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○医療ガスの安全管理について

(平成29年9月6日)

(医政発0906第3号)

(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省医政局長通知)

(公印省略)

病院及び診療所(以下「病院等」という。)における医療ガス(酸素、亜酸化窒素、治療用空気、吸引、二酸化炭素、手術機器駆動用窒素等をいう。以下同じ。)に関する構造設備(以下「医療ガス設備」という。)については、医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第16条第1項第1号の規定に基づき、危害防止上必要な方法を講ずることとされている。また、病院等の管理者は、医療法施行規則第1条の11第1項第3号の規定に基づき、医療に係る安全管理のための職員研修を実施することとされている。しかしながら、医療ガスの取扱いに関して重大な事故やヒヤリ・ハット事例が報告されていることに鑑み、医療ガス安全管理委員会が行う医療ガス設備の保守点検業務、医療ガスに係る安全管理のための職員研修等に関して留意すべき事項を下記のとおり示すこととした。

貴職におかれては、本通知の趣旨について御了知いただくとともに、医療ガスに係る安全管理が適切に行われるよう、貴管下の病院等に対する周知及び指導方お願いする。

なお、本通知をもって、「診療の用に供するガス設備の保安管理について」(昭和63年7月15日付け健政発第410号厚生省健康政策局長通知)は、廃止する。

1 病院等において、麻酔器、人工呼吸器等を設置し、医療ガスを使用して診療を行う場合には、当該病院等の管理者は、医療ガス安全管理委員会(以下「委員会」という。)を設置するなど、医療ガスに係る安全管理のための体制を確保すること。委員会はその業務として、医療ガス設備の保守点検業務、医療ガス設備の新設及び増設工事、部分的な改造、修理等(以下「工事」という。)の施工監理業務、医療ガスに係る安全管理のための職員研修等を行うこと。なお、委員会の構成及び業務については、別添1「医療ガス安全管理委員会について」を参照すること。

2 医療ガス設備の保守点検業務に当たっては、始業点検、日常点検及び定期点検を実施するとともに、日常点検及び定期点検については、点検作業の記録を作成し、保存すること。また、点検作業の終了後は、医療ガス設備が正常に動作することを確認すること。なお、保守点検業務に当たっての留意事項については、別添2「医療ガス設備の保守点検指針」を参照すること。

3 医療ガス設備の工事に当たっては、医療ガス設備に用いられる機材を医療ガスの種別により特定化し、医療ガスの種別の容易かつ確実な判別を可能とすることによって、種別の異なる医療ガス間の非互換性を確保し、誤接続を防止すること。また、工事完了後の臨床使用に先立って、適切な確認を行うこと。なお、工事の施工監理業務に当たっての留意事項については、別添3「医療ガス設備の工事施工監理指針」を参照すること。

4 病院等の職員に対する医療ガスに係る安全管理のための研修においては、酸素ボンベと二酸化炭素ボンベとの誤認や取違えなど、医療ガスに係る装置の誤接続に起因する事故やヒヤリ・ハット事例が散発していることに鑑み、医療ガスの安全管理に関する基本的な考え方及び事故防止の具体的方策について、周知徹底すること。また、当該病院等において医学管理を行っている患者の居宅その他病院等以外の場所で使用される医療ガスの安全管理についても、適切に研修が行われるよう、十分に留意すること。なお、当該研修の実施に当たっての留意事項については、別添4「医療ガスに係る安全管理のための職員研修指針」を参照すること。

別添1

医療ガス安全管理委員会について

1 目的

病院及び患者を入院させるための施設を有する診療所(以下「病院等」という。)の管理者は、医療ガス(酸素、亜酸化窒素、治療用空気、吸引、二酸化炭素、手術機器駆動用窒素等をいう。以下同じ。)に係る安全管理を図り、患者の安全を確保することを目的として、医療ガス安全管理委員会(以下「委員会」という。)を設置すること。なお、患者を入院させるための施設を有しない診療所については、委員会の設置は要しないこととするが、3の(5)に示す内容を遵守すること。

2 委員会の構成

(1) 委員会の委員には、原則として、医師又は歯科医師、薬剤師、看護師、臨床工学技士及び医療ガスに関する構造設備(以下「医療ガス設備」という。)の管理業務に従事する職員を含めること。また、麻酔、集中治療等を担当する麻酔科医が常時勤務している病院等にあっては、原則として当該麻酔科医を委員に含めること。

(2) 委員会には、医療ガスの安全管理に係る業務の監督及び総括を行う責任者として、医療ガス安全管理委員長(以下「委員長」という。)を置くこと。委員長は、病院等における医療安全管理についての知識を有し、かつ、医療ガスに関する知識と技術を有する者の中から選任すること。

3 委員会の業務等

(1) 実施責任者の選任

委員会は、医療ガス設備の保守点検業務(点検作業の終了後の動作確認を含む。以下同じ。)並びに医療ガス設備の新設及び増設工事、部分的な改造、修理等(以下「工事」という。)の施工監理業務を行う責任者(以下「実施責任者」という。)を定め、委員会の委員に含めること。実施責任者には、病院等の職員のうち医療ガス設備の正しい施工・取扱方法及び高圧ガス(特に酸素ガスと他の医療ガス)の誤接続の危険性について熟知し、医療ガスに関する専門知識と技術を有する者(高圧ガス保安法(昭和26年法律第204号)第28条第2項に規定する特定高圧ガス取扱主任者等)を任ずること。

(2) 名簿の設置

委員会は、委員会の構成員を明らかにした名簿を備えておくこと。

(3) 委員会の開催

委員長は委員会を年1回定期的に開催するとともに、必要に応じて適宜開催すること。

なお、外部の業者へ、保守点検業務の一部を委託又は工事の施工を発注する場合、必要に応じ、当該業者を参考人として委員会に出席させること。

(4) 委員会の業務

ア 委員会は、医療ガス設備について、別添2「医療ガス設備の保守点検指針」に基づいて、実施責任者に保守点検業務を行わせること。また、委員長は、実施責任者による業務を指導及び監督すること。なお、医療ガス設備の保守点検業務の一部については、医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第9条の13に規定する基準に適合する者に委託することができること。委託できない業務については、「医療法の一部を改正する法律の一部の施行について」(平成5年2月15日付け健政発第98号厚生省健康政策局長通知)第3の7の(1)のウを参照すること。

イ 委員会は、帳簿を備え、行われた日常点検及び定期点検についての記録を保存すること。保存期間は2年間とすること。

ウ 委員会は、医療ガス設備の工事に当たり、病院等内の各臨床部門の職員に工事を実施する旨を周知徹底すること。また、工事完了後の臨床使用に先立って、実施責任者又は病院等の職員のうち医療ガスに関する知識と技術を有する者として委員会が選任した者に、別添3「医療ガス設備の工事施工監理指針」に基づいて適切な確認を行わせること。

エ 委員会は、別添4「医療ガスに係る安全管理のための職員研修指針」に基づいて、病院等内の各臨床部門の職員に、医療ガスの安全管理に関する研修を実施することにより、医療ガスに係る安全管理に関する知識の普及及び啓発に努めること。また、研修の実施内容(開催日時、出席者、研修項目等)について記録すること。なお、当該研修は、他の医療安全に係る研修と併せて実施しても差し支えないこと。

オ その他医療ガスに係る安全管理に関する事項

(5) 患者を入院させるための施設を有しない診療所については、委員会の設置は要しないこととするが、診療所の管理者等の医療ガスに関する知識と技術を有する者が、実施責任者として、医療ガス設備の保守点検業務及び医療ガス設備の工事の施工監理業務を行い、日常点検及び定期点検についての記録を2年間保存するなど、本通知の趣旨に鑑み適切な医療ガスに係る安全管理を行うこと。

別添2

医療ガス設備の保守点検指針

この指針は、病院及び患者を入院させるための施設を有する診療所(以下「病院等」という。)における医療ガス(酸素、亜酸化窒素、治療用空気、吸引、二酸化炭素、手術機器駆動用窒素等をいう。以下同じ。)に関する構造設備(以下「医療ガス設備」という。)の使用上の安全確保を目的とした保守点検業務に当たり、安全管理上留意すべき事項を示すものである。なお、高圧ガス(高圧ガス保安法(昭和26年法律第204号)第2条に規定する「高圧ガス」をいう。以下同じ。)に関する構造設備の保守点検業務については、高圧ガス保安法も遵守すること。

なお、患者を入院させるための施設を有しない診療所については、委員会の設置は要しないこととするが、診療所の管理者等の医療ガスに関する知識と技術を有する者が、実施責任者として、本通知の趣旨に鑑み適切な医療ガス設備の保守点検業務を行うこと。

1 医療ガス設備の使用に当たっては、目的とする医療ガスを安定した状態で過誤なく患者に投与することが重要である。このため、医療ガス設備の保守点検業務に当たっては、次に掲げる点に留意すること。

(1) 医療ガス設備に用いられる機材を医療ガスの種別により特定化し、保守点検業務の実施者及び使用者が医療ガスの種別を容易かつ確実に判別することを可能とすることによって、種別の異なる医療ガス間の非互換性を確保し、誤接続を防止すること。

(2) 適正な使用材料及び部品を選定し、また清潔を維持するために必要な対応を行うこと。

(3) 点検作業の終了後、設備が正常に動作することを確認すること。

2 医療ガス設備の保守点検業務(点検作業の終了後の動作確認を含む。)は、事前に定められた実施責任者が適切に実施すること。

3 医療ガス設備の保守点検業務は、下記の要領に従って行うこと。

(1) 工事施工者が医療ガス設備の完成に当たって、完成図と共に保守点検要領書を提出している場合は、これを常備しておくこと。

(2) 保守点検業務は、始業点検、日常点検及び定期点検からなり、下記の点に留意して実施すること。なお、日常点検及び定期点検について記録を作成し、保存すること。この際の保存期間は2年間とすること。

① 始業点検(患者に使用する医療機器を配管端末器(アウトレット)に接続する前に、当該配管端末器(アウトレット)に異常がないことを確認することをいう。)

ア 医療機器を配管端末器(アウトレット)に接続する前及び接続した際に、次の点を確認すること。

a 外観上の異常がないこと。

b ロック機能に異常がないこと。

c ガス漏れの音がしないこと。

d 医療ガスの種別の表示(記号、名称、識別色等)が明瞭であること。

e 配管端末器(アウトレット)に、使用していない機器等が接続されていないこと。

② 日常点検

ア 日常点検は、1日1回以上実施すること。なお、高圧ガス容器の交換時又は供給設備への医療ガス補充時にも同様の点検作業を実施すること。

イ 日常点検は、警報表示盤、供給設備(マニフォールド、定置式超低温液化ガス貯槽(CE)、圧縮空気供給装置及び吸引供給装置)のそれぞれに対し、様式1―1から様式1―3までに示すチェックリストに準拠して実施すること。

ウ 日常点検後に、点検作業を実施した全ての医療ガス設備が安全で、かつ所定の機能が復旧していることを確認すること。

③ 定期点検

ア 定期点検の実施に当たっては、病院等内の関係する各臨床部門の職員に対して、実施日程と実施内容を周知徹底すること。

イ 定期点検は、配管端末器(アウトレット)、区域別遮断弁(シャットオフバルブ)及び供給設備(マニフォールド、定置式超低温液化ガス貯槽(CE)、圧縮空気供給装置及び吸引供給装置)のそれぞれに対し、様式2―1から様式2―6までに示すチェックリストに準拠して行うこと。また、点検作業の間隔についても、これらの様式に準拠すること。

ウ 点検作業のため、医療ガス設備の一部を一時閉止する際は、関係する区域の各臨床部門の職員と事前に十分な打合せを行うこと。また、医療ガスを停止した区域別遮断弁(シャットオフバルブ)又は主遮断弁(メインシャットオフバルブ)及びその系統の全ての配管端末器(アウトレット)に、「使用禁止」等の注意表示を付すること。

エ 定期点検後に、点検作業を実施した全ての医療ガス設備が安全で、かつその所定の機能が復旧していることを確認すること。

(様式1―1)

(様式1―2)

(様式1―3)

(様式2―1)

(様式2―2)

(様式2―3)

(様式2―4)

(様式2―5)

(様式2―6)

別添3

医療ガス設備の工事施工監理指針

この指針は、病院及び患者を入院させるための施設を有する診療所(以下「病院等」という。)における医療ガス(酸素、亜酸化窒素、治療用空気、吸引、二酸化炭素、手術機器駆動用窒素等をいう。以下同じ。)の使用上の安全確保を目的とした医療ガスに関する構造設備(以下「医療ガス設備」という。)の新設及び増設工事、部分的な改造、修理等(以下「工事」という。)に当たり、安全管理上留意すべき事項を示すものである。なお、高圧ガス(高圧ガス保安法(昭和26年法律第204号)第2条に規定する「高圧ガス」をいう。以下同じ。)に関する構造設備の工事に関しては、高圧ガス保安法も遵守すること。

なお、患者を入院させるための施設を有しない診療所については、委員会の設置は要しないこととするが、診療所の管理者等の医療ガスに関する知識と技術を有する者が、実施責任者として、本通知の趣旨に鑑み適切な医療ガス設備の工事施工監理を行うこと。

1 医療ガス設備の使用に当たっては、目的とする医療ガスを安定した状態で過誤なく患者に投与することが重要である。このため、医療ガス設備の工事施工監理業務に当たっては、次に掲げる点に留意すること。

(1) 医療ガス設備に用いられる機材を医療ガスの種別により特定化し、工事の施工者が医療ガスの種別の容易かつ確実な判別を可能とすることによって、種別の異なる医療ガス間の非互換性を確保し、誤接続を防止すること。

(2) 適正な使用材料及び部品を選定し、また清潔を維持するために必要な対応を行うこと。

(3) 既に使用している医療ガス設備の工事を行う場合は、既存部分への供給異常や汚染の防止に特に注意すること。

(4) 工事に当たっては、病院等内の各臨床部門の職員に工事を実施する旨を周知徹底すること。

(5) 工事完了後、医療ガス設備の臨床使用に先立って、実施責任者又は病院等の職員のうち医療ガスに関する知識と技術を有する者として医療ガス安全管理委員会(以下「委員会」という。)が選任した者(以下「実施責任者等」という。)が、3に規定するところにより、厳正な確認を実施すること。

2 医療ガス設備の工事に当たっては、事前に定められた実施責任者が施工監理業務を行うこと。

3 医療ガス設備の工事完了の際には、医療ガス設備の臨床使用に先立って、全ての配管端末器(アウトレット)に不備がなく、安全で、かつ所定の機能を備えていることを確認すること。なお、確認に当たっては次に掲げる点に留意すること。

(1) 実施責任者等は、工事施工者が配管端末器(アウトレット)の確認を行う際に立ち会い、(3)に掲げる事項について、工事施工者と共に配管端末器(アウトレット)に不備がないことを確認すること。確認終了後、実施責任者等は、工事施工者が作成する検査書に署名・捺印し、委員会に提出すること。

(2) 工事施工者は、各系統の医療ガス設備において、医療ガスが正常に使用できる状態であることを確認すること。なお、正常に使用できる状態とは次のとおりであること。

① 定置式超低温液化ガス貯槽(CE)に液化酸素が充填されていること。

② マニフォールド関連のボンベが全て接続されていること。

③ 医療ガス設備に関連する機器類に必要な電源設備が正常であり、給排水に異常がないこと。

④ 通常運転が可能で、各配管端末器(アウトレット)に医療ガスが送気されていること。

(3) 実施責任者等は、臨床使用に先立って、全ての供給設備を稼働させ、個々の配管端末器(アウトレット)ごとに、次に掲げる事項について、確認を実施すること。

① 外観

配管端末器(アウトレット)が外観上正しく設置されていること。

② 機械的円滑性

試験用の器具ごとに決められたアダプタを差し込んだ時、着脱に支障がなく、堅固に固定されること。また、他のアダプタが接続できないこと。

③ 送気圧力(標準圧力)

送気圧力が標準圧力の範囲内であること。

④ ガス別特定

配管端末器(アウトレット)に供給された医療ガスの、酸素濃度等で判別された種類、配管端末器(アウトレット)に表示されたガス名及び識別色が一致していること。

⑤ 流量性能(配管端末器(アウトレット)最大流量)

配管端末器(アウトレット)から最大流量を放出した時、圧力が標準圧力範囲内であること。

別添4

医療ガスに係る安全管理のための職員研修指針

この指針は、医療ガス(酸素、亜酸化窒素、治療用空気、吸引、二酸化炭素、手術機器駆動用窒素等をいう。以下同じ。)の安全管理に関する知識の普及及び啓発のための研修(以下「本研修」という。)を、医療ガス安全管理委員会(以下「委員会」という。)が、病院及び患者を入院させるための施設を有する診療所(以下「病院等」という。)内の各臨床部門の職員に対して実施するに当たって、留意すべき事項を示すものである。

なお、患者を入院させるための施設を有しない診療所については、委員会の設置は要しないこととするが、本通知の趣旨に鑑み適切な医療ガスに係る安全管理のための職員研修を実施すること。

1 本研修は、医療ガスに係る安全管理のための基本的考え方及び事故防止の具体的方策について、当該研修を実施する病院等の職員に周知徹底を行うことで、各職員の医療ガスに係る安全に対する認識、安全に業務を遂行するための技能、病院等における医療チームの一員としての意識の向上等を図るためのものであること。また、医療ガスに係る安全管理のための研修においては、当該病院等において医学管理を行っている患者の居宅その他病院等以外の場所で使用される医療ガスの安全管理についても、取り扱うものとすること。

本研修は、病院等に共通する医療ガスに係る安全管理について、年1回程度定期的に開催するとともに、医療ガスに係る重大な事故等が発生した場合などに必要に応じて開催すること。また、委員会は研修の実施内容(開催日時、出席者、研修項目等)について記録すること。なお、本研修は、医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第1条の11第1項第3号の規定に基づく職員研修等、他の医療安全に係る研修と併せて実施しても差し支えないこと。

2 本研修の内容は、次に掲げる事項とすること。

(1) 病院等における医療ガスに関する構造設備の整備状況並びに使用している医療ガスの種類、性質及び用途

(2) 医療ガスに係る事故及びヒヤリ・ハット事例並びにその防止策

(3) 医療ガスに係る事故又はヒヤリ・ハット事例が発生した場合の対応(病院等内での委員会等への報告等)

(4) 医療ガスを使用するに当たって安全に業務を遂行するための留意事項

① 単独で医療機器に接続して使用する高圧ガス容器(以下「ボンベ」という。)、容器弁(ボンベバルブ)及び圧力調整器の正しい取扱い(このうち、特に留意すべき内容については、「(参考)医療ガスボンベの安全管理に関する留意点」を参照すること。)

② 始業点検の方法及び配管端末器(アウトレット)の正しい取扱い(製造業者によって提供される情報である、配管端末器(アウトレット)の取扱説明書の確認を含む。)

③ 区域別遮断弁(シャットオフバルブ)及び主遮断弁(メインシャットオフバルブ)の操作マニュアルの周知(制御区域を示す模式図及び室名又は部門名を示す表示の確認、緊急操作時の確認事項の周知等を含む。)

(5) その他医療ガスに係る安全管理上必要な事項

(参考)

医療ガスボンベの安全管理に関する留意点

1 医療ガスボンベに関する一般的な留意点

(1) 単独で医療機器に接続して使用する高圧ガス容器(以下「ボンベ」という。)の使用に当たっては、医薬品ラベル等で医療ガスの種類を確認することにより、目的とする医療ガスが正しく医療機器等に接続されていることを確認すること。なお、日本麻酔科学会、日本医療ガス学会及び日本産業・医療ガス協会三者合同会議の合意事項として、医療ガス誤認防止を目的とし、医療用ガスボンベのガス種を確認する際には、まず、医薬品ラベル(小型ボンベに関しては、二酸化炭素ボンベ(2.2kg)については橙色、酸素ボンベ(500L)については白色)による確認を行うことが推奨されている。

(2) 医療ガスの種類によって、高圧ガス保安法(昭和26年法律第204号)に基づき容器保安規則(昭和41年通商産業省令第50号)で規定されるボンベの塗色と、日本工業規格(JIS)「医療ガス配管設備JIS T 7101」で規定される医療ガス設備の識別色に違いがあることを理解すること。特に、酸素ボンベの塗色の違いに留意し、二酸化炭素ボンベとの誤認・取り違えを防ぐこと。

医療ガスの種類

高圧ガス保安法に基づき容器保安規則で規定するボンベの塗色

「医療ガス配管設備JIS T 7101」で規定する医療ガス設備の識別色

酸素

黒色

緑色

二酸化炭素

緑色

橙色

(3) ボンベの使用に当たっては、容器弁(ボンベバルブ)と圧力調整器との接続部位を含め、医療ガスの患者への投与経路における全ての接続部位について、着脱するごとに、正しい医療ガスが患者に投与されていることを確認すること。

(4) ボンベ内のガス残量の確認方法及び使用可能な時間の判断方法を理解すること。

(5) ボンベの長期留置又は放置による事故の発生及び空ボンベの誤使用を防止するため、医療ガス納入業者と協議の上、納入時期を明示するなどして定期的にボンベの点検及び管理を行うこと。

(6) MRI室へ磁性体のボンベ、ボンベ運搬車、流量計等を持ち込まないこと。

(7) 停電、断水等の不測の事態及び地震、洪水等の災害の発生に備え、適切な貯蔵量を確保すること。

2 医療ガスボンベの保管及び使用の方法に関する留意点

医療ガスボンベの保管及び使用の方法に関する主な留意点を示す。なお、ボンベの保管及び使用に際しては、高圧ガス保安法を遵守すること。

(1) 保管方法

① 充填されたボンベと空ボンベを区別して、ボンベ保管場所に保管すること。また、種別が異なる医療ガスのボンベは、区別して保管すること。

② ボンベ保管場所には、計量器等作業に必要な物以外の物を置かないこと。また、酸素、亜酸化窒素等支燃性ガスのボンベの保管場所の周囲2m以内においては、火気を使用せず、引火性又は発火性の物を置かないこと。

③ ボンベは、直射日光の当たらない場所で、常に温度を40℃以下に保つこと。

④ ボンベには、転落、転倒等による衝撃及び容器弁(ボンベバルブ)の損傷を防止する措置を講じ、粗暴な取扱いをしないこと。

⑤ エチレンオキシドガス等の可燃性又は毒性ガスのボンベは、風通しの良い場所に保管すること。

(2) 使用方法

① ボンベの容器弁(ボンベバルブ)は、静かに開閉すること。

② 転落、転倒等による衝撃及び容器弁(ボンベバルブ)の損傷を受けないよう、粗暴な取扱いをしないこと。

③ 容器弁(ボンベバルブ)及び圧力調整器に油脂類を付着させないこと。

④ 酸素ガスを使用する際には、設備(家庭用設備を除く。)の周囲5m以内において、喫煙及び火気の使用を禁じ、引火性又は発火性の物を置かないこと。ただし、手術等医療行為のために必要な場合にやむを得ず使用する場合は、使用流量に厳重な注意を払うこと。

⑤ 使用後は、容器弁(ボンベバルブ)を閉じること。