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○大麻の管理の徹底について
(平成28年11月8日)
(薬生監麻発1108第1号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長通知)
(公印省略)
今般、都道府県知事により大麻栽培者免許を与えられた法人の代表者及び従業員が、大麻を不正に所持し、地方厚生局麻薬取締部により大麻取締法違反で逮捕される事案が発生しました。
改めて申し上げるまでもなく、大麻は大麻取締法の規定により、所持、栽培、譲受、譲渡等が禁じられ、違反した場合は刑罰が科せられます。また、大麻は世界で最も濫用されている薬物であるとともに、1961年の麻薬に関する単一条約で規制される麻薬でもあります。
今回の事案は、国及び都道府県による薬物濫用防止の取組みに対する国民の信頼を揺るがしかねない重大なものです。大麻取扱者の免許付与について、これまで以上に慎重かつ十分な検討の下に判断されるとともに、今後下記の点に留意し、引き続き、大麻の管理の徹底に最大限努められるようお願いいたします。
記
1.免許審査
大麻取扱者免許申請に係る審査に当たっては、「大麻取扱者免許交付却下処分に係る審査請求についての裁決」(平成11年1月14日付け医薬麻第35号厚生省医薬安全局麻薬課長通知。以下「平成11年通知」という。)において、都道府県による大麻取締法第5条の適用に当たって、「例えば種子や繊維を農作物として出荷したり、伝統的な祭事に利用したり、栽培技術を代々継承したりするなど何らかの社会的な有用性が認められるものでなければ、大麻の栽培を必要とする十分な合理性がないものとして、免許権者の判断により免許申請を却下することができると解するのが相当である」とし、また「薬物濫用が社会問題となっている地域の状況を踏まえて、処分庁が請求人の免許申請に係る大麻の栽培が濫用を助長するおそれがあることを理由に慎重な判断を下したことは、免許権者の判断として十分な合理性を有するものと認められる」としていることを踏まえて、大麻が濫用薬物であり、濫用された場合の保健衛生上の危害が甚大であることを考慮し、十分に検討した上で対処すること。免許審査基準を作成していない自治体にあっては作成を検討すること。
さらに、免許付与に際しては、大麻栽培地、倉庫、その他大麻に関係ある場所における十分な盗難防止対策を講じること、栽培関係者以外の第三者を不必要に栽培地等に立ち入らせないようにするための規則等を整備し、当該規則の遵守を確認することなどを免許付与の条件とする等、免許審査の段階から将来の不正事案発生の予防を見通した対応を行うこと。
2.監視の強化
麻薬取締員が栽培地等への立入検査を定期的に実施し、状況確認を確実に行い、栽培地等やその周辺において不正な行為や不適切な行為が行われないよう監視の強化を行うこと。なお、不正な行為を認知した場合には、免許の取消も考慮しつつ厳正な対処を行うこと。特に、第三者を不必要に栽培地等に立ち入らせないこと等により、保健衛生上の危害の発生を防止するため、十分な監督を行うこと。
3.大麻取扱者への指導
既に免許を付与している大麻取扱者に対しては、再申請時の免許の付与の可否も検討項目とし、適正な大麻栽培及び栽培した大麻の管理を徹底させるとともに、盗難防止や栽培地の適正管理に努めるよう、具体的に指導すること。
4.関係部局との連携
最近の大麻栽培免許に係る申請は、地域おこしや農地の利活用等の目的で申請された例もあると承知している。平成11年通知で示したとおり、免許権者として「大麻の栽培を必要とする十分な合理性」を判断する必要があることを踏まえ、産業振興部局や農林水産部局等の関係部局、また、市町村の関係部局にも事前に十分な理解を得ておくようにすること。