添付一覧
○「じん肺管理区分の決定等に関する事務取扱要領」の改正及び「審査請求に関する事務取扱要領」の制定について
(平成28年3月14日)
(基発0314第4号)
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
(公印省略)
じん肺法(昭和35年法律第30号)に基づくじん肺管理区分の決定等に関する事務取扱については、昭和56年3月30日付け基発第184号別添「じん肺管理区分の決定等に関する事務取扱要領」等により、累次にわたり取扱を示してきた。
今般、不服申立制度を抜本的に改正する行政不服審査法(平成26年法律第68号)が制定されたことに伴い、じん肺法及びじん肺法施行規則(昭和35年労働省令第6号)の改正が行われた。これらの法令が平成28年4月1日に施行されること等を踏まえて、じん肺法に基づくじん肺管理区分決定等の適正な運用を図るため、「じん肺管理区分の決定等に関する事務取扱要領」を別添1のとおり改正する。また、改正された不服申立制度に対応するため、新たに「審査請求に関する事務取扱要領」を別添2のとおり定める。
各労働局におかれては、これらの要領の適切な運用を図られたい。
さらに、本通達を施行するにあたり、下記通達等を廃止する。
記
1 昭和56年3月30日付け基発第184号「じん肺管理区分の決定等に関する事務取扱要領」の改正について
2 平成11年11月5日付け基安発第29号 じん肺法第13条第3項等に基づく再・追加検査実施等命令の適正な運用について
3 平成2年11月22日付け事務連絡 じん肺管理区分の決定等に関する事務取扱上の留意事項について
4 平成5年12月9日付け事務連絡 じん肺管理区分決定不服審査請求書類に係るチェックリストの送付について
5 平成10年12月24日付け事務連絡 じん肺管理区分の決定等に関する事務取扱上の留意事項について
6 平成24年6月4日付け事務連絡 じん肺管理区分決定の申請時における胸部CT写真等の取扱いについて
7 平成24年12年11日付け事務連絡 じん肺管理区分決定に対する審査請求書類に係るチェックリストの送付について
別添1
じん肺管理区分の決定等に関する事務取扱要領
第1 受理
1.じん肺法第12条に基づき事業者が提出した資料の受理
(1) 以下の資料が提出されていることを確認すること。
ア エックス線写真等の提出書(じん肺法施行規則(昭和35年労働省令第6号。以下「規則」という。)様式第2号)
イ じん肺法(昭和35年法律第30号。以下「法」という。)第3条第1項第1号のエックス線写真(直接撮影による胸部全域のエックス線写真。以下「エックス線写真」という。)
ウ じん肺健康診断結果証明書(規則様式第3号)
(2) 提出された資料を点検して次に掲げる措置を講じた上で受理すること。
ア 各検査項目が法に定めるところにより実施されているかを点検し、検査項目が不足しているときは直ちに追加検査を指示すること。
イ エックス線写真等の提出書に記載されたとおり資料が添付されているかどうかを確認すること。
ウ 各資料に前記ア及びイ以外の記載もれ等があるときには訂正又は追加記入等をさせること。
エ じん肺健康診断結果証明書の「じん肺の経過」及び「粉じん作業職歴」の欄が正確に記入されているかどうかを点検すること。特に、「粉じん作業職歴」中の粉じん作業名及び別表該当号数等の確認を徹底すること。
2.法第15条第1項又は法第16条第1項に基づき労働者又は事業者が提出した資料の受理
(1) 以下の資料が提出されていることを確認すること。
ア じん肺管理区分決定申請書(規則様式第6号)
イ エックス線写真
ウ じん肺健康診断結果証明書(規則様式第3号)
(2) 提出された資料を点検して次に掲げる措置を講じた上で受理すること。
ア じん肺管理区分決定申請書中の事業者(常時粉じん作業に従事する労働者であった者の場合は、常時粉じん作業に従事した最終の事業場(以下「最終事業場」という。)の事業者)の粉じん作業従事証明の有無を確認すること。
イ 提出された資料が相当の期間経過したものである場合には、提出又は申請の趣旨が、労働者又は労働者であった者の健康管理に資するものであることを確認できるもののみ受理すること。
ウ 常時粉じん作業に従事する労働者であった者(当該事業場で作業転換した者を除く。)の法第15条第1項による申請は、その者の住所を管轄する都道府県労働局長(以下「労働局長」という。)に対して行われるべきこととなっているので、誤って他の労働局長へ申請がなされたときは、その者の住所を管轄する労働局長へ申請するよう教示すること。
エ 上記により受理したときは、じん肺診査経過処理簿(別紙1様式1―1)又はじん肺診査状況(別紙1様式1―2)に所要事項を記入し、提出されたエックス線写真その他の物件を整理しておくこと。
(3) 留意事項
ア 規則様式第6号の備考1及び2は申請者に対し申請書記載上の留意事項を述べたものであること。したがって、事業者は当該申請者が常時粉じん作業に従事する労働者又は労働者であったことのみを証明するものであり、当該事業場が申請者が常時粉じん作業に従事した事業場のうち最終の事業場であることについては申請者が責任を有するものであること。
イ 法は粉じん作業従事労働者に係る事業者の健康管理義務を規定したものであり、ここでいう最終事業場が常に労働者災害補償保険法の規定による保険給付の支給事由が発生した事業場となるとは限らないものであること。
(4) 事業者の粉じん作業従事証明がない場合には、次に掲げる措置を講ずること。
ア 申請を受理して差し支えないが、申請者に対し事業者の証明がなければ法に基づくじん肺管理区分の決定ができない旨教示し、事業者証明を得るよう求めること。
イ 事業場の廃止、事業者の死亡、行方不明、その他やむを得ない理由により事業者の証明を得ることができない場合は、当時の上司又は同僚であった者の証明等その者が常時粉じん作業に従事していた事実について客観的に確認しうる資料によって事業者証明に代えて差し支えないこと。特に、労働基準法(昭和22年法律第49号)の施行の日以前に粉じん作業に従事していた者からの申請においては、これを積極的に活用されたい。ただし、廃止された事業場であっても事業者(清算人を含む。)が存在する場合には、あくまでも当該事業者による証明を得ることが原則であり、安易に申請者の元上司又は元同僚による証明等に代えるべきものではないこと。
ウ 申請者が、事業者証明を得ることができず、かつ、イに記載した資料も得ることが困難であると認められる場合は、都道府県労働局(以下「労働局」という。)において当該申請者の粉じん作業従事の有無を調査し、これを確認の上、じん肺管理区分の決定を行うこと。
この場合、当該申請者の最終事業場が他の労働局の管内にある場合には、当該労働局長に粉じん作業従事の有無に関する調査を依頼すること。
なお、当該申請者について過去に法第12条に基づくエックス線写真等の提出がなされたこと、又は、過去に法第15条第1項に基づく申請がなされ、その際に事業者証明を得ていたことが確認できれば粉じん作業従事を確認できたものとしてよい。
エ アからウに掲げる措置を講じても申請者が粉じん作業に従事したことを明らかにし得ない場合は、次の(5)に掲げる処理に準じた措置を行うこと。
(5) 次に掲げるときにおいては、新たに事業者の粉じん作業従事証明を得させる必要はないこと。ただし、この場合には前回のじん肺管理区分決定年月日、決定局名及び決定内容を明記させ、必要に応じ当該局に対して照会し確認すること。
ア 過去において常時粉じん作業に従事した経験があり、すでに粉じん作業から離れた者で法第15条第1項に基づく申請を行ったことのある者が、2回目以降の申請を行う場合において、前回の申請以降新たに粉じん作業に従事していないとき。
イ 粉じん作業に係る健康管理手帳の所持者が、申請を行う場合において、手帳交付後新たに粉じん作業に従事していないとき。
(6) 労働者又は労働者であった者以外の一人親方等からなされたじん肺管理区分決定申請又はすでに死亡している者を申請者とする申請は、法の対象ではないので適法な申請としては受理できない旨説明すること。なお、このような者についても事情により地方じん肺診査医の診査を行い、その結果を通知して差し支えないが、この場合、規則第16条に基づく手続とはしないこと。
第2 診査
1.実施方法
(1) 地方じん肺診査医が2名以上いる労働局にあっては、複数の診査医による合議による診査を行うことが望ましいこと。
(2) 診査に際しては、じん肺診査状況又はじん肺診査報告書(別紙1様式2)により対象者ごとの診査結果を記録し、診査終了後地方じん肺診査医の署名又は記名押印を受けること。また、判定結果だけではなく、胸部エックス線写真で認められた所見について、胸郭の変形、不整形陰影、胸膜肥厚、粒状影及び大陰影など、読影した結果を記録しておくこと(様式自由)。
(3) 診査にあたっては、地方じん肺診査医に前回のじん肺管理区分等を知らせ、過去の決定状況の参照を徹底すること。また、必要に応じて過去のエックス線写真との比較読影を行うこと。
(4) なお、法第12条に基づく提出又は法第15条第1項若しくは法第16条第1項に基づく申請の際に提出されたエックス線写真等の審査の結果、じん肺管理区分の低位への変更に相当すると認められたときは、必ず上記の比較読影を行うことにより適正な審査を行うこと。
(5) じん肺の所見の有無は、法第3条第1項に基づき、エックス線写真により判断すべきものであること。
(6) なお、半導体平面検出器を搭載した一般撮影装置による写真及びComputed Radiographyによる写真については、平成22年6月24日付け基安労発第1号じん肺健康診断及びじん肺管理区分の決定におけるDR(FPD)写真及びCR写真の取扱い等についてにおいて、撮像表示条件等を示していること。
(7) 参考として提出される胸部CT写真等を収録したCD―R等の電子媒体については、下記のア~ウについて確認し、疑義がある場合は、その場では受理せず、地方じん肺診査医に相談する等した上で受理すること。
ア 電子媒体は、ISO9660に準拠した形式でフォーマットされた直径12cmの光学ディスク(CD―R等)であって、光学ディスクに収録されたビューワーソフトにより、収録されたDICOM形式の画像データ及びDICOMタグが適切に表示されることが確認されたものであること
イ DICOMタグの氏名、生年月日、年齢等の情報から、本人のものであることが確認されたものであること
ウ 光学ディスクは、コンピュータウイルス等の感染がないことが確認されたものであること
(8) じん肺の診断に当たっては、全肺野の細部まで十分に読影が可能な適正な濃度とコントラストをもつ胸部エックス線写真により実施することが必要であり、コントラストの強過ぎるもの等を用いることは避けること。
(9) じん肺管理区分の決定のための審査において、提出されたエックス線写真の撮影方法が悪く審査が困難な場合には、「2.再・追加検査実施等命令」の手続を取り、適正な写真により審査を行うこと。
2.再・追加検査実施等命令
(1) 適正な資料に基づき、じん肺管理区分の決定を行うため、提出資料だけではじん肺管理区分の決定に当たって疑義があるときは、法第13条第3項(法第15条第3項及び法第16条第2項において準用する場合を含む。以下同じ。)に基づき、申請者等に対して再・追加検査実施命令又は物件提出命令(以下「再・追加検査実施等命令」という。)を行うこと。
(2) 再・追加検査実施等命令の目的は「じん肺管理区分の決定を行うため」に限定されるため、例えばエックス線写真上明らかなじん肺所見が認められない申請者において肺がんの疑いがある場合に、肺がんの有無の確認を目的としてエックス線特殊撮影による写真等の撮影を命令することはできないこと。なお、再・追加検査により確認を要する所見と、命令できる検査の範囲との関係は別紙2のとおりであること。
(3) じん肺健康診断において、規則第6条の結核精密検査及び規則第7条の肺結核以外の合併症に関する検査は、法第3条第3項に基づき、じん肺の所見があると診断された者のうち肺結核又はそれ以外の合併症にかかっている疑いがあると診断された者について行うものであること。したがって、じん肺の所見があることを確認しない段階で、これらの合併症に係る検査命令を行うことはできないこと。また、合併症により労働者災害補償保険法による療養給付を受給している申請者のように、別途合併症の罹患の確認ができる場合は、改めて追加検査命令を行うべき必要性は乏しいので、原則として行わないこと。
(4) 再・追加検査実施等命令を行うに当たっては、再・追加検査実施、物件提出命令書(別紙1様式3)を関係者に交付すること。相当の期間経過した資料が提出された場合には、地方じん肺診査医の意見に基づきこれを活用すること。なお、この場合、既に提出されている資料は保管しておくこととするが、督促にもかかわらず、上記命令書に示した提出期限の日から6か月を経過しても指定した資料の提出がないときは、既提出資料を提出者に返還し、決定不能として取り扱って差し支えないこと。
(5) 再・追加検査実施等命令を行うべき理由については、診査の際に地方じん肺診査医から聴取し、じん肺診査報告書(別紙1様式2)等に記録しておくこと。この際、その内容について法制度上問題がないか精査し、問題のあるものについては再診査を依頼すること。
3.留意事項
(1) じん肺の所見の有無は、エックス線写真により判断することとされており、再・追加検査実施等命令により命令できる検査は別紙2のとおりエックス線写真の撮影のみである。
(2) 労働局におけるじん肺管理区分の決定及び中央じん肺診査医会における審査にあたり、医療用モニターを用いて胸部エックス線写真を読影する場合は、平成23年9月26日付け基安労発0926第1号「じん肺標準エックス線写真集」(平成23年3月)フィルム版及び電子媒体版の取扱いについての別添「じん肺標準エックス線写真集」電子媒体版についてで「望ましい」とされる要件以上の読影環境が望ましいとされていること。
(3) 胸部CT写真については、「じん肺法におけるじん肺健康診断等に関する検討会報告書」(平成22年5月13日)において、「胸部CT写真の取扱について、引き続き、必要な情報収集に努めることが必要である。」と提言されている。また、胸部CT検査の有用性を検証し、じん肺健康診断における適切な診断基準及び手法を確立することを目的として、厚生労働科学研究費補助金(労働安全衛生総合研究事業)において「じん肺の診断基準及び手法に関する調査研究」(主任研究者:芦澤和人)を実施している。その手法や安全性について検討し、その有用性、安全性、経済性が明らかになれば、じん肺健康診断への積極的な導入を考慮することとしている。
第3 じん肺管理区分の決定
1.決定の方法
(1) じん肺管理区分は、粉じん作業従事労働者の健康管理を行うための基礎となるものであるから、第1により受理したときはできる限り速やかに決定を行うこと。
(2) じん肺管理区分の決定にあたって疑義がある場合は、「じん肺管理区分の決定について」(別紙1様式4)により、本省に対して照会を行うこと。
2.じん肺管理区分決定通知書
(1) じん肺管理区分決定通知書(規則様式第4号、第5号)を次により作成すること。
ア 様式中の該当する事項を○印で囲むこと。
イ 診査の結果、合併症にかかっているとされた者については、合併症の欄にかかっている疾病名を記入し、かつ、療養の要否の欄の「要」を○印で囲むこと。
(2) じん肺管理区分決定通知書において「かかっている合併症の名称」を記載するのは、労働局長が行政処分として合併症の名称を決定することを意味するものではなく、じん肺診査の際に判明した事実をじん肺に係る健康管理に資するために通知するものであること。
3.記録の保管
(1) じん肺健康管理台帳に所要事項を記入すること。
(2) じん肺管理区分が管理4と決定された者については、そのじん肺健康診断結果証明書の写しを作成し、その写しの余白に下記事項を記入した上、労働局に保管しておくこと。
ア 地方じん肺診査医の氏名
イ エックス線写真像の区分
ウ じん肺管理区分決定通知年月日
エ 症状確認日
なお、症状確認日とは、じん肺健康診断の結果提出された資料で確認し得る最初の日のことであり、必ずしも発症日とは同一のものではないこと。すなわち、当該決定の根拠となった資料がエックス線写真であるときはその撮影の日、肺機能検査の結果であるときはその検査実施日、エックス線写真と肺機能検査の両方で管理4であることが確認できる場合には、そのうちいずれか前の日であること。
第4 作業転換
じん肺管理区分が管理3である労働者の作業転換を推進するため、次の措置を講ずるものとすること。ただし、当該労働者が高年齢、定年直前等作業転換の効果が期待できない場合には、この限りではない。
なお、鋳物業、採石業等のように適当な転換先の職場が見当らず、作業転換の実施が困難である場合であっても、作業環境改善指導等により当該労働者の粉じんばく露を極力低減するよう指導すること。
1.作業転換勧奨書の交付
法第21条第1項に規定される、現に常時粉じん作業に従事している労働者で、じん肺管理区分が管理3イと決定されたもののうち、じん肺による肺機能の障害があると認められる者(F(+)の者。以下同じ。)については、当該労働者を使用する事業者に対し、じん肺管理区分決定通知書の交付と併せ、作業転換勧奨書(別紙1様式5)を交付すること。
また、作業転換勧奨書の交付に基づき作業転換した場合に事業者が労働局長に提出すべき書面は、作業転換実施通知書(別紙1様式6)によるよう指導すること。
2.作業転換促進書(乙)の交付
法第21条第2項に規定される、現に常時粉じん作業に従事している労働者でじん肺管理区分が管理3ロと決定されたもののうち、3.の作業転換促進書(甲)の交付の対象とならない者については、当該労働者を使用する事業者に対し、じん肺管理区分決定通知書の交付と併せ、作業転換促進書(乙)(別紙1様式7(1))を交付すること。また、作業転換促進書(乙)の交付に基づき作業転換した場合に事業者が労働局長に提出すべき書面は作業転換実施通知書(別紙1様式7(2))によるよう指導すること。
3.作業転換促進書(甲)の交付
法第21条第4項に規定される、現に常時粉じん作業に従事している労働者でじん肺管理区分が管理3ロと決定されたもののうち、下記の医学的要件の(1)又は(2)に該当するものについて、地方じん肺診査医により早急に作業転換を行う必要があると判定されたものについて当該労働者を使用する事業者に対し、じん肺管理区分決定通知書の交付と併せ、作業転換促進書(甲)(別紙1様式8(1))を交付すること。なお、転換の具体策ができたら直ちに作業転換合意報告書(別紙1様式8(2))で報告させること。
(1) エックス線写真の像が第3型又は第4型(A)(大陰影の大きさが1センチメートルを超え、5センチメートルを超えないものをいう。)でじん肺による相当程度の肺機能の障害があると認められるもの
(2) エックス線写真の像が第4型(B)(大陰影の大きさが5センチメートルを超え、一側の肺野の3分の1の大きさを超えないものをいう。)であると認められるもの
4.作業転換指示書の交付
3.の作業転換促進書(甲)を交付した事業者から作業転換の実施について関係労使が合意に達した旨の連絡を受けたときは、当該事業者に対し、作業転換指示書(別紙1様式9(1))を交付すること。作業転換が行われたときには遅滞なく、作業転換実施報告書(別紙1様式9(2))を提出させること。
5.作業転換記録簿
上記作業転換の事務処理に関し、作業転換記録簿(別紙1様式10)を作成し、保存しておくこと。
第5 通知
1.実施方法
(1) じん肺管理区分の決定を行ったときは、速やかに、提出又は申請を行った提出者又は申請者にじん肺管理区分決定通知書を交付するとともに、提出されたエックス線写真等の資料を返還すること。
(2) じん肺管理区分決定通知書の写しを所轄労働基準監督署長(法第15条第1項による申請で申請者の最終事業場が他の労働局の管内にある場合には当該労働局長)あて送付すること。
(3) じん肺管理区分決定通知書には、所要事項以外のものを記入しないこと。
なお、管理4と決定された者及び合併症にかかっていると認められた者については、(2)により所轄労働基準監督署長に送付する写しに、その症状確認日等を記入すること。この症状確認日の記載は、労災保険給付手続きの便宜を図るためのものであることを申し添える。この場合、合併症の症状確認日は、昭和53年4月28日付け基発第250号改正じん肺法の施行について記の第4の2(2)によるものとする。
(4) じん肺管理区分の決定に当たり、じん肺審査においてエックス線写真の像により管理1相当(PRO)若しくは管理4相当(PR4(C))と判定した場合、又は管理2若しくは管理3相当で合併症有りと診断した場合、肺機能検査に係る判定(F(-)、F(+)、F(++))の区分)は不要である。したがって、これらの場合には、じん肺管理区分決定通知書(規則様式第4号)中の備考欄「じん肺健康診断結果」の「肺機能の障害」は記入しないこと。なお、同備考欄「じん肺健康診断結果」の「かかっている合併症の名称」と併せ、これらの項目の欄に記入を要しない場合には、当該欄に斜線を引くことが望ましいこと。
(5) 常時粉じん作業に従事する労働者であった者からの法第15条第1項の申請によりじん肺管理区分を決定した場合には、法第15条第3項に基づく通知のほか、本人の同意を得たうえで、じん肺管理区分決定申請書の粉じん作業従事証明を行った事業者あて通知すること。
2.事務処理の期間
(1) じん肺管理区分決定申請書等の審査・処理に要する標準処理期間は、平成11年3月31日付け基発第179号「窓口業務の改善について」の一部改正等に伴う関係通達の改正についてに基づき、2か月と定められているところであるが、地方じん肺診査医の診査が必要なため、審査に相当の期間を要すると見込まれるときには、申請者にその旨をあらかじめ説明し理解を得るよう努めること。
第6 その他
1.じん肺健康管理台帳の管理が不充分なため、過去のじん肺管理区分の確認ができない等の問題が過去に生じていたことから、当該台帳の管理及びじん肺管理区分の決定の際の当該台帳への記入を徹底すること。
2.健康危機管理の観点から、じん肺の集団発生や急激に進行する事案などが認められた場合(同一事業場で5年以内に管理区分3以上の事例が2件以上発生した場合)には、直ちに本省まで報告すること。
3.本省においては、医療用モニターに関し、各労働局における読影環境の状況を勘案し、全国的に一定の水準に達した段階で、関係通知の改正等を検討すること。今後、労働局においてじん肺管理区分決定に用いることも視野に入れた読影機器を導入する際には、平成23年9月26日付け基安労発0926第1号「じん肺標準エックス線写真集」(平成23年3月)フィルム版及び電子媒体版の取扱いについてで「望ましい」とされる要件以上の読影環境を整備すること。
別添2
審査請求に関する事務取扱要領
第1 総論
1.行政不服審査法の内容
(1) 改正の概要
第186回国会で成立した行政不服審査法関連三法の一環として、平成26年6月に、行政不服審査法(平成26年法律第68号。以下「行審法」という。)及び行審法に基づく手続を定めた行政不服審査法施行令(平成27年政令第391号。以下「行審法施行令」という。)が公布され、平成28年4月1日から施行することとされている。行審法では、審理員による審理手続、第三者機関への諮問手続を導入し、処分に関与しない職員(審理員)が両者の主張を公平に審理し、有識者からなる第三者機関が大臣等(審査庁)の判断をチェックすることとされた。
(2) 受理
行審法では、審査請求の請求先について、原則として審査庁に対して直接、請求することとした(行審法第4条)が、処分庁を経由して審査請求が行うこともできるとされた(行審法第21条)。また、審理員による審理手続において、審査請求人等の申立てがあった場合には口頭で意見を述べる機会を与えなければならないとされ(行審法第31条第1項)、その際には全ての審理関係人を招集して行うこととされた(行審法第31条第2項)。
(3) 弁明書
審理員は、相当の期間を定めて、処分庁又は不作為庁に対し、弁明書の提出を求めるものとされ(行審法第29条第2項)、処分庁等は、審理員からの指示により弁明書を作成し、提出しなければならないこととされた(行審法第29条)。原処分についての審査請求書に対する弁明書には、「処分の内容及び理由」を、不作為についての審査請求書に対する弁明書には、「処分をしていない理由並びに予定される処分の時期、内容及び理由」を記載しなければならないとされた(行審法第29条第3項)。
(4) 裁決後の処理
不作為についての審査請求に理由がある場合には、審査庁は、裁決で当該不作為が違法又は不当である旨を宣言し、不作為庁に対して処分をすべき旨を命ずることとされた(行審法第49条第3項)。
2.じん肺法の改正内容
行審法の施行に伴い、じん肺法(昭和35年法律第30号。以下「法」という。)については、以下の点が改正されることとなる。
(1) 「不服申立て」の用語を「審査請求」に統一すること。
(2) 法における審査請求に係る裁決については、中央じん肺診査医の診断又は審査に基づいてするものとすること(法第19条第1項)。
(3) じん肺管理区分の決定の不作為について、審査請求ができることを明文化するとともに、当該審査請求にかかる裁決は、地方じん肺診査医の診断又は審査に基づいてするものとすること(法第19条第2項)。
3.事務処理手順の改正の概要
(1) 現在、都道府県労働局(以下「労働局」という。)において、提出された審査請求書等に、地方じん肺診査医の意見を添えて、本省労働衛生課(以下「衛生課」という。)に送付しているが、このたび、審理員制度が創設されたことに伴い、労働局は、審理員から弁明書の提出要求がなされてから、原処分時のエックス線写真の所見の記録等を基に弁明書を提出することとなること。
(2) 処分に係る審査請求の手順は、第2に定めるとおりであるが、その概要は別紙4のとおりであること。
(3) 不作為にかかる審査請求の手順は、第3に定めるとおりであるが、その概要は別紙5のとおりであること。
第2 処分に係る審査請求の手順
1.受理
(1) 原則として審査請求人から衛生課に、審査請求書(正・副本)及びエックス線写真等(正本)が提出されることとなるので、その際の受理事務は衛生課において実施すること。
(2) 審査請求書等が労働局に提出された場合は、労働局が経由事務を担うこととなること。労働局は、行審法第19条に基づく審査請求書であるか、及び法第18条に基づく審査請求書や添付物件であるか等についての審査(請求方式、請求に係る処分の存在、審査請求人適格、請求期間、請求先)を以下に留意して行い、遅滞なく衛生課へ送付すること。
ア 労働局は、審査請求の受理に際しては、審査請求書に所要事項が記載されていること及び当該審査請求が審査請求人が請求に係る処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に行われたもの(行審法第18条第1項)であるかを確認すること。
イ 労働局は、審査請求の受理に際し、審査請求人に対し、処分に係る申請の際に提出した関係書類(エックス線写真等を含む。)が審査請求に係る審査に必要であることを説明の上、これらの資料を併せて提出するよう指導すること。
ウ 審査請求に必要な書類が添付されていない場合は、揃えてから提出するよう審査請求人に指導し、必要な書類が揃った段階で本省に送付すること。その際、別紙3の審査請求チェックリストを活用すること。
エ 審査請求の裁決(結果)については、法第19条第7項の規定に基づき、利害関係者に通知されることを審査請求人に説明すること。
(3) 労働局においては、審査請求書の様式は、別紙1様式11によるよう指導すること。この際、「審査請求に係る処分」欄は最上段の選択肢にチェックを入れ、原決定の結果である管理区分を明示すること。あわせて、当該審査請求事案が法第13条第2項(第15条第3項、第16条第2項及び第16条の2第2項において準用する場合を含む。)に基づき決定された、じん肺管理区分の決定に対するものであるという趣旨を踏まえて、「審査請求の趣旨」欄に記載しておくべき内容についても十分説明すること。なお、合併症の有無については、審査請求の対象とならないこと。
(4) 労働局においては、審査請求に係る照会があった際には、審査請求人の利便性の確保の観点から可能な限り対応を行うこと。審査請求書が労働局経由で提出された場合には、行審法第21条第3項の規定に基づき、その提出された日が審査請求の提起日となるので、その日付を確実に記録すること。
(5) じん肺管理区分を決定された者がすでに死亡している場合であって、労災保険給付を目的として、その遺族から審査請求がなされようとしている場合には、審査請求事案として受理することなく、災害補償関係の請求を指導すること。
(6) じん肺管理区分が低位変更となった事案の審査請求の受理に当たっては、原処分の低位変更のじん肺管理区分決定の根拠となったエックス線写真に加えて、比較読影に使用した過去のじん肺管理区分決定に係るエックス線写真を併せて提出するよう申請者に指導すること。
(7) 行審法施行令第4条第4項の電子情報処理組織を使用して審査請求がされた場合には、審査請求人にエックス線写真等を郵送させ、氏名、生年月日等、エックス線写真に記載されている情報を基に、エックス線写真が審査請求人のものであるかどうかの確認を行うこと。
(8) 原決定に対する取消訴訟は、審査請求に対する裁決を経た後に、国を被告として(訴訟において国を代表する者は法務大臣)、裁決があったことを知った日の翌日から起算して6か月以内に提起することができる。また、審査請求があった日から3か月を経過しても裁決がないときは、審査請求に対する裁決を経ないで提起することができることを踏まえ、遅くとも3か月未満で裁決することができるよう、衛生課においては労働局から書類が到達次第確認し、不備があった場合は直ちに必要な対応をとるものとする。
2.審理員による審理
(1) 衛生課は、審査請求の受理に伴い、審査庁から指名された審理員(厚生労働省大臣官房総務課職員)に当該案件に係る審査請求書(副本)を送付し、審査請求書(正本)及びエックス線写真等は衛生課に保管する。
(2) 審理員は、審査請求書(副本)を労働局に送付し、弁明書の作成を命じるとともに、当該管理区分決定処分に係る関係(証拠)書類の送付を依頼する。
(3) 労働局においては、弁明書の提出に際して、参考様式例(別紙1様式12 処分に係る弁明書提出通知書の添付書類の例)を参照すること。原処分である管理区分の決定がなされた際の地方じん肺診査医の診断・審査の記録を基に、判断の根拠が審理員等に判るよう弁明書に記載すること。また、審査請求書等に処分が違法又は不当であることを理由付ける具体的な内容が記載されている場合には、処分が違法又は不当のいずれでもないことの根拠となる事実を「処分の内容及び理由」に記載すること。弁明書については、審理員からの特段の指定がない限り、おおよそ2~3週間で提出すること。
(4) じん肺管理区分が低位変更となった事案の審査請求の場合、読影に用いたエックス線写真において、じん肺管理区分を低位に変更すると判定するに至った根拠を弁明書に記載すること。
(5) 審理員は、労働局から提出された弁明書を審査請求人に送付し、必要に応じて反論書等の提出を受ける。
(6) 審理員は、(3)及び(5)の過程で揃った弁明書・反論書等を基に、必要に応じて口頭意見陳述の機会を設け、証拠書類等や物件の提出要求、参考人の陳述や鑑定要求等を行い、審理を進めることから、労働局において出席、テレビ会議等の対応を行うことがあることに留意すること。
(7) 審理員は、申立て又は職権により、書類その他の物件の所持人に対し、提出期限を付して、物件の提出要求を行うことができるので、留意すること。
(8) 審理員は、審査請求人又は参加人(行審法第13条に定める参加人を言う。以下同じ。)から、提出書類の閲覧又は写し等の交付の求めを受けた場合は、交付を拒むことができる正当な理由の有無の確認、提出書類等の提出人の意見の聴取を経て、その実施について決定することに留意すること。
3.中央じん肺診査医による診断・審査
(1) 衛生課は、労働局から送付された審査請求書等をとりまとめ、診査個票を作成する。
(2) 衛生課は、第4に規定する中央じん肺診査医会を開催し、審査請求書(正本)及びエックス線写真等をもとに、当該管理区分決定処分に係る診断・審査を行い、その結果をとりまとめ、審理員に提供する。
4.審理員による審理員意見書等の作成
(1) 審理員は、必要な審理を終えたと認めるときは、審理手続を終結するとともに、審理手続を終結した旨並びに審理員意見書及び事件記録を衛生課に提出する予定時期を審査請求人、労働局等に通知する。
(2) 審理員は2.(6)で得られた心証を踏まえ、かつ3.(2)で得られた中央じん肺診査医による診断・審査に基づいて、審理員意見書及び事件記録を遅滞なく作成し、衛生課へ速やかに提出する。
5.衛生課における裁決
(1) 衛生課は、4.(2)で提出された審理員意見書及び事件記録等に基づき、裁決を行う。
(2) 衛生課から審査請求人、参加人及び労働局へ裁決書の謄本を送付するとともに、審査請求人へ証拠書類等やエックス線写真等を返還する。(行審法第51条第1項及び第4項)
第3 不作為にかかる審査請求の手順
1.受理
(1) 審査請求人から衛生課に、審査請求書(正・副本)及びエックス線写真等が提出されることとなるので、その際の受理事務は衛生課において実施する。
(2) 審査請求書が労働局に提出された場合は、経由事務を担うこととなる。労働局は、行審法第19条に基づく審査請求書であるか、及び法第18条に基づく審査請求書や添付物件であるか等についての審査(請求方式、請求に係る不作為の存在、審査請求人適格、請求期間、請求先)を行い、遅滞なく衛生課へ送付すること。
(3) 審査請求に必要な書類が添付されていない場合は、揃えてから提出するよう審査請求人に指導し、必要な書類が揃った段階で衛生課に送付すること。この際、別紙3の審査請求チェックリストを活用すること。審査請求の裁決(結果)については、法第19条第7項の規定に基づき、利害関係者に通知されることを請求人に説明すること。
(4) 不作為にかかる審査請求の場合、すでに労働局に提出しておりエックス線写真等の物件を審査請求人が所有していないことが多いことが考えられる。そのため、審査請求人がエックス線写真等の物件を所有していない場合は、(1)及び(2)においてエックス線写真等を添付しなくともよいこととする。
(5) 労働局においては、審査請求書の様式は、様式11によるよう指導すること。この際、「審査請求に係る処分」欄は中段の選択肢にチェックを入れること。あわせて、審査請求人が「どのような内容の不作為が為されていると考えているのか」が明確に判るよう「審査請求の趣旨」欄に記載するように十分に説明すること。
(6) 労働局においては、審査請求に係る照会があった際には、審査請求人の利便性の確保の観点から可能な限り対応を行うこと。審査請求書が労働局経由で提出された場合には、行審法第21条第3項の規定に基づき、その提出された日が審査請求の提起日となるので、その日付を確実に記録すること。
(7) 行審法施行令第4条第4項の電子情報処理組織を使用して審査請求がされた場合には、審査請求人に、その他の添付書類、物件の提出の予定がないかを確認し、ある場合は郵送するよう指導すること。その上で審査請求人からエックス線写真等が郵送されてきた場合には、氏名、生年月日等、エックス線写真に記載されている情報を基に、エックス線写真が審査請求人のものであるかどうかの確認を行うこと。
2.審理員による審理
(1) 衛生課は、審査請求の受理に伴い、審査庁から指名された審理員(厚生労働省大臣官房総務課職員)に当該案件に係る審査請求書(副本)及びエックス線写真等を送付し、審査請求書(正本)は衛生課に保管する。
(2) 審理員は、審査請求書(副本)及びエックス線写真等を労働局に送付し、弁明書の作成を命じるとともに、不作為に係る関係(証拠)書類の送付を依頼する。
(3) 労働局においては、当該審査請求があったことを地方じん肺診査医に連絡し、定例又は臨時の地方じん肺診査医会を開催すること。
(4) 労働局においては、弁明書の提出に際して、参考様式例(様式12 不作為に係る弁明書提出通知書の添付書類の例)を参照すること。「処分をしていない理由」の記載に当たっては、当該申請がどのような処理の段階にあるかといった審査の進行状況を明示し、審査に時間を要する事情が生じていれば当該事情を明らかにするなどして、処分をするまでに至っていない原因となる事実を記載すること。このため、例えば「業務の輻輳による遅延」といった抽象的な記載は適当ではないこと。
(5) 「予定される処分の時期」とは、弁明書の提出時点における時間的な観点からの予定時期であり、例えば、「標準処理期間どおりにいけば、○月△日ぐらいであるが、本件の場合は□日程度遅れる見込み」といった記載が考えられる。なお、「未定」等の予定時期を示さない記載は可能な限り避けるべきであること。
(6) 「予定される処分の内容及び理由」とは、弁明書の提出時点において予定されている処分の内容及び理由であり、審理員等が予定される処分の内容及び理由を明確に認識し得るものであることが必要であるが、審査の進行状況等によっては、具体的に記載することが困難な場合も考えられる。このような場合は、その時点でできる限りの具体的な記載をするとともに、「内容及び理由」を明示できない理由を記載する必要がある。弁明書については、審理員からの特段の指定がない限り、おおよそ2~3週間で提出すること。
(7) なお、審理員から労働局あてに審査請求書の送付があり次第、労働局は弁明書の作成と並行して速やかに当該審査請求案件にかかる管理区分の決定処理等を行うこと。ただし、診断・審査が行えない正当な理由がある場合は、その理由を弁明書に明記し審理員に提出すること。
(8) 審査請求人から原決定処分の審査に必要な物件として提出されているエックス線写真については、地方じん肺診査医による診断・審査を速やかに行う必要があるため、証拠物件として弁明書に添付し衛生課へ提出する必要はないこと。また、2.(2)で審理員から送付されたエックス線写真等は衛生課から審査請求人に返却するため、衛生課に返送すること。
(9) 審理員は、労働局から提出された弁明書を審査請求人に送付し、必要に応じて反論書等の提出を受ける。
(10) 審理員は、(2)及び(8)の過程で揃った弁明書・反論書等をもとに、必要に応じて口頭意見陳述の機会を設け、証拠書類等や物件の提出要求、参考人の陳述や鑑定要求等を行い、審理を進めることから、労働局において出席、テレビ会議等の対応を行うことがあることに留意すること。
(11) 審理員は、申立て又は職権により、書類その他の物件の所持人に対し、提出期限を付して、物件の提出要求を行うことができるので、留意すること。
(12) 審理員は、審査請求人又は参加人から、提出書類の閲覧又は写し等の交付の求めを受けた場合は、交付を拒むことができる正当な理由の有無の確認、提出書類等の提出人の意見の聴取を経て、その実施について決定することに留意すること。
3.地方じん肺診査医による診断・審査
(1) 労働局は、審理員から送付された審査請求書等をとりまとめるとともに、地方じん肺診査医会を開催する。
(2) 地方じん肺診査医は、審査請求書(副)及びエックス線写真等(①原処分審査の為に、既に提出されており当該労働局に保管中のもの、②不作為に係る審査請求で新たに提出されたもの)を基に、不作為に係る診断・診査を行う。
(3) 労働局は、(2)の結果をまとめ、労働局及び衛生課を経由して審理員に提供する。
(4) 労働局は、(2)の結果を元に処分を行った場合には速やかに衛生課及び審理員に報告を行う。
4.審理員による審理員意見書等の作成
(1) 審理員は、必要な審理を終えたと認めるときは、審理手続きを終結するとともに、審理手続を終結した旨並びに審理員意見書及び事件記録を衛生課に提出する予定時期を審理関係者に通知する。
(2) 審理員は2.(10)で得られた心証を踏まえ、かつ3.(2)で得られた診断・審査結果に基づいて、審理員意見書及び事件記録を遅滞なく作成し、衛生課へ速やかに提出する。
5.衛生課における裁決
(1) 衛生課は、4.(2)で提出された審理員意見書及び事件記録等に基づき、裁決を行う。この場合において、衛生課が、不作為が不当である旨を宣言するときは、労働局に対し、3.(2)の診断又は審査に基づきじん肺管理区分決定を行うべき旨を命ずる。
(2) 衛生課から審査請求人へ裁決書を送付するとともに、審査請求人へ証拠書類等やエックス線写真等を返還する。
6.労働局における裁決の履行
(1) 労働局は、裁決に基づきじん肺管理区分決定を行い、審査請求人に対し、当該請求の元事案に係るじん肺管理区分を通知する。なお、2.(7)のとおり、裁決を待たず原処分の手続きを進め、その決定を行うことは差し支えない。
第4 中央じん肺診査医会
1.運営
(1) 中央じん肺診査医会(以下「診査医会」という。)は、下記の事案に係る診断、審査又は鑑定を行う。
ア 法第19条第1項の規定により労働局長が行ったじん肺管理区分の決定に係る審査請求
イ 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第67条第1項の規定により労働局長が行った健康管理手帳不交付の決定に係る審査請求(医学的判断に関わることに限る。)
ウ 船員法(昭和22年法律第100号)第1条の船員であった者に係る健康管理手帳の交付申請
(2) 診査医会は中央じん肺診査医(以下「診査医」という。)13名以内(うち2名は厚生労働省常勤医)で構成する。
(3) 診査医会に会長を置き、会長の選出は診査医の互選によるものとする。会長に事故があるときは、診査医のうちから会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する。
(4) 診査医会の開催は診査医の過半数の出席をもって成立する。ただし、緊急の診査が必要となった場合には、会長を含む3名以上の診査医の出席をもって成立とすることができる。
(5) 会長は診査医以外の者に出席を求めることができる。
(6) 診査医会の決定は、出席した診査医の合議でなされるものとする。
(7) 診査医の任期は2年とし(じん肺法施行規則第34条)、原則として満70歳を超えない範囲で任ずることができるものとする。また、再任にあたっては、原則として連続10年を超えないものとする。なお、診査に支障をきたすと考えられる場合においては、任期の満了を待たずに免ずることができる。
別紙1
別紙2
別紙3
別紙4
別紙5