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○特定危険部位の管理及び牛海綿状脳症検査に係る分別管理等のガイドラインの改正について〔牛海綿状脳症対策特別措置法〕
(平成29年2月13日)
(/生食基発0213第1号/生食監発0213第2号/)
(各都道府県・各保健所設置市衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部基準審査課長、監視安全課長通知)
(公印省略)
特定危険部位の管理及び牛海綿状脳症検査(以下、「BSE検査」という。)に係る分別管理等については、平成25年2月1日付け食安基発0201第3号及び食安監発0201第1号別添「特定危険部位の管理及び牛海綿状脳症検査に係る分別管理等のガイドライン」により実施しているところです。
今般、厚生労働省関係牛海綿状脳症対策特別措置法施行規則の一部を改正する省令(平成29年厚生労働省令第7号)により、本年4月1日以降、月齢が48月を超える健康牛のBSE検査が廃止されるため、当該ガイドラインを別紙のとおり改正するので、その運用に遺漏のないようお願いいたします。
なお、本通知の内容については本年4月1日から適用するものとし、3月31日までの取扱いは従前のとおりとします。
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特定危険部位の管理及び牛海綿状脳症検査に係る分別管理等のガイドライン
1 基本事項
(1) 月齢の定義
月齢は、出生の年月日を起算日として、翌月より起算日に応当する日をもって1を加えることとする。ただし、応当する日がないときは、その月の末日をもって加算する。
注) 月齢が30月以下の牛とは、出生の年月日を起算日として30月目の起算日に応当する日までの牛をいい、その翌日以降の牛は月齢が30月を超える牛となる。例えば、出生の年月日が平成23年1月15日の牛の場合、平成25年7月15日までは月齢が30月以下の牛で、平成25年7月16日以降は月齢が30月を超える牛となる。
上記の方法で月齢が確認できない牛については、月齢が30月を超える牛として取り扱うこと。
(2) 牛の出生の年月日
(1)の出生の年月日については、牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法(平成15年法律第72号。以下「牛トレサ法」という。)に基づく牛個体識別台帳に記載されている出生の年月日とする。
なお、と畜場法施行規則(昭和28年厚生省令第44号)第15条第1項に規定すると畜検査申請書を提出する際は、必要に応じて、牛トレサ法に基づく牛個体識別台帳の写しを添付すること。
(3) 特定危険部位(以下「SRM」という。)
ア と畜場法施行規則別表第1及び厚生労働省関係牛海綿状脳症対策特別措置法施行規則(平成14年厚生労働省令第89号)第2条に定める特定部位
イ 食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)第1のBの8に定める脊柱(図1、図2)
2 と畜場における分別管理
1(1)に基づき月齢の確認を行い、①月齢が30月以下の牛、②月齢が30月超の牛に分別して、とさつ、解体を行うこと。月齢が確認できないとたい、頭部、枝肉、内臓等については、30月超として取り扱うこと。
注) とさつ、解体及び保管の各段階で、30月の区分により分別しない牛の頭部(舌、頬肉及び皮を除く。)及び脊髄並びにこれらを含むものは、SRMとして取り扱うこと。
(1) 月齢による分別管理
ア あらかじめ曜日やと室等を定めて、①30月以下、②30月超に分別し、牛のとさつ、解体を行うこと。
イ 同一日に①30月以下の牛、②30月超の牛のとさつ、解体を行う場合、先にとさつ、解体する牛群の最後及び後にとさつ、解体する牛群の最初となる個体をタグ等により識別可能とすること。この場合、とさつ、解体の順番を①、②の順とすることが望ましいが、これにより難い場合は、交差汚染を防止できるような管理を行うこと。
ウ ①30月以下の牛と②30月超の牛をとさつ、解体の順番で分別しない場合は、タグ等により①と②を識別可能とすること。この場合、交差汚染を防止できるような管理を行うこと。
(2) 牛海綿状脳症検査を行う場合の分別管理
ア 牛海綿状脳症検査対象の個体識別管理
牛海綿状脳症(以下「BSE」という。)検査中の牛の頭部、内臓等については、それぞれの部位をタグ等により容易に識別可能な方法で、専用の容器に保管すること。また、BSE検査中の牛の枝肉については、専用の区画を設けて保管することが望ましいが、これにより難い場合には、タグ等により識別することとし、枝肉同士が接触しないよう保管すること。
イ BSE検査が陽性の場合の取扱い
アにより保管している当該牛の頭部、枝肉、内臓等については焼却を行うこと。また、SRMに接触した施設設備、機械器具については、異常プリオンたん白質を不活化する方法で消毒を行うこと。なお、他の施設設備及び機械器具については入念に洗浄すること。
(3) SRMの除去に係る分別管理
ア (1)ウの方法でとさつ、解体を行う場合は、月齢が30月以下の牛について、生体段階では頭部及び背中にスプレー等で、とさつ、解体段階では剥皮後のとたい、頭部、枝肉、内臓等にタグ等で、識別可能とすること。
イ 月齢が30月以下の牛の頭部(舌、頬肉及び皮を除く。)を使用する場合は、次によること。
(ア) 月齢が30月以下の牛の頭部の処理は、作業場所により分別して行うことが望ましいこと。これにより難い場合は、時間などにより分別した上で、交差汚染を防止できるような管理を行うこと。
(イ) 月齢が30月を超える牛の頭部から、舌、頬肉及び皮以外の部位を除去していないことについて、処理後に、と畜検査員の確認を受けること。
(4) SRMの処理については、以下によること。
ア 特定部位の取扱い
周囲を汚染しないように除去し、専用の容器に保管するとともに、と畜検査員の確認を受けて、確実に焼却すること。
イ 脊髄の処理
(ア) 背割りの際、椎孔にある脊髄が損傷された結果、枝肉を汚染するおそれがあること及び椎骨に付着した脊髄が食肉処理工程において、可食部分を汚染するおそれがあることから、背割りの段階で脊髄片の飛散を防ぐとともに、背割り後の枝肉から脊髄を確実に除去すること。
(イ) 背割りに当たっては、脊髄片が飛散しないよう、鋸の歯を洗浄しながら切断し、洗浄水からスクリーンにより脊髄片を回収し、SRMと同様に保管及び焼却すること。また、脊髄鋸は一頭ごとに十分に洗浄消毒を行うこと。
(ウ) 背割り後、脊柱中の脊髄を金属製器具を用いて入念に除去し、高圧水により十分に洗浄すること。また、枝肉の検査の際に、枝肉に脊髄が付着していないことについて、と畜検査員の確認を受けること。
(エ) 脊髄は軟組織で柔軟性があるため、脊髄の損傷を少なくするため、背割りを正中線から若干ずらした位置で行うことにより、片側の椎骨に脊髄を付着させることが望ましいこと。
(オ) 背割りを行う際は、ゴーグルなどの眼の保護及びマスクを使用すること。
(カ) 洗浄前の枝肉、機械等の汚染の低減のため、背割り前に、脊髄除去を行うことが望ましいこと。
ウ 頭部の処理
(ア) 口腔内の組織のうち、舌のみを除去した後の頭部には、扁桃が含まれているため、月齢が30月以下の牛の頭部であってもSRMとして取り扱うこと。
(イ) 月齢が30月を超える牛の皮を食品として使用する場合については、スタンニング孔をふさぐ等により、脳及び脊髄による周囲の皮の汚染を防ぐよう処理すること。
エ 特定部位の焼却条件
800℃以上で、完全に焼却すること。
(5) 関係者の協力
分別管理は、と畜場法(昭和28年法律第114号)に基づき、と畜場の設置者、管理者及びと畜業者が行うこととし、荷受業者、内臓業者、仲卸し業者等関係者はこれに協力すること。
(6) 標準作業書の作成
と畜場の設置者又は管理者は、と畜場法施行規則第3条第1項第24号イに基づき、分別管理を適正かつ計画的に実施するため必要な事項を記載した文書を作成すること。作成に当たっては、と畜検査員の助言を受けること。作成した最新の標準作業書を食肉衛生検査所等に提出すること。
3 食肉処理業、食肉販売業、脊柱の加工業等における分別管理
月齢が30月以下の牛に由来する脊柱を使用する場合(脊柱を含む部分肉を食用に供する場合など、脊柱を食品等の原材料として使用する場合をいう。以下同じ。)には、工程、タグ等により脊柱を月齢によって分別して管理すること。月齢が30月以下の牛に由来する脊柱であることが確認できない場合又は分別管理を行わない場合は、月齢が30月を超える牛に由来する脊柱として取り扱うこと。
(1) 月齢が30月以下の牛に由来する脊柱の処理は、作業場所により分別して行うことが望ましいこと。これにより難い場合は、時間などにより分別した上で、必要に応じ、交差汚染を防止できるような管理を行うこと。
(2) 脊柱を除去する際に、個体識別番号により1(1)に基づきと畜日の月齢を確認すること。脊柱等(脊柱を細切、粉砕、乾燥したもの等、脊柱を簡易に加工したものを含む。以下同じ。)を出荷する際には、月齢が30月以下の牛に由来することが確認できる荷送状等(個体識別番号又は輸入牛であることが確認できるものに限る。以下「荷送状等」という。)を脊柱等に添付して出荷することとし、業者間で取引する場合についても、同様の荷送状等の添付を行うこと。
脊柱を含む部分肉を出荷する際には、牛トレサ法第15条に基づき、個体識別番号の表示等を行うこと。
(3) 月齢が30月以下の牛に由来する脊柱等を仕入れる場合は、荷送状等により月齢を確認すること。
(4) 出荷及び仕入れに関する記録(出荷及び仕入れの年月日、出荷先及び仕入元の名称及び所在地、個体識別番号等)については、出荷及び仕入れの日から3年間保存すること。
(5) 荷送状等が添付されていないなど、月齢が30月以下の牛に由来することが確認できない脊柱等については、一般消費者に販売しないこと。
(6) 輸入牛の脊柱を使用する場合は、衛生証明書及び伝票に基づき、輸入牛であることを確認すること。輸入牛であることが確認できた場合には、月齢が30月以下の国産牛と同様に取り扱うこと。
(7) SRMの処理については、以下によること。
ア 脊柱を電動ノコギリで除去(脱骨)する場合には、背根神経節を破壊しないように注意すること(図3)。
イ 仙骨部分の背根神経節は仙骨腹側面の脂肪層に位置するため、仙骨腹側面に付着する脂肪層をナイフ等を用いて削り取る等の処置は行わないこと(図4、図5)。
ウ 牛の脊柱とこれが付着した肉を、骨とともに機械的にミンチ又は細切する方法による食肉処理は行わないこと。
エ 脊柱の処分については、廃棄物処理法(昭和45年法律第137号)に基づき、「廃棄物となった牛のせき柱の取扱いについて」(平成16年3月31日付環廃対発04331007・環廃産発040331007環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課長、同産業廃棄物課長連名通知)により適切に行うこと。
4 都道府県等による検証
(1) と畜場
と畜場の設置者又は管理者が標準作業書を作成する際には、適切な助言を行うこと。作成された最新の標準作業書の提出を受けるとともに、その標準作業書に沿った分別管理が実施されていることを確認すること。
(2) 食肉処理業、食肉販売業、脊柱の加工業者等
食肉処理業等の監視指導を行う際には、分別管理が適切に行われていること及び脊柱が適切に除去されていることを確認すること。
(参考)
図1.脊柱(背面)
図2.牛脊柱背側断面模式図
図3.胸椎と肋骨連結部位の模式図
図4.仙骨(腹側面)
図5.仙骨部の背根神経節