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○再製造単回使用医療機器に係る医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則等の改正等について

(平成29年7月31日)

(薬生発0731第7号)

(各都道府県知事あて厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)

(公印省略)

今般、単回使用の医療機器の再製造に係る制度を設けることし、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令」(平成29年厚生労働省令第82号)、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律関係手数料規則の一部を改正する省令」(平成29年厚生労働省令第83号)及び「医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の一部を改正する省令」(平成29年厚生労働省令第84号)により関連省令の一部改正を行うとともに、「再製造単回使用医療機器基準」(平成29年厚生労働省告示第261号)を制定しましたので、御了知の上、貴管下関係事業者及び関係団体に周知いただきますよう御配慮願います。

1 用語の定義

本通知で用いる用語の定義は以下によるものとする。

(1) 法

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(昭和35年法律第145号)

(2) 改正施行規則

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令」(平成29年厚生労働省令第82号)による改正後の「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則」(昭和36年厚生省令第1号)

(3) 改正手数料規則

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律関係手数料規則の一部を改正する省令」(平成29年厚生労働省令第83号)による改正後の「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律関係手数料規則」(平成12年厚生省令第63号)

(4) 改正QMS省令

「医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の一部を改正する省令」(平成29年厚生労働省令第84号)による改正後の「医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」(平成16年厚生労働省令第169号)

(5) 再製造基準

「再製造単回使用医療機器基準」(平成29年厚生労働省告示第261号)

(6) 単回使用の医療機器

1回限り使用できることとされている医療機器

(7) 再製造

単回使用の医療機器が使用された後、新たに製造販売することを目的として、これに検査、分解、洗浄、滅菌その他必要な処理を行うことをいう。

(8) 再製造単回使用医療機器

単回使用の医療機器のうち、再製造をされたものをいう。

(9) 原型医療機器

再製造の用に供される単回使用の医療機器であって、未だ再製造をされていないものをいう。

(10) 再生部品

医療機関において使用された単回使用の医療機器の全て又は一部であって、再製造の用に供されるものをいう。

(11) 交換部品

再製造単回使用医療機器を構成する部品であって、新たに製造されるものをいう。

2 再製造単回使用医療機器の承認申請について

(1) 再製造単回使用医療機器は、原型医療機器とは別品目として、その製造販売にあたり法第23条の2の5第1項の製造販売承認又は法第23条の2の17第1項の外国製造医療機器等の製造販売の承認(以下「製造販売承認」という。)を必要とすること。

(2) 再製造単回使用医療機器は、再製造基準に適合しなければならないこと。

(3) 再製造単回使用医療機器は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律関係手数料令」(平成12年政令第91号。以下「手数料令」という。)第12条第1項第1号イ(2)又は(4)に掲げる医療機器として、承認申請に当たっては所要の手数料を納めなければならないこと。(改正手数料規則第3条)

(4) 再製造単回使用医療機器のクラス分類は、原則として原型医療機器と同一とすること。ただし、原型医療機器がクラスⅠの一般医療機器であるときには、「高度管理医療機器、管理医療機器及び一般医療機器に係るクラス分類ルールの改正について」(平成25年5月10日付け薬食発0510第8号厚生労働省医薬食品局長通知)に関わらず、再製造単回使用医療機器はクラスⅡの管理医療機器とすること。

3 再製造単回使用医療機器の製造販売業について

(1) 再製造単回使用医療機器の製造販売は、法第23条の2第1項の医療機器の製造販売業の許可を有する者又は法第23条の3第1項の規定により選任された製造販売業者(以下「再製造単回使用医療機器の製造販売業者等」という。)により行われる必要があること。

(2) 単回使用の医療機器の再製造の工程では、特に洗浄及び滅菌が確実に行われていることが重要であるため、医療機器である生物由来製品を取り扱う場合と同様に、医療機器等総括製造販売責任者、国内品質業務運営責任者及び医療機器等安全管理責任者のいずれもが細菌学的知識を有しない場合は、医療機器等総括製造販売責任者を補佐する者として細菌学的知識を有する者を置くことを法第23条の2の15第1項に規定する再製造単回使用医療機器の製造販売業者等の遵守事項として定めたこと。(改正施行規則第114条の54第4号)

細菌学的知識を有する者としては、生物由来製品製造管理者の要件と同様に、以下の者とすること。

ア 医師、医学の学位を持つ者

イ 歯科医師であって細菌学を専攻した者

ウ 細菌学を専攻し、修士課程を修めた者

エ 大学等で微生物学の講義及び実習を受講し、修得した後、3年以上の生物由来製品若しくはそれと同等の保健衛生上の注意を要する医療機器等の製造等(治験機器として製造する場合を含む。)に関する経験を有する者

4 単回使用の医療機器の製造業について

(1) 単回使用の医療機器の再製造の工程では、特に洗浄及び滅菌が確実に行われていることが重要であるため、再製造単回使用医療機器の製造工程のうち以下の工程について法第23条の2の3第1項又は第23条の2の4第1項の登録を受けなければならないとしたこと。(改正施行規則第114条の8第4号)

① 設計

② 使用された単回使用の医療機器の受入、分解、洗浄等

当該工程には、使用済み、かつ未洗浄の単回使用の医療機器を一時保管する場所や、医療機関から引き取った使用済みの単回使用の医療機器をそれ以降の再製造工程に供することができるものであるか検査する工程も含まれる。

③ 主たる組立てその他の主たる製造工程(設計、使用済みの単回使用の医療機器の受入、分解、洗浄等、滅菌及び保管を除く。)

④ 滅菌

⑤ 国内における最終製品の保管

(2) 単回使用の医療機器の再製造の工程では、特に洗浄及び滅菌が確実に行われていることが重要であるため、単回使用の医療機器の再製造を行う製造所(国内における最終製品の保管の工程を除く。)の医療機器責任技術者が医師でない場合又は細菌学的知識若しくは医療機器の滅菌に関する専門的知識を有しない場合には、医療機器責任技術者を補佐する者として医師又は当該知識を有する者を置くことを法第23条の2の15第2項に規定する医療機器の製造業者が遵守すべき事項として規定したこと。(改正施行規則第114条の54の2)

細菌学的知識を有する者は3(2)に示したとおりであり、医療機器の滅菌に関する専門的知識を有する者とは、一般社団法人日本医療機器学会により第1種滅菌技師の認定を受けている者又はそれと同等の能力を有する者とすること。

5 再製造単回使用医療機器の製造工程について

(1) 使用済みの単回使用の医療機器の医療機関からの引き取り

① 再生部品は、国内において使用されたものでなければならないこと。(再製造基準 第4の1(1))

② 再生部品は以下の条件を満たさなければならないとされており、これらの条件を満たさない使用済みの単回使用の医療機器が再生部品として混入しないよう医療機関において適切に選別される必要があること。(再製造基準 第4の1(2)(3)(4)(6))

ア プリオンの洗浄・除去が困難であることから、脳、脊髄、硬膜、脳神経節、脊髄神経節、網膜又は視神経に接触したものでないこと。

イ 人の体内に植え込まれたものではないこと。

ウ 「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(平成10年法律第114号)第6条に定める一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症若しくは新感染症の患者又は同法第8条第1項から第3項までに定める者の治療、検査等に用いられたものでないこと。

エ 医療機関において、破損し、劣化し、又は製造工程において不活化若しくは除去できない病原微生物その他疾病の原因となるものに汚染されないよう、区別して保管されたものでなければならないこと。

③ 再製造単回使用医療機器の製造販売業者等は、上記が適切に行われるよう、使用済みの単回使用の医療機器を医療機関から引き取る際の手順を規定しなければならないこと。当該手順には、運搬容器の形状や医療機関から引き取る頻度の他、使用済みの単回使用の医療機器の引き取りに係る医療機関との責任関係等の取り決めについても規定すること。当該手順は、承認審査の過程で個別具体的に審査を行い、承認書に規定するものとすること。(再製造基準 第4の1(5))

④ 再製造単回使用医療機器の製造販売業者等は、各医療機関において事前に規定した手順に基づき適切な方法により使用された単回使用の医療機器が選別されているかを確認しなければならないこと。(再製造基準 第4の1(7))

なお、再製造単回使用医療機器の承認に際しては、法第79条に規定する条件として、各医療機関における選別及び保管に関する講習・トレーニングを実施することを求める予定である。また、適切に選別及び保管されているかどうかの確認は、当該医療機関において使用済みの単回使用の医療機器の引き取りを開始するときのみならず、定期的に行わなければならない。確認の方法としては、定期的に医療機関を訪問して選別及び保管方法を確認するとともに、関係する医療従事者に対して選別及び保管に関する講習を実施するといった方法が考えられること。

⑤ 医療機関における選別が不十分で、本来医療機関で処理すべき医療廃棄物が再製造単回使用医療機器の製造販売業者等に送付される場合は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(昭和45年法律第137号)に違反する可能性があるため、十分に留意すること。医療機関で処理すべき医療廃棄物が混入していることが判明した場合には、医療機関に返送すること。

⑥ 医療機関が、再製造単回使用医療機器の製造販売業者等に再生部品となる使用済みの単回使用の医療機器を引き渡すことは、医療機器の販売には当たらないこと。

(2) 使用済みの単回使用の医療機器の運搬

① 再製造単回使用医療機器の製造販売業者等は、医療機関から引き取られた使用済みの単回使用の医療機器による汚染の拡大防止を図るため、改正施行規則第114条の54第12号各号に定める事項を遵守しなければならないこと。

② 再生部品は、破損し、劣化し、又は製造工程において不活化若しくは除去できない病原微生物その他疾病の原因となるものに汚染されないよう設計された専用の密閉性の容器に密閉された状態で、医療機関から引き取られ、運搬されなければならず(再製造基準 第4の1(10))、これを満たすものであるかを承認審査の過程でも審査するものとすること。

6 原型医療機器の変更に伴う再製造単回使用医療機器の変更管理について

(1) 再製造単回使用医療機器は原型医療機器と同等の品質、有効性及び安全性を有するものでなければならないことから、原型医療機器の原材料の変更その他の再製造単回使用医療機器の品質、有効性及び安全性に影響を与えるおそれのある変更の有無を継続的に確認し、当該変更が生じた場合には、再製造単回使用医療機器の品質、有効性及び安全性を確保するために必要な設計の変更その他の必要な措置を講じることを、再製造単回使用医療機器の製造販売業者等の遵守義務としたこと。(改正施行規則第114条の54第9号)

(2) 原型医療機器の効能が追加された場合、再製造単回使用医療機器は自動的に効能追加とはならないが、医療機関における混乱を避けるため、再製造単回使用医療機器の製造販売業者等は、速やかに効能追加を行うことを検討すること。

7 製造販売後安全対策について

(1) 再製造単回使用医療機器に係る製造販売後安全対策については、再製造単回使用医療機器の製造販売業者等が一義的に責任を負うこと。

(2) 回収・不具合報告について

① 再製造単回使用医療機器の製造販売後安全対策については、再製造工程に由来する不具合情報を収集するだけでなく、原型医療機器の不具合報告や回収情報といった製造販売後安全性情報を収集し、再製造単回使用医療機器の製造販売後安全対策に適切に反映していくことが必要であること。このため、原型医療機器の不具合及び回収に関する情報その他の品質、有効性及び安全性に関する情報を継続的に収集し、収集した情報に基づき再製造単回使用医療機器の品質、有効性及び安全性への影響について検討し、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するために必要な措置を講じることを再製造単回使用医療機器の製造販売業者等の遵守事項としたこと。(改正施行規則第114条の54第10号)

② 再製造単回使用医療機器の製造販売業者は、当該製品に関する承認の取得、回収情報、安全管理情報等の原型医療機器の適切な管理に影響を与える事項について、原型医療機器の製造販売業者に対し速やかに情報提供を行うことを再製造単回使用医療機器の製造販売業者等の遵守事項として規定したこと。(改正施行規則第114条の54第11号)

8 法第23条の2の5第2項第4号に基づく調査(QMS調査)について

(1) 再製造単回使用医療機器の製造管理及び品質管理の基準については、QMS省令第5章の2を新設し、再製造単回使用医療機器の製造販売業者等に対して、再生部品を供する医療機関から再製造単回使用医療機器の販売先までのトレーサビリティを確保することや最終製品の汚染を防止するための構造設備を有すること等の追加要求事項を規定したこと。(改正QMS省令第3条第4項)

(2) 再製造単回使用医療機器は、追加的調査の対象とすること。(改正施行規則第114条の33第1項第2号ト)

(3) 再製造単回使用医療機器の製造販売業者等は、法第79条第1項の規定に基づき、製造販売の承認の条件として付された法第23条の2の5第8項に規定による書面による調査又は実地の調査(「再製造単回使用医療機器定期確認調査」という。以下同じ。)を定期的に受けなければならないこと。(改正施行規則第114条の33第1項第1号)

当該調査を行ったときは、厚生労働大臣は、その結果を証するものとして、調査結果証明書を交付することを規定したこと。(改正施行規則第114条の33第2項)

この場合における調査対象施設については、原則として、製造販売業者等の主たる事務所及び承認申請書に記載された全ての登録製造所とすることとし、調査の頻度は、当該品目の承認の取得の日から原則として、概ね1年に1回とすること。(法第23条の2の5第6項の規定に基づく承認の取得の日から5年を経過するごとに受ける調査の年を除く。)

また、再製造単回使用医療機器定期確認調査に係る手数料については、今後、手数料令を改正し、定める予定であること。

(4) 再製造単回使用医療機器は、品目ごとにQMS調査を要する医療機器であること。

(5) 再製造単回使用医療機器に係る「使用された単回使用の医療機器の受入、分解、洗浄等」を行う製造所のQMS調査の手数料及び追加的調査の手数料を規定したこと。(改正手数料規則第7条及び第8条)

(6) その他

上記(1)から(5)までの事項も含め、QMS調査の取扱い等については、追って通知すること。

9 その他

再製造単回使用医療機器の承認申請に当たっては、原型医療機器の特許権や商標権を侵害しないことをあらかじめ確認のうえ、承認申請を行うこと。なお、特許の存否は承認予定日で判断するものであること。