○麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令の一部を改正する政令並びに麻薬及び向精神薬取締法施行規則の一部を改正する省令の施行について(通知)
(平成28年9月14日)
(薬生発0914第1号)
(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)
(公印省略)
本日、麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令の一部を改正する政令(平成28年政令第306号。以下「改正政令」という。)並びに麻薬及び向精神薬取締法施行規則の一部を改正する省令(平成28年厚生労働省令第147号。以下「改正省令」という。)が公布されましたので、貴職におかれましては、下記事項について御了知の上、向精神薬に指定された物質が濫用されることなく適正に使用されるよう、関係各方面に対する周知の徹底と適切な指導をお願い申し上げます。
記
第1 改正要旨
1 改正の趣旨
今般、向精神薬と同種の有害作用及び向精神薬と同種の濫用のおそれが確認された物質について、新たに向精神薬として指定するため、麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令(平成2年政令第238号)を改正するとともに、自己の疾病の治療の目的で携帯輸出入することが可能な向精神薬として、携帯輸出入することが可能な分量と併せて定めるため、麻薬及び向精神薬取締法施行規則(昭和28年厚生省令第14号)を改正した。
2 改正の内容
(1) 次の3物質を新たに向精神薬(第三種向精神薬)に指定したこと。
(改正政令関係)
①(RS)―6―(5―クロロピリジン―2―イル)―7―オキソ―6,7―ジヒドロ―5H―ピロロ[3,4―b]ピラジン―5―イル=4―メチルピペラジン―1―カルボキシラート(別名ゾピクロン)及びその塩類
②4―(2―クロロフェニル)―2―エチル―9―メチル―6H―チエノ[3,2―f][1,2,4]トリアゾロ[4,3―a][1,4]ジアゼピン(別名エチゾラム)及びその塩類
③7―ブロモ―5―(2―クロロフェニル)―1,3―ジヒドロ―2H―1,4―ベンゾジアゼピン―2―オン及びその塩類
※ ①及び②については、現在医薬品として市場流通しているが、すでに規制している向精神薬と同種の濫用が確認されたことから改正するもの。③については、向精神薬に関する条約(平成2年条約第7号)第2条第7項の規定に基づき、同条約附表Ⅳに追加する決定が行われた旨の通知があったことから必要な措置をとったもの。
(2) 次の向精神薬を自己の疾病の治療の目的で携帯輸出入することが可能なものとして、携帯輸出入することが可能な分量と併せて定めたこと。
(改正省令関係)
①名称 (RS)―6―(5―クロロピリジン―2―イル)―7―オキソ―6,7―ジヒドロ―5H―ピロロ[3,4―b]ビラジン―5―イル=4―メチルピペラジン―1―カルボキシラート(別名ゾピクロン)、その塩類及びこれらを含有する物
分量 300mg
②名称 4―(2―クロロフェニル)―2―エチル―9―メチル―6H―チエノ[3,2―f][1,2,4]トリアゾロ[4,3―a][1,4]ジアゼピン(別名エチゾラム)、その塩類及びこれらを含有する物
分量 90mg
③名称 7―ブロモ―5―(2―クロロフェニル)―1,3―ジヒドロ―2H―1,4―ベンゾジアゼピン―2―オン、その塩類及びこれらを含有する物
分量 300mg
3 施行期日等
(1) 施行期日
公布の日(平成28年9月14日)から起算して30日を経過した日(平成28年10月14日)から施行する。
(2) 経過措置
(RS)―6―(5―クロロピリジン―2―イル)―7―オキソ―6,7―ジヒドロ―5H―ピロロ[3,4―b]ピラジン―5―イル=4―メチルピペラジン―1―カルボキシラート(別名ゾピクロン)、その塩類及びこれらのいずれかを含有する物(以下「ゾピクロン等」という。)並びに4―(2―クロロフェニル)―2―エチル―9―メチル―6H―チエノ[3,2―f][1,2,4]トリアゾロ[4,3―a][1,4]ジアゼピン(別名エチゾラム)、その塩類及びこれらのいずれかを含有する物(以下「エチゾラム等」という。)のうち、以下に該当するものについては麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)第50条の19の規定が施行の日から2年間(平成30年10月13日まで)適用されない。
①改正政令の施行の際現に容器に収められているゾピクロン等及びエチゾラム等。
②改正政令施行の際現に存するゾピクロン等及びエチゾラム等用の容器又は容器の直接の被包が、改正政令の施行の日から1年以内(平成29年10月13日まで)に使用される場合に、当該容器又は容器の直接の被包が使用されるゾピクロン等及びエチゾラム等。
第2 改正政令の施行に当たっての留意事項
1 医薬品製造業者、研究者及びその他の者が業務又は研究のため、今般向精神薬に指定される物質(以下「向精神薬指定物質」という。)を継続して取り扱う場合には、改正政令の施行日以降、麻薬及び向精神薬取締法による規制を受けることから、施行日までにあらかじめその業務の目的に応じた向精神薬営業者の免許取得、向精神薬試験研究施設設置者の登録等必要な手続を行わせるとともに、記録、保管、届出等の規制事項について指導し、管理不備に起因する事故が発生しないよう指導されたい。
2 既に向精神薬営業者の免許を取得している者等が、向精神薬指定物質を取り扱う場合についても、1と同様に記録、保管、届出等規制事項について指導し、管理不備に起因する事故が発生しないよう指導されたい。
3 医薬品製造業者、研究者及びその他の者が所有している向精神薬指定物質のうち、今後必要としないものについては、改正政令の施行日前までに廃棄するよう指導されたい。また、向精神薬指定物質を廃棄するときは、焼却等当該物質を回収することが困難となるような方法で行うよう指導されたい。
4 改正政令の施行日以降に向精神薬指定物質を発見した場合は、所定の調査を行い、状況に応じた措置をとられたい。
第3 物質の構造式等
1 化学名:(RS)―6―(5―クロロピリジン―2―イル)―7―オキソ―6,7―ジヒドロ―5H―ピロロ[3,4―b]ピラジン―5―イル=4―メチルピペラジン―1―カルボキシラート
別名:ゾピクロン
構造:
及び 鏡像異性体
2 化学名:4―(2―クロロフェニル)―2―エチル―9―メチル―6H―チエノ[3,2―f][1,2,4]トリアゾロ[4,3―a][1,4]ジアゼピン
別名:エチゾラム
構造:
3 化学名:7―ブロモ―5―(2―クロロフェニル)―1,3―ジヒドロ―2H―1,4―べンゾジアゼピン―2―オン及びその塩類
通称:フェナゼパム
構造: