添付一覧
○平成27年度夏季の電力需給対策を受けた事務所・作業場の室内温度等の取扱いについて
(平成27年6月29日)
(基安労発0629第1号)
(都道府県労働局労働基準部長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課長通知)
(契印省略)
平成27年5月22日に、「電力需給に関する検討会合」が開催され、2015年度(平成27年度)の夏季の電力需給見通しについて、経済産業省の「総合資源エネルギー調査会基本政策分科会」の下に設置された「電力需給検証小委員会」での第三者の専門家による検証結果を踏まえて、国民生活及び経済活動への影響を極力回避するよう配慮した上で、「2015年度夏季の電力需給対策について」(以下「電力需給対策」という。)が取りまとめられたところである(別添1参照)。
電力需給対策では、9電力管内(北海道電力、東北電力、東京電力、中部電力、関西電力、北陸電力、中国電力、四国電力及び九州電力)において、平成27年7月1日(水)から平成27年9月30日(水)までの平日(ただし、8月13日(木)及び14日(金)を除く)の9:00から20:00までの時間帯に数値目標を設けない節電要請をしているところである。
電力需給対策で事業者向けに具体的に提示された「節電メニュー(別添2参照)」のうち、事務所の室温、照明及び空調に関する内容と、事務所衛生基準規則(昭和47年労働省令第43号。以下「事務所則」という。)等に規定されている、事業者が講ずべき措置等との関係は、下記のとおりであるので、当該期間における事業場への指導等に当たり留意されたい。
なお、本取扱いに関し、別添3のとおり、関係団体の長あてに通知していることを申し添える。
記
1 事務所の室内温度について
事務所の室内温度については、事務所則第5条第3項により、事務所に空気調和設備を設けている場合は、室内の温度が28度以下になるよう努めなければならないとされている。また、電力需給対策の2の(1)の①中においても、「熱中症等への健康被害に対して、配慮を行う。」と記載されていることから、上記対策に基づく電力抑制のため室内温度を引き上げる場合には、まずは28度を上限とするよう努めること。さらに電力抑制のために事業者の自主的な取組の一つとして室内温度を28度よりも引き上げることも考えられるが、その場合には、職場における熱中症を予防するため、平成21年6月19日付け基発第0619001号「職場における熱中症の予防について」に基づく熱中症予防対策を、当該事業場において講じること。
なお、平成27年の職場における熱中症予防対策の重点的な実施については、平成27年5月14日付け基安発0514第1号により通知しているので、関係事業場等に対する指導等に当たっては留意すること。
2 事務所その他の屋内作業の照度について
事務所の作業面の照度については、事務所則第10条第1項に定められているところであるが、事務作業を行う際の照度を電力抑制のために暗くする場合であっても、労働者の心身の負担を軽減するため、作業面の照度は、作業の区分にかかわらず、精密な作業の場合の規制値である300ルクス以上とすることが望ましいこと。また、VDT(Visual Display Terminals)作業を行う者については、平成14年4月5日付け基発第0405001号「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて」の3の(1)についても留意すること。
また、製造業の作業場など、事務所則の適用のない屋内作業場においては、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)第3編第4章の規定が適用され、作業面の照度の基準は、安衛則第604条に定めているところであるが、作業を行う際の照度を電力抑制のために暗くする場合であっても、労働者の心身の負担を軽減するため、作業面の照度は、作業の区分にかかわらず、精密な作業の場合の規制値である300ルクス以上とすることが望ましいこと。
3 事務所の換気について
事務所の換気については、空気調和設備又は機械換気設備の運転に当たり、過度な換気による電力消費及び冷房効率低下を抑制するために、外気に対する還流空気の混合比を大きくしようとするときは、室内の二酸化炭素の濃度が、事務所則第5条第1項第2号で定める基準(1,000ppm以下)に適合する範囲で調整すること。
別添1
2015年度夏季の電力需給対策について
2015年5月22日
電力需給に関する検討会合
2015年度夏季の電力需給見通しについては、経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会の下に設置した「電力需給検証小委員会」において、第三者の専門家による検証を行った。
政府としては、いかなる事態においても、国民生活や経済活動に支障がないよう、エネルギー需給の安定に万全を期すべく、電力需給検証小委員会による需給見通しを踏まえて、2015年度夏季の電力需給対策を決定する。
[1.2015年度夏季の電力需給見通し]
2015年度夏季の電力需給は、猛暑となるリスクや直近の経済成長の伸び、企業や家庭における節電の定着などを織り込んだ上で、老朽火力の最大限の活用等を前提に、いずれの電力管内でも電力の安定供給に最低限必要な予備率3%以上を確保できる見通しである。
ただし、関西電力及び九州電力管内は、単独では予備率3%を確保できず、他地域から受電せざるを得ないという厳しい状況にある。また、老朽火力を含む発電所の計画外停止は依然として増加傾向にあり、このまま火力発電所の稼働が高水準で推移すると、大規模な電源脱落が発生し、電力需給がひっ迫する可能性もあり、引き続き電力需給は予断を許さない状況である。
<2015年8月の電力需給見通し>
(万kW) |
東日本3社 |
北海道 |
東北 |
東京 |
中西日本6社 |
中部 |
関西 |
北陸 |
中国 |
四国 |
九州 |
9電力 |
沖縄 |
最大電力需要 |
7,007 |
472 |
1,445 |
5,090 |
9,253 |
2,597 |
2,791 |
545 |
1,128 |
549 |
1,643 |
16,260 |
156 |
供給力 |
7,687 |
513 |
1,524 |
5,650 |
9,706 |
2,725 |
2,875 |
580 |
1,217 |
616 |
1,693 |
17,393 |
225 |
供給―需要 |
680 |
41 |
79 |
560 |
453 |
128 |
84 |
35 |
89 |
67 |
50 |
1,133 |
68 |
予備率 |
9.7% |
8.7% |
5.5% |
11.0% |
4.9% |
4.9% |
3.0% |
6.4% |
7.9% |
12.1% |
3.0% |
7.0% |
43.7% |
(参考1)仮に電力間融通を行わなかった場合
(万kW) |
東日本3社 |
北海道 |
東北 |
東京 |
中西日本6社 |
中部 |
関西 |
北陸 |
中国 |
四国 |
九州 |
9電力 |
沖縄 |
最大電力需要 |
7,007 |
472 |
1,445 |
5,090 |
9,253 |
2,597 |
2,791 |
545 |
1,128 |
549 |
1,643 |
16,260 |
156 |
供給力 |
7,687 |
513 |
1,524 |
5,650 |
9,647 |
2,765 |
2,813 |
580 |
1,286 |
616 |
1,588 |
17,334 |
225 |
供給―需要 |
680 |
41 |
79 |
560 |
394 |
168 |
22 |
35 |
158 |
67 |
▲55 |
1,074 |
68 |
予備率 |
9.7% |
8.7% |
5.5% |
11.0% |
4.3% |
6.4% |
0.8% |
6.4% |
14.0% |
12.1% |
▲3.3% |
6.6% |
43.7% |
(参考2)仮に川内原子力発電所が稼働した場合
○1機目が稼働した場合
(万kW) |
東日本3社 |
北海道 |
東北 |
東京 |
中西日本6社 |
中部 |
関西 |
北陸 |
中国 |
四国 |
九州 |
9電力 |
沖縄 |
最大電力需要 |
7,007 |
472 |
1,445 |
5,090 |
9,253 |
2,597 |
2,791 |
545 |
1,128 |
549 |
1,643 |
16,260 |
156 |
供給力 |
7,687 |
513 |
1,524 |
5,650 |
9,801 |
2,745 |
2,875 |
580 |
1,258 |
616 |
1,727 |
17,488 |
225 |
供給―需要 |
680 |
41 |
79 |
560 |
547 |
148 |
84 |
35 |
130 |
67 |
84 |
1,228 |
68 |
予備率 |
9.7% |
8.7% |
5.5% |
11.0% |
5.9% |
5.7% |
3.0% |
6.4% |
11.6% |
12.1% |
5.1% |
7.5% |
43.7% |
※九州電力管内は単独で予備率3%以上を確保できるため、他地域からの受電は不要となる。
○2機目が稼働した場合
(万kW) |
東日本3社 |
北海道 |
東北 |
東京 |
中西日本6社 |
中部 |
関西 |
北陸 |
中国 |
四国 |
九州 |
9電力 |
沖縄 |
最大電力需要 |
7,007 |
472 |
1,445 |
5,090 |
9,253 |
2,597 |
2,791 |
545 |
1,128 |
549 |
1,643 |
16,260 |
156 |
供給力 |
7,687 |
513 |
1,524 |
5,650 |
9,896 |
2,745 |
2,875 |
580 |
1,258 |
616 |
1,822 |
17,583 |
225 |
供給―需要 |
680 |
41 |
79 |
560 |
643 |
148 |
84 |
35 |
130 |
67 |
179 |
1,323 |
68 |
予備率 |
9.7% |
8.7% |
5.5% |
11.0% |
6.9% |
5.7% |
3.0% |
6.4% |
11.6% |
12.1% |
10.9% |
8.1% |
43.7% |
[2.2015年度夏季の電力需給対策]
(1)節電協力要請(数値目標を設けない)
①現在定着している節電の取組が、国民生活、経済活動等への影響を極力回避した無理のない形で、確実に行われるよう、全国(沖縄電力管内を除く)で節電の協力を要請する。節電協力要請に当たっては、高齢者や乳幼児等の弱者、熱中症等の健康被害に対して、配慮を行う。
※2015年度夏季の需給見通しにおいて、節電の定着分(2010年度最大電力比)として以下の数値を見込んでいる。これらは節電を行うに当たっての目安となる。
北海道電力管内 ▲7.1% 東北電力管内 ▲4.4% 東京電力管内 ▲12.2%
中部電力管内 ▲4.9% 関西電力管内 ▲10.0% 北陸電力管内 ▲4.4%
中国電力管内 ▲3.7% 四国電力管内 ▲6.0% 九州電力管内 ▲8.6%
②節電協力要請期間・時間帯
2015年7月1日(水)から2015年9月30日(水)までの平日(ただし、8月13日(木)及び14日(金)を除く。)の9:00から20:00までの時間帯とする。
(2)需給ひっ迫への備え
大規模な電源脱落等により、万が一、電力需給がひっ迫する場合への備えとして、以下の対策を行う。
①発電所等の計画外停止のリスクを最小化するため、電力会社に対して、発電設備等の保守・保全を強化することを要請する。
②電力の安定供給を確保するため、電力広域的運営推進機関に対して、電力会社管内の需給状況を改善する必要があると認められる時は、他の電力会社に対し、速やかに融通を指示するなど必要な対応を講じることを要請する。
③自家発電設備の活用を図るため、中西日本において設備の増強等を行う事業者に対して補助を行う。
④電力会社に対して、随時調整契約等の積み増し、ディマンドリスポンス等、需要面での取組の促進を図ることを要請する。
⑤需要家の節電を促進するため、事業者及び家庭向けに具体的でわかりやすい節電メニューの周知や需要家と連動した「節電・省エネキャンペーン」を行う。
(3)ひっ迫に備えた情報発信
①電力会社は、電力需給状況や予想電力需要についての情報発信を自ら行うとともに、民間事業者等(インターネット事業者等)への情報提供を積極的に行う。
②上記の対策にもかかわらず、電力需給のひっ迫が予想される場合には、政府は、「需給ひっ迫警報」を発出し、一層の節電の協力を要請する。
別添2
[様式ダウンロード]
別添3
○平成27年度夏季の電力需給対策を受けた事務所・作業場の室内温度等の取扱いについて
(平成27年6月29日)
(基安労発0629第2号)
(別紙関係団体の長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生長通知)
平成27年5月22日に、「電力需給に関する検討会合」が開催され、2015年度(平成27年度)の夏季の電力需給見通しについて、経済産業省の「総合資源エネルギー調査会基本政策分科会」の下に設置された「電力需給検証小委員会」での第三者の専門家による検証結果を踏まえて、国民生活及び経済活動への影響を極力回避するよう配慮した上で、「2015年度夏季の電力需給対策について」(以下「電力需給対策」という。)が取りまとめられたところです(別添1参照)。
電力需給対策では、9電力管内(北海道電力、東北電力、東京電力、中部電力、関西電力、北陸電力、中国電力、四国電力及び九州電力)において、平成27年7月1日(水)から平成27年9月30日(水)までの平日(ただし、8月13日(木)及び14日(金)を除く)の9:00から20:00までの時間帯に数値目標を設けない節電要請をしているところです。
電力需給対策で事業者向けに具体的に提示された「節電メニュー(別添2参照)」のうち、事務所の室温、照明及び空調に関する内容と、事務所衛生基準規則(昭和47年労働省令第43号。以下「事務所則」という。)等に規定されている事業者が講ずべき措置等との関係は、下記のとおりですので、貴団体会員等各位に対し、周知方ご協力をいただきますようお願い申し上げます。
記
1 事務所の室内温度について
事務所の室内温度については、事務所則第5条第3項により、事務所に空気調和設備を設けている場合は、室内の温度が28度以下になるよう努めなければならないとされている。また、電力需給対策の2の(1)の①中においても、「熱中症等への健康被害に対して、配慮を行う。」と記載されていることから、上記対策に基づく電力抑制のため室内温度を引き上げる場合には、まずは28度を上限とするよう努めること。さらに電力抑制のために事業者の自主的な取組の一つとして室内温度を28度よりも引き上げることも考えられるが、その場合には、職場における熱中症を予防するため、平成21年6月19日付け基発第0619001号「職場における熱中症の予防について」に基づく熱中症予防対策を、当該事業場において講じること。
なお、平成27年の職場における熱中症予防対策の重点的な実施については、平成27年5月14日付け基安発0514第2号により示しているので、参考にすること。
2 事務所その他の屋内作業の照度について
事務所の作業面の照度については、事務所則第10条第1項に定められているところであるが、事務作業を行う際の照度を電力抑制のために暗くする場合であっても、労働者の心身の負担を軽減するため、作業面の照度は、作業の区分にかかわらず、精密な作業の場合の規制値である300ルクス以上とすることが望ましいこと。また、VDT(Visual Display Terminals)作業を行う者については、平成14年4月5日付け基発第0405001号「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて」の3の(1)についても留意すること。
また、製造業の作業場など、事務所則の適用のない屋内作業場においては、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)第3編第4章の規定が適用され、作業面の照度の基準は、安衛則第604条に定めているところであるが、作業を行う際の照度を電力抑制のために暗くする場合であっても、労働者の心身の負担を軽減するため、作業面の照度は、作業の区分にかかわらず、精密な作業の場合の規制値である300ルクス以上とすることが望ましいこと。
3 事務所の換気について
事務所の換気については、空気調和設備又は機械換気設備の運転に当たり、過度な換気による電力消費及び冷房効率低下を抑制するために、外気に対する還流空気の混合比を大きくしようとするときは、室内の二酸化炭素の濃度が、事務所則第5条第1項第2号で定める基準(1,000ppm以下)に適合する範囲で調整すること。
別紙