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○ビガバトリン製剤の使用に当たっての留意事項について
(平成28年3月28日)
(/薬生審査発0328第1号/薬生安発0328第2号/)
(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課長、厚生労働省医薬・生活衛生局安全対策課長通知)
(公印省略)
ビガバトリン製剤(販売名:サブリル散分包500mg。以下「本剤」という。)については、本日、「点頭てんかん」を効能又は効果として承認したところですが、視野障害・視力障害等の重篤な副作用が発現するリスクがあること、国内での治験症例も極めて限られていることから、その使用に当たっては、特に下記の点について留意されるよう、貴管下の医療機関及び薬局に対する周知をお願いします。
記
1.本剤の適正使用について
(1) 本剤については、承認に際し、適正な流通管理、患者等への文書説明・文書同意取得、製造販売業者による全症例を対象とした使用成績調査の実施等をその条件として付したこと。
【承認条件】
1.医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
2.本剤による視野障害、視力障害等の重篤な有害事象に対して、他の医療機関との連携も含めて十分に対応できる体制が確認できた医療機関において、点頭てんかんの診断、治療に精通し、本剤の適正使用について十分に理解している医師によって本剤の処方が行われ、本剤の適正使用について十分に理解している眼科医により定期的な診察及び検査が実施されるとともに、本剤の適正使用について十分に理解している薬剤師によって調剤が行われるよう、製造販売にあたって本剤に関する管理者の設置も含め必要な措置を講じること。
3.本剤の投与が適切と判断される患者を対象に、あらかじめ患者又は代諾者に安全性及び有効性が文書によって説明され、文書による同意を得てから本剤の投与が開始されるよう、厳格かつ適正な措置を講じること。
4.国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象とした使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の患者背景を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
(2) 本剤の警告、効能又は効果、並びに用法及び用量は以下のとおりであるので、特段の留意をお願いすること。なお、その他の使用上の注意については、添付文書を参照されたいこと。
【警告】
(1) 本剤の投与を受けた約1/3の患者で不可逆的な視野狭窄が起こることが報告されている。本剤の投与は、点頭てんかんの診断、治療に精通し、かつ本剤の安全性及び有効性についての十分な知識を有し、サブリル処方登録システム(Sabril Registration System for Prescription: SRSP)に登録された医師・薬剤師がおり、網膜電図検査などの眼科検査に精通した眼科専門医と連携が可能な登録医療機関において、登録患者に対してのみ行うこと。[【禁忌】、「1.慎重投与」、「2.重要な基本的注意」及び「4.副作用(1)重大な副作用」の項参照]
(2) 本剤による視野狭窄の発現頻度は曝露期間の延長、累積投与量の増加に伴い高くなるため、本剤投与開始時及び本剤投与中はSRSPに準拠して定期的に視野検査を含めた眼科検査を実施すること。視野狭窄、あるいは網膜電図検査などで異常が認められた場合は、本剤による治療の継続の必要性を慎重に判断し、治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ本剤による治療を継続すること。治療を継続する場合には、より頻回に眼科検査を行い、本剤による治療の継続が適切であるかどうか定期的に判断すること。[【禁忌】、「2.重要な基本的注意」及び「4.副作用(1)重大な副作用」の項参照]
(3) 本剤の投与にあたっては、患者又は代諾者に本剤の有効性及び危険性について文書によって説明し、文書で同意を取得すること。
【効能・効果】
点頭てんかん
【用法・用量】
通常、生後4週以上の患者には、ビガバトリンとして1日50mg/kgから投与を開始する。患者の症状に応じて、3日以上の間隔をあけて1日投与量として50mg/kgを超えない範囲で漸増するが、1日最大投与量は150mg/kg又は3gのいずれか低い方を超えないこととし、いずれも1日2回に分け、用時溶解して経口投与する。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
(1) 本剤の投与開始後2~4週間に治療効果が認められない場合、あるいは最高投与量である150mg/kg/日を投与しても症状の改善が認められない場合には、本剤の投与中止を考慮すること。
(2) 腎機能障害患者では低い用量で反応する可能性があるため、低用量からの投与開始、又は投与間隔の調整を考慮すること。[「1.慎重投与」及び【薬物動態】の項参照]
(3) 本剤の流通管理の基本は別添のとおりであり、その概要は以下のとおりであること。
① 処方医、眼科医及び薬剤師は本剤の適正使用に関する講習を受講
② 製造販売業者は、講習を修了した処方医、眼科医及び薬剤師をデータベースに登録
③ 薬剤師は、登録された処方医が発行した処方箋であること及び登録された眼科医により眼科検査が適切に実施されていることを確認した上で調剤
2.本剤の流通管理に関する周知事項について
(1) 本剤については、上記1(3)の流通管理がなされること。
(2) 上記1(3)①の講習の受講を希望する医師及び薬剤師については、製造販売業者への問合せ等をお願いしたいこと。
(3) 薬剤師は本剤の調剤前に、登録された処方医が発行した処方箋であること及び登録された眼科医により眼科検査が適切に実施されていることを確認すること。また、その確認ができない場合には、調剤することを拒むこと。
(4) 上記(3)に基づく理由により調剤を拒むことについては、薬剤師法(昭和35年法律第146号)第21条(調剤の求めに応じる義務)の「正当な理由」に当たるものと解されること。
3.医療機関における適正使用に関する周知事項について
本剤については、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第79条に基づき、承認取得者である製造販売業者に対し、「製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施する」よう義務付けたので、その調査の実施にご協力願いたいこと。
(別添)