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○「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律」の公布及び一部の施行について(通知)〔障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律〕
(平成28年6月3日)
(障発0603第1号)
(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)
(公印省略)
「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律」(平成28年法律第65号)については、本年3月1日に第190回通常国会に提出され、同年5月25日に可決成立し、本日付けで公布されたところである。
(別紙)
この法律の主な内容は下記のとおりであるので、十分御了知の上、管内市町村(特別区を含む。)、関係者、関係団体等に対して周知徹底を図るとともに、その運用に遺漏のないよう御配意願いたい。
なお、この法律は、一部の規定を除き、平成30年4月1日から施行することとされており、今後、必要な政省令等を順次制定していくことになるが、その内容については別途連絡する予定であるので、あらかじめ御承知おき願いたい。
記
第一 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)の一部改正
1 重度訪問介護の訪問先の拡大について(第5条第3項関係)
重度訪問介護を提供することができる場所として、「居宅に相当する場所として厚生労働省令で定める場所」を加えることとしたこと。
2 就労定着支援の創設について(第5条第15項関係)
就労に向けた一定の支援を受けて通常の事業所に新たに雇用された障害者について、一定の期間にわたり、当該事業所での就労の継続を図るために必要な事業主、障害福祉サービス事業を行う者、医療機関等との連絡調整等の便宜を供与する「就労定着支援」を創設することとしたこと。
3 自立生活援助の創設について(第5条第16項関係)
施設入所支援又は共同生活援助を受けていた障害者等が居宅における自立した日常生活を営む上での問題について、一定の期間にわたり、定期的な巡回訪問により、又は随時通報を受け、当該障害者からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言等の援助を行う「自立生活援助」を創設することとしたこと。
4 指定事務受託法人制度の創設について(第11条の2関係)
障害者等及び障害福祉サービス等を行う者その他の者に対して市町村又は都道府県が行う自立支援給付に関する質問について、都道府県知事が指定する法人に委託することを可能としたこと。
5 国民健康保険団体連合会への給付費の審査の委託について(第29条第7項、第51条の14第7項及び第51条の17第6項関係)
介護給付費、訓練等給付費、地域相談支援給付費及び計画相談支援給付費等の請求があったときに市町村が行う審査について、国民健康保険団体連合会に委託することを可能としたこと。
6 補装具費の支給範囲の拡大について(第76条第1項関係)
補装具の借受けによることが適当である場合に、当該借受けに要する費用についても補装具費を支給するものとしたこと。
7 高額障害福祉サービス等給付費の支給対象の拡大について(第76条の2第1項関係)
65歳に達する前に長期間にわたり障害福祉サービス(介護保険法(平成9年法律第123号)の介護給付費等対象サービスに相当するものとして政令で定めるものに限る。)に係る支給決定を受けていた障害者であって、同法の介護給付費等対象サービス(障害福祉サービスに相当するものとして政令で定めるものに限る。)を受けているもののうち、当該障害者の所得の状況及び障害の程度その他の事情を勘案して政令で定めるものに対し、高額障害福祉サービス等給付費を支給するものとしたこと。
8 サービス提供者の情報公表制度の創設について(第76条の3関係)
障害福祉サービス等の内容及び障害福祉サービス等を提供する事業者又は施設の運営状況に関する情報であって、障害者等が適切かつ円滑に障害福祉サービス等を利用する機会を確保するために公表されることが適当な情報について、都道府県知事は、事業者又は施設からの報告に基づき、その内容を公表しなければならないものとしたこと。
第二 児童福祉法(昭和22年法律第164号)の一部改正
1 居宅訪問型児童発達支援の創設について(第6条の2の2第5項関係)
重度の障害の状態にある障害児等であって、児童発達支援等を受けるために外出することが著しく困難なものについて、居宅を訪問し、日常生活における基本的な動作の指導等の便宜を供与する「居宅訪問型児童発達支援」を創設することとしたこと。
2 保育所等訪問支援の支援対象の拡大について(第6条の2の2第6項関係)
保育所等訪問支援を利用することができる者として、乳児院等に入所する障害児を加えることとしたこと。
3 障害児福祉計画の作成について(第21条の5の15第2項及び第5項、第24条の9第1項及び第2項並びに第33条の19から第33条の25まで関係)
厚生労働大臣は、障害児通所支援等の円滑な実施を確保するための基本的な指針を定め、市町村及び都道府県は、当該指針に即して、障害児通所支援等の提供体制の確保その他障害児通所支援等の円滑な実施に関する計画(障害児福祉計画)を定めるものとし、当該計画は障害福祉計画と一体のものとして作成することができるものとしたこと。
また、特定の障害児通所支援事業者及び障害児入所施設の指定について、都道府県が定める区域における支援の量が都道府県の障害児福祉計画で定める必要量に達しているとき等は、都道府県知事は、指定申請について指定をしないことができるものとしたこと。
4 医療的ケア児に対する各種支援の連携について(第56条の6第2項関係)
地方公共団体は、人工呼吸器を装着している障害児その他の日常生活を営むために医療を要する状態にある障害児が、その心身の状況に応じた適切な保健、医療、福祉等の支援を受けられるよう、これらの支援を行う機関との連絡調整を行うための体制の整備に関し、必要な措置を講ずるように努めなければならないものとしたこと。
5 その他の改正について
第一の4、5及び8と同様の改正を行うこととしたこと。
第三 施行期日等
1 施行期日について(附則第1条関係)
この法律は、平成30年4月1日から施行するものとしたこと。ただし、第二の4は、公布の日から施行するものとしたこと。
2 検討規定について(附則第2条関係)
政府は、この法律の施行後3年を目途として、改正後の障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の規定について、その施行の状況等を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしたこと。
3 経過措置等について(附則第3条から附則第9条まで及び附則第12条から附則第19条まで関係)
必要な経過措置を定めるとともに、関係法律について所要の規定の整備を行うこととしたこと。