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○次世代医療機器・再生医療等製品評価指標の公表について

(平成27年9月25日)

(薬食機参発0925第1号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省大臣官房参事官(医療機器・再生医療等製品審査管理担当)通知)

(公印省略)

厚生労働省では、医療ニーズが高く実用可能性のある次世代医療機器・再生医療等製品について、審査時に用いる技術評価指標等をあらかじめ作成し、公表することにより、製品開発の効率化及び承認審査の迅速化を図る目的で、評価指標を検討してきたところです。

今般、鼻軟骨再生(別紙1)、心臓カテーテルアブレーション装置(別紙2)及びカスタムメイド整形外科用インプラント等(別紙3)の評価を行うに当たって必要と考えられる資料、評価のポイント等を評価指標としてとりまとめましたので、下記に留意の上、製造販売承認申請に当たって参考とするよう、貴管内関係業者に対して周知いただきますよう御配慮願います。

なお、本通知の写しを独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事長、一般社団法人日本医療機器産業連合会会長、米国医療機器・IVD工業会会長、欧州ビジネス協会医療機器委員会委員長他の関連団体宛て送付することを申し添えます。

1.評価指標とは、承認申請資料の収集やその審査の迅速化等の観点から、製品の評価において着目すべき事項(評価項目)を示すものである。評価指標は、法的な基準という位置付けではなく、技術開発の著しい次世代医療機器・再生医療等製品を対象として現時点で考えられる評価項目を示したものであり、製品の特性に応じて、評価指標に示すもの以外の評価が必要である場合や評価指標に示す評価項目のうち適用しなくてもよい項目があり得ることに留意すること。

2.個々の製品の承認申請に当たって必要な資料・データを収集する際は、評価指標に示す事項についてあらかじめ検討するほか、可能な限り早期に独立行政法人医薬品医療機器総合機構の対面助言を活用することが望ましいこと。

(別紙1)

鼻軟骨再生に関する評価指標

1.はじめに

再生医療等製品のうち、ヒト細胞加工製品の品質及び安全性を確保するための基本的な技術要件は、平成20年2月8日付け薬食発第0208003号厚生労働省医薬食品局長通知(以下「ヒト(自己)由来細胞・組織加工医薬品等の指針」という。)及び平成20年9月12日付け薬食発第0912006号厚生労働省医薬食品局長通知(以下「ヒト(同種)由来細胞・組織加工医薬品等の指針」という。)に定められているところである。本評価指標は、ヒト細胞加工製品のうち特に口唇口蓋裂の鼻変形のうち、隆鼻術及び鼻尖形成が必要な高度な変形の治療を目的として適用される、ヒト耳介軟骨細胞加工製品について、上述の基本的な技術要件に加えて当該製品特有の留意すべき事項を示すものである。

2.本評価指標の対象

本評価指標は、口唇口蓋裂の鼻変形のうち、隆鼻術及び鼻尖形成が必要な高度な変形の治療を目的として適用されるヒト耳介軟骨細胞加工製品について、基本的な技術要件に加えて品質、有効性及び安全性の評価にあたって留意すべき事項を示すものである。

3.本評価指標の位置づけ

ヒト細胞加工製品の種類や特性、臨床上の適用法は多種多様であり、また本分野における科学的進歩や経験の蓄積は日進月歩であることから、本評価指標が必要事項すべてを包含しているとみなすことが必ずしも適切でない場合もある。

したがって、本評価指標は製造販売承認申請内容に関して拘束力を有するものではなく、個々の細胞・組織加工製品についての試験の実施や評価に際しては、その時点の学問の進歩を反映した合理的根拠に基づき、ケース・バイ・ケースで柔軟に対応することが必要である。

なお、本評価指標の他、ヒト(自己)由来細胞・組織加工医薬品等の指針、ヒト(同種)由来細胞・組織加工医薬品等の指針及び国内外のその他の関連ガイドラインを参考にすることも考慮すべきである。

4.用語の定義

本評価指標における用語の定義は、ヒト(自己)由来細胞・組織加工医薬品等の指針及びヒト(同種)由来細胞・組織加工医薬品等の指針の定義による他、以下のとおりとする。

(1) 耳介軟骨細胞:耳介軟骨を構成する軟骨細胞。Ⅱ型コラーゲンやプロテオグリカンのほか、弾性線維等の弾性軟骨に特徴的な細胞外基質を分泌する。

(2) 足場素材:製品の形態付与、細胞の保持及び機能促進のために使用される基材。

(3) 力学的特性:軟骨組織は、粘性と弾性とを併せ持つ粘弾性、圧縮応力に対応する圧縮強度、せん断応力に対応するせん断強度等の力学的特性を有する。

(4) 中間製品:製造の中間工程で造られたものであって、以後の製造工程を経ることによって製品となるもの。

5.評価にあたって留意すべき事項

本評価指標は、ヒト耳介軟骨組織を原料として製造所に受け入れ、これを製造所において加工して製造されたヒト耳介軟骨細胞加工製品として鼻部に適用することを想定している。

(1) 原料等

ヒト耳介軟骨組織の加工において使用する生物由来の原料等については「生物由来原料基準」(平成15年厚生労働省告示第210号)及び「生物由来原料基準の運用について」(平成26年10月2日付け薬食審査発1002第1号厚生労働省医薬食品局審査管理課長、薬食機参発1002第5号厚生労働省大臣官房参事官(医療機器・再生医療等製品審査管理担当)通知)をはじめとする関連法令及び通知を遵守すること。

① 軟骨組織の採取

軟骨組織の採取部位の選定理由、採取方法を示し、これらが科学的及び倫理的に適切に選定されたものであることを明らかにすること。採取方法については、用いられる器具、微生物汚染防止、取り違えやクロスコンタミネーション防止のための方策等を具体的に示すこと。

② 軟骨組織以外の生物由来の原料等

軟骨組織以外の生物由来の原料等については、その使用量を必要最小限とすること。特に、ウイルス不活化及び除去に関する情報を十分に評価する必要があるほか、遡及調査等を確保する方策についても明らかにすること。

③ 非細胞原料等

足場素材等として使用される非細胞材料(アテロコラーゲンハイドロゲルやポリ乳酸多孔体等)については生体適合性を評価する必要がある。必要に応じて規格を設定し、足場素材が目的とする機能を有することを評価し、安全性(例えば、感染症や異物反応等)について説明する必要がある。非細胞材料の生体適合性については、ISO10993―1、JIS T 0993―1、またはASTM F 748―04等を参考にすること。また、生体吸収性材料については、分解生成物に関して必要な試験を実施すること。

なお、必要な試験等については、平成24年3月1日付け薬食機発0301第20号厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長通知「医療機器の製造販売承認申請等に必要な生物学的安全性評価の基本的考え方について」等を参照し、試験結果及び当該原材料を使用することの妥当性を示すこと。文献からの知見、情報を合理的に活用すること。

(2) 製造工程において特に注意が必要な事項

ヒト耳介軟骨細胞加工製品(最終製品)の製造にあたっては、製造方法を明確にし、可能な範囲でその妥当性を以下の項目で検証し、一定の品質を保持すること。

原料となるヒト耳介軟骨組織の製造所への受入れから、軟骨細胞の分離・培養工程を経て、足場素材に投与してできる最終製品に至る製造方法の概要を示すとともに、具体的な処理内容及び必要な工程管理、品質管理の内容を明らかにすること。

① 受入検査

原料となるヒト耳介軟骨組織について、製造所への受入れのための試験検査の項目(例えば、目視検査、顕微鏡検査、生存率、細胞の特性解析、細菌、真菌、ウイルス等の混入の否定等)と各項目の判定基準を設定すること。表現型、遺伝形質、特有の機能等の特性、細胞生存率及び品質に影響を及ぼさない範囲で、必要かつ可能な場合は細菌、真菌及びウイルス等を不活化又は除去する処理を行うこと。

なお、技術的な理由により、一部の工程を進めた上で検査を行うことが適切な場合にあっては、受入れ後の適切な時点で検査を実施すること。治験を開始する前段階の場合は、それまでに得られた試験検体での実測値を提示し、これらを踏まえた暫定値を示すこと。

② 最終製品の構成要素となる細胞の作製

製造所に受け入れたヒト耳介軟骨組織から最終製品の構成要素となる軟骨細胞を作製する方法(細胞の分離・培養方法、培地、培養条件、培養期間、収率等)を明確にし、可能な範囲でその妥当性を明らかにすること。培養期間の妥当性及び細胞の安定性を評価するために、予定の培養期間を超えて培養した細胞において脱分化又は増殖速度の異常変動等の目的外の変化がないことを適切な細胞指標を用いて示すこと。適切な細胞指標として核型分析が用いられることが考えられるが、核型分析において細胞・組織を採取したドナーの年齢や原疾患によっては、ある頻度で染色体異常が生じている場合があるので,染色体異常が認められた場合にそれがドナー背景に起因するのか、あるいは培養に起因するのかを明らかにできるような試験計画の立案を検討すること。適用後に体内での増殖及び分化等を期待する場合には、設定された基準による継代数又は分裂回数で期待された機能を発揮することを明らかにすること。

③ 製造工程中の取り違え及びクロスコンタミネーション防止対策

ヒト耳介軟骨細胞加工製品(最終製品)の製造に当たっては、製造工程中の取り違え及びクロスコンタミネーションの防止が重要であり、工程管理における防止対策を明らかにすること。

(3) 製品の品質管理

品質規格の値の設定について、治験を開始する前段階にあっては、それまでに得られた試験検体での実測値を提示し、これらを踏まえた暫定値を示すこと。なお、出荷製品そのもの又はその一部に対して規格試験の実施が技術的に困難である場合にあっては、妥当性を示した上で並行して製造した製品を用いて規格試験を実施すること。

① 細胞数および生存率

ヒト耳介軟骨組織から得られる軟骨細胞は量的な制約がある。軟骨細胞は体外培養すると脱分化する傾向を持つ。ドナーの年齢又は長期の培養等の条件により増殖速度が低下する場合もあるため、体外での増殖にも限度があり、最終製品に使用可能な細胞数は、出発原料として得られた細胞の数に応じて量的な制約を持つ。したがって、ヒト耳介軟骨細胞加工製品(最終製品)を製造するために十分な量の細胞を確保するためには、原料又は中間製品中に存在する細胞の数及び生存率について判定基準を設定しておく必要がある。また、最終製品における細胞の生存率についても基準を設定すること。

② 確認試験

品質規格としては、軟骨細胞マーカーが発現していることを確認すること。軟骨細胞マーカーとして、例えばⅡ型コラーゲン、アグリカン、SOX9、MIA、GFAP等が知られている。ELISA等による細胞培地上清に分泌されたMIA及びGFAP量の測定なども考えられる。

③ 純度試験

軟骨細胞マーカーの抗体を用いた免疫染色により判断する。または、軟骨細胞マーカーの一定レベルの発現量を確認する。混入細胞(たとえば線維芽細胞、血球細胞等)、または脱分化細胞、異常増殖細胞といった目的細胞以外の細胞の検出(例えば、軟寒天コロニー形成試験等)及びその安全性を確認する試験方法及び判定基準を設定する。

④ 力学的適合性試験

粘弾性特性あるいは曲げ強度等の力学的検討を行い、あらかじめ規定した力学特性を持つことを確認する。

(4) 非臨床安全性試験(細胞の造腫瘍性・過形成)

製品中の細胞に由来する腫瘤は適用部位における物理的障害となる恐れがあること、宿主の正常な生理機能に対し悪影響を及ぼす可能性があること等から、悪性腫瘍のみならず、良性腫瘍を含む腫瘍形成及び過形成の可能性を検討すること。試験により造腫瘍性を評価する方法としては、例えば、免疫不全動物における腫瘍形成能試験等が挙げられる。また、既定の培養期間を超えて培養した細胞について、目的外の形質転換や増殖速度の異常亢進がないことを明らかにすることも重要である。なお、免疫不全動物における腫瘍形成能試験においては、移植した細胞が体内で軟骨を形成した場合も腫瘍のように見えることがあるので、必要に応じて形態的特徴だけでなく組織病理学的特徴による評価も検討すること。

免疫不全動物における腫瘍形成能試験については、World Health Organization (WHO) Technical Report Series No. 978 Annex 3(WHO TRS No.878 Annex 1の更新版)等を参考にすることが考えられるが、上述のWHOガイドラインは細胞を投与する製品の評価について論じたものではないため、試験法の妥当性については、製品の特性やその時点での技術レベル等に応じて検討を行うこと。なお、造腫瘍性が疑われた場合の他、使用する材料や製造方法によっては、がん原性の検討が必要な場合もある事を考慮すること。

(5) 最終製品の効力又は性能を裏付ける試験

ヒト耳介軟骨細胞加工製品(最終製品)のコンセプトに応じて検討すること。例えば、製品のコンセプトとして口唇口蓋裂の鼻変形の治療を目的に製品の持続的な形状維持や生着を目指すのであれば、最終製品をヌードラット等に移植し、移植後に、移植部位に留まり補綴材として維持されること、最終製品に含まれる軟骨細胞が、移植後軟骨基質を分泌すること等を確認することも考えられる。

(6) 臨床試験(治験)

① 対象疾患

口唇口蓋裂の鼻変形のうち、隆鼻術及び鼻尖形成が必要な高度な変形をもつ患者。

② 観察・測定項目

a) 有効性

ヒト耳介軟骨細胞加工製品の移植目的と機能を勘案し、適切な有効性評価指標を設定し、有効性を判定するのが好ましい。評価方法に関しては、レーザー計測装置や3次元CTなどを用いた3次元評価、MRI撮影による定性的評価、顔貌写真による顔面及び鼻口部分についての外観評価、評価ツールを用いた顔面の整容的満足度の評価、評価ツールを用いた全身的な満足度の評価、日常生活動作に関するアンケートなどが考えられる。

b) 安全性

全身所見、局所所見、自覚症状の有無を確認する。また、移植後、移植周囲に炎症、感染、過形成、過増殖などの異常所見がないか確認する。

③ 観察期間

先行論文や実験データを基に、移植物が形態的にも機能的にも安定すると思われる期間を設定し、その期間を参考にして、観察期間をきめる。吸収性素材を足場素材として使用する場合には、足場素材が吸収されるまで観察するのが理想的であるが、吸収期間が非常に長いなどの理由で、完全に吸収されたことを証明することが困難な場合は、足場素材の影響が少なくなったことを説明できる状況まで観察し、その後の経過も追跡することが望ましい。

④ 臨床評価について

臨床データパッケージ及び治験実施計画書は、当該治療法に期待される臨床上の位置付け等に応じて、非臨床データ等も踏まえて適切に計画されるべきである。できる限り独立行政法人医薬品医療機器総合機構の薬事戦略相談又は対面助言を利用すること。

(別紙2)

3Dマッピング装置等を用いた心臓カテーテルアブレーション装置に関する評価指標

1.はじめに

1980年後半から心臓カテーテルアブレーションによる不整脈の根治が可能となった。臨床医による実践の積み重ねによる経験の集積と臨床研究に加えて、心臓カテーテルアブレーション装置と治療診断支援装置等の医療機器の絶え間ない技術革新によって、心臓カテーテルアブレーションの対象となる不整脈の種類は着実に増加し、治療成績も向上の一途である。特に心房細動は有病率が高く、わが国では現在でも100万人の患者が存在するとされており、今後本邦の高齢化とともに患者数の大幅な増加が見込まれている。実際ここ10年間の心臓カテーテルアブレーション実施数は加速的に増加し、新規の医療機器の臨床導入が著しい。今後、この心臓カテーテルアブレーション治療は世界規模でより広く普及して、不整脈患者に恩恵を与えることが予想される。

心臓カテーテルアブレーション装置を利用した不整脈治療は新たな時代に入り、適用する医療機器が相次いで開発されてきているが、疾患部位の特定や治療効果の確認等、その評価に当たっては相応のリスク因子を考慮する必要がある。このような背景を踏まえ、心臓カテーテルアブレーション装置について、科学的根拠を基盤にした品質、安全性及び有効性の評価を適正かつ迅速に進めるために本評価指標案を作成した。

2.本評価指標の対象

本評価指標案においては、カテーテルを用いて心臓又はその周囲組織を変性させることで不整脈を治療する機器(アブレーション用カテーテル及びエネルギー等出力装置)及び治療診断支援装置(3Dマッピング装置、ナビゲーション装置等)を対象とする。

アブレーション用カテーテル(一般的名称「アブレーション向け循環器用カテーテル」)は、心臓領域を外科的に除去するか部分的に変えるために設計された柔軟なチューブであり、構造や原理等の違いにより、電極型カテーテル(通常型、イリゲーション型等)、バルーン型カテーテル等があり、種々の形状のカテーテルの開発が進められている。

アブレーション用エネルギー等出力装置の原理としては、高周波通電、冷凍、集束超音波照射、レーザ(Photodynamic Ablationを含む)照射、エレクトロポレーション等がある。

3Dマッピング装置とは、術前及び術中に撮像したCT、MR、超音波画像等から心臓の構造を3次元で再構築し、電気生理学的情報を重ね合わせて表示する装置である。術中に心内で電極カテーテルを操作して、心内電位を多点記録することで、その興奮様式や電位情報を3次元モデル上にカラーマッピングし、表示できる。それによって不整脈発生基質の推定に用いることができる。

ナビゲーション装置とは、心臓カテーテルアブレーション治療において、3Dマッピング機器を用いるなどし、治療用カテーテルの動きを表示することで、治療標的部位へと誘導するための情報を与える装置等を指す。

開発する心臓カテーテルアブレーション装置が本評価指標案に該当するか判断し難い場合は、必要に応じ厚生労働省医薬食品局医療機器・再生医療等製品担当参事官室に相談すること。

3.評価指標の位置づけ

本評価指標は、技術開発の著しい機器を対象とするものであることを勘案し、留意すべき事項を網羅的に示したものではなく、現時点で考えられる点について示している。よって、今後の更なる技術革新や知見の集積等を踏まえ改訂されるものであり、申請内容に関して拘束力を有するものではない。製品の評価にあたっては、個別の製品の特性を十分理解した上で、科学的な合理性をもって柔軟に対応することが必要である。なお、本評価指標のほか、国内外のその他の関連ガイドラインを参考にすることも考慮すべきである。

4.評価に対して留意すべき事項

評価に際して留意すべき事項としては、(1)基本的事項、(2)非臨床試験に関する事項、(3)臨床試験(治験)に関する事項の3点がある。

(1) 基本的事項

① 開発の経緯、品目の仕様、当該品目及び必要に応じ、類似品の国内外での使用状況、設計開発及びシステムの原理(アルゴリズムを含む)、目標とされる使用方法等を明確に示す。

② 以下の事項を参考に、システム全体の設置、運用に当たっての留意事項等について評価する。

(ア) ソフトウェア(OS及びアルゴリズムの妥当性を含む)

(イ) 安定性(滅菌包装、保管及び配送)

(ウ) 設置条件

・重量(使用場所の床に要求される耐荷重条件)

・寸法(格納時も含む)

・転倒防止対策

(エ) 騒音・振動

(オ) 保守点検とその内容

(カ) トレーニング計画の必要性とその内容

(キ) 使用者向け操作マニュアル等の文書化の適切性

(ク) 停電対策(予備電源の要否等)

(ケ) 求められるバックアップ体制(術中に装置の使用を中止し、代替手術へ切り替える場合の対応等)

(2) 非臨床試験に関する事項

以下に示すベンチテスト、動物試験等を通して、システム全体の安全性及び有効性の評価を適切に行うこと。なお、必要に応じてシステムを構成する治療診断支援機器に含まれる内視鏡、X線装置、CT、MRI装置等の画像取得装置の性能、品質等については、関連するガイドライン、認証基準等に準じて評価を行う。

① in vitro評価

1) 安全性に関する評価

a) 共通事項

(ア) 電気的安全性及び電磁両立性(参考:IEC 60601―1,IEC 60601―1―2,JIS T 0601―1,JIS T 0601―1―2等)

(イ) 機械的安全性(アーム等の耐荷重性を含む。)(参考:ISO 10218―1等)

(ウ) 品質マネジメント、リスクマネジメント(参考:ISO 13485,ISO 14971,JIS Q 13485,JIS T 14971等)

(エ) 安全機構の種類、構造及び妥当性

・アラーム(種類、表示)(参考:IEC 60601―1―8,JIS T 60601―1―8等)

・緊急停止対策(参考:ISO 10218―1,ISO 13850,IEC 60204等)

・緊急停止装置及びその構造

・緊急停止する条件(術者の意に反する誤動作、安全機構作動時等)

・停止中の患者及び医療従事者への安全性の確保(装置姿勢保持等)

・緊急停止後装置の再稼動の容易性

・誤動作予防対策(ユーザーインターフェース)

b) アブレーション用カテーテルの安全性評価

(ア) 生物学的安全性(参考:ISO 10993―1,JIS T 0993―1等)

(イ) 機械的安全性

・強度

・トルク

(ウ) 安定性(なお、放射線滅菌によるものについては、最大照射線量で滅菌したもの又は2倍の効果を持つ滅菌条件で滅菌したものについて、滅菌直後及び6か月以上経過後の材質劣化に関する資料を添付すること)

(エ) 耐久性(アブレーションカテーテル操作及び焼灼回数の安全域、腐食対策、発熱対策、バルーンの耐久性等を含む)

(オ) 無菌性(参考:平成26年12月18日付け薬食監麻発1218第4号厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長通知「滅菌バリデーション基準の制定について」等)

(カ) エンドトキシン試験

c) エネルギー等出力装置及び治療診断支援装置の安全性評価

(ア) 電気的安全性及び電磁両立性(参考:JIS T 0601―1,JIS T 0601―1―2等)

(イ) 機械的安全性(アーム等の耐荷重性を含む。)(参考:ISO 10218―1等)

(ウ) 品質マネジメント及びリスクマネジメント(参考:ISO 13485,ISO 14971等)

2) 性能に関する評価

以下の各事項中、該当する項目について、それぞれ具体的なデータをもって明らかにすること。

治療対象として想定される不整脈の種類や機序によって、心臓内の異なる治療標的部位(心房筋、肺静脈、房室結節又はその近傍組織、心室筋(心内膜側又は心外膜側)、プルキンエ線維、神経叢又はその近傍の心筋、副伝導路等)に対し、治療上必要十分な深達度及び体積を有する変性組織を作成することができる。

a) アブレーション用カテーテル及びエネルギー等出力装置の評価

(ア) 不整脈治療に関する性能

・原理及び期待される効果

・制御方法

・動作精度(位置・空間的な精度、時間的な精度(時間遅れを含む)、再現性、バリデーション方法等)

・精度の妥当性(適応症例に要求される時間遅れとの相関性等)

・処置の範囲(到達深度を含む)

・エネルギー出力の制御(冷凍能力を含む)

・エネルギー出力時に随伴する不利益な事象への対策(イリゲーション型での生理食塩水の流量等)

・外乱要因への対応策

b) 治療診断支援装置の評価

(ア) マッピング・ナビゲーションの方法と精度

・画像等による情報の把握の方法と妥当性

・空間的な情報の精度

・時間的な情報の精度(時間遅れを含む)

・生体機能情報の精度

・再現性

・バリデーション方法

(イ) 装置の動作状況の表示

c) 可動部分(アーム等の機械的可動部分)の性能及び安全性

・可動原理

・制御方法

・動作精度(位置・空間的な精度、時間的な精度(時間遅れを含む。)、再現性、バリデーション方法等)

・精度の妥当性(適応症例に要求される動作精度との相関性等)

・動作距離、速度及び出力

・空間的配置(他機器、使用者、患者との干渉等)

d) End―to―end性能評価

・システム全体としての性能の評価

e) ソフトウェアのライフサイクル管理(参考:IEC 62304、JIS T 2304等)

f) 自己診断機能(動作精度のバリデーションを含む)

② in vivo評価(動物試験)

動物試験を実施する必要性について考察すること。動物試験を行う必要性が認められた場合は、下記の事項に留意して適切な評価を行う。

(ア) 試験動物

・動物の種類とヒトへの外挿性(解剖学的、生理学的特徴等)

・動物への手技と臨床における手技との比較考察

(イ) 試験プロトコール

・評価項目、評価基準、評価方法、評価期間及び評価者

・計測データ(生理学的、機械的及び電気的データ等)

・例数の設定とその妥当性

(ウ) 評価にあたって考慮すべき点

・処置の達成状況(処置領域の肉眼病理観察や組織病理評価等)

・治療状況(治療目標の達成度(電気生理学的評価等))

・システムの性能に係る設計仕様の満足度(マッピング性能やナビゲーション性能の評価を含む)

・生体に対する有害事象の程度及び頻度

・動物実験で確認する項目に関わる機器不具合

③ in silico評価(コンピュータシミュレーションを用いた試験)

生体を用いた試験とは異なり、数学的なシミュレーションモデルを用いた評価試験を、以下in silico試験と呼ぶ。in silico試験により評価可能であることが十分に検証された項目に関しては、妥当性確認や精度検証のために、in silico試験の利用が想定される。具体的には、アブレーションで用いられるカテーテルにおける電極やバルーン等の構造や配置、導電性、磁場、温度変化、力学的な強度や耐久性、そして心筋とその周辺組織における興奮伝播、熱伝導、光・音波の伝搬、変性領域の評価、さらにはナビゲーション機器やマッピング装置における心筋シグナルの可視化方法の評価等に用いられることが想定される。in silico試験により評価を行う場合には、下記の事項に留意して適切な評価を行う。

(ア) シミュレーションモデルによるin silico評価を選択した根拠(in silicoモデルの必要性を示す論拠)が妥当であるか

(イ) 評価に用いるシミュレーションモデルとその使用法が妥当であるか

(ウ) シミュレーション結果の解釈が妥当であるか

(3) 臨床試験(治験)に関する事項

① 治験の要否

医療機器の臨床的な有効性及び安全性が性能試験等の非臨床試験成績及び/又は既存の文献等のみによっては評価できない場合に臨床試験(治験)の実施が必要となり、臨床試験成績に関する資料の提出が求められる。また、その使用目的、性能、構造等が既存の医療機器と明らかに異なる場合については、原則として臨床試験の試験成績に関する資料の提出が必要である。

② 試験デザイン

試験デザインは、治験機器の臨床的位置づけ及び試験の目的を踏まえて、適切に計画される必要がある。基本的には、既存治療等を対照としたランダム化比較試験が望ましいと思われる。仮に、妥当な歴史対照が既に存在する場合は、それとの比較が受け入れられる可能性があるが、患者背景、時代背景その他を踏まえて、本邦での有効性及び安全性を評価するに当たって、比較が適切であると判断できる必要がある。

有効性、安全性評価の項目は、術者の技量、ラーニングカーブ等により大きく影響を受けることが考えられる。個々の術者の習熟度のばらつき等による機器の評価への影響を防ぐため、推奨される手術手技を明示し、特殊な手技の場合には一定のトレーニングを経た術者により治験を行う等の配慮が必要である。

③ 症例数

臨床試験の目的や主要評価項目等を踏まえ、科学的かつ統計学的な根拠に基づき、当該医療機器の有効性、安全性の評価に適切な症例数とする。希少疾病用医療機器等、適応疾患の症例自体が少ない等の事情がある場合には、当該事情を勘案して妥当な治験計画をたて、評価可能かつ実施可能な症例数を検討すること。また、信頼できる海外データを承認申請の添付資料として使用できることがあるが、それのみで臨床評価を行うことができるかどうかについては十分に検討すること。

④ 評価期間

対象不整脈の特徴等に応じて適切な時期に評価を行うこと。

⑤ 有効性評価

基本的には、アブレーション直後の急性期成功率及びアブレーション後一定期間経過後の治療効果が既存のアブレーション用デバイスと比較して劣らないことを示す。ただし、有効性の向上よりも安全性や取扱いの簡便化を目的とする場合には、既存の機器と同等の臨床的な有効性を示すことが必須で無い場合も想定され、各機器のリスクベネフィットバランスを勘案した総合的な評価が望まれる。

a) 急性期有効性評価の指標

手技中に評価する有効性に関する評価が必要である。対象不整脈の特徴を踏まえて、評価項目及び成功の判断基準が設定されるべきである。

b) 遠隔期有効性評価の指標

不整脈の再発状況に関する評価が必要である。心房細動アブレーションにおける“blanking period”や、アブレーション前の薬剤療法に使用した薬剤のアブレーション後の投与状況にも考慮が必要である。

c) 有効性評価に関連する留意点

以下の点についても考慮されるべきである。設計等に関する事項を含むため、非臨床試験等による評価も含めて至適な評価が望ましい。

(ア) 使用環境に係る留意点

アブレーション用デバイスの種類によって、期待された十分な有効性が発揮できる環境が異なる。有効性の指標は、そのようなアブレーション用デバイスの使用環境を想定したものであることが望ましい。

・X線透視下、傾斜磁場下、超音波下、薬物投与下等の環境で使用することが想定されるものについては、それぞれの使用環境において、アブレーション用カテーテルに関する必要な情報を術者が任意のタイミングで認知することができること。

・患者の心内情報を得るための電極カテーテルやアブレーション用カテーテルを扱うための治療診断支援装置を併用することが想定されるものについては、その装置に有線又は無線により、直接又は増幅器等の機器を介して接続して連携操作ができること。治療診断支援装置を利用する際に必要な体表面電極や体外装置についても、これに含む。

・電極カテーテルやアブレーション用カテーテルを臨床心臓電気生理学的検査目的の装置に接続して、それらの単一又は複数の電極から、正確かつ安全に心筋組織に電気刺激を送達することができること。

・想定されるアブレーション方式によって、それぞれ適切なアブレーションエネルギー発生装置(発振器、加温・冷却装置等)と接続し連携操作ができ、カテーテル室内で用いることが想定される医用機器の通常運用に対して、それを阻むような相互干渉をしないこと。

(イ) 操作性に係る留意点

・血管損傷、心筋組織穿破、重症感染、血栓形成等の有害事象の発生が既存の機器と比べて増加することなく、シースを介してアブレーション用カテーテルを経皮的に心腔内及び心外膜腔内に挿入できること。

・術者が直接用手的又は何らかの外部装置を介して間接的にアブレーション用カテーテルを操作し、その先端部位の形状を変化させながら、それを術者が意図する心臓又は血管の標的部位に運び、そこで安全に必要時間固定できること。

・治療診断支援装置の必要周辺機器にアブレーション用カテーテルを接続した状態でも、その操作性が阻害されることなく、安全に操作運用できること。

・アブレーション方式にもよるが、仕事率(W)、インピーダンス(Ω)、温度(℃)、レーザ光強度(W/cm2)等、心筋組織変性部位作成の調節に関する項目を、カテーテルを介してアブレーション中又はその前後の時間を含めて連続的にモニターし、またその出力(変性部位作成強度)を適宜調整できること。

・手技時間についても、原則として評価が必要である。新しいアブレーション用カテーテル及びその周辺装置を使用することによる手技時間(治療時間)は、同じ種類の不整脈を有する患者間の比較で、従来のそれと比べて短縮されることが望ましい。しかし、治療時間は治療の標的や精度、装置を操作する術者の技量ならびにラーニングカーブによって左右されるため、その評価に際しては勘案されるべきである。

(ウ) 耐久性に係る留意点

一人の患者に対して想定される手技時間内において、アブレーション用カテーテル及びそれが直接的又は間接的に接続される治療診断支援装置の機能を損なうことなく連続使用できること。

⑥ 安全性評価

治験機器の安全性は、開発コンセプトも踏まえて、適切な評価項目が設定される必要がある。機器の具合が悪くなる「不具合」のみではなく、「有害事象」も評価する必要がある。以下の事項に留意して治験の計画を立案すべきである。

a) 有害事象

有害事象とは、治験機器又は製造販売後臨床試験機器との因果関係の有無に関わらず、当該治験機器又は製造販売後臨床試験機器の使用時に、被験者、使用者その他の者に生じたすべての好ましくない又は意図しない疾病又は障害並びにその徴候(臨床検査値の異常を含む。)をいう。ただし、被験者以外の者に生じたものについては、治験機器又は製造販売後臨床試験機器の使用による影響と疑われるものに限る。対象となる手術内容によって発生する有害事象の内容やその発生頻度は異なるが、発現頻度及び重篤度を評価し、発生した有害事象が装置固有の問題に起因するものであるか、術者の手技によるものであるか等の考察をする必要がある。

主な合併症の種類については、以下が挙げられるが、治験機器の特徴なども踏まえて、適切な安全性の項目を設定して評価することが必要となる。

(ア) 血管の穿刺とカテーテルの操作によるもの

・穿刺部出血と血腫、末梢血管、末梢神経損傷

・動静脈瘻

・気胸及び血胸

・空気塞栓及び血栓塞栓症

・心臓壁の穿孔と心タンポナーデ

・冠動脈の損傷

・弁や腱索の損傷

(イ) アブレーションによるもの

・刺激伝導系の損傷

・血栓形成による塞栓症、脳梗塞や心筋梗塞

・肺静脈や冠静脈洞、冠動脈等の狭窄や閉塞

・横隔神経麻痺

・左房食道瘻、食道迷走神経障害

・ポップ現象

・潅流生理食塩水の過多による心不全

・心臓壁の穿孔、心タンポナーデ

(ウ) その他

・感染

・放射線被爆による皮膚傷害

b) 不具合

被験機器の不具合については、発現内容、頻度、重篤度等を評価する。不具合に対して講じられた安全対策等については、その妥当性も含めて説明する必要がある。

(別紙3)

患者の画像データを用いた三次元積層造形技術によるカスタムメイド整形外科用インプラント等に関する評価指標

1.はじめに

総務省統計局は、2014年9月15日に我が国の高齢者動向を報告し、65歳以上(高齢者)の人口が3296万人、総人口に対する割合が25.9%に達していることを報告した(総務省統計局、統計トピックスNo.84)。我が国の高齢化は、今後も加速されることが推測されている。このような状況で、我が国では運動器障害(変形性関節症、骨粗鬆症に伴う大腿骨頸部骨折や脊椎圧迫骨折)が増加の一途をたどっており、関節障害、骨折、変形矯正等の治療に用いられる人工関節・骨接合用材料等の骨・関節インプラントといった整形外科インプラントの高機能化を図り、治療技術を向上させることが急務である。

従来の整形外科インプラントは、その安全性、有効性が認められ、術後10~20年間の耐久性が示され、整形外科医療及び健康寿命の延伸に貢献してきた。しかし、現在のインプラントの問題点として、平均骨格形状に基づいた設計による画一的なサイズのみの提供となっているため、形状不一致による骨格形状への不適合が存在することが挙げられる。このため、長期経過例では、骨折や人工関節のゆるみ、折損等の合併症をきたし、再置換術を必要とする場合がある。また、骨腫瘍症例における広範切除術後に生じる骨欠損やインプラント再置換術の際の骨欠損に対しては、既存のインプラントによる再建術が困難な症例も存在する。このような背景の中、国民のさらなる健康寿命の延伸、QOLの向上を目指すには、30年以上の耐久性を有する超長寿命型インプラントの開発が強く望まれる。これを解決する一つの手段として、形状のカスタムメイド化が考えられてきた。

近年、革新的な諸技術の開発により、電子ビーム積層造形、レーザー積層造形、インクジェットプリンター造形等の三次元積層造形技術を用い、少量(単品)かつ短期間にカスタムメイドの整形外科用インプラントを作製することが可能となってきた。これに伴い、これらの三次元積層造形技術により製造される骨関節インプラントや手術支援ガイドの安全性と有効性を適切かつ迅速に評価を行うために、新しい審査基準が必要となっている。三次元積層技術により製造された整形外科用インプラントの安全性、有効性の評価における留意点については、平成26年9月に三次元積層技術を活用した整形外科用インプラントに関する評価指標(平成26年9月12日付け薬食機参発0912第2号厚生労働省大臣官房参事官(医療機器・再生医療等製品審査管理担当)通知 別紙3)(以下、「参事官通知」という。)により示したところであるが、本評価指標では、三次元積層造形技術による製造にあたって、患者の画像データから三次元骨形状等を再現する際の留意事項をまとめた。

2.本評価指標の対象

本評価指標は、基礎となる既製品に対して患者個々の骨形状にあわせて必要となる形状変更等を行い、特定患者への生体適合性、固定性等を向上させることを目的とした、三次元積層造形技術によるカスタムメイド整形外科用インプラント及び手術支援ガイド(以下、「カスタムメイド整形外科用インプラント等」という。)を対象とし、患者の画像データを利用して、三次元形状(骨または軟骨を含む関節形状)を再現する際の設計等における留意事項を示すものである。

なお、切削加工等の三次元積層造形技術と異なる製造技術により製造するカスタムメイド整形外科用インプラント等であっても、患者の画像データから再構築した三次元形状を利用するのであれば、本評価指標を参考とすることで差し支えない。

3.本評価指標の位置付け

近年、その医療機器製造への応用について着目されてきている三次元積層造形技術(付加製造(AM:Additive Manufacturing)技術)により、複雑な形状をもつ医療機器が多種少量であっても製造可能となったことを勘案し、本評価指標は、患者固有の骨画像データを基に患者個々の骨・軟骨形状に合わせたカスタムメイド整形外科用インプラント等を設計、製造する際に考えられる問題点、評価・留意すべき事項を示すものである。技術革新の著しい分野であることから、留意点等を網羅的に示したものではなく、現時点で考えうる点について示したものである。よって、今後の技術革新や知見の集積等を踏まえ改訂するものであり、薬事申請内容等に関して拘束力を有するものではない。本評価指標で想定される機能とは異なる内容を含むと考えられる新規技術の薬事申請を検討する場合には、事前に医薬品医療機器総合機構に相談することが望ましい。

三次元積層造形技術等を用いて製造するカスタムメイド整形外科用インプラント等の評価に関しては、個別の製造方法及び製品特性を十分に理解した上で、科学的な合理性を持って柔軟に対応することが必要であり、また、本評価指標以外に現存する国内外の関連ガイドライン等を参考にすることも必要である。よって、製品個別の特性について、現存するガイドライン等で評価できるか否かを十分に検討すべきことに留意されたい。なお、三次元積層造形技術による整形外科用インプラント等の評価に関しては、参事官通知を、カスタムメイド整形外科用インプラント等の評価に関しては、以下の評価指標をあわせて参考にすること。

・平成22年12月15日付け薬食機発1215第1号厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長通知「次世代医療機器評価指標の公表について」別添3「整形外科用骨接合材料カスタムメイドインプラントに関する評価指標」

・平成23年12月7日付け薬食機発1207第1号厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長通知「次世代医療機器評価指標の公表について」別添2「整形外科用カスタムメイド人工股関節に関する評価指標」

・平成24年11月20日付け薬食機発1120第5号厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長通知「次世代医療機器評価指標の公表について」別添1「整形外科用カスタムメイド人工膝関節に関する評価指標」

4.患者の画像データから三次元骨形状等を再現する際の留意事項

(1) 患者画像データの取得

カスタムメイド整形外科用インプラント等の設計では、原則、基礎となる既製品に対して患者個々の骨または軟骨を含む関節形状にあわせて必要となる形状付与を行うため、CT(Computed Tomography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)等の画像モダリティによる撮像データを抽出し、対象となる患者の骨形状データ又は軟骨を含む関節形状データを再構築することが必須である。現時点ではCTをベースにした画像抽出が一般的であるが、モダリティの種類に関わらず、データ再構成にあたり

・撮像条件の最適化

・画像抽出及び処理の最適化

が必要となる。

以下に、一般的に留意すべき点を示す。

① 撮像及び画像構成条件

患者への被曝リスクと再構成に必要な画質の撮像との兼ね合いを考慮する上で、以下の撮像条件を検討し、推奨される条件を設定すること。この推奨条件は根拠となる性能試験に基づき設定すること。また、規定する項目を限定した場合にはその妥当性を示すこと。なお、対象となる患部を撮像した日時を明示すること。

ア) CTの場合

・ 撮影機器

・ 管電圧

・ 管電流

・ スキャンスライス厚

・ ビームピッチ

・ スキャン時間

・ 撮像視野(SFOV:Scan field of view)

・ 再構成スライス厚

・ 再構成スライス間隔

・ 再構成関数

・ アーチファクト対策

イ) MRIの場合

・ 撮影機器

・ 使用コイル

・ シーケンス脂肪抑制の有無、有であればその種類

・ スキャン断面エコー時間繰り返し時間(もしあれば)反転時間

・ (gradient echo法の場合)フリップ角

・ スキャンスライス厚

・ マトリックス撮像視野(FOV:Field of view)

・ 繰り返し回数(Number of excitation)

・ バンド幅

・ センスファクターあるいは類似パラメータ―

・ 撮影時間

・ 再構成スライス厚

・ 再構成スライス間隔

・ 再構成方向

・ アーチファクト対策

② 画像の有効期限

三次元画像の撮像時期に特段制限はないが、疾病ごとの特性に鑑み、撮像後に解剖学的構造が変化した可能性があると医師が判断する場合は当該画像を使用しないこと。

③ アーチファクトの影響

取得した画像部位に金属インプラント等の異物が存在する場合、画像取得時に対策を施したとしても、当該異物により周囲空間のCT値上昇、陰影欠損等のアーチファクトが発生する懸念がある。これらのアーチファクトは取得すべき三次元形状の精度に影響を与える可能性を否定できない。そのような画像データを使用する際はアーチファクトによる影響を適切な方法で評価するか、その影響が評価できていないことを明確にし、医師が製品の形状が仕様書を満たすと判断したことを確認する等の対応を考慮すべきである。

(2) 画像抽出及び三次元形状再構築

画像抽出及び三次元形状再構築にあたっては、三次元形状データの精度を明確に示すべきである。

CT等の画像データから三次元形状データを構築するプログラムの種類に関わらず、以下の点に留意すること。

① 画像データの取扱い

医療機関から画像抽出及び三次元形状再構築の依頼を受ける場合、個人情報が外部に流出しないような方策を構築すること。(契約時の留意事項)

② 三次元形状データの抽出方法及び形状決定

以下の点に留意すること。

・ データ抽出と形状決定の各工程を詳細に示し、工程毎に責任者とその実施内容を明確に示すこと。

・ 三次元形状データを構築するプログラムを明確にすること。

・ 三次元形状データの精度に影響を及ぼす可能性があるアルゴリズムの変更やプログラム自体の変更が生じた際には再度、当該プログラムの精度を評価すること。

・ 三次元形状セグメンテーション方法の妥当性を示すこと。(例:作業者の技能の担保方法、オートマチックセグメンテーションの場合はその精度及び妥当性)

・ 幾何形状への変換時における精度を示すこと。(精度を担保する上で必要な条件の明確化)

③ 臨床上必要となる三次元形状データの精度設定

使用部位、用途に応じて、適切かつ妥当な三次元形状データの許容精度を設定すること。また、求められる医療機器の性能は部位によって異なる事が想定されるため、その根拠を可能な限り科学的に示すこと。

(3) 設計

カスタムメイド整形外科用インプラント等の設計には、現在、各種3D―CAD(3 Dimensional-Computer Aided Design)プログラムが用いられている。この設計にあたって、その製品提供を依頼した医師が重要な責務を担っているが、製造者は以下の点に留意すること。

① 設計における基本的な考え方

(基礎となる既製品の画像データを元にした基本デザインを利用し骨との接触面のみカスタム化するのか、重要機能部位(関節摺動面形状等〕を変更した上でカスタム化し、最適デザインとして設計するのか等)

② 基本デザインを利用する場合、それに対する造形条件、機械的安全性、生物学的安全性等の試験成績を基にした最終製品(カスタム部分)の評価方法及びその妥当性並びに各種条件の妥当性の検証(validation)方法

③ 患者毎に最適なデザインを設計する場合、基本デザインからのカスタム化によって生じる造形条件、機械的安全性、生物学的安全性等への影響及び基本デザインに対する非劣性評価方法

④ 造形データへの変換

・ STL(Standard Triangulated Language)ファイル形式への変換方法(方法選択の妥当性)

・ 目視による形状確認の有無(必要性、必要な場合の方法(例:CT画像との重ね合わせ)及びその方法の妥当性)

(4) 形状及び構造評価

カスタムメイド整形外科用インプラント等が設計上の形状と一定の誤差範囲内で一致していることを証明するため、最終製品を用いて形状精度を確認する必要があり、製造者は、公差範囲やその検証方法に関する妥当性を予め示すべきである。

精度検証に用いる測定法は、立体的な形状計測が可能な測定法を適用することが望ましい。なお、形状によっては、その妥当性を示すことで1次元方向への寸法測定も適用可能である。

表面粗さや多孔体構造などの複雑な形状に関しては、その構造に応じた適切な方法による個別検証を行う必要があるため、検証結果のみならず、その検証法の原理、使用根拠及び妥当性を示すこと。

(5) 医師に対して開示すべき情報

カスタムメイド整形外科用インプラント等の製造者は、設計に関連した以下の情報について製造の依頼があった医師への開示に関する手順を定めておくこと。また、必要に応じて追加の情報開示が求められることもある。

・患部の三次元形状画像及び設計されたカスタムメイド整形外科用インプラント等の最終形状(確認のため)

・三次元形状画像の精度(誤差及びその要因となりうる項目:骨密度、軟骨、軟骨欠損等)

・画像処理過程の詳細

・設計、製造された最終製品において保証される精度又はそれを示す試験結果(キャダバー試験等)

・推奨する又は試験で評価した撮像条件