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○指定就労継続支援A型における適正な運営に向けた指定基準の見直し等に関する取扱い及び様式例について

(平成29年3月30日)

(障障発0330第4号)

(各都道府県・各指定都市・各中核市障害保健福祉主管部(局)長あて厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長通知)

(公印省略)

指定就労継続支援A型における適正な運営のため、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号。以下「指定基準」という。)の一部を改正する障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則等の一部を改正する省令(平成29年厚生労働省令第5号。以下「指定基準改正省令」という。)が平成29年2月9日に公布されるとともに、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(平成18年12月6日障発第1206001号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知。以下「指定基準解釈通知」という。)の一部改正通知を平成29年3月30日に発出したところですが、指定基準の見直しに関する具体的な取扱い及び事業者指定に関する取扱い等については、下記のとおりとし、平成29年4月1日から適用しますので、御了知の上、貴管内市町村、関係団体、関係機関等に周知徹底を図るとともに、その運用に遺漏のないようにお願いします。

なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的な助言であることを申し添えます。

1 指定基準の見直しについて

(1) 指定基準第191条第3項に係る取扱い(就労継続支援A型計画の作成)

指定基準第191条第3項の趣旨を踏まえ、指定就労継続支援A型事業者は、以下の内容を含めた就労継続支援A型計画(指定基準第197条に規定する就労継続支援A型計画をいう。以下同じ。)を作成する必要があるため、別紙様式1を参考に作成することとし、以下の内容が就労継続支援A型計画に既に記載されている場合には、別紙様式1以外の就労継続支援A型計画でも差し支えないが、今後、都道府県、指定都市又は中核市においては、管内の指定就労継続支援A型事業者における就労継続支援A型計画の様式が統一されるように努めることとする。

・ 利用者の希望する業務内容、労働時間、賃金、一般就労の希望の有無等

・ 利用者の希望する生活や課題等を踏まえた短期目標、長期目標

・ 利用者の希望を実現するための具体的な支援方針・内容

なお、就労継続支援A型計画の記載内容が、一人一人の利用者の希望を踏まえず、画一的なものとなっている場合や、記載内容に虚偽がある場合等には、指定基準第191条第3項の趣旨に反していることから、勧告、命令の措置を講じ、指定の取り消しや停止を検討すること。

(2) 指定基準第192条に係る取扱い(経営改善計画書の作成等)

指定基準解釈通知第11の3の(4)に係る取扱いについては、別添に基づいた指導等を実施することとし、都道府県、指定都市又は中核市は、指定基準第192条第2項を満たさない場合、別紙様式2―1及び別紙様式2―2を参考にして経営改善計画書等とともに必要に応じて社会福祉法人会計基準又は就労支援事業会計基準に基づく会計書類等を提出させ、原則として、1年間の経営改善のための猶予期間とする。

指定基準改正省令の施行の際現に指定を受けている事業所(以下「既存事業所」という。)については、指定基準改正省令の施行から概ね3か月以内に、実地指導又は就労支援事業別事業活動明細書等を提出させることにより実態を把握し、指定基準第192条第2項の違反の有無を確認すること。

事業者が経営改善計画書を作成した場合には、計画始期から1年経過した後に、その実行状況と経営改善状況を確認することとする。計画終期において事業者が指定基準を満たさない場合であっても、生産活動に係る事業の収入額が増加している又は生産活動に係る事業に必要な経費が減少しており、今後、収益改善の見込みがあると都道府県、指定都市又は中核市が認める場合には、更に1年間の経営改善計画を作成させることを認めることとする。

こうした2年間の経営改善期間内で指定基準第192条第2項を満たさない場合であっても、都道府県、指定都市又は中核市が今後も経営の改善が見込まれると認める場合であって、以下のいずれかの条件を満たす場合には更なる経営改善計画書等を作成させることができる。この場合、都道府県、指定都市又は中核市だけでは判断が難しければ、自立支援協議会その他都道府県等が必要と認めた者の意見を聴取の上、判断すること。

・ 経営改善計画期間中に生産活動に係る事業の収入額が増加している又は生産活動に係る事業に必要な経費が減少しており、収益改善が認められる

・ 利用者の平均労働時間が長くなっている

・ 利用者に支払う賃金総額が増えている

経営改善の見込みがない場合又は再計画の結果、指定基準を満たさない場合には、勧告・命令の措置を講じ、指定の取り消し又は停止を検討する。

また、収益改善のために利用者の退所や賃金の引き下げ等を不当に行うことが就労継続支援A型事業の趣旨に反するものであることに鑑み、都道府県、指定都市又は中核市は、指定就労継続支援A型事業所が提出した経営改善計画書が上記の趣旨に照らして適正でない場合、再提出を求めること。経営改善計画の実施後、収益改善の要因としてこれに類するものが認められる場合も、同様の趣旨から、収益改善があったものと認めないこと。

さらに、指定基準第192条第2項に違反しているが、経営の改善が見込まれると認められるため、経営改善計画書の提出を求めたにもかかわらず、経営改善計画書を作成しない場合や、当該計画書の記載内容に虚偽がある場合には、指定基準第192条第2項に違反するものとして、勧告、命令の措置を講じ、指定の取り消し又は停止を検討する。

なお、当分の間、経営改善計画の提出に至った指定就労継続支援A型事業所数について、毎月の状況を半期ごと(毎年10月末及び4月末までに提出。ただし、本通知適用後の平成29年4月から6月の状況は平成29年7月末に提出。)に別紙様式3により厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課へ提出いただくとともに、都道府県、指定都市又は中核市は、経営改善計画書を提出した指定就労継続支援A型事業所については、当該経営改善計画書等を事業所のホームページに公表するように促すこととする。

(3) 指定基準第196条の2に係る取扱い(運営規程)

指定基準第196条の2に規定する運営規程において、新たに、主な生産活動の内容、利用者の労働時間、月給、日給又は時間給について記載させることとなるため、指定基準改正省令の施行後においては、就労継続支援A型事業所の新規指定時に、必ず上記内容が記載された運営規程の提出を求めるとともに、既存事業所についても、施行後概ね3か月を目途に、上記内容が記載された運営規程の提出を求めること。

都道府県、指定都市又は中核市の指導にも関わらず、運営規程の作成・提出を行わない場合や、運営規程の記載内容に虚偽がある場合等には、指定基準第196条の2に違反するものとして、勧告、命令の措置を講じ、指定の取り消し又は停止を検討すること。

2 新規指定時の取扱いについて

就労継続支援A型事業者の新規指定時には、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則(平成18年厚生労働省令第19号)第34条の17に掲げる事項を記載した申請書類を提出させることとなっているが、就労の機会の提供にあたり、収益性の低い仕事しか提供しない事例も指摘されていることから、生産活動に係る事業の収入(就労支援事業収益)から生産活動に係る事業に必要な経費(就労支援事業活動経費)を控除した額により利用者に対する最低賃金を支払うことができる事業計画となっていることを指定申請時の事業計画書により必ず確認した上で、指定の可否を判断すること。

なお、都道府県、指定都市又は中核市だけでは、指定の可否を判断できない場合、自立支援協議会その他都道府県等が必要と認めた者の意見を聴取の上、判断すること。

また、新規指定の半年後を目途に実地指導を実施し、生産活動が事業計画に沿った最低賃金を支払うことのできる内容になっているのか等を確認することとし、指定基準に違反する事項がある場合には、勧告、命令の措置を講じ、指定の取り消し又は停止を検討すること。

ただし、事業開始時には減価償却費が高額な場合等もあることから、都道府県、指定都市又は中核市が、今後明らかに収益改善が見込まれると認める場合には、経営改善計画書を提出させ、原則として、1年間の経営改善のための猶予期間とする。なお、2年目以降も経営改善計画書を作成させる場合には、既存事業所の取扱いと同様とする。(別添参照)

3 指定就労継続支援A型事業所に係る情報公表について

指定就労継続支援A型事業所については、近年、急激な事業所の増加が認められるとともに、必ずしも事業趣旨に沿わない不適切な運営事例が指摘されていることを踏まえ、指定就労継続支援A型事業所の利用を考えている障害者やその家族等が適切な事業所を選択できるよう、特に指定就労継続支援A型事業所に対しては、以下の情報を自治体のホームページで公表するか、又は事業所のホームページで公表するよう促すこと。

① 貸借対照表、事業活動計算書(損益計算書、正味財産増減計算書等を含む。)、就労支援事業事業活動計算書、就労支援事業別事業活動明細書

② 主な生産活動の内容

③ 平均月額賃金(工賃)

なお、貸借対照表や事業活動計算書などを含めたNPO法人の財務状況を監査する監事については、公認会計士又は税理士を登用し、株式会社の監査役も同様とすることが望ましい。

また、平成29年度においては、貸借対照表や事業活動計算書等を公表した就労継続支援A型事業所の数について、平成29年10月末及び平成30年4月末までに、別紙様式4により厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課への提出をお願いする。

別紙様式1

別紙様式2―1

別紙様式2―2

別紙様式3

別紙様式4

[別添]

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