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○医薬品の条件付き早期承認制度の実施について

(平成29年10月20日)

(薬生薬審発1020第1号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)

(公印省略)

重篤な疾患であって有効な治療方法が乏しく患者数が少ない疾患等を対象とする医薬品については、我が国での治験実施が困難、あるいは実施可能であっても治験の実施にかなりの長期間を要する場合がある。このような場合には、これまでも、状況に応じて個別に検討し、検証的臨床試験の成績を求めることなく、市販後に必要な調査等を実施することを承認条件として当該医薬品の製造販売承認を行ってきた。

その際、製造販売承認申請を行う者(以下「申請者」という。)は、個別に審査当局と合意した一定程度の試験の成績等を、承認申請に必要な資料として製造販売承認申請を行い、その後、審査の過程において市販後に実施すべき調査等が検討され、承認時に承認条件として付されてきた。

こうした中、今般、上記の取扱い等を整理し、明確にすることにより、企業における開発予見性を高め、早期の実用化を推進する「条件付き早期承認制度」(以下「本制度」という。)を実施することとした。

本制度の内容は下記のとおりであるので、その旨御了知の上、貴管下関係業者等に対し周知願いたい。

なお、本制度の実施により、これまでの医薬品の製造販売承認申請に必要な申請資料等の取扱いを変更するものではないことを念のため申し添える。

1.対象品目

以下の①~④のいずれにも該当する医薬品とする。

① 以下に分類して総合的に評価した結果、適応疾患が重篤であると認められること

1) 生命に重大な影響がある疾患(致死的な疾患)であること

2) 病気の進行が不可逆的で、日常生活に著しい影響を及ぼす疾患であること

3) その他

② 以下に分類して総合的に評価した結果、医療上の有用性が高いと認められること

1) 既存の治療法、予防法又は診断法がないこと

2) 有効性、安全性、肉体的・精神的な患者負担の観点から、医療上の有用性が既存の治療法、予防法又は診断法より優れていること

③ 検証的臨床試験の実施が困難であるか、実施可能であっても患者数が少ないこと等により実施に相当の期間を要すると判断されること

④ 検証的臨床試験以外の臨床試験等の成績により、一定の有効性、安全性が示されると判断されること

2.本制度の適用に係る手順

1) 申請者は、承認申請前に独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)の相談制度を活用し、本制度適用の該当性や承認申請に必要な申請データ・パッケージ、想定される承認条件の概要等(以下、「本制度適用の該当性等」という。)について相談を行う。

2) 製造販売承認申請に必要な治験の終了後に可及的速やかに申請できるようにすることを考慮すると、当該相談は、検証的臨床試験以外の臨床試験等により一定の有効性、安全性が示されると判断された段階で行うことが想定される。

3) PMDAは、想定される申請データ・パッケージに、実施中又は開始前の臨床試験の成績が含まれる場合でも、検証的臨床試験以外の臨床試験等の成績を踏まえ、本制度適用の該当性等について、申請者と合意し、評価報告書を作成する。

4) 申請者は、承認申請時に、当該新医薬品等の承認申請書の備考欄に「医薬品条件付き早期承認品目該当性相談を実施」と記載をした上で、当該評価報告書を添付して申請する。

5) 厚生労働省は、当該評価報告書を活用し、本制度の適用の可否の判断結果を直近の薬事・食品衛生審議会の担当部会に報告の上、了承を得る。

6) 厚生労働省は、申請者に対し、本制度の適用となった旨の通知を行う。また、当該新医薬品等の承認時にその旨を公表する。

3.PMDAとの相談の取扱いについて

本制度の目的は、重篤な疾患に対して医療上の有用性が高い医薬品を早期に実用化することであるため、PMDAと本制度適用の該当性等を検討する相談については、優先対面助言の対象とする。ただし、対象とする疾病の性質や実施された臨床試験の結果等により本制度適用の要件を満たさないと判断される場合は、その限りではない。

4.承認条件

本制度が適用される医薬品の承認の際には、製造販売後に当該医薬品の有効性、安全性の再確認等のために必要な調査等の実施を条件として付すこととする。

現在整備が進められているMID―NET等の医療情報データベースや患者レジストリー等を活用した調査についても、必要に応じて承認条件として実施を求める調査等として活用することができるものとする。また、医薬品の適正使用を確保する観点から、施設等の要件を定めることが適当な場合は、当該要件の確保に必要な措置等の実施についても、必要に応じて承認条件とすることとする。

なお、申請前に申請者及びPMDAとの間で合意された、想定される承認条件の概要については、申請時に提出される資料等から審査過程において変更される場合がある。

5.優先審査の取扱い

本制度が適用された医薬品については、「優先審査等の取扱いについて」(平成28年1月22日付け薬生審査発0122第12号、薬生機発0122第2号)の優先審査の適用要件を満たすことになるため、優先審査の対象となる。

6.承認条件の変更等

本制度が適用された医薬品の承認条件については、基本的には再審査時に条件が満たされたことの確認を行うこととする。ただし、承認条件として実施が求められた調査、臨床試験等の終了等により承認条件の変更等が必要と考えられる場合は、申請者は承認条件の変更等についてPMDAに相談することができる。

承認条件の解除については、「医療用医薬品の全例調査方式による使用成績調査及び市販直後調査に関するQ&Aについて」(平成21年9月7日付け厚生労働省医薬食品局審査管理課・安全対策課事務連絡)を参考にすること。なお、当該事務連絡に記されていない承認条件の場合については、個別に厚生労働省に要望書の提出の可能性及び時期について相談すること。

7.施行日

本通知は平成29年10月20日から施行する。

以上