第2項)

(3) 許可証の交付を受けた者は、当該許可証を亡失し、又は当該許可証が滅失したときは、速やかにその旨を都道府県知事に届け出て、許可証の再交付を受けなければならないこと。(法第10条第3項)

なお、あっせん許可証の再交付を受けようとする者は、養子縁組あっせん事業許可証再交付申請書(規則様式第4号)を、都道府県知事に提出しなければならないこと。(規則第4条第2項)

(4) あっせん許可証の交付を受けた者は、次のいずれかに該当することとなったときは、当該事実のあった日の翌日から起算して10日以内に、①又は②の場合にあっては養子縁組あっせん事業を行う全ての事業所に係るあっせん許可証を、③の場合にあっては発見し、又は回復したあっせん許可証を都道府県知事に返納しなければならないこと。(規則第4条第3項)

① 1(1)の許可が取り消されたとき。

② 1(1)の許可の有効期間が満了したとき。

③ あっせん許可証の再交付を受けた場合において、亡失したあっせん許可証を発見し、又は回復したとき。

また、あっせん許可証の交付を受けた法人が合併により消滅したとき(合併後存続する法人があっせん許可証の交付を受けていない場合に限る。)は、合併後存続し、又は合併により設立された法人の代表者は、当該事実のあった日の翌日から起算して10日以内に、養子縁組あっせん事業を行う全ての事業所に係るあっせん許可証を都道府県知事に返納しなければならないこと。(規則第4条第4項)

なお、合併後存続する法人があっせん許可証の交付を受けている場合は、遅滞なく、8(1)の変更の届出を行わなければならないこと。

6 許可の条件(法第11条)

(1) 1(1)の許可には、条件を付し、及びこれを変更することができる。

(2) (1)の条件は、1(1)の許可の趣旨に照らして、又は当該許可に係る事項の確実な実施を図るために必要な最小限度のものに限り、かつ、当該許可を受ける者に不当な義務を課することとなるものであってはならない。

具体的には、児童相談所との相互協力等、努力義務とされている事項をはじめとして、法、令、規則、指針、養親希望者研修告示及び本通知等に定められている内容の確実な履行は、(1)の条件に該当するものと考えられる。

7 許可の有効期間等(法第12条)

(1) 1(1)の許可の有効期間は、当該許可の日から起算して3年とする。

(2) (1)の許可の有効期間(当該許可の有効期間についてこの(2)の更新を受けたときにあっては、当該更新を受けた許可の有効期間)の満了後引き続き当該許可に係る養子縁組あっせん事業を行おうとする者は、許可の有効期間の更新を受けなければならないこと。

(3) 偽りその他不正の行為により、(2)の更新を受けた者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられるものであること。(法第44条)

(4) 都道府県知事は、(2)の更新の申請があった場合において、当該申請が2(1)の基準に適合していると認めるときは、当該許可の有効期間の更新をしなければならない。

(6) (2)の更新を受けた場合における1(1)の許可の有効期間は、当該更新前の許可の有効期間が満了する日の翌日から起算して5年とすること。

(7) 1(3)及び(4)、2(2)並びに3(⑥を除く。)は、(2)の更新について準用すること。

(8) (7)において準用する1(3)に規定する申請書又は(7)において準用する1(4)に規定する書類に虚偽の記載をして提出した者は、30万円以下の罰金に処せられるものであること。(法第46条)

8 変更の届出(法第13条)

(1) 民間あっせん機関は、1(3)に掲げる事項(民間あっせん機関が取次機関を利用しなくなった場合における当該取次機関の名称、住所及び事業内容を除く。)に変更があったときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならないこと。この場合において、当該変更に係る事項が養子縁組あっせん事業を行う事業所の新設に係るものであるときは、③の書類を添付しなければならないこと。(法第13条第1項及び規則第5条第1項)

① 届出期限

この(1)の変更の届出をしようとする者は、1(3)④又は1(3)⑤iiに掲げる事項の変更の届出にあっては当該変更に係る事実のあった日の翌日から起算して30日以内、それ以外の事項の変更の届出にあっては当該変更に係る事実のあった日の翌日から起算して10日(③の後段により登記事項証明書を添付すべき場合にあっては、30日)以内に、都道府県知事に届け出なければならないこと。(規則第5条第2項)

② 届出方法

この(1)の変更の届出に係る事項があっせん許可証の記載事項に該当しない場合にあっては養子縁組あっせん事業変更届出書(規則様式第5号)を、当該届出に係る事項があっせん許可証の記載事項に該当する場合にあっては養子縁組あっせん事業変更届出書及び養子縁組あっせん事業許可証書換申請書(規則様式第5号)を都道府県知事に提出しなければならないこと。(規則第5条第2項)

③ 添付書類

この(1)の変更に係る事項が養子縁組あっせん事業を行う事業所の新設に係るものであるときは、②の書類に、新設する事業所に係る1(4)③並びに1(4)⑥c及び1(4)⑥dに掲げる書類を添付しなければならないこと。ただし、民間あっせん機関が養子縁組あっせん事業を行っている他の事業所の養子縁組あっせん責任者を当該新設する事業所の養子縁組あっせん責任者として引き続き選任したときは、1(4)⑥cに掲げる書類を添付することを要しないこと。(規則第5条第3項)

また、事業所の新設に係る変更の届出以外の届出にあっては、②の書類に、1(4)に掲げる書類のうち当該変更事項に係る書類(事業所の廃止に係る変更の届出にあっては、当該廃止した事業所に係るあっせん許可証)を添付しなければならないこと。(規則第5条第4項)

④ 許可申請時の添付書類のみに変更があった場合

民間あっせん機関は、1(1)の許可の申請時に添付した1(4)の書類に変更があった場合には、遅滞なく、都道府県知事に変更後の書類を提出しなければならないこと。

(2) (1)の変更の届出をせず、若しくは虚偽の届出をし、又は(1)の変更の届出に係る書類に虚偽の記載をして提出した者は、30万円以下の罰金に処せられるものであること。(法第46条)

(3) 都道府県知事は、(1)により養子縁組あっせん事業を行う事業所の新設に係る変更の届出があったときは、当該新設に係る事業所ごとに、許可証を交付しなければならない。(法第13条第2項及び規則第5条第5項)

(4) 民間あっせん機関は、(1)の変更の届出をする場合において、当該届出に係る事項があっせん許可証の記載事項に該当するときは、その書換えを受けなければならないこと。

9 事業の廃止(法第14条)

(1) 民間あっせん機関は、養子縁組あっせん事業を廃止しようとするときは、廃止の日の1月前までに、その旨を都道府県知事に報告しなければならないこと。(規則第6条第1項)

(2) 民間あっせん機関は、養子縁組あっせん事業を廃止したときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならないこと。(法第14条第1項)

当該届出をしようとする者は、養子縁組あっせん事業を廃止した日から10日以内に、養子縁組あっせん事業を行うすべての事業所に係るあっせん許可証を添えて、養子縁組あっせん事業廃止届出書(規則様式第6号)を都道府県知事に提出しなければならないこと。(規則第6条第2項)

(3) (2)の届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、30万円以下の罰金に処せられるものであること。(法第46条)

(4) (2)による届出があったときは、1(1)の許可は、その効力を失うこと。(法第14条第2項)

10 改善命令(法第15条)

(1) 都道府県知事は、民間あっせん機関が、その業務に関しこの法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反した場合において、当該業務の適正な運営を確保するために必要があると認めるときは、当該民間あっせん機関に対し、当該業務の運営を改善するために必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。

(2) (1)の命令に違反した者は、6月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられるものであること。(法第45条)

11 許可の取消し等(法第16条)

(1) 都道府県知事は、民間あっせん機関が次のいずれかに該当するときは、1(1)の許可を取り消すことができる。

① 3(⑥を除く。)のいずれかに該当しているとき。

② この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定又はこの法律の規定に基づく処分に違反したとき。

③ 6(1)により付された許可の条件に違反したとき。

(2) 都道府県知事は、民間あっせん機関が(1)②又は(1)③に該当するときは、期間を定めて養子縁組あっせん事業の全部又は一部の停止を命ずることができる。

(3) (2)による事業の停止の命令に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられるものであること。(法第44条)

12 名義貸しの禁止(法第17条)

(1) 民間あっせん機関は、自己の名義をもって、他人に養子縁組あっせん事業を行わせてはならないこと。

(2) (1)に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられるものであること。(法第44条)

13 帳簿の備付け等(法第18条)

(1) 民間あっせん機関は、養子縁組のあっせんに係る業務に関する事項を記載した帳簿を備え付け、これを保存しなければならないこと。

なお、帳簿は児童が自らの出自を知るために重要な資料であり、不慮の災害等による記録の滅失防止のためにバックアップをとる等、保管において十分な対策を事前にとるべきであること。

① 記載事項(規則第7条第1項)

・ 児童に関する情報

・ 児童の父母等に関する情報

・ 養子縁組の経緯及び養子縁組が成立した後の状況

・ 養親希望者に関する情報

② 電子ファイルによる帳簿の代用(規則第7条第2項)

①に掲げる事項が、電子計算機に備えられたファイル又は光ディスク、磁気ディスクその他これらに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物(③において「光ディスク等」という。)に記録され、必要に応じ民間あっせん機関において電子計算機その他の機器を用いて明確に紙面に表示されるときは、当該記録をもって帳簿への記載に代えることができること。

③ 帳簿の保存期間(規則第7条第3項)

民間あっせん機関は、帳簿(②による記録が行われた光ディスク等を含む。以下同じ。)を、養子縁組あっせん事業に係る業務の全部を廃止するまで保存しなければならないこと。

④ 適用時期

1(1)の許可を受けた民間あっせん機関は、許可を受けた日以降に取得する情報及び許可を受けた時点で現に保有している情報について、帳簿の保存の義務が生じるものであること。

(2) (1)に違反して帳簿を備え付けず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をした者又は(1)に違反して帳簿を保存しなかった者は、30万円以下の罰金に処せられるものであること。(法第46条)

14 帳簿の引継ぎ(法第19条)

(1) 民間あっせん機関は、11(1)により1(1)の許可を取り消されたとき、7(2)の更新を受けなかったとき又は養子縁組あっせん事業を廃止しようとするときは、その保存に係る13の帳簿を、都道府県知事又は他の民間あっせん機関に引き継がなければならないこと。

① 引継ぎ対象(規則第8条第1項)

(1)の引継ぎは、民間あっせん機関が13(1)により保存することとされている全ての帳簿について行わなければならないこと。

② 引き継いだ帳簿の保存期間(規則第8条第2項)

(1)の引継ぎを受けた民間あっせん機関は、その帳簿の全てを養子縁組あっせん事業に係る業務の全部を廃止するまで保存しなければならないこと。

③ 帳簿の引継ぎに関する事前説明

民間あっせん機関は、1(1)の許可を取り消された等の場合に、この(1)により帳簿を都道府県知事又は他の民間あっせん機関に引き継ぐこととなる旨、養子縁組のあっせんの申し込みをしようとする養親希望者及び児童の父母等に対して、事前に説明すべきであること。

(2) (1)に違反して帳簿を保存しなかった者は、30万円以下の罰金に処せられるものであること。(法第46条)

15 事業報告(法第20条及び規則第9条)

民間あっせん機関は、毎事業年度終了後2月以内に、養子縁組あっせん事業を行う事業所ごとの養子縁組あっせん事業に係る事業報告書を作成し、都道府県知事に提出しなければならない。ただし、天災その他の都道府県知事がやむを得ないと認める場合にあってはこの限りではない。

16 業務の質の評価等(法第21条)

(1) 民間あっせん機関は、その行う養子縁組のあっせんに係る業務の質について、自ら評価を行うとともに、厚生労働省令で定めるところにより、評価機関(養子縁組のあっせんに係る業務についての評価を行う機関として厚生労働省令で定める者をいう。)による評価を受け、それらの結果を公表しなければならない。

(2) 民間あっせん機関は、(1)の評価の結果に基づき、養子縁組のあっせんに係る業務の改善を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(3) その他、自己評価及び第三者評価を行うに当たっての詳細については、「養子縁組のあっせんを行う民間あっせん機関における自己評価及び第三者評価の実施について」(平成31年3月29日付け子発0329第19号厚生労働省子ども家庭局長通知)によること。

17 民間あっせん機関に対する支援(法第22条)

国又は地方公共団体は、民間あっせん機関を支援するために必要な財政上の措置、養子縁組のあっせんに係る業務に従事する者に対する研修その他の措置を講ずることができる。

Ⅲ 養子縁組のあっせんに係る業務

1 相談支援(法第23条)

民間あっせん機関は、養子縁組のあっせんに関し、児童の父母、児童の父母以外の者で児童を現に監護するもの、養親希望者、児童等を支援するため、これらの者に対し、専門的な知識及び技術に基づいて、面会の方法により相談に応じ、必要な情報の提供、助言その他の援助を行うものとすること。

具体的には、以下のとおりとすること。

(1) 児童の父母等による養育の可能性の模索(指針第2の1)

養子縁組は、児童の父母等が自ら養育することの可能性や養子縁組を行うことによる当該児童の利益等について十分熟慮した上で決定されることが必要であること。

このため、児童の父母等が養子縁組に関し意思決定を行う前に、児童の父母等に対して、その経済的な問題や子育ての問題を解決するための児童相談所、福祉事務所等による公的な支援を受けながら自ら養育することができる可能性や、自ら養育しない場合に児童の里親委託等の選択肢をとり得る可能性について説明を行うこと。

また、これと並行して、当該児童の発達段階、当該児童が児童虐待を受けた事実の有無、児童の父母等の生活状況等を考慮し、必要に応じて、児童相談所、福祉事務所等の関係機関に連絡をとるなど、当該児童及びその父母等に対し、適切な支援が提供されるようにするための措置を講ずること。特に、年齢が高い児童の場合には、新生児期の養子縁組とは異なる支援が必要であることに留意すること。なお、児童の父母等の支援に当たっては、子育て世代包括支援センターや女性健康センター等の関係機関の相談支援において、特定妊婦に同行するなど、出生前の児童の父母等も含め、必要な措置を講ずること。

児童の父母等が自ら育てる意思を固めた場合においては、当該児童の父母等及びその親族の状況や収入等の養育環境を確認し、児童の安全や健全な育成の観点から支援が必要と認められる場合には、児童相談所、福祉事務所等の関係機関へ連絡するなどの必要な対応を採ること。児童の父母等が養子縁組のあっせんを希望する意思を固めた場合においても、当該児童の父母等に対し、適切な支援が提供されるよう、同様の措置を講ずること。

児童の父母等が養子縁組のあっせんに同意するか否かについて考える時間と環境が与えられることは重要であり、児童の出生後に同意を得ることを原則とする5の趣旨に鑑み、生まれた児童とその児童の父母等との交流を禁止してはならないこと。なお、児童とその父母等との交流に際し、児童に危害が加えられる可能性がある等の場合には、当該児童が要保護児童に該当するものとして、児童福祉法第25条第1項の規定に基づき、管轄の児童相談所に通告すること。

(2) 縁組成立前養育における支援(指針第1の5及び第4の4)

養親希望者による養育が開始された後は、養親希望者と児童の関係は日々の生活の中で、様々な状況に直面することとなるため、民間あっせん機関は、児童の年齢や発達段階に応じて、養親希望者と児童を定期的に訪問し、監護の状況を確認し、養親希望者の居住地を管轄する児童相談所等の関係機関と連携しながら、必要に応じて相談援助を行わなければならないこと。

児童の最善の利益の観点から、法律上の親子関係を成立させることが望ましいと考えられる場合、特別養子制度における養子となる者の年齢の上限の引上げに関わらず、速やかに養子縁組に係る家庭裁判所への申立てが行えるよう、養親希望者に対して、必要な支援を行わなければならないこと。

特に、児童が一定の年齢に達している場合に民法(明治29年法律第89号)第187条の2第1項に規定する特別養子縁組(以下「特別養子縁組」という。)に対する当該児童の意思を確認する際には、次に掲げる事項について留意する必要があることから、これを踏まえて養親希望者に対して適切な助言を行うこと。

① 現在の状況や特別養子縁組の法的効果(児童の実方の父母やその親族、兄弟との法律上の親族関係が終了すること、養親との離縁が原則的に禁止されていること等)、今後の見通しについて、本人が適切に理解できるように丁寧に説明する必要があること。

② 児童が既に同居している者との特別養子縁組を検討している場合には、児童が自由に意見を述べることができるよう、その者が同席しない場で説明・意思確認を行う等の配慮を検討すること。

このとき、児童に対して自らが実親ではないこと等について告知がされていない場合については、養親希望者にその告知の重要性を伝えるとともに必要な支援を行うこと。特に、児童が15歳以上である場合には、特別養子縁組の成立には当該児童の同意が要件となることから、その同意の前提として告知がされていることが必要となることを養親候補者に説明すること。

また、支援を行っても、養親希望者と児童との関係が良好でない、児童の父母等が法第27条第7項の規定による同意を撤回した等のために養親希望者による養子縁組の成立前の児童の養育(以下「縁組成立前養育」という。)が中止された場合には、養親希望者と児童の双方に対して丁寧なケアを行わなければならないこと。さらに、児童の安全や健全な育成の観点から支援が必要と認められる場合には、児童相談所、福祉事務所等の関係機関に連絡をするなどの必要な対応を採らなければならないこと。

2 養親希望者による養子縁組のあっせんの申込み等(法第24条)

(1) 民間あっせん機関は、養親希望者から養子縁組のあっせんの申込みがあった場合において、その申込みの内容が法令に違反するとき又は当該養親希望者による児童の監護が著しく困難若しくは不適当であることが明らかであるときは、その申込みに係る契約を締結してはならないこと。(法第24条第1項)

なお、養親希望者が民法に定める養子縁組の要件を満たさない場合や、刑法第226条の2の刑罰規定に係る人身売買や児童福祉法第34条各号に掲げる禁止行為を目的とした養子縁組の申込みに該当する場合は、「申込みの内容が法令に違反する」場合に該当するものであること。

また、養親希望者が暴力団員等の反社会的勢力の者又は反社会的勢力の者と関わりを持っている者である場合は、児童の監護が不適当である場合に該当するものであること。

(2) 民間あっせん機関は、養親希望者から養子縁組のあっせんの申込みがあったときは、次に掲げる事項を確認しなければならないこと。(法第24条第2項)

① 養親希望者の氏名、生年月日、性別及び住所

② 養親希望者の同居人がある場合にあっては、当該同居人の氏名、生年月日及び性別並びに養親希望者との関係

③ 養親希望者の職業、収入及び経歴

④ 養親希望者の居住する住宅の状況その他家庭の状況

⑤ 次に掲げる事項(規則第10条第1項)

・ 養親希望者の心身の健康状態

・ 養親希望者の同居人がある場合にあっては、当該同居人の職業及び健康状態

・ 養子縁組のあっせんを希望する理由

・ 4④の研修を修了した年月日又は修了する見込みの年月日

・ 養親希望者が4の①から⑤までのいずれにも該当しない者であること及び養親希望者の同居人がある場合にあっては、当該同居人が4の①から③までのいずれにも該当しない者であること

・ 児童福祉法第6条の4第2号に規定する養子縁組里親である場合はその旨及び養子縁組里親名簿の登録を受けた都道府県名

(3) (2)の確認は、申込書のほか、次に掲げる書類により行うものとすること。(規則第10条第2項)

・ 養親希望者及びその同居人(当該養親希望者に同居人がある場合に限る。)の戸籍の謄本及び養親希望者の属する世帯の全員の住民票の写し

・ 養親希望者及びその同居人(当該養親希望者に同居人がある場合に限る。)の履歴書

・ 養親希望者の居住する家屋の平面図

・ 4④の研修を修了したこと又は修了する見込みであることを証する書類

・ 養親希望者が4の①から⑤までのいずれにも該当しない者であること及び養親希望者の同居人がある場合にあっては、当該同居人が4の①から③までのいずれにも該当しない者であることを証する書類

(4) 民間あっせん機関は、あらかじめ、養子縁組のあっせんの申込みをする養親希望者に対し、電子メールの送信その他のインターネットを利用する方法又は書面を交付する方法により、養子縁組のあっせんに関する手数料の種類及び額を明示しなければならないこと。(法第24条第3項及び規則第10条第3項)

(5) 民間あっせん機関は、養子縁組のあっせんを行う前に、養親希望者及びその全ての同居家族と面会を行うとともに、少なくとも一度は養親希望者の家庭訪問を行い、養親希望者及びその全ての同居家族の意向、家庭状況等を把握し、養親として適切な養育ができることを確認しなければならないこと。

養親希望者の適性の確認に当たっては、養親希望者が一定の年齢に達していること、夫婦共働きであること、特定の疾病に罹患した経験があること等をもって排除してはならず、子どもの成長の過程に応じて必要な気力、体力、経済力等が求められること等、養親希望者と将来の見通しを具体的に話し合いながら適否を検討しなければならないこと。(指針第4の2)なお、成年被後見人又は被保佐人であることのみをもって適性がないものとすることは適当ではないことに留意すること。

3 児童の父母等による養子縁組のあっせんの申込み等(法第25条)

(1) 民間あっせん機関は、児童の父若しくは母(児童の出生により当該児童の父又は母となるべき者を含む。)又は児童の父母以外の者であって児童についての監護の権利を有するもの(児童の出生により当該児童についての監護の権利を有する者となるべき者を含む。以下同じ。)から児童のためにする養子縁組のあっせんの申込みがあったときは、正当な理由がなければ、その申込みに係る契約の締結を拒んではならないこと。(法第25条第1項)

なお、「正当な理由」がある場合には、例えば、刑法第226条の2の刑罰規定に係る人身売買や児童福祉法第34条各号に掲げる禁止行為を目的とした養子縁組の申込みに該当するなど、申込みの内容が法令に違反している場合や、児童について監護権を有していない者からの申込みである場合が該当するものであること。

(2) 民間あっせん機関は、児童のためにする養子縁組のあっせんの申込みがあったときは、次に掲げる事項を、申込書のほか、児童の戸籍の謄本又は抄本その他の書類により、確認しなければならないこと。(法第25条第2項及び規則第11条第1項)

① 養子縁組のあっせんの申込みをした者の氏名、生年月日及び住所並びに児童との関係

② 児童の氏名、生年月日、性別及び住所

③ 児童の父母の氏名、生年月日及び住所

④ 児童の父母以外に児童の法定代理人(児童の出生により当該児童の法定代理人となるべき者を含む。以下同じ。)又は児童についての監護の権利を有する者がある場合にあっては、その者の氏名、生年月日及び住所

⑤ 児童の監護の状況

⑥ 次に掲げる事項(規則第11条第2項)

・ 児童の出生の届出の有無

・ 養子縁組のあっせんを希望する理由及び養子縁組のあっせんを希望する理由に至った経緯

・ 児童の心身の健康に関する情報

4 養子縁組のあっせんを受けることができない養親希望者(法第26条)

民間あっせん機関は、養親希望者が次のいずれかに該当する者であるとき又はその同居人が①から③までのいずれかに該当する者であるときは、当該養親希望者に対する養子縁組のあっせんを行ってはならないこと。

① 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者

② この法律、児童福祉法、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律その他国民の福祉に関する法律の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者

なお、「国民の福祉に関する法律」は次に掲げるものであること。(令第2条)

・ 社会福祉法

・ 児童扶養手当法(昭和36年法律第238号)

・ 特別児童扶養手当等の支給に関する法律(昭和39年法律第134号)

・ 児童手当法(昭和46年法律第73号)

・ 平成22年度等における子ども手当の支給に関する法律(平成22年法律第19号)

・ 平成23年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法(平成23年法律第107号)

・ 認定こども園法

・ 子ども・子育て支援法

・ 国家戦略特別区域法(第12条の5第15項及び第17項から第19項までの規定に限る。)

③ 児童虐待又は児童福祉法第33条の10に規定する被措置児童等虐待を行った者その他児童の福祉に関し著しく不適当な行為をした者

なお、その他児童の福祉に関し著しく不適当な行為をした者には、例えば刑法第22章(第184条を除く。)の罪を犯した者その他これらに準ずる行為をした者が該当するものであること。

④ 児童の養育を適切に行うために必要な知識及び技能を習得させ、及び向上させるために必要な研修(以下この④において「養親希望者研修」という。)を修了していない者

養親希望者研修とは、民間あっせん機関又は民間あっせん機関からの委託を受けた社会福祉法人その他の者が行う研修であって、次に掲げる全ての科目について実施するものであるとともに、講義、演習及び実習の方法により行うものであること。(規則第12条及び養親希望者研修告示)

・ 児童福祉論(講義)

・ 養護原理(講義)

・ 養育論(講義)

・ 発達心理学(講義)

・ 小児医学(講義)

・ 養育技術(講義)

・ 養育演習(講義・演習)

・ 養育実習(実習)

なお、児童福祉法施行規則(昭和23年厚生省令第11号)第1条の34に規定する養育里親研修(以下この④において「養育里親研修」という。)、同規則第1条の37第2号に規定する専門里親研修又は同規則第1条の38に規定する養子縁組里親研修(以下この④において「養子縁組里親研修」という。)を修了した者に対しては、相当と認められる範囲で、上記科目の一部を免除することができること。(養親希望者研修告示)

この場合においても、少なくとも養育演習及び養育実習については、養親希望者の適性の確認やあっせんの各段階における支援内容の検討等に資するよう、民間あっせん機関が自ら一義的な責任を持って研修を行うべきものであり、原則として養親希望者の状況に応じた研修を行うべきものであることに留意すること。

また、養親希望者研修は、養育里親研修や養子縁組里親研修を参考に、講義及び演習を3日、実習を3日以上のカリキュラムによって行うこととすること。

なお、親権者は、児童のしつけに際して、体罰を加えることその他民法第820条の規定による監護及び教育に必要な範囲を超える行為により当該児童を懲戒してはならず、当該児童の親権の適切な行使に配慮しなければならないこととされていること(児童虐待の防止等に関する法律第14条)を踏まえ、養親希望者研修の機会を利用して、「「体罰等によらない子育てのために」の周知・啓発について」(令和2年2月21日付け子発0221第6号、障発0221第1号子ども家庭局長、社会・援護局障害保健福祉部長通知)において示されている、体罰の範囲やその禁止に関する考え方、体罰等によらない子育ての方法等に係る周知・啓発を行うことが考えられること。

⑤ 2(2)又は8の確認に協力することについて同意しない者

5 児童の父母等の同意(法第27条)

(1) 児童の権利に関する条約第7条第1項では、児童はできる限りその父母を知りかつその父母によって養育される権利を有するとされている。

これを踏まえ、平成28年改正では、まずは児童が家庭において健やかに養育されるよう保護者を支援し、家庭における養育が適当でない場合は、児童が家庭における養育環境と同様の養育環境において継続的に養育されるよう必要な措置を講じ、これらの措置が適当でない場合、児童ができる限り良好な家庭的環境で養育されるよう必要な措置を講ずべき旨が児童福祉法第3条の2に規定された。民間あっせん機関が養子縁組のあっせんを行うに当たっては、これらの規定の趣旨を十分に尊重することが必要であること。

(2) 民間あっせん機関は、養子縁組のあっせんを行うときは、養親希望者の選定に先立ち、養親希望者の選定を行うことについて、次に掲げる場合に応じて、それぞれ次に掲げる者から同意を得なければならないこと。(法第27条第1項から第3項まで)

ただし、特別養子縁組の成立に係る民法第817条の6に規定する父母の同意については、特別養子適格の確認の審判において、養子となるべき者の出生の日から2月を経過した後に、家庭裁判所調査官による事実の調査を経た上で家庭裁判所に書面を提出してされたもの又は審問の期日においてされたものであり、その同意をした日から2週間を経過した場合には、撤回することができない(以下「民法上の同意の撤回制限」という。)こととされているが、この場合であっても、児童の父母から養親希望者の選定を行うことについての同意を得ることは必要であるから、丁寧に説明するなどして理解を得るようにすること。

① 特別養子縁組に係る養子縁組のあっせんを行うとき

・ 当該養子縁組のあっせんに係る児童の父母

・ 当該養子縁組のあっせんに係る児童の父母以外に当該養子縁組のあっせんに係る児童についての監護の権利を有する者がある場合にあっては、当該者

② 15歳未満の児童を養子とする養子縁組(特別養子縁組を除く。(3)②及び(4)②において同じ。)に係る養子縁組のあっせんを行うとき

・ 当該養子縁組のあっせんに係る児童の法定代理人

・ 当該養子縁組のあっせんに係る児童の法定代理人以外に当該養子縁組のあっせんに係る児童の父又は母でその監護をすべき者であるものがある場合にあっては、当該父又は母

・ 当該養子縁組のあっせんに係る児童の父又は母で親権を停止されているものがある場合にあっては、当該父又は母

③ 15歳以上の児童を養子とする養子縁組に係る養子縁組のあっせんを行うとき

・ 当該養子縁組のあっせんに係る児童

(3) 民間あっせん機関は、養子縁組のあっせんを行うときは、養親希望者と児童との面会に先立ち、養親希望者と児童が面会することについて、当該養子縁組のあっせんに係る児童の出生後に、次に掲げる場合に応じて、それぞれ次に掲げる者から同意を得なければならないこと。(法第27条第4項から第6項まで)

ただし、児童の父母について民法上の同意の撤回制限がかかっている場合であっても、児童の父母から養親希望者と児童が面会することについての同意を得ることは必要であるから、丁寧に説明するなどして理解を得るようにすること。

① 特別養子縁組に係る養子縁組のあっせんを行うとき

・ (2)①に掲げる者

② 15歳未満の児童を養子とする養子縁組に係る養子縁組のあっせんを行うとき

・ (2)②に掲げる者

③ 15歳以上の児童を養子とする養子縁組に係る養子縁組のあっせんを行うとき

・ (2)③に掲げる者

(4) 民間あっせん機関は養子縁組のあっせんに際し、縁組成立前養育に先立ち、これを行うことについて、当該養子縁組のあっせんに係る児童の出生後に、次に掲げる場合に応じて、それぞれ次に掲げる者から同意を得なければならないこと。(法第27条第7項から第9項まで)

ただし、児童の父母について民法上の同意の撤回制限がかかっている場合であっても、児童の父母から縁組成立前養育を行うことについての同意を得ることは必要であるから、丁寧に説明するなどして理解を得るようにすること。

① 特別養子縁組に係る養子縁組のあっせんを行うとき

・ (2)①に掲げる者

② 15歳未満の児童を養子とする養子縁組に係る養子縁組のあっせんを行うとき

・ 当該養子縁組のあっせんに係る児童の法定代理人

・ 当該養子縁組のあっせんに係る児童の父又は母で親権を停止されているものがある場合にあっては、当該父又は母

・ 当該養子縁組のあっせんに係る児童の法定代理人以外に当該養子縁組のあっせんに係る児童についての監護の権利を有する者がある場合にあっては、当該者

③ 15歳以上の児童を養子とする養子縁組に係る養子縁組のあっせんを行うとき

・ 当該養子縁組のあっせんに係る児童

・ 当該養子縁組のあっせんに係る児童についての監護の権利を有する者

(5) 同意を巡るトラブルを防止する観点から、(2)から(4)までの同意は、書面により得なければならないこと。(規則第13条第1項)

なお、児童の父母等の同意を得るに際しては、児童の父母等による児童の養育の可能性を十分に模索することが必要であること。その上で、児童の父母等が養子縁組のあっせんを希望する場合には、養子縁組の制度や養子縁組によって生じる効果、あっせんの手続、徴収する手数料、同意撤回時の費用負担の取扱い等について、面会の方法により、あらかじめ児童の父母等に対して丁寧に説明すること。(指針第2の2)

(6) 民間あっせん機関は、(2)から(4)までの同意を得るに当たっては、あらかじめ、(2)から(4)までにより同意を得なければならないこととされている者に対し、その置かれている状況等を勘案し、専門的な知識及び技術に基づいて、面会等の方法により相談に応じ、必要な情報の提供、助言その他の援助を十分に行わなければならないこと。(法第27条第10項)

(7) (2)から(4)までは、民間あっせん機関が、(2)から(4)までにより同意を得なければならないこととされている者から、(2)から(4)までの同意を同時に得ることを妨げるものではないこと。(法第27条第11項)

なお、児童の父母等の同意は、あっせんの各段階において、その都度得ることを原則とするが、事前の相談時における児童の父母等の発言等から、将来的に連絡が取れなくなり、同意を得ることが困難になる可能性が高い場合には、この(7)により、事前に同意を得ておくことも認められること。併せて、児童の父母等が児童を残して失踪した場合、児童が児童虐待を受けたと思われる場合等、当該児童が要保護児童又は児童虐待を受けた児童に当たる可能性がある場合には、児童福祉法第25条第1項又は児童虐待の防止等に関する法律第6条第1項の規定に基づき、これを児童相談所等に通告すること。(指針第2の2及び第7の1)

また、縁組成立前養育の開始後に児童の父母等が同意を撤回した場合には、児童の心身への影響が大きいことから、民間あっせん機関は、この(7)により一括同意を得た場合等、事前に児童の父母等から縁組成立前養育を行うことについての同意を得ている場合であっても、縁組成立前養育に先立ち、改めて縁組成立前養育を行うことへの同意について児童の父母等に確認するよう努めること。(指針第2の2)

(8) (2)から(4)までの同意をした者は、養子縁組のあっせんに係る児童についてその養子縁組が成立するまでの間、いつでも、その同意を撤回することができること。(法第27条第12項)

なお、児童の父母等の(2)から(4)までの同意の撤回は、トラブルを防止する観点から、書面により行わなければならないこと。(規則第13条第2項)

(9) 民間あっせん機関は、児童の父母等の熟慮や(2)から(4)までの同意の撤回を妨げる行為として次に掲げる行為をしてはならないものであること。

ただし、児童の父母について民法上の同意の撤回制限がかかっている場合であっても、児童の父母の熟慮や(2)から(4)までの同意の撤回を妨げる行為として次に掲げる行為をしてはならないものであること。(指針第2の3)

・ 期限までに(2)から(4)までの同意が無ければ養子縁組のあっせんを行わないこととして児童の父母等に当該期限までに早急に同意するよう求めること。

・ 児童の父母等に対し(2)から(4)までの同意の撤回を禁止すること。

・ 児童の父母等による(2)から(4)までの同意の撤回を困難にすることを目的として、その撤回に当たり追加の費用を求めたり、心理的な圧迫を加えたりすること。

なお、経済的に困窮している児童の父母等が(2)から(4)までの同意の撤回を希望する場合には、費用の負担が当該同意の撤回の妨げとならないよう、特に配慮すべきであり、民間あっせん機関は、公的支援につなげるなど適切なソーシャルワークを行うとともに、手数料の徴収についても柔軟に対応することが望ましいこと。児童の父母等が(2)から(4)までの同意の撤回を希望する場合に、手数料の支払いを児童の引き渡しの条件とするようなことは厳に慎むこと。

6 養子縁組のあっせんに係る児童の養育(法第28条)

民間あっせん機関は、養子縁組のあっせんに係る児童についての監護の権利を有する者から当該児童を委託された場合には、養親希望者が当該児童の養育を開始するまでの間、当該児童が適切に養育されるよう必要な措置を講じなければならないこと。

7 縁組成立前養育(法第29条)

(1) 民間あっせん機関は、特別養子縁組に係る養子縁組のあっせんを受けることを養親希望者が希望する場合には、養親希望者に縁組成立前養育を行わせなければならないこと。

(2) 民間あっせん機関は、養親希望者に縁組成立前養育を行わせようとするときは、養親希望者から、次に掲げる事項について、書面による同意を得なければならないこと。

① 民間あっせん機関から、10(1)又は10(2)による報告を行うための協力その他児童の監護の状況等を把握するための協力を求められたときは、その求めに応ずること。

② 民間あっせん機関から、(5)により縁組成立前養育の中止を求められたときは、当該縁組成立前養育を中止し、児童を民間あっせん機関に引き渡すこと。

③ 住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)の規定に基づく児童の住所の異動に係る届出及び児童福祉法第30条第1項の規定に基づく届出を行うこと。(規則第14条)

(3) 民間あっせん機関は、縁組成立前養育が行われている場合には、養親希望者及び児童に対して面会の方法により相談に応ずること等により、適時かつ適切に縁組成立前養育における監護の状況等を把握するよう努めなければならないこと。

(4) 民間あっせん機関は、縁組成立前養育が行われている場合において、縁組成立前養育における監護の状況等を踏まえ、養親希望者と児童との間で養子縁組を成立させることが児童の最善の利益に適合すると認めるに至ったときは、養親希望者に対し、速やかに養子縁組を成立させるために必要な手続をとるよう指導及び助言を行うものとすること。

(5) 民間あっせん機関は、次に掲げる場合には、養親希望者に対し、縁組成立前養育の中止を求めなければならないこと。

① 縁組成立前養育における監護の状況等を踏まえ、養親希望者と児童との間で養子縁組を成立させることが児童の最善の利益に適合しないと認めるに至ったとき。

② 5の(2)から(4)までの同意が撤回されたとき。

③ ①及び②に掲げる場合のほか、児童と養親希望者との間で養子縁組が成立する見込みがないこと等により、縁組成立前養育を継続させることが相当でないと認めるに至ったとき。

8 養子縁組の成否等の確認(法第30条)

民間あっせん機関は、その行った養子縁組のあっせんに関し、次に掲げる事項を確認しなければならないこと。

① 養子縁組を成立させるために必要な手続の開始の有無

② 児童と養親希望者との間の養子縁組の成否

③ ②の養子縁組が成立した場合において、その成立の日から6月間における当該養子縁組に係る児童の監護の状況、特別養子縁組の成立の審判に対する即時抗告の提起の有無及び即時抗告が提起された場合にあっては、当該即時抗告についての決定の内容(規則第15条)

9 縁組成立前養育の中止に伴う児童の保護に関する措置(法第31条及び指針第4の4)

民間あっせん機関は、7(5)により養親希望者に対して縁組成立前養育の中止を求めたときは、養親希望者から児童の引渡しを受けて、当該児童についての監護の権利を有する者に引き渡すこと、児童相談所に児童福祉法第25条第1項の規定による通告を行うことその他の児童の保護のための適切な措置を講ずるものとすること。

なお、縁組成立前養育が中止された場合には、1(2)後段のとおり、必要な対応を採ること。また、児童の安全や健全な育成の観点から支援が必要と認められる場合には、児童相談所、福祉事務所等の関係機関に連絡をするなどの必要な対応を採らなければならないこと。(指針第4の4)

具体的には、児童の監護の権利を有する者による当該児童の養育が困難であると認められる等、当該児童が要保護児童に当たる可能性がある場合には、児童福祉法第25条第1項の規定に基づき、児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他子どもを現に監護する者)の居住地を管轄する児童相談所等に通告すること。

10 都道府県知事への報告(法第32条)

(1) 養子縁組のあっせんが、児童の一生に与える影響の大きさに鑑み、不適切なあっせん行為があった場合、監督官庁である都道府県は迅速に対応することが求められる。このため、民間あっせん機関は、次の①から⑤までに掲げる事由が生じたときは、それぞれに掲げる事項を、その事由が生じた日から1月以内に、都道府県知事に報告しなければならないこと。なお、③及び⑤については、養子縁組のあっせんに係る児童が死亡した場合も報告が必要であることに留意すること。

① 養親希望者との養子縁組のあっせんに係る契約の締結 2(2)①及び2(2)②に掲げる事項

具体的には、以下の事項を報告しなければならないこと。

・ 養親希望者の氏名、生年月日、性別及び住所

・ 養親希望者の同居人がある場合にあっては、当該同居人の氏名、生年月日、性別、住所及び養親希望者との関係

なお、「養親希望者との養子縁組のあっせんに係る契約の締結」とは、2の申込みを受け、2(1)及び2(2)の確認及び4に該当しないことの確認等により養親希望者の適性が確認された者との契約を指すものであること。

② 縁組成立前養育の開始 2(2)の①から⑤までに掲げる事項及び3(2)の①から⑥までに掲げる事項(規則第16条第1項)

具体的には、以下の事項を報告しなければならないこと。

・ 縁組成立前養育に係る養親希望者の氏名、生年月日、性別、住所、職業、収入、経歴、居住する住宅の状況その他家庭の状況、健康状態、養子縁組のあっせんを希望する理由、4④の研修を修了した年月日又は修了する見込みの年月日並びに児童福祉法第6条の4第2号に規定する養子縁組里親である場合はその旨及びその登録をした都道府県名

・ 当該養親希望者の同居人がある場合にあっては、当該同居人の氏名、生年月日、性別、職業、健康状態及び養親希望者との関係

・ 当該養親希望者が4の①から⑤までのいずれにも該当しない者であること及び当該養親希望者の同居人がある場合にあっては、当該同居人が4の①から③までのいずれにも該当しない者であること

・ 3(1)の養子縁組のあっせんの申込みをした者が縁組成立前養育に係る児童の父母でない者である場合にあっては、当該者の氏名、生年月日及び住所並びに児童との関係

・ 縁組成立前養育に係る児童の氏名、生年月日、性別及び住所、出生の届出の有無、監護の状況、心身の健康に関する情報

・ 当該児童の父母の氏名、生年月日及び住所、養子縁組のあっせんを希望する理由及び養子縁組のあっせんを希望するに至った経緯

・ 当該児童の父母以外に当該児童の法定代理人又は当該児童についての監護の権利を有する者がある場合にあっては、その者の氏名、生年月日及び住所

③ 7(5)の①から③までに掲げる事由(縁組成立前養育が行われている場合に限る。) 当該事由の内容及び縁組成立前養育を開始した時から当該事由が生じた時までの間における縁組成立前養育における監護の状況(規則第16条第2項)

④ 養子縁組を成立させるために必要な手続の開始 ②に掲げる事項(縁組成立前養育が行われていない場合に限る。)及び特定の養親希望者が縁組成立前養育を開始した時から当該手続を開始した時までの間における監護の状況(規則第16条第3項)

⑤ 児童と養親希望者との間の養子縁組の成否の確定 当該養子縁組の成否、当該養子縁組を成立させるために必要な手続を開始した時から当該養子縁組の成否が確定した時までの間における監護の状況並びに当該養子縁組のあっせんに関して当該養子縁組に係る養親希望者及び児童の父母等から徴収する手数料の額(規則第16条第4項)

(2) 民間あっせん機関は、養子縁組の成立の日から6月が経過したときは、その経過した日から1月以内に、8③に掲げる事項を都道府県知事に報告しなければならないこと。

(3) 民間あっせん機関は、その養子縁組のあっせんに係る養親希望者が児童の養育を開始したときは、その養育を開始した日から1月以内に、当該児童の居住地の都道府県知事にその旨を届け出なければならないこと。

(4) (1)若しくは(2)による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は(3)による届出をせず、若しくは虚偽の届出をした者は、30万円以下の罰金に処せられるものであること。(法第46条)

11 養子縁組の成立後の支援(法第33条及び指針第5の1)

(1) 民間あっせん機関は、その行った養子縁組のあっせんについて、養子縁組の成立後において、養子となった者、養親となった者又は養子となった者の実父若しくは実母を支援するため、その求めに応じ、必要な情報の提供、助言その他の援助を行うよう努めるものとすること。

具体的には、民間あっせん機関は、養親及び児童について、定期的な訪問を行うなど関係性の維持を図るとともに、養親が、自らが養親であること等について、いつ児童に告知すべきか等児童の発達段階に応じた悩みに対する助言その他の必要な支援を行わなければならないこと。また、こうした支援は、養子縁組の成立の日から6月が経過するまではもとより、それ以後も継続的に行わなければならないこと。

また、遠隔地の養親に係る養子縁組をあっせんした場合には、定期的・継続的な支援が困難である場合も考えられるため、養子縁組の成立前から、養親の居住地を管轄する児童相談所等の関係機関と養親との関係作りを行い、養子縁組の成立後も継続的に支援が行えるような体制を整えなければならないこと。

併せて、児童の父母等に対して、支援が必要と認められる場合には、福祉事務所等の関係機関へ連絡するなどの必要な対応を採らなければならないこと。

12 養親希望者等への情報の提供(法第34条)

(1) 養親希望者が適切に児童を養育するためには、児童の父母等であれば通常知り得る当該児童の心身の状況に関する情報についても、十分に把握した上で養育を行う必要がある。

このため、民間あっせん機関は、その養子縁組のあっせんに係る児童について養親希望者又は養親となった者(以下この12において「養親希望者等」という。)による養育が開始されるまでに、当該養親希望者等に対し、当該児童の心身の状況に関し、当該児童の養育に必要な情報を提供しなければならないこと。

具体的には、民間あっせん機関は、児童の監護の状況に関する情報及び児童の心身の健康に関する情報を提供しなければならないこと。(法第34条第2項及び規則第17条第1項)

なお、「児童の監護の状況に関する情報」とは、児童を養親希望者に引き渡すまでの間の児童の父母等又は民間あっせん機関による児童の監護の状況を指すものであり、「児童の心身の健康に関する情報」とは、乳児検診等により、児童の父母等であれば通常知り得る範囲と同程度の情報を指すものであること。

(2) 一方で、不必要な情報の提供は、個人の権利利益を害するおそれがあることから、民間あっせん機関は、養親希望者等に対し、養子縁組のあっせんに係る児童の父母に関する情報を提供してはならないこと。

具体的には、民間あっせん機関は、児童の父母の同意がない情報((1)に掲げる児童の監護の状況に関する情報及び児童の心身の健康に関する情報並びに当該児童との養子縁組を成立させるための手続に必要な情報を除く。)を提供してはならないこと。(規則第17条第2項)

13 秘密を守る義務等(法第35条)

(1) 民間あっせん機関及びその代理人、使用人その他の従業者は、正当な理由なく、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしてはならないこと。民間あっせん機関及びその代理人、使用人その他の従業者でなくなった後においても、同様とすること。

(2) (1)に違反して秘密を漏らした者は、30万円以下の罰金に処せられるものであること。(法第46条)

(3) 民間あっせん機関及びその代理人、使用人その他の従業者は、(1)の秘密のほか、その業務に関して知り得た個人情報を、みだりに他人に知らせてはならないこと。民間あっせん機関及びその代理人、使用人その他の従業者でなくなった後においても、同様とすること。

14 養子縁組あっせん責任者(法第36条)

(1) 民間あっせん機関は、事業所ごとに、当該事業所に係る養子縁組のあっせんに係る業務を適正に実施するため、養子縁組あっせん責任者を選任しなければならないこと。

(2) 養子縁組あっせん責任者は、Ⅱ3の②から⑦までに該当しない者であって養子縁組あっせん事業に関する熱意及び能力を有し、かつ、社会福祉士その他の資格又は経験を有するものでなければならないこと。

具体的には、次に掲げるいずれかの資格又は経験を有する者であって、厚生労働大臣が認める研修を修了したものでなければならないこと。(規則第18条第1項)

・ 社会福祉士

・ 児童福祉法に定める児童福祉司となる資格

・ 医師

・ 保健師

・ 助産師

・ 看護師

・ 都道府県知事が上記の者と同等以上の能力を有すると認める者であって、社会福祉施設の職員として勤務した期間の合計が3年以上であるもの

(3) 養子縁組あっせん責任者は、毎年、厚生労働大臣が認める研修を受けなければならないこと。(規則第18条第2項)

(4) (1)に違反した者は、30万円以下の罰金に処せられるものであること。(法第46条)

Ⅳ 雑則等

1 指針(法第37条)

厚生労働大臣は、民間あっせん機関が適切に養子縁組のあっせんに係る業務を行うために必要な指針を公表するものとすること。

なお、本指針に違反する養子縁組あっせん事業の運営は、2の指導及び助言等により、速やかな改善が図られるべきものであること。

2 指導及び助言(法第38条)

都道府県知事は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、民間あっせん機関に対し、その業務の適正な運営を確保するために必要な指導及び助言をすることができる。

3 報告及び検査(法第39条)

(1) 都道府県知事は、この法律を施行するために必要な限度において、民間あっせん機関に対し、必要な事項を報告させることができる。

なお、都道府県知事は、民間あっせん機関に対し、必要な報告をさせるときは、その理由を通知するものとする。(規則第19条)

(2) (1)による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、30万円以下の罰金に処せられるものであること。(法第46条)

(3) 都道府県知事は、この法律を施行するために必要な限度において、所属の職員に、民間あっせん機関の事業所その他の施設に立ち入り、関係者に質問させ、又は帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

なお、Ⅱ15及びこの3の(1)に基づく報告等により、養子縁組あっせん事業の運営が適正に行われていない疑いがある場合には、この(3)による立入検査を行うなど、さらに必要な調査を行うこと。また、当該調査により養子縁組あっせん事業の運営が適正に行われていないと判断される場合においては、改善すべき点を当該養子縁組あっせん事業に係る民間あっせん機関に具体的に指摘するなど、2の指導及び助言を行うこと。

(4) (3)による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の陳述をした者は、30万円以下の罰金に処せられるものであること。(法第46条)

(5) (3)により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書(規則様式第7号)を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

(6) (3)による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

4 養子縁組のあっせんに係る制度の周知(法第40条)

国及び地方公共団体は、児童に対する養育者との永続的な関係に基づいて行われる家庭における養育の機会の確保に資するよう、養子縁組のあっせんに係る制度の周知のための措置を講ずるものとする。

5 大都市等の特例(法第41条並びに令第3条及び第4条並びに地方自治法施行令第174条の26)

この法律中都道府県が処理することとされている全ての事務について、指定都市においては、指定都市が処理するものとするほか、児童福祉法第59条の4第1項に規定する児童相談所設置市(以下この5において「児童相談所設置市」という。)においては、児童相談所設置市が処理するものとする。この場合において、法の都道府県に関する規定は、指定都市又は児童相談所設置市に関する規定として、指定都市又は児童相談所設置市に適用があるものとする。

なお、中核市のうち、児童相談所を設置していない市にあっては、法の施行前に社会福祉法第69条第1項の規定による届出をして養子縁組あっせん事業を行っている事業者について、法の施行後は、当該事業者のⅡ1による許可の申請先が管轄の都道府県知事となることに留意すること。その際、中核市にあっては、都道府県に対して当該事業者に係る情報や資料の提供を行う等、引き継ぎに当たって、必要な協力を行うこと。

6 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、法第44条から第46条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科せられるものであること。(法第47条)

第3 その他

1 施行期日(法附則第1条及び施行期日令)

法は、平成30年4月1日(ただし、3(施行前の準備)は平成30年1月1日、第2のⅡ16(業務の質の評価等)は平成31年4月1日)から施行されるものであること。

2 経過措置(法附則第2条)

この法律の施行の際現に養子縁組のあっせんを業として行っている国、都道府県及び市町村以外の者であって、社会福祉法第69条第1項の規定による届出をしているものについては、法の施行の日(平成30年4月1日。以下同じ。)から起算して6月を経過する日までの間(その者が当該期間内に第2のⅡ1(1)の許可の申請をした場合又は施行日前に3(1)による許可の申請をした場合において、当該期間内に許可の拒否の処分があったときは当該処分のあった日までの間、当該期間を経過したときはこれらの申請について許可又は許可の拒否の処分があるまでの間)は、第2のⅡ1(1)の許可を受けないで、引き続き養子縁組のあっせんを業として行うことができること。

3 施行前の準備(法附則第3条)

(1) 第2のⅡ1(1)の許可を受けようとする者は、施行日前においても、平成30年1月1日以降は、第2のⅡ1の(3)及び(4)の規定の例により、その許可の申請をすることができること。

なお、平成30年4月1日までは、社会福祉法第69条第1項の規定による届出をすることにより、養子縁組あっせん事業を行うことができること。

(2) 都道府県知事は、(1)による許可の申請があった場合には、施行日前においても、第2のⅡの2及び3の例により、その許可をすることができる。この場合において、その許可を受けた者は、施行日において第2のⅡ1(1)の許可を受けたものとみなす。

(3) 第2のⅡ1(1)による許可の申請に係る申請書又はこれに添付すべき書類に虚偽の記載をして提出した者は、30万円以下の罰金に処せられるものであること。

(4) 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、(3)の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、(3)の刑が科せられるものであること。

4 検討(法附則第4条)

(1) 民間あっせん機関による養子縁組のあっせんを受けて養子となった者に対する当該養子縁組のあっせんに関する情報の開示等の制度の在り方については、この法律の公布後3年を目途として、検討が加えられ、その結果に基づいて所要の措置が講ぜられるものとする。

(2) 政府は、(1)の事項のほか、この法律の施行後3年を目途として、この法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。