添付一覧
《表の見方》
1.「程度」は、診断書の記載項目である「日常生活能力の程度」の5段階評価を指す。
2.「判定平均」は、診断書の記載項目である「日常生活能力の判定」の4段階評価について、程度の軽いほうから1~4の数値に置き換え、その平均を算出したものである。
3.表内の「3級」は、障害基礎年金を認定する場合には「2級非該当」と置き換えることとする。
《留意事項》
障害等級の目安は総合評価時の参考とするが、個々の等級判定は、診断書等に記載される他の要素も含めて総合的に評価されるものであり、目安と異なる認定結果となることもあり得ることに留意して用いること。
〔表2〕総合評価の際に考慮すべき要素の例
①現在の病状又は状態像
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考慮すべき要素 |
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具体的な内容例 |
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共通事項 |
○ 認定の対象となる複数の精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断する。 |
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○ ひきこもりについては、精神障害の病状の影響により、継続して日常生活に制限が生じている場合は、それを考慮する。 |
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精神障害 |
○ 統合失調症については、療養及び症状の経過(発病時からの状況、最近1年程度の症状の変動状況)や予後の見通しを考慮する。 |
― |
○ 統合失調症については、妄想・幻覚などの異常体験や、自閉・感情の平板化・意欲の減退などの陰性症状(残遺状態)の有無を考慮する。 |
・ 陰性症状(残遺状態)が長期間持続し、自己管理能力や社会的役割遂行能力に著しい制限が認められれば、1級または2級の可能性を検討する。 |
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○ 気分(感情)障害については、現在の症状だけでなく、症状の経過(病相期間、頻度、発病時からの状況、最近1年程度の症状の変動状況など)及びそれによる日常生活活動等の状態や予後の見通しを考慮する。 |
・ 適切な治療を行っても症状が改善せずに、重篤なそうやうつの症状が長期間持続したり、頻繁に繰り返している場合は、1級または2級の可能性を検討する。 |
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知的障害 |
○ 知能指数を考慮する。ただし、知能指数のみに着眼することなく、日常生活の様々な場面における援助の必要度を考慮する。 |
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○ 不適応行動を伴う場合に、診断書の⑩「ア 現在の病状又は状態像」のⅦ知能障害等またはⅧ発達障害関連症状と合致する具体的記載があれば、それを考慮する。 |
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発達障害 |
○ 知能指数が高くても日常生活能力が低い(特に対人関係や意思疎通を円滑に行うことができない)場合は、それを考慮する。 |
― |
○ 不適応行動を伴う場合に、診断書の⑩「ア 現在の病状又は状態像」のⅦ知能障害等またはⅧ発達障害関連症状と合致する具体的記載があれば、それを考慮する。 |
― |
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○ 臭気、光、音、気温などの感覚過敏があり、日常生活に制限が認められれば、それを考慮する。 |
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②療養状況
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考慮すべき要素 |
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具体的な内容例 |
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共通事項 |
○ 通院の状況(頻度、治療内容など)を考慮する。薬物治療を行っている場合は、その目的や内容(種類・量(記載があれば血中濃度)・期間)を考慮する。また、服薬状況も考慮する。 通院や薬物治療が困難又は不可能である場合は、その理由や他の治療の有無及びその内容を考慮する。 |
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精神障害 |
○ 入院時の状況(入院期間、院内での病状の経過、入院の理由など)を考慮する。 |
・ 病棟内で、本人の安全確保などのために、常時個別の援助が継続して必要な場合は、1級の可能性を検討する。 |
○ 在宅での療養状況を考慮する。 |
・ 在宅で、家族や重度訪問介護等から常時援助を受けて療養している場合は、1級または2級の可能性を検討する。 |
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知的障害 発達障害 |
○ 著しい不適応行動を伴う場合や精神疾患が併存している場合は、その療養状況も考慮する。 |
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③生活環境
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考慮すべき要素 |
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具体的な内容例 |
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共通事項 |
○ 家族等の日常生活上の援助や福祉サービスの有無を考慮する。 |
・ 独居であっても、日常的に家族等の援助や福祉サービスを受けることによって生活できている場合(現に家族等の援助や福祉サービスを受けていなくても、その必要がある状態の場合も含む)は、それらの支援の状況(または必要性)を踏まえて、2級の可能性を検討する。 |
○ 入所施設やグループホーム、日常生活上の援助を行える家族との同居など、支援が常態化した環境下では日常生活が安定している場合でも、単身で生活するとしたときに必要となる支援の状況を考慮する。 |
― |
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○ 独居の場合、その理由や独居になった時期を考慮する。 |
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精神障害 |
― |
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知的障害 発達障害 |
○ 在宅での援助の状況を考慮する。 |
・ 在宅で、家族や重度訪問介護等から常時個別の援助を受けている場合は、1級または2級の可能性を検討する。 |
○ 施設入所の有無、入所時の状況を考慮する。 |
・ 入所施設において、常時個別の援助が必要な場合は、1級の可能性を検討する。 |
④就労状況
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考慮すべき要素 |
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具体的な内容例 |
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共通事項 |
○ 労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況などを十分確認したうえで日常生活能力を判断する。 |
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○ 援助や配慮が常態化した環境下では安定した就労ができている場合でも、その援助や配慮がない場合に予想される状態を考慮する。 |
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○ 相当程度の援助を受けて就労している場合は、それを考慮する。 |
・ 就労系障害福祉サービス(就労継続支援A型、就労継続支援B型)及び障害者雇用制度による就労については、1級または2級の可能性を検討する。就労移行支援についても同様とする。 ・ 障害者雇用制度を利用しない一般企業や自営・家業等で就労している場合でも、就労系障害福祉サービスや障害者雇用制度における支援と同程度の援助を受けて就労している場合は、2級の可能性を検討する。 |
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○ 就労の影響により、就労以外の場面での日常生活能力が著しく低下していることが客観的に確認できる場合は、就労の場面及び就労以外の場面の両方の状況を考慮する。 |
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○ 一般企業(障害者雇用制度による就労を除く)での就労の場合は、月収の状況だけでなく、就労の実態を総合的にみて判断する。 |
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精神障害 |
○ 安定した就労ができているか考慮する。1年を超えて就労を継続できていたとしても、その間における就労の頻度や就労を継続するために受けている援助や配慮の状況も踏まえ、就労の実態が不安定な場合は、それを考慮する。 |
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○ 発病後も継続雇用されている場合は、従前の就労状況を参照しつつ、現在の仕事の内容や仕事場での援助の有無などの状況を考慮する。 |
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○ 精神障害による出勤状況への影響(頻回の欠勤・早退・遅刻など)を考慮する。 |
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○ 仕事場での臨機応変な対応や意思疎通に困難な状況が見られる場合は、それを考慮する。 |
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知的障害 |
○ 仕事の内容が専ら単純かつ反復的な業務であれば、それを考慮する。 |
・ 一般企業で就労している場合(障害者雇用制度による就労を含む)でも、仕事の内容が保護的な環境下での専ら単純かつ反復的な業務であれば、2級の可能性を検討する。 |
○ 仕事場での意思疎通の状況を考慮する。 |
・ 一般企業で就労している場合(障害者雇用制度による就労を含む)でも、他の従業員との意思疎通が困難で、かつ不適切な行動がみられることなどにより、常時の管理・指導が必要な場合は、2級の可能性を検討する。 |
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発達障害 |
○ 仕事の内容が専ら単純かつ反復的な業務であれば、それを考慮する。 |
・ 一般企業で就労している場合(障害者雇用制度による就労を含む)でも、仕事の内容が保護的な環境下での専ら単純かつ反復的な業務であれば、2級の可能性を検討する。 |
○ 執着が強く、臨機応変な対応が困難である等により常時の管理・指導が必要な場合は、それを考慮する。 |
・ 一般企業で就労している場合(障害者雇用制度による就労を含む)でも、執着が強く、臨機応変な対応が困難であることなどにより、常時の管理・指導が必要な場合は、2級の可能性を検討する。 |
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○ 仕事場での意思疎通の状況を考慮する。 |
・ 一般企業で就労している場合(障害者雇用制度による就労を含む)でも、他の従業員との意思疎通が困難で、かつ不適切な行動がみられることなどにより、常時の管理・指導が必要な場合は、2級の可能性を検討する。 |
⑤その他
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考慮すべき要素 |
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具体的な内容例 |
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共通事項 |
○ 「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」に齟齬があれば、それを考慮する。 |
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○ 「日常生活能力の判定」の平均が低い場合であっても、各障害の特性に応じて特定の項目に著しく偏りがあり、日常生活に大きな支障が生じていると考えられる場合は、その状況を考慮する。 |
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精神障害 |
○ 依存症については、精神病性障害を示さない急性中毒の場合及び明らかな身体依存が見られるか否かを考慮する。 |
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知的障害 |
○ 発育・養育歴、教育歴などについて、考慮する。 |
・ 特別支援教育、またはそれに相当する支援の教育歴がある場合は、2級の可能性を検討する。 |
○ 療育手帳の有無や区分を考慮する。 |
・ 療育手帳の判定区分が中度以上(知能指数がおおむね50以下)の場合は、1級または2級の可能性を検討する。それより軽度の判定区分である場合は、不適応行動等により日常生活に著しい制限が認められる場合は、2級の可能性を検討する。 |
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○ 中高年になってから判明し請求する知的障害については、幼少期の状況を考慮する。 |
・ 療育手帳がない場合、幼少期から知的障害があることが、養護学校や特殊学級の在籍状況、通知表などから客観的に確認できる場合は、2級の可能性を検討する。 |
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発達障害 |
○ 発育・養育歴、教育歴、専門機関による発達支援、発達障害自立訓練等の支援などについて、考慮する。 |
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○ 知的障害を伴う発達障害の場合、発達障害の症状も勘案して療育手帳を考慮する。 |
・ 療育手帳の判定区分が中度より軽い場合は、発達障害の症状により日常生活に著しい制限が認められれば、1級または2級の可能性を検討する。 |
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○ 知的障害を伴わない発達障害は、社会的行動や意思疎通能力の障害が顕著であれば、それを考慮する。 |
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○ 青年期以降に判明した発達障害については、幼少期の状況、特別支援教育またはそれに相当する支援の教育歴を考慮する。 |
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[別添2]
障害年金(精神の障害)の等級判定に必要な情報の充実を図るための新規書類の作成について
1.目的
障害認定基準において、精神の障害の程度は「その原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定する」こととされており、実際の障害の程度の診査においては、障害認定診査医員(以下「認定医」という。)が診断書や病歴・就労状況等申立書の記載内容等から病状や日常生活状況等の様々な情報を確認して等級判定を行っているところである。
精神障害及び知的障害に係る障害等級の判定を行う際に用いるガイドライン(以下「ガイドライン」という。)の策定を目的として開催された「精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会」(以下「専門家検討会」という。)において、構成員や障害者の関係団体から「診断書等の書類の記載内容にばらつきがあったり、十分でないことから、請求者本人の病状や日常生活状況を適切に把握し、認定することが困難になっている。」との指摘があった。
専門家検討会でのこうした議論を踏まえ、適切な等級判定に必要な情報の充実を図るための対策として、下記2及び3の書類を新たに作成し、ガイドラインとあわせて実施する。
2.診断書(精神の障害用)の記載要領
「診断書(精神の障害用)の記載要領」(以下「記載要領」という。)は、医師が精神の障害に関する診断書を作成する際に、障害年金の認定における診断書情報の重要性について理解を深め、記載方法を適宜確認できるようにすることにより、適切かつ充足した内容の診断書が作成されるよう、診断書の各欄に関する記載例や留意すべきポイントなどを示したものである。
記載要領の様式は別紙1のとおりとし、障害認定基準が改正された場合等、必要に応じて見直しを行う。
3.日常生活及び就労に関する状況について(照会)
「日常生活及び就労に関する状況について(照会)」(以下「照会文書」という。)は、認定医が障害の程度を診査するにあたり、診断書や病歴・就労状況等申立書など現行の提出書類に記載された内容に加えて、障害年金請求者や受給者(以下「請求者等」という。)の診査時点における詳細な日常生活状況を確認することが必要であると判断した場合に、請求者等に対して照会を行う際に使用する。
照会文書の様式は別紙2のとおりとし、今後の実施状況等を踏まえ、必要に応じて見直しを行う。
照会文書の運用方法及び留意事項は次のとおり。
① 照会文書の提出を求めることが望ましい場合を下記に例示する。ただし、診断書を作成した医師へ照会を行う方が適切であると認定医が認める場合には、医師へ照会する。
・ 診査の結果、ガイドラインの等級の目安と大きく異なる等級を検討する必要がある場合
・ 診断書の「日常生活能力の程度」の評価と「日常生活能力の判定」の評価の整合性が低く、参考となる目安がない場合
・ 再認定時の診査において、現在の等級から下位等級への変更や2級(又は3級)非該当への変更を検討する必要がある場合
② 照会文書は、請求者等本人や家族のほか、日常的に本人と接していて、日常生活状況をよく把握している第三者(地域や職場での支援者など)が記載することも可能とする。
(別紙1)
(別紙2)