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代謝疾患による障害の程度は、合併症の有無及びその程度、代謝のコントロール状態治療及び症状の経過、具体的な日常生活状況等を十分考慮し、総合的に認定するものとし、当該疾病の認定の時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級に、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級に該当するものと認定する。

2 認定要領

(1) 代謝疾患は、糖代謝、脂質代謝、蛋白代謝、尿酸代謝、その他の代謝の異常に分けられる。

(2) 糖尿病による障害の程度は、合併症の有無及びその程度、代謝のコントロール状態治療及び症状の経過、具体的な日常生活状況等を十分考慮し、総合的に認定する。

(3) 糖尿病は、血糖が治療、一般生活状態の規制等によりコントロールされている場合には認定の対象とならない。

但し、インスリン療法の自己管理が出来ない場合は認定の対象とする。

(4) 代謝疾患による障害の程度を一般状態区分表で示すと次のとおりである。

一般状態区分表

区分

一般状態

歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助のいることもあり、軽い運動はできないが、日中の50%以上は起居しているもの

身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの

身のまわりのこともできず、常に介助がいり、終日就床を必要としており、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの

(5) その他の代謝疾患は、合併症の有無及びその程度、治療及び症状の経過、一般検査及び特殊検査の検査成績、認定時の具体的な日常生活状況等を十分考慮して、総合的に認定する。

第15節/悪性新生物

悪性新生物による障害の程度は、次により認定する。

1 認定基準

悪性新生物については、次のとおりである。

障害の程度

障害の状態

1級

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの

2級

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

悪性新生物による障害の程度は、組織所見とその悪性度、一般検査及び特殊検査、画像検査等の検査成績、転移の有無、病状の経過と治療効果等を参考にして、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するものとし、当該疾病の認定の時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級に、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級に該当するものと認定する。

2 認定要領

(1) 悪性新生物は、全身のほとんどの臓器に発生するため、現れる病状は様々であり、それによる障害も様々である。

(2) 悪性新生物の検査には、一般検査の他に、組織診断検査、腫瘍マーカー検査、超音波検査、X線CT検査、MRI検査、血管造影検査、内視鏡検査等がある。

(3) 悪性新生物による障害は、次のように区分する。

ア 悪性新生物そのもの(原発巣、転移巣を含む。)によって生ずる局所の障害

イ 悪性新生物そのもの(原発巣、転移巣を含む。)による全身の衰弱又は機能の障害

ウ 悪性新生物に対する治療の結果として起こる全身衰弱又は機能の障害

(4) 悪性新生物による障害の程度を一般状態区分表で示すと次のとおりである。

一般状態区分表

区分

一般状態

歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助のいることもあり、軽い運動はできないが、日中の50%以上は起居しているもの

身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの

身のまわりのこともできず、常に介助がいり、終日就床を必要としており、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの

(5) 悪性新生物による障害の程度は、基本的には認定基準に掲げられている障害の状態を考慮するものであるが、各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。

障害の程度

障害の状態

1級

著しい衰弱又は障害のため、一般状態区分表のウに該当するもの

2級

衰弱又は障害のため、一般状態区分表のイ又はアに該当するもの

(6) 悪性新生物そのものによるか又は悪性新生物に対する治療の結果として起こる障害の程度は、本章各節の認定要領により認定する。

(7) 悪性新生物による障害の程度の認定例は、(5)に示したとおりであるが、全身衰弱と機能障害とを区別して考えることは、悪性新生物という疾患の本質から、本来不自然なことが多く、認定に当たっては組織所見とその悪性度、一般検査及び特殊検査、画像診断等の検査成績、転移の有無、病状の経過と治療効果などを参考とし、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して、総合的に認定する。

(8) 転移性悪性新生物は、原発とされるものと組織上一致するか否か、転移であることを確認できたものは、相当因果関係があるものと認められる。

第16節/その他の障害

その他の疾患による障害の程度は、次により認定する。

1 認定基準

その他の疾患については、次のとおりである。

障害の程度

障害の状態

1級

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの

2級

身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

その他の障害の程度は、全身状態、栄養状態、年齢、術後の経過、予後、原疾患の性質、進行状況等、具体的な日常生活状況等を考慮し、総合的に認定するものとし、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状があり、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級に、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級に該当するものと認定する。

2 認定要領

(1) その他の疾患は、「第1節/眼の障害」から「第15節/悪性新生物」において取り扱われていない疾患を指すものであるが、本節においては、腹部臓器・骨盤臓器の術後後遺症、人工肛門・新膀胱、遷延性植物状態、いわゆる難病及び臓器移植の取扱いを定める。

(2) 腹部臓器・骨盤臓器の術後後遺症

ア 腹部臓器・骨盤臓器の術後後遺症とは、胃切除によるダンピング症候群等、短絡的腸吻合術による盲管症候群、虫垂切除等による癒着性腸閉塞又は癒着性腹膜炎、短腸症候群、腸ろう等をいう。

イ 腹部臓器・骨盤臓器の術後後遺症の障害の程度は、全身状態、栄養状態、年齢、術後の経過、予後、原疾患の性質、進行状況、具体的な日常生活状況等を考慮し、総合的に認定するものとする。

(3) 人工肛門・新膀胱

次のものは2級と認定する。

ア 人工肛門を造設し、かつ、新膀胱を造設したもの又は尿路変更術を施したもの

イ 人工肛門を造設し、かつ、完全排尿障害(カテーテル留置又は自己導尿の常時施行を必要とする)状態にあるもの

なお、全身状態、術後の経過及び予後、原疾患の性質、進行状況等により総合的に判断し、さらに上位等級に認定する。

(4) 遷延性植物状態については、次により取り扱う。

ア 遷延性植物状態については、日常生活の用を弁ずることができない状態であると認められるため、1級と認定する。

イ 障害の程度を認定する時期は、その障害の状態に至った日から起算して3月を経過した日以後に、医学的観点から、機能回復がほとんど望めないと認められるときとする。

(5) いわゆる難病については、その発病の時期が不定、不詳であり、かつ、発病は緩徐であり、ほとんどの疾患は、臨床症状が複雑多岐にわたっているため、その認定に当たっては、客観的所見に基づいた日常生活能力等の程度を十分考慮して総合的に認定するものとする。

なお、厚生労働省研究班や関係学会で定めた診断基準、治療基準があり、それに該当するものは、病状の経過、治療効果等を参考とし、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して、総合的に認定する。

(6) 臓器移植の取扱い

ア 臓器移植を受けたものに係る障害認定に当たっては、術後の症状、治療経過及び検査成績等を十分に考慮して総合的に認定する。

イ 障害等級に該当するものが、臓器移植を受けた場合は、臓器が生着し、安定的に機能するまでの間、少なくとも1年間は従前の等級とする。

(7) 障害の程度は、一般状態が次表の一般状態区分表のウに該当するものは1級に、同表のイ又はアに該当するものは2級におおむね相当するので、認定に当たっては、参考とする。

一般状態区分表

区分

一般状態

歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助のいることもあり、軽い運動はできないが、日中の50%以上は起居しているもの

身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの

身のまわりのこともできず、常に介助がいり、終日就床を必要としており、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるもの

(8) 「第1節/眼の障害」から「第15節/悪性新生物」及び本節に示されていない障害及び障害の程度については、その障害によって生じる障害の程度を医学的に判断し、最も近似している認定基準の障害の程度に準じて認定する。

第17節/重複障害

身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が重複する場合の障害の程度は、次により認定する。

1 認定基準

障害の程度

障害の状態

1級

身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が重複する場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの

2級

身体の機能の障害若しくは病状又は精神の障害が重複する場合であって、その状態が前各号と同程度以上と認められる程度のもの

2 認定要領

(1) 施行令別表第3の2級に該当する程度の機能障害が2以上あるときは、施行令別表第3の1級に該当するものとする。

(2) 病状と機能障害が重複する場合又は病状が重複する場合には、その状態が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめるときは、施行令別表第3の1級に該当するものとする。

(3) 機能障害又は病状が重複する場合(前記1の場合を除く。)において、その状態が日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものであるときは、施行令別表第3の2級に該当するものとする。

なお、障害の併合認定については、「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」の第2章「併合等認定基準」及び「身体障害者福祉法の合併認定」を参考とするものとする。

別添2

特別児童扶養手当認定診断書(今回改正該当診断書を添付)

別紙

特別児童扶養手当等の支給に関する法律施行令別表第3における障害の認定要領

1 この要領は、特別児童扶養手当等の支給に関する法律施行令(昭和50年7月4日政令第207号。以下「令」という。)別表第3に該当する程度の障害の認定基準を定めたものであること。

2 障害の認定については、次によること。

(1) 法第2条第1項にいう「障害の状態」とは、精神又は身体に令別表第3に該当する程度の障害があり、障害の原因となつた傷病がなおつた状態又は症状が固定した状態をいうものであること。

なお、「傷病がなおつた」については、器質的欠損若しくは変形又は後遺症を残していても、医学的にその傷病がなおれば、そのときをもつて「なおつた」ものとし、「症状が固定した」については、症状が安定するか若しくは回復する可能性が少なくなつたとき又は傷病にかかわりなく障害の状態が固定したときをいうものであり、慢性疾患等で障害の原因となつた傷病がなおらないものについては、その症状が安静を必要とし、当面医療効果が少なくなつたときをいうものであること。

(2) 障害の程度は、令別表第3に定めるとおりであり、国民年金法(昭和34年法律第141号)による障害程度の1級及び2級に相当するものであること。

(3) 内科的疾患に基づく身体の障害及び精神の障害の程度の判定にあたつては、現在の状態、医学的な原因及び経過、予後等並びに日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度等を十分勘案し、総合的に認定を行うこと。

ア 1級

令別表第3に定める「日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度」とは、精神上若しくは身体上の能力が欠けているか又は未発達であるため、日常生活において常に他人の介助、保護を受けなければほとんど自己の用を弁ずることができない程度のものをいうものであること。

例えば、身のまわりのことはかろうじてできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、すなわち、病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲が就床病室内に限られるものであること。

イ 2級

令別表第3に定める「日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度」とは、他人の助けをかりる必要はないが、日常生活は極めて困難であるものをいうものであること。

例えば、家庭内の極めて温和な活動はできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、すなわち、病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるものである。

(4) 障害の認定は、特別児童扶養手当認定診断書(特別児童扶養手当等の支給に関する法律施行規則に定める様式第2号)及び特定の傷病に係るエックス線直接撮影写真(以下「診断書等」という。)によつて行うが、これらのみでは認定が困難な場合には必要に応じ療養の経過若しくは日常生活状況等の調査又は必要な検診等を実施したうえ適正な認定を行うこと。

(5) 障害の程度について、その認定の適正を期するため、必要な場合には期間を定めて認定を行うこと。

ア 障害の程度について、その状態の変動することが予測されるものについては、その予測される状態を勘案して認定を行うこと。

イ 精神疾患(知的障害を含む)、慢性疾患等で障害の原因となつた傷病がなおらないものについては、原則として当該認定を行つた日からおおむね2年後に再認定を行うこと。

ウ その他必要な場合には、イにかかわらず適宜必要な期間を定め再認定を行うこと。

なお、この場合は、過去の判定経歴、年齢、育成医療等の受療状況など、障害程度の変動の可能性等を十分に勘案して再認定期間を定めること。

エ 再認定を行う場合は、昭和42年12月9日児発第765号各都道府県知事あて本職通知「児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法における有期認定の取扱いについて」により行うこと。

(6) 各傷病についての障害の認定は、別添1「障害程度認定基準」により行うこと。

なお、ヒト免疫不全ウイルス感染症に係る障害認定については、「特別児童扶養手当及び特別障害者手当等におけるヒト免疫不全ウイルス感染症に係る障害認定について」(平成10年3月27日障企第24号通知)に定める事項に留意して認定を行うこと。

3 障害の状態を審査する医師について

(1) 都道府県又は指定都市においては、児童の障害の状態を審査するために必要な医師を置くこと。

(2) 障害児の廃疾の状態は、令別表第3の内容からみて、複雑多岐にわたるものであるので、障害の状態を審査する医師には、少なくとも内科、小児科、整形外科及び精神科の診療を担当する医師を加えること。

なお、内科、整形外科及び精神科の診療を担当する医師は、児童扶養手当制度における児童又は児童の父の障害の状態を審査する医師に兼務させても差しつかえないものであること。

4 障害の認定に係る診断書等について

(1) 各傷病についての特別児童扶養手当認定請求書に添付する診断書は、別添2「特別児童扶養手当認定診断書」によること。

(2) 障害児が身体障害者福祉法第15条第4項の規定により身体障害者手帳(以下「手帳」という。)の交付を受けているときは、当該手帳に記載されている障害名及び等級表による級別によつて障害の程度が令別表第3の各号のいずれかに該当することが明らかと判定できる場合は、診断書を添付させることに代えて、特別児童扶養手当認定請求書に手帳に記載されている障害名及び等級表による級別並びに手帳番号を記入せしめ、これによつて認定しても差しつかえないものであること。

なお、認定にあたつて障害の内容等について承知する必要がある場合には、都道府県又は指定都市の手帳関係事務主管課で保管する「身体障害者診断書」によること。

(3) 障害児が療育手帳制度要綱(昭和48年9月27日厚生省発児第156号各都道府県知事、指定都市市長あて厚生事務次官通知の別紙)による療育手帳の交付を受けているときの取扱いについては、障害の程度が「A」と記載されているものは令別表第3の1級に該当するものとして認定してさしつかえないこと。

また、療育手帳に「A」の記載がない場合においても、診断書を作成する医師は、診断書に記載すべき項目の一部が療育手帳取得の際に児童相談所の長が判定に用いた資料(以下「療育手帳取得の際の資料」という。)により明らかである場合は、当該療育手帳取得の際の資料を当該診断書に添付することをもって当該診断書の該当項目の記載を省略することができる。

なお、これらの場合には、特別児童扶養手当認定請求書の備考欄にその旨記入すること。

(4) 提出された診断書等だけでは、認定の可否を決定することができないため、法第36条第2項による再診を必要とする場合には、昭和37年7月9日児発第752号各都道府県知事あて本職通知「児童扶養手当の障害認定にかかる再診の取扱いについて」に準じて行うこと。

(5) 精神の障害に係る認定診断書は、できる限り精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に規定する精神保健指定医、精神保健福祉センターの医師、児童相談所若しくは知的障害者更生相談所の医師又は精神科の診療に経験を有する医師の作成したものとするよう指導されたいこと。