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○有料老人ホームを対象とした指導の強化について

(平成28年4月22日)

(老高発0422第1号)

(各都道府県・各指定都市・各中核市民生主管部(局)長あて厚生労働省老健局高齢者支援課長通知)

(公印省略)

「有料老人ホームの定期実態調査の実施について」(平成26年10月22日付け厚生労働省老健局高齢者支援課事務連絡)及び「有料老人ホームを対象とした指導状況等のフォローアップ調査(第7回)における「未届の有料老人ホーム」の追加調査の緊急実施について」(平成28年2月19日付け厚生労働省老健局高齢者支援課長通知)について、平成27年度フォローアップ調査結果として、別添のとおり取りまとめたので情報提供する。

単身又は夫婦のみの高齢者世帯が大幅に増加し、高齢者が安心して暮らせる高齢者向け住まいのニーズが高まる中、有料老人ホームの入居者の居住の安定を確保し、適切な居住環境を確保する観点から、有料老人ホームの適確な実態把握や継続的な指導監督が不可欠である。

今回の調査結果を踏まえ、有料老人ホームに関する一層の指導の強化が必要であるため、下記について、取組の徹底をお願いする。

1.平成27年度フォローアップ調査(第7回)の結果について

(1) 未届の有料老人ホームの届出促進及び指導について

これまで累次にわたり、有料老人ホームの届出促進に向けた取組みを徹底し、適切な指導監督をお願いしているところだが、今回の調査結果でも、多数の未届の有料老人ホームが確認され、届出が進んでいない実態が明らかになった。

今回の未届の有料老人ホームの緊急追加調査では、従来の調査ルートを拡げ、有料老人ホームの届出先である都道府県・指定都市・中核市だけでなく、市区町村の地域包括支援センターや生活保護部局に対して調査を行った結果、新たに多数の未届の有料老人ホーム(実態調査中のものや今後実態調査を行うものを含む)の報告があった。一方で、これは各地方公共団体における未届の把握が一層進展した結果でもある。

ついては、「有料老人ホームの届出促進等に関する総合的な取り組みの徹底について」(平成19年3月20日付け厚生労働省老健局計画課長、振興課長通知)等の通知や以下の内容を踏まえ、指導監督の徹底をお願いする。

① 有料老人ホームにおいては、虐待等をはじめ入居者の処遇に関する不当な行為が行われることを未然に防止するためにも、必要に応じて地方公共団体が迅速かつ適切に関与できる前提として、届出の手続を義務づけている。このため、今回の調査で把握した未届の有料老人ホームについて、速やかに実態把握を行い、有料老人ホームに該当する場合には、早急に届出を行うよう指導するとともに、入居者の処遇等に関する適切な指導監督を徹底すること。

② 関係部局や市区町村の地域包括支援センター等に寄せられた未届の有料老人ホームに関する情報が、都道府県・指定都市・中核市の有料老人ホーム担当部局に確実に届けられるよう連携体制を構築し、関係機関一体となって取り組まれたい。また、既存建築物・小規模建築物の特性に応じて届出を行いやすくするよう、平成27年3月30日以降、地方公共団体の有料老人ホーム指導指針の見直しが行われているが、引き続き指導指針の適切な運用を図り、届出促進に向けた取組みを強化すること。

(2) 有料老人ホームの前払金の保全措置の状況について

今回の調査結果において、老人福祉法(昭和38年法律第133号)第29条第7項に基づく前払金の保全措置を講じていない有料老人ホームについては、前回調査に引き続いて義務違反の施設の割合は減少し、一定の改善は見られているものの、未だに違反施設が多数存在している実態が確認された。

こうした状況は、有料老人ホーム全体の信頼を揺るがしかねない事態であり、保全措置を講じていない義務違反の有料老人ホームが存在している地方公共団体においては、入居者保護の観点から、重点的に厳正な指導を行われるようお願いする。また、保全措置を講じている有料老人ホームについても、新規入居者に対しても引き続き保全措置を講じるよう、事業者に対する継続的な対応をお願いしたい。

① 前払金の保全措置を講じていない有料老人ホームの事業者に対して、老人福祉法第29条第9項に基づく検査や同条第11項に基づく改善命令など速やかに改善に向けた取組を実施すること。なお、検査の拒否や改善命令に対する違反等を行った事業者に対しては、同法第39条及び第40条に基づく罰則の適用も視野に入れ、より厳正な対応を図ること。

② 前払金の保全措置を講じていないことは、法令に違反する行為であることから、前払金の徴収を行う場合には、所要の措置を講じる必要があることを有料老人ホーム事業者に対して周知徹底を図ること。また、保全措置を講じる意思はあるものの、取引条件等で銀行保証等を利用することが困難な有料老人ホーム事業者に対しては、担保を必要としない「公益社団法人全国有料老人ホーム協会」による「入居者生活保証制度」を活用することなどが考えられるので、適確に指導を行うこと。

なお、本年6月30日時点の状況について、今後第8回調査を行う予定としており、様式等については別途通知する予定である。

2.有料老人ホームに対するスプリンクラー設置の促進

消防法施行令(昭和36年政令第37号)の改正により、平成27年4月1日以降、火災発生時に自力で避難することが困難な者が入所する社会福祉施設(同令別表第一(6)項ロに掲げる施設)において、原則として延べ面積にかかわらず設置することが義務付けられている(既存施設については、平成30年3月31日まで経過措置が設けられている)。

有料老人ホームについては、避難が困難な要介護状態にある者を主として入居させるものが、同令別表第一(6)項ロに掲げる施設に該当することから、特に既存の有料老人ホームのうち、スプリンクラー設備を設置していないものを運営している事業者に対しては、消防部局への相談などを踏まえた改修の実施を求めるなど、適切な指導等を実施していただきたい。

また、スプリンクラー設備の設置にあたっては、「地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金」を活用できることから、事業者に対してスプリンクラーの設置を指導する場合には、当該助成制度を併せて周知することにより、既存の有料老人ホームにおけるスプリンクラー設置が着実に実施されるよう促していただきたい。(ただし、当該助成制度の対象は、平成28年度から1,000m2未満の有料老人ホームとしているので、留意すること。)

なお、未届の有料老人ホーム(サービス付き高齢者向け住宅の登録を受けた有料老人ホームを除く。)については、助成制度の対象外としているので念のため申し添える。

【既存施設のスプリンクラー設備等整備事業】

① 1,000m2未満の場合 9,260円/m2

② ①かつ消火ポンプユニット等を設置する場合 9,260円/m2+232万円まで

3.権利金等の受領禁止規定に係る経過措置の終了について

平成24年4月1日に施行した改正老人福祉法により、有料老人ホームにおいては権利金その他の金品の受領が禁止となっているが、平成24年3月31日までに届出がなされている有料老人ホームについては、経過措置が設けられていたが、平成27年4月1日以降は当該経過措置が適用されず、以後は全ての有料老人ホームにおいて、権利金その他の金品を受領することができないこととなっているため、ご留意願いたい。

以上

参照条文

1.有料老人ホームに対する指導

○老人福祉法(昭和38年法律第133号)

(届出等)

第29条 有料老人ホーム(老人を入居させ、入浴、排せつ若しくは食事の介護、食事の提供又はその他の日常生活上必要な便宜であつて厚生労働省令で定めるもの(以下「介護等」という。)の供与(他に委託して供与をする場合及び将来において供与をすることを約する場合を含む。)をする事業を行う施設であつて、老人福祉施設、認知症対応型老人共同生活援助事業を行う住居その他厚生労働省令で定める施設でないものをいう。以下同じ。)を設置しようとする者は、あらかじめ、その施設を設置しようとする地の都道府県知事に、次の各号に掲げる事項を届け出なければならない。

一~七 (略)

2 前項の規定による届出をした者は、同項各号に掲げる事項に変更を生じたときは、変更の日から一月以内に、その旨を当該都道府県知事に届け出なければならない。

3 第一項の規定による届出をした者は、その事業を廃止し、又は休止しようとするときは、その廃止又は休止の日の一月前までに、その旨を当該都道府県知事に届け出なければならない。

4~5 (略)

6 有料老人ホームの設置者は、家賃、敷金及び介護等その他の日常生活上必要な便宜の供与の対価として受領する費用を除くほか、権利金その他の金品を受領してはならない。

7 有料老人ホームの設置者のうち、終身にわたつて受領すべき家賃その他厚生労働省令で定めるものの全部又は一部を前払金として一括して受領するものは、当該前払金の算定の基礎を書面で明示し、かつ、当該前払金について返還債務を負うこととなる場合に備えて厚生労働省令で定めるところにより必要な保全措置を講じなければならない。

8 (略)

9 都道府県知事は、この法律の目的を達成するため、有料老人ホームの設置者若しくは管理者若しくは設置者から介護等の供与を委託された者(以下「介護等受託者」という。)に対して、その運営の状況に関する事項その他必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員に、関係者に対して質問させ、若しくは当該有料老人ホーム若しくは当該介護等受託者の事務所若しくは事業所に立ち入り、設備、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

10 (略)

11 都道府県知事は、有料老人ホームの設置者が第4項から第8項までの規定に違反したと認めるとき、入居者の処遇に関し不当な行為をし、又はその運営に関し入居者の利益を害する行為をしたと認めるとき、その他入居者の保護のため必要があると認めるときは、当該設置者に対して、その改善に必要な措置を採るべきことを命ずることができる。

12 (略)

(有料老人ホーム協会)

第30条 その名称中に有料老人ホーム協会という文字を用いる一般社団法人は、有料老人ホームの入居者の保護を図るとともに、有料老人ホームの健全な発展に資することを目的とし、かつ、有料老人ホームの設置者を社員(以下この章において「会員」という。)とする旨の定款の定めがあるものに限り、設立することができる。

2 前項に規定する定款の定めは、これを変更することができない。

3 第1項に規定する一般社団法人(以下「協会」という。)は、成立したときは、成立の日から2週間以内に、登記事項照明書及び定款の写しを添えて、その旨を、厚生労働大臣に届け出なければならない。

4 協会は、会員の名簿を公衆の縦覧に供しなければならない。

(名称の使用制限)

第31条 協会でない者は、その名称中に有料老人ホーム協会という文字を用いてはならない。

2 協会に加入していない者は、その名称中に有料老人ホーム協会会員という文字を用いてはならない。

第39条 第18条の2第1項又は第29条第11項の規定による命令に違反した者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

第40条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした者は、30万円以下の罰金に処する。

一 第29条第9項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又はこれらの規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくはこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。

二 第29条第1項から第3項までの規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。

三・四 (略)

○老人福祉法附則(平成23年法律第72号)

(施行期日)

第1条 この法律は、平成24年4月1日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

1・2 (略)

(老人福祉法の一部改正に伴う経過措置)

第10条

1・2 (略)

3 新老人福祉法第29条第6項の規定は、施行日の前日までに旧老人福祉法第29条第1項の規定による届出がされた同項に規定する有料老人ホームについては、平成27年4月1日以降に受領する金品から適用する。

4 (略)

2.特定施設入居者生活介護等の事業所に対する指導

○介護保険法(平成9年法律第123号)

(指定の取消し等)

第77条 都道府県知事は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該指定居宅サービス事業者に係る第41条第1項本文の指定を取り消し、又は期間を定めてその指定の全部若しくは一部の効力を停止することができる。

一~三 (略)

四 指定居宅サービス事業者が、第74条第2項に規定する指定居宅サービスの事業の設備及び運営に関する基準に従って適正な指定居宅サービスの事業の運営をすることができなくなったとき。

五~九 (略)

十 前各号に掲げる場合のほか、指定居宅サービス事業者が、この法律その他国民の保健医療若しくは福祉に関する法律で政令で定めるもの又はこれらの法律に基づく命令若しくは処分に違反したとき。

十一~十三 (略)

2 (略)

(指定の取消し等)

第78条の10 市町村長は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該指定地域密着型サービス事業者に係る第42条の2第1項本文の指定を取り消し、又は期間を定めてその指定の全部若しくは一部の効力を停止することができる。

一~四 (略)

五 指定地域密着型サービス事業者が、第78条の4第2項又は第5項に規定する指定地域密着型サービスの事業の設備及び運営に関する基準に従って適正な指定地域密着型サービスの事業の運営をすることができなくなったとき。

六~十一 (略)

十二 前各号に掲げる場合のほか、指定地域密着型サービス事業者が、この法律その他国民の保健医療若しくは福祉に関する法律で政令で定めるもの又はこれらの法律に基づく命令若しくは処分に違反したとき。

十三~十五 (略)

(指定の取消し等)

第115条の9 都道府県知事は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該指定介護予防サービス事業者に係る第53条第1項本文の指定を取り消し、又は期間を定めてその指定の全部若しくは一部の効力を停止することができる。

一・二 (略)

三 指定介護予防サービス事業者が、第115条の4第2項に規定する指定介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準又は指定介護予防サービスの事業の設備及び運営に関する基準に従って適正な介護予防サービスの事業の運営をすることができなくなったとき。

四~八 (略)

九 前各号に掲げる場合のほか、指定介護予防サービス事業者が、この法律その他国民の保健医療若しくは福祉に関する法律で政令で定めるもの又はこれらの法律に基づく命令若しくは処分に違反したとき。

十~十二 (略)

2 (略)

○介護保険法施行令(平成10年政令第412号)

(指定の取消し等に係る法律)

第35条の5 法第77条第1項第10号、第78条の10第12号、第84条第1項第10号、第92条第1項第10号、第104条第1項第9号、第115条の9第1項第9号、第115条の19第11号及び第115条の29第9号の政令で定める法律は、次のとおりとする。

一~十四 (略)

十五 老人福祉法

十六~二十四 (略)

[別添]

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