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○勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律の公布について

(平成27年9月18日)

(/職発0918第1号/能発0918第11号/)

(各都道府県労働局長あて厚生労働省職業安定局長・厚生労働省職業能力開発局長通知)

(公印省略)

「勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律」については、本年3月17日に第189回通常国会に提出され、同年9月11日に原案どおり可決成立し、本日、平成27年法律第72号として公布されたところである。この法律は、原則として、平成27年10月1日から施行し、求人の不受理及び青少年雇用情報の提供に関する規定は平成28年3月1日から、職業生活における自立促進のための措置並びにキャリアコンサルタント及び職業能力検定に関する規定は平成28年4月1日から施行することとしている。

その主たる内容は下記のとおりであるが、「勤労青少年福祉法」について法律の名称を「青少年の雇用の促進等に関する法律」とする等抜本的な改正であり、その趣旨を十分理解の上、その施行につき万全を期せられたく、通知する。

第1 改正の趣旨

少子化に伴い若年労働力人口が減少する中で、次代を担うべき青少年が安定した雇用の中で経験を積みながら職業能力を向上させ、働きがいを持って仕事に取り組んでいくことができる社会を築くことが、我が国の経済社会の発展を図る観点からも重要な課題となっている。

このような状況を踏まえ、青少年の雇用の促進等を図り、能力を有効に発揮できる環境を整備するため、青少年の適職の選択並びに職業能力の開発及び向上に関する措置等を総合的に講ずるものである。

第2 勤労青少年福祉法(昭和45年法律第98号)の一部改正関係

(※ 条番号は平成28年4月1日時点)

1 題名及び目的の改正

(1) 法律の題名を「青少年の雇用の促進等に関する法律」に改めることとしたこと。(題名関係)

(2) この法律は、青少年について、適性並びに技能及び知識の程度にふさわしい職業(以下「適職」という。)の選択並びに職業能力の開発及び向上に関する措置等を総合的に講ずることにより、雇用の促進等を図ることを通じて青少年がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、もって福祉の増進を図り、あわせて経済及び社会の発展に寄与することを目的とすることとしたこと。(第1条関係)

2 関係者の責務及び連携協力

(1) 事業主は、青少年について、その有する能力を正当に評価するための募集及び採用の方法の改善、職業の選択に資する情報の提供並びに職業能力の開発及び向上に関する措置等を講ずることにより、雇用機会の確保及び職場への定着を図り、青少年がその有する能力を有効に発揮することができるように努めなければならないものとしたこと。(第4条第1項関係)

(2) 職業紹介事業者、募集受託者、募集情報提供事業者並びに青少年の職業能力の開発及び向上の支援を業として行う者(以下「職業紹介事業者等」という。)は、青少年の雇用機会の確保及び職場への定着が図られるよう、相談に応じ、及び必要な助言その他の措置を適切に行うように努めなければならないものとしたこと。(第4条第2項関係)

(3) 国は、青少年について、適職の選択を可能とする環境の整備、職業能力の開発及び向上その他福祉の増進を図るために必要な施策を総合的かつ効果的に推進するように努めなければならないものとしたこと。また、地方公共団体は、国の施策と相まって、地域の実情に応じ、必要な施策を推進するように努めなければならないものとしたこと。(第5条関係)

(4) 国、地方公共団体、事業主、職業紹介事業者等、教育機関その他の関係者は、青少年の福祉の増進を図るために必要な施策が効果的に実施されるよう、相互に連携を図りながら協力するように努めなければならないものとしたこと。(第6条関係)

(5) 厚生労働大臣は、(1)、(2)及び(4)に関し、事業主、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するために必要な指針を定め、これを公表するものとしたこと。(第7条関係)

3 青少年雇用対策基本方針

(1) 厚生労働大臣は、現行の勤労青少年福祉対策基本方針に代えて、青少年の福祉の増進を図るため、適職の選択並びに職業能力の開発及び向上に関する措置等に関する施策の基本となるべき方針(以下「青少年雇用対策基本方針」という。)を定めるものとしたこと。(第8条第1項関係)

(2) 青少年雇用対策基本方針においては、青少年の職業生活の動向に関する事項、青少年の適職の選択を可能とする環境の整備並びに職業能力の開発及び向上を図るために講じようとする施策の基本となるべき事項等を定めるものとしたこと。(第8条第2項関係)

4 公共職業安定所が行う職業指導等の充実

公共職業安定所は、青少年の適職の選択を可能とするため、職業経験がないこと、学校を退学したこと、不安定な就業を繰り返していることその他青少年の状況に応じた職業指導及び職業紹介を行う等必要な措置を講ずるものとしたこと。(第9条関係)

5 求人不受理の仕組みの創設

公共職業安定所は、求人者が学校卒業見込者等求人の申込みをする場合において、その求人者がした労働に関する法律の規定であって政令で定めるものの違反に関し、法律に基づく処分、公表その他の措置が講じられたとき(厚生労働省令で定める場合に限る。)は、職業安定法第5条の5の規定にかかわらず、その申込みを受理しないことができるものとしたこと。(第11条関係)

6 国と地方公共団体の連携

国及び地方公共団体は、青少年が希望する地域において適職を選択することを可能とするため、相互に連携を図りつつ、地域における青少年の希望を踏まえた求人に関する情報の収集及び提供その他必要な措置を講ずるように努めなければならないものとしたこと。(第12条関係)

7 青少年雇用情報の提供の仕組みの創設

(1) 労働者の募集を行う者及び募集受託者は、学校卒業見込者等募集を行うときは、学校卒業見込者等に対し、青少年の募集及び採用の状況、職業能力の開発及び向上並びに職場への定着の促進に関する取組の実施状況その他の青少年の適職の選択に資するものとして厚生労働省令で定める事項(以下「青少年雇用情報」という。)を提供するように努めるとともに、学校卒業見込者等募集に応じ、又は応じようとする学校卒業見込者等の求めに応じ、青少年雇用情報を提供しなければならないものとしたこと。(第13条関係)

(2) 求人者は、学校卒業見込者等求人の申込みに当たり、その申込みに係る公共職業安定所又は職業紹介事業者に対し、青少年雇用情報を提供するように努めるとともに、その申込みをした公共職業安定所若しくは職業紹介事業者又はこれらの紹介を受け、若しくは受けようとする学校卒業見込者等の求めに応じ、青少年雇用情報を提供しなければならないものとしたこと。(第14条関係)

8 基準に適合する中小事業主の認定制度の創設

(1) 厚生労働大臣は、事業主(常時雇用する労働者の数が300人以下の中小事業主に限る。)からの申請に基づき、当該事業主について、青少年の募集及び採用の方法の改善、職業能力の開発及び向上並びに職場への定着の促進に関する取組に関し、その実施状況が優良なものであることその他の厚生労働省令で定める基準に適合するものである旨の認定を行うことができるものとしたこと。(第15条関係)

(2) (1)の認定を受けた事業主(以下「認定事業主」という。)は、商品、役務の提供の用に供する物、商品又は役務の広告又は取引に用いる書類等に厚生労働大臣の定める表示を付することができることとし、何人もこの場合を除くほか、商品等に当該表示又はこれと紛らわしい表示を付してはならないものとしたこと。(第16条関係)

(3) 厚生労働大臣は、認定事業主が(1)の基準に適合しなくなったと認めるとき、この法律若しくはこの法律に基づく命令に違反したとき又は不正の手段により(1)の認定を受けたときは、その認定を取り消すことができるものとしたこと。(第17条関係)

(4) 承認中小事業主団体の構成員である認定事業主が、当該承認中小事業主団体をして青少年の募集及び採用を担当する者の募集を行わせようとする場合において、当該承認中小事業主団体が当該募集に従事しようとするときは、職業安定法第36条第1項及び第3項の規定は、当該構成員である認定事業主については、適用しないものとすること。(第18条関係)

9 職業訓練等の措置

国は、地方公共団体その他の関係者と連携し、青少年に対して、職業訓練の推進、職業能力検定の活用の促進、キャリアコンサルタントによる相談の機会の付与、職務経歴等記録書の普及の促進その他必要な措置を総合的かつ効果的に講ずるように努めなければならないものとしたこと。(第21条関係)

10 職業生活における自立促進のための措置

(1) 国は、就業、修学及び職業訓練の受講のいずれもしていない青少年であって、職業生活を円滑に営む上での困難を有するもの(以下「無業青少年」という。)に対し、その特性に応じた適職の選択その他の職業生活に関する相談の機会の提供、職業生活における自立を支援するための施設の整備その他の必要な措置を講ずるように努めなければならないものとしたこと。(第23条関係)

(2) 地方公共団体は、(1)の国の措置と相まって、地域の実情に応じ、無業青少年の職業生活における自立を促進するために必要な措置を講ずるように努めなければならないものとしたこと。(第24条関係)

(3) 公共職業安定所は、無業青少年に適職を紹介するため必要があるときは、求人者に対して、職業経験その他の求人の条件について指導するほか、無業青少年を雇用し、又は雇用しようとする者に対して、配置その他の無業青少年の雇用に関する事項について、必要な助言その他の援助を行うことができるものとしたこと。(第25条関係)

11 労働に関する法令に関する知識の付与

国は、学校と協力して、その学生又は生徒に対し、職業生活において必要な労働に関する法令に関する知識を付与するように努めなければならないものとしたこと。(第26条関係)

12 事業主等に対する援助

国は、青少年の福祉の増進を図るため、事業主、職業紹介事業者等その他の関係者に対して、必要な助言、指導その他の援助を行うように努めなければならないものとしたこと。(第27条関係)

13 報告の徴収並びに助言、指導及び勧告

厚生労働大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、事業主、職業紹介事業者等、求人者及び労働者の募集を行う者に対して、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができるものとしたこと。(第28条関係)

14 相談及び援助

公共職業安定所は、この法律に定める事項について、青少年の相談に応じ、及び必要な助言その他の援助を行うことができるものとしたこと。(第29条関係)

15 船員に関する特例等

船員に関する特例並びに国家公務員及び地方公務員の適用除外について所要の規定を設けたこと。(第33条及び第34条関係)

16 その他

(1) 所要の罰則を設けたこと。(第35条から第39条まで関係)

(2) 勤労青少年の日、都道府県勤労青少年福祉事業計画、勤労青少年福祉推進者、余暇の有効活用、勤労青少年ホーム及び勤労青少年ホーム指導員に関する規定を廃止したこと。(現行第5条、第7条及び第13条から第16条まで関係)

第3 職業安定法(昭和22年法律第141号)の一部改正関係

公共職業安定所が学校と協力して行う職業指導及び職業紹介並びに学校が届出により行う無料職業紹介の対象者に学校を退学した者を追加したこと。(第26条第1項及び第3項関係)

また、公共職業安定所が学校その他の関係者と協力して職業の選択についての学生又は生徒の関心と理解を深めるために講ずる措置として、キャリアコンサルタントによる相談の機会の付与を追加したこと。(第33条の2第1項関係)

第4 職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)の一部改正関係

1 基本理念の改正

労働者は、職業生活設計を行い、その職業生活設計に即して自発的な職業能力の開発及び向上に努めるものとしたこと。(第3条の3関係)

2 職務経歴等記録書の普及

国は、労働者の職務の経歴、職業能力その他の労働者の職業能力の開発及び向上に関する事項を明らかにする職務経歴等記録書の様式を定め、その普及に努めなければならないものとしたこと。また、国は、その様式を定めるに当たっては、青少年の職業生活設計に即した自発的な職業能力の開発及び向上が促進されるように、その特性にも配慮するものとしたこと。(第15条の4関係)

3 キャリアコンサルタントの登録制の創設

(1) 「キャリアコンサルティング」とは、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことをいうものとしたこと。(第2条第5項関係)

(2) 事業主が必要に応じ講ずる措置として、労働者が自ら職業能力の開発及び向上に関する目標を定めることを容易にするために、業務の遂行に必要な技能等の事項に関し、キャリアコンサルティングの機会の確保その他の援助を行うことを追加したこと。(第10条の3第1号関係)

(3) キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルタントの名称を用いて、キャリアコンサルティングを行うことを業とするものとしたこと。(第30条の3関係)

(4) キャリアコンサルタント試験は厚生労働大臣が行うものとし、厚生労働大臣の登録を受けた法人に、キャリアコンサルタント試験の実施に関する業務を行わせることができるものとしたこと。また、登録の要件その他所要の規定を設けたこと。(第30条の4から第30条の18まで関係)

(5) キャリアコンサルタント試験に合格した者は、キャリアコンサルタント名簿に、氏名、事務所の所在地その他厚生労働省令で定める事項の登録を受けて、キャリアコンサルタントとなることができるものとし、その登録は、5年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、効力を失うものとしたこと。また、厚生労働大臣は、厚生労働大臣の指定する者に、キャリアコンサルタントの登録の実施に関する事務を行わせることができるものとするとともに、指定の要件その他所要の規定を設けたこと。(第30条の19から第30条の26まで関係)

(6) キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルタントの信用を傷つけ、又はキャリアコンサルタント全体の不名誉となるような行為をしてはならないものとしたこと。また、キャリアコンサルタントは、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならないものとしたこと。(第30条の27関係)

(7) キャリアコンサルタントでない者は、キャリアコンサルタント又はこれに紛らわしい名称を用いてはならないものとしたこと。(第30条の28関係)

(8) 公共職業能力開発施設の長は、公共職業訓練を受ける求職者が自ら職業能力の開発及び向上に関する目標を定めることを容易にするために、必要に応じ、キャリアコンサルタントによる相談の機会の確保その他の援助を行うように努めなければならないものとしたこと。(第23条第4項関係)

4 職業訓練の実施に関する計画策定における意見聴取

厚生労働大臣は、国が設置する公共職業能力開発施設が行う職業訓練等の実施に関する計画を定めるに当たっては、あらかじめ、関係行政機関の長その他の関係者の意見を聴くものとしたこと。(第15条の8第2項関係)

5 職業能力検定の規定の整備

(1) 技能検定の実技試験の実施方法について、検定職種ごとに厚生労働省令で定めるものとしたこと。(第44条第4項関係)

(2) 厚生労働大臣は、職業能力検定の振興を図るため、事業主その他の関係者が職業能力検定を適正に実施するために必要な事項に関する基準を定めるものとしたこと。(第50条の2関係)

6 その他、所要の罰則の改正を行ったこと。(第99条の2から第100条の2まで、第102条、第105条及び第105条の2関係)

第5 施行期日等

1 施行期日(附則第1条関係)

この法律は、平成27年10月1日から施行すること。ただし、第2の2の(1)の一部、5及び7は平成28年3月1日から、第2の9の一部及び10、第3の一部並びに第4の3、5及び6は平成28年4月1日から施行すること。

2 厚生労働省設置法(平成11年法律第97号)の一部改正(附則第15条関係)

職業能力開発に係る都道府県労働局の事務分掌に関する規定を整備すること。(第21条第1項関係)