添付一覧
○EPA介護福祉士が訪問系サービスを提供するに当たって受入れ機関等が留意すべき事項について
(平成29年1月12日)
(/職発0112第4号/社援発0112第4号/老発0112第4号/)
(都道府県知事、政令市・中核市長、地方厚生(支)局長、都道府県労働局長あて厚生労働省職業安定局長、厚生労働省社会・援護局長、厚生労働省老健局長通知)
(公印省略)
今般、「経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定に基づく看護及び介護分野におけるインドネシア人看護師等の受入れの実施に関する指針の一部を改正する件」(平成29年厚生労働省告示第7号)等が本日付けで告示され、平成29年4月1日から、経済連携協定(EPA)に基づき介護福祉士候補者として入国し、介護福祉士の国家資格を取得した者(以下「EPA介護福祉士」という。)の就労範囲に利用者の居宅においてサービスを提供する業務(以下「訪問系サービス」という。)を追加することとされたところである。ついては、EPA介護福祉士が訪問系サービスを提供するに当たって受入れ機関等が留意すべき事項を下記のとおりまとめたので、ご了知願いたい。また、各自治体等におかれては、貴管下市町村のほか、事業者、関係団体等に対し、その周知徹底方していただくようよろしくお取り計らい願いたい。
記
第一 受入れ機関等において追加的に必要な対応について
受入れ機関等(EPA介護福祉士と雇用契約を締結する社会福祉法人等の公私の機関(受入れ機関)及びEPA介護福祉士が受入れ機関との労働契約に基づき就労する施設(受入れ施設)をいう。以下同じ。)が、EPA介護福祉士に訪問系サービスを提供させる場合には、現行の介護保険制度において、研修や訪問介護員の能力や希望を踏まえた業務管理の実施等がサービス提供責任者等に義務付けられていること、利用者及びその家族からの苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じなければならないこと等を踏まえることが必要であることに加え、次の内容についても留意すること。
なお、1から6までの事項の実施状況については、第二にあるとおり、公益社団法人国際厚生事業団(以下「JICWELS」という。)が、巡回訪問を通じ確認する予定である。
1 訪問系サービスを提供するEPA介護福祉士に対する研修について
受入れ機関等は、EPA介護福祉士に対して、次の(1)から(5)までに掲げる事項を含む研修を行うこと。
(1) 訪問介護の基本事項(心得・倫理、プライバシーの保護等)
(2) 生活支援技術(高齢期の食生活、住生活、調理、掃除、ゴミ出し等)
(3) 利用者、家族や近隣とのコミュニケーション
(4) 日本の生活様式(文化・風習・習慣、年中行事等)
(5) 訪問介護計画書等に記載されたとおりのサービス提供を行うこと。
2 緊急事態発生時の対応について
受入れ機関等は、次の(1)から(5)までに掲げる事項を含む緊急時の対応マニュアルの整備を行うとともに、EPA介護福祉士への研修を行うこと。
(1) 緊急時の対応(緊急時の連絡先・その手段(携帯電話の貸与等)・連絡体制の確認、応急処置・救急車の要請などの急変時の対応)
(2) 事故発生時の対応(利用者の誤嚥・転倒などの事故、利用者宅における物損事故、移動中の事故等への対応)
(3) 感染症への対応(感染予防、嘔吐物の処理等)
(4) リスクマネジメント(ヒヤリ・ハット事例等)
(5) 災害発生時の対応(ハイリスク利用者の把握、避難時の対応等)
3 訪問サービス提供に関する適切な記録等の作成について
受入れ機関等は、次の(1)から(4)までに掲げる事項など、記録や報告事項の記載方法について工夫し、正確かつ、よりスムーズに、EPA介護福祉士が適切な記録等を作成できるようにすること。
(1) チェックシート方式による簡略化
(2) 記載事項を5W1Hなどに分けて記載できるような様式の設定
(3) 文字の色分けによる優先順位、緊急度の区別
(4) 申し送り事項の明確化
4 サービス提供責任者等による同行について
受入れ施設は、EPA介護福祉士が訪問系サービスの提供を一人で適切に行えるよう、数回程度又は一定期間、サービス提供責任者等が同行する等の必要なOJTを行うこと。なお、回数や期間については、利用者やEPA介護福祉士等の個々の状況により、受入れ機関等により適切に判断されるべきものであること。
5 日本語能力について
受入れ施設のサービス提供責任者等は、EPA介護福祉士が一定以上の適切な日本語の運用能力を有することを把握、判断したうえで、訪問介護員として配置するなど、サービス提供が適切に行われるようにすること。
6 サービス提供責任者について
EPA介護福祉士による訪問系サービスの提供に当たっては、サービス提供責任者が、研修、技術指導、業務の実施状況の把握等、重要な役割を果たすことから、受入れ機関等において、その役割が十分果たせるように留意すること。
7 サービス提供の状況について
EPA介護福祉士による訪問系サービスの提供の状況について、各自治体から求めがあった場合には、サービスの内容等の記録を提出すること。
第二 EPAの枠組みを活用した対応について
現在、EPAに基づく介護福祉士候補者等の受入れにおいては、協定等に基づき、JICWELSが日本国内での唯一の受入れ調整機関として、相手国の送り出し調整機関と一元的に受入れ調整業務等を実施している。今般、EPA介護福祉士の就労範囲に訪問系サービスを追加することに伴い、EPA介護福祉士の人権擁護の観点から、JICWELSにおいて、受入れ機関等やEPA介護福祉士に対して、次のとおりの対応を追加的に行うこととするので、受入れ機関等は、JICWELSによる巡回訪問の際に求められた協力を行うこと。
なお、JICWELSの巡回訪問の際に求められた協力を拒んだ場合、EPAによる介護福祉士等の受入れ施設要件に反することとなり、関連する受入れができなくなるものである。
(1) 巡回訪問において、現在、受入れ機関によるEPA介護福祉士等の雇用管理状況、研修実施状況を把握しているが、更に、今回の追加的に必要な対応事項が適切に実施されているかどうか、事業管理者やサービス提供責任者から、確認する。
(2) 受入れ機関やEPA介護福祉士等からの相談に応じるため、現在、母国語でも対応できる相談窓口を開設しているところ、更に、相談を受付ける機会を設けるために、回数等を増やすこと。また、訪問系サービスに従事するEPA介護福祉士等からの相談窓口での相談については、必要に応じて、厚生労働省と連携して対応するとともに、相談内容やその対応結果を分析し、相談窓口の質の向上を図る。
(3) EPA介護福祉士候補者の受入れ実績がない事業者に対してEPA受入れ制度の理解の徹底と必要な援助を図る。
(4) EPA介護福祉士に、外国人のための人権相談所、総合労働相談コーナー、セクシュアルハラスメント等の相談に関する相談窓口について周知する。