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○居宅介護(家事援助)の適切な実施について

(平成28年3月10日)

(障障発0310第1号)

(各都道府県・各指定都市・各中核市障害保健福祉主管部(局)長あて厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長通知)

(公印省略)

居宅介護(家事援助)は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(平成18年厚生労働省告示第523号)において、単身の利用者又は家族等と同居している利用者であって、当該家族等の障害、疾病、就労等の理由により、当該利用者又は当該家族等が家事を行うことが困難である者が利用できることとされている。

また、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定計画相談支援の事業の人員及び運営に関する基準について」(平成24年3月30日障発第0330第22号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)において、サービス等利用計画の作成に当たり、相談支援事業所は、利用者及びその家族の希望やアセスメントに基づき、指定障害福祉サービス等以外の地域生活支援事業等の市町村が一般施策として行うサービスや、当該地域の住民による自発的な活動によるサービス等の利用も含めてサービス等利用計画に位置付けることにより、総合的な計画となるよう努めるとともに、サービス等利用計画作成後においても、利用者及びその家族、福祉サービスの事業を行う者等との連絡調整を継続的に行う(モニタリング)こと等により、居宅介護(家事援助)の適切な運用に努めることとされている。

こうしたことを踏まえ、平成27年度予算執行調査等において、居宅介護(家事援助)の利用については、「家族等同居人の状況については、自治体による確認が適切に行われるよう見直しを行うべき」等の指摘を受けた。

ついては、居宅介護(家事援助)の適切な運用に資するため、下記のとおり留意事項をまとめたので、御了知の上、管内市町村、関係機関等への周知徹底を図るとともに、その運用に遺漏のないようにされたい。

なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的な助言であることを申し添える。

1 居宅介護(家事援助)の利用実態等について

平成27年度予算執行調査において、居宅介護(家事援助)の利用については、

① 同居人の有無では、全体的に同居人無の方が利用時間が多くなっているが、さらに障害種別や障害支援区分別で分析を行うと、精神障害者の区分1~3については、同居人有の者の利用時間が多くなっており、この点について、支援区分の低い精神障害者の状態像を含め、その要因分析を行い、支給内容が適正かどうか確認する必要があるのではないか。

② サービス利用者に同居人がいる場合、当該同居人について家事を行うことが困難かどうか調査し、支給の要否を判断する必要があるが、障害者本人からの聞き取りのみ等、同居人の状態を直接同居人に確認していない場合や、支給決定後において、同居人の状況の変化の有無を確認していない場合等、自治体が同居人の状況についても必ずしも十分に把握していないと考えられる例が散見された。

等の調査結果を踏まえ、「家族等同居人の状況については、支給決定後も含め、自治体による確認が適切に行われるよう見直しを行うべき」等と指摘されたところ。

また、社会保障審議会障害者部会において、「居宅介護については、実質的に相談目的で利用されている事例がある」との指摘も受けている。

2 居宅介護(家事援助)の適切な運用に向けた留意事項について

上記を踏まえ、以下のとおり市町村、相談支援事業所及び居宅介護事業所における留意事項をまとめたので、内容を御了知の上、居宅介護(家事援助)の適切な運用に努めていただきたい。

(1) 市町村における留意事項について

居宅介護(家事援助)は、単身の利用者又は家族等と同居している利用者であって、当該家族等の障害、疾病、就労等の理由により、当該利用者又は当該家族等が家事を行うことが困難である者が利用できることとなっている。

しかしながら、支給決定時から同居している家族等の状況に変化が生じていたり、個人の状態像や置かれている環境等に比して必要以上に長時間(1回あたり概ね1時間以上)利用されている場合もある。

そのような状況を踏まえ、市町村は、

① 相談支援事業所から支給決定に係るサービス等利用計画案が提出された際に、同居人の有無等の状況を確認するとともに、特に、障害支援区分の低い利用者(障害支援区分1又は2)の居宅介護(家事援助)における生活等に関する相談を目的とした長時間(1回あたり概ね1時間以上)利用の場合にあっては、原則として支給決定を行わないこととするが、サービスの具体的な理由や必要性等について、利用者等から丁寧に確認し判断すること。

② 定期的に居宅介護事業所や相談支援事業所から利用状況について確認を行う。

等を行うことにより、適切にサービスの支給決定を行うこと。

(2) 相談支援事業所における留意事項について

「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定計画相談支援の事業の人員及び運営に関する基準について」(平成24年3月30日障発第0330第22号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)(以下「相談指定基準解釈通知」という。)第二2(11)⑤において、「サービス等利用計画の作成又は変更に当たっては、利用者及びその家族の希望やアセスメントに基づき、指定障害福祉サービス等以外の、例えば、保健医療サービス、地域生活支援事業等の市町村が一般施策として行うサービスや当該地域の住民による自発的な活動によるサービス等の利用も含めてサービス等利用計画に位置づけることにより総合的な計画となるよう努めなければならない」としていることを踏まえ、サービス等利用計画案作成時に、例えば、生活等に関する相談を目的として長時間(1回あたり概ね1時間以上)の居宅介護(家事援助)の利用を希望する場合は、居宅介護(家事援助)によらず、市町村で実施する相談支援による対応等を求めるなど、適切に作成すること。

また、相談指定基準解釈通知第二2(11)⑮において、「相談支援専門員は、利用者の解決すべき課題の変化に留意することが重要であり、サービス等利用計画の作成後においても、利用者及びその家族、福祉サービスの事業を行う者等との連絡調整を継続的に行うこと」としていることを踏まえ、モニタリング時に居宅に訪問した際に、家族等の同居人の状況や、サービスの具体的な利用状況等を確認した上で、必要に応じてサービス等利用計画の変更を行う等適切にサービス利用を行うこと。

(3) 居宅介護事業所における留意事項について

「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」(平成18年12月6日障発1206001号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)第三3(4)及び4(5)において、「指定居宅介護事業者は、市町村又は一般相談支援事業者若しくは特定相談支援事業者が行う地域におけるサービス担当者会議への出席依頼等の連絡調整等に対し、指定障害福祉サービスの円滑な利用の観点から、できる限り協力しなければならないこと」としていることを踏まえ、サービス担当者会議等において、例えば、長時間(1回あたり概ね1時間以上)の居宅介護(家事援助)を利用している場合は、出席者から代替サービスの有無等について助言を求めるなど、適切なサービス提供を行うこと。