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○デュロキセチン塩酸塩製剤の使用に当たっての留意事項について

(平成28年3月18日)

(/薬生審査発0318第2号/薬生安発0318第1号/)

(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課長、厚生労働省医薬・生活衛生局安全対策課長通知)

(公印省略)

デュロキセチン塩酸塩製剤(販売名:サインバルタカプセル20mg及び同カプセル30mg。以下「本剤」という。)については、本日、「慢性腰痛症に伴う疼痛」を効能又は効果として承認したところですが、本剤は、自殺念慮、自殺企図、敵意、攻撃性等の精神神経系の重篤な副作用が発現するリスクがあることが知られています。そのため、本剤の慢性腰痛症に伴う疼痛への使用に当たっては、最新の診断基準を参考に慢性腰痛症と診断された患者にのみに本剤の投与を考慮する等、本剤の投与の適否を慎重に判断する必要があるとともに、処方に際しては適正使用情報の周知のみならず、精神科医(心療内科医を含む。)に、慢性腰痛症に伴う疼痛での処方医からの相談が受けられる体制が求められます。

以上を踏まえ、慢性腰痛症に伴う疼痛に係る本剤の使用に当たっては、特に下記の点について留意されるよう、貴管下の医療機関及び薬局に対する周知をお願いします。

(1) 本剤の効能又は効果は以下のとおりであるので、本剤の適正使用に関して特段の留意をお願いすること。なお、その他の使用上の注意については、添付文書を参照されたいこと。

【効能・効果】

○うつ病・うつ状態

○下記疾患に伴う疼痛

糖尿病性神経障害

線維筋痛症

慢性腰痛症

<効能・効果に関連する使用上の注意>

1.抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること。[「その他の注意」の項参照]

2.海外で実施された7~17歳の大うつ病性障害患者を対象としたプラセボ対照臨床試験において有効性が確認できなかったとの報告がある。本剤を18歳未満の大うつ病性障害患者に投与する際には適応を慎重に検討すること。[「小児等への投与」の項参照]

3.線維筋痛症の診断は、米国リウマチ学会の分類(診断)基準等の国際的な基準に基づき慎重に実施し、確定診断された場合にのみ投与すること。

4.慢性腰痛症に伴う疼痛に用いる場合、最新の診断基準を参考に慢性腰痛症と診断された患者にのみ、本剤の投与を考慮すること。

5.疼痛に対して本剤を投与する場合は、自殺念慮、自殺企図、敵意、攻撃性等の精神症状の発現リスクを考慮し、本剤の投与の適否を慎重に判断すること。

(下線部追加)

(2) 慢性腰痛症に伴う疼痛に対する本剤による治療は対症療法であることから、本剤を漫然と投与しないこと。

<重要な基本的注意>

(10) 慢性腰痛症に伴う疼痛の場合

本剤による治療は原因療法ではなく対症療法であることから、疼痛の原因があればその治療を併せて行い、薬物療法以外の療法も考慮すること。また、患者の状態を十分に観察し、本剤を漫然と投与しないこと。

(下線部追加)

(3) 慢性腰痛症に伴う疼痛に係る本剤の適正使用情報の周知方法の基本は別添のとおりであり、その概要は以下のとおりであること。

①製造販売業者は、慢性腰痛症に伴う疼痛に対して本剤を処方するすべての医師を対象に適正使用情報の周知を行うともに、市販直後調査への協力を依頼する。

②製造販売業者は、精神科医(心療内科医を含む。)、医療機関及び薬局の薬剤師に対しても、情報提供を行う。

③処方医は、安全対策の主旨を理解した上で、市販直後調査への協力を了解した上で処方を開始する。

④製造販売業者は、精神科医(心療内科医を含む。)に、慢性腰痛症に伴う疼痛での処方医からの相談に対応していただけるよう協力を依頼する。

(別添)