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○クエチアピンフマル酸塩徐放性製剤の使用に当たっての留意事項について

(平成29年7月3日)

(/薬生薬審発0703第4号/薬生安発0703第1号/)

(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長、厚生労働省医薬・生活衛生局安全対策課長通知)

(公印省略)

クエチアピンフマル酸塩徐放性製剤(販売名:ビプレッソ徐放錠50mg及び同徐放錠150mg。以下「本剤」という。)については、本日、「双極性障害におけるうつ症状の改善」を効能又は効果として承認したところです。

「統合失調症」を効能又は効果として承認されているクエチアピンフマル酸塩即放性製剤では、高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡が報告されたことから、平成14年11月に緊急安全性情報を発出するとともに、添付文書の「警告」等の項で注意喚起をしてきました。本剤にも同様のリスクがあることから、添付文書上で即放性製剤と同様の注意喚起を行うこととしています。

また、本剤はうつ症状を有する患者に投与されることから、「重要な基本的注意」等の項において自殺リスクについても注意喚起を行うこととしています。

つきましては、本剤の使用に当たっては、下記の点について留意されるよう、貴管下の医療機関及び薬局に対する周知をお願いします。

(1) 本剤の効能又は効果は「双極性障害におけるうつ症状の改善」であり、即放性製剤の効能又は効果「統合失調症」とは異なることに留意をお願いすること。また、本剤と即放性製剤の重複投与を避けるよう十分注意すること。

(2) 本剤の高血糖等に係る警告は以下のとおりであるので、本剤の適正使用に関して特段の留意をお願いすること。なお、その他の使用上の注意については、添付文書を参照されたいこと。

<警告>

(1) 著しい血糖値の上昇から、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の重大な副作用が発現し、死亡に至る場合があるので、本剤投与中は、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。

(2) 投与にあたっては、あらかじめ上記副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、口渇、多飲、多尿、頻尿等の異常に注意し、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中断し、医師の診察を受けるよう、指導すること。(「重要な基本的注意」の項参照)

(3) 本剤の自殺に係る重要な基本的注意は以下のとおりであるので、本剤の適正使用に関して特段の留意をお願いすること。なお、その他の使用上の注意については、添付文書を参照されたいこと。

<重要な基本的注意>

(4) 大うつ病性障害等の精神疾患(双極性障害におけるうつ症状を含む)を有する患者への抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること。(「その他の注意」の項参照)

(5) うつ症状を呈する患者は希死念慮があり、自殺企図のおそれがあるので、このような患者は投与開始早期並びに投与量を変更する際には患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。

(6) 不安、焦燥、興奮、パニック発作、不眠、易刺激性、敵意、攻撃性、衝動性、アカシジア/精神運動不穏、軽躁、躁病等があらわれることが報告されている。また、因果関係は明らかではないが、これらの症状・行動を来した症例において、基礎疾患の悪化又は自殺念慮、自殺企図、他害行為が報告されている。患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、これらの症状の増悪が観察された場合には、服薬量を増量せず、徐々に減量し、中止するなど適切な処置を行うこと。

(7) 自殺目的での過量服用を防ぐため、自殺傾向が認められる患者に処方する場合には、1回分の処方日数を最小限にとどめること。

(8) 家族等に自殺念慮や自殺企図、興奮、攻撃性、易刺激性等の行動の変化及び基礎疾患悪化があらわれるリスク等について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うよう指導すること。