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○中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律による支援給付の実施要領の取扱いについて

(平成20年3月31日)

(社援企発第0331001号)

(各都道府県・各指定都市・各中核市民生主管部(局)長あて厚生労働省社会・援護局援護企画課長通知)

今般、平成20年4月1日より中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律の一部を改正する法律(平成19年法律第127号)の一部が施行されることに伴い、「中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律による支援給付の実施要領について」(平成20年3月31日付け社援発0331008号社会・援護局長通知)が通知されたところであるが、この実施要領の取扱いについて別添のとおり定めたので指針とされたい。

なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の9第1項及び第3項の規定による処理基準であることを申し添える。

中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律による支援給付の実施要領の取扱いについて

第1 世帯の認定

[同居の非支援配偶者の取扱い]

問1 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律(平成6年法律第30号。以下「支援法」という。)第2条第3項及び中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律の一部を改正する法律(平成25年法律第106号。以下「平成25年改正法」という。)附則第2条第1項に規定する配偶者に該当しないが、特定中国残留邦人等と婚姻関係にある者(以下「非支援配偶者」という。)が同居している場合の取扱い如何。

答 要支援世帯と同居している者として取り扱われたい。

なお、「中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律による支援給付の実施要領」(平成20年3月31日付け社援発第0331008号社会・援護局長通知。以下「局長通知」という。)第4においては、夫婦の関係にあることから、第4の1の(1)のアに該当する。

※ 局長通知第1に規定する世帯は、支援法及び中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律施行規則(平成6年厚生省令第63号)第18条の2から第18条の6までに定める世帯とは異なり、当該特定中国残留邦人等及び局長通知第1に定める特定配偶者等だけで構成されるものをいい、同居する非支援配偶者及び2世等は含まれない。当該非支援配偶者は、局長通知では要支援世帯と同居している者となるので、留意されたい。

〔出かせぎ又は寄宿〕

問2 出かせぎ又は寄宿とは、生計を一にする世帯の所在地を離れて、特定又は不特定期間、他の土地で就労、事業等のため仮の独立生活を営み、目的達成後その世帯に帰ることが予定されている状態をいうものと解してよいか。

答 お見込みのとおりである。

〔転出〕

問2の2 生計を一にする世帯から離れて、他の土地に新たな生計の本拠を構えた場合には、これを転出として取り扱ってよいか。

答 貴見のとおり取り扱って差し支えない。

〔世帯分離の適用範囲〕

問2の3 要支援世帯と同居している2世等について、局長通知第1の3に規定されている要件に合致する場合は、世帯分離を適用して2世等の収入を収入認定額に算定しない取扱いとしてよいか。

答 局長通知第1における世帯とは、特定中国残留邦人等及び特定配偶者等で構成される家族の単位を指すものであり、局長通知第1の3の世帯分離についても、例えば支援給付を受給する単身の特定中国残留邦人等が支援給付を要しない特定中国残留邦人等の兄弟の元へ転入した場合など、世帯の構成員となりうる者の間で適用が検討されるものであり、定義上世帯の構成員とならない2世等との間では当該規定は適用されない。

なお、同居している2世等が被保護世帯でない場合は、原則、局長通知第7の3の(2)のオの規定に基づき、同居している者の収入として収入認定額を算定する必要があるが、要支援世帯と同居している者を同一世帯とみなした場合において、生活保護法実施要領の定めるところにより世帯分離の要件を満たしていると認められる場合については、当該同居している者の収入について算定することを要しない。

〔世帯分離の見直し〕

問3 世帯分離が認められる場合については、局長通知第1の3に各々その要件が示されているが、これは、世帯分離により支援給付を継続している場合にも適用されるべきものと思う。したがって、世帯分離要件に該当しなくなった場合は、世帯分離を解除した上、改めて同一世帯として認定を行い、支援給付の要否判定を行うべきものと考えるが、どうか。

答 世帯分離は、世帯単位の原則をつらぬくとかえって法の目的を実現できないと認められる場合に例外的に認められる取扱いであることから、世帯分離要件は、世帯分離を行う時点だけでなく、支援給付継続中も常に満たされていなければならないものである。したがって、一旦世帯分離を行った場合であっても、その後の事情の変更により、世帯分離の要件を満たさなくなった場合には、世帯分離を解除し、世帯を単位として支援給付の要否及び程度を決定することとなる。

具体的には、世帯分離により支援給付を要しないこととなった世帯の収入、資産の状況、就学の状況や、世帯構成、地域の生活実態との均衡及び世帯分離の効果等を継続的に把握し、世帯分離要件を満たしているかどうかについて毎年1回(6月の収入申告時等)は検討を行う必要がある。なお、世帯分離の解除を円滑に行うためにも、世帯分離を行うにあたっては、当該世帯に対し世帯分離の趣旨等を十分に説明しておく必要がある。

〔世帯分離が確認出来ない場合の取り扱い〕

問4 世帯分離をした場合において、分離により支援給付を要しないとした者(世帯)については、継続的に収入等を把握し、要件を満たしているかどうかについて毎年1回は検討を行うこととされているが、世帯分離により支援給付を要しないとした者の非協力により支援給付を要しないとした者の収入等が申告されず、また再三届出を求めたにもかかわらず届出がなされないため要件の確認が行えないような場合は、どのように取り扱えばよいか。

答 世帯分離は、世帯単位の原則のもとで一定の要件を満たしていることを条件に支援給付の実施機関が適当と判断したときに例外的な取扱いとして認められているものである。したがって、世帯分離中は継続して分離の要件を満たしており、分離が適切であるとの実施機関の判断が前提となっているものであるから、設問のように支援給付の実施機関において分離要件を見直すことが必要であると考え調査したが、世帯分離により支援給付を要しないとした者の非協力により、この確認ができない場合には当然世帯単位の原則に立ち返り同一世帯と認定すべきものである。

以上の考え方からすれば、設問のような場合においては、支援給付の実施機関は、まず、世帯分離を解除し、当該者を同一世帯と認定する変更決定を行うとともに、再度必要な資料等の提出を求め、なお指示に従わない場合は所要の手続を経て支援給付の停廃止を検討すべきである。

〔出身世帯の生計中心者の交替による世帯分離の見直し〕

問5 世帯分離により入院若しくは入所中又は局長通知第1の3の(7)に掲げる施設に入所中の者のみを相当長期間支援給付を適用している場合であって、世帯分離後の出身世帯の生計中心者が代替わりしたこと等により、同一世帯として認定することが適当でないと認められる場合には、別世帯とみなして差し支えないか。

答 次のいずれにも該当する場合であって、社会通念上同一世帯として認定することが適当でないと認められる場合には、出身世帯と分離して支援給付を適用している者を別世帯とみなして差し支えない。

1.世帯分離後、入院入所期間がおおむね5年以上にわたっており、今後も引き続き長期間に及ぶこと。

2.世帯分離されている者に対し、出身世帯員のいずれもが生活保持義務関係にないこと。

3.世帯分離後出身世帯の生計中心者が代替わりしていること。

なお、別世帯とみなした場合にも、従前の支援給付の実施機関が、なお支援給付の実施責任(居住地支援給付の例による。)を負うこととなる。

問6 削除

第2 実施責任

〔入院前の居住地が消滅した場合の実施責任〕

問1 単身者たる入院患者又は介護老人保健施設入所者の入院又は入所前の居住地がなくなった場合は、他に親族などの縁故先で退院又は退所後の落着き先となることが期待される場所があるとしても、当該入院又は入所が法によるものであると否とを問わず、すべて居住地として認定されないと解してよいか。

答 局長通知第2の2の(2)に該当する場合を除き、お見込みのとおりである。

〔出身世帯が移転した場合の実施責任〕

問2 世帯分離された入院患者又は介護老人保健施設入所者については、出身世帯の居住地をその居住地として認定すべきであり、出身世帯が移転した場合も同様であると解してよいか。

答 お見込みのとおりである。

〔世帯全員が入院、入所し、居住地が消滅した場合〕

問3 同一世帯員として認定すべき者のうち、一方が病院又は療養所にあり、他方が保護施設にある場合で、入院又は入所前の居住地が消滅しているときの実施責任は、どのように判断すべきか。

答 それぞれ世帯を別にしているものとして判断すべきである。すなわち、保護施設にある者については生活保護法第19条第3項の規定の例により、入院患者については局長通知第2の2又は3により取り扱うべきである。

〔要支援者にかかる実施責任〕

問4 次の場合の要支援者にかかる実施責任はいずれにあるか。

(1) 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に基づく公費負担(結核に係るものに限る。以下同じ。)又は心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(以下「医療観察法」という。)に基づく公費負担による入院患者等医療支援給付の適用を受けていない被支援者で居住地のないものが転院したとき。

(2) 医療支援給付により入院していた者で局長通知第2の2の(3)又は3により支援給付を実施されていたものが、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に基づく公費負担を受ける等医療支援給付の適用を要しなくなった場合で引き続き生活支援給付(入院患者日用品費)を要するとき。

(3) 医療観察法による措置廃止により、居住地のない被支援者が転院したとき。

答 (1)については、局長通知第2の3は適用されず、当該被支援者の現在地である転院先の医療機関所在地の実施機関が、入院患者日用品費等の支給について実施責任を負うものである。

(2)については、同一の医療機関に入院している限り引き続き局長通知第2の2の(3)又は3により実施責任が定められるものである。

(3)については、措置廃止と同時に転院となった場合は、局長通知第2の2により転院先の医療機関所在地の実施機関が実施責任を負うものである。

〔入院後3か月の算定方法〕

問5 局長通知第2の2の(3)にいう「入院後3か月以内」及び「入院後3か月を経過した後」の「3か月」はどのように算定すべきか。

答 いずれも入院した日の属する月を含めて4か月目の月の入院日に応答する日までをいうものである。

〔軽費老人ホーム入所等の場合の居住地〕

問6 軽費老人ホーム又は有料老人ホームの入居者に対する支援給付の実施責任は、入居前の居住地又は現在地を所管する支援給付の実施機関が負うことになるのか。

(1) お見込みのとおり。

なお、令和7年3月31日以前に軽費老人ホーム又は有料老人ホームに入居していた者であって、これらの施設において特定施設入居者生活介護又は介護予防特定施設入居者生活介護を受けない者については、従前のとおり、これらの施設の所在地を所管する支援給付の実施機関が支援給付の実施責任を負うこととなる。

(2) 福祉ホーム、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)等に入居する者については、これらの施設の所在地を所管する支援給付の実施機関が支援給付の実施責任を負うこととなる。

一方で、平成18年4月1日以後に障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に規定する共同生活援助を行う住居に入居した被支援者の支援給付の実施責任は、入居前に支援給付を受けていたかどうかにかかわらず、入居前の居住地を所管する支援給付の実施機関が支援給付の実施責任を負うものであることに留意されたい。

第3 資産の活用

〔支援給付開始申請時における預貯金等の取扱い〕

問1 支援給付開始申請時に保有することができる預貯金・手持ち金等の保有限度額について示されたい。

答 支援給付開始申請時(生活保護から移行する世帯を除く)の預貯金・手持ち金等(生命保険の解約返戻金の額を含む。)については、老齢基礎年金の満額支給に必要な40年分の保険料相当の一時金の額まで保有を認めて差し支えないものである。

なお、同一世帯に特定中国残留邦人等である者が二人いる場合には、預貯金・手持ち金等(生命保険の解約返戻金の額を含む。)の額が、老齢基礎年金の満額支給に必要な40年分の保険料相当の一時金の額にいずれか高い方の老齢基礎年金が満額支給される際に手元に残ることになる拠出保険料相当額の一時金の額を加えた額の範囲内であれば保有を認めて差し支えないものである。

特定中国残留邦人等が二人いる世帯の支援給付開始時における預貯金等の保有限度額

(特定中国残留邦人等それぞれの老齢基礎年金が満額支給される際に手元に残ることになる拠出保険料相当額の一時金を「一時金A」・「一時金B」とする)

〔支援給付のやり繰りによって生じた預貯金等〕

問2 支援給付の受給中、既に支給された支援給付費のやり繰りによって生じた預貯金等が発見された場合はどのように取り扱ったらよいか。

答 支援給付受給中に、何らかの事情により、開始時の保有限度額を超える預貯金等を保有していることが発見された場合については、まず、当該預貯金等が支援給付開始時に保有していたものではないこと、及び不正な手段(収入の未申告等)により蓄えられたものではないことを確認すること。当該預貯金等が既に支給された支援給付費のやり繰りによって生じたものと判断されるときは、当該預貯金等の使用目的を聴取し、その使用目的が支援給付の趣旨目的に反しないと認められる場合については、活用すべき資産には当たらないものとして、保有を容認して差し支えない。

なお、この場合、当該預貯金等があてられる経費については、支援給付費の支給又は就労に伴う必要経費控除の必要がないものであること。

また、保有の認められない物品の購入など使用目的が支援給付の趣旨目的に反すると認められる場合には、最低生活の維持のために活用すべき資産とみなさざるを得ない旨を被支援者に説明した上で、状況に応じて収入認定や要否判定の上で支援給付の停止又は廃止を行うこと。

問2―2 支援給付の停廃止をする際に、活用すべき資産には当たらないものとして認められた預貯金等を保有していた場合、支援給付を再開する際の当該預貯金の取扱いを示されたい。

答 支援給付の停止は、おおむね6か月以内に再び支援給付を要する状態になることが予想される場合又は支援給付を要しない状態がなお確実性を欠くため、若干期間その世帯の生活状況の経過を観察する必要がある場合に行うものであり、支援給付停止中においても、その生活状況の経過を把握し、必要に応じて助言指導を行うこととなっている。

このため、支援給付停止前に認められていた当該預貯金等を支援給付停止中に保有することは認められるものである。なお、支援給付再開時に当たっては、自立更生計画等により、当該預貯金等の使用目的及び金額が支援給付停止前と変更ないものかどうか、変更されている場合はその事情等を確認すること。

一方、支援給付の廃止は、特別な事由が生じない限り、支援給付を再開する必要がない場合又はおおむね6か月を超えて支援給付を要しない状態が継続する場合に行うものであり、支援給付廃止後は支援給付制度下の制約を受けないものである。

したがって、支援給付廃止後は当該預貯金等を何に充てるかは本人の自由となるが、再び要支援状態となって支援給付の申請があった場合、支援給付廃止前に活用すべき資産には当たらないものとして認められた預貯金等を保有していたとしても、支援給付開始時の要否判定においては、再度、保有の適否について個別に検討すること。

なお、これらの手続について、被支援者に対し、上記の取扱いを十分に説明した上で行うこと。

〔不動産保有状況の定期的申告〕

問3 不動産の保有状況については、定期的に申告を行わせることとされているが、具体的にはどう取り扱ったらよいか。

答 不動産の保有状況については、少なくとも固定資産税にかかる不動産評価額の評価替え(3年ごと)の際に併せて被支援者から書面により申告を行わせ(固定資産税納税通知書がある場合は写しを提出させること。)、必要がある場合は、更に訪問調査等により的確に把握すること。

なお、支援給付の実施機関において関係機関の協力等により被支援者の保有不動産の状況を的確に把握できる場合には、必ずしも被支援者から申告を行わせる必要はないこと。

おって、不動産を取得又は処分したときの申告については、予め被支援者に申告の義務があることを十分に理解させ、速やかに申告を行わせること。

〔ケース診断会議等の検討に付する目安〕

問4 局長通知第3の5にいうケース診断会議等の検討に付する目安を示されたい。

答 ケース診断会議等における検討対象ケースの選定にあたっては、当該支援給付の実施機関における最上位級地の標準3人世帯の生活支援給付基準額に同住宅支援給付特別基準額を加えた値におおよそ10年を乗じ、土地・家屋保有に係る一般低所得世帯、周辺地域住民の意識、持ち家状況等を勘案した所要の補正を行う方法、またはその他地域の事情に応じた適切な方法により算出した額をもってケース診断会議等選定の目安額とする。

なお、当該目安額は、あくまでも当該診断会議等の検討に付するか否かの判断のための基準であり、支援給付の要否の決定基準ではないものである。

〔ケース診断会議等での検討内容〕

問5 局長通知第3の5でいうケース診断会議等ではどのような点について検討を行うのか示されたい。

答 当該土地・家屋に居住することによって営まれる生活の内容が、最低生活の観点から、他の被支援世帯や地域住民の生活内容との比較においてバランスを失しない程度のものであるか、また、支援給付の補足性の観点からみて、居住用の不動産としてその価格が著しい不公平を生じるものではないか等について、住民意識及び世帯の事情等を十分勘案して長期的な視点で行うものとする。

具体的には、

① 当該土地・家屋の見込処分価値の精査

② 当該土地・家屋の処分の可能性

③ 当該世帯の移転の可能性

④ 当該世帯員の健康状態・生活歴

⑤ 当該世帯と近隣の関係

⑥ 当該世帯の自立の可能性

⑦ 当該地域の低所得者の持ち家状況、土地・家屋の平均面積、地域感情

⑧ その他必要な事項

について検討し、当該世帯の実情に応じた土地・家屋の保有の容認あるいは活用の方策等の総合的な意見をまとめること。

〔ローン付き住宅保有者からの支援給付申請〕

問6 ローン付住宅を保有している者から支援給付の申請があったが、どのように取り扱うべきか。

答 ローンにより取得した住宅で、ローン完済前のものを保有している者に支援給付を適用した場合には、結果として生活にあてるべき支援給付費からローンの返済を行うこととなるので、原則として支援給付の適用は行うべきではない。

〔要支援世帯向け不動産担保型生活資金の利用を拒む世帯への対応〕

問7 局長通知第3の1の(1)及び第3の2の(1)において、要支援世帯向け不動産担保型生活資金の利用が可能なものについては、当該貸付資金の利用によってこれを活用させることとし、その活用後に保有を認めることとされているが、当該貸付資金の利用が可能にも関わらず、その利用を拒む世帯に対しては、どのように対応するのか

答 要支援世帯向け不動産担保型生活資金の利用が可能な場合には、当該貸付資金の利用が優先されるべきである。

したがって、当該貸付資金の利用を拒む世帯に対しては、資産の活用は支援給付の受給要件となることを説明し、その利用を勧奨するとともに、貸付期間中も相談に応じること、貸付の利用が終了した後、他の要件を満たす場合には支援給付が適用になる旨を説明することとされたい。

それでも、当該貸付資金の利用を拒む場合については、資産活用を恣意的に忌避し、生活保護法第4条の規定の例により支援給付の受給要件を満たさないものと解し、

1 支援給付受給中の者については、所要の手続を経て、支援給付を廃止する

2 新規の支援給付申請者については、支援給付申請を却下することとされたい。

〔要支援世帯向け不動産担保型生活資金の貸付日以前に支給された支援給付費の取扱い〕

問8 支援給付受給中の者が要支援世帯向け不動産担保型生活資金を利用した場合、貸付日以前に支給された支援給付費はどのように取扱うのか。

答 要支援給付世帯向け不動産担保型生活資金の利用の可否については、社会福祉協議会による審査によって決定されることから、支援給付の実施機関による当該居住用不動産の保有認否の判断は、この審査結果を待って行うことになる。

したがって、この場合、貸付契約の成立をもって、当該居住用不動産が具体的に活用可能な資産になったものと判断されるべきであり、初回の貸付分が受けられる月の初日を資力発生日ととらえ、貸付日以前に支給された支援給付費については、生活保護法第63条の規定の例による返還請求を行わないこと。

なお、この取り扱いは、支援給付の実施機関が貸付日以前に当該居住用不動産の保有を否認していた場合も同様である。

〔当該地域の一般世帯との均衡を失することとならない判断基準〕

問9 局長通知第3の4の(4)のイにいう「当該地域の一般世帯との均衡を失することにならない」ことの判断基準を示されたい。

(1) 「当該地域」とは、通常の場合、支援給付の実施機関の所管区域又は市町村の行政区域を単位とすることが適当であるが、実情に応じて、市の町内会、町村の集落等の区域を単位として取り扱って差し支えない。

(2) 「一般世帯との均衡を失することにならない」場合とは、当該物品の普及率をもって判断するものとし、具体的には、当該地域の全世帯の70%程度(利用の必要性において同様の状態にある世帯に限ってみた場合には90%程度)の普及率を基準として認定すること。

問10 局長通知第3の総論⑤にいう「社会通念上処分させることを適当としないもの」としてルームエアコンの保有を認めてよいか。

答 お見込みのとおりである。

〔生活用品の分類〕

問11 生活用品としての楽器、テレビ、カメラ及びステレオは、趣味装飾品、家具什器又はその他の物品のいずれに分類すべきか。

答 「その他の物品」として取り扱うこと。

問11―2 債券の保有は認められないこととなっているが、有価証券はすべて保有が認められないのか。

答 株券、国債証券、投資信託の受益証券など資産形成に資する有価証券は、保有を認められない。

なお、支援給付申請時において、未公開株券等の直ちに処分することが困難な有価証券であって、一定期限の到来により処分可能となるものを保有する場合に限り、支援給付適用後売却益を受領した時点で、開始時の資力として生活保護法第63条の規定の例を適用することを条件に支援給付を適用して差し支えない。

〔生活用品としての自動車の保有〕

問12 生活用品としての自動車の保有は認められるか。

答 自動車を必要とする場合で、次のいずれにも該当し、かつ、その保有が社会的に適当と認められるときは、局長通知第3の総論⑤にいう「社会通念上処分することを適当としないもの」としてその保有を認めて差し支えない。

なお、この取扱いは新規申請時に既に自動車を保有している場合のほか、支援給付受給中に新たに自動車を購入する場合にも適用するものである。

(1) 自動車が当該特定中国残留邦人等及びその者の特定配偶者等の生活の維持のために使われているものであること。

(2) 自動車の処分価値が概ね当該世帯の最低生活費(生活支援給付及び住宅支援給付の基準額)の3か月分程度以内のものであって、日常生活に必要な範囲のものと認められるものであること。

ただし、障害者が通勤、通院、通学、通所のために自動車を利用しており構造上身体障害者用に改造してある場合等についてはこの限りではない。

(3) 自動車の維持に要する費用が支援給付のやりくりや他施策の活用等(生活保護の実施要領により、事業、通勤の用途としての保有要件を満たすものについては就労収入を含む)により賄われることが確実であること。

(4) 特定中国残留邦人等及びその者の特定配偶者等、又は同居している者(原則として生活保護受給中の者を除く)、若しくは常時介護者が運転する場合であること。

〔支援給付開始申請時における保険の取扱い〕

問13 支援給付開始申請時に保険に加入している場合は、資産にあたるものとして解約させる必要があるのか。

答 次の条件のいずれをも満たす保険については、解約させずに保有を認め、支援給付を適用して差し支えない。

(1) 保障の効果が特定中国残留邦人等又はその者の特定配偶者等、若しくは同居の親族に及ぶ保険であること。

(2) 解約返戻金の額が、預貯金等と合算して、老齢基礎年金の満額支給に必要な40年間分の保険料相当の一時金の額以内であること。

(3) 保険料が支援給付のやりくりにより賄われること。

〔支援給付受給中における保険の解約返戻金、保険金等の取扱い〕

問14 支援給付開始時に保有を認められた保険について、支援給付受給中に解約返戻金や死亡保険金、入院給付金等を受領した場合の取扱いを示されたい。

答 次のとおり取り扱われたい。

(1) 満期保険金及び中途解約の場合の解約返戻金について

支援給付開始時点での解約返戻金相当額は預貯金等と同等のものとして保有の認められた資産であり、その額については収入認定を要さないものである。

また、開始時の解約返戻金相当額以外の額については、「支援給付のやり繰りによって生じた預貯金等の取扱い」と同様に、使用目的が支援給付の趣旨目的に反しない場合については、収入認定の除外対象として取り扱い、当該収入があてられる経費については、支援給付の支給又は就労に伴う必要経費控除の必要がないものである。

(2) 配当金等の一時金

(1)とは異なり、保険契約は継続されており未だ資産としての保険を保有している状態にあることから、解約返戻金相当額について考慮する必要はないが、配当金等は支払った保険料の還付の性格を有していることから(1)の後段同様、使用目的が支援給付の趣旨目的に反しない場合については、収入認定の除外対象として取り扱って差し支えない。

(3) 入院給付金等の保険給付金

(2)同様、保険契約は継続されており未だ資産としての保険を保有している状態にあることから、解約返戻金相当額について考慮する必要はなく、また保険事故に対する給付は「支援給付のやり繰りによって生じた預貯金等」にも当たらないものである。したがって、局長通知第7の3の(2)のカ「その他の収入」として収入認定することになる。

(4) 死亡保険金(同居している世帯員に支払われた場合)

支援給付開始時点での解約返戻金相当額は世帯単位で保有を認めた資産であることから、その額については収入認定を要さないものである。

一方で保険事故に対する給付は「支援給付のやり繰りによって生じた預貯金」には当たらないため、開始時の解約返戻金相当額以外の額については、局長通知第7の3の(3)のアの(キ)に該当するものを除き、局長通知第7の3の(2)のカ「その他の収入」として収入認定することになる。

〔年金型生命保険の取扱い〕

問15 年金型生命保険の取扱いについて示されたい。

答 次のとおり取扱うこととする。

1 保有の可否について

支援給付開始申請時の生命保険の取扱いについて定めた第3の問13は、保険の種類にかかわらず適用されるものであるから、年金型生命保険の保有の可否についても、原則として第3の問13の定めにより判断されることになる。

ただし、本人の選択により、支援給付開始申請時においては第3の問13を適用することなく保有を認め、その代わり、下記2の(3)のとおり、支援給付受給開始後に受領した保険金等を収入認定することとして取り扱っても差し支えない。この場合においては、支援給付開始申請時における解約返戻金額が、老齢基礎年金の満額支給に必要な40年間分の保険料相当の一時金の額を超えている場合にも保有を容認するものである。

2 収入認定について

(1) 年金型生命保険については、解約又は一時金として受け取ることも、年金方式として受け取ることも、いずれも認めて差し支えない。

(2) 支援給付開始申請時において第3の問13の条件を満たしてその保有を認められた年金型生命保険については、いずれの方式によって受け取った場合においても、その全額について、第3の問14の(1)後段及び(2)と同様、収入認定の除外対象として取り扱って差し支えない。

(3) 支援給付開始申請時において第3の問13の条件を満たさない年金型生命保険についても保有を認められるが、当該保険については、いずれの方式で受け取った場合においても、収入認定の対象となる。解約又は一時金として受け取った場合には、局長通知第7の3の(2)のカ「その他の収入」として、年金方式で受け取った場合には、「年金以外の公的給付金等の収入」に準じるものとして、局長通知第7の3の(2)のイにより収入認定することとされたい。

この場合、解約、一時金、年金方式として受け取った場合には、その金額により支援給付が一時廃止されることもあるが、支援給付が再開される前に特定中国残留邦人等本人が死亡した場合、配偶者は支援給付の対象外となるので、このことについて十分説明をお願いする。

〔非支援配偶者の資産の活用等〕

問16 支援給付を受けていない者と平成25年改正法施行後に婚姻関係となった場合の世帯の支援給付の要否判定において、当該配偶者の資産や稼働能力の活用状況は考慮する必要があるのか。

答 問第7の8と同じ取扱いとされたい。

第4 扶養義務の取扱い

〔相対的扶養義務者と特別の事情〕

問1 局長通知第4の1の(1)のイの(イ)にいう「特別の事情」に該当するのは、どのような場合であるか。

答 民法第877条第2項にいう特別の事情と同様趣旨のものと考えてよく、この場合、特別の事情とは、法律上絶対的扶養義務者には一般的に扶養義務が課せられるが、その他の3親等内の親族についても、親族間に生活共同体的関係が存在する実態にあるときは、その実態に対応した扶養関係を認めるという観点から判断することが適当であるとされている。

したがって、本法の運用にあたっても、この趣旨に沿って、支援給付の実施機関において、当事者間の関係並びに関係親族及び当該地域における扶養に関する慣行等を勘案して特別の事情の有無を判断すべきものである。

わが国の社会実態からみて、少なくとも次の場合にはそれぞれ各号に掲げる者について特別の事情があると認めることが適当である。ただし、当該判断にあたっては機械的に取り扱うことなく、原則当事者間における話合い等によって解決するよう努めること。

1 その者が、過去に当該申請者又はその世帯に属する者から扶養を受けたことがある場合

2 その者が、遺産相続等に関し、当該申請者又はその世帯に属する者から利益を受けたことがある場合

3 当該親族間の慣行又は当該地域の慣行により、その者が当該申請者又はその世帯に属する者を扶養することが期待される立場にある場合

〔扶養義務の履行が期待できない者に対する扶養能力調査の方法〕

問2 局長通知第4の2の(2)による扶養の可能性の調査により、例えば、

① 当該扶養義務者が被保護者、社会福祉施設入所者及び支援給付の実施機関がこれらと同様と認める者

② 要支援者の生活歴等から特別な事情があり明らかに扶養ができない者

③ 夫の暴力から逃れてきた母子、虐待等の経緯がある者等の当該扶養義務者に対し扶養を求めることにより明らかに要支援者の自立を阻害することになると認められる者

であって、明らかに扶養義務の履行が期待できない場合は、その間の局長通知第4の2の(3)、(4)及び(5)の扶養能力調査の方法はいかにすべきか。

1 当該扶養義務者が夫婦の関係である者であるときは、局長通知第4の2の(3)のアのただし書きにいう扶養義務者に対して直接照会することが真に適当でない場合として取り扱って差し支えない。なお、③の場合は、直接照会することが真に適当でない場合として取り扱うこと。

2 当該扶養義務者が夫婦の関係である者以外であるときは、個別の慎重な検討を行い扶養の可能性が期待できないものとして取り扱って差し支えない。なお、③の場合は、直接照会することが真に適当でない場合として取り扱うこと。

3 なお、1又は2のいずれの場合も、当該検討経過及び判定については、支援給付台帳、ケース記録等に明確に記載する必要があるものである。

〔扶養能力の判断〕

問3 夫婦の関係にある者の扶養能力を判断するにあたり、所得税が課されない程度の収入を得ている者は、扶養能力がないものとして取り扱ってよいか。

答 給与所得者については、資産が特に大きい等、他に特別の事由がない限り、お見込みのとおり取り扱って差し支えない。給与所得者であってもこの取り扱いによることが適当でないと認められる者及び給与所得者以外の者については、各種収入額、資産保有状況、事業規模等を勘案して、個別に判断すること。

〔扶養の程度〕

問4 局長通知第4の2の(7)のアは、夫婦の関係にある者の同居の事実の有無又は親権の有無にかかわらず適用されるものと思うが、どうか。

答 お見込のとおりである。

問5 局長通知第4の3及び4の(1)における「明らかに扶養義務を履行することが可能と認められる扶養義務者」とはどのような者をいうか。

答 当該判断にあたっては、局長通知第4の2による扶養能力の調査の結果、①定期的に会っているなど交際状況が良好であること、②扶養義務者の勤務先等から当該要支援者に係る扶養手当や税法上の扶養控除を受けていること、③高額な収入を得ているなど、資力があることが明らかであること等を総合的に勘案し、扶養義務の履行を家庭裁判所へ調停又は審判の申立てを行う蓋然性が高いと認められる者をいう。

問5の2 局長通知第4の3及び4の(1)については、同通知第4の2の(4)に定める特定中国残留邦人等本人の直系卑属の関係にある者であって扶養の可能性が期待できる者については直接行わないこととされているが、具体的な取扱いについて示されたい。

答 第4の2の(4)の規定は、実施機関が直系卑属にあたる扶養義務者に対して直接扶養照会を行わない旨定めたものであって、当該扶養義務者に扶養義務が無いわけではない。したがって、第4の2の扶養能力の調査の結果、要支援者に対し直系卑属にあたる扶養義務者について扶養及びその他の支援を求めるよう指導した結果、要支援者が扶養義務者に援助を求めた旨の確認が取れた場合であって、3及び4の(1)に定める生活保護法第77条第1項の規定による費用徴収を行う蓋然性が高いなど、明らかに扶養義務を履行することが可能と認められる扶養義務者については、直系卑属についても、適用されるものである。その場合は、局長通知第4の3及び4の(1)で定める書面については、扶養義務者に対して実施機関から直接通知等を行わず、要支援者本人を介して行うこととする。

その運用にあたっては、局長通知第4の2の(4)の規定の趣旨を踏まえ、中国残留邦人等の置かれた特別な事情に十分配慮し、当事者の理解を得たうえで行われたい。

第5 最低生活費の認定

〔入院患者の付添人に対する最低生活費〕

問1 入院患者に、付添いのため、当該患者と同居している被支援者がその級地を異にする地の病院又は療養所において生活する場合は、入院患者に準じ最低生活費の認定をしてよいか。

答 当該入院患者が未成熟の子、身体障害者等であって付添いが必要であると認められ、かつ、当該患者と同居している被支援者が付添いを行うときは、付添いを行う被支援者の基準生活費については、局長通知第6の2の(1)により、病院等の所在地の級地基準を適用して差し支えない。

また、住宅費についても、当該被支援者が入院患者に付き添う期間中、局長通知第6の3の(1)のエ(入院患者がある場合の住宅費の取扱い)を適用して差し支えない。

〔最低生活費の日割計算〕

問2 最低生活費の認定にあたり、日割計算を行わなければならないときは、各月の実日数によるべきか。

答 30日を分母として日割計算をすることを原則とするが、その月の実日数に応じて日割計算を行うことが適当である場合には、実日数によること。

〔冬季加算の一括支給〕

問3 冬季加算を一括前渡支給してよいか。

答 生活支援給付のうち冬季加算に相応する分についても、1月分以内を限度として前渡することが原則であるが、薪炭等冬季必需物資について、当該地域の実態からみて適宜の時期に一括購入するのでなければ以後の購入が著しく困難となるような状態であれば、個々の被支援世帯において、これを他の生活需要に充当するおそれの有無等を確認し、必要やむを得ないと認められる場合は必要な額を一括前渡して差し支えない。

〔期末一時支援給付費の日割計算〕

問4 12月の月の中途で支援給付の開始又は停止若しくは廃止があった者についての期末一時支援給付費の額は日割計算しなくてよいか。

答 期末一時支援給付費は12月から翌年1月にかけて引き続き支援給付を受ける者に対して越年資金として支給されるものである。

従って、12月中に支援給付を開始される者については日割計算を行うことなく支給するものである。また、12月中に支援給付を停止又は廃止される者については支給しないものである。(この場合すでに支給済であれば、生活保護法第80条の規定の例により返還を免除すべき場合を除き全額返還させることとなる。)

〔短期入所生活介護又は短期入所療養介護を利用する場合の基準生活費の算定〕

問5 短期入所生活介護又は短期入所療養介護を利用する場合の基準生活費の算定はどうすべきか。

答 居宅から1ヶ月を超えて短期入所生活介護又は短期入所療養介護(以下この問において「短期入所」という。)を利用する場合には、利用開始日の属する月の翌月(利用開始日が月の初日であるときは当該月)から、介護施設入所者に適用される介護施設入所者基本生活費及び加算に当該施設に食費として支払うべき額を加えた額を算定すること。

なお、利用期間が1ヶ月以内の場合については、介護施設入所者基本生活費の算定は要しないことから、一般生活費の認定の変更(各種加算の額の変更を含む。)を要しないものとすること。

この場合、1ヶ月を超えるか否かは、居宅介護支援計画により予め確認するものとし、月の中途で計画に変更があった場合は、直ちに基準生活費を計上すること。

また、医療機関に入院しており、入院患者日用品費が算定されている者が退院し、そのまま短期入所を利用する場合には、入所日から入院患者日用品費及び加算を計上せず、介護施設入所者基本生活費及び加算に当該施設に食費として支払うべき額を加えた額を算定すること。

問6 ケアハウスは、生活保護法及び支援給付による指定介護機関の指定の対象とされているが、新規に被支援者が入所することは可能か。また、入所に際し支払う必要がある保証金(敷金等に相当するものに限る。)を住宅支援給付から支給することとして差し支えないか。

答 ケアハウスについては、管理費(家賃相当の利用料をいう。)が住宅支援給付費(基準額を超える場合であって、第5の問30の取扱いにより超過分を賄える場合を含む。)により、事務費及び生活費が生活支援給付費により対応可能であれば、新規に被支援者が入所することは可能であり、入所に際し支払う必要がある保証金(敷金等に相当するものに限る。)については、局長通知第6の3の(1)のカにいう「転居に際し、敷金等を必要とする場合」(第5の問34に該当する場合に限る。)であれば、敷金等に係る基準額(住宅支援給付特別基準額に3を乗じて得た額)の範囲内で必要な額を認定して差し支えない。

また、ケアハウス入所中の基準生活費については、居宅の生活支援給付基準を適用し、生活費と事務費については生活支援給付により対応し、管理費については、住宅支援給付の基準額の範囲内で必要な実費を住宅支援給付として認定することとなる。

〔逓減率を適用する際の居宅における世帯構成員〕

問7 生活保護法による保護の基準(昭和38年厚生省告示第158号(以下「生活保護法の基準」という。))別表第1第1章の1の(2)のアの規定により、個人別の第1類の額を合算した額に一定の率(以下「逓減率」という。)を乗じて世帯の第1類の額を算定することとされているが、次に掲げる者の第1類の額を含めた合計額について逓減率を適用するのか。

(1) 局長通知第6の2の(3)のイに定める「入院患者日用品費が算定される入院患者が病院又は診療所において給食を受けない場合の基準生活費の額」が適用される者

(2) 局長通知第6の2の(1)のオに定める「出かせぎ等により1か月をこえる期間他の世帯員と所在を異にする」者で、他の世帯員とは別に一般生活費を計上している者

答 逓減率の適用にあたっては、(1)及び(2)に該当する者は居宅における世帯構成員の数には含めないものとする。

したがって、(1)及び(2)に該当する者の第1類の額を除いた合計額に逓減率を適用することとなる。

〔「専ら母乳によって」とは〕

問8 局長通知第6の2の(2)のアの(ウ)及び(エ)にいう「専ら母乳によって」とは、どの程度の場合をいうのか。

答 「専ら母乳によって」いる場合とは、当該保育されている乳児について、人工栄養に依存する率が20%未満の場合である。

なお、人工栄養に依存する率は、乳児を養育する者の申立てを基礎として、支援給付の実施機関の指定する医師、助産師又は保健師の意見をきき、支援給付の実施機関が決定すること。また、人工栄養に依存する率の変動が予想されるときは、随時、確認を行うこと。

〔同居している被保護者である子等を養育している場合の母子加算等の認定〕

問9 母子加算、児童養育加算については、支援給付を受給している特定中国残留邦人等又はその特定配偶者等が同居している被保護者である子等を養育している場合について、それぞれの加算の要件を満たしていれば認定できるものと解してよいか。

答 お見込みのとおりである。

〔社会福祉施設の入所者の障害者加算の適用〕

問10 生活保護法の基準別表第1第2章の2の(1)の(注)にいう社会福祉施設には、軽費老人ホーム(B型)は含まれないものと解してよいか。

答 お見込みのとおりである。

〔同居している被保護者が介護をしている場合の家族介護料〕

問11 生活保護法の基準別表第1第2章の2の(4)に定める家族介護料は、同居している被保護者が特定中国残留邦人等又はその者の特定配偶者等を介護している場合にも算定できるものと解してよいか。

答 お見込みのとおりである。

〔「症状が固定している者」として取り扱う場合の判断〕

問12 障害等級表の1級、2級又は3級に該当し、身体障害者手帳の交付を受けている者は、障害者加算の認定に当たり「症状が固定している者」に該当するものとして取り扱ってよいか。

答 お見込みのとおりである。

〔「障害の程度が確認できる書類」〕

問13 局長通知第6の2の(2)のイの(イ)にいう「障害の程度が確認できる書類」には、精神障害者保健福祉手帳が含まれるものと解して差し支えないか。

答 精神障害者保健福祉手帳の交付年月日又は更新年月日が障害の原因となった傷病について初めて医師の診療を受けた後1年6月を経過している場合に限り、お見込みのとおり取り扱って差し支えない。この場合において、同手帳の1級に該当する障害は国民年金法施行令(昭和34年政令第184号)別表に定める1級の障害と、同手帳の2級に該当する障害は同別表に定める2級の障害とそれぞれ認定するものとする。

なお、当該傷病について初めて医師の診療を受けた日の確認は、都道府県精神保健福祉主管部局において保管する当該手帳を発行した際の医師の診断書(写しを含む。以下同じ。)を確認することにより行うものとする。

おって、市町村において当該手帳を発行した際の医師の診断書を保管する場合は、当該診断書を確認することにより行うこととして差し支えない。

〔職業能力開発校在校中の者の在宅患者加算〕

問14 職業能力開発校在校中の者が現に3か月以上治療を要する疾病にかかった場合、在宅患者加算を認定してよいか。

答 職業能力開発校在校中の者であっても、在宅患者加算の要件をみたす場合には在宅患者加算を加算して差し支えない。

〔転出及び施設入所児童の児童養育加算の適用〕

問15 転出した児童及び児童福祉施設に入所している児童については、児童養育加算の対象となるのか。

答 児童福祉施設のうち、生活保護法の基準別表第1の第1章の3に定める基準生活費を算定する施設に入所している児童については、児童養育加算を算定することとされたい。支援給付受給世帯から転出した児童や基準生活費を算定しない児童福祉施設に入所している児童については、児童養育加算は算定しない。

問15の2 生活保護法の基準別表第1の第2章の6の(1)に「高等学校等終了前のもの」とあるが、高等学校等に就学していない者も児童養育加算を算定してよいか。

答 お見込みのとおりである。児童養育加算については、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者(本通知第5の問15にいう「転出した児童や基準生活費を算定しない児童福祉施設に入所している児童」を除く。)すべてが加算の対象となるものであり、高等学校等への就学を要件とするものではないことに留意されたい。

問15の3 生活保護法の基準別表第1第2章の6の(2)のウにいう「第3子以降の児童」とは、どのような児童をいうか。

答 児童手当法(昭和46年法律第73号)により支給を受けた児童手当のうち同法第6条第3項の第三子以降算定額により算定した額に係る部分に係る支給対象児童(児童手当法第6条第2項第3号に規定する支給対象児童をいう。)をいう。

したがって、被支援世帯内の子の人数にはよらないことに留意されたい。

〔支援給付開始前の滞納分に係る保険料の介護保険料加算の適用〕

問16 支援給付開始前の滞納分に係る保険料について介護保険料加算の対象とすることは認められるか。

答 認められない。

問17 納期が年4回等少ない市町村において、納付月の翌月以降に支援給付が廃止となった場合、既に支給した介護保険料加算をどう取り扱うべきか。

答 介護保険料加算は、納期に納入すべき介護保険料の実費に相当する生活需要を保障するものであり、支援給付が廃止されたからといって、支援給付決定時の介護保険料加算の変更は要しない。

問18 養護老人ホームに入所する無年金者等介護保険料を負担する収入がない者から支援給付の申請があった場合、要支援者として介護保険料分の支援給付費を支給するのか。

答 養護老人ホーム入所者で費用徴収基準の第1階層に区分される者については、介護保険料加算の内容に相当する生活需要は措置を受けている限り、全て施設入所の処遇(措置費)のうちに含まれることとされている。

なお、養護老人ホーム入所者で医療支援給付のみを受けている者についても、介護保険料加算を計上する必要はない。

問19 被支援者が被保険者資格を喪失し、資格喪失の日の属する月の前月までの月割りをもって介護保険料が賦課されたため、当該年度における介護保険料の過払い分が還付された。この場合、還付金をどのように取り扱うべきか。

答 介護保険料加算は、各納期に納入すべき介護保険料の実費に相当する需要について加算を行うものである。

介護保険料の還付金が生じたときの取扱いは、還付金が被保険者の納付した介護保険料と当該年度の介護保険料額(当該被保険者の被保険者資格を有する期間に応じて賦課される介護保険料の額)との差を還付するものであり、過去に遡って各納期の介護保険料額を変更するものではないことから、介護保険料加算についても過去に遡っての変更は必要なく、生活保護法第63条の規定の例による返還の問題は生じない。したがって、支給された時点における収入(局長通知第7の3の(2)のイにいう「年金以外の公的給付金等の収入」)として取り扱うこと。

〔他市町村から転入してきた場合の未納分保険料の介護保険料加算の適用〕

問20 他の市町村から転入してきた被支援者が、転入前の市町村から月割賦課による未納分(滞納したものを含まない)の保険料を請求されている場合は、介護保険料加算を認定して差し支えないか。また、加算を行うのは転出前の支援給付の実施機関か、転出後の支援給付の実施機関か。

答 請求額のうち、転入前の支援給付受給期間に応じた額を限度として、加算を認定して差し支えない。この場合、転出後の支援給付の実施機関において加算すること。

なお、逆に転入前の市町村から過納分の還付金があった場合には、転出後の支援給付の実施機関において当該還付金を収入認定すること。

問21 被支援者が死亡したことで、その年度の介護保険料に過払いが生じ、遺族に対して還付金が支給された場合、どう取り扱うべきか。

答 当該還付金については、遺族に対し支給されたものであり、当該遺族が支援給付を受給している場合には、当該世帯の収入として認定することとなるが、そうでない場合には、支援給付制度において収入認定及び返還の問題は生じない。

〔被支援者の死亡に伴う介護保険料加算の認定〕

問22 介護保険料の納付月前に介護保険の第1号被保険者である被支援者が亡くなった場合、既に支払った保険料額が亡くなった月の前月までの月割りをもって賦課された保険料に満たなければ、介護保険の保険者から当該被支援者の配偶者又は当該世帯の世帯主に対し、亡くなった月の前月までの保険料を請求されることとなるが、これらの配偶者等のうち特定配偶者等に対しては、介護保険料加算を認定して差し支えないか。

答 お見込みのとおり取り扱って差し支えない。

〔貸おむつ、おむつの洗濯代の支給〕

問23 常時失禁状態にある患者等が布おむつ、貸おむつ又はおむつの洗濯代が必要と認められる場合は、その費用を基準額の範囲内で支給してよいか。

答 お見込みのとおり取り扱って差し支えない。

〔短期入所生活介護又は短期入所療養介護を利用している要介護者のおむつ代の取り扱い〕

問24 短期入所生活介護又は短期入所療養介護を利用している要介護(支援)者のおむつ代は、利用日数に応じて減額した額を認定すべきか。

答 短期入所生活介護又は短期入所療養介護の利用が月の2分の1を超える場合には、当該月のおむつ代は基準額に利用日数の割合に応じた額を減じて算定することとし、それ以外は基準額の範囲内で実費を計上して差し支えない。

問25 削除

問26 削除

〔無許可建築物に対する配電・水道設備費〕

問27 官有地等における無許可建築物に居住する被支援者に対し、配電設備費又は水道設備費の支給が認められるか。

答 配電設備費等の支給は被支援者の居住する家屋が適法な所有又は占有関係にあることを前提として決定されるべきものであり、不法に占拠された土地に建築された家屋について配電設備費等を支給することは適当でない。

ただし、当該土地の所有者又は権限ある管理者が当該配電設備等を行うことを了承している場合は、例外として支給して差し支えない。

〔単身の施設入所者等に係る住宅費の取扱いの特例〕

問28 局長通知第6の3の(1)のエの(ア)により住宅費が認定される場合の施設にはどのようなものがあるか。

答 次のような施設に入所した場合が考えられる。

(1) 職業能力開発促進法にいう職業能力開発校、障害者職業能力開発校又はこれらに準ずる施設

(2) 社会福祉法第2条に規定する社会福祉施設等であって指導又は訓練を目的としているもの

〔特別基準の適用〕

問29 局長通知第6の3の(1)のオにいう「世帯員の状況、当該地域の住宅事情によりやむを得ないと認められるもの」とは、どのような場合をいうのか。

答 世帯員に車椅子使用の障害者等特に通常より広い居室を必要とする者がいる場合、高齢者等で従前からの生活状況からみて転居が困難と認められる場合又は地域において生活保護法の基準別表第3の2の規定に基づき厚生労働大臣が定める額(限度額)のうち、世帯人員別の住宅扶助(家賃・間代等)の限度額の範囲内では賃貸される実態がない場合をいう。

〔家賃・間代等の額が住宅支援基準額を超えている世帯に対する転居指導〕

問30 家賃・間代等の額が住宅支援基準額を超えている場合は、すべて転居指導を行う必要があるのか。

答 次の要件を満たす場合には、家賃・間代等の額が住宅支援給付の基準額(2世等世帯と同居している場合は、同居している2世等も含めた人数に応じた額)を超えている場合であっても転居指導を要しないものとして差し支えない。

1 同居している者がいない場合(特定中国残留邦人等とその特定配偶者等のみの世帯)

収入認定除外となっている金額等により住宅費の超過分が賄える場合

2 同居している者がおり、その者が生活保護を受給している場合

1と同様。なお、同居している世帯の生活保護費のやりくりで賄うことは認められない。

3 同居している者がいるが、その者が生活保護を受給していない場合

1に加え、同居している者が負担することで住宅費の超過分が賄える場合

なお、上記の要件を満たす限り、基準額を超えている住宅への転居も認められるものであるが、その場合敷金等及び移送費の給付を行うことができるのは、敷金等にあっては問第5の34に該当する場合、移送費にあっては局長通知第6の2の(7)の(ク)に該当する場合のみであることに留意すること。

〔住宅扶助基準の見直しに伴う経過措置の適用について〕

問30の2 平成27年7月1日以後の生活保護における住宅扶助の見直しに伴い、同年6月30日において現に住宅支援給付を受けている世帯であって、同年7月1日において引き続き住宅支援給付を受けるものが新基準額の適用を受けた場合において、同年6月まで適用されている旧基準額の適用を受ける場合よりも住宅支援給付の支給額が減少するときは、どのように取り扱うべきか。

答 「生活保護法による保護の基準に基づき厚生労働大臣が別に定める住宅扶助(家賃・間代等)の限度額の設定について(通知)」(平成27年4月14日社援発0414第9号厚生労働省社会・援護局長通知。以下「限度額通知」という。)3(1)において、世帯員が当該世帯の自立助長の観点から引き続き当該住居等に居住することが必要な場合として限度額通知1(2)アただし書中(ア)から(ウ)までに該当する限りにおいては、引き続き、旧基準額を適用して差し支えないこととされている。また、引き続き、当該住居等に居住する場合であって、現在の生活状況等を考慮して、限度額通知3(2)アからウまでに該当する限りにおいても、それぞれ定める期間内において、引き続き旧基準額を適用して差し支えないこととされている。お尋ねの場合の取扱については、これらを踏まえ、検討いただきたい。

なお、当該経過措置の適用等に当たっては、「住宅扶助の認定にかかる留意事項について(通知)」(社援保発0513第1号厚生労働省社会・援護局保護課長通知)に示された留意事項を踏まえ、適切に対応されたい。

〔住宅支援給付費の一括交付〕

問31 住宅支援給付の家賃、間代、地代等の額は月額で表示されているが、被支援者が数箇月分の地代を一括して支払う必要があるときは数箇月分の住宅支援給付費を一括交付することとしてよいか。

答 地代については、その支払いの実態にかんがみ住宅支援給付費の家賃、間代、地代等の額を12か月の範囲内において必要な月分を地代支払いの時期に支給して差し支えない。

ただし、新たに、支援給付を開始した者については、支援給付を開始した日以降、次期地代支払い時期までの額を認定すること。

〔家賃、間代の中に電灯料等が含まれている場合の住宅費の認定〕

問32 家賃又は間代の中に電灯料又は水道料が含まれている場合の住宅費はどのように認定すればよいか。

答 電灯料又は水道料に相当する額を控除した額を住宅費として認定すること。

〔世帯人数の減少した場合の住宅費の認定〕

問33 生活保護法の基準別表第3の2の規定に基づき厚生労働大臣が定める額(世帯人員別の限度額)の適用について、世帯人員については、同一世帯員として認定され現に同居している被支援者の数によることとし、世帯員の減少があった場合には、その翌月から減少後の世帯人員に応じた限度額が適用されるものと解してよいか。

また、世帯員が入院又は介護老人保健施設へ入所した場合で1年以内に退院が見込まれるときは、1年間に限り、その者も含めた人員によることを認めてよいか。

答 いずれもお見込みのとおりである。

なお、引き続き当該住居に居住する場合で、転居の準備等のためやむを得ないと認められるものについては、世帯員の減少後6か月間を限度として、引き続き減少前の世帯人員に応じた限度額を適用して差し支えない。

〔転居に際し敷金等を必要とする場合〕

問34 局長通知第6の3の(1)のカにいう「転居に際し、敷金等を必要とする場合」とは、どのような場合をいうか。

答 「転居に際し、敷金等を必要とする場合」とは、次のいずれかに該当する場合で、敷金等を必要とするときに限られるものである。

1 入院患者が実施機関の指導に基づいて退院するに際し帰住する住居がない場合

2 支援給付の実施機関の指導に基づき、現在支払われている家賃又は間代よりも低額な住居に転居する場合

3 土地収用法、都市計画法等の定めるところにより立退きを強制され、転居を必要とする場合

4 退職等により社宅等から転居する場合

5 法令又は管理者の指示により社会福祉施設等から退所するに際し帰住する住居がない場合(当該退所が施設入所の目的を達したことによる場合に限る。)

6 宿所提供施設、無料低額宿泊所等の利用者が居宅生活に移行する場合

7 現に居住する住宅等において、賃貸人又は当該住宅を管理する者等から居室の提供以外のサービス利用の強要や、著しく高額な共益費等の請求などの不当な行為が行われているため、他の賃貸住宅等に転居する場合

8 現在の居住地が就労の場所から遠距離にあり、通勤が著しく困難であって、当該就労の場所の附近に転居することが、世帯の収入の増加、当該就労者の健康の維持等世帯の自立助長に特に効果的に役立つと認められる場合

9 火災等の災害により現住居が消滅し、又は、居住にたえない状態になったと認められる場合

10 老朽又は破損により居住にたえない状態になったと認められる場合

11 居住する住居が著しく狭隘又は劣悪であって、明らかに居住にたえないと認められる場合

12 病気療養上著しく環境条件が悪いと認められる場合又は高齢者若しくは身体障害者がいる場合であって設備構造が居住に適さないと認められる場合

13 住宅が確保できないため、親戚、知人宅等に一時的に寄宿していた者が転居する場合

14 家主が相当の理由をもって立退きを要求し、又は借家契約の更新の拒絶若しくは解約の申入れを行ったことにより、やむを得ず転居する場合

15 離婚(事実婚の解消を含む)により新たに住居を必要とする場合

16 高齢者、身体障害者等が扶養義務者の日常的介護を受けるため、扶養義務者の住居の近隣に転居する場合

または、双方が被支援者であって、扶養義務者が日常的介護のために高齢者、身体障害者等の住居の近隣に転居する場合

17 被支援者の状態等を考慮の上、適切な法定施設(グループホームや有料老人ホーム等、社会福祉各法に規定されている施設及びサービス付き高齢者向け住宅をいう。)に入居する場合であって、やむを得ない場合

18 犯罪等により被害を受け、又は同一世帯に属する者から暴力を受け、生命及び身体の安全の確保を図るために新たに借家等に転居する必要がある場合

[冬季加算の特別基準の設定]

問35 局長通知第6の2の(1)のアの「傷病、障害等による療養のため外出が著しく困難であり、常時在宅せざるを得ない者」とは、どのような者が該当するのか。

答 重度障害者加算を算定している者又は要介護度が3、4若しくは5である者であって、日常生活において常時の介護を必要とするため、外出が著しく困難であり、常時在宅している生活実態にある者(介護人の支援を受けて、通院等のために外出することがある者を含む。)が該当する。その他、医師の診断書等により、傷病、障害等による療養のため外出が著しく困難であり、常時在宅せざるを得ない状態にあると支援給付の実施機関が認めた者が該当する。

問35の2 傷病、障害等による療養のため外出が著しく困難であり、常時在宅せざるを得ない者がいる世帯であって局長通知第6の2の(1)のアによる「生活保護法による保護の基準別表第1第1章の1の(1)に規定する地区別冬季加算額によりがたいとき」の確認ができない場合であっても、特別基準の適用の必要があると実施機関が認めた場合には、地区別冬季加算額の1.3倍の額を認定してよいか。

答 傷病、障害等による療養のため外出が著しく困難であり、常時在宅せざるを得ない者が世帯員にいることが確認できれば、冬季に増加する光熱費が地区別冬季加算額で賄える特段の事情がない限り、地区別冬季加算額の1.3倍の額を認定して差し支えない。

〔権利金、礼金、手数料、火災保険料、保証料の認定〕

問36 敷金等として、権利金、礼金、不動産手数料、火災保険料、保証料を認定してよいか。

答 必要やむを得ない場合は、転居に際して必要なものとして認定して差し支えない。

問37 局長通知第6の3の(1)のキにいう「住宅の確保に際し、敷金等を必要とする場合」とは、どのような場合をいうか。

答 「住宅の確保に際し、敷金等を必要とする場合」とは、次のいずれにも該当する場合で、ケース診断会議等において総合的に判断した結果、真に敷金等が必要であると認められるときに限る。

1 居宅生活ができると認められること。

2 公営住宅等の敷金等を必要としない住居の確保ができないこと。

3 他法他施策による貸付制度や他からの援助等により敷金等が賄われないこと。

4 支援給付の開始の決定後、同一の住居に概ね6ヶ月を超えて居住することが見込まれること。

〔「居宅生活ができると認められる者」の判断方法〕

問38 局長通知第6の3の(1)のキの「居宅生活ができると認められる者」の判断方法を示されたい。

答 居宅生活ができるか否かの判断は、居宅生活を営むうえで必要となる基本的な項目(生活費の金銭管理、服薬等の健康管理、炊事・洗濯、人とのコミュニケーション等)を自己の能力でできるか否か、自己の能力のみではできない場合にあっては、利用しうる社会資源の活用を含めできるか否かについて十分な検討を行い、必要に応じて関係部局及び保健所等関係機関から意見を聴取した上で、ケース診断会議等において総合的に判断すること。

なお、当該判断にあたっては、要支援者、その扶養義務者等から要支援者の生活歴、過去の居住歴、現在の生活状況を聴取する等の方法により、極力判断材料の情報収集に努め、慎重に判断すること。

〔契約更新時の更新手数料、火災保険料、保証料の認定〕

問39 契約更新料等として、更新手数料、火災保険料、保証料を認定してよいか。

答 必要やむを得ない場合には、契約更新に必要なものとして認定して差し支えない。

〔風呂の修理又は敷設〕

問40 風呂桶が破損した場合、この修理を家屋補修費の支給対象として取り扱ってよいか。

答 近隣に公衆浴場がない場合は、補修費の範囲内で修理を認めて差し支えない。

なお、重度の心身障害者、歩行困難な高齢者等が自宅において入浴することが真に必要と認められる場合、又はこれ以外の者が他に適当な入浴の方法がないと認められる場合は、入浴設備の敷設に要する費用を住宅維持費の支給対象として取り扱って差し支えない。

〔便所の設置〕

問41 現に居住する家屋に便所がない場合には、これに要する費用を住宅維持費の支給対象として取り扱ってよいか。

答 お見込みのとおり取り扱って差し支えない。

〔水洗便所への改造に伴う家屋の一部補修の取扱い〕

問42 下水道法第11条の3により水洗便所への改造義務を負う被支援者が市町村又は扶養義務者等の助成又は援助により便所を改造する場合であって、当該改造にあたり家屋の一部を補修しなければならない真にやむを得ない事情があるときは、当該家屋の補修に要する費用を住宅維持費の支給対象として取り扱ってよいか。

答 市町村又は扶養義務者等から家屋の補修に要する費用の助成又は援助が期待できない場合は、お見込みのとおり取り扱って差し支えない。

〔白ありの駆除のために要する費用の取扱い〕

問43 白ありの食害により家屋の損傷が進んでいる場合であって、放置すれば、明らかに当該家屋が損壊すると認められるときは、白ありの駆除のために要する必要最少限度の費用を住宅維持費の支給対象として取り扱ってよいか。

答 お見込みのとおり取り扱って差し支えない。

〔網戸の設置に要する費用の取扱い〕

問44 現に居住する家屋に網戸がない場合には、これに要する費用を住宅維持費の支給対象として取り扱ってよいか。

答 設置の必要が認められるときは、最低限度の生活にふさわしい程度において、住宅維持費の範囲内で網戸の設置に要する費用を支給して差し支えない。

〔入院に要する費用の範囲及び程度〕

問45 生活保護法の基準別表第6の2にいう入院に要する必要最少限度の額の範囲及び程度を示されたい。

答 医療支援給付において認められる入院に係る費用(入院時基本料等)について8日以内の実入院日数に基づき算定した額の範囲内の必要最小限度の額とすること。

問46 局長通知第6の6の(1)にいう「真にやむを得ない事情」とは、どのような場合をいうか。

答 次のいずれかに該当する場合をいうものであること。

1 出産予定日の急変等により、予定していた施設において出産するいとまがない場合又は予定していた施設が満床等で利用できない場合

2 予約していた医師又は助産師の都合により、その介助が受けられない場合

3 傷病により入院している間に出産した場合

問47 出産支援給付の入院料については、医療支援給付において認められる費目、単価により算定した額を限度とすることになっているが、局長通知第6の6の(1)の特別基準を適用すべき場合、当該施設における出産に係る看護等の実態、当該地域における出産に係る入院費用の実態からみて真にやむを得ないと認められるときは、同程度の看護体制にある医療機関に入院した場合に医療支援給付において認められる入院料の範囲内において必要な額を認定することは認められないか。

答 お見込みのとおり取り扱って差し支えない。

問47の2 新生児聴覚検査料は、出産支援給付の対象として取り扱ってよいか。

答 お見込みのとおり取り扱って差し支えない。

〔技能修得費の対象となる教育訓練講座〕

問48 局長通知第6の7の(2)のアの(キ)のcにいう公的資格とは具体的にどのようなものか。また、受講修了によって公的資格が得られる講座以外では、どのようなものが対象となり得るか。

答 公的資格とは、国家資格又は地方公共団体によって認定されている資格をいうものである。

また、受講修了によって公的資格の受験資格を得られるもの、又はいわゆる民間資格であって、当該講座が目標とする職種の雇用環境及び当該講座修了により得られる技能の優位性並びに申請者の職歴、当該職種への適合性及び就職意欲等について、総合的に判断し、目標とする職業への就職の可能性が高いと見込まれるものについては適用して差し支えない。

〔技能修得費の特別基準の適用方法〕

問49 生活保護法の基準別表第7の2若しくは局長通知第6の7の(2)のアの(イ)により技能修得の期間の延長が認められている期間、必要があればその年額について局長通知第6の7の(2)のアの(ウ)に規定する技能修得費の特別基準額が適用され1年ごとに認定して差し支えないものと解してよいか。

答 お見込みのとおりである。

〔「支援給付の実施機関が特に必要と認めた場合」の技能修得費〕

問50 局第6の7の(2)のアの(エ)において、「支援給付の実施機関が特に必要と認めた場合」の技能修得費については、どのようなものが対象となりうるか。また認定にあたって留意する点は何か。

答 技能修得費は、生業に必要な技能の修得を目的とするものであるから、対象としては、稼働能力を有する者が、段階的であっても就労を目指して行う取組である必要がある。そのような取組であれば、就職に有利な一般的技能や就労に必要な基礎的能力の修得以外であっても、職場の適応訓練や就労意欲の喚起を目的としたセミナーの受講等に必要な経費についても支給の対象として差し支えない。

費用の支給にあたっては、本人の状況及び取組の内容や程度を勘案するとともに、支援給付の実施機関と被支援者の間で、当該取組によって達成すべき目標や達成の期限を設定した自立計画書を策定するなど、効果的な取組が行われるよう努められたい。

なお、自立支援に資するものであっても、健康管理や家事などの生活指導など、日常生活の質の向上を主な目的とした取組については、技能修得費の対象としては認められないので留意されたい。

〔高等学校等就学費の給付対象となる学校の範囲等〕

問51 局長通知第6の7の(2)のイに定める高等学校等就学費の給付対象となる高等学校等の範囲にはどのような学校が含まれるのか。また、過去に中国において高等学校等を修了した者については給付対象となるのか。

答 高等学校等就学費の給付対象となる学校は、次のとおりである。

① 高等学校(全日制・定時制・通信制)

② 高等専門学校

③ 盲学校、聾学校、養護学校の高等部(別科を除く)

④ 専修学校及び各種学校のうち、高等学校での就学に準ずるものと認められるもの(修業年限が3年以上であり、かつ普通教育科目を含む就業時間数がおおむね800時間以上である教育課程に就学する場合に限る)

また、過去において高等学校等を修了した者については、当該高等学校が日本のものであるか中国のものであるかに関わらず高等学校等就学費の支給対象とはならないものである。

〔高等学校等就学費の一括交付〕

問52 高等学校等就学費の基本額は月額で表示されているが、被支援者が学用品や通学用品等を購入するために一時に経費を必要とするときは、数箇月分の高等学校等就学費を一括交付することとしてよいか。

答 就学費用の需要の実態にかんがみ、高等学校等就学費の支給額のある生徒の場合に限り、月額で表示された高等学校等就学費の基本額に当該学期の月数(学期の中途で支援給付を開始された生徒の場合は、開始月以後当該学期内の月数)を乗じて得た額の範囲内で必要な額を学用品等を購入する時期に支給して差し支えない。

〔通学定期券の6か月単位及び通学用自転車の購入費〕

問53 通学のため通学定期券を購入する必要がある場合、通学定期券は原則として6か月単位で購入させることとしてよいか。また、生徒が通学に際し、遠距離のため自転車を利用する必要がある場合は、自転車の購入費を認めてよいか。

答 通学のための交通費は必要最小限度の実費を給付するものであり、最も経済的な経路及び方法により通学定期券を購入するよう指導されたい。

なお、給付の際については、通学定期券の写しを提出させるなど購入実績を確認されたい。

また、自転車の購入費についても、必要最小限度の額を、高等学校等就学費の交通費の実費として認めて差し支えない。

〔通学時における付添費〕

問54 特別支援学校の高等部に通学する生徒のうち、付添がなければ通学することができないか若しくはきわめて困難な者、又は高等学校等に通学する生徒のうち、身体的事情等により一定期間付添がなければ通学することができないか若しくはきわめて困難な者については、これに要する交通費の額を局長通知第6の7の(2)のイの(カ)により認定することとしてよろしいか。

答 お見込みのとおり取り扱って差し支えない。

〔減免措置が講じられている場合の高等学校等就学費〕

問55 高等学校等就学費のうち授業料を受給している場合であって、地方自治体や私立学校等により高等学校等の授業料の減免措置が講じられている場合、高等学校等就学費による授業料の計上はどのように行ったらよいか。

答 自治体等による授業料の減免については、金銭として直接被支援者が受け取るものではないが、本来課される授業料について、他から間接的にその費用が賄われるものであることから、恵与金の一形態として見なすことができる。

恵与金等が高等学校等の就学費にあてられる場合については、被支援世帯の自立更生にあてられるものとして収入として認定しないこととするとともに、高等学校等就学費で賄いきれない費用に優先的に充当することを認める取扱いとしており、自治体等による授業料の減免についても、同様に取り扱うことが適当である。したがって、減免措置が講じられている場合の高等学校等就学費の計上については、授業料の支払いが免除される場合には、当該免除措置により授業料の需要が満たされることから、支援給付費により授業料を給付する必要はなくなり、授業料の一部が減額される場合には、当該減額分は支援給付の基準額では賄いきれない授業料に優先的に充当するものとし、減額後、実際に被支援世帯が支払う授業料について、支援給付の基準額を上限として給付して差し支えない。

〔新規就労のための移送費〕

問56 就職の確定した者が就職地に赴くために要する交通費又は荷物の荷造費及び運賃について、生活支援給付の移送費を適用してよいか。

答 就職することにより、生計の本拠を構える場合にかぎり局長通知第6の2の(7)のアの(ク)として生活支援給付の移送費を計上して差し支えない。

〔生業費と就職支度費の重複支給〕

問57 同一人に生業費と就職支度費を計上してよいか。

答 同一人の就職について生業費と就職支度費とを重複して計上することは認められない。

なお、大工、植木職等通常その職業に必要な道具等を自弁することとなっている職業につく者については、当該道具類の購入に要する経費と就職支度に要する経費とを生業費の基準額の範囲内で計上して差し支えない。この場合、就職の支度に要する経費は就職支度費の基準額の範囲内で計上すること。

〔大人・子供の基準〕

問58 葬祭費の大人、小人の別は、何を基準とするか。

答 火葬料等について市町村条例に区別の定めのある場合は当該条例により、条例のない場合はその地域の慣行による。

〔民生委員が葬祭を行った場合〕

問59 被支援者の葬祭を民生委員が行った場合には、葬祭支援給付を適用してよいか。

答 死亡者の近隣の民生委員が個人的に行った場合には適用して差し支えない。

[非支援配偶者が葬祭を行った場合]

問59の2 被支援者の葬祭を非支援配偶者が行った場合には、葬祭支援給付は適用されないということでよいか。

答 お見込みのとおりである。

〔火葬費用の額の条例がない葬祭地での取扱い〕

問60 葬祭地において、火葬に要する費用の額を定めた条例のない場合の取扱いはどうするか。

答 葬祭地に隣接する市町村の条例に定めるところによられたい。

〔健康保険法等医療保険制度により埋葬料等が支給される場合の取り扱い〕

問61 健康保険法等医療保険制度により葬祭支援給付基準を若干上回る埋葬料、葬祭費又は葬祭料が支給される場合であって、当該被保険者の職場における交際等から判断して真にやむを得ないと認められるときは、当該埋葬料等のうち実際に葬祭に当てられた額を収入認定の対象としないこととし、かつ、葬祭に係る需要はこれによって消滅したものとして取り扱って差し支えないか。

答 お見込みのとおり取り扱って差し支えない。

〔相続財産管理人の選任の請求〕

問62 生活保護法施行規則第22条第2項の規定による相続財産清算人の選任の請求は、支援給付の実施機関が民法第952条第1項にいう利害関係人として行うものと解してよいか。

答 お見込みのとおりである。

〔死者名義の郵便貯金の取扱い〕

問63 葬祭を行う扶養義務者がないため葬祭支援給付を行った場合において、死者名義の郵便貯金通帳があるときは、どのように処分したらよいか。

答 郵便貯金通帳は、生活保護法第76条第1項にいう死者の遺留物品と解すべきであるが、とくに債権の証拠物件であることにかんがみ、郵便局の貯金窓口又はゆうちょ銀行店舗に対して具体的な払戻し等の方法につき確認を行った上で、払戻しを受けるのが適当である。

〔児童扶養手当と母子加算の適用〕

問64 父が障害の状態にあるため母等が児童扶養手当を受けている場合は、すべて母子加算の適用があると考えてよいか。

答 児童扶養手当法第4条第1項にいう別表に定める程度の障害の状態にある者は、局長通知第6の2の(2)のクの(イ)にいう「父母の一方又は両方が常時介護又は監護を要する身体障害者又は精神障害者である場合」に該当し、又は準ずるものとして取り扱って差し支えない。

〔母子加算を受けていた母等が長期入院した場合〕

問65 母子加算をうけている母等が入院し、入院期間が長期になる見込みの場合であって、残存世帯に養育にあたる者があるとき、母等に対する母子加算をやめ、現に養育している者に加算してよいか。

答 母子加算をうけていた者が長期(1年以上)入院することが明らかな場合であって、出身世帯員の中に児童の養育にあたる者があるときは、その者に母子加算を加算して差し支えない。

〔転出及び施設入所児童の母子加算の適用〕

問66 転出した児童及び児童福祉施設に入所している児童については、母子加算の対象とはならないと解してよいか。

答 お見込みのとおりである。

〔就職支度費としての通勤費〕

問67 就職の確定した者が初任給が支給されるまでに通勤費を就職支度費として支給する場合とはどのような場合か。

答 当座の資金がない場合に限り、支給して差し支えない。

なお、通勤のための交通費は必要最小限度の実費を給付するものであり、最も経済的な経路及び方法により通勤定期券等を購入するよう指導し、支給後は通勤定期券等の写しを提出するなど購入実績及び通勤実態を確認されたい。

また、初任給支給後は、すでに支給した交通費分は必要経費として控除はせず、収入認定すること。

〔犯罪等により被害を受け、又は同一世帯に属する者から暴力を受け、生命及び身体の安全の確保を図るために新たに借家等に転居する場合の布団類又は家具什器費の支給〕

問68 局長通知第6の2の(5)のアの(ア)のc及び同通知第6の2の(6)のアの(オ)にいう「犯罪等により被害を受け、又は同一世帯に属する者から暴力を受け、生命及び身体の安全の確保を図るために新たに借家等に転居する場合」に布団類又は家具什器費を支給する際、緊急やむを得ない場合は、転居時点で実施責任を負っている実施機関が支給してよいか。

答 お見込みのとおり取り扱って差し支えない。ただし、特別基準の設定や支給後の状況確認に関して、転居前後の支援給付の実施機関間において、暖房器具及び冷房器具の購入を含む特別基準の認定について整合のとれた対応となるよう十分な協議連絡を行うこと。また、支給後の状況確認を転居先の支援給付の実施機関において行うことを取り決める等、連携を図ること。

問69 局長通知第6の2の(6)のイの「暖房器具」の支給に当たり、暖房機能に加えて、冷房機能を有する器具の購入を認めてよいか。

答 お見込みのとおり取り扱って差し支えない。

この場合の特別基準の額については、局長通知第6の2の(6)のウの「熱中症予防が特に必要とされる者」がいる世帯に該当する場合は局長通知第6の2の(6)のウに定める額の範囲内とし、「熱中症予防が特に必要とされる者」がいる世帯に該当しない場合は局長通知第6の2の(6)のイに定める低い額の範囲内とすること。

また、局長通知第6の2の(6)のウの「冷房器具」の支給に当たっても、冷房機能に加えて、暖房機能を有する器具の購入を認めて差し支えない。

なお、冷房器具と暖房器具のいずれも所持していない「熱中症予防が特に必要とされる者」がいる世帯については、両方の機能を有するものを購入するよう勧奨されたい。

問70 局長通知第6の2の(6)のウの「熱中症予防が特に必要とされる者」とは、どのような者が該当するか。

答 被支援者の健康状態や住環境等を総合的に勘案の上、支援給付の実施機関が必要と認めた者が該当する。例えば、高齢者、障害(児)者、小児及び難病患者については体温の調節機能への配慮が必要であると考えられることから、これらの者について、他の要件に合致する場合には、特に購入に向けて積極的に勧奨されたい。

問71 局長通知第6の2の(6)のウに「熱中症予防が必要となる時期」とあるが、必要な時期はどのように判断すればよいか。

答 支援給付の実施機関において、被支援者が居住する地域の気温の状況、被支援者の健康状態や、都道府県衛生主管部局等における熱中症予防に関する注意喚起の状況等を総合的に勘案の上、判断されたい。

問72 局長通知第6の7の(2)のイの(ク)にいう「課外のクラブ活動」は、学校で実施するクラブ活動に限定されるのか。

答 学校で実施するクラブ活動に限定するものではなく、地域住民や児童若しくは生徒の保護者が密接に関わって行われる活動又はボランティアの一環として行われる活動であって、当該活動に係る実費相当分のみを徴収する活動も含むものとして差し支えない。

なお、営利を目的として運営されている活動は対象とならない。

第6 収入の認定

〔職場の親睦会費の控除〕

問1 勤労収入の経費として職場の親睦会費は認められないか。

答 親睦会費は、職場の慶弔等交際費としての性格を有するものであり、必要経費として控除することは認められない。

〔収入申告に不審がある場合の取扱い〕

問2 被支援者から申告のあった収入額に不審がある場合の取扱いをどうするか。

答 申告のあった収入が、被支援者の稼働能力、就労状況、当該地域の同種の業務についての賃金水準等の客観的事実にてらし不審があり、当該申告による収入額を基礎として認定を行うことは適当でないと判断される場合であって、当該被支援者及び関係先についてさらに調査を行った結果、なお、不審を解くに足る正当な理由及び立証に欠けると認められるときは、当該地域の同種の業務及び技能に対して支払われている賃金その他について綿密な調査を行い、これを基礎に推定した収入額をもって認定して差し支えない。

〔職場給食費の取扱い〕

問3 給食付(給食費を徴されていない場合に限る。)で稼働収入を得ている場合の給食の取扱い如何。

答 当該被支援者に係る生活保護法の基準別表第1第1章の1の第1類費の表に定める基準額として算定された額に0.75を乗じて得た額にその者の総食数に占める就労先で受ける給食数の割合(以下「給食の割合」という。)を乗じて得た額を収入に加算すること。

ただし、給食の割合が3分の1(1日1食)程度以下である場合は、この限りでない。

〔農業保険法の共済金に対する必要経費の控除〕

問4 農業保険法による共済金については、一般の農業収入と同様に必要経費を控除できないか。

答 同法による共済金のうち、農作物、蚕繭及び農作物にかかるものは、当該共済目的から得られた農業収入とみなし、認定額の月割及び必要経費の認定を行って差し支えない。

〔農作物の必要経費の認定〕

問5 農作物の必要経費中肥料費、種苗代及び薬剤費は、必ず率により認定しなければならないか。また、逆に右以外の必要経費については、率を用いてはいけないか。

答 前段については、支援給付の実施機関ごとに客観的資料に基づき定められた必要経費率によることを原則とするが、この率によるよりも正確かつ便宜な方法があれば、必ずしも率によらなくてもよい。後段については、実費によることを原則とするが、地域ごとに正確かつ妥当な率を設定しうる場合には、率によっても差し支えない。

〔高額農機具の共同購入〕

問6 農業用噴霧器(比較的高額なもの)を近隣で共同購入する場合においてその世帯負担額が少額であるときは、農業収入を得るための必要経費として認めてよいか。

答 世帯の負担額が、少額農具の購入費程度の少額のものである場合には必要経費として認めて差し支えない。

〔農家の納屋及び店舗の修理費〕

問7 農業収入を得るための必要経費としての納屋の修理費又は農業以外の自営収入を得るための必要経費としての店舗の修理費については、どの程度まで認めてよいか。

答 納屋の修理費又は店舗の修理費は、生業支援給付の額の範囲内において必要最小限度の額を認定すること。

〔通勤用・事業用自動車等の維持費〕

問8 125cc以下のオートバイ、原動機付自転車又は通勤用・事業用自動車については、通勤又は事業の利用に伴う燃料費、修理費、車検に要する費用、自動車損害賠償保障法に基づく保険料及び任意保険料、自動車重量税・自動車税・軽自動車税、自動車運転免許の更新費用等を必要経費として勤労・事業収入から控除してよいか。

答 125cc以下のオートバイ、原動機付自転車及び保護の実施要領により生活保護制度において保有が認められる範囲の通勤用・事業用の自動車については、必要最小限度の額を必要経費として控除して差し支えない。

なお、任意保険料については対人・対物賠償に係る保険料に限るものである。

また、自動車税及び軽自動車税については身体障害者等の場合、減免されることがあるので留意されたい。

〔収入の減少により生活維持が困難であるとの申し出があった場合の判断基準〕

問9 局長通知第7の3の(1)及び(2)の各号の規定により、被支援世帯から「収入の減少により生活維持が困難である」旨の申し出があった場合において、真にやむを得ないと認められるか否かはどのような基準に基づき判断したらよいのか。

答 一律の判断基準を示すことは困難であるが、例えば、前年の収入総額に基づき算出された支援給付の額と、申し出があった時点における実際の収入額とを合算して、生活保護制度における最低生活費の水準を下回る場合などは、「真にやむを得ない」場合に該当するものとして取り扱って差し支えない。

なお、「真にやむをえない」と判断される場合とは、上記の場合に限定されるものではないが、検討にあたっては、単にその時点での収入額のみに着目するのではなく、収入の減少が一時的なものなのか否かや、手持金等の有無についても考慮のうえ判断するようされたい。

〔就学中のアルバイト等の収入〕

問10 高等学校等で就学している者がアルバイト等の収入を得ている場合、私立高校における授業料の不足分、修学旅行費、クラブ活動費にあてられる費用については、就学のために必要な費用として、必要最小限度の額を収入として認定しないこととしてよいか。

答 お見込みのとおり取り扱って差し支えない。

〔就労先から主食等を支給された場合〕

問11 就労先から主食、野菜又は魚介を支給された場合は、どのように取り扱うべきか。

答 主食、野菜及び魚介については、農業収入又は農業以外の事業収入の認定の例により金銭に換算した額を就労収入として認定することとされたい。

〔国又地方公共団体から貸付けられる住宅資金と住宅支援給付の関係〕

問12 国若しくは地方公共団体により貸し付けられる住宅資金又は国若しくは地方公共団体の委託事業として貸し付けられる住宅資金と本法による住宅支援給付との関係をどう取り扱うべきか。

答 設問にかかる住宅資金の貸付けを受けるについての承認は、本法による支援給付の対象とはなりがたい需要について行うものであり、貸付金をもって本法の給付に代替させる趣旨のものではない。

〔生活福祉資金等の災害援護資金の取扱い〕