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○ファビピラビル製剤の承認条件変更に当たっての留意事項について

(平成29年3月3日)

(薬生薬審発0303第5号)

(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)

(公印省略)

ファビピラビル製剤(販売名:アビガン錠200mg)(以下「本剤」という。)は、既存の抗インフルエンザウイルス薬とは異なる作用機序を有する薬剤であることから、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分な新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症が発生し、本剤を当該インフルエンザウイルスへの対策に使用すると国が判断した場合にのみ、患者への投与が検討される医薬品であり、「新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症(ただし、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分なものに限る。)」を効能又は効果として平成26年3月24日に承認しました。この承認に際し、本剤は、有効性を示す臨床試験の成績が限られており、かつ、ヒトにおいて催奇形性を有する可能性があることから、追加の臨床試験を実施することや、厚生労働大臣の要請がない限りは製造を行わないこと等の条件として付した上で、平成26年3月24日付け薬食審査発0324第1号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知「ファビピラビル製剤の使用に当たっての留意事項について」において、留意事項の周知を行ってきました。

今般、承認取得者より提出された追加の臨床試験成績等に基づき、本日、承認条件を変更いたしましたが、引き続き下記の点について留意されるよう、貴管下の医療機関及び薬局に対する周知をお願いします。

なお、平成26年3月24日付け薬食審査発0324第1号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知「ファビピラビル製剤の使用に当たっての留意事項について」は廃止します。

1.本剤の承認条件について

本日、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第79条第1項の規定により、本剤の承認条件を変更し、以下のとおりとしたこと。

【承認条件】

(1) 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

(2) 本剤の使用実態下における有効性及び安全性について十分な検討が必要であることから、適切な製造販売後調査等を実施すること。

(3) 厚生労働大臣の要請がない限りは、製造販売を行わないこと。

(4) 製造販売する際には、通常のインフルエンザウイルス感染症に使用されることのないよう厳格な流通管理及び十分な安全対策を実施すること。

(5) 本剤の投与が適切と判断される症例のみを対象に、あらかじめ患者又はその家族に有効性及び危険性が文書をもって説明され、文書による同意を得てから初めて投与されるよう、厳格かつ適正な措置を講じること。

2.本剤の効能又は効果について

(1) 本剤の効能又は効果における「新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症」とは、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第6条第7項第1号の「新型インフルエンザ」及び同項第2号の「再興型インフルエンザ」(以下、「新型インフルエンザ等」という。)を指すこと。

(2) 本剤の効能又は効果における「他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分なもの」とは、新型インフルエンザ等のうち、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分なものと国が判断したものを指すこと。

3.本剤の製造販売及び流通について

(1) 本剤の製造販売については、承認条件の(3)のとおり、厚生労働大臣の要請がない限りは行われないこと。

(2) 本剤が製造販売される場合には、承認条件の(4)のとおり、通常のインフルエンザウイルス感染症に使用されることのないよう厳格な流通管理が実施されること。流通管理の詳細については、今後、別途通知する予定であること。

4.本剤の適正使用について

(1) 本剤は、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分な新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症が発生し、本剤を当該インフルエンザウイルスへの対策に使用すると国が判断した場合にのみ、患者への投与が検討される医薬品であること。

(2) 国が本剤を前記の対策に使用すると判断した場合には、国が示す当該インフルエンザウイルスへの対策の情報及び最新の本剤の添付文書等、最新の情報を随時参照し、本剤の投与が適切と判断される症例のみを対象に使用すること。

(3) 本剤は動物実験において催奇形性が確認されていることから、投与の検討に当たっては、本剤の警告及び禁忌のうち、以下の内容について、特段の留意をお願いすること。

【警告】

1.動物実験において、本剤は初期胚の致死及び催奇形性が確認されていることから、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。

2.妊娠する可能性のある婦人に投与する場合は、投与開始前に妊娠検査を行い、陰性であることを確認した上で、投与を開始すること。また、その危険性について十分に説明した上で、投与期間中及び投与終了後7日間はパートナーと共に極めて有効な避妊法の実施を徹底するよう指導すること。なお、本剤の投与期間中に妊娠が疑われる場合には、直ちに投与を中止し、医師等に連絡するよう患者を指導すること。

3.本剤は精液中へ移行することから、男性患者に投与する際は、その危険性について十分に説明した上で、投与期間中及び投与終了後7日間まで、性交渉を行う場合は極めて有効な避妊法の実施を徹底(男性は必ずコンドームを着用)するよう指導すること。また、この期間中は妊婦との性交渉を行わせないこと。

【禁忌】

1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人

〔動物実験において初期胚の致死及び催奇形性が認められている〕

(4) (1)から(3)により、実際に本剤が使用される場合には、使用に先立ち、あらかじめ患者又はその家族に有効性及び危険性について文書をもって説明し、文書による同意を得てから初めて投与すること。