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○「特定事由に係る申出等の制度の事務取扱いについて」の一部改正について

(平成28年10月5日)

(年管管発1005第1号)

(日本年金機構事業企画部門担当理事・事業推進部門担当理事あて厚生労働省年金局事業管理課長通知)

(公印省略)

特定事由に係る申出等の制度の事務取扱いについては、「特定事由に係る申出等の制度の事務取扱いについて」(平成28年3月24日付年管管発0324第1号通知。以下「通知」という。)により、第三者の意見を聞くための体制の確保について示されている。

今般、第三者の意見を聞くための体制の強化を図るため、通知の一部を別添新旧対照表のとおり改正し、平成28年10月5日以降の特定事由に係る申出等の審査から適用することとするので遺漏のないよう取り扱われたい。

別添

(参考:平成28年10月5日付け改正後全文)

○特定事由に係る申出等の制度の事務取扱いについて

(平成28年3月24日)

(年管管発0324第1号)

(日本年金機構事業管理部門担当理事あて厚生労働省年金局事業管理課長通知)

(公印省略)

政府管掌年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律(平成26年法律第64号。以下「年金事業運営改善法」という。)第2条の規定による改正後の国民年金法(昭和34年法律第141号。以下「法」という。)附則第9条の4の7等の規定に基づき、特定事由により納付の機会を逸失した国民年金保険料を事後的に納付すること等ができる制度(以下「本制度」という。)が創設された。

その納付手続等を定める政令が平成28年3月2日付けで公布され、また、特定事由に係る申出等の承認の基準及び申出書の記載事項等を定める省令が平成28年3月24日付けで公布され、その内容についてはそれぞれ、「国民年金法施行令の一部を改正する政令の公布について」(平成28年3月2日付け年管発0302第1号)及び「国民年金法施行規則の一部を改正する省令の公布について」(平成28年3月24日付け年管発0324第1号)により日本年金機構理事長あて通知されたところであるが、特定事由に係る申出等に関する事務の取扱いについては、下記のとおりであるので遺漏のないよう取り扱われたい。

第1 特定事由に係る申出等の制度の概要

1 特定事由に係る申出等の特例

被保険者又は被保険者であった者(以下「被保険者等」という。)は、法等の規定に基づいて行われるべき事務の処理が行われなかったこと又はその処理が著しく不当であること(以下「特定事由」という。)により、付加保険料を納付する者となる旨の申出、保険料の免除の申請、学生納付特例の申請、任意加入被保険者となる旨の申出、納付猶予の申請等の政令で定められた手続(以下「特定手続」という。)をすることができなくなったとき又は特定事由により特定手続を遅滞したときは、厚生労働大臣にその旨を申出することができること。

(1) 申出が承認された場合の効果

申出について承認を受けた場合の効果は、以下のとおり。

① 特定事由がなければ特定手続が行われていたと認められるときに当該特定手続が行われていたとしたならば当該特定手続に係る規定により当該申出をした者が被保険者となる期間があるときは、当該期間は、当該申出のあった日以後、当該特定手続に係る規定による被保険者としての被保険者期間(以下「特定被保険者期間」という。)とみなされること。

② 特定事由がなければ特定手続が行われていたと認められるときに当該特定手続が行われていたとしたならば当該特定手続に係る規定によりその一部の額につき保険料を納付することを要しないものとされる期間があるときは、当該期間は、当該申出のあった日以後、当該特定手続に係る規定によるその一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料に係る期間(以下「特定一部免除期間」という。)とみなされること。

③ 特定事由がなければ特定手続が行われていたと認められるときに当該特定手続が行われていたとしたならば当該特定手続に係る規定により当該申出をした者が付加保険料を納付する者となる期間があるときは、当該期間は、当該申出のあった日以後、当該特定手続に係る規定により付加保険料を納付する者である期間(以下「特定付加納付期間」という。)とみなされること。

④ 特定事由がなければ特定手続が行われていたと認められるときに当該特定手続が行われていたとしたならば当該特定手続に係る規定により保険料を納付することを要しないものとされる期間(以下「全額免除対象期間」という。)があるときは、当該全額免除対象期間は、当該申出のあった日以後、当該特定手続に係る規定により納付することを要しないものとされた保険料に係る期間(以下「特定全額免除期間」という。)とみなされること。

(2) 年金額の改定

老齢基礎年金の受給権者が申出の承認を受けた場合において、全額免除対象期間(学生納付特例期間は除く。)が特定全額免除期間とみなされたときは、申出のあった日の属する月の翌月から年金額を改定すること。

2 特定事由に係る保険料等の納付の特例

被保険者等は、特定事由により保険料(一部を納付することを要しないものとされた保険料にあってはその一部の額以外の残余の額)を納付することができなくなったと認められる期間、特定被保険者期間、特定一部免除期間(保険料納付済期間を除く。以下「対象期間」という。)を有するときは、厚生労働大臣にその旨の申出をすることができること。

(1) 申出が承認された場合の効果

当該申出について承認を受けた場合には、当該承認に係る対象期間の各月につき、当該各月の保険料に相当する額の保険料(以下「特例保険料」という。)を先に経過した月の保険料に係る特例保険料から順次納付することができること。

なお、特定事由により納付することができなくなった保険料が、特定保険料、平成23年年金確保支援法附則第2条第1項に規定する後納保険料又は年金事業運営改善法附則第10条第1項に規定する後納保険料であるときは、承認に係る対象期間の各月につき、特定事由がなければ保険料を納付するものとした場合におけるその納付すべき額に相当する額となること。

(2) 年金額の改定等

特例保険料の納付が行われたときは、申出のあった日に、納付に係る月の保険料が納付されたものとみなされ、老齢基礎年金の受給権者が特例保険料の納付を行ったときは、申出のあった日の属する月の翌月から、年金額を改定すること。

(3) 特例付加保険料の納付

被保険者等が、付加保険料を納付することができなくなったと認められる期間又は特定付加納付期間に該当する期間を有するときは、厚生労働大臣にその旨の申出をし、承認を受けた場合には、承認に係る対象期間の各月につき、当該各月の付加保険料に相当する額の保険料(以下「特例付加保険料」という。)を納付することができること。

ただし、特例付加保険料の納付は、保険料の納付が行われた月についてのみ行うことができること。

3 特定事由に係る保険料の追納の特例

被保険者等は、特定事由により追納をすることができなくなったと認められる期間、特定一部免除期間、特定全額免除期間(以下「追納対象期間」という。)を有するときは、厚生労働大臣にその旨の申出をすることができること。

当該申出について承認を受けた場合には、当該承認に係る追納対象期間の各月の保険料の全部または一部につき、先に経過した月の分の保険料から、本来追納していたと認められるときの保険料額と同額で追納することができること。

ただし、一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料については、その残余の額につき納付されたときに限られること。

第2 特定事由に係る申出等に関する具体的事務の取扱い

1 該当者への制度周知のお知らせ送付

日本年金機構(以下「機構」という。)において、本制度の申出をすることにより保険料の納付等が可能となる被保険者等を把握している場合又は把握した場合には、制度周知のお知らせを送付する等により、対象者に周知すること。

なお、特例保険料の納付等を行った場合の効果は、申出日から発生するため、お知らせ送付については、可能な限り速やかに行うこと。

2 「国民年金特定事由等該当申出書」の受付

被保険者等から「国民年金特定事由等該当申出書」(以下「申出書」という。)の提出があった場合には、以下の確認を行うこと。

(1) 記載内容の確認

申出者の氏名、生年月日及び住所、特定事由により特定手続をすることができなくなったとき等に該当する旨及びその理由、申出に係る期間、基礎年金番号が記載されていることを確認すること。

なお、特定事由の事実及び期間について、機構が保有する資料または国民年金原簿により明らかである場合は、申出者が準備する資料等に代え、これを記載することを要しないこと。

(2) 添付書類の確認

以下の書類が添付されていることを確認すること。

なお、機構が保有する資料または国民年金原簿により明らかである場合は、申出者が準備する資料等に代え、これを添付することを要しないこと。

① 国民年金手帳その他の基礎年金番号を明らかにすることができる書類

② 本人が資料等を所持する場合は、特定事由に係る申出等に係る事実があったことを推測するに足りる資料

③ 特定事由に係る申出等が特定手続に係る申出のときは、特定事由があった当時の法令等で定められた当該特定手続に係る手続の添付書類(当該書類を添えることができないときは、当該書類に係る事実を証するのに参考となる書類)

(3) 申出者に対する説明上の留意点

申出者への説明を行う際には、以下の点について留意するとともに、必要な援助を行うこと。

① 受付にあたっては、本制度の趣旨・概要、手続きの流れ(審査期間、承認基準、不承認となった場合の不服申立手続等)、添付書類や資料等の提出書類、申出書の書き方等について、丁寧に説明を行うこと。

② 承認・不承認の決定は、承認基準に基づいて、総合的に審査して行うため、受付前に安易に承認の見込み等を判断して説明しないこと。

③ 特例保険料等については、申出が承認された日の翌日から2年間納付することが可能であること。

なお、2年間を経過した場合であっても、再度申出を行い、承認されることにより、申出が承認された日の翌日から2年間納付することが可能となること。

④ 特定事由に係る申出等が承認された場合の効果は、申出日から発生すること。ただし、年金額の改定については、申出のあった日の属する月の翌月からとなること。

なお、再度申出を行った場合は、申出日が変更となるので留意すること。

⑤ 特定事由に係る申出等のうち、付加保険料に係る申出については、国民年金基金に加入している期間との重複は認められないこと。

3 申出の承認・不承認の決定に係る審査

申出内容の審査及び承認・不承認の決定については、「特定事由に係る申出等の審査に係る事務取扱について」(別添)に基づいて行うこと。また、以下の点について留意すること。

(1) 審査体制の確保

機構は、国民の立場に立って公平かつ公正な承認決定等を行うために、十分な審査体制を確保すること。

また、決定の際には、第三者で構成される合議制の委員会を開催し、社会通念に照らして不合理とならない運用とすること。

(2) 関係機関への協力依頼

関連資料等が、機構以外の関係機関に存在すると考えられる場合には、他機関に対して、制度趣旨等を丁寧に説明し、協力を得られるよう努めること。

4 審査結果の通知

審査の結果、特定事由に係る申出等を承認する場合には、国民年金特定事由等該当申出承認通知書及び申出の種類によっては納付書を遅滞なく申込者に送付すること。

また、特定事由に係る申出等を不承認とする場合には、不承認の理由を国民年金特定事由等該当申出不承認通知書に記載した上で、申込者に遅滞なく送付すること。

なお、不承認の理由については、通知書にわかりやすく記載し、被保険者等から不承認の理由等について照会があった場合には、丁寧に説明し、不服申立の手続等が可能な旨を説明すること。

第3 特例保険料等の過誤納金に関する事項

1 特例保険料等に係る過誤納金に関する事項

特定事由に係る保険料の納付等の承認を受けた被保険者等が、特例保険料等の時効経過後に納付したときや特例保険料等を重複して納付したとき等は、当該過誤納に係る特例保険料等(以下「過誤納金」という。)を次により取扱うこと。

(1) 過誤納金の充当

被保険者等に特定事由に係る保険料の納付等の承認後に納付されていない期間(以下「特例保険料等未納期間」という。)又は、保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の期間(法定納期限を経過したものに限る。以下、当該期間を「滞納期間」といい、当該期間に係る保険料を「滞納保険料」という。)があるときは、過誤納金について、還付に変えて、当該期間に係る保険料に充当すること(国民年金法第95条の規定によりその例によるものとされる国税通則法第57条)。

(2) 充当の効果

過誤納金を充当した場合には、過誤納金が生じたときに、当該充当した過誤納金に相当する額の特例保険料等の納付があったものとみなすこと。

ただし、過誤納金が生じたときより後に法定納期限の到来した滞納保険料の未納期間に充当したときは、当該保険料の法定納期限の日に、当該充当した過誤納金に相当する額の保険料の納付があったものとみなすこと。

(3) 充当の順位及び還付

過誤納金を充当する場合には、特例保険料等未納期間及び滞納期間のうち、先に経過した月に係る特例保険料及び滞納保険料から順次充当することとし、特例保険料等未納期間及び滞納期間がなくなったとき、又は過誤納金が1月分の特例保険料等若しくは滞納保険料の額に満たない額になったときは、充当されなかった過誤納金を還付すること。

2 特例保険料等に係る充当の手続き

(1) 充当に係る調査決定

過誤納金を充当する際には、歳入徴収官あてに国民年金保険料過誤納(充当)処理の確認を依頼すること。

(2) 充当に係る通知

過誤納金を充当したときは、その旨を当該充当を行った者に通知すること。

第4 その他

1 特定事由に係る申出等の制度の周知広報について

制度の内容や手続き方法等については、本制度が利用することができる者に対し、丁寧かつわかりやすい周知、広報を徹底すること。

また、年金相談等で本制度が利用可能な内容の相談があった場合には、本制度について、丁寧に説明を行うこと。

2 市町村との協力連携

被保険者等が特定事由に係る申出等の制度を利用するためには、きめ細やかなサービスが必要であることから、市町村との密接な連携を図り、必要に応じて市町村に説明を行うなど事務処理に支障が生じることがないよう努めること。

3 標準処理期間

機構において、年金事務所における申出書等の受付日から被保険者等への国民年金特定事由等該当申出承認・不承認通知書及び納付書の送付までの標準処理期間を定めること。

(別添)

特定事由に係る申出等の審査に係る事務取扱について

第1 一般的事項

1 趣旨

政府管掌年金事業等の運営の改善のための国民年金法等の一部を改正する法律(平成26年法律第64号)による改正後の国民年金法(昭和34年法律第141号。以下「法」という。)附則第9条の4の7第9項に規定する同条第2項の規定による承認の基準等を定める省令で定められた基準の具体的な審査事務の取扱いを定めることにより、法附則第9条の4の7第1項に規定する申出、第9条の4の9第1項に規定する申出、第9条の4の10第1項に規定する申出及び第9条の4の11第1項に規定する申出(以下「特定事由に係る申出等」と総称する。)に係る申出の受理及びその承認を委任された日本年金機構(以下「機構」という。)において審査事務を適正かつ迅速に行えるようにすることを目的とする。

2 基本方針

特定事由に係る申出等の制度(以下「本制度」という。)は、「社会保障審議会日本年金機構評価部会 年金記録問題に関する特別委員会」において、事務処理誤り等の事由により国民年金保険料の納付の機会を逸失した場合等について、法的措置による救済の必要性が指摘されたことを受けて創設された制度であることを踏まえ、次に掲げる方針に基づいて行うこととする。

一 関連資料・周辺事情の積極的な収集

機構は、機構及び関係機関(以下「機構等」という。)が保有すると思料される関連資料(特定事由に係る申出等に係る事実があったことを推測するに足りる資料をいう。以下同じ。)及び周辺事情(特定事由に係る申出等に理由があると認める判断に資する事情をいう。以下同じ。)については、積極的に調査・収集を行うよう努めることとする。

二 判断の基準

特定事由に係る申出等に理由があると認める判断の基準は、「社会通念に照らし不合理でなく、当該申出について理由のあることが一応確からしい(疎明された)と認められること」とする。

三 公平かつ公正な承認決定等

機構は、一で調査・収集した関連資料及び周辺事情を総合的に検討し、二に基づき、国民の立場に立って公平かつ公正な承認決定等を行うこととする。

また、機構は承認・不承認の決定状況等について、定期的に、厚生労働省年金局に報告を行う。

3 承認の決定等の考え方

承認・不承認の決定に当たっては、申出者の申出内容について、「第3 認定の基準」に基づいて認定し、「第2 特定事由に係る申出の対象」に基づいて、申出に理由があると判断できる場合に承認の決定を行うものとする。

なお、本制度は、事務処理誤り等があったにもかかわらず、救済が困難な事案について、訴訟によらずに簡易な手続で救済の道を開くことを目的として設けられた制度であり、不服申立てや訴訟における手続とは制度の趣旨や証拠の収集方法、事実の認定基準等を異にするため、本制度において申出の承認決定がされたことをもって、訴訟等の手続において、事務処理誤りの事実の証明や賠償責任等が認められるものではない。

4 本制度の対象とならない手続

本制度は、特定事由により、被保険者等が国民年金法上の手続を行うことができなくなった場合、または遅滞した場合の特例を設けるものである。一方、年金記録訂正請求手続は、本人が納付した、または申請したにもかかわらず、記録が異なっている場合であり、本制度の対象となることは通常想定されない。

また、本制度は、長期にわたる保険料の拠出等に基づく給付であるという国民年金の特殊性に鑑み設けた制度であるため、年金の受給権や受給額に影響しない場合(※)の手続については、本制度の対象とならない。

(※)

・ 特定事由により前納制度による割引後の額での納付ができなかったが、通常の保険料額での納付はできた場合

・ 特定事由により追納申込みの時期が遅れたため、追納額が高くなった場合 等

第2 特定事由に係る申出の対象

以下に基づいて、特定事由に該当すると判断できる場合には申出を承認する。

1 特定事由の行為主体

国民年金制度の事務処理を担当する全ての機関等を特定事由の行為主体とする。

① 厚生労働省

日本年金機構

年金局

機構本部、ブロック本部、年金事務所、事務センター

街角の年金相談センター

①’旧厚生省

旧社会保険庁

年金局

社会保険庁本庁、社会保険業務センター、社会保険事務局(事務センター)

都道府県国民年金課、年金相談センター、社会保険事務所

② 市区町村

国民年金担当課、納付組織

③ 委託業者等

市場化テスト事業者、コールセンター(ねんきんダイヤル等)

内部事務委託業者

学生納付特例事務法人(教育施設)、国民年金事務組合、保険料納付確認団体、国民年金基金、郵便局

④ 収納機関等

歳入代理店、納付受託機関、コンビニエンスストア等

クレジットカード会社

※ 上記以外にも、国民年金制度の事務処理を担当、又は機構から委託していれば、特定事由の行為主体になり得る。

※ ファイナンシャルプランナー、弁護士、社会保険労務士等は、業として年金相談等を行う可能性があるが、国民年金制度の事務処理を担当しているものではないため、特定事由の行為主体にはならない。

2 特定事由の行為類型

(1) 特定事由の行為類型

特定事由の行為類型は以下のとおり区分する。

① 処理誤り

誤った処理が行われた。

例)届書の内容と異なる入力処理を行った。

② 処理漏れ(遅延)

届書の処理を行っていない。

例)届書を受理した職員がその処理をせずに放置していた。

③ 説明誤り

誤った説明を行った。

例)職員の勘違いにより誤った説明を行った。

※ 本人に瑕疵があったため、結果として事実と異なる説明となった場合は含めない。

④ 説明漏れ

本来説明すべき事項について必要な説明を行わなかった。

※ 不親切にとどまるものは説明漏れに含めない。

※ 特定事由の行為主体が犯罪行為を行った場合や、第三者の犯罪行為によって特定事由が生じた場合についても、上記類型に含まれる。

※ ③説明誤り④説明漏れについては、業務執行上または委託契約上、説明責任を負う者が行為主体である場合に限る。

(2) 行為類型の具体例

以下に記載した具体例に該当する、または類似する場合には、特定事由に該当する。

① 処理誤り

年金事務所等が、届書等の内容についてシステム等への入力を誤り、一部の期間の納付書が発行されなかった、または被保険者の住所に納付書が到達しなかった。被保険者が年金事務所に問い合わせを行った際に初めて一部期間の納付書が発行されていなかったこと等が判明したが、すでに時効により一部の保険料を納付できなかった。

届書等の内容について、市区町村等が年金事務所への報告、依頼等の内容を誤り、一部の期間の納付書が発行されなかった、または被保険者の住所に納付書が到達しなかった。被保険者が年金事務所に問い合わせを行った際に初めて一部期間の納付書が発行されていなかったことが判明したが、すでに時効により保険料を納付できなかった。

法定免除の要件を職員が誤って認識し、被保険者から誤って提出された法定免除該当届に基づいて、法定免除の処理をした。その後、法定免除ではないことが判明し、法定免除が取消しとなったが、取消しとなった時には、既に時効を迎えた期間があり、当該期間について、時効により、保険料の納付、または免除等の申請ができなかった。

被保険者が、10年後納制度の国民年金後納保険料納付申込書を年金事務所へ提出した。

社会保険オンラインシステムにより発行される後納保険料の納付書は、通常、承認日が属する年度末まで有効であるが、10年以内である場合または65歳到達が先に到来する場合には、年金事務所は納付書に機械的に記載される納期限を訂正する必要がある。しかし、年金事務所は、訂正前の納期限(承認日が属する年度末)が記載された納付書を送付した。

被保険者は、誤った納期限が記載された納付書により年度末までに後納保険料を納付したが、既に65歳の誕生日の前々日を経過していたため、還付され、保険料を納付することができなくなった。

世帯主である被保険者は、口座振替で国民年金保険料を納付していたが、納付書による納付を希望したため、金融機関へ本人分の口座振替の辞退申出書のみを提出した。

金融機関は、口座振替契約を解除する際、同一の口座番号から引き落とされている世帯主の配偶者の契約も誤って解除したため、配偶者の付加保険料を含む国民年金保険料の口座振替が実施されなかった。世帯主の配偶者は、付加保険料を納期限までに納付することができなくなった。

納付書を別人宅に誤配したため、追納等の納付書が送付されなかった。被保険者は年金事務所に問い合わせを行い納付書が誤配されていたことが判明したが、既に時効により一部の期間の保険料を納付できなかった。

※ 届書等について、届出者の記載誤りによって入力誤り等が引き起こされた場合は、処理誤りには含まれない。

ただし、届出者の記載誤りがあった事項が、届出時に行政側が確認すべき項目である場合には、届出者の記載誤りがあったとしても、処理誤りに該当する。

例)資格取得・喪失日、生活保護開始・終了日、65歳到達日等

② 処理漏れ

年金事務所等が届書等について、処理をすべきであったにもかかわらず、処理しなかった、または処理が遅れた。被保険者が年金事務所に問い合わせを行った際に処理しなかった、または処理が遅れていることが判明した。しかし、既に時効により一部の保険料を納付できなかった。

市区町村等が届書等について、年金事務所へ回付、報告、依頼等をすべきであったにもかかわらず、回付、報告、依頼等をしなかった、または回付、報告、依頼等をするのが遅れた。被保険者が年金事務所に問い合わせを行った際に回付、報告、依頼等をしなかった、または回付、報告、依頼等が遅れていることが判明した。しかし、既に時効により一部の保険料を納付できなかった。

納付書発行の処理をすべきであったにもかかわらず、処理しなかった、または処理が遅れた。被保険者が年金事務所に問い合わせを行った際に処理しなかった、または処理が遅れていることが判明したが、既に時効により一部の保険料を納付できなかった。

納付書を使用して付加保険料を納付していた被保険者が、口座振替による納付を希望したため、金融機関へ口座振替納付申出書を提出した。

金融機関は、口座振替依頼書(口座振替納付申出書と複写になっている金融機関用の控え)を処理する際、口座振替の設定等の必要な事務処理を行わなかったため口座振替が実施されなかった。

被保険者は、付加保険料を納期限までに納付することができず、みなし辞退となり、一定期間分の付加保険料を納付できなくなった。

被保険者は、平成24年度(平成24年7月から平成25年6月)及び平成25年度(平成25年7月から平成26年6月)の免除を希望したため、平成24年度の免除の申請期限である平成25年7月31日に市区町村へ免除を申請した。

市区町村は、被保険者が平成24年度及び平成25年度の免除を希望していることを聞き取ったにもかかわらず、平成25年度の免除申請書のみの受付を行い、平成24年度の免除申請書の受付を行わなかった。

年金事務所は、平成25年度の免除申請書の所得審査等を行い、全額免除の承認通知書を送付したが、被保険者は、平成24年度の承認通知書が届かないため市区町村へ照会したところ、市区町村が平成24年度の免除申請書の受付を怠っていたことが判明した。

しかし、平成24年度の免除については、免除申請の申請期限を経過しているため、すでに申請することができなくなった。

納付書を配送すべきであったが、納付書が配送されなかった、または配送が遅れた。被保険者は年金事務所に問い合わせを行い納付書が配送されていなかった、または配送が遅れていることが判明したが、既に時効により一部の期間の保険料を納付できなかった。

③ 説明誤り

被保険者は、平成24年8月に年金事務所へ訪問した際、平成14年度の未納期間にかかる後納保険料(10年後納制度)の納付可能な期限を相談した(後納制度は平成24年10月1日より開始)。

年金事務所は、「後納保険料は、平成27年9月30日までに納付すれば問題ありません。」との回答を行ったが、後納保険料は過去10年以内に納付する必要があるため、平成14年度分については制度開始後すぐに手続を行い、納付するよう説明すべきであった。

被保険者は、翌年、後納保険料を納付するため年金事務所を訪問したが、後納保険料を納付できる期間である過去10年を過ぎており、後納保険料は納付できないとの説明を受けた。

その後、被保険者からの聞き取り及び年金事務所において事実関係を確認した結果、年金事務所において誤って納付可能な期限を説明したことが判明した。被保険者は、年金事務所の誤った説明により、期限(10年)を経過した後納保険料を納付することができなくなった。

被保険者(60歳)は、年金相談のため年金事務所へ訪問した際、受給資格期間(25年)を満たしていない旨の説明を受けた。その際に、被保険者が、過去に専門学校に在籍していたことを告げたところ、職員Aからは「卒業証明書等があれば合算対象期間となる」との説明を受けた。

被保険者は、再度、卒業証明書を持参のうえ年金事務所へ訪問した際、職員Bからも「専門学校の在籍期間は合算対象期間となる」との説明を受け、併せて年金見込額の交付を受けた。

被保険者は、年金受給年齢(65歳)になったため、年金事務所で年金請求の手続を行ったが、職員Cより「昭和61年3月以前に専門学校に在籍していた期間は合算対象期間とはならないため、受給資格期間(25年)を満たしていない」旨の説明を受けた。

被保険者は、年金事務所の誤った説明により、高齢任意加入の申出を行う機会を逸失し、65歳までに受給資格期間(25年)を満たすことができなかった。

年金事務所が、正しい説明を行っていれば、被保険者は高齢任意加入の申出を行い、65歳までに受給資格期間(25年)を満たすことができたと推測できる。被保険者は、年金事務所の誤った説明により、年金の受給開始が遅れた。

被保険者は、平成22年12月31日に会社を退職して国民年金に加入する際に、雇用保険被保険者離職票(退職した証明書)を添付の上、年金事務所へ免除申請書(平成23年1月から平成23年6月)を提出した。

年金事務所は、免除申請書を受け付ける際、全額免除が承認された場合は、翌年度の免除(平成23年7月から平成24年6月)について継続して日本年金機構で審査を行うため、本人の手続は不要であること、また、納付書が届いても納付しないようにとの説明を行った。

平成17年7月以降、前年の所得額が免除承認基準内であって全額免除が認められ、本人の希望がある場合は、翌年度の免除は継続して日本年金機構で審査を行っている。しかしながら、失業による免除(以下「特例免除」という。)の申請で全額免除が認められている場合については、翌年度に改めて本人の申請が必要となる。

平成24年7月下旬、被保険者は、年金事務所から特別催告状が送付されたため、問い合わせを行ったところ、日本年金機構において継続して免除の審査は行っておらず、平成23年7月から平成24年6月については、改めて免除の申請が必要であったとの説明を受けた。

また、特例免除の申請期限は離職日の属する年度(平成22年度)及び翌年度(平成23年度)に限られていたことから、平成24年4月以降に免除を申請した場合は特例免除は認められず、通常の免除申請となり全額免除が認められないことが判明した。被保険者は、年金事務所の誤った説明により特例免除の申請ができなくなった。

被保険者は、未納期間(過去2年以内の時効消滅していない期間)及び後納保険料の納付対象期間について、一括での納付が困難なため、保険料の納付順について年金事務所で相談を行った。年金事務所は、保険料の納付順及び納期限についてメモを書きながら説明し、被保険者へメモを手渡した。

被保険者は、数か月後、年金事務所で年金相談を行ったが、その際、一部免除の未納期間が既に保険料を徴収する権利が時効により消滅しているとの説明を受けた。

その際、本人が所持していた職員が記載したメモの内容から、年金事務所が納期限を誤って説明していたことが判明した。

被保険者は、年金事務所の誤った説明により、本来納付できた月分の保険料を納付することができなくなった。

被保険者は、市区町村の窓口で付加保険料納付申出書を提出した。その際、付加保険料について「すぐに納付することができない」旨を市区町村の職員に伝えた。

市区町村は、被保険者へ「付加保険料を3か月後に納付しても問題ない」と誤った説明を行った。

被保険者は、付加保険料の納期限が翌月末であることについて、後日送付された納付書及び同封の納付案内で確認できる機会はあった。

年金事務所は、付加保険料が納期限経過後に納付されたため、被保険者へ国民年金付加保険料非該当通知書を送付した。

被保険者は、市区町村の誤った説明により、国民年金法で定められた期限までに付加保険料を納付することができなかった。

被保険者は、約10年前、市区町村の窓口で国民年金の加入手続と併せて免除申請の手続について相談した。

市区町村に、「前年の所得額が免除承認基準を超えているため、免除に該当しない。免除申請書を提出しても却下されるため意味がない。」と説明を受け、免除申請書は提出しなかった。

被保険者は、免除にならないと説明を受けたことから、国民年金資格取得届も提出しなかったため、約10年間、国民年金に未加入の状態であった。

被保険者は、約10年後、年金の未加入を解消するため、市区町村の窓口で国民年金資格取得届及び国民年金保険料免除申請書を提出したところ、過去2年間は遡及して全額免除が承認されたが、2年より前の期間については、すでに保険料の徴収する権利が時効により消滅していることから、保険料の納付や免除申請を行うことができなかった。

被保険者は、10年以上前から所得状況に変化はないことから、約10年前の所得額が免除承認基準を超えているという市区町村の説明は、誤っていたはずと申し出た。

関連資料等(当時の所得情報や世帯状況)により免除に該当することが判明した。

被保険者は、市区町村の誤った説明により、免除の申請ができなくなった。

被保険者は、付加保険料を世帯主の口座で納付していたが、世帯主が死亡したため口座を閉鎖した。これに伴い、今後の国民年金保険料及び付加保険料の納付方法について、日本年金機構が電話相談業務を委託しているコールセンターへ問い合わせを行った。

コールセンターは、新たに口座振替納付(変更)申出書の提出が必要であること、当月末に口座振替予定であった前月分の保険料は口座振替とならないため、後日、日本年金機構から送付される納付書を使用して納付することを説明し、他に手続はない旨説明した。しかしながら、前月分の付加保険料は当月末が納期限であることから、すぐに納付書を発行してもらうために年金事務所へ連絡する必要がある旨を説明するべきであった。

被保険者は、後日、送付された納付書が定額保険料の金額のみであったことから、年金事務所へ問い合わせを行ったところ、納期限が経過しているため付加保険料は納付できないとの説明を受けた。

被保険者は、付加保険料の納付を申し出た際、納期限が翌月末であることの説明は受けていたが、後日送付される納付書で納付すればよいというコールセンターの説明を信用していた。

被保険者は、コールセンターの誤った説明により、国民年金法で定められた期限までに付加保険料を納付することができなかった。

※ 説明の際に口頭で誤った説明を行っていた場合には、説明の際に交付した文書に正しい説明が記載されていたとしても、説明誤りに該当する。

④ 説明漏れ

来月65歳に到達する被保険者が、年金事務所へ訪問した際、後納保険料の相談及び納付申込書の交付(送付)を依頼した。その際に年金事務所は、後納制度の手続方法など一般的な質問に対して回答を行ったが、納付可能な期限の説明を行わなかった。

被保険者は、国民年金後納保険料納付申込書を年金事務所へ郵送により提出した。しかし、すでに65歳に到達しており、受給資格期間も満たしていたため年金事務所は、被保険者へ国民年金後納保険料不承認通知書を送付した。

被保険者は、年金事務所へ問い合わせを行った結果、後納保険料の納付可能な期限の説明が漏れていたことが分かった。被保険者は、年金事務所が期限の説明をしなかったことにより、後納保険料を納付することができなくなった。

被保険者(66歳)は、年金事務所で年金相談を行った際、受給資格期間(25年)に2か月不足しており、受給権を満たしていない旨の説明を受けた。

年金事務所は、年金を受給するためには特例高齢任意加入を申し出た上で、国民年金保険料を2か月納付するよう説明した。

被保険者は、年金事務所の説明どおり、特例高齢任意加入の申出を行い、2か月分の国民年金保険料を納付した。

被保険者は、受給資格期間(25年)を満たしたことから年金事務所の窓口で年金の請求を行ったが、その際、60歳以前の過去10年以内の期間に国民年金の未加入期間があることが判明した。

この被保険者の場合、特例高齢任意加入では申し出た月から2か月間国民年金に加入し、保険料を納付することで3か月後に受給権が発生するが、過去の未納期間について直ちに後納保険料を申し込み納付すれば、1か月後に受給権が発生するため、受給権の発生が2か月遅れたこととなる。

※ 被保険者が特例高齢任意加入の申出を行いたい旨のみを相談しにきた場合に特例高齢任意加入の説明しかしなかったとしても、特定事由には該当しない。

被保険者が、納付方法の選択肢について説明を求めたにもかかわらず、一方の制度しか説明しなかった場合には、特定事由に該当する。

被保険者は、市区町村の窓口で口座振替納付申出書及び付加保険料納付申出書を提出した。市区町村は、被保険者へ翌月末か翌々月末から口座振替が開始されることを説明したが、付加保険料は翌月末が納期限であること及び口座振替が開始されるまでは納付書で納付する必要があることの説明を行わなかった。

金融機関等での事務処理に時間がかかり、口座振替は、翌月末ではなく、翌々月末となった。

被保険者には、付加保険料の納付書が送付されたが、被保険者は、口座振替が開始されるまでの間は納付書で納付する必要があるとは思わず、翌月末が納期限の付加保険料を納付しなかったため、年金事務所は、被保険者へ国民年金付加保険料非該当通知書を送付した。

被保険者は、市区町村が付加保険料の納期限についての説明をしなかったことにより、期限までに付加保険料を納付することができず、みなし辞退となった結果、一定期間の付加保険料が納付できなくなった。

被保険者は、日本年金機構が納付督励等を委託している市場化業者が自宅を訪問した際、今月から付加保険料を納付したい旨の相談を行った。

市場化テスト業者は、付加保険料の説明を行い、いつでも市区町村または年金事務所の窓口で付加保険料の手続ができることを説明したが、今月中に手続を行う必要があることの説明を失念した。

被保険者は、翌月、年金事務所の窓口で付加保険料納付申出書を提出するが、前月から付加保険料を納付することはできないとの説明を受けた。

被保険者は、市場化業者が今月中に手続を行う必要があることを説明しなかったことにより、希望月から付加保険料を納付することができなかった。この結果、将来の付加年金が減額となる。

申請等、または納付の方法に効果の異なる二通りの選択肢がある場合において、一方の制度しか説明しなかったことにより、他方の制度の申請等ができなかった、または他方の制度を利用し保険料を納付できなかった(前納制度等の納付額のみに影響する制度は除く)。

※ 説明漏れかどうか判断するに当たっては、説明当時の状況(窓口、電話等)、申出者が説明を要求していた事項、申請期限までの期間等を総合的に勘案して、説明の必要があったのにしなかったと言える場合に説明漏れがあったと判断する。

※ 個別事情の相談ではなく、一般的な制度の相談であると明確に判断できる場合には、説明漏れには該当しない。社会保険オンラインシステムで年金記録等を確認しながら相談をしている場合には、個別事情の相談をしているものと判断する。

第3 認定の基準

申出内容の認定については、以下に基づいて行う。

1 資料について

(1) 行政側が持ち得る資料

以下に掲げるものについては、申出者は通常入手することができず、また資料の持つ信用性も高いことから、機構は、当該資料が保存されていると考えられる場合には、必ずその存在の有無を調査し、収集を行うように努めるものとする。

関連資料になり得るもの

主な内容等

関係機関

①顛末書等の事故報告等

案件の概要、原因、影響

機構、市区町村

委託業者収納機関

②届書・申請書等

本人情報、届出内容、受付日

機構、市区町村

収納機関

③年金相談・手続受付票

本人情報、相談内容の概要、相談結果

機構、市区町村

委託業者(電話)

④受付処理簿

氏名、受付日、届書名

進達返戻管理情報

機構、市区町村

⑤受付進捗管理システム

本人情報、届書名

処理経過、進捗管理情報

機構

⑥督励事跡等の職員のメモ

督励内容、督励結果

機構

⑦録音データ

説明内容

委託業者

⑧納付書再交付リスト

本人情報、納付書作成期間

委託業者

⑨訪問員活動事蹟報告書

本人情報、訪問結果

委託業者

※ 上記以外の行政側で持ち得る資料についても、機構は当時の担当職員に聴取を行う等、積極的に収集を行うように努めるものとする。

(2) 申出者が持ち得る関連資料

以下に掲げるものについては、機構は、申出者に対して、関連資料となり得るものの例として説明する。

関連資料になり得るもの

主な内容等

①届書・申請書等控え

本人情報、各届書の届出内容、受付日

②相談票(来訪)の控え

本人情報、相談内容の概要、相談結果

③申出者が録音した録音データ

説明した内容

④機構職員が作成し、申出者に交付した手紙

案件の概要、原因、影響

⑤機構職員が作成し、申出者に交付したメモ

説明した内容

⑥本人の当時のメモ

説明を受けた内容

※ 申出者が提出してきた上記以外の資料についても、関連資料となり得る。

(3) (1)(2)以外の資料について

申出者が第三者の証言や物を資料として提出してきた場合などにおいては、

・その内容や申出者と第三者との関係などから推測して、虚偽とは認められない

・他の資料などと整合性がある

・証言の場合、根拠等を含む具体的なものかどうか

などの条件を総合的に勘案して関連資料として用いることができる。

(4) 資料の真正性について

申出者から提出される資料については、真正なものであるか確認する。

(確認事項の例)

・ 加筆修正の形跡など、明らかに当時に作成されたものと認められない事由がないこと

・ 外見が経年劣化している、または当時のチラシ等に記載されている等メモが記載された紙が当時のものと認められること

2 認定の考え方

(1) 認定の基準

機構は、機構において収集、調査した資料、周辺事情及び申出者から提出された資料に基づき、総合的に「社会通念に照らして明らかに不合理ではなく、一応確からしい」と判断できる場合には、認定する。

(2) 周辺事情について

周辺事情のみで認定することはできないが、資料と併せて、「社会通念に照らして明らかに不合理ではなく、一応確からしい」と判断するための要素として勘案することができる。

(周辺事情の例)

・ 申出者が特定事由によって納付(、または申請等)をすることができなくなったと主張している期間以外の保険料は納付(、または申請等)がされている。

・ 申出者が特定事由によって口座振替で付加保険料が引き落とされなくなったと主張している月から一定期間後(※)に、再度付加保険料の納付を申し込み、付加保険料に係る未納期間がない。

(※) 申出者が引き落とされなくなったことを認識した直後と合理的に考えられる期間

(3) 認定基準に該当しない場合

次に掲げる場合には、「社会通念に照らして明らかに不合理ではなく、一応確からしい」と判断しないこと。

① 申出者の申出内容と機構が収集した資料、周辺事情に矛盾がある場合

② 申出者が特定事由があったと主張する時期に、制度上、納付、または申請等ができなかった場合

③ 申出内容が、時期や場所を全く憶えていないなど具体性に欠ける場合

④ 資料が一切存在せず、申出者が申出に理由があると主張しているのみの場合

【参考】

具体的な認定についての判断は、以下も参考にすること。

○処理誤り

【事例】

【認定の例】

国民年金被保険者の種別変更届が提出されたが、日本年金機構において、資格取得日の入力を誤り、一部期間の納付書が作成されず、被保険者に送付されなかったため、保険料を納付しないまま2年を経過した。

機構等に関連資料がない場合であっても、本来、届出時に行政側が確認すべき項目に関する届出等の事項については、特定事由を認定することができる。

被保険者がコールセンターに納付書の再作成を依頼したが、コールセンターが年金事務所に納付書の再作成期間を誤って伝達したため、一部期間の納付書が被保険者に到達せず、保険料を納付できないまま2年を経過した。

① 機構等で直接処理誤りを確認できる関連資料がない場合であっても、再発行された納付書の期間と再発行当時の未納期間が明らかに異なる場合で、再発行された期間について、実際に納付されている事実がある場合には、特定事由を認定することができる。

② 機構等に関連資料が全く存在しない場合であっても、

ア 日付、コールセンターに依頼した内容が記載された本人のメモや日記等がある

イ 機構等に「一応確からしい」ことを否定するものが存在しない

場合には、特定事由を認定することができる。

※ 本人のメモや日記に依頼の日付しか記載されていない場合には、その他の関連資料等とあわせて、総合的に判断する必要がある。

世帯主である被保険者が、口座振替の辞退申出書を提出したが、金融機関が誤って、当該被保険者と同一の口座で引き落とししている配偶者の口座振替も解除してしまったため、配偶者が口座振替で引き落とししている付加保険料を納付する機会を失った。

① 機構等で直接処理誤りを確認できる関連資料が存在しない場合であっても、機構において、申出がされていないにもかかわらず、口座振替が停止されていることが確認できた場合には、特定事由を認定することができる。

② 機構等に関連資料が全く存在しない場合であっても、

ア 世帯主の口座振替と同時に口座から引き落とされなくなったことを示す通帳がある

イ 引き落とされなくなった月から一定期間後に、再度付加保険料に申込み、付加保険料の未納期間がない納付記録がある

ウ 行政側に「一応確からしい」ことを否定するものが存在しない

場合には、特定事由を認定することができる。

○処理漏れ

【事例】

【認定の例】

(例①)

被保険者が市場化業者に納付書の再発行依頼を行い、市場化業者が年金事務所に納付書の再発行依頼を伝達したところ、年金事務所が事務処理を失念したため、納付書の再発行がされず、被保険者は、時効消滅までに保険料を納付することができなかった。

(例②)

被保険者が市区町村に付加保険料納付申出書を提出したが、市区町村が年金事務所への送付を失念し、一定期間分の付加保険料を納付することができなくなった。

(例③)

被保険者が、金融機関において、国民年金保険料と付加保険料の口座振替の申出をしたところ、金融機関において、口座振替の設定等の必要な事務処理を行わなかったため、一定期間分の付加保険料を納付することができなくなった。

機構等で直接処理漏れを確認できる関連資料が存在しない場合であっても、

ア 本人の当時のメモや日記等(日付、内容(納付書の再発行の期間、申出日等)が記載)がある

イ 行政側に「一応確からしい」ことを否定するものが存在しない

場合には、特定事由を認定することができる。

※ 本人のメモや日記等に日付しか記載されていない場合には、その他の関連資料等とあわせて、総合的に判断する必要がある。

○説明誤り

【事例】

【認定の例】

被保険者が、後納制度の納付期限について年金事務所に相談に行ったところ、年金事務所が納付が可能な期間の説明を誤り、被保険者が一部の未納期間について納付することができなくなった。

機構等で直接説明誤りを確認できる関連資料が存在しない場合であっても、

ア 年金事務所に訪問して相談を受けた日付や納付可能期間の内容の分かるメモや日記等がある

イ 行政側に「一応確からしい」ことを否定するものが存在しない

場合には、特定事由を認定することができる。

※ 本人のメモや日記等に日付しか記載されていない場合には、その他の関連資料等(例えば、説明誤りがあり納められなかったと主張する期間以外の当時後納可能な期間が相談の当時から一定期間の間に全て納付されている等の周辺事情)と併せて、総合的に判断する必要がある。

10年前に市町区村で免除の相談を行った際に、職員から「前年の所得額が免除承認基準を超えているため、免除に該当しない。免除申請書を提出しても意味がない」と言われ免除申請書を提出しなかった。

ところが、10年後に免除申請をすると、免除が承認され、被保険者は、「10年前と所得は変わっていないはずであり、10年前の説明が誤っていたため、免除申請ができなかった」と主張している。

機構等で直接説明誤りを確認できる関連資料が存在しない場合であっても、

ア 市区町村職員による説明を記載した当時のメモや日記等がある

イ 当時の世帯構成が分かる公的書類、本人や配偶者等の所得情報が分かる公的書類がある

ウ 行政側に「一応確からしい」ことを否定するものが存在しない

場合には、特定事由を認定することができる。

○説明漏れ

【事例】

【認定の例】

被保険者は、付加保険料を世帯主の口座で納付していたが、世帯主が死亡し、口座を閉鎖したため、今後の口座振替での納付について、コールセンターに問い合わせを行った。

コールセンターは新たに口座振替申出書の提出が必要であることと、当月末に口座振替予定であった前月分の保険料は口座振替とならないため、後日、送付される納付書を使用して納付することを説明し、他に手続はない旨説明した。しかし、前月分の付加保険料は当月分が納付期限であることから、すぐに納付書を発行してもらうために年金事務所に連絡する必要がある旨を説明するべきであった。

被保険者は、コールセンターの説明を信用したため、一定期間分の付加保険料を納付することができなくなった。

機構等で直接説明漏れを確認できる関連資料が存在しない場合であっても、

ア コールセンターによる説明を記載した当時のメモや日記等がある

イ 行政側に「一応確からしい」ことを否定するものが存在しない

場合には、特定事由を認定することができる。

※ 本人のメモや日記等に日付しか記載されていない場合には、その他の関連資料等(例えば、説明漏れがあり納められなかった月から一定期間後に、再度付加保険料の納付申し込み、付加保険料の未納がない納付記録等の周辺事情)と併せて、総合的に判断する必要がある。

申請期限等が間近に迫っていたにもかかわらず、期限の説明漏れにより、申請等をすることができなかった。

機構等で直接説明漏れを確認できる関連資料が存在しない場合であっても、

ア 相談等にいった日付や内容が分かるメモや日記等

イ 行政側に「一応確からしい」ことを否定するものが存在しない

場合には、特定事由を認定できる。

※ 本人のメモや日記等に日付しか記載されていない場合には、その他の関連資料等(例えば、納付(、または申請等)をすることができなかった期間以外の保険料は納付(、または申請等)がされている等の周辺事情)と併せて、総合的に判断する必要がある。