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○労災認定された傷病等に対して労災保険以外から給付等を受けていた場合における保険者等との調整について

(平成29年2月1日)

(基補発0201第1号)

(都道府県労働局労働基準部長あて厚生労働省労働基準局補償課長通知)

労災認定された傷病等に関して過去に健康保険から給付を受けていた労働者への労災保険給付の取扱いについては、昭和29年8月23日付け基災発第116号「健康保険の給付を受けていた労働者に係る労災保険給付の取扱について」(以下「昭和29年通知」という。)により指示しているところである。

今般、労災認定された傷病等に対し、過去に給付を行った健康保険等の保険者(後期高齢者医療広域連合を含む。以下「保険者」という。)及び石綿健康被害救済制度を運用する独立行政法人環境再生保全機構(以下「機構」という。)への給付の返還に係る被災労働者等の負担軽減を図るため、保険者及び機構への返還を要する金額相当分の労災保険給付の受領について、当該被災労働者等から保険者又は機構に委任する旨の申し出があり、健康保険等の返還通知書等を添えて労災請求があった場合に限り、下記により、保険者又は機構から示された金融機関の口座に、療養の費用の振込みを行う方法により調整を行って差し支えないこととしたので、関係職員に周知のうえ、適切に取り扱われたい。

また、本件については、厚生労働省保険局及び機構と協議済みであり、保険局から別添のとおり、各保険者あて通知がなされているので了知願いたい。

なお、本件に係るシステム処理等の留意点は別途通知することとする。

1 被災労働者等への説明

被災労働者の傷病等について支給決定を行った労働基準監督署(以下「署」という。)は、実地調査又は被災労働者等の申し出等により、被災労働者が当該傷病に係る療養について健康保険等から給付を受けていたことを把握した場合には、当該給付に相当する額を、保険者の同意が得られれば労災保険から直接保険者に振り込むことにより、保険者への返還手続が可能であることを説明すること。

なお、説明に当たっては、昭和29年通知及び本通知の取扱い等を記載したリーフレットを別途配付するので活用されたい。

2 健康保険等との調整について

(1) 被災労働者等が、療養(補償)給付たる療養の費用請求書(様式第7号または様式第16号の5。以下「請求書」という。)の支払先として、保険者の口座を指定することを申し出た場合には、以下のア~ウの手順により、被災労働者等が保険者に返還する金額等について、保険者との調整を行うこと。

ア 署は保険者に連絡し、保険者との調整において口座振込みが可能であることが確認できた場合には、保険者が被災労働者等に返還請求を予定している金額が記載された返還通知書案の写等及び当該金額の根拠となるレセプトを、署あてに送付するよう別紙1を参考にして依頼すること。その際、保険者から被災労働者の療養に係るレセプトを入手することについて、別紙2を参考に被災労働者等から同意を得ておくこと。

イ 署は、保険者から送付されたレセプトのうち私傷病に係る療養の費用の有無等を確認し、当該費用の支給の可否を判断の上、労災保険から支給することが見込まれる金額とともに、支給対象となる期間(療養開始年月日)等を保険者に連絡すること。

ウ 署と保険者との間で金額を確定した後、署は保険者に対して被災労働者等あて返還額を通知するよう依頼すること。

また、被災労働者等に対しては、当該返還通知書等を受け取ったときは、療養の費用を請求するよう連絡すること。その際、診療費の自己負担分がある場合は、これも併せて請求するよう教示すること。

(2) 療養の費用の請求に当たっては、請求書に、次の書類を添付させること。

ア 保険者から送付された返還通知書等(原本)

イ 委任状(様式は別紙3を参考にすること。)

(3) 被災労働者等が医療機関に支払った自己負担分がある場合は、上記(2)の療養の費用請求書とは別に、従来どおり、医療機関が発行した領収を証する書面を添付して、別途請求させること。

3 石綿健康被害救済制度との調整について

被災労働者等が石綿関連疾患に係る療養に要した費用について、石綿健康被害救済制度による給付を受けていた場合は、健康保険等の保険者負担分及び石綿健康被害救済制度による負担分のそれぞれについて、上記1に準じて調整を行うこと。

なお、機構が被災労働者等に返還請求を予定している金額の根拠となる資料は、石綿健康被害救済制度における医療費請求書及び受診等証明書、又は国民健康保険団体連合会等から発出された請求関係書類となる。石綿健康被害救済制度は健康保険等と併用の公費であるため、当該資料と、保険者との調整において保険者から送付されたレセプトとをあわせて確認すること。

また、機構には、労災保険から支給することが見込まれる金額とともに、支給対象となる期間(療養開始年月日)等を連絡すること。

4 その他

療養の費用の支給を受ける権利は、原則、療養の費用を支出した都度(又は当該費用の支出が具体的に確定した都度)発生し、それぞれその翌日から当該費用ごとの療養の費用請求権の時効が進行することとされている。

この点、健康保険等からの切替の場合については、保険者又は機構から返還通知(納入告知)がなされるまで、被災労働者等は保険者又は機構への療養の費用の返還義務(具体的な返還額を含む。)を知り得ないものであることから、従前どおり、保険者又は機構から費用の返還通知(納入告知)があったときを当該費用の支出が具体的に確定した日として取り扱うこと。

別紙1

別紙2

別紙3

別添

○労災認定された傷病等に対して過去に医療保険から給付を受けていた場合における給付の調整について

(平成29年2月1日)

(/保保発0201第1号/保国発0201第1号/保高発0201第1号/)

(都道府県民生主管部(局)国民健康保険主管課(部)長・後期高齢者医療主管課(部)長・都道府県後期高齢者医療広域連合事務局長・全国健康保険協会理事長・健康保険組合理事長あて厚生労働省保険局保険課長・厚生労働省保険局国民健康保険課長・厚生労働省保険局高齢者医療課長通知)

(公印省略)

労災認定された傷病等に対して、過去に医療保険から給付を受けていた被保険者等(被保険者及び被扶養者をいう。以下同じ。)については、これまで、医療保険からの給付額を保険者(後期高齢者医療広域連合を含む。以下同じ。)に返還した上で、改めて労働基準監督署に労災保険給付の申請を行うことが原則とされている。

しかしながら、医療保険給付の返還にかかる被保険者等の負担軽減を図るため、当該被保険者等が保険者への返還を要する金額相当分の労災保険給付の受領について保険者に委任する旨を労働基準監督署に申し出た場合に限り、下記の方法により調整を行って差し支えないこととしたので適切に取扱われたい。

なお、本件については厚生労働省労働基準局補償課長より、別添のとおり平成29年2月1日付け基補発0201第1号「労災認定された傷病等に対して労災保険以外から給付等を受けていた場合における保険者等との調整について」(以下「補償課長通知」という。)が都道府県労働局労働基準部長あて通知されているので御了知願いたい。

労働基準監督署が被保険者等の傷病等について業務上の決定を行った場合、労働基準監督署は被保険者に支給される労災保険給付の一部を保険者に支払うことにより、過去に保険者から受けた医療保険給付(療養の給付等、現物給付に限る。以下同じ。)についての返還手続きが可能であることを被保険者に教示することとしている。

被保険者等が上記の方法による手続きを希望する場合は、労働基準監督署は電話等の方法により保険者にこの旨を連絡するので、保険者はこれに同意した場合において、以下のア~ウの手順により、被保険者等が保険者に返還すべき医療保険給付の金額について労働基準監督署から支払いを受けることとする。

ア 労働基準監督署から、補償課長通知の別紙1「被災労働者に係る診療報酬明細書等の提出依頼について」が送付されるので、保険者は、被保険者等に返還請求を予定している金額が記載された返還通知書案の写等及び当該金額の根拠となる被保険者等の療養に係るレセプト(診療報酬明細書、調剤報酬明細書及び訪問看護療養費明細書をいう。以下同じ。)の写し(原本証明したもの)を、労働基準監督署あてに送付すること。

なお、労働基準監督署は保険者からレセプトを入手することについて、被保険者等から事前に同意を得ることとなっているが、レセプトには特定の医師等を容易に識別できる情報(医師等の氏名等)が記載されている場合があるため、保険者は医師等に係る個人情報をマスキングした上で労働基準監督署あてに送付すること。

イ 保険者は、労災保険から支給することが見込まれる金額及び支給対象となる期間(療養開始年月日)等について労働基準監督署から連絡を受けた上で、被保険者等に対して返還請求する医療保険給付の金額を確定し、被保険者等あてに返還額及び返還方法等を通知すること。

ウ イにおける被保険者への返還額の通知について、

(1) 保険者の指定口座への振込みによる返還手続きを指示した場合

被保険者が労働基準監督署に労災保険給付を請求する際、合わせて当該指定口座を提出することにより、労働基準監督署から返還額と同額の労災保険給付が振り込まれる。

(2) 納付書等による返還手続きを指示した場合

上記の方法による返還手続きを希望する被保険者から保険者に申し出があるため、保険者は労働基準監督署が労災保険の給付金を振り込めるよう、指定口座を当該被保険者に通知すること。これにより、(1)と同様の方法で返還額が振り込まれることとなる。