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○妊婦健康診査の公費負担の状況にかかる調査結果について

(平成27年6月30日)

(雇児母発0630第1号)

(各都道府県・各政令市・各特別区母子保健主管部(局)長あて厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課長通知)

(公印省略)

近年、出産年齢の上昇等により、健康管理がより重要となる妊婦が増加傾向にあるとともに、経済的な理由等により健康診査を受診しない妊婦もみられるところであり、母体や胎児の健康確保を図る上で、妊婦に対する保健指導及び健康診査の重要性、必要性が一層高まっているところである。

また、妊娠・出産にかかる経済的な不安を軽減し、少子化の解消の一助に資するとともに、積極的な妊婦健康診査の受診を促すため、妊婦健康診査について、自治体における公費負担の充実を図る必要性が指摘されている。

妊婦健康診査にかかる公費負担については、平成25年度より、安心・安全な出産のために必要とされる受診回数(14回程度)に係る検査費用について、地方財政措置が講じられているところである。また、平成27年4月より、妊婦健康診査を子ども・子育て支援法に基づく地域子ども・子育て支援事業に位置付け、「妊婦に対する健康診査についての望ましい基準」(平成27年3月31日厚生労働省告示第226号)において、その実施時期、回数及び内容等を定めているところである。

今般、平成26年4月における各市区町村の妊婦健康診査の公費負担の状況について調査を行ったところ、別添のとおり、各市区町村間で公費負担額や公費負担の対象となる検査項目等の取組状況に差が生じているとの結果となった。

この調査結果も踏まえ、都道府県におかれては、妊婦の健康管理の充実及び経済的負担の軽減のため、妊婦健康診査にかかる公費負担の一層の充実が図られるよう管内市区町村への周知徹底をお願いする。

(別添)

○妊婦健康診査の公費負担の状況について(平成26年4月1日現在)

1.公費負担回数(詳細は別紙のとおり)

全市区町村(1,741市区町村)で14回以上助成

[平成25年4月時点 全市区町村(1,742市区町村)で14回以上助成]

2.妊婦1人あたりの公費負担額の状況(詳細は別紙のとおり)

全国平均 98,834円

(注) 公費負担額が明示されていない2村を除く1,739市区町村について集計。

[平成25年4月時点 97,494円(1,740市区町村)]

 

<市区町村数>

①120,000円~

22(1.3%)

②110,000円~119,999円

345(19.8%)

③100,000円~109,999円

456(26.2%)

④90,000円~99,999円

585(33.6%)

⑤80,000円~89,999円

226(13.0%)

⑥70,000円~79,999円

77(4.4%)

⑦60,000円~69,999円

11(0.6%)

⑧50,000円~59,999円

10(0.6%)

⑨40,000円~49,999円

7(0.4%)

⑩公費負担額が明示されていない

2(0.1%)

3.妊婦の居住地以外の病院、診療所、助産所で妊婦健診を受診した場合の公費負担について

 

<市区町村数>

[公費負担あり]

1,741(100.0%)

①受診した施設と契約

59(3.4%)

②償還払いで対応

558(32.1%)

③受診した施設と契約及び償還払いを併用して対応

1,119(64.3%)

④その他の方法で対応

19(1.1%)

※④については、①~③と重複あり

[公費負担なし]

0(0.0%)

4.助産所における公費負担の有無について

 

<市区町村数>

[公費負担あり]

1,741(100.0%)

[公費負担なし]

0(0.0%)

※助産所での妊婦健診の実績が無い場合も実施予定の市区町村を含む

5.妊婦に対する受診券の交付方法について

 

<市区町村数>

[受診券方式]

1,476(84.8%)

[補助券方式等]

265(15.2%)

※受診券方式とは、毎回の検査項目が示されている券を、妊婦が医療機関に持参して健診を受けるもの

※補助券方式とは、補助額が記載された券を、妊婦が医療機関に持参して健診を受けるものであり、毎回の検査項目は医療機関の判断によるもの

6.受診券方式で公費負担している1,476市区町村のうち、国で例示する標準的な検査項目に係る公費負担の内容

 

<市区町村数>

検査項目(推奨レベルA・B・C・記載なし(注))を全て実施

928(62.9%)

検査項目(推奨レベルA・B・C)を全て実施

1,201(81.4%)

検査項目(推奨レベルA・B)を全て実施

1,368(92.7%)

検査項目(推奨レベルA)を全て実施

1,395(94.5%)

※「推奨レベル」とは、「産婦人科診療ガイドライン―産科編2014」における推奨レベルをいう

A:(実施すること等が)強く勧められる

B:(実施すること等が)勧められる

C:(実施すること等が)考慮される(考慮の対象となるが、必ずしも実施が勧められているわけではない)

(注) 「記載なし」とは、推奨されているが検査内容や回数が複数にわたるため、当該検査項目全体の推奨レベルが記載されていないもの。血糖検査、血算検査、超音波検査が該当する。

([平成25年4月時点]

受診券方式で公費負担している1,429市区町村のうち、

検査項目(推奨レベルA・B・C・記載なし)を全て実施 842(58.9%)

検査項目(推奨レベルA・B・C)を全て実施 1,142(79.9%)

検査項目(推奨レベルA・B)を全て実施 1,254(87.8%)

検査項目(推奨レベルA)を全て実施 1,282(89.7%))

[検査項目別の市町村における公費負担の実施状況]

検査項目

推奨レベル

市区町村数

○①~⑨の血液検査を全て実施

1,068(72.4%)

①血液型等の検査

A

1,476(100.0%)

②B型肝炎抗原検査

A

1,476(100.0%)

③C型肝炎抗体検査

A

1,476(100.0%)

④HIV抗体検査

A

1,414(95.8%)

⑤梅毒血清反応検査

A

1,476(100.0%)

⑥風疹ウイルス抗体検査

A

1,457(98.7%)

⑦血糖検査(2回)

記載なし(※1)

1,290(87.4%)

⑧血算検査(3回)

記載なし(※2)

1,260(85.4%)

⑨HTLV―1抗体検査

A

1,476(100.0%)

⑩子宮頸がん検診

C

1,228(83.2%)

⑪超音波検査(4回)

記載なし(※3)

1,141(77.3%)

⑫性器クラミジア検査

B

1,476(100.0%)

⑬B群溶血性レンサ球菌検査

B

1,449(98.2%)

(参考)国が例示する検査項目以外の検査項目

(例えばノンストレステスト等)を実施 575(39.0%)

[「産婦人科診療ガイドライン―産科編2014」における推奨レベル]

※1血糖検査・・・・

随時血糖:妊娠初期(推奨レベルB)、24週~28週(推奨レベルB)

50gGCT:24週~28週(推奨レベル記載なし)

いずれか一方で可

※2血算検査・・・・妊娠初期(推奨レベルA)、30週(推奨レベル記載なし)、37週(推奨レベル記載なし)

※3超音波検査・・・

妊娠確認・予定日決定:第一三半期(推奨レベルB)

子宮頸管長:20~24週頃(推奨レベルC)

胎児発育:20週頃(推奨レベル記載なし)、30週頃(推奨レベルB)、37週頃(推奨レベル記載なし)

胎盤位置・羊水量:20週頃(推奨レベル記載なし)、30週頃(推奨レベルB)、

胎位:20週頃(推奨レベル記載なし)、30週頃(推奨レベル記載なし)、37週頃(推奨レベル記載なし)

別紙

(参考)

妊婦に対する健康診査についての望ましい基準

(平成27年3月31日厚生労働省告示第226号)

第1 妊婦健康診査の実施時期及び回数等

1 市町村は、次のイからハまでに掲げる妊娠週数の区分に応じ、それぞれイからハまでに掲げる頻度で妊婦に対する健康診査(以下「妊婦健康診査」という。)を行い、妊婦一人につき、出産までに14回程度行うものとする。

イ 妊娠初期から妊娠23週まで おおむね4週間に1回

ロ 妊娠24週から妊娠35週まで おおむね2週間に1回

ハ 妊娠36週から出産まで おおむね1週間に1回

2 市町村は、妊婦一人につき14回程度の妊婦健康診査の実施に要する費用を負担するものとする。

第2 妊婦健康診査の内容等

1 市町村は、各回の妊婦健康診査においては、次に掲げる事項について実施するものとする。

イ 問診、診察等 妊娠週数に応じた問診、診察等により、健康状態を把握するものとすること。

ロ 検査 子宮底長、腹囲、血圧、浮腫、尿(糖及び蛋白)、体重等の検査を行うものとする。なお、初回の妊婦健康診査においては、身長の検査を行うものとすること。

ハ 保健指導 妊娠中の食事や生活上の注意事項等について具体的な指導を行うとともに、妊婦の精神的な健康の保持に留意し、妊娠、出産及び育児に対する不安や悩みの解消が図られるようにするものとすること。

2 市町村は、1に掲げるもののほか、必要に応じた医学的検査を妊娠期間中の適切な時期に実施するものとする。医学的検査については、次の表の左欄に掲げる検査の項目の区分に応じ、それぞれ右欄に掲げる妊娠週数及び回数を目安として行うものとする。

検査の項目

妊娠週数及び回数の目安

血液型等の検査(ABO血液型、Rh血液型及び不規則抗体に係るもの)

妊娠初期に1回

B型肝炎抗原検査

C型肝炎抗体検査

HIV抗体検査

梅毒血清反応検査

風疹ウイルス抗体検査

血糖検査

妊娠初期に1回及び妊娠24週から妊娠35週までの間に1回

血算検査

妊娠初期に1回、妊娠24週から妊娠35週までの間に1回及び妊娠36週から出産までの間に1回

HTLV―1抗体検査

妊娠初期から妊娠30週までの間に1回

子宮頸がん検診(細胞診)

妊娠初期に1回

超音波検査

妊娠初期から妊娠23週までの間に2回、妊娠24週から妊娠35週までの間に1回及び妊娠36週から出産までの間に1回

性器クラミジア検査

妊娠初期から妊娠30週までの間に1回

B群溶血性レンサ球菌(GBS)検査

妊娠33週から妊娠37週までの間に1回

第3 市町村の責務

1 市町村は、妊婦健康診査の受診の重要性について、妊婦等に対する周知・広報に努めるものとする。

2 市町村は、里帰り先等において妊婦健康診査を受診する妊婦の経済的負担の軽減を図るため、妊婦の居住地以外の病院、診療所又は助産所と事前に契約を行う等の配慮をするよう努めるものとする。

3 市町村は、妊婦健康診査を実施する医療機関等と連携体制を構築し、養育支援を必要とする妊婦に対し、適切な支援を提供するよう努めるものとする。