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○「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について」の一部改正について

(平成29年6月30日)

(雇児発0630第1号)

(都道府県労働局長あて厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)

(公印省略)

雇用保険法等の一部を改正する法律(平成29年法律第14号。以下「改正法」という。)については、平成29年3月31日公布され、3月31日付け厚生労働省発雇児0331第14号により、貴職あて通達されたところであるが、本日、改正法の施行に関して、「雇用保険法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令」(平成29年厚生労働省令第66号)及び「子の養育又は家族介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針の一部を改正する告示」(平成29年厚生労働省告示第234号)が公布又は告示され、改正法とともに平成29年10月1日から施行又は適用されることとなっている。

改正法による改正後の「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)、上記省令による改正後の「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)及び上記告示による改正後の「子の養育又は家族介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針」(平成21年厚生労働省告示第509号)等の内容について、標記通達の改正を別紙の新旧対照表のとおり行い、同日から適用することとしたので、その的確な施行に遺漏なきを期されたい。

○別添一覧

(別紙)

平成28年8月2日付け職発0802第1号、雇児発0802第3号「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について」新旧対照表

(参考資料)

平成28年8月2日付け職発0802第1号、雇児発0802第3号「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について」溶け込み版

[別紙]

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参考

○育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について

(平成28年8月2日)

(/職発0802第1号/雇児発0802第3号/)

(都道府県労働局長あて厚生労働省職業安定局長、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)

改正 平成28年12月27日雇児発1227第 1号

同 29年 3月31日雇児発0331第15号

同 29年 6月30日雇児発0630第 1号

(公印省略)

[10年保存]

雇用保険法等の一部を改正する法律(平成28年法律第17号。以下「改正法」という。)については、平成28年3月31日に公布され、4月1日付け厚生労働省発雇児0401第4号により、貴職あて通達されたところであるが、本日、改正法の施行に関して、「雇用保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令」(平成28年厚生労働省令第137号)及び「子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針の一部を改正する告示」(平成28年厚生労働省告示第313号。)が公布又は告示されたところであり、これらの省令及び告示は、改正法とともに平成29年1月1日から施行又は適用されることとなっている。

改正法による改正後の「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下「法」という。)」、上記省令による改正後の「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則(以下「則」という。)」及び上記告示による改正後の「子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針」(以下「指針」という。)等の主たる内容及び取扱いは下記のとおりであるので、その的確な施行に遺漏なきを期されたい。

なお、本通達の施行に伴い、平成21年12月28日付け職発第1228004号・雇児発第1228002号「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について」は、廃止する。

目次

第1 総則(法第1章)

1 目的(法第1条)

2 定義(法第2条)

3 基本的理念(法第3条)

4 関係者の責務(法第4条)

第2 育児休業(法第2章)

1 1歳までの育児休業の申出(法第5条第1項)

2 1歳までの再度の育児休業(法第5条第2項)

3 1歳から1歳6か月までの育児休業の申出(法第5条第3項)

4 1歳6か月から2歳までの育児休業の申出(法第5条第4項及び同条第5項)

5 育児休業の申出の方法(法第5条第6項)

6 期間を定めて雇用される者の育児休業申出に係る特例(法第5条第7項)

7 育児休業申出があった場合における事業主の義務(法第6条第1項)

8 育児休業申出を拒まれた労働者の育児休業(法第6条第2項)

9 事業主による育児休業開始予定日の指定(法第6条第3項)

10 期間を定めて雇用される者の育児休業申出に係る特例(法第6条第4項)

11 育児休業開始予定日の変更の申出(法第7条第1項)

12 変更の申出に係る育児休業開始予定日の指定(法第7条第2項)

13 育児休業終了予定日の変更の申出(法第7条第3項)

14 育児休業申出の撤回(法第8条第1項)

15 撤回後の再度の育児休業申出(法第8条第2項)

16 育児休業申出がされなかったものとみなす事由(法第8条第3項)

17 育児休業期間の考え方(法第9条第1項)

18 育児休業期間の終了(法第9条第2項)

19 育児休業期間の終了に関する労働者の通知義務(法第9条第3項)

20 両親ともに育児休業をする場合の特例(パパ・ママ育休プラス)(法第9条の2第1項)

21 両親ともに育児休業をする場合の特例の例外(法第9条の2第2項)

22 公務員である配偶者がする育児休業に関する規定の適用(法第9条の3)

23 不利益取扱いの禁止(法第10条)

第3 介護休業(法第3章)

1 介護休業の申出(法第11条第1項)

2 介護休業の回数及び日数(法第11条第2項)

3 介護休業の申出の方法(法第11条第3項)

4 期間を定めて雇用される者の介護休業申出に係る特例(法第11条第4項)

5 介護休業申出があった場合における事業主の義務(法第12条第1項及び同条第2項において準用する法第6条第1項ただし書)

6 介護休業申出を拒まれた労働者の介護休業(法第12条第2項において準用する法第6条第2項)

7 事業主による介護休業開始予定日の指定(法第12条第3項)

8 期間を定めて雇用される者の介護休業申出に係る特例(法第12条第4項)

9 介護休業開始予定日の変更の申出

10 介護休業終了予定日の変更の申出(法第13条において準用する法第7条第3項)

11 介護休業申出の撤回(法第14条第1項)

12 撤回後の再度の介護休業申出(法第14条第2項)

13 介護休業申出がされなかったものとみなす事由(法第14条第3項において準用する法第8条第3項)

14 介護休業期間の考え方(法第15条第1項及び第2項)

15 介護休業期間の終了(法第15条第3項)

16 介護休業期間の終了に関する労働者の通知義務(法第15条第4項において準用する法第8条第3項後段)

17 不利益取扱いの禁止(法第16条において準用する法第10条)

第4 子の看護休暇(法第4章)

1 子の看護休暇の申出(法第16条の2第1項)

2 子の看護休暇の1日未満単位での取得の考え方(法第16条の2第2項)

3 子の看護休暇の申出の方法(法第16条の2第3項)

4 子の看護休暇の申出があった場合における事業主の義務(法第16条の3)

5 看護休暇申出を拒まれた労働者の子の看護休暇(法第16条の3第2項において準用する法第6条第2項)

6 不利益取扱いの禁止(法第16条の4において準用する法第10条)

第5 介護休暇(法第5章)

1 介護休暇の申出(法第16条の5第1項)

2 介護休暇の1日未満単位での取得の考え方(法第16条の5第2項)

3 介護休暇の申出の方法(法第16条の5第3項)

4 介護休暇の申出があった場合における事業主の義務(法第16条の6)

5 介護休暇申出を拒まれた労働者の介護休暇(法第16条の6第2項において準用する法第6条第2項)

6 不利益取扱いの禁止(法第16条の7において準用する法第10条)

第6 所定外労働の制限(法第6章)

1 子の養育を行う労働者の所定外労働の制限の請求(法第16条の8第1項)

2 子の養育を行う労働者の所定外労働の制限の請求の方法(法第16条の8第2項)

3 子の養育を行う労働者の所定外労働の制限の請求がされなかったものとみなす事由(法第16条の8第3項)

4 制限期間の終了(法第16条の8第4項)

5 制限期間の終了に関する労働者の通知義務(法第16条の8第5項)

6 家族の介護を行う労働者の所定外労働の制限の請求(法第16条の9第1項において準用する法第16条の8第1項)

7 家族の介護を行う労働者の所定外労働の制限の請求の方法(法第16条の9第1項において準用する法第16条の8第2項)

8 家族の介護を行う労働者の所定外労働の制限の請求がされなかったものとみなす事由(法第16条の9第1項において準用する法第16条の8第3項)

9 制限期間の終了(法第16条の9第1項において準用する法第16条の8第4項)

10 制限期間の終了に関する労働者の通知義務(法第16条の9第2項において準用する法第16条の8第3項後段)

11 不利益取扱いの禁止(法第16条の10)

12 指針事項

第7 時間外労働の制限(法第7章)

1 子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の請求(法第17条第1項)

2 子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の請求の方法(法第17条第2項)

3 子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の請求がされなかったものとみなす事由(法第17条第3項)

4 制限期間の終了(法第17条第4項)

5 制限期間の終了に関する労働者の通知義務(法第17条第5項)

6 家族の介護を行う労働者の時間外労働の制限の請求(法第18条第1項において準用する法第17条第1項)

7 家族の介護を行う労働者の時間外労働の制限の請求の方法(法第18条第1項において準用する法第17条第2項)

8 家族の介護を行う労働者の時間外労働の制限の請求がされなかったものとみなす事由(法第18条第1項において準用する法第17条第3項)

9 制限期間の終了(法第18条第1項において準用する法第17条第4項)

10 制限期間の終了に関する労働者の通知義務(法第18条第2項において準用する法第17条第3項後段)

11 不利益取扱いの禁止(法第18条の2)

12 指針事項

第8 深夜業の制限(法第8章)

1 子の養育を行う労働者の深夜業の制限の請求(法第19条第1項)

2 子の養育を行う労働者の深夜業の制限の請求の方法(法第19条第2項)

3 子の養育を行う労働者の深夜業の制限の請求がされなかったものとみなす事由(法第19条第3項)

4 制限期間の終了(法第19条第4項)

5 制限期間の終了に関する労働者の通知義務(法第19条第5項)

6 家族の介護を行う労働者の深夜業の制限の請求(法第20条第1項において準用する法第19条第1項)

7 家族の介護を行う労働者の深夜業の制限の請求の方法(法第20条第1項において準用する法第19条第2項)

8 家族の介護を行う労働者の深夜業の制限の請求がされなかったものとみなす事由(法第20条第1項において準用する法第19条第3項)

9 制限期間の終了(法第20条第1項において準用する法第19条第4項)

10 制限期間の終了に関する労働者の通知義務(法第20条第2項において準用する法第19条第3項後段)

11 不利益取扱いの禁止(法第20条の2)

12 指針事項

第9 事業主が講ずべき措置(法第9章)

1 育児休業等に関する定めの周知(法第21条第1項)

2 育児休業等に関する取扱いの明示(法第21条第2項)

3 雇用管理等に関する措置(法第22条)

4 3歳に満たない子を養育する労働者に関する所定労働時間の短縮措置(法第23条第1項)

5 3歳に満たない子を養育する労働者に関する代替措置(法第23条第2項)

6 指針事項

7 介護のための所定労働時間の短縮等の措置(法第23条第3項)

8 不利益取扱いの禁止(法第23条の2)

9 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者等に関する措置(法第24条第1項)

10 家族を介護する労働者に関する措置(法第24条第2項)

11 職場における育児休業等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置(法第25条)

12 労働者の配置に関する配慮(法第26条)

13 再雇用特別措置等(法第27条)

14 指針(法第28条)

15 職業家庭両立推進者(法第29条)

第10 国等による援助(法第10章第1節)

1 事業主等に対する援助(法第30条)

2 対象労働者等に対する相談、講習等(法第31条)

3 再就職の援助(法第32条)

4 職業生活と家庭生活との両立に関する理解を深めるための措置(法第33条)

5 勤労者家庭支援施設(法第34条及び第35条)

第11 紛争の解決(法第11章第1節)

1 苦情の自主的解決(法第52条の2)

2 紛争の解決の促進に関する特例(法第52条の3)

3 紛争の解決の援助(第52条の4)

第12 調停(法第11章第2節)

1 調停の委任(法第52条の5)

2 調停(法第52条の6)

3 時効の中断(法第52条の6において準用する男女雇用機会均等法第24条)

4 訴訟手続の中止(法第52条の6において準用する男女雇用機会均等法第25条)

5 資料提供の要求等(法第52条の6において準用する男女雇用機会均等法第26条)

第13 委託募集の特例(法第12章)

1 基本的考え方(法第53条第1項)

2 具体的内容

3 認定手続(法第53条第2項第2号)

4 認定の取消し(法第53条第3項)

5 委託募集の届出(法第53条第4項)

6 委託募集の届出の受理(法第53条第5項)

7 労働者募集報告(則第83条)

8 報告の徴収(法第53条第7項)

9 公共職業安定所の援助(法第54条)

10 その他の留意事項

第14 その他の雑則(法第12章)

1 調査等(法第55条)

2 報告の徴収並びに助言、指導及び勧告(法第56条)

3 公表(法第56条の2)

4 労働政策審議会への諮問(法第57条)

5 厚生労働省令への委任(法第59条)

6 船員に関する特例(法第60条)

7 公務員に関する特例(法第61条)

第15 罰則(法第13章)

1 罰則(法第62条から第65条まで)

2 過料(法第66条)

第16 改正法附則

1 施行期日(改正法附則第1条)

2 罰則に関する経過措置(改正法附則第13条)

3 検討(改正法附則第14条)

第17 適用期日

1 この通達は、平成29年1月1日から適用すること。

第1 総則(法第1章)

1 目的(法第1条)

(1) 子の養育又は家族の介護を行う労働者の雇用の継続及び育児・介護により退職した者の再就職の促進を図ることにより、主としてこれらの者の職業生活と家庭生活との両立に寄与することを通じて福祉の増進を図ること、また、副次的に、経済社会の発展に資することが目的であることを定めたものであり、そのための手段として、第一に育児休業及び介護休業に関する制度を設けること、第二に子の看護休暇及び介護休暇に関する制度を設けること、第三に子の養育及び家族の介護を容易にするため所定労働時間等に関し事業主が講ずべき措置を定めること、第四に子の養育又は家族の介護を行う労働者等に対する支援措置を講ずることを明らかにするものであること。

(2) 子の養育のために育児休業をするか否か、家族の介護のために介護休業をするか否か、子の看護のために看護休暇を取得するか否か、家族の介護その他の世話を行うために介護休暇を取得するか否か、また、事業主が講ずる所定労働時間の短縮等の措置を利用するか否かは、労働者自身の選択に任せられているものであること。

(3) 「育児休業及び介護休業に関する制度」とは、法第2章及び第3章に定めるところにより労働者に育児休業及び介護休業の民事的権利を与える「育児休業及び介護休業の制度」並びに事業主の努力義務としている法第21条の育児休業及び介護休業に関する定めの周知等の措置並びに法第22条の雇用管理等に関する措置の意であること。

(4) 「子の看護休暇及び介護休暇に関する制度」とは、法第4章に定めるところにより労働者に子の看護休暇の民事的権利を与える「子の看護休暇の制度」及び法第5章に定めるところにより労働者に介護休暇の民事的権利を与える「介護休暇の制度」の意であること。

(5) 「子の養育及び家族の介護を容易にするため所定労働時間等に関し事業主が講ずべき措置」とは、法第23条第1項の育児のための所定労働時間の短縮措置、同条第2項の育児休業に関する制度に準ずる措置及び始業時刻変更等の措置並びに同条第3項の介護のための所定労働時間の短縮等の措置のほか、法第24条の事業主が講ずるよう努めるべき措置を含むものであること。

(6) 「雇用の継続」とは、育児休業又は介護休業によって休業している期間等において労働契約関係が継続することの意であり、育児休業、介護休業その他の制度がなければ退職してしまうような労働者について、当該事業主との間において労働契約関係が退職により途切れることのないようにすることを目的としたものであること。

(7) 「再就職の促進」とは、妊娠、出産若しくは育児又は介護を理由として退職した者に対して再就職を促進するものであり、すぐに再就職をすることを希望する者に限らず、当面は育児又は介護に専念しつつ将来において再就職することを希望する者に対する再就職の促進を含むものであること。

(8) 「職業生活と家庭生活との両立」とは、「職業生活の全期間を通じてその能力を有効に発揮して充実した職業生活を営むとともに、育児又は介護について家族の一員としての役割を円滑に果たすことができるようにすること」(法第3条第1項)をいうものであること。

「職業生活と家庭生活との調和」と基本的に同趣旨であるが、「調和」は全体としての釣り合いを重視する意味合いであるのに対して、「両立」はともに並び立つことを重視する意味合いであること。

2 定義(法第2条)

(1) 育児休業(法第2条第1号)

労働者が、法第2章に定めるところにより、その子を養育するためにする休業をいうものとすること。この場合において、日々雇用される者は、育児を理由とする雇用の中断を防ぎ、その継続を図ることを目的として、子が1歳、1歳6か月又は2歳に達するまでの長期的な休業となり得る育児休業の性質になじまない雇用形態の労働者であることから、対象となる労働者から除くこととしたものであること。なお、法第9条の3における育児休業の定義は、同条に定めるところによるものであること。

イ 「労働者」とは、労働基準法(昭和22年法律第49号)第9条に規定する「労働者」と同義であり、同居の親族のみを雇う事業に雇用される者及び家事使用人は除外するものであること。

ロ 「日々雇用される者」とは、1日単位の労働契約期間で雇われ、その日の終了によって労働契約も終了する契約形式の労働者であること。なお、労働契約の形式上日々雇用されている者であっても、当該契約が期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となっている場合には、実質的に期間の定めのない契約に基づき雇用される労働者であるとして育児休業及び介護休業の対象となるものであること。

ハ 「子」とは、①労働者と法律上の親子関係がある子(養子を含むものであること。)、②特別養子縁組を成立させるために養親となる者が養子となる者を6か月以上の期間現実に監護しているときの当該期間(以下「監護期間」という。)にある者、③養子縁組里親に委託されている者及び④特別養子縁組により養親となろうとする者又は養子縁組里親に準ずる者として厚生労働省令で定める者に厚生労働省令で定めるところにより委託されている者をいうこと。なお、育児休業期間中に養子縁組が成立した場合には、法律上の子となるため、引き続き育児休業をすることが可能であること。また、子の看護休暇、育児をする労働者についての所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、育児のための短時間勤務措置等についても同様であるが、介護休業、介護休暇等介護に関する制度については、①のみをいうものであること。

(イ) 特別養子縁組とは、原則として6歳未満の未成年者の福祉のため特に必要があるときに、未成年者とその実親側との法律上の親族関係を消滅させ、実親子関係に準じる安定した養親子関係を家庭裁判所が成立させる縁組制度であること(民法(明治29年法律第89号)第4編第3章第5款)。裁判所が特別養子縁組を成立させるには、養親となる者が養子となる者を6か月以上の期間監護した状況を考慮しなければならないものとされており(民法第817条の8第1項)、この期間について育児休業を認めるものであること。監護期間は、原則として家庭裁判所に特別養子縁組の成立の請求をした日から起算するものであること(同条第2項)。特別養子縁組の成立の請求が裁判所に係属するまでは、育児休業の対象とならないものであること。

(ロ) 養子縁組里親とは、保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童(以下「要保護児童」という。)を養育すること及び養子縁組によって養親となることを希望する者(都道府県知事が厚生労働省令で定めるところにより行う研修を修了した者に限る。)のうち、児童福祉法第34の19に規定する養子縁組里親名簿に登録されたもののことをいうこと。委託措置が決定される前の一時的な預かりなどの期間は育児休業の対象とならないものであること。

(ハ) 特別養子縁組により養親となろうとする者及び養子縁組里親に準ずる者として厚生労働省令で定める者に厚生労働省令で定めるところにより委託されている者とは、児童相談所において、当該労働者に養子縁組里親として委託すべきである要保護児童として手続を進めていたにもかかわらず、委託措置決定を出す段階に至って実親等の親権者等が反対したため、養子縁組里親として委託することができず、やむなく当該労働者を養育里親として委託されている要保護児童をいうこと(則第1条)。これに該当するかは、平成28年雇児総発0802第1号・雇児福発0802第1号・雇児職発0802第1号に基づき児童相談所長が発行する証明書を参考に判断すべきこと。

ニ 「養育」とは、同居し監護するとの意であり、監護とは民法第820条に規定する監護と同義であること。病気、旅行により短期間同居に欠けていても「養育している」ことに変わりがないものであること。

ホ 「休業」とは、労働契約関係が存続したまま労働者の労務提供義務が消滅することをいい、労働基準法第89条第1号の「休暇」に含まれること。

「休暇」と「休業」とを厳密に区別する基準はないが、「休暇」のうち連続して取得することが一般的であるものを「休業」としている用語例(労働基準法第65条の産前産後の休業など)にならったものであること。

なお、民法第536条により、休業期間中の事業主の賃金支払義務は消滅すること。したがって、休業期間中の労働者に対する賃金の支払を義務づけるものではないこと。

(2) 介護休業(法第2条第2号)

労働者が、法第3章に定めるところにより、その要介護状態にある対象家族を介護するためにする休業をいうものとすること。この場合において、日々雇用される者は、育児休業の場合と同様、対象となる労働者から除くこととしたものであること(法第2条第1号)。

イ 「介護」とは、歩行、排泄、食事等の日常生活に必要な便宜を供与するの意であること。

ロ 「休業」については、育児休業の場合と同様であること((1)ホ参照)。

(3) 要介護状態(法第2条第3号)

負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、厚生労働省令で定める期間にわたり常時介護を必要とする状態をいうものとすること。なお、これは介護保険制度における「要介護状態」と必ずしも一致するものではないこと。

イ 「負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害」とは、負傷又は疾病による場合、負傷又は疾病にかかり治った後障害が残った場合及び先天的に障害を有する場合を含むこと。

乳幼児の通常の成育過程において日常生活上必要な便宜を供与する必要がある場合についてはこれに該当しないが、老齢により身体機能が相当程度低下した場合はこれに該当するものであること。

ロ 「厚生労働省令で定める期間」については、介護休業の制度の目的が家族を介護する労働者の雇用の継続を図るものであることにかんがみ、常時介護を要する状態が一時的な、日常的にかかり得る傷病による場合を除く趣旨から、「常時介護を必要とする状態が2週間以上の期間にわたり継続すること」を要件としたものであること(則第2条)。

ハ 「常時介護を必要とする状態」とは、常態的に介護を必要とする状態をいい、この状態に関する判断については、別添1の判断基準によるものとすること。

(4) 対象家族(法第2条第4号)

法に先行して介護のための休業の制度を導入していた企業の実態等を踏まえ、当該労働者が介護をする必要性の高い家族として、配偶者、父母、子、配偶者の父母並びに父母及び子に準ずる者として厚生労働省令で定める者を介護休業の対象となる家族の範囲としたものであること。

イ 「配偶者」とは、いわゆる内縁関係にある配偶者を含むものであること。

ロ 「父母」とは、労働者と法律上の親子関係がある父母の意であり、実父母のみならず養父母を含むものであること。

ハ 「子」とは、労働者と法律上の親子関係がある子の意であり、実子のみならず養子を含むものであること。

ニ 「これらの者に準ずる者」とは、厚生労働省令では、祖父母、兄弟姉妹及び孫としたものであること(則第3条)。

(イ) 「祖父母」とは、当該労働者の実親の実親、実親の養親、養親の実親及び養親の養親のすべてを含むが、当該労働者の実親の養親及び養親の養親については、当該労働者の親と当該労働者の親の養親との養子縁組関係が成立した後に当該労働者と当該労働者の親との親子関係が生じた場合に限るものであること(民法第727条)。

(ロ) 「兄弟姉妹」とは、当該労働者の実親の実子、実親の養子、養親の実子及び養親の養子のすべてを含むものであること。

(ハ) 「孫」とは、当該労働者の実子の実子、実子の養子、養子の実子及び養子の養子のすべてを含むが、当該労働者の養子の実子及び養子の養子については、当該労働者と当該労働者の養子との養子縁組関係が成立した後に当該労働者の養子と当該労働者の養子の子との親子関係が生じた場合に限るものであること。

ホ 「配偶者の父母」とは、配偶者(いわゆる内縁関係にある配偶者を含む。)の実父母及び養父母をいうこと。

(5) 家族(法第2条第5号)

イ 目的(法第1条)、基本的理念(法第3条)及び関係者の責務(法第4条)の規定のほか、下記の規定の適用対象となる「家族」の範囲に関しては、その規定の趣旨にかんがみ、介護休業の対象となる家族の範囲(対象家族)より幅広のものとなることが望ましく、「対象家族その他厚生労働省令で定める親族」としたものであること。

(イ) 事業主は、その家族を介護する労働者に関して、介護休業の制度又は勤務時間の短縮等の措置に準じて、その介護を必要とする期間、回数等に配慮した必要な措置を講ずるよう努めなければならないこと(法第24条第2項)。

(ロ) 国は、家族の介護を行う労働者等の福祉の増進を図るため、事業主、事業主の団体その他の関係者に対する援助を行うことができること(法第30条)。

(ハ) 国は、家族の介護を行う労働者等に対して、これらの者の職業生活と家庭生活との両立の促進等に資するため、必要な指導、相談、講習その他の措置を講ずるものとし、地方公共団体はその措置に準じた措置を講ずるように努めなければならないものとすること(法第31条)。

(ニ) 地方公共団体は、必要に応じ、家族の介護を行う労働者等の福祉の増進を図るための事業を総合的に行うことを目的とする勤労者家庭支援施設を設置するよう努めなければならないこと(法第34条)。

ロ 「家族」の範囲は、対象家族及びこれら以外の同居の親族としたものであること(法第2条第5号及び則第4条)。

「親族」とは、民法第725条の親族と同義であり、6親等内の血族、配偶者及び3親等内の姻族をいうものであること。

したがって、「家族」の範囲は、配偶者、父母、子及び配偶者の父母並びにこれら以外の同居の6親等内の血族及び3親等内の姻族となるものであること。

「同居の親族」は、互いに扶け合わなければならないものとされていること(民法第730条)などから、適用対象範囲としたものであること。

この場合の「同居」とは、世帯を同じくしている場合のほか、労働者が介護のために別居していた家族の家に泊り込んだり、介護のために別居していた家族を当該労働者宅に引き取る場合を含めるものであること。

3 基本的理念(法第3条)

(1) 第1項は、法第1条の目的規定の「職業生活と家庭生活との両立」の内容を具体的に明らかにしたものであり、法による子の養育又は家族の介護を行う労働者等の福祉の増進の基本的理念が、この「職業生活と家庭生活との両立」にあることを明らかにしたものであること。

「職業生活の全期間を通じて」とあるのは、一時期職業生活から離れて家庭生活のみを送っていても、再び充実した職業生活を送ることとなるような場合も「職業生活と家庭生活との両立」に含める趣旨であること。

(2) 第2項は、子の養育又は家族の介護を行うための休業をする労働者は、その休業の趣旨が本人の雇用の継続のためであること、そのために事業主その他の関係者も本人の休業に配慮するものであること等にかんがみ、当該趣旨を没却させないよう、休業後の職場復帰に備えて心づもりをしておくべきであることを明らかにしたものであること。

また、この規定は、労働者に対して法的に具体的義務を課すというものではなく、訓示規定であること。

4 関係者の責務(法第4条)

法第4条は、事業主並びに国及び地方公共団体に対して、3の基本的理念に従って、子の養育又は家族の介護を行う労働者等の福祉を増進するように努めなければならないことを明らかにしたものであること。

本条に関する事業主の具体的義務の内容としては、第2章から第9章までに規定されているが、それ以外のことについても配慮すべきであることを明らかにした訓示規定であり、本条によって事業主に対して法的に具体的義務を課すというものではないこと。

第2 育児休業(法第2章)

1 1歳までの育児休業の申出(法第5条第1項)

(1) 労働者(日々雇用される者を除く。)が事業主に対して「申出」という行為をすることによって、その1歳に満たない子を養育するために育児休業をすることができることとしたものであること。ただし、期間を定めて雇用される者にあっては、次のいずれにも該当するものに限り、当該申出をすることができるものであること。

イ 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者

ロ その養育する子が1歳6か月に達する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでない者

なお、期間を定めて雇用される者については、その数が年々増加するとともに、その多くが労働契約の更新を繰り返して継続して雇用されている状況にあることを踏まえ、休業を可能にすることにより雇用の継続の可能性があると考えられる一定の範囲のものについて、育児休業の対象としているものであること。

(2) 「1歳に満たない」とは、誕生日の前日までとの意であること。なお、子が1歳に達するのは、民法第143条に基づく期間の計算(暦日計算)及び年齢計算ニ関スル法律(明治35年法律第50号)により、いわゆる誕生日の前日午後12時とされているので、例えば、平成28年4月1日が生年月日の子が1歳に達するのは、平成29年3月31日午後12時となること。

(3) 「事業主」とは、その事業の経営の主体であって、個人企業の場合はその企業主個人、会社その他の法人組織の場合にはその法人そのものの意であること。法に基づく育児休業に関する手続は、事業主又はその委任を受けてその権限を行使する者と労働者との間で行われるものであること。

なお、各事業所の責任者は事業主ではないが、事業主の委任を受けてその権限を行使することはあり得るものであること。

(4) 「その事業主」とは、その労働者が雇用される事業主の意であること。労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という。)第2条第2号の派遣労働者については、派遣元と派遣労働者との間に労働契約関係があることから、派遣元の事業主をいうものであり、指針第二の十六の(一)は、これを明示したものであること。出向元との間に労働契約関係が存在しないいわゆる移籍出向者については、出向先の事業主をいうものであること。また、いわゆる在籍出向者については、賃金の支払、労働時間管理等が出向先と出向元でどのように分担されているかによってそれぞれケースごとに判断されるべきものであること。

(5) 申出の効果は、事業主(事業主の権限を委任された者がある場合には、その委任を受けた者。以下同じ。)に到達することによって、発生するものであること。

(6) 「期間を定めて雇用される者」とは、期間の定めのある労働契約に基づき雇用される者をいうものであるが、次のイ及びロに留意すること。

イ 期間を定めて雇用される者の労働契約期間は、労働基準法第14条の規定により、原則として3年以内でなければならないものとされているものであること。なお、同条の規定により、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの(例えば4年間で完了する土木工事において技師を4年契約で雇い入れる場合など)については労働契約期間が3年を超えることが、また、①「労働基準法第14条第1項第1号の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準を定める告示」(平成15年厚生労働省告示第356号)に定める高度の専門的知識等を持つ者を当該専門的知識等を必要とする業務に就ける場合に締結される労働契約や、②満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約については、労働契約期間が5年まで、それぞれ許容されているが、これらの労働契約に係る労働者は「期間を定めて雇用される者」に含まれるものであること。

なお、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」(平成15年厚生労働省告示第357号)第1条第1項において、使用者は、期間の定めのある労働契約の締結に際し、労働者に対して、当該契約の期間の満了後における当該契約に係る更新の有無及びその判断基準を明示しなければならないこととされているものであること。

ロ 労働契約の形式上期間を定めて雇用されている者であっても、当該契約が期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となっている場合には、法第5条第1項各号に定める要件に該当するか否かにかかわらず、実質的に期間の定めのない契約に基づき雇用される労働者であるとして育児休業の対象となるものであること。このため、指針第二の一の(一)において、その判断に当たって事業主が留意すべき事項を示したものであること(指針事項)。

(イ) 指針第二の一の(一)のイ関係

指針第二の一の(一)のイの(イ)から(ホ)までは、雇止めの可否が争われた裁判例において契約関係の実態を評価するに当たり着目している項目を列挙したものであること。

a 指針第二の一の(一)のイの(イ)について

「労働者の従事する業務の客観的内容」とは、当該期間を定めて雇用される者が従事する仕事の種類、内容及び勤務の形態をいうものであること。

b 指針第二の一の(一)のイの(ロ)について

「労働者の契約上の地位の性格」とは、当該期間を定めて雇用される者の契約上の地位の基幹性・臨時性、労働条件についての正社員との同一性の有無等をいうものであること。

c 指針第二の一の(一)のイの(ハ)について

「当事者の主観的態様」とは、採用に際しての労働契約の期間や更新又は継続雇用の見込み等についての事業主からの説明等の継続雇用を期待させる当事者の言動・認識の有無・程度等をいうものであること。

d 指針第二の一の(一)のイの(ニ)について

「更新の手続・実態」とは、更新の有無・回数、勤続年数等の契約更新の状況や更新手続の有無・時期・方法、更新の可否の判断方法等の契約更新時における手続の厳格性の程度をいうものであること。

e 指針第二の一の(一)のイの(ホ)について

「他の労働者の更新状況」とは、当該期間を定めて雇用される労働者と同様の地位にある他の労働者の契約更新の状況をいうものであること。

(ロ) 指針第二の一の(一)のロ関係

指針第二の一の(一)のロは、指針第二の一の(一)のロの(イ)の実態を満たした上で同(ロ)の①から③までの実態のいずれか一つを満たした場合には、有期労働契約の雇止めの可否が争われた裁判例において期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態に至っている契約であると認められていることが多いことを明らかにしたものであること。

a 「業務内容が恒常的であること」とは、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態であることが肯定されるための必要条件となっており、当該事業において業務が定まって変わらないことをいうが、例えば、情報処理業におけるプログラミング業務などがこれに該当するものであること。

「恒常的」の対義語は「臨時的」であり、一定期間で作業終了が予定される補助業務に就いている場合などについては、業務内容が「臨時的」と認められること。

b 「契約が更新されていること」とは、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態であることが肯定されるための必要条件となっており、少なくとも1回契約が更新されれば、これに該当するものであること。

c 「雇用継続を期待させる事業主の言動」があることは、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態であることが肯定される方向に働く要素であり、例えば、労働者の長期にわたって働きたいとの希望に応じるような趣旨のことをほのめかすことなどがこれに該当するものであること。

d 「更新手続が形式的であること」は、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態であることが肯定される方向に働く要素であり、例えば、必ずしも契約期間の満了の都度直ちに契約締結の手続をとっておらず次の契約期間の始期の経過後に契約を締結することもあること、労働条件等の契約内容についての交渉もなく使用者が記名押印した契約書に労働者が署名押印して返送するという機械的な手続を行っていることなどがこれに該当するものであること。

e 「同様の地位にある労働者について過去に雇止めの例がほとんどないこと」は、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態であることが肯定される方向に働く要素であるが、雇止めの例が皆無である必要はなく、例えば、当該労働者に欠勤が多い等の特殊な理由で雇止めされた場合を除き契約が更新されているといった場合には、「過去に雇止めの例はほとんどないこと」に該当するものであり、また、当該労働者の自己都合で契約を終了することは、そもそも「雇止め」に該当しないものであること。

(ハ) 指針第二の一の(一)のハ関係

指針第二の一の(一)のハは、業務内容が正社員と同一であることが認められること又は労働者の地位の基幹性が認められることは、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態であることが肯定される方向に働く補助的な要素となることを示したものであること。

「労働者の地位の基幹性」とは、当該事業所における当該期間を定めて雇用される者の立場が「基幹的」であることをいい、「基幹性」の対義語は「臨時性」であり、いわゆる嘱託や非常勤講師、アルバイトなどは、契約上の地位の臨時性が認められ、基幹性は認められないこと。

(7) 「期間を定めて雇用される者」が、次のイ及びロの育児休業の申出の要件を満たすか否かの判断に当たっては、以下の点に留意すること。

イ 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者(法第5条第1項第1号)

(イ) 「引き続き雇用された期間が一年以上」とは、育児休業申出又は介護休業申出のあった日の直前の1年間について、勤務の実態に即し雇用関係が実質的に継続していることをいうものであり、契約期間が形式的に連続しているか否かにより判断するものではないこと(指針第二の一の(二)のイ)。例えば、年末年始や週休日を空けて労働契約が締結されている場合や、すでに次の契約が締結されている場合は、雇用関係は「実質的に継続している」と判断されるものであること。

(ロ) 「当該事業主に引き続き雇用された期間」とは、労働契約の更新に伴い就業場所等の変更があった場合や契約期間中に事業所間異動があった場合にもそれぞれにおける雇用期間を通算して算定するものであること。また、労働組合の専従者となっている期間、長期療養等のために休職とされている期間等労務の提供が行われていない期間も、労働契約関係が継続する限り「雇用された期間」に含むものであること。

ロ 当該子が1歳6か月に達する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでない者(法第5条第1項第2号)

(イ) 「当該子が1歳6か月に達する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでない者」については、子が1歳に達するまで育児休業をした場合にその後短期間で雇用関係が終了することがあらかじめ明らかである者についてまで育児休業の対象とすることは、育児休業が雇用の継続を目的とする制度であること及び休業を受忍する事業主の負担からも適当でないが、それ以外の者については育児休業の対象としたものであること。

(ロ) 「当該子が1歳6か月に達する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)の期間が満了することが明らか」か否かについては、育児休業申出のあった時点において判明している事情に基づき労働契約の更新がないことが確実であるか否かによって判断されるものであること(指針第二の一の(二)のロ)。

(ハ) 「1歳6か月に達する日」とは、1歳の誕生日から誕生日の属する月の6か月後の月における誕生日の応当日の前日の意であり、例えば平成28年4月1日が生年月日の子が1歳6か月に達する日は、平成29年9月30日であること。したがって、1歳の誕生日から6か月後に労働契約関係が存在する可能性がある場合には、「1歳6か月に達する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らか」とは判断されないものであること。

(ニ) 「労働契約の更新がないことが確実」か否かについては、指針第二の一の(二)のロで、具体的事例を例示しているものであること(指針事項)。指針第二の一の(二)のロの(イ)及び(ロ)の労働者は、原則として、労働契約の更新がないことが確実であると判断される場合に該当するものであること。これらについて、子の出生の予定日の1月前の日に育児休業申出をするとの前提をおいて、具体的適用例を図示すると、別添2のとおりであること。ただし、雇用の継続の見込みに関する事業主の言動、同様の地位にある他の労働者の状況及び当該労働者の過去の契約の更新状況等から、これに該当しないと判断される場合もあり得ること。

(ホ) 事業主が「更新しない」旨の明示をしていない場合については、原則として、「労働契約の更新がないことが確実」とは判断されないものであること。

(ヘ) 指針第二の一の(二)のロの「雇用の継続の見込みに関する事業主の言動」にいう「事業主」とは、実質的に労働契約の更新について権限を持ち、労働契約の更新をするか否かの判断をする者をいうものであること。したがって、労働契約の形式上の当事者に限られるものではないが、労働契約の更新についての実質的な権限のない者は、含まれないものであること。

(8) 指針第二の一の(三)は、事業所にあらかじめ育児休業制度を導入し、かつ、就業規則の整備等必要な措置を講ずることを事業主に求めたものであること。これは、法律上、育児休業の制度が事業所内制度として設けられることが労働者の権利行使に当たって必須のものであるとはいえないが、法律上育児休業が労働者の権利として認められており、労働者がこれを容易に取得できるようにするためにも、育児休業の制度があらかじめ事業所内制度として設けられた上で、就業規則等に記載され、労働者に制度の存在が明らかになっていることが必要であることを明示したものであること。

2 1歳までの再度の育児休業(法第5条第2項)

(1) 子が1歳までの育児休業は、原則として同一の子について1回のみすることができるものであるが、その例外として厚生労働省令で定める特別の事情がある場合には、2回目以降の申出も認めることとしたものであること。

また、男性の育児休業取得を促進する観点から、出産後8週間以内にされた最初の育児休業など一定のもの(以下「パパ休暇」という。)については、育児休業をしたことがあるものに含めないこととしたものであること。

なお、「期間を定めて雇用される者」が、労働契約の更新に伴い更新後の期間について育児休業の申出をしようとする場合には、本項の規定の適用が除外され、再度の育児休業の申出をすることができること(法第5条第7項。5参照)。

(2) 「出生の日から起算して八週間を経過する日」とは、例えば、出生の日が4月1日(水)である場合には、5月26日(火)が当該「八週間を経過する日」に該当する(したがって、この場合「八週間を経過する日の翌日」は5月27日(水)となる)こと。

(3) 「出産予定日前に当該子が出生した場合にあっては当該出生の日から当該出産予定日から起算して八週間を経過する日の翌日までとし、出産予定日後に当該子が出生した場合にあっては当該出産予定日から当該出生の日から起算して八週間を経過する日の翌日までとする」とは、出産予定日と実際の出生日が異なる場合において、パパ休暇の取得に関する労働者の期待を保護する観点から設けられたものであること。

例えば、4月1日(水)が出産予定日である場合において、3月25日(水)に子が出生したときは、パパ休暇の対象となる期間は3月25日(水)から5月27日(水)までとなり、また、同様の場合において4月8日(水)に子が出生したときは、パパ休暇の対象となる期間は4月1日(水)から6月3日(水)までとなること。

(4) パパ休暇の対象となるためには、(2)又は(3)の期間内に育児休業が終了している必要があること。また、パパ休暇は男性の育児休業取得を促進する観点から設けられたものであるが、例えば養子縁組をした場合など、法律の要件を満たす場合には、女性であっても当然対象となりうること。

(5) 厚生労働省令で定める特別の事情がある場合としては、

イ 当初の申出に係る育児休業期間が新たな産前産後休業の開始により期間途中で終了した後に、新たな産前産後休業に係る子が死亡又は当該申出をした労働者と同居しないこととなったとき(則第5条第1号)

ロ 当初の申出に係る育児休業期間が新たな育児休業の開始により期間途中で終了した後に、新たな育児休業に係る子が①死亡したとき、②当該申出をした労働者と同居しないこととなったとき又は③民法第817条の2第1項の規定による請求に係る家事審判事件が終了したとき(特別養子縁組の成立の審判が確定した場合を除く。)若しくは養子縁組が成立しないまま児童福祉法第27条第1項第3号の規定による措置が解除されたとき。(則第5条第2号)

ハ 当初の申出に係る育児休業期間が介護休業の開始により期間途中で終了した後に、介護休業に係る対象家族が死亡又は当該申出をした労働者との親族関係が消滅したするに至ったとき(則第5条第3号)

ニ 配偶者が死亡したとき(則第5条第4号)

ホ 配偶者が負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により子を養育することが困難な状態になったとき(則第5条第5号)

ヘ 婚姻の解消その他の事情により配偶者が育児休業の申出に係る子と同居しないこととなったとき(則第5条第6号)

ト 法第5条第1項の申出に係る子が負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり世話を必要とする状態となったとき(則第5条第7号)

チ 法第5条第1項の申出に係る子について、保育所等における保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当面その実施が行われないとき(則第5条第8号)があること。

(6) 則第5条第7号の「負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害」の解釈及び「二週間以上」の考え方は、介護休業の場合と同様であること(第1の2の(3)のイ及びロ参照)。

(7) 則第5条第8号は、現在受けている保育サービスが受けられなくなった等の事情により新たに保育所等に入所申請を行ったが当面入所できないような場合を想定しているものである。

イ 「保育所等」とは、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第39条第1項に規定する保育所、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77号)第2条第6項に規定する認定こども園及び児童福祉法第24条第2項に規定する家庭的保育事業等をいうものであること。

ロ 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律第2条第6項に規定する認定こども園とは、幼稚園型認定こども園(就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律第3条第2項及び第4項の規定に基づき内閣総理大臣、文部科学大臣及び厚生労働大臣が定める施設の設備及び運営に関する基準(平成26年内閣府・文部科学省・厚生労働省告示第2号。以下この号において「基準」という。)第1の1に規定する幼稚園型認定こども園をいう。)、保育所型認定こども園(基準第1の2に規定する保育所型認定こども園をいう。)、地方裁量型認定こども園(基準第1の3に規定する地方裁量型認定こども園をいう。)及び幼保連携型認定こども園(同法第2条第7項に規定する幼保連携型認定こども園をいう。)をいうものであること。

ハ 児童福祉法第24条第2項に規定する家庭的保育事業等とは、家庭的保育事業(同法第6条の3第9項に規定する家庭的保育事業をいう。)、小規模保育事業(同条第10項に規定する小規模保育事業をいう。)、居宅訪問型保育事業(同条第11項に規定する居宅訪問型保育事業をいう。)又は事業所内保育事業(同条第12項に規定する事業所内保育事業をいう。)をいうものであること。

ニ 「保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当面その実施が行われないとき」とは、市町村に対して保育の申込みを行っており、市町村から、少なくとも、再度の育児休業に係る育児休業期間の初日において保育が行われない旨の通知がなされている場合をいうものであること。

(8) 「育児休業をしたことがある」とは、法による育児休業を申し出ただけではなく、実際に育児休業を開始したことが必要であること。

また、他の事業主の下で育児休業をしたことがあることは、「育児休業をしたこと」には含まれないものであること。

(9) 「当該育児休業を開始した日に養育していた子」とは、養育していた子が双子等複数いる場合は、そのすべての子の意であること。

また、子の出生が遅れたことにより休業開始予定日に休業申出に係る子がいない場合であっても、その後出生した子は「当該育児休業を開始した日に養育していた子」に含める趣旨であること。

(10) 則第5条第1号ロ及び同条第2号ロの「その他の事情」とは、労働者と配偶者の婚姻の解消、配偶者の長期の転勤等によって配偶者が育児休業に係る子を伴って労働者と別居することの意であること。また、このほか第2号ロについては、育児休業に係る子が養子である場合における離縁及び養子縁組の取消が含まれるものであること。

(11) 則第5条第1号ロ及び同条第2号ロの「当該労働者と同居しないこととなった」の同居しない期間は、永続的なものを想定しているが、転勤等の事情による場合も1年程度以上の期間同居しない状態が続くときは、含むものであること。

(12) 則第5条第5号の「子を養育することが困難な状態」とは、身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第4条の身体障害者であること、又はこれと同程度に日常生活に制限を受ける精神障害があることにより自ら子を養育することが困難な状態のほか、再度の育児休業申出の時点から1月間を超える期間継続して、通院、加療のみならず入院又は安静を必要とすることが見込まれる状態をいうものであること。

(13) 則第5条第6号の「子と同居しないこととなった」の同居しない期間は、永続的なものを想定しているが、転勤等の事情による場合も再度の育児休業申出の時点から1月間を超えて同居しない状態が続くときは、含むものであること。

(14) 則第5条第1号ロ(第2号において引用する場合を含む。)、第5号及び第6号に該当するか否かの判断時点は申出時点であり、育児休業開始予定日において申出時点と状況が異なることが明らかなときは、育児休業開始予定日における状況に基づき、申出時点で判断すべきものであること。

(15) 各事業所において、則第5条各号に定める事項以外の理由で再度の申出を認める制度を設けることは可能であること。

3 1歳から1歳6か月までの育児休業の申出(法第5条第3項)

(1) 育児休業は子が1歳に達するまでの間の休業であるという基本的枠組みを維持しつつ、雇用の継続を促進し、円滑な職場復帰を図る観点から、子が1歳に達した後もなお休業することが必要と認められる特別の事情があるときは、子が1歳6か月に達するまでを限度として、労働者(日々雇用される者を除く。)が事業主に対して「申出」という行為をすることによって、その子を養育するために育児休業をすることができることとしたものであること。

(2) 「一歳から一歳六か月に達するまで」とは、子の1歳の誕生日から、誕生日の属する月の6か月後の月における誕生日の応当日の前日までの期間をいうものであること。例えば、平成28年4月1日が生年月日の子については、平成29年4月1日から平成29年9月30日までの期間をいうこと。

(3) 法第5条第3項の申出に基づく1歳から1歳6か月までの育児休業(以下「1歳6か月までの育児休業」という。)をすることができる労働者は、法第5条第3項第1号及び第2号のいずれにも該当するものに限られること。

イ 第1号の「当該労働者又はその配偶者が、当該子の一歳到達日において育児休業をしている場合」に該当する場合とは、具体的には次の(イ)又は(ロ)に該当する場合をいうものであること。

(イ) 子の1歳到達日を育児休業終了予定日とする育児休業を現にしている、又はそのような育児休業の申出をしている労働者が、引き続き育児休業をしようとする場合

(ロ) 子の1歳到達日を育児休業終了予定日とする育児休業を現にしている、又はそのような育児休業の申出をしている配偶者に替わって、育児休業をしようとする場合

なお、既に同一の子について1歳までの育児休業をしたことがある労働者であっても、(イ)又は(ロ)に該当する場合には、次のロの要件を満たす限り、同一の子について1歳6か月までの育児休業をすることができるものであること。

ロ 第2号の「厚生労働省令で定める場合」としては、

(イ) 保育所等における保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当該子の1歳到達日後の期間について、当面その実施が行われない場合

(ロ) 常態として子の養育を行っている配偶者であって当該子の1歳到達日後の期間について常態として養育を行う予定であったものが次のいずれかに該当した場合

① 死亡したとき。

② 負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により申出に係る子を養育することが困難な状態になったとき。

③ 婚姻の解消その他の事情により配偶者が申出に係る子と同居しないこととなったとき。

④ 6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産予定であるか又は産後8週間を経過しないとき。

があること(則第6条)。

(4) 「その事業主」の解釈については、1歳までの育児休業の申出の場合と同様であること(1(3)(4)参照)。

(5) 申出の効果については、1歳までの育児休業の申出の場合と同様であること(1(5)参照)。

なお、1歳6か月までの育児休業をするためには、法第5条第1項の規定による1歳までの育児休業の申出をしている場合であっても、改めて、法第5条第3項の規定による申出をしなければならないこと。

(6) 1歳6か月までの育児休業の申出は、1歳到達日の翌日を育児休業開始予定日としてしなければならない(法第5条第6項)こととされていることから、その申出は、遅くとも1歳到達日の翌日の労務提供開始時刻までに行われなければならないこと。

(7) 期間を定めて雇用される者も、1歳6か月までの育児休業をすることができるものであること。その際、子の1歳到達日において育児休業をしている労働者が、引き続き育児休業をしようとする場合には、申出時点において改めて法第5条第1項各号に規定する要件を満たすか否かは問わないこととしているが、子の1歳到達日において育児休業をしている配偶者に替わって1歳6か月までの育児休業をしようとする場合には、申出時点において当該要件を満たす者に限り、1歳6か月までの育児休業の申出をすることができるものであること。

(8) 則第6条第1号の「保育所等」の解釈は、再度の育児休業と同様であること(2(7)参照)。

(9) 則第6条第1号の「保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当該子が一歳に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合」とは、市町村に対して保育の申込みを行っており、市町村から、少なくとも、子が1歳に達する日の翌日において保育が行われない旨の通知がなされている場合をいうものであること。

(10) 則第6条第2号ロの「子を養育することが困難な状態」とは、身体障害者福祉法第4条の身体障害者であること、又はこれと同程度に日常生活に制限を受ける精神障害があることにより自ら子を養育することが困難な状態のほか、1歳6か月までの育児休業の申出の時点から1月間を超える期間継続して、通院、加療のみならず入院又は安静を必要とすることが見込まれる状態をいうものであること。

(11) 則第6条第2号ハの「子と同居しないこととなった」の同居しない期間は、永続的なものを想定しているが、転勤等の事情による場合も1歳6か月までの育児休業の申出の時点から1月間を超えて同居しない状態が続くときは、含むものであること。

(12) 則第6条第2号ニの「六週間(多胎妊娠の場合にあっては、十四週間)以内に出産する予定であるか又は産後八週間を経過しない」とは、出産予定日の41日前(多胎妊娠の場合は97日前)の日から、出産の日の翌日から起算して56日を経過する日までの意であること。

例えば単胎妊娠であって、7月1日(月)が出産予定日で予定通りその日に出産した場合、5月21日(火)から8月26日(月)までの間がこの期間に該当するものであること。

また、この場合、当該配偶者が雇用労働者であるか否かを問わないものであること。

(13) 則第6条第1号並びに第2号ロ及びハに該当するか否かの判断時点は申出時点であり、育児休業開始予定日において申出時点と状況が異なることが明らかなときは、育児休業開始予定日における状況に基づき、申出時点で判断すべきものであること。

4 1歳6か月から2歳までの育児休業の申出(法第5条第4項及び同条第5項)

(1) 1歳6か月までの育児休業を取得してもなお、雇用の継続のために、子が1歳6か月に達した後に休業することが必要と認められる特別の事情があるときは、子が2歳に達するまでを限度として、労働者(日々雇用される者を除く。)が事業主に対して「申出」という行為をすることによって、その子を養育するために育児休業をすることができることとしたものであること。

(2) 「一歳六か月に達する日から二歳に達するまで」とは、子の誕生日の属する月の6か月後の月における誕生日の応当日の前日から子の誕生日の属する月の1年後における誕生日の応答日の前日までの期間をいうものであること。例えば、平成28年4月1日が生年月日の子については、平成29年9月30日から平成30年3月31日までの期間をいうこと。

(3) 法第5条第4項の申出に基づく1歳6か月から2歳までの育児休業(以下「2歳までの育児休業」という。)をすることができる労働者は、法第5条第4項第1号及び第2号のいずれにも該当するものに限られること。

イ 第1号の「当該労働者又はその配偶者が当該子の一歳六か月に達する日(次号及び第六項において「一歳六か月到達日」という。)において育児休業をしている場合」に該当する場合とは、具体的には次の(イ)又は(ロ)に該当する場合をいうものであること。

(イ) 子の1歳6か月到達日を育児休業終了予定日とする育児休業を現にしている、又はそのような育児休業の申出をしている労働者が、引き続き育児休業をしようとする場合

(ロ) 子の1歳6か月到達日を育児休業終了予定日とする育児休業を現にしている、又はそのような育児休業の申出をしている配偶者に替わって、育児休業をしようとする場合

なお、既に同一の子について1歳6か月までの育児休業をしたことがある労働者であっても、(イ)又は(ロ)に該当する場合には、次のロの要件を満たす限り、同一の子について2歳までの育児休業をすることができるものであること。

ロ 第2号の「厚生労働省令で定める場合」としては、

(イ) 保育所等における保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当該子の1歳6か月到達日後の期間について、当面その実施が行われない場合

(ロ) 常態として子の養育を行っている配偶者であって当該子の1歳6か月到達日後の期間について常態として養育を行う予定であったものが次のいずれかに該当した場合

① 死亡したとき。

② 負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により申出に係る子を養育することが困難な状態になったとき。

③ 婚姻の解消その他の事情により配偶者が申出に係る子と同居しないこととなったとき。

④ 6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産予定であるか又は産後8週間を経過しないとき。

があること(則第6条の2)。

(4) 「その事業主」の解釈については、1歳までの育児休業の申出の場合と同様であること(1(3)(4)参照)。

(5) 申出の効果については、1歳までの育児休業の申出の場合と同様であること(1(5)参照)。

なお、2歳までの育児休業をするためには、法第5条第1項の規定による1歳までの育児休業及び同条第3項の規定による1歳6か月までの育児休業の申出をしている場合であっても、改めて、法第5条第4項の規定による申出をしなければならないこと。

(6) 2歳までの育児休業の申出は、1歳6か月到達日の翌日を育児休業開始予定日としてしなければならない(法第5条第6項)こととされていることから、その申出は、遅くとも1歳6か月到達日の翌日の労務提供開始時刻までに行われなければならないこと。

(7) 期間を定めて雇用される者も、次のいずれにも該当するものに限り、2歳までの育児休業をすることができるものであること。

イ 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者

ロ その養育する子が2歳に達する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの)が満了することが明らかでない者

なお、期間を定めて雇用される者については、その数が年々増加するとともに、その多くが労働契約の更新を繰り返して継続して雇用されている状況にあることを踏まえ、休業を可能にすることにより雇用の継続の可能性があると考えられる一定の範囲のものについて、育児休業の対象としているものであること。

また、期間を定めて雇用される者が育児休業の申出の要件を満たすか否かの判断については、1歳までの育児休業の申出と同様であること。(1(6)(7)参照)

この場合において、1(7)中「1歳6か月」は「2歳」と読み替えるものであること。

5 育児休業の申出の方法(法第5条第6項)

(1) 育児休業の申出(以下「育児休業申出」という。)は、連続した一の期間についてしなければならないものであり、その際、期間の初日と末日を明らかにして行わなければならないこととしたほか、その方法を厚生労働省令で定めることとしたものであること。

なお、期間を定めて雇用される者が労働契約の更新に際して行う育児休業申出については、申出事項が限定されていること。

(2) 「その期間中は育児休業をすることとする一の期間」とは、労働日ではない日(計画的に付与された年次有給休暇、所定休日等)も含め連続したひとまとまりの期間との意であること。なお、申出に係る全日が労働日でない場合は、育児休業を申し出る余地がないこと。

(3) 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のためにする休業として労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)に基づく給付を受ける場合においては、育児休業期間中であることと給付を受けることとは両立すると解されているものであること。

(4) 育児休業申出は、則第7条第1項に規定する所定の事項が同条第2項に規定する所定の方法で行われている限り、その様式は自由であること(以下同条第4項の事業主の通知、則第13条の育児休業開始予定日の変更の申出、則第12条及び第15条の事業主による育児休業開始予定日の指定、則第17条の育児休業終了予定日の変更の申出、則第18条の育児休業申出の撤回並びに則第71条の事業主による取扱いの明示について同様であること。)。

(5) 育児休業申出先は、あらかじめ本社人事部長、各支社長、工場長等具体的に明らかにしておくことが望ましいものであること(以下則第13条、第17条及び第18条について同様であること。)。

(6) 特定の方法での育児休業申出を求める場合には、これをあらかじめ明らかにしておくべきものであること。

(7) 育児休業申出の申出事項について、期間を定めて雇用される者が、法第5条第7項に規定する育児休業申出(労働契約の更新に伴い継続して育児休業をしようとする場合にする申出)をする場合にあっては、労働者、事業主双方の負担軽減の観点から、当該申出事項を、育児休業申出の年月日、育児休業申出をする労働者の氏名並びに育児休業開始予定日及び育児休業終了予定日のみに限定しているものであること(則第7条第1項柱書き)。

(8) 則第7条第1項第1号の「育児休業申出の年月日」としては、事業主に実際に育児休業申出をする日を申し出るべきものであること。また、郵送等により申出日(事業主に育児休業申出が到達した日)が申し出られた申出日と異なる場合は、当事者間で確認の上事業主が補正することは可能であること。

(9) 則第7条第1項第6号の「養子縁組の効力が生じた日」とは、縁組の届出が所轄の行政官庁によって法令に違反していないかどうかを審査された後受理された日であること(民法第800条)。

(10) 則第7条第1項第12号は、法第9条の2の規定により子の1歳到達日の翌日以後の日に育児休業をする場合においては、当該育児休業に係る育児休業開始予定日とされた日が、配偶者の育児休業に係る育児休業期間の初日以後であることが必要であることから、これを申出事項としたものであること。

(11) 則第7条第2項の「書面を提出する方法」とは、同条第1項に規定する所定の事項を記載した書面を事業主に提出する方法をいうものであり、直接手交することのほか、郵送によることも可能であること。

「電気通信回線を通じて事業主の使用に係る通信端末機器に送信する方法」とは、電子メールによる方法や、ブラウザその他のソフトウェアを用いて事業主の使用に係る通信端末機器に電気通信回線を通じて送信することをいうものであること。

「送信する情報を出力することによる書面を作成することができるもの」とは、プリンターに接続して書面を作成することが可能である場合をいうものであること。この場合、送信する情報のすべてが出力できることが必要であること。

(12) 則第7条第3項の「ファクシミリ装置により受信した時」及び「通信端末機器により受信した時」とは、それぞれの機器が受信した時点をいうものであり、実際に当該情報を確認した時点をいうものではないこと。

(13) 則第7条第4項は、育児休業申出がなされたかどうか等の紛争が起こることを避けるため、労働者からの育児休業申出に対し、事業主が育児休業申出を受けた旨等を労働者に通知することとしたものであること。

「速やかに」とは、原則として労働者が育児休業申出をした時点からおおむね2週間以内にとの意であるが、育児休業申出の日から育児休業開始予定日までの期間が2週間に満たない場合にあっては、育児休業開始予定日までにとの意であること。なお、法第6条第3項の指定をする場合には、則第12条の規定による期間までに行わなければならないこと(第2の9参照)。

「育児休業申出を拒む場合」とは、法第6条第1項ただし書の規定に基づく場合をいうものであり、経営困難、事業繁忙等の理由で拒むことができないことは言うまでもないこと(第2の7参照)。

(14) 則第7条第5項の「書面を交付する方法」とは、同条第4項に規定する所定の事項を記載した書面を労働者に交付する方法をいうものであり、直接手交することのほか、郵送によることも可能であること。

「電子メールの記録を出力することにより書面を作成することができるもの」とは、プリンターに接続して書面を作成することが可能である場合をいうものであり、これが可能であれば、電子メールのソフトウェアを搭載したパソコンに限らず、電子メール機能を有する携帯電話等でも構わないものであること。ただし、チャットのように受信直後に内容が消えてしまうようなものは適当ではなく、保存が可能なものであることが必要であること。また、事業主が送信した当該電子メールの記録すべてが出力できることが必要であること。

(15) 則第7条第6項の「ファクシミリ装置により受信したとき」及び「通信端末機器により受信したとき」とは、則第7条第3項の場合と同様であること(第2の5(12)参照)。

(16) 則第7条第7項の「証明することができる書類」として利用可能な書類の例は、それぞれの証明すべき事実に応じ以下のとおりであること。

イ 妊娠の事実 医師が交付する当該事実についての診断書

ロ 出生の事実 官公署が発行する出生届受理証明書

ハ 出産予定日の事実 医師が交付する当該事実についての診断書

ニ 養子縁組の事実 官公署が発行する養子縁組届受理証明書

ホ 則第7条第3号の事実

(イ) 特別養子縁組の監護期間にあること 事件が係属している家庭裁判所(家庭裁判所の審判に対して即時抗告の申立があった場合には、抗告事件が係属している高等裁判所)が発行する事件係属証明書

(ロ) 養子縁組里親に委託されていること 委託措置決定通知書

(ハ) 則第1条の事実 平成28年雇児総発0802第1号・雇児福発0802第1号・雇児職発0802第1号に基づき児童相談所長が発行する証明書

ヘ 子の死亡の事実

(イ) 死産の場合 医師又は助産師が交付する死産証明書又は死胎検案書

(ロ) 死亡の場合 医師が交付する死亡証明書又は死体検案書

ト 配偶者の死亡の事実 ヘ(ロ)に同じ。

チ 子が養子である場合の離縁の事実 官公署が発行する養子離縁届受理証明書

リ 配偶者が子を養育することが困難な状態の事実 身体障害者福祉法第15条の身体障害者手帳の写し等のほか、則第5条第5号、第6条第2号ロ及び第19条第2号の場合には1月間を超えて、則第10条第3号の場合には1週間を超えて入院又は安静を必要とする旨の医師の診断書

ヌ 配偶者が子と同居しなくなった事実 住民票記載事項の証明書又は出張命令書の写し

ル その養育する子が保育所等において保育されない事実 市町村が発行する教育・保育給付を受ける資格を有すると認められない旨の通知書又は保育所等の利用ができない旨の通知書

ヲ 配偶者等が6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定であるか又は産後8週間を経過していない事実 医師が交付する当該事実についての診断書、官公署が発行する出生届受理証明書

ワ 労働者の育児休業開始予定日とされた日が当該労働者の配偶者がしている育児休業に係る育児休業期間の初日以後である事実 配偶者がした育児休業申出の書面の写し又は配偶者の育児休業申出に対する事業主の通知の写し

また、上記の証明書等に代わってそれぞれの事実が証明できる他の書類を提出することを妨げるものではなく、当該労働者の同僚等第三者の申立書の提出なども含め様々な方法が可能であること。

さらに、証明方法については、育児休業申出をする労働者に過大な負担をかけることのないようにすべきものであること。特に、戸籍謄(抄)本及び住民票の写しは、画一的に提出又は提示を求めることのないようにし、それが必要となった時点でその具体的必要性に応じ、本人に対しその使用目的を十分に説明の上提示を求め、確認後速やかに労働者に返却すべきものであること。また、この場合において戸籍謄(抄)本及び住民票の写しに替えて、可能な限り住民票記載事項の証明書によるべきものであること。

なお、事業主が育児休業申出をした労働者に対して証明書類の提出を求め、その提出を当該労働者が拒んだ場合にも、育児休業申出自体の効力には影響がないものであること。

これらのことは、則第13条第3項に基づく変更申出の際の証明書類の提出についても同様であること。

(17) 則第7条第8項の「速やかに」とは、出生届の届出期間が生後2週間以内とされていることから、同程度の期間を想定しているものであること。

6 期間を定めて雇用される者の育児休業申出に係る特例(法第5条第7項)

(1) 期間を定めて雇用される者の多くは、子が1歳(法第5条第3項の規定に基づき1歳6か月までの育児休業をしているときは1歳6か月、同条第4項の規定に基づき2歳までの育児休業をしているときは2歳)に達する日まで休業をしようとする場合、その途中で現在の労働契約の期間の末日が到来し、労働契約の更新をすることとなるが、育児休業が事業主に申し出ることにより労働契約に基づく労務提供の義務を消滅させるものであるという性質上、いまだ労働契約が締結されず、労務提供の義務も発生していない期間について育児休業申出をすることはできないものであること。このため、更新後の労働契約の期間について引き続き育児休業をしようとするときは、労働契約が更新され、当該期間について労務提供義務が発生した後に改めて育児休業申出をする必要があること。

しかしながら、法の規定は、育児休業申出ができる回数を原則1回に限定している等、育児休業開始前の1回の申出により子が1歳に達する日まで連続して育児休業が可能な労働者を基本としているため、期間を定めて雇用される者に係る労働契約の更新に伴う申出については、法の規定をそのまま適用すると、更新後の労働契約の期間について育児休業申出をすることができなくなることから、次に掲げる規定の適用を除外することとしたものであること。

イ 法第5条第1項ただし書(1歳までの育児休業の申出をすることができる期間を定めて雇用される者の範囲)

ロ 法第5条第2項(育児休業申出の回数)

ハ 法第5条第3項ただし書(1歳6か月までの育児休業の申出をすることができる期間を定めて雇用される者の範囲)

ニ 法第5条第5項(2歳までの育児休業の申出をすることができる期間を定めて雇用される者の範囲)

ホ 法第5条第6項後段(1歳6か月まで及び2歳までの育児休業の申出における育児休業開始予定日の限定)

したがって、期間を定めて雇用される者に係る労働契約の更新に伴う申出については、法第5条第1項各号の要件や育児休業申出の回数に関わりなく行うことが可能であり、1歳6か月までの育児休業申出の場合であっても育児休業開始予定日が当該申出に係る子の1歳到達日の翌日に限定されず、2歳までの育児休業申出の場合であっても育児休業開始予定日が当該申出に係る子の1歳6か月到達日の翌日に限定されないため、更新後の労働契約の期間の初日を育児休業開始予定日とする申出が可能となるものであること。

(2) 「その締結する労働契約の期間の末日を育児休業終了予定日・・・とする育児休業をしているもの」とは、現在育児休業中であり、当該育児休業の終了予定日が現在の労働契約の期間の末日と一致している労働者をいうものであること。

(3) 「当該労働契約の更新に伴い、当該更新後の労働契約の期間の初日を育児休業開始予定日とする育児休業申出をする場合」とは、更新後の労働契約の期間の初日と更新後の労働契約期間に係る育児休業開始予定日とが一致していることをいうものであること。

更新後の労働契約の期間の初日において育児休業をしない場合には、更新の前後の育児休業が連続しているものとは認められず、法第5条第7項の特例の対象とならないこと。一方、更新前の労働契約の期間の末日と更新後の労働契約との期間の初日とが連続していない場合であっても、前後の労働契約が実質的に連続しているものと認められる場合には第5条第7項の特例の対象となること。

7 育児休業申出があった場合における事業主の義務(法第6条第1項)

(1) 本文は、法に規定する要件を満たす労働者が事業主に申し出ることにより、申し出た期間育児休業をすることができるという原則により、事業主がこれらの労働者の育児休業申出を拒むことができないことを明らかにしたものであること。

また、ただし書は、その例外として、労使の書面による協定により一定の範囲の労働者(①雇入れ後1年未満の労働者、②その他育児休業をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者)を育児休業をすることができない者として定めることができるものとしたものであること。

厚生労働省令では、育児休業をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者の範囲(則第8条)を規定したものであること。

厚生労働省令では更に、法第6条第1項ただし書の書面による協定においては、事業主が同項の規定に基づき労働者からの育児休業申出を拒む場合及び育児休業をしている労働者が育児休業をすることができないものとして定められた者に該当したことにより育児休業を終了させる場合の手続等の事項を定めることができ、このような定めをするためには当該協定に規定しなければならないことを明らかにしたものであること(則第9条)。

(2) 事業主は、経営困難、事業繁忙その他どのような理由があっても適法な労働者の育児休業申出を拒むことはできず、また、法第6条第3項及び第7条第2項で認められる場合を除き、育児休業の時期を変更することはできないものであること。

(3) 「事業所の労働者」には、日々雇用される者及び法第5条第1項各号(同条第5項において準用する場合を含む。)の要件を満たさない期間を定めて雇用される者並びに法第6条第1項ただし書各号に掲げる者も含むものであること。

(4) 「過半数を代表する」か否かの判断時点は、協定締結時点を原則とするものであること。

(5) 「代表する者」は、当該事業所の労働者により適切な方法で選出されることが必要であり、具体的にはその選出方法について次の2つの要件を満たすものでなければならないものであること。

イ その者が労働者の過半数を代表して労使協定を締結することの可否について判断する機会が、当該事業所の労働者に与えられていること、すなわち、事業主の指名などその意向に沿って選出するようなものではないこと。

ロ 当該事業所の過半数の労働者がその者を支持していると認められる民主的な手続がとられていること、すなわち、労働者の投票、挙手等の方法により選出されること。

また、労働基準法第41条第2号の監督又は管理の地位にある者を選出することは適当ではないものであること。

(6) 「書面による協定」には、育児休業をすることができないこととする労働者の範囲のほか、必要に応じ次のような事項を記載すべきものであること。

イ 育児休業をすることができないこととされた労働者であるか否かを判断するため労働者に提出を求める証明書類等

ロ 育児休業をすることができないこととされた労働者の育児休業の申出を拒む場合の方法

ハ 育児休業中に育児休業をすることができないこととされた労働者に該当した場合に育児休業を終了させることとするときは、その旨及びその方法

ニ ハの場合において、育児休業をすることができないこととされた労働者に該当したことにより育児休業が終了した労働者が、再び該当しなくなったときの再度申出の可否及びその方法

(7) 「協定」の締結は、事業所単位で行われるものであること。

ただし、複数の事業所を擁する企業において、各事業所の長ではなく、社長自らが協定を締結し、あるいは、各事業所ごとにみてその事業所の労働者の過半数で組織されている労働組合につき、支部の長ではなく本部の長が協定を締結することも可能であること。

協定においては有効期間の定めをすべきものであり、かつ、当該有効期間が過度に長いものとなることは適当でないこと。

なお、労使協定を労働協約として締結する場合には、3年を超える期間の定めはできないものであること(労働組合法(昭和24年法律第174号)第15条第1項及び第2項)。

(8) 第1号の「当該事業主に引き続き雇用された期間」とは、事業所間異動があった場合にもそれぞれにおける雇用期間を通算して算定するものであること。また、労働組合の専従者となっている期間、長期療養等のため休職とされている期間等労務の提供が行われていない期間も、労働契約関係が継続する限り「雇用された期間」に含むものであること。

(9) 第1号の「一年に満たない」か否かの判断時点は、育児休業申出の時点であること。

(10) 第2号に該当するか否かの判断時点は申出時点であり、育児休業開始予定日において申出時点と状況が異なることが明らかなときは、育児休業開始予定日における状況に基づき、申出時点で判断すべきものであること。

(11) 則第8条第1号の「雇用関係が終了することが明らかな労働者」とは、定年に達することにより必ず退職することとなっている労働者、あらかじめ事業主に対し退職の申出をしている労働者等の意であること。

なお、期間を定めて雇用される者がこれに該当する場合には、そもそも法第5条第1項第2号(同条第5項において準用する場合も含む。)の要件を満たさないものであり、本号に基づいて申出を拒む余地はないものであること。

(12) 則第8条第2号の「一週間の所定労働日数が著しく少ないものとして厚生労働大臣が定める日数以下の労働者」とは、平成23年厚生労働省告示第58号により、1週間の所定労働日数が2日以下である者であること。この場合、1週間の所定労働日数が2日以下であるか否かは、原則として休業申出の時点までの1月間の状況等を踏まえて判断するものであること。

8 育児休業申出を拒まれた労働者の育児休業(法第6条第2項)

(1) 事業主が、法第6条第1項ただし書の規定により、労使協定で育児休業をすることができないものとして定められた労働者からの育児休業申出を拒んだ場合は、当該労働者は育児休業をすることができないこととしたものであること。

(2) 育児休業申出を拒まれた労働者であっても、その後労使協定で育児休業をすることができない者として定められた労働者に該当しなくなれば、申し出て育児休業をすることができるものであること。

9 事業主による育児休業開始予定日の指定(法第6条第3項)

(1) 育児休業申出に係る育児休業開始予定日から育児休業が開始する原則の例外として、育児休業開始予定日とされた日が育児休業申出があった日の翌日から起算して1月(1歳6か月まで又は2歳までの育児休業の申出にあっては2週間)を経過する日(以下「1月等経過日」という。)前の日である場合には、厚生労働省令で定めた方法(則第12条で、原則として育児休業申出があった日の翌日から起算して3日を経過する日、その日が育児休業申出に係る育児休業開始予定日よりも後である場合には当該育児休業開始予定日までに行うものと規定した。)で、1月等経過日までの間で育児休業開始予定日とする日を指定することができることとしたものであること。

この場合において、育児休業をすることが早急に必要となる事由を厚生労働省令で定め(則第10条で、子が出産予定日前に出生したことのほか配偶者の死亡等を規定した。)、当該事由がある場合における事業主が育児休業開始予定日として指定できる日は厚生労働省令で定める日(則第11条で、育児休業申出があった日の翌日から起算して1週間を経過する日と規定した。)までとすることとしたものであること。

(2) 法第5条第1項の1歳までの育児休業の申出について、労働者が育児休業申出に係る育児休業開始予定日から育児休業を開始するためには、育児休業開始予定日の1月前の日(則第10条各号に規定する事由が生じた場合にあっては、1週間前の日)までに事業主に申し出なければならないものであること。

また、労働者が育児休業申出に係る育児休業開始予定日から育児休業を開始するためには、法第5条第3項の1歳6か月までの育児休業の申出については、育児休業開始予定日すなわち子の1歳の誕生日の2週間前の日(則第10条各号に規定する事由が生じた場合にあっては、1週間前の日)、同条第4項の2歳までの育児休業の申出については育児休業開始予定日すなわち子が1歳6か月に達する日の翌日の2週間前の日(則第10条各号に規定する事由が生じた場合にあっては、1週間前の日)までに事業主に申し出なければならないものであること。

ただし、各事業所において、育児休業申出に係る育児休業開始予定日から育児休業を開始するためにこれより短い期間の申出を認める制度を設けることは可能であること。

(3) 「当該育児休業申出があった日の翌日から起算して一月を経過する日」とは、育児休業申出の日の属する月の翌月の応当日をいい、当該翌月に応当日がない場合はその月の末日をいうものであること。例えば、育児休業申出が4月1日にあった場合には、5月1日がその日に当たるものであること。また、「当該育児休業申出があった日の翌日から起算して二週間を経過する日」とは、育児休業申出の日の14日後の日の意であり、例えば、育児休業申出が4月1日にあった場合には、4月15日がその日に当たるものであること。

(4) 「前の日」とは、直前の日のみでなく、直前の日以前のいずれかの日の意であること。また、法第7条第1項の「前の日」も同様の意であること。

(5) 事業主が育児休業開始予定日とする日の指定をすることができる制度は、労働者の申出のみで労務提供義務が消滅する原則の例外であり、事業主がこのような指定をすることができる場合には、事業主が指定をした日から当該労働者の労務提供義務が消滅し、当該指定した日から育児休業をすることができるものであること。また、則第12条で定められた期間内に事業主の指定が行われなかった場合には、労働者は育児休業申出に係る育児休業開始予定日から育児休業をすることができるものであること。

(6) 各事業所において、則第10条各号に掲げられた事由以外の事由が生じた場合にも、事業主が育児休業開始予定日として指定できる日を育児休業申出があった日の翌日から起算して1週間を経過する日までとすることを認める制度を設けることは可能であること。

(7) 則第10条第3号の「負傷又は疾病により育児休業申出に係る子を養育することが困難になったこと」とは、育児休業申出の時点から1週間を超える期間継続して、単に通院、加療のみならず入院又は安静を必要とする程度の状態の意であること。

(8) 則第10条第4号の「子と同居しなくなった」の同居しない期間は、永続的なものを想定しているが、転勤等の事情による場合も育児休業申出の時点から1週間を超えて同居しない状態が続くときは、含むものであること。

(9) 則第10条第5号の「負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害」の解釈及び「2週間以上」の考え方は、介護休業の場合と同様であること(第1の2の(3)のイ及びロ参照)。

(10) 則第10条第6号の「保育所等」及び「保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当面その実施が行われないとき」の解釈は、育児休業の再度の申出の場合と同様であること(第2の2の(7)参照)。

(11) 則第11条の「育児休業申出があった日の翌日から起算して1週間を経過する日」とは、育児休業申出の日の7日後の日の意であり、例えば、育児休業申出が4月1日にあった場合には、4月8日がその日に当たるものであること。

(12) 則第12条第1項の「育児休業開始予定日とされた日までに」については、育児休業開始予定日当日の育児休業申出があり得ることを前提とした規定であり、このような場合以外は育児休業開始予定日当日に指定をすることは適当でなく、可能な限りなるべく育児休業開始予定日の前日までに指定すべきものであること。また、育児休業開始予定日当日に行う場合は、始業時刻前に行うことが望ましいものであること。

(13) 則第12条第1項の「育児休業申出があった日の翌日から起算して3日を経過する日」とは、例えば、育児休業申出があった日が4月1日であった場合には、4月4日がその日に当たるものであること。ただし、3日を経過する日までに事業主が育児休業開始予定日として指定すべき場合において、当該3日を経過する日が所定休日その他の労働日でない日に当たる場合には、その直後の労働日までに行えば足りるものであること。

(14) 則第12条第2項は、同条第1項に定める通知の方法等については、育児休業申出に対する事業主の通知と同様であることを規定したものであること。

(15) 法第6条第3項に関する具体的適用例を、法第5条第1項の1歳までの育児休業の申出をした場合を例にして示すと、次のとおりであること。

イ 育児休業開始予定日を4月20日とする育児休業申出を4月1日に行った。

この育児休業開始予定日は、育児休業申出があった日の翌日から起算して1月を経過する日である5月1日よりも前の日であることから、法第6条第3項に該当する。

したがって、育児休業申出を受けた事業主は、育児休業申出に係る育児休業開始予定日(4月20日)から、育児休業申出があった日(4月1日)の翌日から起算して1月を経過する日(5月1日)までの間のいずれかの日を、育児休業開始予定日として指定することができる。この指定は、4月1日に育児休業申出があった場合、育児休業申出があった日の翌日から起算して3日を経過する日(4月4日)までに行わなければならない。

例えば、4月25日を育児休業開始予定日として事業主が指定した場合、育児休業申出をした労働者はその日から育児休業をすることができる。