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○「次世代育成支援対策推進法の施行について」の一部改正について

(平成29年3月30日)

(雇児発0330第4号)

(各都道府県労働局長あて厚生労働省職業安定局長、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)

(公印省略)

次代の社会を担う子どもの健全な育成を図るための次世代育成支援対策推進法等の一部を改正する法律(平成26年法律第26号。以下「改正法」という。)により次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)の一部が改正されたところであり、改正法については平成26年4月23日に公布され、平成26年11月28日基発1128第4号職発1128第5号、雇児発1128第1号「次世代育成支援対策推進法の施行について」(以下「解釈通達」という。)により、その趣旨、内容及び取扱いを示してきたところである。

今般、次世代育成支援対策推進法施行規則等の一部を改正する省令(平成29年厚生労働省令第31号)による次世代育成支援対策推進法施行規則(平成15年厚生労働省令第122号)の改正に伴い、解釈通達の一部を別紙のとおり改め、同日から適用することとしたので、その円滑な実施を図るよう配慮されたい。

[別紙]

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参考

○次世代育成支援対策推進法の施行について

(平成26年11月28日)

(/基発1128第4号/職発1128第5号/雇児発1128第1号/)

(各都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長、厚生労働省職業安定局長、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)

改正 平成27年10月28日雇児発1028第4号        

同 28年 6月21日職発0621第5号、雇児発0621第3号

同 29年 3月30日雇児発0330第4号        

(公印省略)

[10年保存]

次代の社会を担う子どもの健全な育成を図るための次世代育成支援対策推進法等の一部を改正する法律(平成26年法律第28号。以下「改正法」という。)により次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号。以下「法」という。)の一部が改正されるところであり、改正法については平成26年4月23日に公布され、同日付け雇児発0423第2号「次代の社会を担う子どもの健全な育成を図るための次世代育成支援対策推進法等の一部を改正する法律について」により、雇用均等・児童家庭局長から貴職宛通達されたところである。

今般、平成29年3月30日に「次世代育成支援対策推進法施行規則等の一部を改正する省令(平成29年厚生労働省令第31号。以下「改正省令」という。)」(別添1参照)が公布され、同年4月1日から施行されることとなり、改正省令により次世代育成支援対策推進法施行規則(平成15年厚生労働省令第122号。以下「則」という。)の一部が改正されるところである。

これら法等の都道府県労働局に関係する部分の主たる内容等は下記のとおりであるので、その的確な施行に遺漏なきを期されたい。

第1 法が制定された背景、経緯等

急速な少子化の進行は、今後、我が国の経済社会全体に極めて深刻な影響を与えるものであることから、少子化の流れを変えるため、改めて国・地方公共団体・企業等が一体となって、従来の取組に加え、もう一段の対策を進める必要があり、平成14年9月20日に、厚生労働省において「少子化対策プラスワン」を取りまとめたところである。「少子化対策プラスワン」においては、保育に関する施策など「子育てと仕事の両立支援」が中心であった従来の取組に加え、「男性を含めた働き方の見直し」への取組が重要であることを明らかにし、さらに「地域における子育て支援」、「社会保障における次世代支援」、「子どもの社会性の向上や自立の促進」という柱に沿って、総合的な取組を推進することとし、また、男女別の育児休業の取得率、子どもの看護のための休暇制度の普及率及び小学校就学の始期までの勤務時間短縮等の措置の普及率の具体的目標が設定されたところである。

さらに、「少子化対策プラスワン」を踏まえ、平成15年3月14日に、少子化対策推進関係閣僚会議において、「次世代育成支援に関する当面の取組方針」を決定するとともに、平成15年7月9日には、国、地方公共団体及び企業等における10年間の集中的・計画的な取組を促進するため、第156回国会において、法が成立したものである。

その後、平成18年12月に発表された「日本の将来推計人口」では、これまでよりも急速に少子・高齢化や人口減少が進むという厳しい見通しが示されたところであり、効果的な施策の再構築・実行を図るべく、平成19年12月に「子どもと家族を応援する日本」重点戦略を取りまとめたところである。

同重点戦略においては、現在の急速な少子化の背景には、「結婚・出産・子育て」に対する国民の「希望」と「現実」の乖離が存在し、その主な要因として「就労」と「結婚・出産・子育て」が「二者択一」的な構造があることを指摘しており、少子化の流れを変えていくためには、

① 働き方の見直しによる「仕事と生活の調和」の実現と、

② 包括的な次世代育成支援対策の枠組みの構築

の2つの取組を「車の両輪」として進めていく必要があり、包括的な次世代育成支援対策の構築に向けた具体的な制度設計に直ちに着手するとともに、子育て支援の充実、要保護児童に対する家庭的環境における養育の充実、地方自治体及び事業主の取組の強化等について、先行して実施すべきとされたところである。

これらを踏まえ、第170回国会(臨時国会)において、改正法が成立し、平成21年4月に施行された。

その後、平成24年8月には、特に子ども・子育ての分野について、質の高い幼児期の学校教育・保育の総合的な提供や地域の子ども・子育て支援の充実等のため、子ども・子育て支援法(以下「支援法」という。)などのいわゆる子ども・子育て関連三法が制定され、子ども・子育て支援新制度が創設された。これら三法と同時に成立した社会保障制度改革推進法に基づき社会保障制度改革国民会議が設置され、平成25年8月にとりまとめられた報告書に、法の延長・強化が盛り込まれたところである。

これらを踏まえ、法の有効期限の10年間の延長、認定制度の充実等を内容とした改正法が、第186回国会に提出され、成立したものである。

第2 法の概要等

1 目的(法第1条)

(1) 法は、我が国における急速な少子化の進行等を背景として、次世代育成支援対策に関し、基本理念を定め、関係者の責務、行動計画の策定等について規定することを手段として、「次世代育成支援対策を迅速かつ重点的に推進」することを第一次的な目的とし、「次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、かつ、育成される社会の形成に資すること」を究極的な目的とするものであること。

(2) 「家庭及び地域を取り巻く環境の変化」とは、具体的には、核家族化や都市化の進行により、育児に関し、親族や近隣からの支援を受けにくくなっていること、育児に要する費用の増大、通勤時間の増加等により仕事と子育ての両立が困難な状況の中で共働き夫婦が増加していること等を指すこと。

2 定義(法第2条)

(1) 「次世代育成支援対策」とは、次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、かつ、育成される環境の整備のための国若しくは地方公共団体の施策又は事業主の雇用環境の整備等の取組をいうものであり、国や地方公共団体が講ずる施策のみならず、事業主が行う雇用環境の整備を始め、次世代育成支援に資する各般の取組を広く含む概念として定義したものであること。

(2) 「子どもを育成し、又は育成しようとする家庭に対する支援」とは、次世代育成支援対策には、現に子どもがいる家庭に限らず、今後、子どもを持とうとする家庭も含まれることを明らかにしたものであること。

また、一般に、子育ては家庭において行われることから、「子どもを育成し、又は育成しようとする家庭に対する支援」を次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、かつ、育成される環境の整備の代表例として例示するものであり、諸般の事情により行われる家庭以外での子どもの育成に対する支援についても、次世代育成支援対策に含まれるものであること。

(3) 「事業主が行う雇用環境の整備その他の取組」とは、育児休業の取得の促進、子を養育する労働者に対する勤務時間短縮等の措置等の実施、子の看護のための休暇制度の導入、所定外労働の削減、年次有給休暇の取得の促進等、その雇用する労働者を対象とした事業主が行う雇用環境の整備のほか、子どもの健やかな育成に資する地域貢献活動等その雇用する労働者以外の者をも対象とした事業主の各般の取組を指すものであること。

3 基本理念(法第3条)

(1) 法により推進される次世代育成支援対策は、国、地方公共団体又は事業主が保護者による子育てを肩代わりする趣旨のものではなく、仕事と子育ての両立の負担、子育てに伴う孤立感等、保護者が子育てについての責任を全うする上で直面する障害を除去するために行うものであることを明確にするとともに、子育ての意義についての理解が深められ、子育ての喜びが実感されるように配慮して行われる必要があることを明確にするものであること。

(2) 「父母その他の保護者」とは、父母、父母以外の親権者、未成年後見人等の子どもを現に監護する者を指すものであること。

(3) 「子育て」とは、子どもを育成する行為一般を指す概念であること。

(4) 「家庭その他の場」とは、子育てや次世代育成支援対策が行われ得るあらゆる場所を指すこと。

(5) 「子育ての意義についての理解」とは、子育ての意義や、子育てに対する考え方は個々人によって異なるが、例えば、子どもを育てることは極めて重要なことであるということを認識すること等を指すものであること。

(6) 「子育てに伴う喜び」とは、個々人によって、喜びの感じ方は異なるが、例えば、子どもの成長を感じること等を指すものであること。

4 国及び地方公共団体の責務(法第4条)

次世代育成支援対策の実施主体は、国及び地方公共団体並びに事業主とされているが(法第2条)、多種多様な施策、取組が展開されることが想定される中で、国及び各地方公共団体が、相互に連携を図りながら、総合的かつ効果的にこれを推進するよう努める責務があることを定めるものであること。

特に、次世代育成支援対策を一層推進するためには、働き方の見直しによる仕事と生活の調和の実現と保育を始めとする子育て支援サービスの整備をともに進めていくことが重要であり、法の成立後、国及び地方公共団体が展開してきた次世代育成支援対策が整合性を保ち、より円滑かつ効果的に実施されるために、国及び各地方公共団体が相互に連携を図る旨を定めるものであること。

5 事業主の責務(法第5条)

(1) 労働者の職業生活と家庭生活との両立には、その雇用環境の状況が大きな影響を与えることから、事業主に、多様な労働条件の整備を行うなど、労働者が職業生活と家庭生活との両立を図ることができるよう雇用環境の整備に努めることを責務として課すこととしたものであること。また同時に、事業主が事業活動を継続するに当たっては必要な人材の確保が不可欠であり、将来の労働力の維持確保は、事業主の将来の人材確保を左右するものであることから、国や地方公共団体の講ずる次世代育成支援対策に協力する責務を有することを規定したものであること。

(2) 「多様な労働条件の整備」とは、職業生活と家庭生活との両立に資するような勤務形態等、様々な労働条件の整備をいうものであり、例えば、

ア 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号。以下「育児・介護休業法」という。)を上回る制度の導入

イ 労働基準法(昭和22年法律第49号)に基づくフレックスタイム制や変形労働時間制の活用

等が該当するものであること。

(3) 「その他の労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために必要な雇用環境の整備」とは、職業生活と家庭生活との両立に資するような福利厚生の実施や周知啓発等の雇用環境の整備をいうものであり、例えば育児・介護休業法に基づく育児休業等の権利等の関係法制度の周知、育児休業を取得しやすい環境づくり又は所定外労働の削減のための環境づくり等が該当するものであること。

(4) 「国又は地方公共団体が講ずる次世代育成支援対策に協力しなければならない」とは、事業主に対して、国又は地方公共団体が次世代育成支援対策を実施するに当たって行う各種の調査や依頼への協力等の任意の協力を行う一般的な義務を課す規定であること。

なお、本条の規定は、事業主に対して、個別の施策について、何らかの具体的な作為又は不作為の協力義務を課すものではないこと。

6 国民の責務(法第6条)

次世代を育成することは、我が国の将来にとって、重要な課題であることから、国民の責務として、次世代育成支援対策の重要性についての理解と関心を深めるとともに、国又は地方公共団体が講ずる次世代育成支援対策について協力することを定めるものであること。

なお、本条の規定は、国民に対して、個別の施策についての理解や関心を深めるために何らかの具体的な作為義務を課すものではなく、また、個別の施策についての具体的な作為又は不作為の協力義務を課すものではないこと。

7 行動計画策定指針(法第7条)

(1) 主務大臣は、次世代育成支援対策の総合的かつ効果的な推進を図るため、法第8条第1項の市町村行動計画及び法第9条第1項の都道府県行動計画並びに法第12条第1項の一般事業主行動計画及び法第19条第1項の特定事業主行動計画(以下「行動計画」と総称する。)の策定に関する指針(以下「行動計画策定指針」という。)を定めなければならないことを規定しているものであること。

なお、行動計画策定指針のうち、市町村行動計画及び都道府県行動計画に係る部分並びに一般事業主行動計画に係る部分(雇用環境の整備に関する部分を除く。)については、主務大臣は、厚生労働大臣、内閣総理大臣、国家公安委員会、文部科学大臣、農林水産大臣、経済産業大臣、国土交通大臣及び環境大臣であり、その他の部分については、厚生労働大臣であること。

(2) 行動計画策定指針の各項について

ア 背景及び趣旨

法が制定されるまでの経緯を明らかにするとともに、行動計画策定指針が、行動計画策定の指針となるべき、次世代育成支援対策の実施に関する基本的な事項、次世代育成支援対策の内容に関する事項、その他次世代育成支援対策の実施に関する重要事項を定めたものであることを明らかにしたこと。

イ 次世代育成支援対策の実施に関する基本的な事項

全ての計画に共通する次世代育成支援対策の実施に関する基本的な事項として、次世代育成支援対策は法第3条の基本理念を踏まえて行われなければならないことに加え、行動計画の策定の目的、次世代育成支援対策の推進に当たっての関係者の連携・協働及び次世代育成支援対策地域協議会の活用について考え方を示すものであること。

ウ 市町村行動計画及び都道府県行動計画の策定に当たっての基本的な視点

市町村行動計画及び都道府県行動計画の策定に当たっての基本的な視点を示したものであること。

エ 市町村行動計画及び都道府県行動計画の内容に関する事項

市町村行動計画又は都道府県行動計画の策定に当たって、各市町村又は各都道府県の実情に応じて盛り込むべき施策を例示しているものであること。

なお、内容の例示として、「仕事と生活の調和の実現のための働き方の見直し」及び「仕事と子育ての両立のための基盤整備」が示されているところであること(市町村行動計画に関しては、行動計画策定指針四の1の「(5)職業生活と家庭生活との両立の推進等」、都道府県行動計画に関しては、行動計画策定指針四の2の「(5)職業生活と家庭生活との両立の推進等」において示しているものであること。)。

これは、仕事と生活の調和の実現のためには、地域の実情に応じ、市町村及び都道府県が、自らの創意工夫を図りながら、取組を進めることが重要であり、市町村や都道府県が、地域の企業、都道府県労働局、関係団体等と密接に連携、協力し合いながら行う取組について例示しているものであること。

オ 一般事業主行動計画の策定に関する基本的な事項

一般事業主行動計画の策定に関する基本的事項として、一般事業主行動計画の策定に当たっての基本的な視点、計画期間、次世代育成支援対策の実施により達成しようとする目標、その他基本的事項について示すものであること。

(ア) 一般事業主行動計画の策定に当たっての基本的な視点

一般事業主行動計画を策定し、当該計画を実施するに当たっては、労働者の仕事と生活の調和の推進という視点、労働者の仕事と子育ての両立の推進という視点、企業全体で取り組むという視点、企業の実情を踏まえた取組の推進という視点、取組の効果という視点、社会全体による支援という視点及び地域における子育ての支援という視点に立って取り組むことが重要であること。

(イ) 一般事業主行動計画の計画期間

法上、一般事業主行動計画の計画期間についての定めはないが、各企業の実情に応じて次世代育成支援対策を効果的かつ適切に実施することができる期間とすることが必要である。このため、平成27年度から法の期限である平成36年度までの10年間を、おおむね2年間から5年間までの期間に区切り、これを計画期間として計画を策定することが望ましいこと。

(ウ) 次世代育成支援対策の実施により達成しようとする目標

目標については、制度の利用状況に関するものや、仕事と子育ての両立が図られるようにするための制度の導入に関するもの等、企業の実情に応じて設定すべきであるが、可能な限り定量的な目標とする等、その達成状況を客観的に判断できるものとすることが望ましいものであること。

また、企業の取組状況や課題を把握し、目標を設定するに際しては、「両立指標に関する指針の策定について」(平成15年4月8日雇児発第0408001号)で示している両立指標の活用も考えられるものであること。

カ その他基本的事項

一般事業主行動計画の策定に関するその他基本的事項として、推進体制の整備、労働者の意見の反映のための措置、計画の周知、計画の実施状況の点検、一般事業主の認定及び認定一般事業主の認定(以下「特例認定」という。)について示すものであること。

(ア) 推進体制の整備

一般事業主行動計画の策定やこれに基づく措置の実施を実効あるものとするため、まず、管理職や人事労務管理担当者に対し、その趣旨を徹底することが必要であるとともに、子育てを行う労働者を含めた全ての関係労働者の理解を得ながら取り組んでいくことが重要であること。

このための推進体制は、各企業の実情に応じ任意に定めるべきものであるが、行動計画策定指針においては、社内委員会の設置等、管理職や労働者に対する研修・講習等、相談・情報提供を行う窓口の設置や担当者の配置を例示しているものであること。

また、各企業が一般事業主行動計画を策定する際に、同一業種の企業及び事業主の団体等と連携することにより、より効果的な取組を進めることも考えられるものであること。

なお、育児・介護休業法第29条に基づき選任した職業家庭両立推進者を中心に、次世代育成支援対策を推進していくことも考えられること。

(イ) 労働者の意見の反映のための措置

雇用環境の整備を効果的に実施するためには、多様な労働者のニーズを踏まえることも重要であり、一般事業主行動計画の策定・実施に当たっては、次世代育成支援対策に関する労働者の意見の反映について、企業の実情に応じて工夫することが必要であることから、その方法として、労働者や労働組合等に対するアンケート調査や意見聴取等の方法によることを例示しているものであること。

なお、労働者等に対する調査を実施する場合には、調査内容が労働者のプライバシーに関することを多く含む可能性があることに留意し、個人情報を漏洩したり、その結果が他の目的に流用される等のことがないよう、結果の活用方法等に十分に注意することが必要であること。

(ウ) 計画の公表及び周知

一般事業主行動計画が策定された後は、適切な方法で公表するとともに、自社の様々な両立支援の取組やその実施状況を併せて公表する等その公表方法を工夫することが期待されるものであること。また、適切な方法で計画を労働者へ周知し、啓発資料の作成・配布、研修・講習の実施等を併せて行うことが期待されること。

(エ) 計画の実施状況の点検

一般事業主行動計画の実施状況の点検・評価を実施し、その結果をその後の対策や計画に反映させる、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)のサイクル(PDCAサイクル)を確立することが重要である。さらに、一般事業主自らがPDCAサイクルの中で、実効性のある対策の実施や計画の見直し等を行うことを通じて、認定や特例認定の取得に至ることが期待されるものであること。

(オ) 一般事業主の認定

厚生労働大臣は、一般事業主からの申請に基づき、法第13条に基づく厚生労働省令で定める基準に適合する旨の認定を行うことができ、この認定を受けた一般事業主は、法第14条に基づき、認定を受けた旨を外部に広く表示することができる。したがって、一般事業主行動計画を実施し、当該計画に定めた目標を達成した場合等に、認定を申請することを念頭に置きつつ、計画の策定やこれに基づく措置を実施することが望ましいものであること。

また、当該認定を受けることを希望する一般事業主は、法第13条に基づく厚生労働省令で定める基準を踏まえた一般事業主行動計画を策定することが必要であること。

認定を受けた企業は、認定を受けた旨の表示を積極的に活用することが期待されるものであること。

(カ) 認定一般事業主の認定(特例認定)

(オ)の認定を取得した企業のうち、既に相当程度両立支援の制度の導入や利用が進み、高い水準の取組を行っている企業を評価しつつ、継続的な両立支援の取組を促進するため、特例認定の制度が創設されたところである。

特例認定及び法第15条の4第1項の表示の制度を活用することにより、高水準かつ継続的に両立支援に取り組む企業としてのアピールが可能となり、社会的な評価の向上につながる。その結果、当該企業の取組が模範となり、他の企業の取組が促進されることが期待できるものであること。

なお、特例認定を受けた場合には、法第15条の3第1項の規定により行動計画の策定・届出に代えて、毎年少なくとも一回、次世代育成支援対策の実施の状況を公表することが必要であること。

キ 一般事業主行動計画の内容に関する事項

一般事業主は、オ及びカの一般事業主行動計画の策定に関する基本的な事項を踏まえ、計画期間、次世代育成支援対策の実施により達成しようとする目標並びに実施しようとする次世代育成支援対策の内容及びその実施時期を記載した一般事業主行動計画を策定するものであること。

本項においては、次世代育成支援対策として重要と考えられる事項を例示するものであり、各企業の実情に応じて、各々必要な事項を一般事業主行動計画の内容に盛り込むことが望ましいものであること。

8 一般事業主行動計画の策定等(法第12条、第12条の2)

(1) 基本的考え方

一般事業主行動計画の策定、実施を通じ、一般事業主による次世代育成支援対策の取組を促進するため、一般事業主行動計画の策定及び策定した旨の厚生労働大臣に対する届出等について規定するとともに、当該届出をしない場合の厚生労働大臣の勧告について規定するものであること。

また、一般事業主行動計画の公表は、事業主が他の企業における取組事例を知り、国民が事業主の取組を知り、また就職希望者の企業選択に資するといった観点から、一般事業主行動計画を策定又は変更したときは公表しなければならない旨及び当該公表をしない場合の厚生労働大臣の勧告について規定するものであること。

さらに、策定した一般事業主行動計画について、従業員の理解を得ながら企業全体で次世代育成支援対策の取組を推進するため、一般事業主行動計画を策定又は変更したときは労働者に周知させるための措置を講じなければならない旨及び当該措置を講じない場合の厚生労働大臣への勧告について規定するものであること。

一般事業主行動計画の策定及び策定した旨の厚生労働大臣への届出については、中小企業の事務負担等を勘案し、常時雇用する労働者数が100人を超える一般事業主についてのみ、義務を課しているが、本来、一般事業主行動計画の策定、実施を始めとする次世代育成支援対策のための取組は、企業規模を問わず全ての事業主において行われるべきものであることから、常時雇用する労働者数が100人以下の一般事業主についても努力義務としていること。

(2) 一般事業主とは、国及び地方公共団体以外の労働者を雇用して事業を行う全ての事業主を指し、個人企業にあってはその企業主個人、会社その他の法人組織の場合はその法人そのものを指すものであること。したがって、独立行政法人、日本郵政公社、国立大学法人、大学共同利用機関法人及び地方独立行政法人は、一般事業主に該当すること。

(3) 「常時雇用する労働者」とは、雇用契約の形態を問わず、事実上期間の定めなく雇用されている労働者を指すものであり、次のような者は常時雇用する労働者となること。

ア 期間の定めなく雇用されている者

イ 一定の期間を定めて雇用されている者又は日々雇用される者であってその雇用期間が反復更新されて事実上アと同等と認められる者。すなわち、過去1年以上の期間について引き続き雇用されている者又は雇入れの時から1年以上引き続き雇用されると見込まれる者

(4) 常時雇用する労働者数が100人を超える一般事業主が一般事業主行動計画を策定したときは、当該一般事業主行動計画自体ではなく、「一般事業主行動計画策定・変更届」(則様式第1号。以下「策定等届」という。)により、一般事業主行動計画を策定した旨を届け出なければならないものであること。一般事業主行動計画を変更したときも、策定したときと同様に、その旨を届け出なければならないこととされていること。

常時雇用する労働者が100人以下の一般事業主にあっては、一般事業主行動計画を策定し、又は変更した旨の届出をするよう努めなければならないとされていること。

なお、常時雇用する労働者が100人以下の一般事業主であっても、その後、常時雇用する労働者数が100人を超えた場合にあっては、その時点から一般事業主行動計画を策定し、又は変更した旨を届け出る義務が課されるものであること。

(5) 「行動計画策定指針に即して」とは、一般事業主行動計画を策定するに当たっては、行動計画策定指針の「五 一般事業主行動計画の策定に関する基本的な事項」及び「六 一般事業主行動計画の内容に関する事項」に示されている基本的事項を踏まえて策定しなければならないという趣旨であること。

なお、行動計画策定指針の「六 一般事業主行動計画の内容に関する事項」に掲げられている項目は次世代育成支援対策として重要と考えられる事項を例示しているものであり、その全ての項目を一般事業主行動計画に盛り込む必要はなく、各一般事業主の実情に応じて、必要な事項を一般事業主行動計画に定めることが望ましいものであること。

(6) 「一般事業主が実施する次世代育成支援対策」とは、次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、かつ、育成される環境の整備のための事業主が行う雇用環境の整備その他の取組をいうものであること。

なお、「雇用環境の整備」には、子育てを行う労働者等の職業生活と家庭生活との両立を支援するための雇用環境の整備や、働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備など、当該一般事業主に雇用される労働者に対する雇用環境の整備が含まれるものであり、「その他の取組」には、雇用される労働者に対するものに限らない雇用環境の整備以外の次世代育成支援対策の実施が広く含まれるものであること。

(7) 一般事業主行動計画には、行動計画策定指針に即して、計画期間、次世代育成支援対策の実施により達成しようとする目標、実施しようとする次世代育成支援対策の内容及びその実施時期を定めるものであること。

(8) 一般事業主行動計画の策定義務のある一般事業主が、一般事業主行動計画を策定し、又は変更した場合には、当該一般事業主行動計画自体を公表しなければならないものであること。

一般事業主行動計画の策定の努力義務のある一般事業主が、一般事業主行動計画を策定し、又は変更した場合には、当該一般事業主行動計画自体を公表するよう努めなければならないものであること。

(9) 一般事業主行動計画の策定義務のある一般事業主が、一般事業主行動計画を策定し、又は変更した場合には、当該一般事業主行動計画自体を労働者に周知させるための措置を講じなければならないものであること。

一般事業主行動計画の策定の努力義務のある一般事業主が、一般事業主行動計画を策定し、又は変更した場合には、当該一般事業主行動計画自体を労働者に周知させるための措置を講ずるよう努めなければならないものであること。

(10) 「第1項に規定する一般事業主が同項の規定による届出又は第3項の規定による公表をしない場合」とは、一般事業主が、一般事業主行動計画を策定せず、したがって届出をしない場合及び策定した場合であってもその旨の届出をしない場合又は一般事業主行動計画の公表をしない場合を指すものであること。

第12条の2第3項において第12条第6項を準用する場合における、「第1項の規定による措置を講じない場合」とは、一般事業主が労働者に一般事業主行動計画を周知させるための措置を講じない場合を指すものであること。

(11) 一般事業主行動計画を策定した旨の届出

常時雇用する労働者数が100人を超える一般事業主が一般事業主行動計画を策定したときは、策定等届に必要な事項を記載して、当該策定等届をその住所(法人にあっては主たる事務所の所在地)を管轄する都道府県労働局長(以下「所轄都道府県労働局長」という。)に提出しなければならないものとされていること(則第1条の2)。

この届出は、策定後遅滞なく(概ね3か月以内に)行わなければならないものであること。

また、常時雇用する労働者が100人以下の一般事業主が一般事業主行動計画を策定した旨の届出を行う場合も同様とされていること(則第2条)。

(12) 一般事業主行動計画の公表の方法

常時雇用する労働者数が100人を超える一般事業主が一般事業主行動計画を策定又は変更したときは、インターネットの利用その他の適切な方法により公表しなければならないものとされていること(則第1条の3)。

この公表は、策定後遅滞なく(概ね3か月以内に)行わなければならないものであること。

「インターネットの利用」とは、仕事と家庭の両立の支援に積極的に取り組んでいる企業の取組等を掲載しているサイトである「両立支援のひろば」や自社のホームページの利用等を指すものであること。

その他の適切な方法としては、「日刊紙への掲載」「県の広報誌」等の一般の者が一般事業主行動計画を知り得る状況にする方法が考えられるが、インターネットの利用が不可能な一般事業主については、事務所に備え付ける等の方法により、求めに応じて一般の者が一般事業主行動計画を知り得るようにする方法も差し支えないこと。

また、常時雇用する労働者が100人以下の一般事業主が一般事業主行動計画を策定又は変更したときに公表をする場合も同様とされていること(則第2条の2)。

(13) 一般事業主行動計画の労働者への周知の方法

常時雇用する労働者数が100人を超える一般事業主が一般事業主行動計画を策定又は変更したときは、事業所の見やすい場所へ掲示し若しくは備え付けること、書面を労働者へ交付すること又は電子メールを利用して労働者へ送信することその他の適切な方法により労働者への周知をするための措置を講じなければならないものとされていること(則第2条の3)。

この労働者への周知をするための措置は、策定後遅滞なく(概ね3か月以内に)行わなければならないものであること。

その他の適切な方法としては、磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置し、労働者に当該機器の操作の権限を与えるとともに、その操作の方法を労働者に周知させること等により、労働者が一般事業主行動計画を随時確認することができるようにする方法が考えられること。

また、常時雇用する労働者が100人以下の一般事業主が一般事業主行動計画を策定又は変更したときに労働者への周知をする場合も同様とされていること(則第2条の4)。

9 一般事業主行動計画の変更(法第12条第1項及び第4項)

常時雇用する労働者数が100人を超える一般事業主は、一般事業主行動計画を変更したときは、策定等届に必要な事項を記載して、当該策定等届一通を所轄都道府県労働局長あて提出しなければならないものとされていること。また、次に掲げる事項については、変更後遅滞なく届け出なければならないものであるが、その他の事項については、一年以内を限度として、他の部分の変更の機会に一括して届け出ることとして差し支えないものであること。

なお、変更後遅滞なくとは、変更後概ね3か月以内を指すものであること。

① 事業主に係る属性(氏名又は名称、主たる事業、住所及び電話番号)の変更

② 一般事業主行動計画の計画期間

③ 目標又は次世代育成支援対策の内容(既に届け出た策定等届の事項に変更を及ぼすような場合(事項の廃止、新たな事項の追加等)に限る。)

10 一般事業主行動計画を変更したときの公表及び周知(法第12条第3項及び第5項、法第12条の2第1項及び第2項)

常時雇用する労働者数が100人を超える一般事業主は、一般事業主行動計画を変更したとき公表及び労働者への周知をしなければならないものとされていること。また、9②及び③に掲げる事項については、変更後遅滞なく変更後の一般事業主行動計画の公表及び労働者への周知をしなければならないものであるが、その他の事項については、1年以内を限度として、他の部分の変更の機会に一括して変更後の一般事業主行動計画の公表及び労働者への周知をしても差し支えないものであること。

なお、変更後遅滞なくとは、変更後概ね3か月以内を指すものであること。

11 届出をすべきことの勧告(法第12条第6項、法第12条の2第3項)

(1) 厚生労働大臣は、法第12条第1項に規定する一般事業主が一般事業主行動計画の届出をしない場合、一般事業主行動計画の公表をしない場合又は一般事業主行動計画を労働者に周知させるための措置を講じない場合には、それぞれ、届出し、公表し、周知のための措置を講ずべきことを勧告することができるものであること。

(2) 本項の厚生労働大臣の権限は、第三者からの情報、職権等その端緒を問わず、必要に応じて行使しうるものであること。なお、本項の厚生労働大臣の権限については、則第18条に基づき委任されていることにより、都道府県労働局長が行使することも可能であること。

12 一般事業主の認定(法第13条)

(1) 基本的考え方

法においては、事業主に対し、その雇用する労働者に係る多様な労働条件の整備その他の労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために必要な雇用環境の整備を行うことにより、自ら次世代育成支援対策の実施に努めることが責務として求められていることを踏まえ(法第5条)、一般事業主が実施した雇用環境の整備に関し、行動計画策定指針に照らし適切な一般事業主行動計画を策定したこと、当該計画を実施し目標を達成したこと等の基準を満たしていることを評価し、事業主による更なる取組を推奨する仕組みとして、認定制度が設けられたものであること。具体的には、一般事業主の申請に基づき、その雇用する労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするための雇用環境の整備に関し、当該一般事業主が厚生労働省令で定める基準に適合するものである旨の認定を、厚生労働大臣が行うことができるものであること。

なお、この厚生労働大臣の権限は、都道府県労働局長に委任されているものであること(法第23条、則第18条)。

(2) 法第13条に基づく認定は、一般事業主行動計画を策定した旨を届け出た一般事業主であれば、その常時雇用する労働者の数にかかわらず認定の対象となるものであること。

また一般事業主が、法の有効期間中に一般事業主行動計画を複数回策定し、厚生労働省令で定める基準に複数回適合する場合は、当該一般事業主を複数回認定することも可能であること。

(3) 認定の基準

則第4条各号に定める基準を全て満たすことが必要であること。

なお、改正省令による改正後の則第4条各号に定める基準については、計画期間の開始時期にかかわらず、平成29年4月1日以後に事業主が行う認定申請について適用するものであること。

ア 則第4条第1号の「雇用環境の整備に関し、行動計画策定指針に照らし適切な一般事業主行動計画を策定したこと」とは、雇用環境の整備に関し目標を策定し、行動計画策定指針の六の「1 雇用環境の整備に関する事項」のうち、1項目以上の内容が盛り込まれた一般事業主行動計画であって、当該計画に定められた事項が法令に違反していないものを策定したことをいうものであること。

イ 則第4条第3号の「策定した一般事業主行動計画を実施し、当該一般事業主行動計画に定めた目標を達成したこと」とは、雇用環境の整備に関して、一般事業主行動計画に定めた目標を、全て達成したことをいうものであること。

なお、制度導入等の措置を講じることを目標とした場合は、当該措置が関係法令を上回る内容でなければならないものであること。

ウ 則第4条第4号の「策定した一般事業主行動計画について、適切に公表及び労働者への周知をしたこと。」とは、平成21年4月以降に新たに策定又は変更した一般事業主行動計画について、適切に公表及び周知をしていることをいうものであること。

エ 則第4条第5号及び第6号は、育児休業等(育児・介護休業法第2条第1号に規定する育児休業及び第23条第2項又は第24条第1項の規定に基づく措置として育児休業に関する制度に準ずる措置が講じられた場合の当該措置によりする休業をいう。以下同じ。)に関して、男性については(ア)、女性については(イ)の基準をそれぞれ満たすことが必要であることを明らかにしたものであること。

(ア) 計画期間において、その雇用する男性労働者であって計画期間において配偶者が出産したものの数に対するその雇用する男性労働者であって当該計画期間において育児休業等をしたものの数の割合(以下この(ア)、15(4)イ(ア)及び(ウ)②において「育児休業等をした男性労働者の割合」という。)が100分の7以上であること又はその雇用する男性労働者であって計画期間において配偶者が出産したものの数に対する、その雇用する男性労働者であって当該計画期間において育児休業等をしたものの数及び小学校就学の始期に達するまでの子を養育する男性労働者を雇用する一般事業主が講ずる育児を目的とした休暇制度(育児休業等及び子の看護休暇を除く。以下「育児目的休暇制度」という。)を利用したものの数の合計数の割合が100分の15以上であり、かつ、育児休業等をしたものの数が1人以上であること。

なお、「育児目的休暇制度」とは、目的の中に育児を目的とするものであることが明らかにされている休暇制度をいい、例えば、失効年休の育児目的での使用や、「育児参加奨励休暇」制度、子の学校行事や予防接種等の通院のための勤務時間中の外出を認める制度、子(子の配偶者を含む)が出産したときの「孫誕生休暇」制度、いわゆる「配偶者出産休暇」制度(休暇の取得が可能な日に配偶者の妊娠中、出産前が含まれていても差し支えない)などが該当すること。

ただし、当該計画期間内に、その雇用する男性労働者のうち、育児休業等をしたもの又は小学校就学の始期に達するまでの子について育児目的休暇制度を利用したものがいない常時雇用する労働者数が300人以下の一般事業主(以下「中小事業主」という。)の場合は、次の①~④のいずれかを満たせば足りること。

① 当該計画期間において、その雇用する男性労働者のうち育児・介護休業法第16条の2第1項に規定する子の看護休暇(以下「子の看護休暇」という。)を取得したものがいること(1歳に満たない子のために子の看護休暇を取得した場合を除く。)。

② 当該計画期間において、所定労働時間の短縮措置等(育児・介護休業法第23条第1項に規定する所定労働時間の短縮措置、同法第24条第1項第3号の規定に基づく措置として所定労働時間の短縮措置に準ずる措置として講じられているもの及び6歳に達する日以後の最初の3月31日を経過した子であって、15歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるものに係る所定労働時間の短縮措置に準ずる措置として講じられているものをいう。以下同じ。)を講じており、その雇用する男性労働者のうち子の養育のために当該所定労働時間の短縮措置等を利用したものがいること。

③ 当該計画期間の開始前3年以内の日であって当該中小事業主が定める日から当該計画期間の末日までの期間を計画期間とみなした場合における当該計画期間において、育児休業等をした男性労働者の割合が100分の7以上であること。

④ 当該計画期間において、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する男性労働者がいない場合にあっては、その雇用する男性労働者であって15歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子又は小学校就学の始期に達するまでの孫がいるもののうち、育児目的休暇制度を利用したものがいること。

なお、「育児目的休暇制度」については12(3)エ(ア)と同義であること。

(イ) その雇用する女性労働者であって、計画期間において出産したものの数に対するその雇用する女性労働者であって、当該計画期間において育児休業等をしたものの数の割合(以下「育児休業等をしたものの割合」という。)が100分の75以上であること。ただし、当該計画期間において、育児休業等をしたものの割合が100分の75未満である中小事業主の場合は、当該計画期間の開始前3年以内の日であって、当該事業主が定める日から、当該計画期間の末日までを計画期間とみなした場合における育児休業等をしたものの割合が100分の75以上であれば足りること。

オ 則第4条第7号は、育児・介護休業法第24条第1項第3号により事業主の努力義務とされている措置を講じていれば足りること。

カ 則第4条第8号は、働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置に係る基準であり、次の(ア)及び(イ)に該当することをいうこと。

(ア) 次のいずれにも該当すること。

① その雇用する労働者(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成5年法律第76号。以下「パートタイム労働法」という。)第2条に規定する短時間労働者を除く。16(3)エにおいて同じ。)1人当たりの各月ごとの時間外労働及び休日労働の合計時間数が、計画期間の終了日の属する事業年度(②において「計画期間終了事業年度」という。)に属する各月ごとに全て45時間未満であること。

② 計画期間終了事業年度において、その雇用する労働者であって、平均した1月当たりの時間外労働時間が60時間以上であるものがいないこと。

(イ) 所定外労働の削減、労働基準法第39条の規定による年次有給休暇(以下「年次有給休暇」という。)の取得の促進、短時間正社員の活用に関する措置(短時間正社員制度)、在宅勤務、情報通信技術を活用した勤務(テレワーク)その他の働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置について成果に関する具体的な目標を定めて講じていることとは、次の①から③までのいずれかの措置について成果に関する具体的な目標を定めて実施していることをいうものであること。

ここでいう「成果に関する具体的な目標」とは、例えば、「ノー残業デー」を導入する場合に、実施する回数(月○回実施する等)を定める、職場優先の意識や固定的な性別役割分担意識の是正に取り組む場合に、意識啓発のためのセミナーの開催回数(年○回開催する等)を定めるなど、アウトプットに係る目標をいい、労働者に周知されていることが望ましいものであること。

なお、これらの目標については、必ずしも一般事業主行動計画に定める必要はなく、また、当該目標が達成されていなくとも、目標を定めて講じられていれば足りること。

また、①から③までの措置は計画期間前から実施されているものでも差し支えなく、また、計画期間終了時までに講じられていればよいものであること。

① 「所定外労働の削減のための措置」として、次のいずれかの措置が実施されていること。

(i) 労働時間等設定改善委員会をはじめとする労使間の話合いの機会の整備

(ii) 「ノー残業デー」や「ノー残業ウィーク」の導入・拡充

(iii) フレックスタイム制や変形労働時間制の活用

(iv) 時間外労働協定における延長時間の短縮

(v) その他これらに準ずる措置

② 「年次有給休暇の取得の促進のための措置」として、次のいずれかの措置が実施されていること。

(i) 年次有給休暇の計画的付与制度の導入

(ii) 年間の年次有給休暇取得計画の策定

(iii) 年次有給休暇の取得率の目標設定及びその取得状況を労使間の話合いの機会において確認する制度の導入

(iv) その他これらに準ずる措置

③ 短時間正社員の活用に関する措置(短時間正社員制度)、在宅勤務、情報通信技術を活用した勤務(テレワーク)その他働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置として、次のいずれかの措置が実施されていること。

(i) 短時間正社員制度の導入

(ii) 在宅勤務制度やテレワーク(情報通信技術(ICT)を活用した場所にとらわれない働き方)制度の導入

(iii) 職場優先の意識や固定的な性別役割分担意識等の是正のための取組

(iv) 子どもの学校行事への参加のための休暇制度の導入

(v) その他これらに準ずる措置

キ 則第4条第9号イは、認定取消後の申請に係る基準であり、過去に法第15条の規定により認定を取り消された場合において、取消しの日から起算して3年以上経過するまでは、認定申請できないものとすること。

なお、則第4条第9号イは、平成29年4月1日以前に行われた法第15条の規定による認定の取消しについては、適用しないものであること。

ク 則第4条第9号ロ及びハは、法及び法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実に係る基準であり、次の(ア)及び(イ)のいずれにも該当しないこと。

(ア) 青少年の雇用の促進等に関する法律(昭和45年法律第98号)第11条の規定により、公共職業安定所が求人の申し込みを受理しないことができる場合に該当する事業主については、認定申請できないものとすること。

(イ) 「法及び法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実がないこと」とは、計画期間中に、関係法令に対する違反する重大な事実のあった一般事業主を認定から排除するための規定であり、軽微な違反のあった事業主まで排除するものではないこと。

「その他関係法令」は、育児・介護休業法、男女雇用機会均等法、パートタイム労働法、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和46年法律第68号。以下「高年齢者雇用安定法」という。)、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号。以下「障害者雇用促進法」という。)、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という。)、労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和44年法律第84号。以下「労働保険徴収法」という。)、労働基準法等の関係法令をいうものであること。

「関係法令に違反する重大な事実」とは、例えば計画期間中に育児・介護休業法や男女雇用機会均等法に違反して勧告を受けたことや、高齢者雇用安定法、障害者雇用促進法又は労働者派遣法に基づき企業名が公表されたこと、労働保険徴収法に定められた労働保険料を直近2年度について滞納していること、労働基準法に違反して送検され、当該事案が公になったこと、「違法な長時間労働や過労死等が複数の事業場で認められた企業の経営トップに対する都道府県労働局長等による指導の実施及び企業名の公表について」(平成29年1月20日基発0120第1号)に基づき、当該事業主の企業名が公表されたこと等をいうものであること。

13 認定一般事業主の表示等(法第14条)

(1) 一般事業主が労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために必要な雇用環境の整備のための取組を行うことを奨励するため、法第13条の規定による認定を受けた一般事業主(以下「認定一般事業主」という。)のみが、厚生労働大臣の定める表示を付することができるものとされたものであること。

(2) 「商品又は役務、その広告又は取引に用いる書類若しくは通信その他の厚生労働省令で定めるもの」として、以下のものが定められていること。

ア 商品又は役務

イ 商品、役務又は一般事業主の広告

一般事業主の広告とは、会社案内等一般事業主そのものに関する広告をいうものであること。

ウ 商品又は役務の取引に用いる書類又は通信

商品又は役務の取引に用いる書類とは、カタログ、注文書及び契約書等商取引の関係書類一般を指し、商品又は役務の取引に用いる通信とは、書状、ファックス等商取引に伴う書類以外の全ての通信や連絡を指すものであること。

エ 一般事業主の営業所、事務所その他の事業場

オ インターネットを利用した方法により公衆の閲覧に供する情報いわゆるインターネットホームページを指すものであること。

カ 労働者の募集の用に供する広告又は文書

いわゆる求人広告又は求人票等を指すものであること。

(3) 法第13条の規定による認定一般事業主以外の者が(2)に掲げるもの等における表示又はこれと紛らわしい表示をしてはならないこととされていること。

14 認定の取消し・辞退(法第15条・則第5条の5)

(1) 厚生労働大臣は、認定一般事業主が法第13条に規定する基準に適合しなくなったと認めるとき、法又は法に基づく命令に違反したとき、その他認定一般事業主として適当でなくなったと認めるときは、同条の認定を取り消すことができるものとされたこと。

(2) 「認定一般事業主として適当でなくなった」場合としては、不正の手段により認定の申請を行い認定を受けていた場合等があること。

(3) 認定一般事業主がその認定を取り消された場合において当該取消の日以後は、当該取消に係る認定に係る法第14条に基づく表示を付することはできないものであること。

(4) 法第13条に規定する認定一般事業主は、則第5条の5の規定に基づき、所轄都道府県労働局長に対し、様式第1号「基準適合事業主辞退申出書」により、自ら認定の辞退を申し出ることができることとされたこと。なお、認定基準を満たさなくなった場合以外であっても、自発的な理由等によって認定を辞退することは可能であること。

この場合は、12(3)キの場合と同様に、その辞退の日から起算して3年を経過しない間は再度認定を受けることはできないものとすること。

15 認定一般事業主の認定(特例認定)(法第15条の2)

(1) 基本的考え方

12の認定を取得した企業のうち、既に相当程度両立支援の制度の導入や利用が進み、高い水準の取組を行っている企業を評価しつつ、継続的な両立支援の取組を促進する仕組みとして、特例認定の制度が創設されたものであること。具体的には、認定一般事業主の申請に基づき、その雇用する労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするための雇用環境の整備に関し、当該認定一般事業主が厚生労働省令で定める基準に適合するものである旨の認定を、厚生労働大臣が行うことができるものであること。

なお、この厚生労働大臣の権限は、都道府県労働局長に委任されているものであること(法第23条、則第18条)。

(2) 特例認定は、認定一般事業主であって、12の認定を受けた一般事業主行動計画より後に実施した一般事業主行動計画に基づき申請を行う場合には、その常時雇用する労働者の数にかかわらず認定の対象となること。12の認定は、改正法の施行前に行われたものであっても良いが、当該特例認定の申請の対象となる一般事業主行動計画は直近のものに限られること。

なお、特例認定は、その制度の趣旨に鑑み、12の認定と異なり、特例認定を取り消された場合に再度の認定が行われるような場合を除き、複数回認定が行われることは想定されないものであること。

(3) 特例認定を取得した企業については、一般事業主行動計画の策定及び届出に代えて、次世代育成支援対策の実施状況を公表することとなるものであること。(法第15条の3)

また、特例認定を取得した企業については、広告等に厚生労働大臣が定める表示を付することができるものであること。(法第15条の4)

(4) 特例認定の基準

次に掲げる則第5条の3各号に定める基準を全て満たすことが必要であること。

ア 則第5条の3第1号は、12の認定基準のうち、則第4条第1号から第4号まで、第6号、第7号及び第8号イに掲げる基準を満たすことが必要であることを明らかにしたものであり、12(3)アからウまで、エの(イ)、オ及びカ(ア)に該当することをいうものであること。

イ 則第5条の3第2号は、男性の育児休業等に関して、以下(ア)から(ウ)までのいずれかの基準を満たすことが必要であることを明らかにしたものであること。

(ア) 育児休業等をした男性労働者の割合が100分の13以上であること。

(イ) その雇用する男性労働者であって計画期間において配偶者が出産したものの数に対する、その雇用する男性労働者であって当該計画期間において育児休業等をしたものの数及び小学校就学の始期に達するまでの子について育児目的休暇制度を利用したものの数の合計数の割合が100分の30以上であり、かつ、育児休業等をしたものの数が1人以上であること。

なお、「育児目的休暇制度」については、12(3)エ(ア)と同義であること。

(ウ) 計画期間において、その雇用する男性労働者のうち、育児休業等をしたもの又は小学校就学の始期に達するまでの子について育児目的休暇制度を利用したものがいない中小事業主にあっては、次のいずれかに該当すれば足りること。

① 12の(3)エ(ア)①、②又は④のいずれかに該当すること。

② 当該計画期間の開始前3年以内の日であって当該中小事業主が定める日から当該計画期間の末日までの期間を計画期間とみなした場合における当該計画期間において、育児休業等をした男性労働者の割合が100分の13以上であること。

ウ 則第5条の3第3号は、働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置に係る基準であり、次の①から③までの全ての措置を講じ、かつ、①又は②のいずれかについて、定量的な目標を定めて実施し、当該目標を達成したことをいうこと。

① 所定外労働の削減

② 年次有給休暇の取得の促進

③ 短時間正社員の活用に関する措置(短時間正社員制度)、在宅勤務、情報通信技術を活用した勤務(テレワーク)その他の働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置

ここで③については、短時間正社員制度、在宅勤務、テレワークを例示として明示しているが、これに限らず、働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置について講じられていれば基準を満たすものである。具体的には、職場優先の意識や固定的な役割分担意識等の是正のための取組が該当すること。

なお、「定量的な目標」とは、例えば、所定外労働の削減のための措置として「ノー残業デー」を導入する場合に、当該取組によって年平均所定外労働時間を○%削減する、年次有給休暇の取得の促進のための措置として年次有給休暇の計画的付与制度を導入し、従業員の年次有給休暇の取得率を○%以上とする等を定めるなど、具体的に、その措置を導入することによる成果に係る数値目標をいい、労働者に周知されていることが望ましいものであること。

また、①から③までの措置は計画期間前から実施されているものでも差し支えなく、③の措置及び目標を定めて実施しない①又は②のいずれかの措置については、計画期間終了時までに講じられていればよいが、目標を定めて実施し、達成することとする①又は②のいずれかの措置については、当該趣旨に鑑み、遅くとも計画期間の終了日の1年前までに当該目標を定めて取り組んでいること。ただし、平成28年4月1日前に行動計画の終了日が到来する場合は、遅くとも計画期間の終了日の3か月前までに当該目標を定めて取り組んでいること。なお、いずれの場合も、計画期間の途中で当該目標を掲げなくなった場合は、基準を満たさないこと。

エ 則第5条の3第4号は、女性の継続就業に係る基準であり、次の(ア)から(ウ)までのいずれかに該当することをいうものであること。なお、「在職しているもの」には、産後休業又は育児休業等から復職している者のみならず、育児休業等又は育児目的休暇制度を利用している者も含まれること。また、「雇用していた女性労働者であって当該期間に出産する予定であったもののうち退職したもの」とは、かつて雇用していた女性労働者であって、対象期間に出産する予定であったが、出産前に退職した者をいうこと。なお、対象期間に、雇用されていて出産したが、出産後1年を経過する前に退職した者については、「出産後1年以上継続して在職しているもの」とはみなさず、分母にのみ計上すること。

(ア) その雇用する又は雇用していた女性労働者であって計画期間の開始日から計画期間の終了日の1年前までの間において出産したものの数に対する当該女性労働者であって出産後1年以上継続して在職している又は在職していたもの(出産の日において在職しているものに限る。(イ)において同じ。)の数の割合が100分の90以上であること。

(イ) その雇用する又は雇用していた女性労働者であって計画期間の開始日から計画期間の終了日の1年前までの間において出産したものの数及びその雇用していた女性労働者であって当該期間に出産する予定であったもののうち退職したものの数の合計数に対する当該期間に出産した女性労働者であって出産後1年以上継続して在職している又は在職していたものの割合が100分の55以上であること。

(ウ) (ア)又は(イ)に該当しない中小事業主にあっては、当該計画期間の開始前3年以内の日であって当該中小事業主が定める日から当該計画期間の末日までの期間を計画期間とみなした場合において、(ア)又は(イ)に該当すれば足りること。

オ 則第5条の3第5号の「育児休業等をし、又は育児を行う女性労働者が就業を継続し、活躍できるような能力の向上又はキャリア形成の支援のための取組に係る計画を策定し、これを実施していること」とは、以下のような取組を実施していることをいうものであること。なお、当該計画については行動計画期間終了時までに策定し実施されていればよく、かつ、その後の行動計画期間全期間に亘って当該計画に定めた取組が継続して実施されていればよいものであること。「当該計画に定めた取組が継続して実施されている」こととは、例えば、研修を実施する場合には単発的な実施ではなく定期的に実施されていること、昇進基準及び人事評価制度の見直しを行った場合には見直された昇進基準及び人事評価制度が廃止されることなく引き続き実施されていることをいうこと。

(ア) 女性労働者に向けた取組

① 若手の女性労働者を対象とした、出産及び子育てを経験して働き続けるキャリアイメージの形成を支援するための研修

② 社内のロールモデルと女性労働者をマッチングさせ、当該労働者が働き続けていく上での悩みや心配事について相談に乗り助言するメンターとして継続的に支援させる取組

③ 育児休業からの復職後又は子育て中の女性労働者を対象とした能力の向上のための取組又はキャリア形成を支援するためのカウンセリング等の取組

④ 従来、主として男性労働者が従事してきた職務に新たに女性労働者を積極的に配置するための検証や女性労働者に対する研修等職域拡大に関する取組

⑤ 管理職の手前の職階にある女性労働者を対象とした、昇格意欲の喚起又は管理職に必要なマネジメント能力等の付与のための研修

⑥ その他これらに準ずる措置

(イ) 管理職に向けた取組等

① 企業トップ等による女性の活躍推進及び能力発揮に向けた職場風土の改革に関する研修等の取組

② 女性労働者の育成に関する管理職研修等の取組

③ 働き続けながら子育てを行う女性労働者がキャリア形成を進めていくために必要な業務体制及び働き方の見直し等に関する管理職研修

④ 育児休業等を取得しても中長期的に処遇上の差を取り戻すことが可能となるような昇進基準及び人事評価制度の見直しに向けた取組

⑤ その他これらに準ずる措置

カ 則第5条の3第6号イは認定取消し後の申請に係る基準であり、過去に特例認定を取り消された場合において、その取消しの日後に、法第13条の認定を新たに受けるまでは認定申請できないものとすること。

ただし、「次世代育成支援対策推進法施行規則第5条の3第6号の規定に基づき厚生労働省雇用均等・児童家庭局長が定める基準について」(平成29年3月30日付け雇児発0330第5号。以下「辞退通達」という。)に掲げる基準を満たさなくなったことにより、認定の辞退を行った事業主については、その辞退の日から3年を経過せずとも認定申請できるものとすること。

キ 則第5条の3第6号ロは、法及び法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実に係る基準であり、則第4条第9号ロ又はハに該当しないこと(12(3)ク(ア)(イ)参照)。

16 特例認定一般事業主の特例等(法第15条の3)

(1) 法第15条の2の規定による認定を受けた一般事業主(以下「特例認定一般事業主」という。)については、当該特例認定一般事業主の一般事業主行動計画の策定及び届出に係る負担を軽減するとともに、次世代育成支援対策の取組の水準を維持するため、法第12条第1項又は第4項に基づく一般事業主行動計画の策定及び届出に代えて、次世代育成支援対策の実施状況について、毎年少なくとも1回、公表することを規定するとともに、当該公表をしていない場合の厚生労働大臣の勧告について規定するものであること。なお、当該勧告については、都道府県労働局長に委任されているものであること。(法第23条、則第18条)

(2) 特例認定を受けた場合であっても、特例認定一般事業主の任意により、法第12条第1項又は第4項に基づき、一般事業主行動計画を策定し、届け出ることは可能であること。なお、この場合には、併せて、法第12条第3項若しくは第5項又は法第12条の2第1項若しくは第2項に基づく公表・周知を行うことが望ましい。

(3) 当該公表に当たっては、厚生労働省がインターネット上に開設する「両立支援のひろば」において、特例認定を受けた後概ね3か月以内(2回目以降にあっては、直近の公表を行った日が属する事業年度(各事業主における会計年度をいう。)の終了日から3か月以内)に以下の事項を公表すること。

ア その雇用する男性労働者であって法第15条の3第2項に基づき公表を行う日が属する事業年度(以下公表を行う日が属する事業年度を「公表事業年度」という。)の前事業年度(以下「公表前事業年度」という。)において配偶者が出産したものの数に対するその雇用する男性労働者であって公表前事業年度において育児休業等をしたものの数(以下このアにおいて「育児休業等取得者数」という。)、当該配偶者が出産した男性労働者の数に対する育児休業等取得者数の割合、当該配偶者が出産した男性労働者の数に対する育児休業等取得者数及び公表前事業年度において育児目的休暇制度を利用したものの数の合計数の割合並びに当該育児目的休暇制度の内容。ただし、中小事業主の特例のうち、則第5条の3第2号ハ(1)の規定に基づき、則第4条第5号イ、ロ及びニの適用を受けて特例認定を受けた場合にあっては、それぞれ次に定める事項についても公表すること。

(ア) 則第4条第5号イの適用を受けて特例認定を受けた場合は、公表前事業年度において、その雇用する男性労働者のうち子の看護休暇を取得したもの(1歳に満たない子のために子の看護休暇を取得した者を除く。)の数。

(イ) 則第4条第5号ロの適用を受けて特例認定を受けた場合は、公表前事業年度において、その雇用する男性労働者のうち子の養育のために所定労働時間の短縮措置等を利用したものの数。

(ウ) 則第4条第5号ニの適用を受けて特例認定を受けた場合は、公表前事業年度において、その雇用する男性労働者のうち15歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子又は小学校就学の始期に達するまでの孫について育児目的休暇制度を利用したものの数。

イ その雇用する女性労働者であって公表前事業年度において出産したものの数に対するその雇用する女性労働者であって公表前事業年度において育児休業等をしたものの数の割合。

ウ 則第5条の3第1号の規定に基づき則第4条第7号の規定により講じている措置の内容。

エ 公表前事業年度におけるその雇用する労働者1人当たりの各月ごとの時間外労働及び休日労働の合計時間数。

オ その雇用する労働者であって、公表前事業年度において、平均した1月当たりの時間外労働時間が60時間以上であるものの数。

カ 則第5条の3第3号の規定により講じている措置の内容。なお、事業主の任意に委ねられるが、公表前事業年度の平均年次有給休暇取得率についても、併せて公表することが望ましい。

キ 女性の継続就業に係る事項として次のいずれかの割合。なお、「在職しているもの」及び「雇用していた女性労働者であって公表前々事業年度において出産する予定であったもののうち退職したもの」については15の(4)エと同義であること。

(ア) その雇用する又は雇用していた女性労働者であって公表事業年度の前々事業年度(以下「公表前々事業年度」という。)において出産したもの(出産の日において在職しているものに限る。(イ)において同じ。)の数に対する当該女性労働者であって公表前事業年度において在職しているものの数の割合。

(イ) その雇用する又は雇用していた女性労働者であって公表前々事業年度において出産したものの数及びその雇用していた女性労働者であって公表前々事業年度において出産する予定であったもののうち退職したものの数の合計数に対する公表前々事業年度において出産した女性労働者であって公表前事業年度に在職しているものの数の割合。

ク 則第5条の3第5号の規定により策定している計画の内容及びその実施状況。

17 特例認定一般事業主の表示等(法第15条の4)

特例認定一般事業主についても、認定一般事業主同様、厚生労働大臣が定める表示を広告等に付することができるところ、その取扱いについては、法第14条第2項の規定を準用することを規定するものであること。その取扱いについては、13と同様であること。

なお、特例認定については、法第13条の認定を受けていることを要件としていることから、特例認定一般事業主においては、法第15条の4の表示のほか、法第14条の表示についても広告等に付することを妨げないものであること。

18 特例認定の取消し・辞退(法第15条の5・則第5条の5)

(1) 厚生労働大臣は、特例認定一般事業主が法第13条の認定を取り消されたとき、法第15条の2に規定する基準に適合しなくなったと認めるとき、法第15条の3第2項の規定による公表をせず、又は虚偽の公表をしたとき、法又は法に基づく命令に違反したとき、その他特例認定一般事業主として適当でなくなったと認めるときは、同条の認定を取り消すことができるものとされたこと。

(2) 「第15条の3第2項の規定による公表をせず、又は虚偽の公表をしたとき」とは、法第15条の3第2項の規定による公表を担保する目的で規定するものであること。「特例認定一般事業主として適当でなくなった」場合の取扱いについては、14の(2)と同様であること。

(3) 特例認定一般事業主がその認定を取り消された場合において当該取消の日以後は、当該取消に係る特例認定に係る法第15条の4に基づく表示を付することはできないものであること。また、当該取消の日以後は、法第15条の3第1項が適用されなくなり、法第12条第1項又は第4項の規定に基づく一般事業主行動計画の策定・届出義務又は努力義務が生ずるため、遅滞なく、一般事業主行動計画の策定・届出を行うこと。

(4) 法第15条の3第1項に規定する特例認定一般事業主は、則第5条の5の規定に基づき、所轄都道府県労働局長に対し、自ら認定の辞退を申し出ることができることとされたこと。

なお、認定基準を満たさなくなった場合以外であっても、自発的な理由等によって認定を辞退することは可能であること。

この場合において、15カのとおり、辞退通達に掲げる基準に該当すること以外を理由として辞退の申出を行った場合は法第13条の認定を新たに受けていない間は再度認定を受けることはできないものとすること。

19 委託募集の特例(法第16条)

(1) 基本的考え方

次世代育成支援対策を推進するための措置の適用を受ける労働者の代替要員等又は当該措置の実施に係る労働者(以下「次世代育成支援対策措置要員」という。)の募集をしやすくすることは、事業主にとって重要であるばかりでなく、労働者にとっても職業生活と家庭生活との両立が図られる雇用環境の整備という観点から、強く望まれることであるが、労働者を臨機に募集することは特に中小事業主にとって、事務負担となるだけでなく、知名度等から、実際に必要な時期までに労働者を募集できない場合も生じ得るところである。そのため、法第16条において、一定の基準を満たした中小事業主団体に関しては、事前に厚生労働大臣の承認を受けた後、その構成員たる中小事業主から次世代育成支援対策措置要員の募集の委託を受けた場合、中小事業主団体が厚生労働大臣に届出をすることによって当該次世代育成支援対策措置要員の委託募集ができるようにしたものであること。

(2) 委託募集の特例の前提

委託募集を行うに際しては、募集を委託された団体は、単に募集を行うだけではなく、募集後雇用された労働者の労働条件について募集時の労働条件との相違がないか等を常にチェックし、不適切な点があれば是正するように指導できる立場にあることが前提となるものであること。

そのために、その構成員たる中小事業主と密接に連携し合いながら構成員たる中小事業主の雇用管理面について適切に指導していくことが可能でなければならず、このような観点から、次世代育成支援対策措置要員の確保に当たっても、構成員たる中小事業主において次世代育成支援対策を実施しやすい雇用環境の整備の事業を協同して行う団体であることを前提に、手続を緩和したものであること。

(3) 次世代育成支援対策措置要員の範囲

ア 次世代育成支援対策措置要員は、中小事業主が次世代育成支援対策を推進しようとするための措置の適用を受ける労働者の代替要員等又は当該措置の実施に係る労働者である。具体的には、行動計画策定指針の「六 一般事業主行動計画の内容に関する事項」に掲げられた措置の適用を受ける労働者の代替要員等又は当該措置の実施に係る労働者であり、例えば次のようなものが考えられること。

(ア) 次世代育成支援対策を推進するための措置の適用を受ける労働者の代替要員等

短時間勤務や隔日勤務等の労働者(行動計画策定指針六の1の(2)のウ中「短時間正社員制度の導入・定着」関係)

(イ) 次世代育成支援対策を推進するための措置の実施に係る労働者

① 事業所内保育施設において勤務する保育士(行動計画策定指針六の1の(1)のキ中「事業所内保育施設の設置及び運営」関係)

② 次世代育成支援対策に係る労務管理の実施に関する業務を行う者

イ 雇用期間

次世代育成支援対策措置要員は、次世代育成支援対策を推進しようとするための措置の適用を受ける労働者の代替要員等又は当該措置の実施に関して必要な労働者であるため、当該労働者の雇用期間は、基本的には、当該次世代育成支援対策を講じる期間と同一又はそれより短期である必要があるが、訓練期間、引継期間等を考慮して、当該次世代育成支援対策を講じる期間の前後にわたり、当該期間よりも若干長い雇用期間が設定されることは妨げないものであること。

(4) 中小事業主団体の範囲

中小事業主団体の範囲は以下のとおりであること(則第6条、第7条)。

ア 事業協同組合及び事業協同小組合並びに協同組合連合会(中小企業等協同組合法(昭和24年法律第181号))

イ 水産加工業協同組合及び水産加工業協同組合連合会(水産業協同組合法(昭和23年法律第242号))

ウ 商工組合及び商工組合連合会(中小企業団体の組織に関する法律(昭和32年法律第185号))

エ 商店街振興組合及び商店街振興組合連合会(商店街振興組合法(昭和37年法律第141号))

オ 農業協同組合及び農業協同組合中央会(農業協同組合法(昭和22年法律第132号))

カ 生活衛生同業組合(生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律(昭和32年法律第164号))であって、その構成員の3分の2以上が中小事業主であるもの

キ 酒造組合及び酒造組合連合会(酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律(昭和28年法律第7号))であって、その直接又は間接の構成員たる酒類製造業者の3分の2以上が中小事業主であるもの

ク その直接又は間接の構成員の3分の2以上が中小事業主である社団法人(民法(明治29年法律第89号))

(5) 次世代育成支援対策を推進するための人材確保に関する相談及び援助

ア 基本前提

(2)で述べた次世代育成支援対策を実施しやすい雇用環境の整備の事業として、中小事業主団体が、構成員たる中小事業主に対して、次世代育成支援対策を推進するための人材確保に関する相談及び援助の事業(以下「相談援助事業」という。)を行っていることが前提となるものであること。

イ 承認基準の内容

承認基準告示に定める法第16条第2項に基づく承認中小事業主団体の承認基準においては、相談及び援助の事業として実施又は実施することを予定しているものとして、次のものが挙げられていること(承認基準告示第1号)。

(ア) 次世代育成支援対策措置要員の確保を容易にするための、好事例の収集及び提供の事業

「次世代育成支援対策措置要員の確保を容易にするための、好事例の収集及び提供の事業」は例示であって、中小事業主団体は、構成員たる中小事業主の次世代育成支援対策措置要員の確保を容易にするために、これらと同程度の事業を行っていれば足りるものであること。

(イ) (ア)のほか、次世代育成支援対策を推進するための措置の適用を受ける労働者が雇用される事業所における雇用管理その他に係る講習会の開催、相談指導、先進的な事例に関する見学会の開催等の事業

「講習会の開催、相談指導、先進的な事例に関する見学会の開催」は例示であって、中小事業主団体としては、次世代育成支援対策に係る雇用管理等に資する事業を行っていれば足りるものであること。

(6) その他の承認基準

その他の承認基準としては、以下のものがあること。

ア 事務処理体制の整備(承認基準告示第2号)

上記(5)の事業を行うのに適当と認められる事務処理の体制が整備されていること。

「事務処理の体制が整備」とは、中小事業主団体の役員又は職員が事務の担当責任者として決められていることをいうものであること。

イ 構成員たる中小事業主の3分の1以上が、一般事業主行動計画を策定した旨の届出を行っていること。

ウ 適正な委託募集内容(承認基準告示第4号)

募集に係る労働条件その他の募集の内容が適切なもので、かつ、労働者の利益に反しないことが見込まれること。

これは、

(ア) 賃金が、同業種の賃金水準に比較して低くないこと。

(イ) 労働時間、休日その他の労働条件が、法定の労働条件以上であること。

(ウ) 募集従事者が、当該中小事業主団体の役員又は職員であること。

をいうものであること。

(7) 承認手続(法第16条第2項)

ア 法第16条第2項の規定により承認を受けようとする中小事業主団体は、様式第2号「承認中小事業主団体承認申請書」を作成して、当該申請書1通及びその写し2通をその主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長を経て、厚生労働大臣に提出するものとすること(則第8条)。

イ 承認

(ア) 厚生労働大臣は、中小事業主団体から「承認中小事業主団体承認申請書」の提出を受けたときは、遅滞なく当該中小事業主団体が法令及び承認基準に照らして適当であるか否か審査し、適当であると判断されるものについて承認するものであること。

(イ) 承認期限は、承認日から承認日の属する年度から起算して5年度目の年度の末日(当該末日が平成37年3月31日以後である場合は、平成37年3月31日)までとすること。

(ウ) 厚生労働大臣は、承認をしたときは、遅滞なく、様式第3号「承認中小事業主団体承認通知書」により、所轄の都道府県労働局長を経て、当該承認に係る中小事業主団体(以下「承認中小事業主団体」という。)に対して通知するものとすること。

ウ 不承認

(ア) 厚生労働大臣は、中小事業主団体から「承認中小事業主団体承認申請書」の提出を受けたときは、遅滞なく当該中小事業主団体が法令及び承認基準に照らして適当であるか否か審査し、適当でないと判断されるものについて不承認とするものであること。

(イ) 厚生労働大臣は、不承認としたときは、遅滞なく、様式第4号「承認中小事業主団体不承認通知書」により、所轄の都道府県労働局長を経て、当該承認に係る中小事業主団体に対して通知するものとすること。

(8) 承認の取消(法第16条第3項)

ア 厚生労働大臣は、承認中小事業主団体が相談援助事業を行うものとして適当でなくなったと認めるときは、当該承認を取り消すものとしたものであること。「適当でなくなった」場合としては、相談援助事業の実施に著しい支障が生じて当該事業を実施する見込みがなくなった場合、当該承認中小事業主団体が法令及び承認基準を満たさなくなったと認められる場合があるものであること。

イ 厚生労働大臣は、承認中小事業主団体の承認の取消をしたときは、遅滞なく、様式第5号「承認中小事業主団体承認取消通知書」により、所轄の都道府県労働局長を経て、当該承認に係る中小事業主団体に対して通知するものとすること。

ウ 承認中小事業主団体の承認の取消を行った場合における当該取消の日後には、届出による委託募集を行うことはできないものであること。

(9) 委託募集の届出(法第16条第4項)

ア 承認中小事業主団体が、その構成員たる中小事業主の委託を受けて次世代育成支援対策措置要員の募集を行う際には、承認中小事業主団体は、その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長に対して、委託募集の届出を行うものであること(則第11条第2項)。ただし、承認中小事業主団体の主たる事務所の所在する都道府県の区域以外の地域(以下「自県外地域」という。)を募集地域とする委託募集であって、一中小事業主が自県外地域において募集しようとする労働者の数の合計が100人以上である委託募集又は一中小事業主が自県外地域において募集しようとする労働者の数の合計が100人未満であっても自県外地域のうち一の都道府県の区域において募集しようとする労働者の数の合計が30人以上である委託募集については、厚生労働大臣に対して、承認中小事業主が委託募集の届出を行うものであること(則第9条、第11条第2項)。

イ 委託募集の届出の有効期間は6か月以内とするものであること。

ウ 承認中小事業主団体は、次世代育成支援対策措置要員の募集を行わせようとする中小事業主についてのみ、委託募集の届出を行うものであること。

エ 承認中小事業主団体は、委託募集届出書(様式第6号)を、都道府県労働局長への届出にあっては正本1通、副本2通を作成し、委託募集を開始する日の7日前までに、厚生労働大臣への届出にあっては正本1通、副本3通を作成し、委託募集を開始する日の14日前までに、それぞれその主たる事務所の所在地を管轄する公共職業安定所長(以下「所在地公共職業安定所長」という。)に対して提出するものであること(則第9条、則第11条第2項)。

(10) 委託募集の届出の受理(法第16条第5項)

ア 所在地公共職業安定所長は委託募集の届出の受付を行い、届出の受付から2日以内に、副本1通を保管のうえ、都道府県労働局長への届出にあっては正本1通、副本1通を、厚生労働大臣への届出にあっては正本1通、副本2通をそれぞれ都道府県労働局長へ送付するものとする。うち厚生労働大臣への届出にあっては都道府県労働局長は副本1通を保管のうえ所在地公共職業安定所長から送付のあった日から2日以内に、正本1通及び副本1通を厚生労働大臣へ送付するものであること。

イ 届出書の送付を受けた都道府県労働局長(厚生労働大臣への届出にあっては厚生労働大臣)は、届出に係る募集の内容が、次世代育成支援対策措置要員の募集を行わせようとしていることを確認したうえで当該届出を受理し、その副本1通に確認の印を押し、届出の送付を受けてから2日以内に、所在地公共職業安定所長(厚生労働大臣への届出にあっては都道府県労働局長及び所在地公共職業安定所長)を経由して届出を行った承認中小事業主団体に交付するものであること。

ウ 所在地公共職業安定所長、就業地を管轄する公共職業安定所長(以下「就業地公共職業安定所長」という。)及びその募集地を管轄する公共職業安定所長(以下「募集地公共職業安定所長」という。)が異なる場合は、届出を受理した都道府県労働局長又は厚生労働大臣は、受理した届出書の写しを、就業地公共職業安定所長及び募集地公共職業安定所長に対して、それらの公共職業安定所を管轄する都道府県労働局を経由して送付するものであること。

(11) 労働者募集報告

委託募集に従事する承認中小事業主団体は、毎年度の委託募集の状況をとりまとめ、様式第7号の労働者募集報告を作成し、当該年度の翌年度の4月末日まで(当該年度の終了前に労働者の募集を終了させる場合にあっては、当該終了の日の属する月の翌月末日まで)に委託募集の届出の受付を行った公共職業安定所長に報告するものであること(則第12条)。

(12) 報告の徴収(法第16条第7項)

厚生労働大臣は、必要と認めるときは、所轄の都道府県労働局長を通じて、法第16条第7項の規定に基づき、承認中小事業主団体に対し、相談援助事業の実施状況について、随時報告を求めるものであること。

(13) 公共職業安定所の援助(法第17条)

ア 公共職業安定所は、委託募集が効果的かつ適切に行われるよう、承認中小事業主団体及び当該募集を委託する中小事業主に対して、求人条件の決定、募集方法等について助言、指導を行うなど配意するものであること。

イ 公共職業安定所は、求職者に対する職業紹介に際して、当該募集に係る求人が次世代育成支援対策措置要員の募集を行わせようとしている中小事業主からの求人である場合には、その旨説明するよう配意するものであること。

(14) その他の留意事項

承認中小事業主団体は、当該届出によっては、職業紹介に及ぶ行為をすることはできないものであること。

20 一般事業主行動計画に対する国の援助(法第18条)

国は、一般事業主行動計画を策定、実施する一般事業主に対し、必要な助言、指導、その他の援助の実施に努めることとしたこと。

本条においては、法第12条第1項に基づき一般事業主行動計画を策定しその旨を届け出なければならないとされている一般事業主のみならず、法第12条第4項に基づき一般事業主行動計画を策定しようとする又は策定しその旨を届け出た一般事業主に対しても、国が必要な助言、指導、その他の援助の実施に努めるものとされていること。

なお、これら援助の実施に当たっては、法第20条に基づく次世代育成支援対策推進センターと連絡を密に行うものであること。

21 次世代育成支援対策推進センター(法第20条)

(1) 一般事業主行動計画の策定及び実施に関し、一般事業主その他の関係者に対して、相談その他の援助を行う次世代育成支援対策推進センター(以下「センター」という。)について規定するものであること。

(2) 基本的考え方(法第20条第1項及び第2項)

ア 一般事業主行動計画について、その内容の充実や円滑な策定及び実施が図られるようにするために、国としても支援を行うことが必要となるが、一般事業主行動計画の内容には、勤務体制、人事管理の見直し等本来一般事業主が自主的に決定する事項が定められるものである。こうしたことから、育児休業制度、労働時間制度等について知識を有していること、一般事業主行動計画の策定及び実施に係る支援業務の遂行の確実性があること等の要件を満たす民間団体を国が指定し、一般事業主行動計画の策定及び実施に係る支援を行わせる仕組みを設けることとするものであること。

イ 「一般事業主の団体又はその連合団体(法人でない団体又は連合団体であって代表者の定めがないものを除く。)」とは、センターとして指定する対象は、事業主の団体又はその連合団体であり、法人格の有無は問わないが、法人格のない団体又は連合団体で、代表者の定めがないものは、責任の所在が不明確となるおそれがあることから、法律上、指定の対象としないことを明記したものであること。

ウ 「雇用環境の整備」とは、法第5条の事業主の責務を定めた規定等における「雇用環境の整備」と同義であり、多様な労働条件の整備、育児休業を取得しやすい職場の雰囲気の醸成など、子どもを育成し、又は育成しようとする労働者が、子どもを育成しつつ、意欲、能力、経験及び技能の程度等に応じて、その有する職業能力を十分に発揮することができるようにするために事業主が講ずる各般の措置を指すものであること。

(3) 指定の申請(法第20条第1項)

法第20条第1項の規定による指定を受けようとする者は、名称及び住所、代表者の氏名及び法第20条第2項に規定する業務(以下「センターの業務」という。)を行おうとする事務所の所在地を記載した申請書を、厚生労働大臣に提出しなければならないこと(則第14条第1項)。

当該申請書には、次の書類を添付しなければならないこと(則第14条第2項)。

ア 定款、寄附行為等団体又はその連合団体の目的、組織、運営等を明らかにする書類(団体が法人であるときは、登記簿の謄本を含む。)。なお、特別の法令により設立された法人についてはこれら書類の提出を要しないものとすること。

イ 最近の財産目録、貸借対照表及び損益計算書等資産の状況を明らかにする書類(申請の日の属する事業年度の直前の事業年度のものとする。)。ただし、申請の日の属する事業年度の直前の事業年度のものが確定していない場合は、その前の事業年度のもので足りるものとすること。

ウ センターの業務の実施に関する基本的な計画。なお、この計画は、当該業務を開始しようとする日の属する事業年度から平成37年3月31日までのものとすること。

エ 役員及びセンターの業務を担当しようとする者の氏名及び略歴を記載した書類。なお、略歴については、役員の代表者及びセンターの業務を担当する者についてのみ記載すれば足りるものとし、その他の役員については、氏名のみの記載で足りるものとすること。

(4) 指定の基準(法第20条第1項)

法第20条第1項の規定による指定は、次に掲げる基準に適合していると認められる者について行うこと(則第15条)。

ア 則第14条第2項第3号に掲げる計画が、センターの業務の適正かつ確実な実施のために適切なものであること。

イ 則第14条第2項第3号に掲げる計画の適正かつ確実な実施に必要な経理的及び技術的基礎を有するものであること。

ウ センターの業務以外の業務を行っている場合には、その業務を行うことによってセンターの業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。

(5) 変更の届出(法第20条第1項)

センターは、則第14条第1項各号に掲げる事項を変更しようとするときは、あらかじめ、変更しようとする事項及び変更しようとする日を記載した申請書を、厚生労働大臣に提出しなければならないものであること(則第16条)。

(6) 監督(法第20条第3項及び第4項)

ア センターは、毎事業年度開始前に(指定を受けた日の属する事業年度にあっては、その指定を受けた後遅滞なく)センターの業務に関し事業計画書を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならないこと(則第17条第1項)。

イ センターは、毎事業年度終了後3月以内に、センターの業務に関し事業報告書を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならないこと(則第17条第2項)。

ウ 厚生労働大臣は、センターの業務の適正な運営を図るため必要があると認めるときは、センターに対し、その財産の状況又は事業の運営に関し報告又は資料の提出を求めることができること(則第17条第3項)。

エ センターの業務は、適正かつ確実に実施される必要があることから、センターの財産の状況又はその業務の運営に関し改善が必要な場合には、その改善に必要な措置をとるべきことを厚生労働大臣が命ずることができること。

オ センターが法第20条第3項の規定による改善命令に違反した場合に、厚生労働大臣が同条第1項の指定を取り消すことができること。

(7) センターの役員等の守秘義務(法第20条第5項)

センターが、一般事業主行動計画を策定し、又は実施しようとする事業主からの雇用環境の整備に関する相談等に応じる際には、勤務体制に係る情報や人事戦略に係る情報を始め、企業経営上の秘密や労働者の個人情報を知り得る可能性が高いため、企業又は労働者の法益を保護する観点から、センターの役員若しくは職員又はこれらの職にあった者に対して守秘義務を課するものであること。

なお、本条の違反に対しては、23のとおり、罰則(30万円以下の罰金)が設けられていること。

22 次世代育成支援対策地域協議会(法第21条)

次世代育成支援対策については、地方公共団体、事業主、労働者、住民、福祉関係者、教育関係者等の多様な関係者が協力しつつ、自発的な取組が積極的に進められることが重要であるため、法の推進を図るための活動を行う者が、地域における次世代育成支援対策の推進に関し必要となるべき措置について協議を行う場として、次世代育成支援対策地域協議会を設置することができる旨を法上明記したものであること。

次世代育成支援対策地域協議会については、法上、その実施主体、構成員、実施形態、設置される区域等に関して、制限が設けられているわけではなく、地域の実情に応じ活発な活動が行われ、国民的な広がりをもった次世代育成支援対策の推進が図られることが期待されるものであること。

なお、行動計画策定指針においては、次世代育成支援対策地域協議会の類型の例として、「市町村及び都道府県の行動計画の策定やこれに基づく措置の実施に関し、意見交換等を行うための、地方公共団体、事業主、労働者、子育てに関する活動を行う地域活動団体、保健・福祉関係者、教育関係者、都道府県労働局等の幅広い関係者で構成されるもの」が挙げられており、都道府県労働局に対して、協議会の構成員としての参加が求められた場合は、適宜の対応が求められること。

23 罰則(法第26条第4号)

認定一般事業主及び特例認定一般事業主についての適正な表示の確保、労働者の委託募集の特例の公正確保及びセンターの業務の適正な運営の確保を目的として、所要の罰則を規定したものであること。

24 施行期日(法附則第1条、改正法附則第1条)

法は、公布の日から施行されることとしたものであること。

改正法による法の一部改正の施行期日については、平成27年4月1日から施行とするものであること。なお、法の有効期限の延長については、公布の日から施行するものであること。

25 法律の失効(法附則第2条)

法は、平成37年3月31日限りでその効力を失うことを規定したものであること。

ただし、センターの役員又は職員であった者が、業務に関して知り得た秘密に関する法第20条第5項の守秘義務(同項に係る罰則を含む。)は、法の失効後もなお効力を有することとしたこと。

また、法の失効前にした行為に対する罰則(法第24条から第27条まで)は、法の失効後もなお効力を有することとしたこと。

26 検討(改正法附則第2条)

政府は、改正法の施行後5年を目途として、法の施行状況を勘案し、必要がある場合には法の規定について検討を加え、必要な措置を講ずることとしたものであること。

27 業務分担

法、則及び行動計画策定指針等の周知及び啓発については、本省においては雇用均等・児童家庭局が関係各局との連携を図りつつ行うものであること。

また、都道府県労働局においては、雇用環境・均等部(室)が中心となり、局内各部とも連携を密にして、周知及び啓発を行うとともに、地方公共団体、次世代育成支援対策推進センター等の関係機関とも十分連携を図ること。