添付一覧
○第十七改正日本薬局方の制定に伴う医薬品等の承認申請等に関する質疑応答集(Q&A)について
(平成29年4月7日)
(事務連絡)
(各都道府県衛生主管部(局)薬務主管課あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課通知)
第十七改正日本薬局方の制定に伴う医薬品等の承認申請等に関する質疑応答集(Q&A)を別添のとおりとりまとめましたので、貴管下関係業者に周知方よろしく御配慮願います。
(別添)
Q1 従来、貯法の項のみが適合しないために日局品とされていなかった製剤について、今回の改正後の通則5により、日局品に変更することは認められるか。また、日局品と認められる場合、軽微変更届出により日局品に変更してよいか。 |
(答)
従来、医薬品各条に規定されている貯法とは異なることのみをもって日局品としていなかった製剤についても、該当品目の承認審査において、改正後の通則5に基づき有効期間中の医薬品各条の規格及び試験方法(貯法の項以外)及びその他日本薬局方が定める基準に適合することが確認されている場合には、日局品とすることは可能であり、軽微変更届出により日局品に変更してよい。
一方、該当品目の承認審査において適合が確認されておらず、新たに医薬品各条の規格及び試験方法(貯法の項以外)及びその他日本薬局方が定める基準に適合することを確認し、日局品とする場合には、一部変更承認申請を行うこと。
なお、医薬品各条に規定された基原に適合しない製剤についてはこの限りではないことに留意すること(医薬品各条に規定された剤形と製剤総則の各剤形の項を照らし、当該製品が適合しない場合)。
個別のケースについては必要に応じ審査当局に相談すること。
Q2 従来、日局品とされている製剤について、各条の貯法の項に規定がない容器を新たに用いる場合、現在の製造販売承認書の軽微変更届出により容器の形態を追加することで、日局品とすることは認められるか。 |
(答)
容器の変更は製品の品質に影響を与える可能性があることから、一部変更承認申請の対象であり、軽微変更届出による容器の追加は認められない。
Q3 従来、貯法の項が日局に適合しないために日局品の対象となっていなかった製剤について、今回の通則5の改正に伴い、「規格及び試験方法」を日局に適合させる必要はあるか。 |
(答)
新薬局方における通則5の改正は、従来、医薬品各条に規定する貯法の項に適合させることができないことのみをもって日局品と認められなかった製剤について、日局品として取り扱うことができるよう一定の柔軟性を確保することや医薬品各条での一律の規定が製剤技術の進歩を妨げないことを意図したものである。貯法の項が日局の規定と異なる既承認の製剤について、「規格及び試験方法」を一律に日局に改めることを求めるものではない。
Q4 製品Aの承認内容及び実測データ等から日本薬局方の収載原案を作成・提出し、これに基づき、日本薬局方の医薬品各条が定められた場合、製品Aについて、「新薬局方で定める基準に加えて設定」する規格及び試験方法はないということでよいか。 |
(答)
原則としては、新薬局方で定める基準に加えて設定する規格及び試験方法はないという理解でよいが、製品Aの製造方法等に由来する個別の管理項目で、日本薬局方の収載原案の審議の中で、日局収載後も個別に管理されるべきと判断された基準はこの限りではない。
Q5 「第十七改正日本薬局方の制定に伴う医薬品製造販売承認申請等の取扱いについて」(平成28年3月31日付薬生審査発0331第1号厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課長通知)の記1(1)において、既承認の医薬品について、既に規定している純度試験等を必要に応じて新薬局方で定める基準に加えて設定するとしている理由について教えて欲しい。 |
(答)
例えば、後発医薬品の承認審査において、類縁物質については新医薬品と同様にICHガイドラインに基づき評価をして規格及び試験方法を設定しているところである。具体的には、先発医薬品と添加剤や貯法が異なる後発医薬品については、先発医薬品に類縁物質の規格及び試験方法が設定されていない場合であっても、必要に応じて当該類縁物質のプロファイルに基づいて適切な規格及び試験方法が設定されている。このような場合、承認規格を日本薬局方に収載された試験方法等に無条件に置き換えることは適切ではなく、同等の管理が可能であるか確認をした上で、必要に応じて承認時の規格及び試験方法を引き続き設定しておく必要がある。
このように、承認審査時に個別に管理すべきと判断された規格も存在することから、医薬品各条において設定していないことのみを理由に当該項目を削除することは適切ではないと考える。
Q6 「第十七改正日本薬局方の制定に伴う医薬品製造販売承認申請等の取扱いについて」(平成28年3月31日付薬生審査発0331第1号厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課長通知)の記13において、有効成分含量25mg以上かつ質量比25%以上(200mg以上かつ70%以上を除く)の個別承認品目がある医薬品各条の製剤均一性が質量偏差試験と含量均一性の併記となり、質量偏差試験のデータを提出し承認された前例を有する場合は軽微変更届出により変更することが可能となった。 有効成分含量200mg以上かつ70%以上で製剤均一性が質量偏差試験で承認された品目について、日局収載に伴い含量均一性試験に変更した品目がある。有効成分含量25mg以上かつ質量比25%以上(200mg以上かつ70%以上を除く)と同様に質量偏差試験を適用することはできないのか。 |
(答)
承認審査では200mg以上かつ70%以上の品目においては従来、質量偏差試験を認めてきたところであり、質量偏差試験で承認され、かつ日局収載に伴い含量均一性試験が適用されていた当該品目について、軽微変更届出により質量偏差試験に変更することで差し支えない。
Q7 残留溶媒の分析方法に「本試験法又は他の適切な方法に従って測定する」とあるが、規格及び試験方法として設定する場合、バリデートされた分析法であるという前提の下、本一般試験法に記載されていない分析法を用いてもよいか。(例:ヘッドスペースGCではなく、GCやGC―MSを用いる。) |
(答)
よい。通則34により、適切にバリデートされた分析法に従って測定するのであれば、必ずしも一般試験法に記載された分析法に従うことを求めるものではない。
なお、一般試験法<2.46>残留溶媒で示された方法以外の試験方法を用いる場合については、必要に応じて、医薬品軽微変更届事前確認相談等により審査当局にあらかじめ相談すること。
Q8 残留溶媒のⅡ.残留溶媒の確認、定量法の操作法Cにおける「試験条件」とは、基本的に「試験条件とシステム適合性」を含むと考えてよいか。 |
(答)
よい。
Q9 糖鎖試験法に「糖鎖回収の再現性を調べ、糖鎖間で差がないことを確認する」とあるが、どのような方法により確認すればよいか。 |
(答)
代表的な糖鎖を指標として、精製操作を繰り返した際に、糖鎖間の回収率の違いにより糖鎖プロファイルが変化しないことを確認するといった方法等が想定される。
Q10 粘着力試験法の傾斜式ボールタック試験法について、従来、医薬品製造販売指針において示されていたボールNo.1~9(直径3.2mm~15.9mm)は、本試験法の直径(mm)を参考にボールNo.を読み替えることでよいか。 |
(答)
よい。
Q11 粘着力試験法のプローブタック試験について、記載されている円柱状のプローブ以外を用いてもよいか。 |
(答)
記載しているプローブ以外に、製造販売承認申請書の中の規格値/判定基準として別途規定するものを「別に規定するもの」として使用することができる。
Q12 日局ヒドロキシプロピルセルロースを添加物として含有する製剤において、当該ヒドロキシプロピルセルロースが固結防止剤として二酸化ケイ素を含む場合、二酸化ケイ素を含む旨を添付文書の組成・性状の項に記載する必要があるか。 |
(答)
当該ヒドロキシプロピルセルロースが固結防止剤として二酸化ケイ素を含む場合、二酸化ケイ素を含む旨を当該製剤の添付文書に記載する必要はないが、製造販売承認書の「成分及び分量又は本質」のテキスト欄には、適切に記載すること。なお通則47により、当該ヒドロキシプロピルセルロースの直接の容器又は直接の被包には二酸化ケイ素を含む旨を記載しなければならない。
Q13 イソマルについて、今回の改正により表示規定が追加され、含量(%)を表示することとされているが、新規に承認申請を行う医薬品及び医薬部外品については、「成分及び分量又は本質」のテキスト欄に含量(%)を記載する必要があるか。また、同様にゼラチンのゼリー強度(ブルーム値)についても記載する必要があるか。 |
(答)
イソマルに限らず、各条において特に表示するよう定められているものについては、原則、その表示の内容を製造販売承認申請書の「成分及び分量又は本質」のテキスト欄に記載すること。既に承認をしている医薬品及び医薬部外品については、当該追記を行うのみの一変申請又は軽微変更届出を行う必要はなく、他の理由により、一変申請又は軽微変更届出を行う機会があるときに併せて記載することで差し支えない。なお、当該事項を変更する場合には、別途、原則、一変申請を行うこと。
Q14 今般の改正では「エタノール」、「無水エタノール」、「消毒用エタノール」、「ブドウ酒」等の医薬品各条の比重の値が改正され、規格値が5桁で示された。一般試験法2.58比重及び密度測定法では必ずしも5桁の精度が要求されていないため、従来どおり3桁の精度で管理することで問題ないか。 |
(答)
4桁以下の測定精度の試験装置を用いる場合には、誤差を含めた測定値が日本薬局方で示された規格値を満たすことを確認されたい。例えば、医薬品各条のエタノールの管理においては、0.816の測定結果は誤差として0.81550~0.81649を含むものであり、規格値の0.81601以下であることを保証できない。そのため、0.815を上限値として管理すれば、測定結果は0.81450~0.81549の誤差の範囲内であり、0.81601以下であることが保証できる。同様に、4桁の精度で管理する場合、0.8159を上限値として管理すれば、測定結果は0.81585~0.81594の誤差の範囲内であり、0.81601以下であることが保証できる。
【具体例】
○ エタノール
比重規格値 |
0.80872~0.81601 |
4桁で測定する場合の管理値の考え方 |
0.8088~0.8159 |
3桁で測定する場合の管理値の考え方 |
0.810~0.815 |
○ 無水エタノール
比重規格値 |
0.79422~0.79679 |
4桁で測定する場合の管理値の考え方 |
0.7943~0.7967 |
3桁で測定する場合の管理値の考え方 |
0.795~0.796 |
○ 消毒用エタノール
比重規格値 |
0.86027~0.87264 |
4桁で測定する場合の管理値の考え方 |
0.8604~0.8726 |
3桁で測定する場合の管理値の考え方 |
0.861~0.872 |
○ ブドウ酒
比重規格値 |
0.98217~0.98547 |
4桁で測定する場合の管理値の考え方 |
0.9823~0.9854 |
3桁で測定する場合の管理値の考え方 |
0.983~0.984 |
Q15 ヒプロメロースカプセルを用いた既承認製剤について、カプセルの承認規格として、日局「カプセル」を設定している。第十七改正日本薬局方から、「ヒプロメロースカプセル」が収載されたため、当該カプセルの承認規格を「ヒプロメロースカプセル」に変更する場合、軽微変更届により変更できることを確認したい。 |
(答)
従前からヒプロメロースに該当するカプセルを使用していた場合には、軽微変更届出を行うことで差し支えない。
Q16 精製ヒアルロン酸ナトリウム注射液及び精製ヒアルロン酸ナトリウム点眼液の確認試験に使用されるヒアルロニダーゼはStreptomyces albogriseolusから得たものと規定されているが、代わりにStreptomyces hyalurolyticusから得たものを使用することは可能か。 |
(答)
精製ヒアルロン酸ナトリウム注射液及び精製ヒアルロン酸ナトリウム点眼液の確認試験に使用されるヒアルロニダーゼについては、収載の過程においてStreptomyces hyalurolyticusとStreptomyces albogriseolusの菌種の同一性が確認されている。従ってStreptomyces hyalurolyticusから得られたヒアルロニダーゼを使用することは可能である。