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○オクスカルバゼピン製剤の使用に当たっての留意事項について

(平成28年7月4日)

(/薬生薬審発0704第1号/薬生安発0704第1号/)

(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長、厚生労働省医薬・生活衛生局安全対策課長通知)

(公印省略)

オクスカルバゼピン製剤(販売名:オクノベル錠150mg、同錠300mg及び同内用懸濁液6%。以下「本剤」という。)については、本日、「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法」を効能又は効果として承認したところですが、国内臨床試験において本剤の漸増期間に高度の発疹等が認められたこと、また、これを踏まえ、当該試験の設定よりも緩徐な漸増法を用法・用量として承認したことから、その使用に当たっては、特に下記の点について留意されるよう、貴管下の医療機関及び薬局に対する周知をお願いします。

1.本剤の適正使用について

(1) 本剤については、承認に際し、製造販売業者による製造販売後臨床試験の速やかな実施、適正な流通管理等をその条件として付したこと。

【承認条件】

①医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

②設定された用法及び用量における安全性及び有効性の確認を目的として、製造販売後臨床試験を速やかに実施し、結果を報告すること。

③本剤による重篤な皮膚障害に対して、他の医療機関との連携も含めて十分に対応できる体制が確認できた医療機関・薬局において、てんかんの診断、治療に精通し、本剤の適正使用について十分に理解している医師によって処方が行われるよう、製造販売にあたって本剤に関する管理者の設置も含め必要な措置を講じること。

(2) 本剤の警告、効能又は効果、並びに用法及び用量は以下のとおりであるので、特段の留意をお願いすること。なお、その他の使用上の注意については、添付文書を参照されたいこと。

【警告】

本剤の投与により中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis: TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、薬剤性過敏症症候群等の全身症状を伴う重篤な皮膚障害があらわれることがある。特に漸増期には全身の広範囲に及ぶ高度の発疹等が多く認められていることから、本剤による治療においては以下の事項に注意すること。〔「用法・用量」、「用法・用量に関連する使用上の注意」、「重要な基本的注意」及び「副作用」の項参照〕

①本剤の「用法・用量」を遵守し、増量する場合には患者の状態を慎重に観察すること。

②発疹発現時には早期に皮膚科専門医に相談し、適切な処置を行うこと。また、発疹に加え以下に示す症状があらわれた場合には重篤な皮膚障害に至ることがあるので、直ちに本剤の投与を中止すること。

発熱(38℃以上)、眼充血、口唇・口腔粘膜のびらん、咽頭痛、全身倦怠感、リンパ節腫脹 等

③患者又は家族に対して、発疹や上記の症状があらわれた場合には直ちに受診するよう指導すること。

【効能・効果】

他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法

<効能・効果に関連する使用上の注意>

15歳以上の患者における有効性及び安全性については確立していないため、15歳以上の患者には本剤の新規投与は行わないこと。また、15歳未満で本剤の治療を開始した患者において、15歳以降も継続して本剤を使用する場合には、患者の状態を十分観察し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

【用法・用量】

通常、4歳以上の小児には、オクスカルバゼピンとして1日8~10mg/kg又は600mgのいずれか低い方の用量で投与を開始する。増量は1週間以上の間隔をあけて、1日の増量幅として10mg/kg又は600mgのいずれか低い方を超えない範囲で行う。維持用量は下表のとおりとするが、症状により適宜減量すること。なお、いずれも1日2回に分けて経口投与すること。

体重別の維持用量

体重

維持用量

15.0kg以上 20.0kg未満

1日600mg

20.0kg以上 29.0kg以下

1日900mg

29.1kg以上 39.0kg以下

1日1,200mg

39.1kg以上

1日1,800mg

<用法・用量に関連する使用上の注意>

①本剤の投与初期に、高度の発疹等が発現することがあり、特に短期間に漸増した場合に発現する傾向がみられることから、本剤を漸増する場合には、「用法・用量」を遵守し、慎重に投与すること。

〔「警告」、「重要な基本的注意」及び「副作用」の項参照〕

②本剤は他の抗てんかん薬と併用して使用すること。〔国内臨床試験において、本剤単独投与での使用経験はない。〕

③腎機能が低下している患者では、本剤の活性代謝物のクリアランスが低下するため、本剤の投与にあたっては減量を考慮すること。また、クレアチニンクリアランスが30mL/分未満の場合には、開始用量、増量幅及び1日最高投与量を半量にするなど慎重に投与すること。〔「薬物動態」の項参照〕

(3) 本剤の流通管理の基本は別添のとおりであり、その概要は以下のとおりであること。

①製造販売業者は、本剤を処方するすべての医師及び皮膚科医を対象に、本剤の安全性及び適正使用情報の周知を行った上で、皮膚科医との連携が確認できた医師(以下「処方医」という。)に対して、氏名及び所属医療機関並びに連携する皮膚科医及び所属医療機関をデータベースに登録(e―登録)依頼

②製造販売業者は、薬局の薬剤師に対しても、本剤の安全性及び適正使用に関する情報提供を行い、薬剤師の所属する薬局又は医療機関をデータベースに登録

③薬剤師は、登録された処方医が発行した処方箋であることを確認した上で調剤

2.本剤の流通管理に関する周知事項について

(1) 本剤については、上記1(3)の流通管理がなされること。

(2) 上記1(3)①及び②の情報提供及びデータベースへの登録を希望する医師及び薬剤師については、製造販売業者への問合せ等をお願いしたいこと。

(3) 薬剤師は本剤の調剤前に、登録された処方医が発行した処方箋であることを確認すること。また、その確認ができない場合には、調剤することを拒むこと。

(4) 上記(3)に基づく理由により調剤を拒むことについては、薬剤師法(昭和35年法律第146号)第21条(調剤の求めに応ずる義務)の「正当な理由」に当たるものと解されること。

3.医療機関における適正使用に関する周知事項について

本剤については、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第79条に基づき、承認取得者である製造販売業者に対し、「設定された用法及び用量における安全性及び有効性の確認を目的として、製造販売後臨床試験を速やかに実施する」よう義務付けたので、その臨床試験の実施にご協力願いたいこと。

(別添)